舞台の会社について(開く)
🎬 動画で見る第30話「私は施策の一つだった。少し悔しくて、かなり嬉しい」
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土曜の朝最初のページの日付
2026年11月7日、土曜。
朝8時。
ハルカは、モンステラに水をやってから、机の前に座った。
木曜の夜に開いた学習室のノートが、まだ机の上にあった。
最初のページの日付は、2025年10月。
対象、経理担当1名。
開始、2025年10月。
……木曜から、何回思い出したんだろう。
学習室は、会社の研修制度だと思っていた。
だれでも申し込めて、私はたまたま申し込んだんだと。
本当は、部長が書いた一行だった。
私が扉を開ける前から、私の席が用意されていた。
聞けば、たぶん部長は答えてくれる。
でも、聞いたら、何かが終わってしまう気がする。
ハルカは、学習室のノートを閉じて、本棚に戻した。代わりに、いつものノートを開いた。
最後のページだけは、仕事のことを書かないと決めている。けれど今日は、そこに何を書けばいいのかが、まだ分からなかった。
パン屋15分は、少しだけ短かった
クロワッサンか、メロンパンか。
……毎週、ここで15分迷う。
どっちを選んでも、私が選んだことには変わりない。
お店がクロワッサンを焼いてくれていたから、選べるだけで。
……学習室も、同じかもしれない。
席を用意したのは部長で、毎週通ったのは私だ。
ハルカは、クロワッサンを一つ買った。15分は、少しだけ短かった。
一年分のノートは、私が書いた。
そこは、施策の欄には書いていない。
午後の電話「数字が二つあるのよ」
保険の分も、入力は終わったわよ。
証明書のはがきがやっと全部そろったから、
あとはお店に持っていくだけ。
迷わなかった?
はがきに「証明額」と「申告額」、数字が二つあるのよ。
どっちを入れるのかしらって。
「申告額」のほうだよ。
一年分の見込みの金額だから。
証明額は、はがきを作った時点までの金額。
画面の下の補足の欄に「証明書の、
申告額の欄を見てください」って一行あってね。
それで分かったの。
補足の欄。
……何を書くかじゃなくて、どこを見ればいいかが、
一行で書いてある。
どいてって言っても、どかないの。
来年も、たぶん続ける。
続けられる場所があるのは、いいことよ。
続けられる場所。
……用意したのは部長で、続けたのは私。
お母さんは、何も知らずに、ちょうどいい言葉を言う。
電話を切ると、ハルカは月曜まで開かないと決めていた言い換え表のファイルを、一度だけ開いた。
一行だけ足した。「補足の欄には、何を書くかではなく、どこを見ればいいかを書く」。それから、閉じた。
夕方のノート最後のページ
私は、施策の一つだった。
それが、少し悔しい。
自分で見つけて、自分で選んだと思っていたから。
それが、かなり嬉しい。
私が扉を開ける前から、
誰かが私の一年を数えてくれていたから。
部長には聞かない。
木曜に写した一行は、開始の月も、手書きの言葉も、
そのままにしておく。
ハルカは、三行だけ書いて、ノートを閉じた。窓の外は、もう暗くなり始めていた。
土曜の終わり三行
土曜が終わる。
言い換え表には、一行が増えた。
ノートの最後のページには、三行が増えた。
木曜に写した一行の続きは、どこにも書いていない。
書いてあるのは、開始の月だけだ。
私は施策の一つだった。
それが少し悔しくて、かなり嬉しい。
- 人材戦略(案)第0版 ── 採用か育成かの材料は、来週水曜(11月11日)までに部長。ハルカは部長に何も聞かない
- 年末調整 ── 11月9日(月)に、入れてよい情報の区分と見られる人を決める。言い換え表は37行のうち12行の案+書き方の約束を一つ(補足の欄には、どこを見ればいいかを書く)
- 母の申告書 ── 保険料の控除もスマホで入力済み(証明書の「申告額」の欄)。紙の控除証明書は、これから勤め先へ提出する
- 前々期以前の620 ── 主査の返事は来週中。読み合わせ ── 二人で読む残り2件
この話の学びと、母の言葉
この話に出てきた知識・前後の話
- 保険料控除申告書の書き方(証明額と申告額) ── ハルカの学習ノート ── 年末調整 書類の書き方ラボ
- 人材戦略の流れと、施策の欄 ── ハルカの学習ノート ── 人的資本可視化指針ラボ 基礎編
- 去年の施策一覧にあった一行 ── 二日前の話 ── 経理財務部の物語 第28話「連結を回せる人は1人。去年の施策一覧にあった一行」
前の話:第29話(2026年11月6日)|【為替換算】伝票二箱を数えたら、返品が1枚あった / 次の話:第31話(2026年11月8日)|手帳に書いたのは、名前ではなく「1→2」 / 記録ページ(年表・会社のいま・話数一覧) / ハルカの学習ノート ── 年末調整ラボ 基礎編
この物語は、上場企業の経理財務部の実務をモデルにしたフィクションです。登場する会社・人物・団体は架空のもので、特定の監査法人・企業・製品の手続や見解を描くものではありません。会計・税務の記述は公認会計士・税理士が監修しています。製品名・サービス名は本文に出てきません。年末調整の個別の取扱いは、勤務先や税務署の案内で確かめてください。
