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第7回 受取配当と評価益・還付金|法人税入門講座

法人税 入門講座|第7回(v5)

受取配当と評価益・還付金 ── 益金にならない収益

会計では収益なのに、税法では益金にしないものがあります。受取配当等の益金不算入(4つの区分と割合)を中心に、資産の評価益・法人税等の還付金を整理し、さくら食品の別表四に3行目を書く回です。

所要 15分前提:第3回(別段の定め)・第4回(任意の申告調整・社外流出)条文:法人税法23条・25条・26条令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度で解説
第1章 全体像1234
第2章 益金567
第3章 損金8910111213
第4章 税額と申告141516
第5章 グループと総合演習1718
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
受取配当等の益金不算入内国法人から受けた配当等のうち、株式の保有割合に応じた一定額を益金にしない制度(23条)
完全子法人株式等保有割合100%の株式など。配当等の全額が益金不算入
関連法人株式等保有割合1/3超の株式など。配当等から負債利子を引いた額が益金不算入
その他の株式等保有割合5%超1/3以下の株式など。配当等の50%が益金不算入
非支配目的株式等保有割合5%以下の株式など。配当等の20%が益金不算入
評価益資産の帳簿価額を時価に合わせて増やしたときの利益。原則として益金不算入(25条)
還付金等納め過ぎた法人税・住民税などが戻ってきたもの。益金不算入(26条)
法令と数字この講座は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度に適用される法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます

はじめに:今日のゴール

🎯
今日のゴール
内国法人から受けた配当は、二重課税を避けるために益金不算入。株式の保有割合で4つに区分し、全額・50%・20%などを益金にしない。申告書に計算を書いたときだけ使え、別表四では減算・社外流出。評価益・法人税等の還付金も益金にならない――これを説明できるようになること。
シンプルな例:Y社の受取配当の合計42万円
→
対象になる配当を区分して4区分
→
益金不算入額25万円
さくら食品:取引先株式(保有3%)の配当6万円
→
非支配目的株式等20%
→
別表四に減算60,000円

※ 関連法人株式等の負債利子の計算、外国子会社から受ける配当等の益金不算入(95%)、みなし配当、短期保有株式等の扱いは、名前の紹介にとどめます。

ハルカ先生、第6回は別表四に行を足しませんでした。今日は書きますか?
先生今日は3行目を書くんだ。さくら食品が受けた配当のうち、益金にならない部分を減算するよ。
ハルカ配当が益金にならないのは、どうしてですか?
先生カギは二重課税なんだ。さくら食品は取引先の株式を3%持っていて、配当30万円のうち60,000円が益金にならないよ。
ハルカ全額ではないんですね。
先生保有割合で割合が変わるんだ。今日は、その区分と計算を5つのステップで見ていこうか。

図で見る:受取配当等の益金不算入(5ステップ)

先生最初は「シンプルな例」のY社で、5ステップを通してみよう。さくら食品や、自分で入力にも切り替えられるんだ。
ハルカ「自分で入力」で、保有割合を変えられるんですね。
先生5%や1/3の境目で、区分と金額が変わるのを確かめてみようか。
👆下のステップをクリックタップすると、図と会話が切り替わります← →キーでも移動できます
← 図は横にスクロールできます →
① なぜ受取配当を益金にしないのか ── 二重課税を避ける配当を出す会社利益に法人税配当Y社(法人株主)受取配当は益金不算入配当個人株主総合課税なら配当控除配当は、法人税が課税された後の利益から支払われる。法人株主でもう一度課税すると、同じ利益に何度も法人税がかかる(二重課税)。そこで、法人株主の段階では益金にしない。現行の税制は、法人税を株主の所得税の前払いとみる考え方(法人擬制説)を基本にしている。ただし、保有割合が低い(投資目的の)株式の配当は、一部だけを益金不算入にする(③)。
配当は課税済みの利益から → 法人株主では益金不算入(二重課税を避ける)
ハルカ会社が受け取った配当は、会計では収益ですよね。税法では違うんですか?
先生内国法人から受けた配当は、一定の額を益金にしないんだ。法人税法23条の受取配当等の益金不算入だよ。
🤔 迷いポイントもうけなのに益金にしないのは、会社を優遇しているだけ?
ハルカ配当だけ特別扱いするのは、ずるい気がしました。
先生配当は、出した会社で法人税が課税された後の利益から払われるんだ。法人株主でまた課税すると、同じ利益に何度も法人税がかかるよ。
ハルカ二重に課税されないための仕組みなんですね。
先生そうだよ。最後に個人株主が受け取った配当は、総合課税を選んだ一定の国内配当なら、所得税の配当控除で調整されるんだ。
💡 そうだったのか!受取配当の益金不算入は、優遇ではなく二重課税を避けるため。法人株主の段階では益金にしない。
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)

STEP 1 なぜ益金にしない?

ハルカ会社が受け取った配当は、会計では収益ですよね。税法では違うんですか?
先生内国法人から受けた配当は、一定の額を益金にしないんだ。法人税法23条の受取配当等の益金不算入だよ。
🤔 迷いポイントもうけなのに益金にしないのは、会社を優遇しているだけ?
ハルカ配当だけ特別扱いするのは、ずるい気がしました。
先生配当は、出した会社で法人税が課税された後の利益から払われるんだ。法人株主でまた課税すると、同じ利益に何度も法人税がかかるよ。
ハルカ二重に課税されないための仕組みなんですね。
先生そうだよ。最後に個人株主が受け取った配当は、総合課税を選んだ一定の国内配当なら、所得税の配当控除で調整されるんだ。
💡 そうだったのか!受取配当の益金不算入は、優遇ではなく二重課税を避けるため。法人株主の段階では益金にしない。

配当は課税済みの利益から → 法人株主では益金不算入(二重課税を避ける)

STEP 2 対象になる配当

ハルカ配当なら、何でも益金不算入になるんですか?
先生対象は、内国法人の株式や出資に係る配当なんだ。Y社の配当のうち、外国法人や、特定株式投資信託に当たらない証券投資信託などは対象外だよ。
🤔 迷いポイント「配当」という名前がついていれば、全部益金不算入?
ハルカ協同組合の配当も証券投資信託の分配も、配当の仲間だと思っていました。
先生外国法人の配当、協同組合等の事業分量配当、J-REITからの利益の分配は対象外で、全額が益金なんだ。証券投資信託の分配も原則は対象外だけど、外国株価指数連動型を除く特定株式投資信託(一定のETF)の分配は、非支配目的株式等として対象になるよ。名前ではなく中身で判定するんだ。
ハルカ二重課税にならないものは、対象外なんですね。
先生そのとおりだね。外国子会社からの配当は、別の制度があるんだ。
💡 そうだったのか!対象は内国法人の株式・出資に係る配当等。外国法人・事業分量配当・J-REITの分配などは対象外。証券投資信託は原則対象外(特定株式投資信託は対象)。

Y社:配当の合計 420,000円 のうち、対象になるのは 360,000円

STEP 3 4つの区分と割合

ハルカ対象になる配当は、全額が益金不算入ですか?
先生株式の保有割合で4つに区分して、益金にならない割合が変わるんだ。100%なら全額、1/3超なら負債利子を引いた額、5%超なら50%、5%以下なら20%だよ。
🤔 迷いポイント保有割合に関係なく、配当の全額が益金不算入?
ハルカ二重課税を避けるなら、全額を不算入にすると思いました。
先生少しだけ持っている株式は投資の目的が強いから、二重課税を全部は調整しないんだ。A社株式(100%子会社)は保有100%だから、完全子法人株式等だよ。
ハルカ割合で区分が決まるんですね。
先生そうだよ。関連法人株式等は、原則として6か月以上続けて持っていることも必要なんだ。
💡 そうだったのか!保有割合で4区分:完全子法人(100%)全額、関連法人(1/3超)負債利子を引いた額、その他(5%超)50%、非支配目的(5%以下)20%。

A社株式(100%子会社)(100%)→ 完全子法人株式等 B社株式(保有10%)(10%)→ その他の株式等

STEP 4 計算と申告の条件

ハルカ益金不算入額は、どう計算するんですか?
先生区分ごとに割合をかけて合計するんだ。Y社は、対象になる配当360,000円から250,000円が益金不算入だよ。
🤔 迷いポイント法律で決まっているのだから、申告書に書かなくても自動で減らしてもらえる?
ハルカ条件に当てはまれば、自然に適用されると思っていました。
先生申告書に、益金にならない配当の額と計算の明細を書いたときだけ使えるんだ。第4回で見た任意の申告調整だね。
ハルカ配当から引かれた源泉所得税は、どうなるんですか?
先生源泉所得税は、法人税額から控除するんだ。益金不算入額は、源泉徴収される前の配当の額で計算するよ。控除は第15回で見ようか。
💡 そうだったのか!益金不算入額は、区分ごとの割合で計算し、申告書に明細を書いたときだけ使える。源泉所得税は法人税額から控除(第15回)。

益金不算入額の合計 250,000円(申告書に明細を書いたときだけ)

STEP 5 評価益・還付金と別表四

ハルカ別表四には、どう書くんですか?
先生会計では収益にしているから、益金不算入額を減算するんだ。区分は「社外流出」だよ。
🤔 迷いポイント配当のお金は会社に残っているから「留保」?
ハルカ第4回で聞いたのに、また留保だと思ってしまいました。
先生課税しない収入として、便宜上「社外流出」に区分するんだったね。現金の動きだけで決まらない、税務上の区分だよ。
ハルカ評価益や税金の還付も、益金にならないんですね。
先生資産の評価益は原則として益金不算入、納めたときに損金にならなかった法人税等の還付金も益金不算入なんだ。
💡 そうだったのか!受取配当等の益金不算入は、別表四で減算・社外流出。資産の評価益(原則)・法人税等の還付金も益金不算入。

別表四:減算 受取配当等の益金不算入額 250,000円(社外流出)

さくら食品の「育つ別表四」── 3行目を書く

※ この配当からは所得税等(20.42%)が源泉徴収されています。その額は法人税額から控除し、別表四では加算します(第15回)。益金不算入額は、源泉徴収される前の配当の額で計算します。

先生これが、3行目を書いたさくら食品の別表四だよ。
ハルカ黄色の行が受取配当ですね。今回は減算なんですね。
先生そうだよ。下のカードに、減算の理由と社外流出の区分、所得への影響をまとめておいたんだ。
ハルカここまでの合計が、6万円減りました。
先生そのとおりだね。源泉徴収された所得税の行は、第15回で書くよ。

やってみよう:区分と益金不算入額(6問)

配当を受けた株式の区分と、益金にならない額を判定しましょう(負債利子はないものとします)。

ハルカ保有割合から区分と金額を出す練習をしたいです。
先生左の6問で、区分と益金不算入額を判定してみようか。
ハルカ5%と1/3の境目を、しっかり覚えます。
先生外国法人の配当のような対象外にも気をつけてね。

よくある間違い

① 「配当」と名のつくものは、すべて益金不算入

対象は内国法人の株式・出資に係る配当等です。外国法人(外国子会社を除く)からの配当、協同組合等の事業分量配当、J-REIT(不動産投資法人)からの利益の分配などは対象外で、全額が益金です。証券投資信託の収益の分配も原則として対象外ですが、特定株式投資信託(外国株価指数連動型を除く一定のETF)の収益の分配は、非支配目的株式等として対象になります。

② 保有割合に関係なく、配当の全額が益金にならない

全額が益金不算入なのは完全子法人株式等(と、負債利子を引いた関連法人株式等)です。その他の株式等は50%、非支配目的株式等は20%だけです。

③ お金が会社に残っているので、別表四では「留保」

受取配当等の益金不算入は、課税しない収入として、便宜上社外流出に区分します(第4回)。また、申告書に計算の明細を書いたときだけ使えます。
ハルカ①の「配当という名前なら全部」は、私も思っていました。
先生名前ではなく、内国法人の株式・出資に係る配当かどうかで判定するんだったね。
ハルカ③の社外流出は、第4回でも出てきました。
先生大事なところだから、何度でも確かめようか。現金の動きではなく、税務上の区分だよ。

ミニテスト(3問)

Q1. 受取配当等を益金不算入にする理由は?
Q2. 保有割合5%超1/3以下の「その他の株式等」の配当の益金不算入額は?
Q3. 受取配当等の益金不算入額は、別表四でどう書く?

おわりに ── 今日のふりかえり

1分まとめ
  1. 配当は、出した会社で法人税が課税済みの利益から支払われる。法人株主で再び課税しないよう、益金不算入にする(23条)。
  2. 保有割合で4区分:完全子法人株式等(100%)全額、関連法人株式等(1/3超)負債利子を引いた額、その他の株式等(5%超1/3以下)50%、非支配目的株式等(5%以下)20%。
  3. 外国法人(外国子会社を除く)の配当、協同組合等の事業分量配当、J-REIT(不動産投資法人)からの利益の分配などは対象外。証券投資信託の収益の分配も原則対象外(特定株式投資信託〈外国株価指数連動型を除く〉は対象)。
  4. 申告書に計算の明細を書いたときだけ使える(任意の申告調整)。別表四では減算・社外流出。
  5. 資産の評価益(原則)と、法人税・住民税などの還付金も益金不算入(25条・26条)。
先生今日のまとめだよ。受取配当の益金不算入は、二重課税を避けるための仕組みなんだ。
ハルカ保有割合で4つに区分して、全額・50%・20%などが不算入。申告書に書いたときだけ使えて、別表四では減算・社外流出……ですね。
先生そのとおりだよ。1つだけ足すと、評価益や法人税等の還付金も、益金にならないんだ。
ハルカ5%と1/3の線を、手帳の目盛りに書いておきます。
先生いい工夫だね。次の第8回では、棚卸資産と売上原価を見ていこうか。

参照条文・出典

参照条文:法人税法23条(受取配当等の益金不算入)1項・4項〜7項、23条の2(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)、25条(資産の評価益)、25条の2(受贈益)、26条(還付金等の益金不算入)、38条(法人税額等の損金不算入)、租税特別措置法67条の6、所得税法92条(配当控除)

参考資料:税務大学校『法人税法(基礎編)令和8年度版』第4章第1節〜第4節(pp.36〜44)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)

本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(少額減価償却資産の特例の見直しなど)と防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)は国税庁の資料で反映しています。

本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度を共通事例とし、各制度の適用時期に応じた法令に基づく学習用の解説・試算です。個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品などの数字は学習用に設定した仮定の数値です。

ハルカ条文で確かめたいときは、どこを見ればいいですか?
先生受取配当は法人税法23条、評価益は25条、還付金は26条なんだ。法人税法ラボ ↗で条文から引けるよ。
ハルカ講本には、区分の計算例もありますか?
先生講本の第4章に、いくつもの配当をまとめて計算する例が載っているよ。この教材の図は、それを参考にTaxJudgeが独自に作っているんだ。
法人税 入門講座 第7回|taxjudge.com
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