MENU

リース会計ラボ【部長回①】|店舗80件の新リース対応、経理8人でどう進める?大野部長の対応計画と役割分担表

リース会計ラボ【部長回①】|店舗80件の新リース対応、経理8人でどう進める?大野部長の対応計画と役割分担表
経理財務部の記録2026年10月会社の出来事:新リース対応が始まる部長回①次:ハルカ回①「店舗契約の実地判断」(近日)
いつから
2027年4月1日以後開始する事業年度から強制適用3月決算なら2028年3月期から。借手はオペレーティング・リースも原則オンバランス。店舗を借りて商売をする会社ほど影響が大きい
舞台
架空の製造小売(グロース上場・3月決算・子会社3社)店舗68・賃貸借契約80件・経理財務部8人。着手が10月にずれ込んだ経理財務部長・大野の話
この記事で
決めること
誰に・何を・いつまでに体制・期限・Excelかシステムか・AIに任せる範囲。対応計画テンプレート(Excel)付き
扱わないこと
会計処理そのものリース会計ラボとハルカの会話記事8本に任せます
この回
主人公大野部長登場人物大野部長・先生・ハルカ会社の出来事2026年10月 新リース対応が始まる所属大野部長の判断ノート No.1続きハルカ回①「店舗契約の実地判断」(近日)(担当者の席から)

登場人物は学習用のキャラクターで、解説内容は公認会計士・税理士が監修しています。製品名・サービス名は本文に出てきません(選び方は末尾の選定ガイドへ)。

📙 部長回① ペースの計算
部長が自分で読むと3日で 8件→80件で 30日2026年10月の部長のカレンダー10中間11中間12中間13中間14中間15中間16中間17中間18中間19中間20中間21中間22中間23中間24中間25中間26契約27契約28契約29契約30契約31契約赤=第2四半期決算(短信・レビュー対応)。契約を読める日は月末の6日だけ。30日分を部長が一人で抱えると、決算と資金繰りが止まる。
はじめに

3日で8件。80件なら30日

2026年10月中旬。第2四半期決算の数字を固めている机の端に、来期から始まる新リース基準の契約一覧がある。80件。

大野部長は決算の合間に、自分で1件目から読み始めた。3日で8件。80件なら30日分。その30日を部長が一人で抱えれば、決算と資金繰りという本来の仕事が止まる。

本当は春に始めているはずだった。「中間が終わってから」と言っているうちに、10月になっていた。

この記事でわかること

  • 新リース対応で時間がかかるのは計算ではなく、契約を集めること・リース期間を判断すること・翌期も回る仕組みにすること。10月着手なら試算・監査法人との事前協議・取締役会への説明は年内に置く
  • 「Excelか専用システムか」は契約件数では決まらない。6要素で見る
  • AIは契約書からの抽出には使えるが、「延長が合理的に確実か」は人が判断する。未承認のまま外部に入れたら、その場で止めて確認する
📙 部長回① 7工程の地図
10月11月12月1月2月3月4月一般的な目安春〜夏に 1〜4 を終える← 本来はここまでに影響額が出ている1 収集と洗い出し店舗開発部・物流子会社2 判断基準書部長・10日3 識別と期間ハルカ・11月末4 割引率・試算財務・12/105 監査法人協議12月中旬6 取締役会12月下旬7 仕組み化・期首残高1〜3月年内に 4〜6 まで本番適用2027/4/1〜黄色=判断がばらつきやすい工程。1〜3月は「決めたことを仕組みに落とす」時間に取っておく。
①

結論 ── 時間がかかるのは計算ではない

年内に、試算・監査法人協議・取締役会まで10月着手はすでに遅い。来期予算は年明けの取締役会で決まり、財務制限条項の確認は期が変わる前に要る。1〜3月は仕組み化と期首残高に使う。
判断は「基準書→80件に当てはめ」、収集は店舗開発部と1件ずつ考えると店舗ごとにばらつく。契約書に書いていないもの(造作・口約束・建設協力金)と、賃貸借という名前ではない契約(物流委託・設備利用・保守)に含まれるリースは、経理だけでは見つからない。
Excelか専用システムかは6要素、AIは「抽出まで」件数では決まらない。契約の複雑さ・入力する組織の数・内部統制の証跡・既存システムとの連携・翌期以降の維持・費用対効果。AIは期間・賃料の抽出に使い、判断は人。情報管理の確認が先。

7工程の対応計画表・役割分担表・判断シートは④実務のまとめに。Excelテンプレートも同じ場所からダウンロードできます。

②

現場で起きたこと ── 任せて間違っていたら、結局自分が直す

3日で8件進めた間に、子会社からの月次の回収が遅れ、財務担当から「部長、資金繰り表の確認がまだです」と声がかかった。部下に任せる案は頭にある。だが口から出るのは「任せて間違っていたら、結局自分が直す」だった。

ハルカは先月、リース会計ラボの会話記事8本を終えたばかりだ。部長はそれを知っている。

📙 ③-1 5つの選択肢
a 部長が全件穴: 部長しか分からない台帳b 担当に全件穴: 判断がばらつくc 基準書→担当が当てはめ→部長は例外+抜き取り→ 判断が揃う・残るd 外部に委託穴: 判断の理由が社内に残らないe 専用システムを入れながら穴: 要件が先にないと振り回される先生は並べるだけ。選ぶのは部長。
③

問い1 80件を、誰に何か月でやらせるか

先生の事務所。中間決算の帰りに、部長が寄った。
大野部長
お疲れさまです。少し相談させてください。新リースの契約が80件あります。3日で8件。80件で30日分の仕事を自分で抱えたままだと、決算と資金繰りが止まってしまいます。
先生
お疲れさまです、大野さん。中間の最中によく来ましたね。案は持ってきているんでしょう?
大野部長
3つ考えてきました。自分が全件やる。担当に全件任せる。外部に委託する。
先生
聞く前に、一つだけ正直に言いますね。10月に着手するのは、やはり遅いです。
大野部長
……分かっています。来期の予算は、年明けの取締役会で決まります。
先生
ええ。
大野部長
財務制限条項に触れるかどうかは、期が変わる前に銀行に話しておかないと手が打てません。
だから試算と取締役会は年内に。それでも遅いくらいだと思っています。
先生
そこまで見えているなら、私から足すのは一つだけです。3月期の決算では、未適用の会計基準の影響を注記で聞かれますよ。
大野部長
影響額を書かないといけない、ということでしょうか。
先生
注記のルールとしては、合理的に見積もれるなら数字。見積もれないなら、定性的な記述や「評価中」でも構いません。
大野部長
では、年内に数字がなくても、注記はできるんですね。
先生
できます。ただ、適用の前の期の決算で「評価中」のままだと、監査法人からも投資家からも、準備が遅れていると見られます。
先生
年内に数字を持ちたいというのは、注記の要件ではなくて、大野さんの経営判断ですね。
大野部長
はい。経営判断として、年内にします。それで、3つの案はどう見えますか。
先生
率直に言うと、3つとも穴がありますね。
大野部長
ぜひ聞かせてください。
先生
部長が全件やると、7か月後に部長しか分かっていない台帳ができます。属人化が1件増えるだけですね。
担当に全件任せると、店舗ごとに判断がばらつく。
外部に委託すると、判断の理由が社内に残りません。
大野部長
……全部、薄々見えていました。
先生
でしょうね。では、見えていない2つを足しましょうか。一つは、判断基準書を先に作って、担当が当てはめ、部長は例外と抜き取りを見る。もう一つは、専用システムを入れて、入力しながら判断する。
大野部長
基準書、ですか。
先生
識別はどう見るか。リース期間は何を要因にするか。簡便的取扱いはどこまで使うか。割引率はどう見積もるか。
会社としての考え方を、先に文書にしておくものです。
大野部長
先に、ですか。
先生
以前見た会社では、担当が全件やって最後に部長が見たら、期間の判断がばらばらで、やり直しになりました。原因は担当の力量ではなくて、基準書が先になかったことだったんです。
大野部長
基準書があれば、担当は当てはめるだけで済みますね。自分は例外を見る、と。
先生
例外だけだと、通常案件の読み違いや入力ミスは誰も見ないことになりますね。初年度は、通常案件も何件か抜き取って見ておくと安心ですよ。
大野部長
迷った案件は全部持ってきてもらって、通常案件も何件か抜き取って自分が確認する。それなら回りそうです。
先生
いいと思います。それから、契約書の数より時間がかかるものがあるんですが、何だと思いますか。
大野部長
……契約書に書いていないもの、ですね。店舗の造作、口約束の更新。
先生
さすがです。建設協力金、フリーレントもですね。それと、もう一つ。
大野部長
賃貸借という名前の契約以外、でしょうか。物流委託……うちはEC・物流の子会社に倉庫と設備を使わせています。あの契約の中にリースが入っているかもしれない。
先生
そうなんです。80件は「把握している80件」であって、全部ではないかもしれません。洗い出しを工程に入れておくとよいでしょう。店舗開発部と物流子会社を、最初から巻き込むことになりますね。
大野部長
経理の中で頑張っても縮まらない部分ですね。社長から一言もらうことにします。
📙 ③-2 6要素の判断フレーム
「件数」はこの表に入っていない要素この会社読み契約の複雑さ中程度Excel可入力する組織の数今は1か所→子会社が増える要件次第で11月中内部統制の証跡監査法人に求められる要件として明記既存システムとの連携手作業要件として明記翌期以降の維持担当1人に依存基準書と手順で補う費用対効果未調査要件が固まってから黄色が残る=要件を文書にしてから製品を見る。
③

問い2 Excelで回すか、専用システムか

部長が持ち込んだ2つ目の問い。答えを先に決めない。
大野部長
もう一つ、件数は80件です。Excelで足りるでしょうか。
先生
件数では決まらないんですよ。見るところは6つあります。契約の複雑さ、入力する組織の数、内部統制の証跡、既存システムとの連携、翌期以降の維持、費用対効果。
大野部長
当てはめてみます。
複雑さは中程度、変動リース料の店舗は少ない。
入力する組織は今は経理1か所、ただ子会社が増えます。
証跡は監査法人に求められる。
会計システムとの連携は手作業。維持は担当1人に依存。費用は未調査です。
先生
正直に当てはめましたね。それで、大野さんはどう読みますか。
大野部長
計算と台帳は、テンプレートとExcelで今期は回せると思います。ただ、承認と変更履歴と、子会社からの収集は別の問題ですね。
先生
計算ができることと、仕組みが続くことは別ですね。もしシステムが要るとなったら、いつ決めますか。
大野部長
12月の取締役会まで、と言いたいところですが……導入とテストに数か月かかるなら、12月に決めても4月に間に合いませんね。
先生
そこに気づいたのは大きいですよ。
大野部長
要件を今月中に書き出します。要件が強ければ11月中に結論。弱ければ、初年度はExcelで迎えて、翌期に入れる前提で12月の取締役会に出します。
先生
それでいいと思います。要件を先に書いておけば、後で製品を見るときに振り回されませんから。
📙 ③-3 AIに任せる範囲
AIに任せる(抽出)✔ 契約期間✔ 賃料✔ 更新条項の有無✔ 解約予告の条件人が判断する● 延長が合理的に確実か● 店舗の造作・出店計画● 閉店の可能性● 簡便的取扱いの適用先に決めること・未承認で入れたら止めて報告(送信先・学習利用・保存を確認) ・入れてよい文書とサービスを部で決める・抽出結果は全件突き合わせ。読む時間は減り、確認の工程は増える(仕事の種類が変わる)
③

問い3 契約書80件の読み取りに、AIを使うか

翌週。経理財務部。ハルカが報告に来た。
ハルカ
部長、契約書の期間と賃料の抽出、AIで試してみました。20件で2時間でした。
大野部長
お、早いね。結果はどうだった?
ハルカ
期間と賃料と、更新条項があるかどうかは取れました。でも「更新が合理的に確実か」は出てきません。造作のことも、出店計画も、契約書に書いてないので。
大野部長
そうだね。抽出は任せていい。判断はこちらでやろう。……ところで、その20件、どこのAIに入れたのかな。契約書には相手先の名前と賃料が入っているよね。
ハルカ
あ……。個人で使っているものに。
大野部長
いったん止めよう。残りの60件は入れないでおいてくれるかな。
ハルカ
はい。
大野部長
どのサービスか、ログインの方式、入力が学習に使われる設定か、データがどこに保存されるか。今日中に総務と情報システムに報告しよう。一緒に行くよ。
ハルカ
消したほうがいいでしょうか。
大野部長
削除は私たちだけで決めないでおこう。まず情報システムと一緒に、利用履歴・送信した内容・保存の状況を確認して記録を残す。消すかどうかはその後だね。
ハルカ
はい。すみません。
大野部長
試したこと自体は、いいことだよ。ただ、取引先の名前と賃料が入った文書を社外のサービスに出した。これはハルカさん自身が、情報の扱いとして持つ責任だね。
ハルカ
……はい。
大野部長
同時に、入れていい文書の範囲と使っていいサービスを、部として決めていなかった。それは私の管理の責任だ。両方、今日のうちに片づけよう。
ハルカ
確認が取れたら、使ってもいいですか。
大野部長
使おう。ただし抽出結果は全件、契約書と突き合わせる。AIが読み違えた1件が、そのまま台帳の1行になるからね。
ハルカ
はい。……気をつけます。確認の工程が増えますね。
大野部長
増える。その代わり、読む時間が減る。楽になるというより、仕事の種類が変わるんだと思うよ。
📙 ③-4 決めた体制
大野部長基準書・例外・一枚ハルカ80件の当てはめ財務担当割引率・影響額店舗開発部契約・造作・口頭合意・出店計画情報システムAI利用範囲・連携頼む試算部長が見るのは例外(戦略店舗・建設協力金・サブリース)+通常案件の抜き取り
③

決める

部長が決めた。
大野部長
判断基準書は、私が10日で書きます。
先生
はい。
大野部長
契約の収集と洗い出しは店舗開発部と物流子会社にお願いして、社長には今日中に一言お願いしておきます。
大野部長
当てはめはハルカさんが主担当で11月末。迷った案件は週1回まとめて全部持ってきてもらいます。
私は戦略店舗と、建設協力金のある店と、経過措置編”>サブリースを見て、通常案件も毎週何件か抜き取って見ます。
先生
試算はどうしますか。
大野部長
財務担当が先行分から始めて12月10日。監査法人との協議を12月中旬、取締役会は12月下旬。システムの要否は要件次第で11月中に。
社長向けの一枚は、私が自分で作ります。
先生
決まりましたね。基準書が書けたら、見せてください。楽しみにしています。
大野部長
ありがとうございます。……一つだけ不安があります。店舗開発部が、2週間で動いてくれるかどうか。
先生
そこは経理の努力では縮まりませんね。社長の一言が取れるかどうか、でしょう。

部長は返事をしなかった。社長への説明の順番を、頭の中で組み替えていた。

📙 ③-5 仕事を振る(③-4と同じ図)
大野部長基準書・例外・一枚ハルカ80件の当てはめ財務担当割引率・影響額店舗開発部契約・造作・口頭合意・出店計画情報システムAI利用範囲・連携頼む試算部長が見るのは例外(戦略店舗・建設協力金・サブリース)+通常案件の抜き取り
③

仕事を振る

部長がハルカに一覧を渡す。
大野部長
リース期間の判断、もうできそうかな。
ハルカ
はい。普通借家の設例と、戦略店舗の10年の設例まで、ラボでやりました。
大野部長
じゃあ80件、お願いするね。迷ったら基準書を見て、それでも迷ったら持ってきて。……私も昔、あの学習室で同じところで迷ったな。

ハルカは一瞬だけ顔を上げた。部長はそれ以上何も言わず、次の契約書に目を落とした。

部長の判断(この回の結論)

着手は遅れている。試算・監査法人との事前協議・取締役会への説明は年内に終える。

  • 期限(年内)
    • 判断基準書:部長が10日で書く
    • 80件への当てはめ:ハルカ、11月末
    • 影響額の試算:財務担当、12月10日
    • 監査法人との協議:12月中旬
    • 取締役会:12月下旬(社長向けの一枚は部長が自分で作る)
  • 体制:契約の収集と、賃貸借以外の契約(物流委託など)の洗い出しは店舗開発部・物流子会社と(社長から一言)。部長が見るのは例外店舗(戦略店舗・建設協力金あり・サブリース)と、通常案件の抜き取り
  • Excelかシステムか:計算と台帳は今期はテンプレートとExcel。承認・変更履歴・子会社からの収集は要件として今月中に書き出す。要件が強ければ11月中にシステムの結論、弱ければ初年度はExcelで迎え、翌期導入の前提で取締役会へ
  • AI:契約書からの抽出に使う。未承認で入れた分は止めて総務・情報システムに報告し、利用履歴・送信内容・保存状況を確認して記録を残してから削除等を判断。入れていい文書の範囲とサービスを部として決め、抽出結果は全件を契約書と突き合わせる
④

実務のまとめ ── 対応計画・役割分担・判断シート(Excel)

📙 ④ テンプレートの構成
新基準対応計画テンプレート.xlsx(4シート)① 対応計画7工程×担当×期限×完了条件×つまずき記入欄② 役割分担表工程×7つの関係者(担当・確認・情報提供・判断)記入欄③ Excelか専用システムか6要素×自社の状況×読み記入欄④ 社長の3問答えの型と数字の出どころ記入欄黄色=自社の値に書き換える欄。灰色の行=架空の会社の記入例。

以下はすべて架空の会社の記入例です。Excelテンプレートでは空欄にしてあり、自社の状況に差し替えて使います。

7工程の対応計画 ── 年内に4〜6まで

工程何をするかいつまで主担当
1 契約の収集と洗い出し把握済みの80件(店舗68+本社・倉庫・車両・複合機)の契約書・更新履歴・造作の有無・口頭合意を集める。あわせて、賃貸借という名前ではない契約(物流委託・設備利用・保守・クラウド)にリースが含まれていないかを洗い出す。社長から店舗開発部へ一言10月末(2週間)店舗開発部・物流子会社。経理は一覧表(台帳の母体)を作る
2 判断基準書識別・リース期間・簡便的取扱い・割引率の「会社としての考え方」を先に文書化。1と並行10月25日部長(10日)
3 識別とリース期間基準書を80件に当てはめる。AIで抽出→全件突き合わせ→店舗ごとの要因(造作・戦略店舗・出店計画・閉店可能性)。例外は週1回まとめて部長へ11月末経理担当(ハルカ)+店舗開発部の確認。部長は例外だけ
4 割引率・影響額試算追加借入利子率の見積り。使用権資産・リース負債・営業利益・EBITDA・自己資本比率への影響。3と並行して先行分から12月10日財務担当。計算は台帳テンプレートで一括
5 監査法人との事前協議期間・割引率・簡便的取扱い・経過措置の判断を、取締役会の前に揃える12月中旬部長+経理担当
6 取締役会への説明影響額と方針を一枚で。来期予算への反映、財務制限条項の確認結果、Excelか専用システムかの結論(専用システムが要ると分かった時点で前倒し。初年度はExcelで迎え翌期に導入する選択肢も)12月下旬部長
7 仕組み化と期首残高翌期以降の運用(新規・更新・変更時の見直し、承認、履歴)、経過措置の選択、期首残高の暫定試算と運用テスト。3月期決算では未適用基準の注記を準備(影響額を合理的に見積もれる場合は定量情報を記載)。4月に適用開始日時点の契約状況を確認し、期首残高を確定1〜3月(確定は4月)経理担当。4月に本番

役割分担表(担当/確認/情報提供)

工程部長経理担当財務担当店舗開発部情報システム監査法人社長・取締役会
1 契約の収集確認担当(一覧表)—情報提供(契約・造作・口頭合意)——一言(協力依頼)
2 判断基準書担当確認確認(割引率)情報提供(出店計画)—情報提供(論点)—
3 識別とリース期間例外+抜き取り確認担当—確認(店舗ごとの要因)———
4 割引率・影響額試算確認情報提供担当————
5 監査法人との事前協議担当担当情報提供(割引率)——協議—
6 取締役会への説明担当情報提供情報提供(財務制限条項)—確認(システム要否)—判断
7 仕組み化と期首残高確認担当確認情報提供確認(AI利用範囲・連携)確認—

Excelか専用システムかの判断シート(6要素)

要素見るところこの会社の状況(部長の記入例)読み
契約の複雑さ更新オプション・変動リース料・契約変更の頻度中程度。変動リース料の店舗は少ないExcelで可
入力する組織の数店舗開発部・子会社・複数担当が入力するか今は経理1か所。子会社が増える要件が強ければ11月中に結論
内部統制の証跡変更履歴・承認・レビューの記録監査法人に求められる要件として明記
既存システムとの連携会計・固定資産台帳・連結とつながるか手作業要件として明記
翌期以降の維持新規・更新・変更を継続管理できるか担当1人に依存基準書と手順で補う
費用対効果初期費・運用費・社内工数未調査要件が固まってから調査

件数だけでは決まらない、というのがこの表の結論です。「Excelで可」が多くても、証跡・連携・維持のどれかが要件として残れば、その要件を文書にしておき、製品を見るときはその要件で見ます。

社長に聞かれる3つの質問(答えの型と、数字の出どころ)

質問答えの型数字の出どころ
営業利益はどう動くか従来オペレーティング・リースだった契約では、支払リース料(販管費)が、使用権資産の減価償却費(販管費)と支払利息(営業外)に置き換わる。償却を定額とし利息法を使う一般的なケースでは、営業利益・EBITDAは増える方向、経常利益は初年度ほど減る方向。償却方法や簡便的取扱いの選択で変わるので、前提を添えて説明する。台帳テンプレートの影響額試算(工程4・12月10日)
自己資本比率は下がらないか。銀行の財務制限条項に触れないか使用権資産(リース負債に前払リース料・付随費用・原状回復費用の見積りなどを加えた額)とリース負債が同時に載るので、総資産が増えて自己資本比率は下がる方向。借入契約の財務制限条項(自己資本比率・純資産額など)の定義を先に確認する。財務担当が借入契約を確認。必要なら銀行に事前相談(工程6の前・12月)
出店の判断は変わるか会計処理が変わっても、店舗のキャッシュ・フローは変わらない。ただし、新規出店の契約期間・更新条項の設計には影響する(長く借りるほど負債が大きく載る)。店舗開発部と経営企画に、出店時の判断基準書を共有(工程2・7)
4シート入りのExcelテンプレート(対応計画/役割分担表/判断シート/社長の3問)Excelをダウンロード
工程4の計算(使用権資産・リース負債・影響額)は、無料のツールで一括できます台帳・仕訳ジェネレーターを開く ▶
工程2の判断基準書は、会計方針書ジェネレーターのドラフトをたたき台にできます会計方針書ジェネレーターを開く ▶
📙 年表のいま
10月11月12月1月2月3月4月いまここ:新リース対応が始まる(部長回①)次:ハルカ回①「店舗契約の実地判断」/11月:不採算店舗・人材戦略
おわりに

部長の独白と、先生の一言

大野部長
独白春に始めていれば、と何度も思った。思っても期限は動かない。80件を自分で読むのをやめて、基準書を書く。年内に取締役会まで持っていく。……店舗開発部が動くかどうかは、まだ分からない。
先生
決まりましたね。基準書が書けたら、見せてください。楽しみにしています。
⑤

一次情報・ラボ・前後の回

一次情報

ラボ・ツール

ハルカが同じテーマを学んだ回(会話記事)

選定ガイド(近日公開)

「新リース対応はExcelで十分?専用システムが必要になる条件」── この回の6要素を、自社に当てはめるためのガイドです。製品名はそちらで扱います。

経理財務部の記録|2026年10月|新リース対応が始まる|部長回①
次の回:ハルカ回①「店舗契約の実地判断」(近日) / ハルカの学習ノートでリース会計ラボの章を見る / 年表と入口ページ
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。