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連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ子会社株式の売買・外貨建て貸付金・組織再編

連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ子会社株式の売買・外貨建て貸付金・組織再編

無料の学習ツール「連結キャッシュ・フロー計算書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📙 応用 早見表
取引区分ポイント
① 個別でも出てくる取引
商品の販売・仕入・人件費・経費営業営業損益計算の対象
災害の保険金・損害賠償金・特別退職金営業投資・財務以外の取引は営業
法人税等の支払額営業適用前:法人税・住民税・利益に関連する金額を課税標準とする事業税を一括(住民税は均等割を含む)。2026年改正の適用後(原則2028年4月1日以後開始年度):住民税は法人税割のみ。均等割・付加価値割・資本割は営業活動の別の項目に
受取利息・受取配当金営業 または 投資方法1なら営業、方法2なら投資(毎期継続)
支払利息営業 または 財務方法1なら営業、方法2なら財務
支払配当金財務どちらの方法でも財務
固定資産の取得・売却、貸付け・回収投資有価証券(現金同等物以外)も投資
借入れ・返済、社債、株式の発行、自己株式財務自己株式の取得は理由を問わず財務
受取手形の割引・債権の流動化による収入営業営業債権から生じるCFとして営業
リース:借手の元本返済財務利息は支払利息の方法に従う。短期・少額・変動は営業
② 連結ならでは
グループ内の売上・仕入・貸付・利息・配当消去双方の区分で打ち消す(未達は調整してから)
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得・売却投資子会社の現金を差し引いた純額で独立掲記
支配獲得時の取得関連費用営業株式の取得代金とは分ける
支配が続く中での追加取得・一部売却財務非支配株主との取引。関連して生じた費用は営業
非支配株主への配当金・非支配株主の増資の払込み財務独立掲記
持分法適用会社からの配当金営業 または 投資利息・配当の方法に従う。営業に表示するなら投資損益と相殺表示も可
連結会社が振り出した手形の割引財務連結上は手形借入れと同じ
外貨の現金の換算差額別掲「現金及び現金同等物に係る換算差額」
連結で消去した外貨建ての親子間貸付金などの為替差損益調整連結P/Lに残る為替差損益は、間接法で利益から加減(重要性が乏しければ換算差額に含めることも可)。C-4
事業の譲受け・譲渡投資移転する現金を差し引いた額で独立掲記。資産・負債の内訳を注記。B-8
合併で受け入れた消滅会社の現金別掲新規連結に準じて独立表示。株式の交付は非資金取引の注記。B-8
グループ内の再編(共通支配下)消去グループ内の資金移動は消去。非支配株主に払う現金は財務、グループ外への支払は残る。B-8
非連結子会社を新たに連結したときの現金別掲期首残高に加算する形で独立表示
はじめに

今日の地図 ── 取引ごとの表示区分 早見表

📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭の📋
ハルカ
先生、応用タブは論点が22もあって、どこから読めばいいのか迷います。
先生
早見表が地図だよ。前半は個別のCFでも出てくる取引、後半が連結ならではの取引なんだ。区分の列に「消去」「別掲」「調整」とあるのが、連結で特に気をつけたい行だよ。
ハルカ
営業・投資・財務のどれでもない書き方が、こんなにあるんですね。
先生
そこが覚えどころだよ。グループ内は消去、外貨の現金の換算差額や合併で受け入れた現金は3区分と別に表示、消去した外貨建て貸付金の為替差損は間接法で調整するんだ。今日は、このうち実務で迷いやすい論点を選んで見ていこうか。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A-4 ラボの図
「法人税等の支払額」:2026年改正の適用前と適用後適用前(改正を適用するまでの年度)・法人税・住民税(均等割を含む)・利益に関連する金額を課税標準とする事業税→ まとめて「法人税等の支払額」(営業活動)適用後(原則2028年4月1日以後開始年度)・法人税、住民税(法人税割)、事業税(所得割)など → 「法人税等の支払額」(営業活動)・住民税(均等割)、事業税(付加価値割・資本割) → 営業活動の別の項目(投資・財務ではない)適用時期は法人税等会計基準(企業会計基準第27号)の2026年改正と同じ。CF作成基準の改正は第44号適用初年度は、比較情報を新しい表示に組み替えなくてよい
応用 A-4

法人税等の表示区分 ── 2026年改正の適用前と適用後

📍 ラボの場所:応用タブ A-4
ハルカ
法人税等の支払額の行が変わると聞きました。均等割は、投資活動に移るんですか。
先生
図の左右を比べて。適用前は、法人税・住民税(均等割を含む)・利益に関連する事業税をまとめて「法人税等の支払額」に書くよ。適用後は、均等割と事業税の付加価値割・資本割をこの行から外すんだ。
迷いポイント この行から外したら、営業活動の外に出る?
ハルカ
行から追い出されたら、どこか別の区分に行きそうです。
先生
それが、そうではないのだよ。外した税金も営業活動の中の、内容に応じた項目に表示するんだ。投資や財務に移るわけではないよ。適用は原則2028年4月1日以後に開始する年度からで、早期適用もできるんだ。
ハルカ
行を追い出されても家からは出ていかないなんて、均等割はちょっと居候みたいですね。
先生
居候ではなく、営業活動の正式な住人だよ。書く行が変わるだけなんだ。
💡 そうだったのか!
2026年改正後も、均等割・付加価値割・資本割は営業活動のまま。「法人税等の支払額」の行に含めないだけです。
📙 応用 B-1 ラボの図
子会社株式の取得:支払った代金から、手に入れた子会社の現金を差し引く520株式の取得価額(支払)130- 子会社が持っていた現金及び現金同等物(グループに入ってくる)支出390= 投資活動に表示する純額連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 ▲390投資活動の区分に「独立の項目」として記載(作成基準 第二の二の4)
🧾 注記で確認(取得した子会社の資産・負債の内訳)
注記の例:株式の取得により新たに連結子会社となった会社の資産及び負債の主な内訳(百万円)
流動資産340
固定資産390
のれん205
負債▲280
非支配株主持分▲135
株式の取得価額520
子会社の現金及び現金同等物▲130
差引:子会社株式の取得による支出390
応用 B-1

連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得

📍 ラボの場所:応用タブ B-1(設例・応用①)
ハルカ
S社の株を520で買いました。投資活動に520の支出と書けばいいですよね。
先生
図の棒を見て。S社は取得した日からグループの一員になるので、S社が持っていた現金130もグループの現金になるんだ。だから520から130を差し引いた390を「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」として書くよ。
迷いポイント 子会社の現金を差し引かないと、何が困る?
ハルカ
520と書いても、あとで調整すれば問題なさそうです。
先生
520と書くと、S社の現金130がどこからも入ってこないことになって、期末の現金が連結B/Sと合わなくなるんだ。重要な場合は、注記で資産・負債の内訳と、520から390への関係を示すよ。
ハルカ
引っ越し先の部屋に前の住人の置き忘れた小銭があったら、家賃から引くようなものですか。
先生
置き忘れの小銭は大家さんに返してね。ただ、会社を丸ごと買うときは、その現金も一緒に手に入るんだよ。
💡 そうだったのか!
取得による支出は取得価額 − 子会社の現金の純額(390)。投資活動に独立の項目で書き、重要なら資産・負債の内訳を注記します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🏢 子会社株式の取得・売却」で「現金の多い会社を取得」を読み込む
  2. 「投資活動に記載する純額」と、その下の表示を見る

👀 取得価額 300 より子会社の現金 360 が多いので、純額は 60 の「取得による収入」になります。

ラボを開く ▶
📙 応用 B-4 ラボの図
支配が続く中での追加取得:相手は非支配株主(グループの「株主」)P社(親会社)S社株式を買い増す非支配株主S社の外部株主取得代金 90財務活動:連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出 ▲90取得・売却に関連して生じた費用 4 → 営業活動(実務指針 第9-2項)連結の範囲は変わらないので、子会社の現金を差し引く調整はありません
応用 B-4

支配が続く中での追加取得・一部売却

📍 ラボの場所:応用タブ B-4(設例・応用③)
ハルカ
すでに支配している子会社の株を、非支配株主から90で買い増しました。これも投資活動ですよね。
先生
図のとおり、相手は非支配株主、つまりグループの株主なんだ。支配は前から続いていて、連結の範囲は変わらないよね。だから「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」として財務活動に書くよ。
迷いポイント 買い増しにかかった手数料4も、財務活動?
ハルカ
株の代金と一緒に払ったのなら、同じ区分がすっきりします。
先生
この取得に関連して生じた費用は、営業活動に書くんだ。それから連結の範囲が変わらないので、子会社の現金を差し引く調整もないよ。
💡 そうだったのか!
支配が続く中での取得・売却は財務活動(株主との取引)。関連して生じた費用は営業活動です。
📙 応用 B-5 ラボの図
期末に送金中の現金(未達):グループの外には出ていないP社貸付けによる支出 ▲40期末現金 295S社まだ受け取っていない期末現金 125送金中 40(未達)① 未達の調整:S社が受け取ったものとして、S社に現金 40・借入れによる収入 40 を計上② そのうえで、貸付け(P社の投資)と借入れ(S社の財務)を相殺消去連結の期末現金 = P社 295 + S社 125 + 送金中 40 = 460(調整しないと 420 で、期首+増減と合わない)
応用 B-5

未達取引の調整 ── 期末に送金中の現金

📍 ラボの場所:応用タブ B-5(設例・応用④)
ハルカ
期末にP社がS社へ40を送金したのに、S社はまだ受け取っていません。この40はどこに行ったんですか。
先生
図の真ん中の黄色い箱が、その送金中の40だよ。グループの外には出ていないのに、P社の帳簿からもS社の帳簿からも消えているんだ。そのまま合算すると、連結の期末現金が420になって、実際の460と合わないよ。
迷いポイント 未達は、消去してから調整すればいい?
ハルカ
先に消して、あとから足し直す順番でもよさそうです。
先生
順番は①未達の調整 → ②相殺消去だよ。まずS社が受け取ったものとして現金40と借入れ40を計上し、そのうえでP社の貸付けとS社の借入れを消すんだ。
💡 そうだったのか!
送金中の現金は、届いたものとして調整してから消去します。連結の期末現金には、送金中の40が含まれます。
📙 応用 B-8 ラボの図
組織再編のCF:「グループの外との間で、現金が動いた部分」だけグループ外との再編事業譲受・事業譲渡 → 投資活動(移転する現金を差し引いた純額)合併で受け入れた現金 → 独立表示株式の交付 → 非資金取引として注記等グループ内の再編(共通支配下)親子合併・子会社どうしの合併などグループ内の資金移動は消去→ 連結CFには残らない非支配株主に払う現金 → 財務活動株式交換・株式移転・会社分割も同じ考え方(実務指針に個別の定めはない)
事業譲受:払った現金から、受け入れた現金を差し引いて投資活動へP社(グループ)事業を受け入れる相手(グループ外)事業を渡す現金 380事業(うち現金 40)投資活動事業譲受による支出▲340独立表示(期首残高の下)この取引ではなし―注記資産・負債の主な内訳(重要な場合)グループの現金の増減 ▲340 = 投資活動 ▲340(現金が動いた部分だけがCF)
応用 B-8

組織再編 ── 合併・事業譲受・事業譲渡・株式交換など

📍 ラボの場所:応用タブ B-8(設例・応用⑩⑪)
ハルカ
合併や事業譲受は取引が大きいので、CFにも大きく出てきそうです。
先生
図の上の段が考え方だよ。グループの外との間で現金が動いた部分だけがCFなんだ。事業譲受なら、払った現金380から受け入れた事業の現金40を差し引いた340を、投資活動に「事業譲受による支出」として書くよ。
迷いポイント 株式を渡す合併は、CFに何も出てこない?
ハルカ
株式だけで合併したら、CF計算書は白紙ですか。
先生
対価の株式は資金を伴わないので、重要な非資金取引として注記などで開示するんだ。一方、消滅会社から受け入れた現金は、新規連結に準じて「合併に伴う現金及び現金同等物の増加額」として、3区分とは区別して独立表示するよ。株式交換・株式移転・会社分割は実務指針に個別の定めがないので、同じ考え方をとる実務の例として紹介しているんだ。
ハルカ
合併って、結婚みたいなものですね。相手の貯金箱ごと一緒になるんですから。
先生
たとえとしては分かりやすいね。その貯金箱の中身が、区別して独立表示する90だよ。
💡 そうだったのか!
組織再編のCFは現金が動いた部分だけ。事業譲受・譲渡は投資活動(純額)、合併で受け入れた現金は独立表示、株式の交付は注記等で開示します。グループ内の再編に伴うグループ内の資金移動は消去されて連結CFに残りませんが、非支配株主やグループ外への支払は残ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔀 組織再編」で「⑩ 事業譲受」を読み込む
  2. 「対価のうち株式の交付(時価)」を 0 → 100 にする

👀 「投資活動に記載」は ▲340 のままで、「非資金取引(株式の交付)」が 100、のれんが 70 → 170 になります。株式で払った部分はCFに出ず、注記などで開示します。

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📙 応用 C-2 ラボの図
在外子会社の現金:本設例ではCFを期中平均、残高を決算時レートで換算ずれが「現金及び現金同等物に係る換算差額」14,000期首残高外貨 100× 前期末 140円+8,700営業活動外貨 60× 平均 145円▲4,350投資活動外貨 ▲30× 平均 145円▲1,490財務活動外貨 ▲10配当は 147円+1,140換算差額レートの差(下の内訳)18,000期末残高外貨 120× 当期末 150円換算差額 1,140 = 期首残高の分 +1,000 + 期中のCFの分 +200 + 配当の分 ▲60
応用 C-2

在外子会社のキャッシュ・フローの換算

📍 ラボの場所:応用タブ C-2(設例・応用⑥)
ハルカ
在外子会社のCFは、全部同じレートで円に直せばいいんですか。
先生
図の棒を見て。この設例では、CFを収益・費用の換算に使う期中平均レート145円で換算するよ。基準上は、収益・費用の換算に使ったレート(期中平均か決算時のレート)に準じるんだ。そのうえで親会社への配当は支払ったときのレート147円、期首残高は前期末の140円、期末残高は当期末の150円で換算するんだ。
迷いポイント レートがばらばらだと、期首+CF=期末が合わなくなる?
ハルカ
4つのレートを使ったら、どこかで数字が合わなくなりそうです。
先生
その合わない分が「現金及び現金同等物に係る換算差額」1,140なんだ。3区分とは別に表示するよ。中身は、期首残高の分1,000、期中のCFの分200、配当の分▲60に分けられるんだ。
💡 そうだったのか!
在外子会社のCFは、収益・費用の換算に使ったレート(この設例では期中平均)で、資本取引は発生時のレートで換算します。残高とのずれが換算差額で、3区分とは別に表示します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🌏 在外子会社の換算差額」で「⑥ 在外子会社の換算差額」を読み込む
  2. 「当期末の決算時レート」を 150 → 140 にする

👀 換算差額が 1,140 → ▲60 になり、「うち期首残高の分」は 1,000 → 0 になります。前期末と同じレートなので、期首残高の分の差が消えるためです。

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📙 応用 C-4 ラボの図
外貨建ての親子間貸付金:消去しても、P社の為替差損は連結P/Lに残るP社(円で記録)貸付金 外貨 507,500 → 7,000S社(外貨で記録)借入金 外貨 50自国通貨の債務:差損益なし外貨で貸付け(前期)連結:貸付金と借入金を消去(どちらも当期末 140円で換算)消去されずに残る:P社の為替差損 500為替差損益 ▲500 = 外貨 50 ×(140 − 150)。資金は動いていない▶ 原則:間接法で調整する為替差損 500 を加算営業活動CF 800換算差額 ▲500重要性が乏しい場合調整せず、換算差額に含める営業活動CF 300換算差額 0どちらでも現金の増減は 300(営業活動CFと換算差額の分け方だけが変わる)
🧾 間接法の表示と、連結での姿(設例・応用⑨)
(単位:百万円。▲はマイナス:CFの支出、または金額の減少)
間接法(関係する行だけ)原則
調整する
重要性が
乏しい場合
税金等調整前当期純利益(うち為替差損 500)300300
為替差損益(差損は加算、差益は減算)500―(調整しない)
営業活動によるキャッシュ・フロー800300
現金及び現金同等物に係る換算差額▲5000
現金及び現金同等物の増減額300300

※投資活動・財務活動は、この取引では動きません(貸付けは前期に実行済み)。重要性が乏しい場合の換算差額 0 = 外貨の現金の換算差額 ▲500 + 為替差損益の戻し 500。

連結B/S・連結P/Lでの姿(百万円)
項目P社S社(円換算)消去連結
貸付金(P社)/借入金(S社)7,0007,000相殺0
為替差損(P/L)▲50000▲500
S社が持つ外貨の現金(円換算の増減)0▲5000▲500

※S社にとっては自国通貨の借入金なので、為替差損益は生じません。消去してもP社の為替差損には打ち消す相手がないため、連結P/Lに残ります(実務指針 第45項)。

応用 C-4

在外子会社への外貨建て貸付金 ── 消去したあとに残る為替差損益

📍 ラボの場所:応用タブ C-4(設例・応用⑨)
ハルカ
P社がS社に外貨で50貸していて、円高で為替差損500が出ました。貸付金は連結で消えるのに、差損は残るんですか。
先生
図の赤い帯を見て。貸付金と借入金は、どちらも当期末のレートで換算されてぴったり消えるよ。でもS社にとっては自国通貨の借金なので、S社には為替差益が出ないんだ。P社の為替差損500には打ち消す相手がなく、連結P/Lに残るんだよ。
迷いポイント 為替差損で利益が減った分、営業CFも減る?
ハルカ
利益が500減ったなら、営業CFも500減りそうです。
先生
この差損は資金が動かない損失だよ。だから間接法では、税金等調整前当期純利益に500を足し戻すんだ。そうすると営業CFは800のまま。この設例では、S社が持つ外貨の現金の円換算額が減った▲500が、換算差額に出るよ。金額に重要性がなければ、足し戻さずに換算差額に含めることもできるんだ。
ハルカ
差損だけ連結に残るなんて、相手がいなくなった後のシーソーに1人で座っている気分です。
先生
この設例では、S社が持つ外貨の現金の円換算額も500減っているんだよ。そちらがシーソーの向こう側だね。
💡 そうだったのか!
消去した外貨建て貸付金の為替差損益は連結P/Lに残るので、間接法で利益から加減します(実務指針 第45項)。重要性が乏しければ換算差額に含めることもできます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「💱 外貨建て親子間貸付金」で「⑨ 在外子会社への外貨建て貸付金」を読み込む
  2. 「為替差損益の表示」を 重要性が乏しい:換算差額に含める にする

👀 営業活動CFが 800 → 300、換算差額が ▲500 → 0 になります。現金の増減は 300 のままです。

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📙 応用 D-2 ラボの図
注記①:CF計算書の期末残高と、連結B/Sの科目の関係(例)現金及び預金1,000連結B/Sの科目−3か月超の定期預金▲200資金に含めない+有価証券のうちCP50現金同等物に含める=現金及び現金同等物850CF計算書の期末残高B/Sの「現金及び預金」とCF計算書の期末残高は、一致しない場合がある → 注記で橋渡しするこのほか ② 資金の範囲の変更 ③ 連結範囲の変動・事業の譲受け・譲渡 ④ 重要な非資金取引 ⑤ 区分の変更
🧾 注記例(数値は独自)
注記例(会計方針):連結キャッシュ・フロー計算書における資金(現金及び現金同等物)は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
注記例①:現金及び現金同等物の期末残高と連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係(百万円)
現金及び預金1,000
預入期間が3か月を超える定期預金▲200
有価証券勘定に含まれるコマーシャル・ペーパー50
現金及び現金同等物850
注記例④:重要な非資金取引の内容(百万円。設例・応用⑦の数値)
株式の発行による資産の取得450
使用権資産の計上(リース)120

※注記例③(資産・負債の主な内訳)は、応用 B-1(子会社株式の取得)・B-2(売却)・B-8(事業譲受・合併)の表で確認できます。数値はいずれも独自の設例です。

応用 D-2

連結CF計算書の注記 ── 注記例で確認

📍 ラボの場所:応用タブ D-2
ハルカ
CF計算書の期末残高と、B/Sの現金及び預金は、同じ金額ですよね。
先生
図の4つの箱を見て。B/Sの現金及び預金1,000から、満期まで3か月を超える定期預金200を引き、有価証券に入っているコマーシャル・ペーパー50を足すと、CF計算書の期末残高850になるんだ。
迷いポイント 一致しないのは、どこかが間違っているから?
ハルカ
合わない数字を見ると、つい計算ミスを探したくなります。
先生
B/Sの科目と資金の範囲が違うだけなので、間違いではないよ。その橋渡しを注記①の表で示すんだ。ほかに、連結範囲の変動や事業の譲受け・譲渡の資産・負債の内訳、重要な非資金取引なども注記するよ。
💡 そうだったのか!
期末残高とB/S科目の関係は注記の表で橋渡しします。資金の範囲の方針も会計方針として書きます。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結キャッシュ・フロー計算書ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

連結キャッシュ・フロー計算書ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
改正後、均等割は営業活動の外へ?営業活動の中の別の項目。「法人税等の支払額」に含めないだけ応用 A-4
子会社株式の取得代金は全額が支出?子会社の現金を差し引いた純額(520−130=390)応用 B-1
支配が続く追加取得は投資活動?財務活動。関連して生じた費用は営業活動応用 B-4
未達は消去の後で調整?未達の調整 → 相殺消去の順応用 B-5
株式だけの合併はCFに出ない?受け入れた現金は独立表示、株式の交付は注記等で開示応用 B-8
在外子会社のCFは1つのレート?CFは収益・費用と同じレート(本設例は期中平均)、資本取引は発生時。ずれは換算差額応用 C-2
消去した貸付金の為替差損で営業CFが減る?資金は動かないので間接法で加算(重要性なしなら換算差額に含めても可)応用 C-4
期末残高とB/Sの現金預金が違うのは誤り?資金の範囲が違うだけ。注記の表で橋渡し応用 D-2
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。子会社株式の取得は子会社の現金を差し引いた純額、支配が続く中での売買は財務活動。組織再編は現金が動いた部分だけがCFで、消去した外貨建て貸付金の為替差損は間接法で足し戻すんだ。
ハルカ
私、妹にクローゼットの半分をプリンで貸しているんですけど、妹が私の部屋に引っ越してきたら、これは合併ですか。
先生
考え方の練習としては面白いね。妹さんが自分の貯金箱を持ってきたら、それは「合併で受け入れた現金」として区別して見ることになるよ。
ハルカ
じゃあ、プリンの賃料はグループ内の取引になるので、相殺消去されてしまいますね。私の取り分がゼロです。
先生
連結では消えても、個別の楽しみは残るよ。次の設例編では、相殺消去の設例①〜④を1つずつ追っていこうか。

参考資料

企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」/移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」(企業会計基準委員会)/企業会計基準第44号(2026年改正)。ラボの設例の数値は、実務指針の設例と同じ種類の論点を独自の数値で組み立てたものです。株式交換・株式移転・会社分割の表示は、実務指針に個別の定めがないため「実務の例」として紹介しています。
このシリーズの記事:基礎編/設例・相殺消去編(設例・基礎①〜④)/設例・営業CFの作り方編(設例・基礎⑤⑥・応用⑧)/設例・連結範囲の変動と調整編(設例・応用①〜⑤)/設例・外貨編(設例・応用⑥⑨)/設例・非資金取引と組織再編編(設例・応用⑦⑩⑪)
連結決算ラボの関連:資本連結ラボ/在外子会社換算ラボ/連結範囲ラボ/連結決算ラボ(総合ナビ)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。