無料の学習ツール「セグメント情報ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・基礎タブから、報告セグメントを判定する事例(事例A〜C)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
設例・基礎タブの3つの事例(単位:百万円)
| 事例A 10%基準の基本 | 事業6つ → 報告5・その他1 |
| カバー率 | 98.9% |
| 事例B 損失のセグメントがあるとき | 事業5つ → 報告4・その他1 |
| 利益基準の分母 | 損失の合計 1,030 |
| 事例C 75%に届かないとき | 事業8つ → 報告5・その他3 |
| カバー率 | 50.9% → 77.0% |
はじめに
今日の題材 ── 事例A〜C
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ
ハルカ
先生、設例タブの事例は、ステップが7つもあります。全部追うんですか。
先生
今日は、事例ごとに要のステップだけを選んで見ていくよ。事例Aは3つの基準のどれで報告セグメントになるか、事例Bは損失があるときの分母、事例Cは75%に届かないときの追加だね。
ハルカ
3つとも、報告セグメントを決めるまでの話なんですね。
先生
そうだよ。数字は「今日の事例」の表の分だけ覚えておけば大丈夫なんだ。細かい数字は、各行の図に出てくるよ。
ラボの設例・基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
事例A ステップ6
事例A
10%基準の基本 ── 3つの基準のどれで報告セグメントになる?
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例A ステップ6
ハルカ
事例Aの判定表、○がたくさん並んでいて、どこを見ればいいのか迷います。
先生
判定表を、1行ずつ横に読むといいよ。売上高・利益又は損失・資産のどれか1つに○があれば、報告セグメントなんだ。産業機械・電子部品・住宅設備は3つとも○だね。
迷いポイント 物流サービスとソフトウェアは、どの基準で報告セグメントになった?
ハルカ
物流サービスは売上高が8.4%なので、たぶん落選ですよね。
先生
判定表の右の方を見て。物流サービスは資産が13.1%で○なんだ。ソフトウェアは売上高4.0%・資産2.5%だけれど、利益が10.5%で○だよ。どちらも報告セグメントになるんだ。
ハルカ
ソフトウェアは、利益1つで滑り込み合格なんですね。受験生みたいでドキドキします。
先生
滑り込みだから、少し変わると結果も変わるよ。下の実習で確かめてみようか。
💡 そうだったのか!
判定表は1行ずつ横に読みます。3つの基準のどれか1つに○があれば報告セグメントです。事例Aは5つが報告セグメント、保険代理が「その他」です。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションの「① 報告セグメントの判定」で「事例A」を読み込む
- ソフトウェアの「利益又は損失」を 380 → 350 にする
👀 利益の10%ラインも 362.5 → 359.5 に動きますが、350 は届きません。ソフトウェアは「その他」に移り、報告セグメントが 5 → 4 になります(カバー率は 94.8%)。
ラボを開く ▶事例B ステップ3
事例B
損失のセグメントがあるとき ── 利益基準の分母はどれ?
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例B ステップ3
ハルカ
事例Bは、外食とホテルが赤字ですね。赤字の事業は、利益の判定で不利になりそうです。
先生
表の上を見て。利益の合計は920、損失の合計(絶対値)は1,030だよ。大きい方の1,030が分母で、10%ラインは103なんだ。各事業は、利益又は損失の絶対値で比べるよ。
迷いポイント 赤字のホテル(▲720)は、利益基準を満たす?
ハルカ
マイナスの数字は、10%ラインより小さいので満たさないですよね。
先生
絶対値で見るから、ホテルは720で69.9%、外食も310で30.1%。どちらも○なんだ。大きな赤字も、利用者にとっては大事な情報だからね。
💡 そうだったのか!
損失があるときは、利益の合計と損失の合計(絶対値)の大きい方が分母です。各事業は絶対値で比べるので、赤字の事業も報告セグメントになります。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションの「① 報告セグメントの判定」で「事例B」を読み込む
- 旅行の「利益又は損失」を 70 → 120 にする
👀 120 は 10%ライン 103 を超えるので、旅行も報告セグメントになります。報告セグメントが 4 → 5 になり、「その他」はなくなります。
ラボを開く ▶事例C ステップ5
事例C
75%に届かないとき ── どこまで追加する?
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例C ステップ5
ハルカ
事例Cは事業が8つもあるのに、10%基準を満たすのは2つだけなんですね。
先生
図の横棒は、損益計算書の売上高11,400の内訳だよ。10%基準で選んだクラウド基盤と受託開発で50.9%。75%の赤い点線に届かないね。
迷いポイント 75%に届くまで、10%未満の事業をどれでも好きに追加していい?
ハルカ
好きな事業から順番に追加していいなら、推しの教育事業から入れたいです。
先生
基準は追加の順番を決めていないけれど、推しで選ぶのは説明がつかないね。このラボでは学習用に外部顧客への売上高の大きい順に、保守運用・決済・広告配信の3つを追加して77.0%にしているんだ。
ハルカ
教育事業は「その他」なんですね。推しの名前が注記に載るかどうかは、どうなりますか。
先生
「その他」にまとめた事業は、主な事業の名称を開示するよ。人材紹介・教育・データ販売の名前は、注記表の脚注に出るんだ。
💡 そうだったのか!
75%の判定は外部顧客への売上高で行い、届かなければ報告セグメントを追加します。事例Cは3つ追加して50.9% → 77.0%です。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションの「① 報告セグメントの判定」で「事例C」を読み込む
- 保守運用の「資産」を 800 → 1,000 にする
👀 保守運用が資産の10%(970)を超えて量的基準で報告セグメントになり、10%基準の段階で 60.1%。追加は決済・広告配信の 2つになります(報告5つ・77.0%は同じ)。
ラボを開く ▶今日のまとめ ── 設例ごとの結論
| 設例 | 迷いポイント | 答え |
|---|---|---|
| 事例A | 物流サービス・ソフトウェアはどの基準で報告? | 物流は資産13.1%、ソフトウェアは利益10.5%。どれか1つで報告 |
| 事例B | 赤字の事業は利益基準を満たす? | 分母は利益920と損失1,030の大きい方。絶対値で比べるので赤字も○ |
| 事例C | 75%に届かないときは? | 外部売上高で判定し、届くまで追加(このラボは外部売上高の大きい順)。残りは主な事業の名称を開示 |
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。判定表は1行ずつ横に読み、3つの基準のどれか1つで報告セグメントになる。損失があるときは大きい方が分母で、75%に届かなければ外部売上高で追加するんだ。
ハルカ
私、実家のこむぎ(猫)の好物ランキングも3つの基準で判定してみました。量・食いつき・おねだりの回数です。
先生
基準が3つあるのは同じだね。ただ、判定するのはハルカさんではなく、こむぎが毎日どれを選んでいるか、の方かもしれないよ。
ハルカ
つまり、わが家の最高経営意思決定機関は、こむぎだったんですね。
先生
いちばん厳しい経営者かもしれないね。次の設例編では、似た事業をまとめる集約・結合と、継続性を見ていこうか。
参考資料
企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」第12項・第14項・第15項/企業会計基準適用指針第20号(いずれも企業会計基準委員会)。事例の数値は独自のものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・集約・結合・継続性編(事例D〜F)/設例・差異調整と関連情報編(事例G〜H)
