CGコードラボ【ケース・独立社外取締役と任意委員会編】|先生と一緒に図で学ぶケース1・2・5・6 2名以上・過半数・任意委員会・プライムの上乗せ
無料の学習ツール「CGコードラボ」の読み方ガイドです。ラボのケースタブから、独立社外取締役の数と任意の指名・報酬委員会のケース(ケース1・2・5・6)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📘 ケース1 ラボの画面
市場スタンダード
機関設計監査役会設置会社
取締役8名
独立社外2名(25%)
支配株主なし
任意委員会未設置
PF/招集通知英訳未利用/なし
英語での情報開示一部
版2026年7月版
匿名化した類型例です(実在の会社ではありません)。
最初に「どの原則が自社に適用されるか」を市場区分と版で確定します:基本原則4個+原則26個(解釈指針は対象外・参照)。
はじめに
ケース1 スタンダード・監査役会設置会社・独立2名/8名
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース1 ステップ1
ハルカ
ケースのタブは、会社の設定が最初に出るんですね。基礎編の事例Aと同じ会社ですか。
先生
そうだよ。スタンダード市場・監査役会設置会社・取締役8名・独立社外2名・支配株主なし・任意委員会なし。全部匿名化した類型例で、実在の会社ではないよ。最初のステップは「どの原則が自社に適用されるか」を市場と版で確定すること。この会社は基本原則4個+原則26個が対象なんだ。
ハルカ
2026年7月版で判定するんですね。今日はどのケースを見ますか。
先生
ケース1・2・5・6の4本。独立社外取締役の数と任意の指名・報酬委員会、それにプライムの上乗せを、スタンダード→プライム→監査等委員会→電子行使プラットフォームの順で追っていこうか。
ケース・基礎タブのケース1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 ケース1 ステップ2 ラボの図
ケース1
独立社外取締役の「数」を判定する ── 2名/8名
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース1 ステップ2
ハルカ
図の8つの箱のうち、緑が2つ。スタンダードの最低ラインは2名以上でしたよね。
先生
そうだよ。だから原則4-10の第1段は✔。ただ図の下の判定を見て、過半数(原則4-7の分かれ目)が✖になっているんだ。25%だから過半数には遠いんだ。
迷いポイント 数の要件を満たしたら、独立社外取締役の判定は終わり?
ハルカ
2名以上で✔が出たので、独立社外取締役の話はここで終わりですね。
先生
原則4-10は終わりだけれど、判定はもう一段続くんだ。過半数に達していない監査役会設置会社は、次のステップで原則4-7の任意委員会が論点になる。数の判定は入口で、出口は過半数かどうかなんだよ。
💡 そうだったのか!
原則4-10の判定は2段構え。
最低ライン(2名以上)を満たしても、過半数かどうかで次の原則4-7が決まります。
📘 ケース1 ステップ3 ラボの図
ケース1
過半数未満 → 任意の指名・報酬委員会(原則4-7)
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース1 ステップ3
ハルカ
判定の流れの図ですね。③の「独立社外は過半数?」で「いいえ」に進むと…。
先生
赤い箱、「任意の指名・報酬委員会を設置(未設置ならエクスプレイン)」に着くんだ。原則4-7は、監査役会設置会社又は監査等委員会設置会社で独立社外取締役が過半数に達していない場合、独立社外を主要な構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を置いて関与・助言を得るべき、としているよ。
迷いポイント 任意委員会は、プライム市場だけの話では?
ハルカ
「任意の指名・報酬委員会」は大企業の制度だと思っていました。スタンダードは関係ないですよね。
先生
スタンダードにも適用されるんだ。プライムの上乗せは「委員の過半数を独立社外に・構成の考え方を開示」の部分だけ。スタンダードの設置率は 53.2%、旧補充原則4-10①のエクスプレイン率は 41.1%(2021年版ベースの会社)で、エクスプレインが多い項目でもあるよ。
ハルカ
「任意」なのに置かないと説明が要る…。任意という名前に、すっかり油断していました。
先生
「任意の仕組み」の任意は、法定ではないという意味なんだよ。
💡 そうだったのか!
任意委員会はスタンダードにも適用。
過半数未満で未設置ならエクスプレインで、スタンダードでは4割の会社が説明しています。
⏱ 30秒だけラボで試す
- このケースの「このケースの条件で自社診断 ▶」を押す
- 「任意の指名・報酬委員会」を設置に変える
👀 ✖ 要対応が 1件 → 0件になり、任意委員会の行が「✔ 実施」に変わります。
ラボを開く ▶
📘 ケース1 ステップ4 ラボの図
ケース1
電子行使PF・英訳は版で扱いが変わる
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース1 ステップ4
ハルカ
この会社は電子行使プラットフォームも英訳もしていません。2021年版ならエクスプレインでしたよね。
先生
そうだよ。補充原則1-2④で、スタンダードのエクスプレイン率は 71.6%、最多の項目だった。図の左上の箱から右を見て。2026年版では、プライムのPF利用は原則1-2の本文に残り、非プライムのPF・英訳は解釈指針(ⅲ)へ移って、コンプライ・オア・エクスプレインの対象外になったんだ。
迷いポイント 対象外になったので、CG報告書から消していい?
ハルカ
7割の会社が書いていたエクスプレインが、2026年版では消せるんですね。
先生
エクスプレイン欄からは外すんだ。ただ解釈指針は参照が期待されているから、原則1-2の取組み欄で状況を説明するのが自然だよ。ラボの判定も「△ 参照(対象外だが説明推奨)」にしてあるんだ。
💡 そうだったのか!
非プライムのPF・英訳は2026年版で
解釈指針へ(対象外)。エクスプレイン欄からは外し、取組み欄で説明します。
📘 ケース1 ステップ5 ラボの画面
| 項目 | 自社 | 判定 | 根拠・考え方 | 比較 |
|---|
| 独立社外取締役の数(原則4-10) | 2名/8名(25%) | ✔ 実施 | その他市場:2名以上 2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 6.9%(210/3,062社・2021年版 原則4-8) | 他社の記載 ↗ |
| 任意の指名・報酬委員会(原則4-7) | 未設置 | ✖ 要エクスプレイン/要対応 | 独立社外が過半数未満の監査役会/監査等委員会設置会社は、独立社外を主要構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置 2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 24%(734/3,062社・2021年版 補充原則4-10(1)) | 他社の記載 ↗ |
| 電子行使PF・招集通知英訳(原則1-2 解釈指針(ⅲ)) | PF未利用/英訳なし | △ 参照(対象外だが説明推奨) | 2026年版では非プライムのPF・英訳は解釈指針へ(コンプライ・オア・エクスプレインの対象外。原則1-2の取組みとして説明が望ましい) 2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 38.2%(1,171/3,062社・2021年版 補充原則1-2(4)) | 他社の記載 ↗ |
| 英語での情報開示(原則3-2) | 一部実施(合理的な範囲で進めている) | ✔ 実施 | 海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲で英語での情報の開示・提供を進める(コンプライ・オア・エクスプレインの対象。2026年版で単独の原則3-2に)。「合理的な範囲」で進めている内容と考え方を取組み欄で説明 2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 26.6%(813/3,062社・2021年版 補充原則3-1(2)) | 他社の記載 ↗ |
✖ の項目がエクスプレイン候補です。理由は「費用対効果」で終わらせず、自社の株主構成・規模・代替手段を具体的に書くのがポイントです(応用タブ B1)。
ケース1
判定結果を一覧にする
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース1 ステップ5
ハルカ
一覧にすると、✖は任意委員会の1件だけですね。英語での情報開示は「一部実施」で✔、招集通知の英訳が△です。
先生
その✖1件が、この会社のエクスプレイン候補だよ。英語での情報開示は決算短信の要約英訳など「合理的な範囲で進めている」ので✔。進めている範囲と考え方は取組み欄で書くんだ。表の「比較」列の「他社の記載 ↗」を押すと、ダッシュボードで同じ原則をエクスプレインしている会社の文章が読めるんだ。
迷いポイント エクスプレインの理由は「費用対効果」でいい?
ハルカ
「規模に照らして費用対効果を踏まえ…」で書けば大丈夫ですよね。
先生
それだけだと弱いんだ。株主構成、現在の体制(社外取締役の関与、監査役との連携)、見直しの時期まで書く。応用編B1の4要素だよ。同業の小売業163社では設置率 46.6% だから、半分近くが置いている中で置かない理由を書くことになるんだ。
💡 そうだったのか!
✖は
エクスプレイン候補。「他社の記載」で同業の書きぶりを読み、4要素で組み立てます。
📘 ケース2 ステップ4 ラボの画面
| 項目 | プライム市場の上乗せ | この会社 |
|---|
| 独立社外の数(4-10) | 1/3以上(その他市場は2名以上) | 4/10=40% ✔ |
| 任意委員会の構成(4-7) | 委員の過半数を独立社外に・構成の考え方を開示 | 設置済み。委員構成は開示欄で確認 |
| 電子行使PF(1-2) | 少なくとも機関投資家向けに利用可能に | 利用 ✔ |
| 支配株主あり(4-10第2段) | 独立社外を過半数(代替:特別委員会) | 該当なし |
プライムの1/3以上は満たす会社が 98.7% と大半ですが、過半数は 30.3%。4/10 の会社は「過半数未満 → 任意委員会」の典型的なゾーンです。
ケース2
プライム・独立4名/10名 ── 上乗せ要求を確認する
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース2 ステップ4
ハルカ
ケース2はプライムで、独立社外4名/10名の40%。任意委員会も電子行使プラットフォームもあります。
先生
プライムは「プライム市場上場会社は…」の上乗せが各所にあるんだ。表の4行を見て。独立社外1/3以上(10名なら4名以上)✔、任意委員会は委員の過半数を独立社外に・構成の考え方を開示、電子行使PFは機関投資家向けに利用可能に✔、と並んでいるんだ。
迷いポイント プライムで40%なら、独立社外取締役はもう十分?
ハルカ
1/3を超えているので、プライムとしても余裕がありますよね。
先生
最低ラインは満たしているよ。ただ過半数ではないから、原則4-7の任意委員会が必要で、この会社は設置済みだから✔なんだ。図の人数分布を見て。プライムで1/3以上は 98.7% が満たすけれど、過半数は 30.3%。4/10はプライムの典型的なゾーンだよ。
ハルカ
プライムの会社がほぼ全部1/3以上なら、1/3は要件というより、通過点なんですね。
先生
だから投資家は、次に過半数かどうかと委員会の中身を見るんだ。
💡 そうだったのか!
プライムの1/3以上は
ほぼ全社が満たす通過点。過半数(30%)に届かなければ任意委員会の構成と開示が問われます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- このケースの「このケースの条件で自社診断 ▶」を押す
- 「任意の指名・報酬委員会」を未設置に変える
👀 ✖ 要対応が 0件 → 1件になります。同じ4/10でも、委員会がなければプライムではエクスプレイン候補です。
ラボを開く ▶
📘 ケース5 ステップ3 ラボの図
ケース5
スタンダード・監査等委員会設置会社・独立3名/7名 ── 43%は過半数ではない
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース5 ステップ3
ハルカ
ケース5は監査等委員会設置会社です。図の7つの箱で、緑の「監査等委員(独立社外)」が2つと…。
先生
業務執行側に独立社外1名、合わせて3名/7名=42.9%だよ。監査等委員である社外取締役も、独立性を満たせば独立社外取締役の人数に数える。スタンダードの2名以上も、プライム基準の1/3以上も満たしているんだ。
迷いポイント 監査等委員会が指名・報酬に意見を言えるなら、任意委員会は要らない?
ハルカ
監査等委員会は株主総会で取締役の指名・報酬に意見を述べられますよね。それで任意委員会の代わりになりませんか。
先生
コードはそう書いていないんだ。原則4-7は監査等委員会設置会社も名指しして、過半数未満なら委員会を置くべきとしている。会社法の意見陳述権で代替できるとは書かれていないよ。だから監査等委員会に指名・報酬の諮問機能も持たせる設計か、別に委員会を置く設計のどちらかを決めるんだ。
ハルカ
3名で43%なのに、まだ✖が出るのは少し悔しいです。4名で過半数…あと1名が遠いですね。
先生
その「あと1名」で判定が変わるから、ラボで動かしてみようか。
💡 そうだったのか!
監査等委員の社外取締役は人数に入る。それでも
過半数(4名以上)に届かなければ原則4-7は残ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
- このケースの「このケースの条件で自社診断 ▶」を押す
- 「うち独立社外取締役」を 3 → 4 に変える
👀 4名/7名=57.1%で過半数になり、任意委員会の行が「設置義務の対象外 ✔」に変わります(✖ 1件 → 0件)。
ラボを開く ▶
📘 ケース6 ステップ2・3 ラボの図
ケース6
プライム・電子行使プラットフォーム未利用 ── 原則1-2と3-2は別
📍 ラボの場所:ケース・基礎タブ ケース6 ステップ2・3
ハルカ
ケース6はプライムなのに、電子行使プラットフォームを使っていません。
先生
2026年版の原則1-2本文は「プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とする」と書いているんだ。プライムの利用率は 95.0%。未利用はエクスプレインで、プライムでは説得力を持たせにくい項目だよ。
迷いポイント この会社は英訳もしていない。英文開示(原則3-2)もエクスプレイン?
ハルカ
招集通知の英訳をしていないので、英文開示も自動的に✖ですね。
先生
2つ目の図を見て。招集通知の英訳は原則1-2の解釈指針で対象外、英語での情報開示は原則3-2の本文でコンプライ・オア・エクスプレインの対象。別々に判定するんだ。この会社は英語での情報開示を何も進めていないから、原則3-2も✖。ラボの判定表には、原則1-2のPFと原則3-2の✖が2つ並ぶよ。
ハルカ
プライムで英訳なし、PFなし…。この会社、プライムの制服を着てスタンダードの靴を履いているみたいです。
先生
足元から直すなら、まず原則1-2のプラットフォームからだね。
💡 そうだったのか!
プライムのPF未利用は
原則1-2本文のエクスプレイン。英訳(解釈指針)と英文開示(原則3-2・C/E対象)は別に判定し、未実施なら原則3-2も✖です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- このケースの「このケースの条件で自社診断 ▶」を押す(✖ 2件)
- 「議決権電子行使プラットフォーム」を利用に変える
- 「英語での情報開示(原則3-2)」を一部実施に変える
👀 PFで✖ 2件 → 1件、英語開示を一部実施にすると 1件 → 0件。招集通知の英訳を「あり」にしても原則3-2の判定は動きません。別の原則だからです。
ラボを開く ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべてCGコードラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。
CGコードラボを開く ▶今日のまとめ ── 設例ごとの結論
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。独立社外取締役の判定は2段構え。最低ライン(プライム1/3以上・その他2名以上)を満たしても、過半数未満なら原則4-7の任意委員会が続く。監査等委員の社外取締役は人数に入り、プライムの電子行使プラットフォームは原則本文、招集通知の英訳(解釈指針)と英語での情報開示(原則3-2・C/E対象)は別の原則なんだ。
ハルカ
4つのケースを並べると、✖が出るかどうかより「あと1名」や「設置の有無」で判定が動くのが見えました。基礎編で教わった図を、ケースで動かしてやっと腑に落ちた感じです。
先生
図で考え方を覚えて、ケースで動かす。その順番でいいんだよ。
ハルカ
私の会社はケース1そのものなので、月曜日に「任意委員会の行」を会議で出してみます。先生、✖を1件抱えて出社する気分です。
先生
✖を把握して出社できる経理は頼もしいよ。次のケース・市場区分と支配株主編では、グロース市場と、親会社がいる会社の一段上の要件を見ていこうか。
参考資料
東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」(2026年7月21日改訂版・解釈指針を含む/2021年6月11日改訂版)、「コーポレートガバナンス報告書の更新について」(2026年7月21日更新)、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領」(2026年7月版)。ラボのケースはすべて匿名化した類型例で、実施率・エクスプレイン率は CG報告書ベンチマーク(収録 3,686社・2026-10-01時点)の集計です。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/ケース・市場区分と支配株主編(ケース3・4/応用2・5)/ケース・更新と機関設計の変更編(応用1・3・4・6)
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。