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税効果会計ラボ【設例・入門と基本の計算編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎1・2・4 負担率・税率変更・一時差異等加減算前課税所得

税効果会計ラボ【設例・入門と基本の計算編】

無料の学習ツール「税効果会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・基礎タブから、入門と基本の計算の設例(設例・基礎1・2・4)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例・基礎1 ラボの図
税効果会計なし税引前当期純利益2,000法人税等▲705当期純利益1,295税金 705 ÷ 利益 2,000 = 35.3%税効果会計あり税引前当期純利益2,000法人税等▲705法人税等調整額(税金を減らす)+90当期純利益1,385税金費用 615 ÷ 利益 2,000 = 30.8%※「+」は利益への影響。損益計算書では「法人税等調整額 △90」と表示(税金費用のマイナス)
はじめに

設例・基礎1 入門 ── 税効果会計の有無で比べる

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「入門:税効果会計の有無で比べる」ステップ2
ハルカ
先生、設例を1つずつ見ていきたいです。最初は入門の設例ですね。
先生
E社は税引前当期純利益 2,000。翌期に損金になる賞与引当金 300 と、損金にならない交際費 50 があるんだ。課税所得は 2,000+300+50=2,350、法人税等はその30%で 705 だよ。
ハルカ
705 ÷ 2,000 で 35.3%。基礎編で見た「多すぎるように見える」状態ですね。
先生
そう、図の上の段がそれなんだ。今日はこの入門の設例、2期間の基本の計算、一時差異等加減算前課税所得の順に、ステップを追っていこうか。
設例・基礎タブの入門の設例を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎1 ラボの図
期首期末繰延税金資産 0繰延税金資産 90増加 90法人税等調整額(貸方)90→ 税金費用を減らす
🧾 仕訳で確認
当期の法人税等
借方金額貸方金額
法人税等705未払法人税等705
将来減算一時差異 300 × 30%
借方金額貸方金額
繰延税金資産90法人税等調整額90
法人税等
705
法人税等調整額
▲90
税金費用
615
負担率
30.75%

負担率 30.75% と 30% の差 0.75% は、交際費 50 × 30% = 15 の分(15 ÷ 2,000)。税率差異の注記では「交際費等永久に損金に算入されない項目」として説明されます。

設例・基礎1

繰延税金資産 90 と負担率 30.75%

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「入門」ステップ4〜5
ハルカ
賞与引当金と交際費は、どちらも税効果の対象ですか。
先生
賞与引当金 300 は翌期に損金になるから将来減算一時差異で、300×30%=90 を繰延税金資産にするよ。交際費 50 は将来も損金にならない永久差異だから、対象外なんだ。
迷いポイント 税効果会計をすれば、負担率はぴったり30%になる?
ハルカ
税効果会計をしたのに、負担率が 30.75% なのはなぜですか。計算を間違えたのかと思いました。
先生
間違いではないのだよ。税金費用は 705-90=615、負担率は 615 ÷ 2,000=30.75%。差の0.75%は、交際費 50×30%=15 を 2,000 で割った分なんだ。税率差異の注記では「交際費等永久に損金に算入されない項目」として説明されるよ。
💡 そうだったのか!
税効果会計で打ち消せるのは一時差異の分だけ。永久差異の分は、負担率と法定実効税率の差として残ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(入門の設例の数字が入っています)
  2. 右の「翌期に解消」を 300 から 600 に変える

👀 繰延税金資産は 90 → 180 に増えますが、税金費用は 615 のまま、負担率も 30.8% のままです。一時差異がいくら増えても、税効果で打ち消されます。

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📝 税負担率が法定実効税率より低いのはなぜ?上場2,689社を独自分析記事を読む ▶
📝 税率差異分析(タックスプルーフ)のやり方|上場2,186社の頻出項目データ記事を読む ▶
📘 設例・基礎2 ラボの図
項目区分一時差異 期首期末繰延税金 期首期末増減
貸倒引当金繰入限度超過額将来減算07000210210
賞与引当金将来減算05200156156
棚卸資産評価損将来減算03500105105
退職給付引当金将来減算01,6000480480
未払事業税将来減算028008484
土地圧縮積立金(積立金方式)将来加算09000270270
交際費(損金不算入)永久差異―――――
🧾 仕訳で確認(X1期末)
将来減算一時差異 3,450 × 30%
借方金額貸方金額
繰延税金資産1,035法人税等調整額1,035
将来加算一時差異 900 × 30%
借方金額貸方金額
法人税等調整額270繰延税金負債270
剰余金の処分:圧縮額 900 - 繰延税金負債 270
借方金額貸方金額
繰越利益剰余金630土地圧縮積立金630
設例・基礎2 ①

X1期 ── 項目ごとに仕分けて税率を掛ける

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「基本:項目別の一時差異と税率変更」ステップ3
ハルカ
A社は一時差異の項目が6つもあります。どう整理すればいいですか。
先生
表のとおり、項目ごとに将来減算か将来加算かを決めて、期末の差異に30%を掛けるんだ。将来減算の合計 3,450 から繰延税金資産 1,035、土地の圧縮積立金 900 から繰延税金負債 270 が出るよ。交際費は永久差異だから計算しないんだ。
迷いポイント 圧縮積立金は、圧縮額の 900 をそのまま積み立てる?
ハルカ
圧縮積立金は、圧縮額の 900 をそのまま積み立てるんですよね。
先生
積立金は、圧縮額から繰延税金負債を引いた額なんだ。900-270=630 を繰越利益剰余金から積み立てるよ。仕訳の3つ目がそれだね。X1期の負担率は 30.68% で、30%を上回る分は交際費 180×30%=54 の影響なんだ。
ハルカ
6項目とも30%を掛けるだけ…。洗濯物みたいに、全部まとめて洗濯機に放り込みたいです。
先生
まとめて回すのはいいけれど、色物は分けてね。圧縮積立金だけは、繰延税金資産ではなく繰延税金負債になるんだ。
💡 そうだったのか!
項目ごとに将来減算・将来加算・永久を仕分けて税率を掛けます。圧縮積立金は「圧縮額-繰延税金負債」を積み立てます。
📝 税効果注記データベース(上場会社の繰延税金資産内訳・評価性引当額・税率差異・繰越欠損金)データを見る ▶
📘 設例・基礎2 ラボの図
項目区分一時差異 期首期末繰延税金 期首期末増減
貸倒引当金繰入限度超過額将来減算7001,10021030898
賞与引当金将来減算520460156129▲27
棚卸資産評価損将来減算35001050▲105
退職給付引当金将来減算1,6002,300480644164
未払事業税将来減算2802408467▲17
土地圧縮積立金(積立金方式)将来加算900900270252▲18
交際費(損金不算入)永久差異―――――

X2期末に残っている一時差異はX3期以降に解消するので、改正後の28%で計算します(第二 二2、注解(注6))。

棚卸資産は処分したので評価損の差異は解消し、繰延税金資産 105 を取り崩します。圧縮積立金は残高が同じでも、税率が下がったので繰延税金負債が 18 減ります。

🧾 仕訳で確認(X2期末)
繰延税金資産の増加(期首 1,035 → 期末 1,148)
借方金額貸方金額
繰延税金資産113法人税等調整額113
税率変更による繰延税金負債の減少
借方金額貸方金額
繰延税金負債18法人税等調整額18
圧縮積立金を繰延税金負債の減少額だけ積み増す
借方金額貸方金額
繰越利益剰余金18土地圧縮積立金18
設例・基礎2 ②

X2期 ── 税率が28%に下がった年

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「基本」ステップ5〜6
ハルカ
X2期中に税法が改正されて、X3期以降に解消する分は28%になりました。どこを計算し直すんですか。
先生
X2期末に残っている差異はX3期以降に解消するから、全部28%で計算するんだ。表のとおり、繰延税金資産は期末 1,148、繰延税金負債は 270 から 252 に18減るよ。棚卸資産は処分したから、評価損の繰延税金資産 105 は取り崩しだね。
迷いポイント 税率が下がったら、税金費用も下がる?
ハルカ
税率が下がったなら、X2期の税金費用も下がりますよね。
先生
それが、そうではないのだよ。期首から残っている差異の繰延税金資産(純額)が新しい税率で目減りして、その分だけ税金費用が増えるんだ。X2期の税金費用は 2,950、負担率は 31.05% になるよ。圧縮積立金も、繰延税金負債が減った 18 だけ積み増すんだ。
ハルカ
税率が下がったのに税金費用が増える…。セールで安くなったのに、貯めていたポイントが減って損した気分です。
先生
まさにそれだよ。前に貯めた繰延税金資産というポイントが、新しい税率で目減りするんだ。
💡 そうだったのか!
税率変更の年は期末残高を新しい税率で計算し直します。損益を通じる繰延税金資産の純額が大きい会社は、税率が下がると税金費用が増えます(ほかの条件が同じ場合)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「税率変更」のシミュレーションを開く(X2期末の残高・30%→28%)
  2. 右の「改正後の法定実効税率(%)」を 28 から 29 に変える

👀 繰延税金資産の修正 ▲82 → ▲41、繰延税金負債の修正 ▲18 → ▲9、法人税等調整額は借方 64 → 借方 32。下げ幅が半分になると、影響も半分です。

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📘 設例・基礎4 ラボの図
課税所得の見積額 605 + X1期末の将来減算一時差異のX2期の解消(600+15) = 1,220

X2期末に新しく生じる賞与引当金 520 は「X1期末に存在する一時差異」ではないので、戻しません。当期末に存在する差異だけを除くのがポイントです(第3項(9))。

年度一時差異等加減算前課税所得X1期末の将来減算の解消差引
X2期1,220615605
X3期69015675

どちらの年も所得の方が大きいので、X1期末の将来減算一時差異 630 はすべて吸収できます(第11項(5))。この「所得の見積り」と「解消額」の突き合わせが回収可能性の判断の中身です。

設例・基礎4

一時差異等加減算前課税所得を出す

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「一時差異等加減算前課税所得の算定」ステップ3・5
ハルカ
C社のX2期の課税所得の見積りは 605 です。これで回収可能性を判断すればいいですか。
先生
突き合わせるのは一時差異等加減算前課税所得なんだ。605 に、X1期末の将来減算一時差異のうちX2期に解消する 600+15 を足し戻して 1,220 になるよ。X3期は 675+15=690 だね。
迷いポイント X2期末に新しく生じる賞与引当金 520 も戻す?
ハルカ
X2期に繰り入れる賞与引当金 520 も一時差異なので、同じように戻すんですよね。
先生
520 はX1期末に存在する差異ではないから、戻さないんだ。除くのは当期末に存在する差異の解消分だけだよ。表のとおり、X2期は 1,220 に対して解消 615、X3期は 690 に対して解消 15 で、どちらも吸収できるから X1期末の 630 は全額回収できるんだ。
ハルカ
今ある差異だけ戻して、これから生まれる差異は戻さない…。来年の誕生日プレゼントを、今年のお小遣いの計算に入れない、みたいなことですね。
先生
その感覚で合っているよ。数えるのは、X1期末に存在する差異だけなんだ。
💡 そうだったのか!
一時差異等加減算前課税所得は、課税所得の見積りに当期末に存在する差異の解消分だけを足し戻した数字です。
設例・基礎タブの「一時差異等加減算前課税所得の算定」を開くラボで開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて税効果会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

税効果会計ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
基礎1 入門税効果会計で負担率はぴったり30%?永久差異(交際費 50)の分だけ残る(30.75%)
基礎2 X1期圧縮積立金は圧縮額を全額積み立てる?圧縮額-繰延税金負債(900-270=630)
基礎2 X2期税率が下がれば税金費用も下がる?期首からの繰延税金資産が目減りし、税金費用は増える(31.05%)
基礎4X2期末に生じる差異も戻す?戻さない。当期末に存在する差異の解消分だけ(1,220・690)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。税効果会計で打ち消せるのは一時差異の分だけで、永久差異は負担率に残る。税率が変わった年は期末残高を計算し直す。回収可能性は一時差異等加減算前課税所得と突き合わせるんだ。
ハルカ
交際費で負担率が上がる…。私の今月の交際費は、ほとんど妹へのプリン代です。クローゼットの家賃のお返しに、私からも買ってしまって。
先生
家賃をもらって、同じプリンで返しているわけだね。考え方の練習としては、差し引きゼロに近い取引かな。
ハルカ
でも、私が買ったプリンは妹がその場で食べるので、将来も戻ってきません。永久差異として処理します。
先生
戻らないと分かっているなら、見積りは正確だね。次の積立金と評価差額編では、圧縮積立金とその他有価証券を見ていこうか。

参考資料

企業会計審議会「税効果会計に係る会計基準」/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(設例1)/企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(設例1)(いずれも企業会計基準委員会ほか)。ラボの設例の数値は、原典の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
サイト内の関連:税効果注記データベース/税率差異分析のやり方/税負担率が法定実効税率より低いのはなぜ?/早見表:適用指針第28号
動画で聞く:増税で利益が増える?税効果会計を5つのステップで(YouTube・14分)
動画で聞く:監査を納得させる税効果の回収可能性(YouTube・21分)
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・積立金と評価差額編(基礎3・5/応用3・8)/設例・回収可能性編(基礎6/応用1・2・4)/設例・特殊論点編(応用5〜7)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。