AI・クラウド活用ガイドラインラボ【基礎編】|図で学ぶ情報区分・3つの鉄則・税理士 in the loop
2026
10/15
無料の学習ツール「AI・クラウド活用ガイドラインラボ 」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのもの です。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
🎧 動画で聞く その入力、どこへ行く?AI・クラウド活用ガイドラインを5つのステップで(10分)
この記事の先生とハルカの会話と、ラボの図で解説する音声動画です。AIへの入力=外部送信、情報の2つの区分、3つの鉄則、よくある誤解、税理士 in the loop までを扱います。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く )
今日の事例
今日の題材:経理部に届いた3つの「これ、AIに入れていい?」
① 取引先名入りの督促メールの下書き ? ② 消費税の改正の要点整理(固有名詞なし) ? ③ 年末調整の扶養控除等申告書のOCR読み取り ? 出典 日税連「AI・クラウド活用ガイドライン」Ver1.0(令和8年9月25日)
はじめに
今日の題材 ── 3つの「入れていい?」 📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、部長から「うちの部のAI利用ルールの案を作ってほしい。まず税理士会のガイドラインを読んで、うちに置き換えてみて」と言われました。税理士向けの文書を、経理部の私が読んでいいんでしょうか。
先生
ちょうどいい教材だよ。日本税理士会連合会が2026年9月に出した「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」は、顧問先の情報を預かる人のための判断の手順書なんだ。預かる相手が顧問先か取引先かが違うだけで、考え方はそのまま経理部に使えるよ。
ハルカ
では今日は、机の上にある3つの「入れていい?」を持ってきました。督促メールの下書き、消費税改正の要点整理、扶養控除等申告書のOCRです。
先生
今日の最後には、その3つが区分A・区分B・禁止 のどれに着地するかを、自分で判定できるようになるよ。表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
📗 基礎 1 ラボの図
業務 以前(AI活用前) 今(AI活用後) 証憑書類の確認・処理 1件あたり数分 AI-OCRで自動読み取り・仕訳化(数秒) 会議・面談の議事録 手作業で作成 音声認識AIで自動文字起こし(数分) 法令・通達の検索 時間がかかる AIで要点を把握してから一次情報を確認 顧問先向けレポート ゼロから作成 AIが下書きを生成し、税理士が確認・加筆 メール・案内文 作成に手間 AIが文体・内容に合わせた文案を提案 どの行も「AIが前さばき → 税理士が確認」。確認は残ります。
基礎 1
AIはすでに税理士の「道具」になっている 📍 ラボの場所:基礎タブ 1
ハルカ
証憑の確認が数秒、議事録が数分。図を見ると、以前の列が全部グレーになって、今の列に矢印が流れていきます。
先生
ガイドラインの序章と同じ5つの業務なんだ。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で「AI活用後へ進める」を押すと、上から順に切り替わる。注目してほしいのは、今の列の文の終わり方だよ。
迷いポイント AIが処理するようになったら、人の確認はなくなる?
ハルカ
AIが数秒で仕訳化してくれるなら、来期から経理部は私とAIの2人体制でいけますね。歓送迎会の幹事も楽になります。
先生
2人体制にはならないんだ。5つの業務の文は、どれも「AIが読み取り・文字起こし・下書きをして、税理士が確認する 」で終わっている。道具は変わっても、確認する人は残るんだよ。
ハルカ
そろばんから電卓、専用機、パソコン、クラウド、そしてAI…。道具が変わるたびに仕事の中身が変わってきた、と書いてありますね。
先生
そう。だからガイドラインも「使ってはいけない」の列挙ではなく、「どう使うか」の手順書として作られているんだ。
💡 そうだったのか!
AIは
前さばき 、人は
確認 。この分担が5つの業務すべてに共通しています。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 1 の「▶ AI活用後へ進める」を押す 👀 上から順に5行が切り替わり、最後に「どの行も『AIが前さばき → 税理士が確認』。確認は残ります。」と出ます。
ラボを開く ▶
📗 基礎 2 ラボの図
ガイドラインの対象:事務所の外、外部サーバーへ情報を送るもの ① 汎用生成AI チャット型のAI ② AIエージェント 外部システムを自律的 に操作 ③ 単独のAIサービス AI-OCR・音声認 識・議事録作成 ④ クラウド等 ストレージ・SaaS ・Web会議・チャッ ト ⑤ 拡張機能等 ブラウザ拡張・アドオ ン。画面の情報を外部 送信するものも 直接の対象外(ただし出力面の考え方・再委託先の確認は推奨) オンプレミス・ローカル環境 事務所内で完結し、情報が外に出ない。 業務ソフトに組み込まれたAI 会計・給与・税務ソフトのAI機能。
① 汎用生成AI ChatGPT・Claude・Geminiなどのチャット型AI。原典は例示として挙げており、特定サービスの推奨ではありません。文書Aの記述は主に①②③を対象にしています。
基礎 2
ガイドラインが対象にする5つのカテゴリ 📍 ラボの場所:基礎タブ 2
ハルカ
対象は5つ。チャット型の生成AI、AIエージェント、AI-OCRなどの単独サービス、クラウド、ブラウザの拡張機能。下に破線で「対象外」の箱もあります。
先生
5つに共通するのは、情報を事務所の外、外部サーバーへ送る ことなんだ。事務所の中で完結するオンプレミスは、情報が外に出ないから対象外。業務ソフトに組み込まれたAIは、ベンダーとの既存契約で管理するから直接の対象外だよ。
迷いポイント 会計ソフトのAI機能は、ガイドラインの対象外だから何もしなくていい?
ハルカ
うちの会計ソフトにもAI仕訳の機能があります。対象外なら、安心してそのまま使っていいですね。
先生
「直接の対象外」であって「何もしなくていい」ではないんだ。ベンダーが外部のAI事業者を使っていることがある。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で下の箱をクリックすると出るとおり、既存契約で再委託先の選定・監督、安全管理措置、インシデント通知が確保されているかの確認を、ガイドラインは強く推奨しているよ。
💡 そうだったのか!
対象を決める物差しは
「外に出るか」 。組込AIは契約で、オンプレは出力面の考え方だけを参照します。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 2 の下の破線の箱「業務ソフトに組み込まれたAI」をクリックする 👀 説明パネルに「再委託先の選定・監督、安全管理措置、インシデント通知が確保されているかを確認することを強く推奨」と出ます。
ラボを開く ▶
📗 基礎 3 ラボの図
個人情報 (個人情報保護法) 守秘義務の対象 (税理士法第38条等) 給与台帳 重なり=両方の法令に同時に対応が必要
給与台帳:両方の輪(重なり) 従業員の氏名・給与=個人情報。かつ顧問先から預かった業務上の秘密=守秘義務の対象。両方の輪に入ります。
基礎 3
税理士が日々扱っている情報:2つの輪 📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
青い輪が個人情報、紫の輪が守秘義務の対象。給与台帳は真ん中の重なりにいますね。
先生
外部に送ると問題になる情報は、この2種類なんだ。個人情報は個人情報保護法、守秘義務の対象は税理士法第38条等が規律する。給与台帳は従業員の個人情報であり、顧問先から預かった秘密でもあるから、両方の輪に入るんだよ。
迷いポイント 法人の経営計画は個人情報ではないから、どちらの輪にも入らない?
ハルカ
経営計画には個人の名前は出てきません。個人情報ではないので、どちらの輪にも入らず自由に入れられますね。
先生
紫の輪には入るんだ。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で「顧問先(法人)の経営計画」を押すと、札が守秘義務の輪へ動く。業務上知り得た秘密だし、営業秘密として不正競争防止法でも守られる情報なんだよ。逆に、事務所の職員の健康診断結果は顧問先の情報ではないから守秘義務の輪には入らないが、個人情報の輪には入るんだ。
💡 そうだったのか!
2つの輪 は別々の法律。重なりの情報は2つの法令に同時に対応し、片方だけの情報も見落とさないことが大前提です。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 3 の「顧問先(法人)の経営計画」を押す 続けて「事務所職員の健康診断結果」を押す 👀 札が守秘義務の輪(紫)→ 個人情報の輪(青)へ移り、説明が「個人情報ではないが守秘義務の対象」→「守秘義務の対象ではないが個人情報保護法の対象」に変わります。
ラボを開く ▶
📗 基礎 4 ラボの図
税理士事務所の中 パソコン 顧問先資料 外部送信 多要素認証・安全な回線 外部の事業者のサーバー(海外が多い) AIが処理 要約・下書き OCR・翻訳 AIの学習に利用 学習利用オフ サービス向上・機能改善 学習利用オフ 第三者への開示 DPA(委託) 委託された業務の範囲内でだけ処理(DPA+学習オフ) 残る義務:委託先の監督・越境の相当措置 → 年1回以上の定期確認 多くの企業版はDPA締結・学習オフが標準。ただし規約と設定画面で必ず確認し、確認日を記録する。
② 学習利用オフ+DPA締結(+通信経路の安全) 契約内容と実際の取扱いが「利用目的の達成に必要な範囲の委託」の要件を満たす場合、第三者提供に当たりません。DPAはその契約面の確認で、学習オフは委託の範囲を超えた利用を防ぐ実態面の確認です。残るのは、委託先の監督と、外国の事業者への提供に当たる場合の相当措置という2つの定期確認(年1回以上)。念のため本人の同意も取っておくと、より安全です。
基礎 4
「AIに入力する」=「事務所の外へ送信する」 📍 ラボの場所:基礎タブ 4
ハルカ
図は「② 学習オフ+DPA締結」の状態ですね。事務所のパソコンから外部サーバーへ矢印が伸びて、学習・機能改善・第三者開示の3本の枝に緑の札が付いています。
先生
まず「① 何も対策しない」から見てほしいんだ。AIに入力するのは、自分のパソコンで作業している感覚でも、実態は事務所の外、多くは海外のサーバーへの送信。何もしなければ、規約上「学習」や「サービス向上」に使われることがあるんだよ。
迷いポイント ブラウザで開いているAIは、自分のパソコンの中で動いている?
ハルカ
正直に白状します。ブラウザで開くAIは「自分のパソコンの中」だと思っていました。クラウドストレージも、あの雲のアイコンの中にあるのだと。
先生
雲の中身は、どこかの会社のサーバーなんだよ。だから対策で行き先が変わる。学習利用をオフにし、DPAを締結すれば、委託された業務の範囲内でだけ処理される。残るのは委託先の監督と、外国の事業者への提供に当たる場合の相当措置、2つの定期確認だね。
💡 そうだったのか!
入力=
外部送信 。守るのは「送らない」ではなく、
学習オフ+DPA で送った先の扱いを決めることです。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 4 の「① 何も対策しない」を押す 続けて「③ 外に出さない(オンプレ)」を押す 👀 ①では3本の枝が赤く光り「個人情報 → 必要な同意等を欠く第三者提供(法令違反のおそれ)」、③では外部の箱がグレーになり「送信なし」と出ます。
ラボを開く ▶
📗 基礎 5 ラボの図
禁止 区分A 区分B 不明→相談
いいえ いいえ 1 入力したい 情報がある 2 Q1 マイナンバー を含む? 3 Q2 機密・個人 情報を含む? 4 Q3 公開・一般・ 匿名化済み? はい 禁止 番号対応の専用システムのみ マスキングで例外的に可 はい 区分A 承認済みの企業版のみ (3つの鉄則を満たす) はい 区分B 承認済みツールなら 無償版・個人版も可 いいえ・不明 不明→相談 上司・管理責任者に 相談して区分を決める 承認済みツールで 判定後に ✖ 入力しない 5 AI等で 処理する 6 出力を 確認する 7 最終判断と責任 は税理士 入力面(①〜④) 出力面(⑥⑦)
① 入力したい情報がある(起点) 顧問先から預かった資料、事務所内の情報、自分で作った下書き。「AIに頼みたい」と思った瞬間が起点です。ここで立ち止まって、次の3つの質問に答えます。
基礎 5
中心の図:入力前から出力後までの7つのチェックポイント 📍 ラボの場所:基礎タブ 5
ハルカ
この7つの丸の図が、設例タブでもシミュレーションでも出てきますね。
先生
このラボの背骨だから、覚えてしまおうか。①入力したい情報 → ②Q1 マイナンバー → ③Q2 機密・個人情報 → ④Q3 公開・一般情報、ここまでが入力面 。判定が出たら ⑤AI等で処理 → ⑥出力を確認 → ⑦最終判断と責任は税理士、ここが出力面 なんだ。
迷いポイント 区分が決まったら、あとはAIに任せて終わり?
ハルカ
区分Aか区分Bかさえ決まれば、あとはAIに渡して終わりですね。判定フローが仕事の中心だと思っていました。
先生
判定は入口なんだ。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で⑥の丸をクリックすると出るとおり、出てきたものにハルシネーションがないか、条文の引用が正しいか、著作権に問題がないかを確認し、顧問先に出す前に税理士が承認する。⑦の丸が黄色いのは、終点が「人」だからだよ。
💡 そうだったのか!
チェックポイントは
入力前4つ+出力後2つ 。区分の判定は中心の図の前半にすぎません。
📗 基礎 6 ラボの図
START Q1 マイナンバー(個人番号)を含む情報? いいえ Q2 顧問先の機密情報(財務データなど)や 事務所内の機密情報・個人情報を含む? いいえ Q3 公開情報・一般情報・匿名化済みの情報? はい 【禁 止】 汎用AI・クラウドへの入力・アップロード原則禁止 番号対応の専用システムのみ使用可 ※マスキング加工で例外的に入力可 はい 【区分A】 以下をすべて満たすツールのみ使用可 ビジネス向け有料プラン/学習OFF/DPA締結 ※顧問先にあらかじめ説明し同意を得ることを推奨 はい 【区分B】 承認済みツールであれば使用可 承認されていないツールへの入力に注意 所内ルールの策定と教育・管理が必要 いいえ・不明 → 上司・管理責任者に相談してから使用
顧問先の試算表・決算書 → 区分A Q1いいえ、Q2はい。顧問先の財務データは守秘義務の対象。承認済みの企業版(鉄則1〜3を満たす)でのみ使えます。顧問先への説明・同意を推奨。
基礎 6
「この情報、入力していい?」判定フロー Q1→Q3 📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
Q1 マイナンバー → Q2 機密・個人情報 → Q3 公開・一般情報。「顧問先の試算表・決算書」を押すと、Q2で「はい」に曲がって区分Aに着地しました。
先生
入力前に必ずこの3つの質問で区分するんだ。禁止はマイナンバー、区分Aは顧問先の財務データ・個人情報・事務所の機密、区分Bは公開情報・一般情報・匿名化済み。Q3でも「いいえ・不明」なら、自分で決めずに上司・管理責任者に相談だよ。
迷いポイント 区分Bのツールなら、顧問先名を少し書き添えるくらいは大丈夫?
ハルカ
通達の要点整理は区分Bですよね。メモ代わりに「〇〇社の件」と一言添えても、本文は公開情報なので区分Bのままだと思います。
先生
その一言で区分Aに変わるんだ。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で「国税庁の通達の要点整理」を押すと区分Bに着地するけれど、説明には「どの顧問先の案件かを書き添えると区分Aに変わります」とある。区分Bの条件は、固有名詞と個別事情を入れないことなんだよ。
💡 そうだったのか!
区分は
情報の中身 で決まり、ツールでは決まりません。固有名詞を1つ足すだけで、区分Bは区分Aになります。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 6 の「匿名化した仕訳パターン(固有名詞なし)」を押す 続けて「扶養控除等申告書(マイナンバー記載)」を押す 👀 通り道が Q1→Q2→Q3→区分B(緑)から、Q1で「はい」→禁止(赤)に切り替わります。
ラボを開く ▶
基礎 7
安全に使うための「3つの鉄則」 📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
鉄則1 企業版を契約、鉄則2 DPA+学習オフ、鉄則3 ルールと教育。3本の柱が「法令遵守×実用性の両立」の屋根を支えていますね。
先生
鉄則1と2が「入れても安全な環境」をつくる措置で、鉄則3がそれを事務所として守り続ける体制なんだ。この3つを守るだけで両立が実現する、というのがガイドラインの結論だよ。鉄則1の「個人向け・無料版」は、区分Aの情報を入れてはいけないという意味で、区分Bの一般情報なら承認済みツールとして使えるんだ。
迷いポイント 企業版を契約すれば、鉄則2は自動で済んでいる?
ハルカ
企業版はDPAも学習オフも最初から入っていると聞きました。鉄則1さえクリアすれば、鉄則2は確認しなくても済んでいますね。
先生
多くの企業版は標準で入っているけれど、「確認しなくていい」ではないんだ。規約と設定画面で必ず確認して、確認日を記録する 。フィードバックボタンでチャット内容が送られる場合があることにも注意だね。
ハルカ
3本の柱は、自転車の鍵と同じですね。前輪と後輪とフレーム、1つでも外すと持っていかれます。
先生
フレームの鍵が鉄則3かな。外すと持っていかれるのは自転車ではなく、事務所の情報なんだ。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ でチェックを外すと、柱が破線になって屋根が傾くよ。
💡 そうだったのか!
鉄則1・2は
環境 、鉄則3は
体制 。企業版でも「確認して記録する」までが鉄則2です。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 7 の「鉄則2【必須措置】」のチェックを外す 👀 真ん中の柱が赤い破線になり、屋根が「法令遵守と実用性が両立しない」に変わって、説明に「学習利用がオンのままなら…守秘義務違反のおそれ」と出ます。
ラボを開く ▶
📗 基礎 8 ラボの図
個人情報保護法(個人データの取扱いを規律) 税理士法(顧客情報の取扱いを規律) 第三者提供(第27条第1項) 本人の事前同意が原則 DPA 委託(第27条第5項第1号) 第三者提供に当たらない 委託先の監督(第25条) 定期確認①:年1回以上 越境(第28条) 外国の事業者 → 同意が再び必要 相当措置の確認 定期確認②:年1回以上 → 同意不要 結論:DPAの締結 + 2つの定期確認(第25条・第28条) 第38条 守秘義務 他に洩らさない・窃用しない 第54条 使用人等の守秘義務 職員・補助者にも直接適用 第41条の2 使用人等監督義務 承認制・ルール周知・定期確認が手段 学習利用オフ+3つの鉄則 委嘱業務の目的の範囲で使う限り 「正当な理由あり」と解される余地
④ 相当措置を年1回以上確認すると 事業者が日本の個人情報取扱事業者と同程度の措置(相当措置)を継続的に講ずる体制を整備していることを確認すれば、本人同意なしで使えます。結論=「DPAの締結」+「2つの定期確認(第25条・第28条)」。
基礎 8
2つの法令が求めていること:個人情報保護法と税理士法 📍 ラボの場所:基礎タブ 8
ハルカ
図は「④ 相当措置を年1回確認」まで進めた状態ですね。第三者提供 → DPA → 委託 → 委託先の監督 → 越境 → 相当措置と、条文が数珠つなぎです。
先生
「DPAの締結+2つの定期確認」という結論は、個人情報保護法の条文をたどると出てくるんだ。何もせず入力すれば第三者提供(第27条第1項)で本人同意が要る。DPAの内容と実際の取扱いを確認して、利用目的の範囲の委託(第5項第1号)として整理できれば本人同意は原則不要になるが、委託先の監督(第25条)が残るんだ。契約の名称だけでは決まらないよ。
迷いポイント DPAを結べば、本人同意の問題はもう出てこない?
ハルカ
委託に整理できたなら、同意の話はそこで終わりですね。あとは年1回の監督だけ。
先生
もう一度出てくるんだ。相手が外国の事業者で、個人データの提供に当たると「外国にある第三者への提供」(第28条)になって、いったん不要になった同意が復活する。海外の事業者が提供するAIサービスに個人データを渡すなら、ここに当たり得るんだよ。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で「③ 相手が外国の事業者」を押すと、越境の箱が赤くなるのが分かるよ。
ハルカ
それで④の「相当措置を年1回以上確認」で、もう一度同意なしに戻るんですね。
先生
そのとおり。だから定期確認は2つ 。第25条の監督と、第28条の相当措置なんだ。税理士法の側は、学習オフと3つの鉄則を守って委嘱業務の範囲で使う限り「正当な理由あり」と解される余地がある、という整理。ただし解釈は未確立だから、念のため書面同意を推奨しているよ。
💡 そうだったのか!
同意は
委託の整理で消え、外国第三者提供で復活し、相当措置の確認でまた消える 。だから結論は「DPA+2つの定期確認」です。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 8 の「① 何もせず入力」から「④ 相当措置を年1回確認」まで順に押す 👀 赤い「第三者提供」から始まり、③で「越境」の箱が赤くなり、④で下の帯が緑の「結論:DPAの締結 + 2つの定期確認」に変わります。
ラボを開く ▶
📗 基礎 9 ラボの図
誤情報 もっともらしく 間違うことがある 権利侵害 著作権・営業秘密 に注意 非違行為 無資格者がそのまま 使うのは危険 出力面の3つのリスク AIが 出力する 税理士が確認 条文・通達で裏取り 承認してから提供 顧問先へ提供 申告書等に使う 業務の種類で、確認する人が変わる 🔒 税務相談 税理士✔ 🔒 税務書類の作成 税理士✔ 🔒 税務代理 税理士✔ 社内文書の下書き 人の確認で可 情報収集・要約 人の確認で可 定型データの整理 人の確認で可 🔒=税理士の独占業務(税理士法第2条第1項・第52条)
税理士 in the loop:税理士が確認する 税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務。確認する人が「人間であること」ではなく「税理士であること」が求められます。AIに前さばきをさせ、根拠条文を示させて確認箇所を絞るのが現実解。
基礎 9
出力面の3つのリスクと「税理士 in the loop」 📍 ラボの場所:基礎タブ 9
ハルカ
出力面のリスクは誤情報・権利侵害・非違行為の3つ。図は「税理士 in the loop」で、税務相談・税務書類の作成・税務代理に鍵のマークが付いています。
先生
出てきたものをそのまま使っていいか、という問題なんだ。ハルシネーションは条文・通達で裏取りし、著作権は類似性と依拠性に注意する。3つ目が税理士に固有で、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務だよ。
迷いポイント 「人が確認した」なら、AIの出力を顧問先に渡してよい?
ハルカ
無資格の職員でも、ちゃんと目を通して確認したなら、顧問先に渡して大丈夫ですよね。
先生
税務相談に当たる内容だと、確認する人が「人間であること」ではなく「税理士であること」が求められるんだ。職員がAIの出力をそのまま顧問先に渡せば、「税務相談」をしたことになり得る。だからHuman in the loopではなく税理士 in the loop なんだよ。
ハルカ
一生懸命確認したのに「人では足りない」と言われると、少しがっかりします。
先生
人としての話ではなくて、資格の話なんだ。社内文書の下書きや情報収集なら、人の確認で足りるよ。
💡 そうだったのか!
確認するのは
誰か まで決まっている。税理士業務は税理士、それ以外は人。経理部が自社の税務処理を判断するのは税理士業務とは別で、部門責任者が確認し、重要・難しい論点は顧問税理士に相談します。
⏱ 30秒だけラボで試す
基礎 9 の「Human on the loop」を押す 続けて「税理士 in the loop」を押す 👀 確認の箱が破線の「(確認を通さない)」になり、鍵付きの3業務が赤の「税理士の確認が必要」→ 緑の「税理士✔」に変わります。
ラボを開く ▶
📗 基礎 10 ラボの図
文書A 実務指針編 税理士・職員全員が最初に読む。3つの鉄則・判定フロー・活用事例15・場面別ガイド・インシデント対応(全33ページ)
文書B 詳細解説・法的根拠編 税理士法・個人情報保護法・マイナンバー法・AI法・著作権法・不正競争防止法・地政学的リスク・他士業比較・Trust Center(全56ページ)
文書C 事務所導入・規程集 AI・クラウド利用規程ひな型(全19条)と様式1〜10(管理台帳・承認申請書・同意書・誓約書など)(全24ページ)
文書A 実務指針編(全員が最初に読む) 第1章 税理士業務とAI(活用事例15・使わないリスク・使う場合のリスク)/第2章 判定フロー/第3章 3つの鉄則/第4章 ツール選び(7項目チェックリスト・承認手続き)/第5章 導入の4段階/第6章 場面別ガイド(生成AI・クラウド・OCR・録音・エージェント・拡張機能・スマホ)/第7章 インシデント対応。
導入 規程ひな型 様式10 誓約書 ツールの承認 様式2 承認申請書 様式1 管理台帳 様式3 例外申請書 日々の利用 様式7 同意書 様式8 利用ログ 様式4 レビュー記録 定期確認 様式6 定期確認記録 事故のとき 様式9 緊急フロー 様式5 報告書 様式は文書Cに収録。管理責任者・運用担当者・品質責任者の3役割(兼任可)で回す。
基礎 10
ガイドラインの地図:3つの文書と10の様式 📍 ラボの場所:基礎タブ 10
ハルカ
文書A・B・Cの3冊と、様式が10個。導入 → ツールの承認 → 日々の利用 → 定期確認 → 事故のとき、の流れに様式が置いてあります。
先生
どこに何が書いてあるかを先に知っておくと、迷ったとき戻れるんだ。文書Aは全員が最初に読む実務指針、文書Bは法令の根拠、文書Cは規程のひな型(全19条)と様式。様式は業務の流れのどこで使うかで覚えると早いよ。
迷いポイント 様式10個は、全部そろえないと始められない?
ハルカ
10個の様式を全部作ってからでないと、AIを使い始められないということですね。先は長いです。
先生
導入は4ステップで、順番があるんだ。STEP1 規程ひな型を制定 → STEP2 管理責任者・運用担当者・品質責任者を任命 → STEP3 様式を日常業務に組み込む → STEP4 定期確認を記録。所長ひとりの事務所なら3役割は兼任でいい。
AI・クラウド活用ガイドラインラボ で文書Cをクリックすると、規程の19条の構成が出るよ。
ハルカ
あ、3役割を決めて様式で全員が回す形は、J-SOXラボで習った「日々の担当者も内部統制の担い手」と同じ考え方ですか?
先生
そう、よく覚えていたね。規程を作るのは所長でも、守って回すのは全員。だから鉄則3に教育が入っているんだ。
💡 そうだったのか!
地図は
A=手順、B=根拠、C=道具 。様式は業務の流れに沿って、使う場面で引くものです。
📝 J-SOXラボ【基礎編】(日々の担当者も内部統制の担い手) 記事を読む ▶
📝 続けて読む:AI・クラウド活用ガイドラインラボ【応用編】 記事を読む ▶ 今日のまとめ ── 迷いポイント早見表 おわりに
今日のふりかえり 先生
今日のまとめだよ。AIへの入力は外部送信 で、入れていいかは情報の中身で決まる。それを安全にするのが3つの鉄則 。そして出てきたものは、税理士業務なら税理士が確認する。この3つを持ち帰ってほしいんだ。
ハルカ
机の上の3つも判定できました。督促メールは取引先名が入るので区分A、消費税改正の要点整理は区分B、扶養控除等申告書のOCRはマイナンバーがあるので禁止。部長に頼まれたルール案の骨格は、今日の判定フローと3つの鉄則で作れそうです。
先生
いい整理だね。1つだけ足すなら、経理部では「税理士が確認する」を「部門責任者が確認し、重要な税務判断や解釈が難しい論点は顧問税理士に相談する」と読み替えておくといいよ。自社の税務処理と、他人の求めに応じて行う税理士業務は別だからね。
ハルカ
では、うちの部の最初のルールは「先生に聞く前にAIに聞かない」…いえ、「AIに聞く前に区分を決める」ですね。
先生
後の方で頼むよ。次の応用編では、7項目チェックリストと承認手続き、2つの定期確認、そして経理部への読み替えを見ていこうか。
参考資料 日本税理士会連合会 デジタル・システム委員会「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン ~AIを安全に、積極的に使いこなすために~」Ver1.0(令和8年9月25日公開。概要版・文書A 実務指針編・文書B 詳細解説・法的根拠編・文書C 事務所導入・規程集)。税理士法第2条・第38条・第41条の2・第52条・第54条、個人情報の保護に関する法律第25条・第27条・第28条、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第9条・第19条・第20条。確認日:2026年10月14日。原典は日税連の会員専用ページに掲載(2026年9月30日付お知らせ「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドラインの策定について」)。ラボの図は原典の構造をもとに独自に描き直したもので、原典が例示するサービス名は例示であり特定サービスの推奨ではありません。経理部への読み替えはtaxjudgeの整理です。公認会計士が監修しています。
シリーズ:AI・クラウド活用ガイドラインラボ【基礎編】(この記事)/【応用編】 /【設例・区分B編】 /【設例・区分A編】 /【設例・困ったとき編】
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶
📖 この論点が、会社で起きると ── 経理財務部の物語
基礎4「AIに入力する=外へ送信する」と、基礎9「人が最終確認する」が、会社の経理財務部で起きると。担当者が契約書を個人のAIサービスに入れてしまったところから、止めて報告し、記録を残し、部のルールを決め、AIで読んだ結果の誤りに向き合うまでを描いた連続ストーリーです(舞台は架空の上場会社の経理財務部)。
第1話(9月9日)|80件の契約書は、誰が読むのか ▶ 契約書20件を、個人で使っていたAIに入れていた。部長は「いったん止めよう」
第2話(9月28日)|調査票の空欄 ▶ 入力が学習に使われる設定だったと分かる。履歴を消し、経緯を記録する
第3話(10月5日)|決めたことと、聞くこと ▶ 部会で「外部のAIに入れない4つ」を決める。ルールは仮で、3か月後に見直す
第7話(10月15日)|二人で読む ▶ AIで読んだ1件に、特約の見落とし。AIか人かより、間違いを見つける仕組み
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。