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収益認識ラボ①【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ5ステップ・履行義務・一定の期間か一時点か

収益認識ラボ①【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ5ステップ・履行義務・一定の期間か一時点か

無料の学習ツール「収益認識ラボ①」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・基礎1の数字(単位:千円)
契約の対価(契約時に全額受領)15,000
商品Pの独立販売価格13,000
保守(3年)の独立販売価格3,250
商品Pに配分12,000
保守に配分3,000
当期の売上高13,000
当期末の契約負債2,000
はじめに

今日の題材 ── 商品と3年保守のセット販売

📍 ラボの場所:基礎タブ全体・設例・基礎1
ハルカ
先生、収益認識基準って、ページ数がすごく多くて開く前から疲れてしまうんです。
先生
最初は、この1つの契約だけで考えようか。商品Pと3年間の保守をセットで 15,000 で売って、代金は契約時に全部受け取った会社だよ。表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
ハルカ
15,000 を受け取ったなら、売上も 15,000 ですよね。
先生
今日の最後には、当期の売上高が 13,000 になる理由が分かるよ。残りの 2,000 がどこへ行くのかも、一緒に追いかけていこうか。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 1 ラボの図
顧客との契約から生じる収益→ 収益認識基準(第29号)(第3項本文)金融商品に係る取引→ 金融商品会計基準(第10号)リース→ 第34号(適用前は第13号)保険契約(保険法の定義を満たすもの)同業他社との商品の交換(販売を容易にするためのもの)金融商品の組成等の手数料SPCを活用した不動産の流動化暗号資産・電子記録移転有価証券表示権利等点線:第3項(1)〜(7)で適用除外。契約の一部が該当する場合は、その部分を除いた取引価格に適用(第4項)
基礎 1

収益認識基準の範囲 ── 顧客との契約から生じる収益

📍 ラボの場所:基礎タブ 1
ハルカ
会社に入ってくるお金は、全部この基準で処理するんですか。
先生
図の真ん中の箱のとおり、対象は「顧客との契約から生じる収益」なんだ。点線の箱の取引、たとえばリースや金融商品は、第3項でそれぞれ別の基準に任されているんだ。
迷いポイント 固定資産を売った利益も、収益認識基準?
ハルカ
工場の土地を売ったときの売却益も、顧客に売ったんだから対象ですよね。
先生
「顧客」は、会社の通常の営業活動で生まれた財やサービスを買う相手のことなんだ(第6項)。この例のように自社で使っていた工場用地の売却は、通常の営業活動によるアウトプットの販売ではないから、この基準の「顧客との契約」には当たらないよ。不動産販売が本業の会社が土地を売るなら、話は別なんだ。
💡 そうだったのか!
対象は通常の営業活動で顧客に売る財・サービス。リース・金融商品・保険などは別の基準です。
📝 リース会計ラボ(リースは収益認識基準の範囲外)ラボを見る ▶
📗 基礎 2 ラボの図
① 契約の識別第19〜31項② 履行義務の識別第32〜34項③ 取引価格の算定第47〜64項④ 取引価格の配分第65〜76項⑤ 充足時に収益認識第35〜45項何を、いくつの単位で売ったかいくらで(金額)いつ(時期)基本となる原則(第16項):財・サービスの移転を、権利を得ると見込む対価の額で描写するように収益を認識する
基礎 2

基本となる原則と5つのステップ

📍 ラボの場所:基礎タブ 2
ハルカ
5つのステップ、全部覚えないといけませんか。
先生
図の上の3つの札で覚えると楽だよ。①②が「何を、いくつの単位で売ったか」、③④が「いくらで」、⑤が「いつ」。今日の事例なら、①契約がある、②商品と保守の2つ、③15,000、④12,000 と 3,000 に分ける、⑤商品は引渡時、保守は3年で、という順番なんだ。
迷いポイント 請求書の金額を、そのまま売上にすればいい?
ハルカ
正直に言うと、請求書を見て売上を書いたら、その日の仕事は終わりだと思っていました。
先生
その「終わった」が、いちばん危ないところだよ。請求書は1枚でも、中身が2つの履行義務なら、配分して時期を分けるんだ。
💡 そうだったのか!
5ステップは「何を・いくらで・いつ」を順に決める手順。請求書の単位と、収益の単位は同じとは限りません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(基礎1の数字が入っています)
  2. 右の「保守の独立販売価格」を 3,250 から 6,500 に変える

👀 配分が 商品 12,000/保守 3,000 → 10,000/5,000 に、当期の売上高が 13,000 → 11,667 に、当期末の契約負債が 2,000 → 3,333 に変わります。対価は同じ 15,000 のままです。

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📝 【早見表】収益認識基準・適用指針(論点を項番号で検索)記事を読む ▶
📗 基礎 3 ラボの図
☑ (1) 契約の承認と義務の履行の約束(書面・口頭・取引慣行)☑ (2) 移転する財・サービスに関する権利を識別できる☑ (3) 支払条件を識別できる☑ (4) 経済的実質がある(将来CFが変動すると見込まれる)☑ (5) 対価を回収する可能性が高い(支払意思と能力)すべて満たす→ 基準を適用(第19項)満たさない受け取った対価は負債(第25・26項の要件で収益)
基礎 3

ステップ① 契約の識別 ── 5つの要件

📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
「契約を識別する」って、契約書があればそれで終わりですよね。
先生
図の5つの要件を全部満たせば基準を適用するんだ(第19項)。契約は口頭や取引慣行でも成立するから、契約書の有無より、この5つを見るよ。
迷いポイント 回収が怪しい顧客への販売は、収益ゼロ?
ハルカ
(5)の回収可能性が怪しいなら、売上は 0 にするしかないですよね。
先生
そうとは限らないんだ。適用指針の設例2を基にしたラボの独自数値では、2,000 の契約で一部の値引きを受け入れる方針だったから、対価を変動対価として 700 と見積ったんだ。その 700 の回収可能性が高ければ、700 で収益を認識するよ。
💡 そうだったのか!
回収可能性は、価格の譲歩を見込んだ後の金額で判定します。全部か0かの二択ではありません。
📗 基礎 4 ラボの図
契約A(装置の販売)契約B(据付の請負)同一顧客・ほぼ同時に締結いずれかに該当すれば結合(第27項)(1) 同一の商業的目的で一括交渉(2) 一方の対価が他方の価格・履行に影響(3) 合わせると単一の履行義務になる単一の契約
基礎 4

契約の結合

📍 ラボの場所:基礎タブ 4
ハルカ
装置の販売と据付を、別々の契約書にしていたら、別々の契約ですよね。
先生
図の真ん中の3つのどれかに当たれば、結合して1つの契約とみなすんだ(第27項)。同じ顧客とほぼ同時に結んだ契約で、一括で値段を交渉したり、片方の値段がもう片方に左右されたりする場合だよ。
迷いポイント 契約書の枚数で、契約の数が決まる?
ハルカ
契約書が2枚なら、2つとして数えればいいと思っていました。
先生
見るのは書類の枚数ではなく、取引の実質なんだ。結合したら、そのあと履行義務の識別をやり直すよ。
💡 そうだったのか!
契約書が分かれていても、実質が一体なら1つの契約。結合してから履行義務を数え直します。
📗 基礎 5 ラボの図
契約変更(範囲・価格の変更)別個の財・サービスの追加で範囲が拡大し、かつ独立販売価格相当だけ価格が増額される?(第30項)はいⒶ 独立した契約として処理(元の契約はそのまま)いいえ残りの財・サービスは、移転済みのものと別個か?(第31項)別個Ⓑ 解約+新契約と仮定:将来に向かって処理 (1)別個でないⒸ 既存契約の一部:累積的な影響で修正 (2)両方を含む場合は、それぞれⒷ・Ⓒで処理(第31項(3))。未承認の変更は承認まで既存契約に適用(第28項)
基礎 5

契約変更 ── 3つの処理

📍 ラボの場所:基礎タブ 5
ハルカ
途中で追加の注文が入ったら、新しい契約として別に処理すればいいですか。
先生
図の一番上の問いから始めるよ。追加が別個の財で、しかも独立販売価格どおりに値段が上がったなら、Ⓐ独立した契約なんだ。そうでなければ、残りが別個かどうかでⒷかⒸに分かれるよ。
迷いポイント 値引き価格の追加注文も、独立した契約?
ハルカ
単価 80 の製品を、追加分だけ 70 で受けました。追加は追加で、70 で売上にすればいいですよね。
先生
70 が独立販売価格の 80 を反映していない(契約の状況に応じた適切な調整とも言えない)なら、Ⓐには当たらないんだ。残り 40 個と追加 30 個が別個ならⒷで、残りと追加に単価をならして配分するよ。単価は 75.71 になるんだ。
ハルカ
値引きしたのは追加分だけなのに、残りの製品まで単価が下がるんですね。連帯責任みたいです。
先生
責任を取るのではなく、残りと追加を1つの新しい契約と見て、対価をならすんだよ。
💡 そうだったのか!
追加注文の価格が独立販売価格(契約の状況に応じた適切な調整を含む)を反映していれば別の契約、反映していなければ残りと合わせて単価をならします(第30・31項)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「契約変更」のシミュレーションを開く
  2. 右の「追加分の契約単価」を 70 から 80 に変える

👀 判定が Ⓑ 第31項(1) → Ⓐ 第30項 に変わり、残り40個は 80 のまま。変更後に認識する収益は 5,300 → 5,600 になります。

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📗 基礎 6 ラボの図
約束した財・サービス第34項(1):別個となる可能性単独で/容易に利用できる資源と組み合わせて便益を享受できる○第34項(2):契約の観点で別個他の約束と区分して識別できる(適用指針第6項の3要因で判断)別個の履行義務区分して識別できないことを示す要因(適用指針第6項)(1) 結合後のアウトプットに統合する重要なサービス(2) 他の財・サービスを著しく修正・顧客仕様にする(3) 相互依存性・相互関連性が高い×なら他の約束と結合(適用指針第7項)
基礎 6

ステップ② 履行義務の識別 ── 別個の判定

📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
履行義務の数は、どうやって数えるんですか。
先生
図の2つの関門を順に通すんだ。第34項(1)は「それ単独で、または手に入りやすい他のものと組み合わせて使えるか」、(2)は「契約の中で、他の約束と区分できるか」。両方○なら別個の履行義務だよ。
迷いポイント 単独で使えるなら、必ず別個?
ハルカ
単独で使えるなら、それだけで1つの履行義務ですよね。
先生
(1)が○でも、(2)で×になることがあるんだ。建設のように、設計や施工を1つの建物に統合するサービスなら、全部で1つの履行義務だよ(設例5-1)。設例6-3の汎用の機械と単純な据付なら、それぞれ別個になるんだ。
ハルカ
私のモンステラの棚も、組み立てサービス付きでした。組み立てのときにネジが2本余ったんですけど、あれも別個の履行義務でしょうか。
先生
余ったネジは約束ではないから、そっと引き出しにしまっておこうか。
💡 そうだったのか!
別個かどうかは2段階。単独で使えても、統合や大幅な修正があれば他の約束と結合します。
📗 基礎 7 ラボの図
(1) 履行するにつれて顧客が便益を享受例:清掃・保守・輸送(他社がやり直し不要)いずれか○(2) 履行で資産が生じ/増価し、顧客がそれを支配例:顧客の土地での建設(3) 別の用途に転用できない資産 +完了部分の対価を収受する強制力のある権利一定の期間にわたり充足(第38項)→ 進捗度に応じて収益を認識(第41項)どれも満たさない → 一時点で充足(第39項):支配が移転した時に収益認識指標:対価の請求権・法的所有権・物理的占有・リスクと経済価値・検収(第40項)
基礎 7

ステップ⑤ 一定の期間か、一時点か

📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
保守サービスは3年間で少しずつ、商品は引渡しの日に、と分けていましたよね。どうやって決まるんですか。
先生
図の3つの要件のどれか1つを満たせば「一定の期間」、どれも満たさなければ「一時点」なんだ(第38・39項)。保守は(1)の「履行するにつれて顧客が便益を受ける」に当たるよ。
迷いポイント 成果物を最後に渡す契約は、いつも一時点?
ハルカ
調査レポートのように、最後に1回渡す仕事なら一時点ですよね。
先生
(3)の要件を見るんだ。その顧客専用でほかに転用できず、途中で解約されても合理的な利益を含めて完了部分の対価を受け取れる権利があれば、一定の期間になるよ(設例7)。設例8-1のように手付金を没収できるだけの分譲住戸は、この権利がないから一時点なんだ。
💡 そうだったのか!
最後に渡すかどうかではなく、3つの要件で決めます。(3)は「転用できない」と「完了部分の対価の権利」の両方が必要です。
📗 基礎 8 ラボの図
💴対価を収受する現在の権利📜顧客が法的所有権を保有📦物理的占有の移転⚖️リスクと経済価値の移転✅顧客による検収支配=使用を指図し、残りの便益のほとんどすべてを享受する能力(第37項)。指標は総合的に考慮(第40項・適用指針第14項)所有権の留保が代金保全のためだけなら支配の移転を妨げない/委託販売・請求済未出荷・買戻しは占有と支配がずれる
基礎 8

支配の移転(一時点の場合)

📍 ラボの場所:基礎タブ 8
ハルカ
一時点の場合は、いつ売上にするんですか。出荷した日ですか。
先生
顧客が支配を獲得した時なんだ。第40項の5つの指標、請求権・法的所有権・物理的占有・リスクと経済価値・検収を、図のように並べて総合的に判断するよ。
迷いポイント 所有権が売手に残っていたら、まだ売上にできない?
ハルカ
代金を全部もらうまで所有権を売手に残す契約なら、まだ売上にできませんよね。
先生
代金を回収するためだけに所有権を残しているなら、支配の移転を妨げないんだ(適用指針第14項(2))。使っているのは顧客だからね。
ハルカ
私のスマホも分割払いがまだ残っています。所有権がどこにあっても、毎日つい見てしまうのは私です。
先生
見る時間はほどほどにね。支配の判断では、誰が使い方を決めて、便益を受けているかを見るんだよ。
💡 そうだったのか!
基準は「支配」。所有権や占有は手がかりの1つで、代金保全のための所有権留保は支配の移転を妨げません。
📝 売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】記事を読む ▶
📗 基礎 9 ラボの図
アウトプット法(適用指針第17〜19項)顧客にとっての価値を直接測る例:完了部分の調査・マイルストーン・引渡単位数・経過期間インプット法(適用指針第20〜22項)投入した資源の割合で測る例:発生原価・労働時間・機械時間※ 履行を描写しないコストは除く合理的に見積れないが、発生費用の回収は見込まれる → 原価回収基準(第45項)発生費用と同額の収益を認識(利益ゼロ)→ 見積れるようになったら進捗度へ進捗度は各決算日に見直し、変更は会計上の見積りの変更(第43項)
基礎 9

進捗度の見積り

📍 ラボの場所:基礎タブ 9
ハルカ
一定の期間の収益は、どうやって何%進んだかを決めるんですか。
先生
図のとおり、成果で測るアウトプット法と、投入したコストなどで測るインプット法があるよ。工事なら、発生した原価÷見積原価の総額で測ることが多いんだ。
迷いポイント 買った設備のコストも、全部進捗に入れていい?
ハルカ
空調設備を 2,000 で買って現場に置いたら、その 2,000 も進んだ分に入れていいですよね。
先生
据え付ける前に顧客が支配を得る調達品は、一定の要件を満たせば進捗度から除いて、設備のコストと同じ額の収益を認識するんだ(適用指針第22項(2)・設例9)。入れてしまうと、設備を買っただけで進捗度が跳ね上がってしまうよ。
💡 そうだったのか!
インプット法は、履行を忠実に描写しないコストを除いて測ります。未据付の調達品はその代表例です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「進捗度」のシミュレーションを開く(設例・応用9の数字)
  2. 右の「設備コストを進捗度から」を「除外する」から 「除外しない」 に変える

👀 進捗度が 30% → 50%、収益が 3,800 → 4,000、利益が 300 → 500 に。据え付けていないのに、利益が先に出てしまいます。

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📗 基礎 10 ラボの図
時間の流れ →先に入金(履行はまだ)→ 契約負債先に履行(請求権は条件付き)→ 契約資産履行済・無条件の請求権(時の経過のみ)→ 顧客との契約から生じた債権条件が外れたら債権へ振替定義:第10〜12項/計上:第77〜79項(詳しくは④工事契約・表示・開示編)
契約時(商品の引渡し・対価を全額受領)
借方金額貸方金額
現金預金15,000売上高(商品)12,000
契約負債3,000
当期末(サービス提供分)
借方金額貸方金額
契約負債1,000売上高(サービス)1,000
基礎 10

契約資産・契約負債・債権(入口)

📍 ラボの場所:基礎タブ 10・設例・基礎1 ステップ7
ハルカ
最初の事例の、残りの 2,000 はどこへ行ったんですか。
先生
仕訳を見てごらん。契約時に 15,000 を受け取って、商品の 12,000 は売上高、保守の 3,000 は契約負債にしているんだ。期末までに1年分の 1,000 を提供したから、契約負債から売上高へ振り替えて、残りが 2,000 だよ。
迷いポイント 前受けした代金は、受け取った年の売上?
ハルカ
お金はもう手元にあるんだから、15,000 全部を今年の売上にしてもいい気がします。
先生
売上になるのは、財やサービスを顧客に移転した分だけなんだ。まだ提供していない2年分の保守は、提供する義務として負債に残すよ(第78項)。逆に、先に提供してまだ代金を受け取っていないなら、請求権の条件を確かめるんだ。第10・12項のとおり、時の経過以外の条件が残っていれば契約資産、すでに無条件の請求権なら顧客との契約から生じた債権になるよ。
💡 そうだったのか!
入金が先なら契約負債。履行が先なら、請求権が条件付きなら契約資産、無条件なら債権。重要な金融要素がない前提では、入金の時期で収益の額や時期は決まりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(基礎1の数字)
  2. 右の「対価の受取り」を 「契約終了時に一括請求(後払・重要な金融要素なしと仮定)」 に変える

👀 当期の売上高は 13,000 のまま、B/Sの科目が 契約負債 2,000 → 契約資産 13,000 に入れ替わります。残りの保守を提供することが請求の条件なので、無条件の債権ではなく契約資産です。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて収益認識ラボ①の画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

収益認識ラボ①を開く ▶
📝 続けて読む:収益認識ラボ【応用編】(契約期間・原価回収基準・代替的な取扱い)記事を読む ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
工場用地の売却益も収益認識基準?対象は通常の営業活動で顧客に売る財・サービス。自社で使っていた土地の売却は対象外(第3・6項)基礎1
請求書の金額=売上高?履行義務に配分し、時期を分ける(第17項)基礎2
回収が怪しいと収益ゼロ?価格の譲歩を見込んだ額で判定(第19項(5)・設例2)基礎3
契約書の枚数=契約の数?実質が一体なら結合(第27項)基礎4
値引きの追加注文も別契約?独立販売価格どおりでなければ第31項(設例3)基礎5
単独で使える=別個?第34項(2)で統合・修正があれば結合(設例5・6)基礎6
最後に渡す成果物は一時点?転用不能+完了部分の対価の権利があれば一定の期間(設例7・8)基礎7
所有権が残っていれば売上にできない?代金保全のための留保なら支配は移転(適用指針第14項)基礎8
調達した設備も進捗度に入れる?要件を満たせば除外し、同額の収益(適用指針第22項)基礎9
前受けした代金は今年の売上?後払いなら契約資産?未提供分は契約負債(第78項)。履行済みは、請求権が条件付きなら契約資産、無条件なら債権(第10・12項)基礎10
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。収益は「何を・いくらで・いつ」の順に決める。入金の時期と売上の時期は別物で、そのずれが契約負債・契約資産・債権として表れる。この2つを覚えておけば十分なんだ。
ハルカ
パン屋さんのスタンプカードを思い出しました。10個たまるとクロワッサンが1個もらえるんです。あれも5ステップで考えられそうです。
先生
いいところに気づいたね。スタンプは「追加の財を取得するオプション」として、③特定の取引編で扱う論点なんだ。ただ、個人のパン代に会計基準は要らないから、あくまで考え方の練習としてね。
ハルカ
では練習として、スタンプ9個のまま3か月寝かせている私のカードは、どう処理すればいいでしょう。
先生
その話は、③編の「非行使部分」まで大事に取っておこうか。次の応用編では、契約期間や原価回収基準など、実務で迷う論点を見ていくよ。

参考資料

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(2024年9月13日最終改正)、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(2025年10月16日までの修正を反映)と設例。基準確認日:2026年9月29日。原文はASBJ(第29号)・ASBJ(適用指針第30号)で公開されています。

シリーズ:収益認識ラボ【応用編】/【早見表】収益認識基準・適用指針(論点を項番号で検索)/売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】 / 設例編:5ステップと契約変更編(設例1〜4)・履行義務の識別編(設例5・6)・一定の期間と進捗度編(設例7〜9)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。