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CGコードラボ【ケース・更新と機関設計の変更編】|先生と一緒に図で学ぶ応用1・3・4・6 2026年版への更新・監査等委員会・エクスプレイン文・指名委員会等

CGコードラボ【ケース・更新と機関設計の変更編】|先生と一緒に図で学ぶ応用1・3・4・6 2026年版への更新・監査等委員会・エクスプレイン文・指名委員会等

無料の学習ツール「CGコードラボ」の読み方ガイドです。ラボのケースタブから、2021年版→2026年版への更新と機関設計の変更のケース(応用1・3・4・6)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📕 応用1 ラボの画面
2026年7月21日改訂コード公表(2026年7月版)定期更新総会後の更新は2021年版のままでも可(文言を記載)2027年7月31日2026年版に基づく更新の提出期限【コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)に基づき記載しています。】収録企業のうち2026年版ベースはまだ 39社。今後1年で入れ替わる
市場プライム
機関設計監査役会設置会社
取締役10名
独立社外4名(40%)
支配株主なし
任意委員会設置
PF/招集通知英訳利用/あり
英語での情報開示十分
版2021年6月版

現行の報告書では、補充原則2-4①(多様性の測定可能な目標)と補充原則4-1③(CEO後継者計画)をエクスプレインしているとします。いずれもプライム市場でエクスプレイン率上位の項目です(15.1%、10.5%)。

更新期限は2027年7月末日。それまでの定期更新は2021年版のままでもよいが、その場合は「【コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)に基づき記載しています。】」の文言を記載します。

はじめに

応用1 プライム・2021年版→2026年版への更新

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用1 ステップ1
ハルカ
応用1はプライムの会社が、2021年版で書いたCG報告書を2026年版に更新する話ですね。
先生
そうだよ。独立社外4名/10名、任意委員会あり、PF・英訳あり。現行の報告書では補充原則2-4①(多様性の測定可能な目標)と4-1③(CEO後継者計画)をエクスプレインしている設定なんだ。どちらもプライムで上位(15.1%・10.5%。2021年版ベースの会社での値)の項目なんだ。
ハルカ
図のタイムラインに、期限が赤で入っていますね。
先生
2027年7月31日だよ。それまでの定期更新は2021年版のままでもよいけれど、所定の文言を入れる。今日は応用1・3・4・6で、更新と機関設計の変更、エクスプレイン文の組み立てを追っていこうか。
ケース・応用タブの応用1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 応用1 ステップ2 ラボの画面
旧(2021年版)新(2026年版)扱い現在のエクスプレイン率
補充原則2-4(1) 多様性の測定可能な目標・人材育成方針原則2-2 本文原則本文へ(格上げ・統合)31.2%
補充原則4-1(3) CEO後継者計画原則4-3 本文原則本文へ(格上げ・統合)25.4%
補充原則1-2(4) 電子行使PF・招集通知英訳原則1-2 本文+解釈指針(ⅲ)分割(本文と解釈指針など)38.2%
補充原則3-1(2) 英語での情報開示原則3-2 本文原則本文へ(格上げ・統合)26.6%
補充原則4-10(1) 任意の指名・報酬委員会原則4-7 本文原則本文へ(格上げ・統合)24%
補充原則4-11(1) スキル・マトリックス等の開示原則4-13 本文・解釈指針原則本文へ(格上げ・統合)11.7%
補充原則4-11(3) 取締役会の実効性評価原則4-13 本文原則本文へ(格上げ・統合)15.9%
補充原則4-14(2) トレーニング方針の開示原則4-15 本文原則本文へ(格上げ・統合)3.3%

エクスプレインしていた2項目は、どちらも新原則に吸収されて対象のままです。項番を新原則(2-2、4-3)に書き換え、理由も新原則の文言に合わせて見直します。

開示欄の項番(旧4-11①→4-13、旧4-14②→4-15 など)も同時に読み替えます。全項目は「📜 対応表」タブで。

応用1

旧項番 → 新原則の対応を引く

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用1 ステップ2
ハルカ
表に、旧項番と新原則と「扱い」が並んでいますね。
先生
エクスプレインしていた補充原則2-4①は原則2-2の本文へ、4-1③は原則4-3の本文へ。どちらも「原則本文へ(格上げ・統合)」だから、対象のまま項番だけが変わるんだ。右端は収録企業の現在のエクスプレイン率だよ。
迷いポイント 補充原則が廃止されたなら、補充原則のエクスプレインは全部消せる?
ハルカ
補充原則そのものがなくなるなら、2-4①と4-1③のエクスプレインも消していいですよね。
先生
それが、そうではないのだよ。2つとも新しい原則に吸収されて対象のままなんだ。消せるのは「解釈指針へ」に移ったもの。この会社では該当がない。項番を2-2と4-3に書き換えて、理由も新原則の文言に合わせて見直すんだよ。
ハルカ
補充原則が消えたと聞いて、宿題が消えたと思っていました。宿題は名前を変えて残っていたんですね。
先生
提出先の表紙が変わっただけで、中身はそのままなんだよ。
💡 そうだったのか!
補充原則の廃止=エクスプレインの消滅ではない。原則本文へ格上げされた項目は対象のまま、項番を読み替えます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「2021→2026 対応表」タブを開く
  2. 検索欄に 4-10 と入れる

👀 補充原則4-10(1)(任意委員会→原則4-7)など 4項目に絞られ、行き先と扱い、現在のエクスプレイン率が並びます。

ラボを開く ▶
📕 応用1 ステップ3 ラボの画面

2021年版での判定

項目自社判定根拠・考え方
独立社外取締役の数(原則4-8)4名/10名(40%)✔ 実施プライム市場:取締役会の1/3以上(この員数なら4名以上)
任意の指名・報酬委員会(補充原則4-10(1))設置✔ 実施独立社外が過半数未満の監査役会/監査等委員会設置会社は、独立社外を主要構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置(プライムは委員の過半数を独立社外に・構成の考え方を開示)
議決権電子行使プラットフォーム(補充原則1-2(4))利用✔ 実施プライム市場は少なくとも機関投資家向けにプラットフォームを利用可能とすべき(原則本文)
英語での情報開示(補充原則3-1(2))十分に実施✔ 実施海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲で英語での情報の開示・提供を進める(コンプライ・オア・エクスプレインの対象。2026年版で単独の原則3-2に)

2026年版での判定

項目自社判定根拠・考え方
独立社外取締役の数(原則4-10)4名/10名(40%)✔ 実施プライム市場:取締役会の1/3以上(この員数なら4名以上)
任意の指名・報酬委員会(原則4-7)設置✔ 実施独立社外が過半数未満の監査役会/監査等委員会設置会社は、独立社外を主要構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置(プライムは委員の過半数を独立社外に・構成の考え方を開示)
議決権電子行使プラットフォーム(原則1-2)利用✔ 実施プライム市場は少なくとも機関投資家向けにプラットフォームを利用可能とすべき(原則本文)。招集通知の英訳は解釈指針(ⅲ)
英語での情報開示(原則3-2)十分に実施✔ 実施海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲で英語での情報の開示・提供を進める(コンプライ・オア・エクスプレインの対象。2026年版で単独の原則3-2に)

この会社は独立社外40%で1/3以上、任意委員会設置、PF利用済み、英語開示も実施しているので、形式要件は両版でコンプライ。違いは項番と、英語での情報開示が単独の原則(3-2)になった点です。

応用1

2021年版と2026年版で判定を比べる

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用1 ステップ3
ハルカ
左右に2つの判定表が並んでいます。✔の数は同じですね。
先生
この会社は独立社外40%で1/3以上、任意委員会設置、PF利用済み、英語での情報開示も実施しているから、形式要件は両版とも✔なんだ。違いは項番(4-8→4-10、補充原則4-10(1)→4-7、補充原則1-2(4)→1-2、補充原則3-1(2)→3-2)と、英語での情報開示が単独の原則3-2になった点だよ。
迷いポイント 判定が変わらないなら、報告書は項番の置換だけで済む?
ハルカ
✔が同じなら、Ctrl+Hで項番を置き換えれば更新完了ですね。
先生
置換で済むのは項番だけなんだ。新設・格上げされた原則(4-4 内部統制、4-5 サステナ、4-12 独立社外の機能発揮、4-15 研鑽方針、3-2 英文開示、1-3 相当数の反対)は、実施していても説明の具体性が問われる。次のステップの確認表がその一覧だよ。
💡 そうだったのか!
判定が同じでも、項番の読み替え+新設・格上げ原則の説明の見直しが要ります。置換だけでは終わりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「自社診断」タブで「🔁 版比較」モードにし、プリセット「プライム・独立4/10(2021→2026)」を選ぶ
  2. 「変わる点」列を読む

👀 4行とも「判定は同じ。項番が 原則4-8 → 原則4-10」のように、変わるのが項番だけであることが確認できます。

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📕 応用1 ステップ5 ラボの画面
手順内容
1「実施しない理由」欄の各項目を新原則の項番に読み替える。解釈指針に移った事項は欄から外し、原則の取組み欄へ
2新設・格上げされた原則(4-4、4-5、4-12、4-15、3-2、1-3)の実施状況を確認し、未実施ならエクスプレインを追加
3「各原則に基づく開示」欄の項番を更新(1-4、3-1、2-2、4-7、4-13、4-15)
42021年版に基づく旨の所定文言を削除する(東証が明記を求めているのは、移行期間中に2021年版で更新する場合の文言)。2027年7月末日までに提出
5ダッシュボードの「2026年版」フィルタで先行事例と比較し、記載の粒度をそろえる
応用1

更新作業のチェックリスト

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用1 ステップ5
ハルカ
更新の手順を順番にまとめると、どうなりますか。
先生
表の5手順だよ。①実施しない理由欄の項番を読み替え、解釈指針に移った事項は取組み欄へ。②新設・格上げ原則の実施状況を確認し、未実施ならエクスプレインを追加。③開示欄の項番を更新(1-4、3-1、2-2、4-7、4-13、4-15)。④2021年版に基づく旨の所定文言を削除(東証が明記を求めているのは、移行期間中に2021年版で更新する場合の文言)、2027年7月末日までに提出。⑤先行事例と粒度をそろえるんだ。
迷いポイント 内部統制報告書の「決定した事由」のように、理由を書く手順はある?
ハルカ
J-SOXラボで、評価範囲の「決定した事由」を報告書に書く手順をやりました。CG報告書の更新でも、理由を書く手順はあるんですか。
先生
よく覚えていたね。CG報告書では①と②がそれにあたるんだ。実施しない理由欄は項番を特定して理由を書く欄で、J-SOXの「決定した事由」と同じく自社の事情で書き分ける。ひな型を写すのではなく、なぜそうしたかを書くんだよ。
💡 そうだったのか!
更新は読み替え→新原則の確認→開示欄→文言→先行事例の5手順。理由は自社の事情で書き分けます。
📕 応用3 ステップ2 ラボの図
監査等委員会設置会社の取締役会(例:取締役7名)社長専務取締役取締役監査等委員(社内)監査等委員(独立社外)監査等委員(独立社外)独立社外取締役 2名/7名(28.6%)→ スタンダードなら2名以上を満たすが過半数未満 → 原則4-7 任意委員会監査等委員である社外取締役も「独立社外取締役」の人数に数える(独立性の要件を満たす場合)
応用3

監査役会設置会社→監査等委員会設置会社 ── 独立社外の数え方が変わる

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用3 ステップ2
ハルカ
応用3は、取締役6名(独立社外2名)+監査役3名の会社が、監査等委員会設置会社に移行する話です。
先生
移行前は社外監査役は取締役ではないから、独立社外取締役は2名/6名=33.3%。移行して社外監査役2名を監査等委員である社外取締役(独立役員届出)にすると、図のとおり取締役7名のうち独立社外3名=42.9%に上がるんだ。
迷いポイント 監査等委員会設置会社に移行すれば、任意委員会の論点は消える?
ハルカ
独立社外比率が上がるので、移行すれば任意委員会も要らなくなりますよね。
先生
42.9%はまだ過半数(4名以上)ではないんだ。原則4-7は監査等委員会設置会社も名指ししているから、論点は残る。移行で解消したのは「独立社外の数の余裕」で、任意委員会は依然として✖だよ。
ハルカ
監査役が取締役に名前を変えて座り直したら、比率が上がった…。席替えで成績が上がるのは、学校でも会社でも同じなんですね。
先生
席替えでは過半数には届かないから、委員会の設計が要るんだよ。
💡 そうだったのか!
移行で独立社外比率は上がるが、過半数に届かなければ原則4-7は残る。監査等委員会に諮問機能を持たせるか、別に委員会を置くかを決めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. このケースの「このケースの条件で自社診断 ▶」を押す
  2. 「機関設計」を監査役会設置会社に戻し、取締役 6・独立社外 2 に変える

👀 比率が 42.9% → 33.3% に下がりますが、✖はどちらも任意委員会の1件。移行の前後で✖の数は変わりません。

ラボを開く ▶
📕 応用3 ステップ3 ラボの画面
項目自社判定根拠・考え方比較
独立社外取締役の数(原則4-10)3名/7名(42.9%)✔ 実施その他市場:2名以上
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 6.9%(210/3,062社・2021年版 原則4-8)
他社の記載 ↗
任意の指名・報酬委員会(原則4-7)未設置✖ 要エクスプレイン/要対応独立社外が過半数未満の監査役会/監査等委員会設置会社は、独立社外を主要構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 24%(734/3,062社・2021年版 補充原則4-10(1))
他社の記載 ↗
電子行使PF・招集通知英訳(原則1-2 解釈指針(ⅲ))PF未利用/英訳あり△ 参照(対象外だが説明推奨)2026年版では非プライムのPF・英訳は解釈指針へ(コンプライ・オア・エクスプレインの対象外。原則1-2の取組みとして説明が望ましい)
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 38.2%(1,171/3,062社・2021年版 補充原則1-2(4))
他社の記載 ↗
英語での情報開示(原則3-2)一部実施(合理的な範囲で進めている)✔ 実施海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲で英語での情報の開示・提供を進める(コンプライ・オア・エクスプレインの対象。2026年版で単独の原則3-2に)。「合理的な範囲」で進めている内容と考え方を取組み欄で説明
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 26.6%(813/3,062社・2021年版 補充原則3-1(2))
他社の記載 ↗

移行で解消したのは「独立社外の数の余裕」。任意委員会は依然として✖です。監査等委員会に指名・報酬の諮問機能を持たせる設計か、別途委員会を置くかを決めます。

応用3

移行後の判定と随時更新

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用3 ステップ3
ハルカ
判定表では、独立社外の数は✔、任意委員会が✖のままですね。
先生
そうだよ。機関設計の変更はCG報告書の随時更新事由だから、変更後遅滞なく更新して、Ⅱ欄の機関設計・取締役の員数・独立社外の人数・任意委員会の有無を書き換えるんだ。実施しない理由欄も、監査等委員会の意見陳述権との関係を踏まえて書き直すよ。
迷いポイント 定期更新のタイミングまで待ってまとめて直せばいい?
ハルカ
次の総会後の定期更新で、まとめて書き換えればいいですよね。
先生
機関設計の変更は随時更新の対象だから、遅滞なくなんだ。総会で定款変更して移行した直後に、Ⅱ欄を書き換えた報告書を出すのが通常の流れだよ。
💡 そうだったのか!
機関設計の変更は随時更新事由。Ⅱ欄の構成と、任意委員会のエクスプレインを遅滞なく書き直します。
📕 応用4 ステップ2・3 ラボの画面

悪い例:「多様性の確保については、当社の規模に照らして今後検討してまいります。」── 項番がなく、状況も理由もない。

良い例(前半):「【原則2-2 社内の多様性の確保】当社は従業員約300名の製造業であり、管理職候補となる技能職層に女性が少ない(技能職の女性比率X%)という状況にあります。」── 項番を特定し、判断の前提になる事実を数字で示す。

③:「このため、現時点で管理職登用の数値目標を設定することは、実態と乖離した目標となるおそれがあり、設定していません。」── 「規模」ではなく、目標を置けない構造的理由。

④:「一方、中途採用者の管理職比率(現在Y%)と技能職の女性採用比率については社内目標を置き、人材育成方針・社内環境整備方針とともに開示しています。女性管理職登用の数値目標は、技能職の女性比率が○%に達した段階で設定することを予定しています。」── 代替の測定可能な指標と、見直しの条件。

原則2-2は「ジェンダー・国際性・経歴・年齢・文化的背景やこれらに限られない観点」としているため、ジェンダー以外の軸で測定可能な目標を置くことで部分的にコンプライに近づける整理もあります。

応用4

エクスプレイン文を組み立てる ── 多様性の測定可能な目標

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用4 ステップ2・3
ハルカ
応用4は、従業員300名の製造業で女性管理職ゼロ。原則2-2の数値目標を置けない会社ですね。
先生
画面の「悪い例」を見て。「多様性の確保については、当社の規模に照らして今後検討してまいります。」項番がなく、状況も理由もない。「良い例」は【原則2-2】と項番を特定して、従業員約300名の製造業、技能職層に女性が少ないという事実を数字で示しているんだ。
迷いポイント 理由は「規模が小さいから」でいい?
ハルカ
300名の会社なら「規模に照らして」で十分に理由になりませんか。
先生
規模は状況であって理由ではないんだ。良い例の③は「現時点で数値目標を設定すると実態と乖離した目標となるおそれがある」という構造的な理由。④は中途採用者の管理職比率や技能職の女性採用比率という代替の測定可能な指標と、「技能職の女性比率が○%に達した段階で設定する」という見直しの条件だよ。
ハルカ
ジェンダー以外の軸で測定可能な目標を置く手もあるんですね。
先生
原則2-2は「ジェンダー・国際性・経歴・年齢・文化的背景やこれらに限られない観点」としているから、中途採用や経歴の軸で目標を置いて、部分的にコンプライに近づける整理もあるんだ。
💡 そうだったのか!
エクスプレインは項番→状況(数字)→構造的な理由→代替指標と見直し条件。「規模」は状況であって理由ではありません。
📕 応用4 ステップ4 ラボの図
2026年版で「開示すべき」とされる主な事項(CG報告書「各原則に基づく開示」欄)原則1-4政策保有株式の方針・検証結果・議決権行使基準原則3-1経営理念・戦略、CG基本方針、報酬・選解任の方針と手続、個々の説明原則4-7任意委員会の独立性の考え方・権限・役割(プライム)原則2-2多様性の考え方と測定可能な目標、人材育成・環境整備方針原則4-13備えるべきスキルと組み合わせ、実効性評価の結果概要原則4-15研鑽の機会の提供の方針原則1-1対話促進の方針(取締役会で検討・承認)原則2-4企業年金の人事・運営面の取組み2021年版では補充原則2-4①・4-10①・4-11①・4-14②などが該当。項番の読み替えが必要
応用4

開示欄との関係 ── 2つの欄に書き分ける

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用4 ステップ4
ハルカ
同じ原則2-2が、開示欄とエクスプレイン欄の両方に出るんですか。
先生
図の開示マップに原則2-2があるんだ。多様性の考え方・人材育成方針・社内環境整備方針は開示欄に書く事項。目標を置かないのはエクスプレイン。同じ原則が2つの欄に、違う内容で出るんだ。
迷いポイント 開示欄に方針を書いたら、目標のエクスプレインは不要?
ハルカ
開示欄で方針をしっかり書いておけば、目標の話は省略できますよね。
先生
欄が違うから両方に書くんだ。基礎編③で見たとおり、開示欄は「開示すべき」事項の記載、実施しない理由欄は項番を特定した理由。同業の女性管理職比率や男女賃金差異の実数値は、人的資本ベンチマークで確かめられるから、説明の根拠に使えるよ。
ハルカ
2つの欄に同じ原則…。願書の志望理由欄と自己PR欄に、同じ話を違う角度で書くようなものですね。
先生
両方読まれる前提で、矛盾しないように書くのが大事だよ。
💡 そうだったのか!
原則2-2は方針は開示欄、目標はエクスプレイン欄の書き分け。実数値はデータで裏づけます。
📕 応用6 ステップ2・3 ラボの画面
市場別の機関設計(収録企業)プライム(1,543社)43.9%50.7%スタンダード(1,551社)52.3%46.8%グロース(592社)57.3%42.1%監査役会設置会社監査等委員会設置会社指名委員会等設置会社
項目自社判定根拠・考え方比較
独立社外取締役の数(原則4-10)5名/11名(45.5%)✔ 実施プライム市場:取締役会の1/3以上(この員数なら4名以上)
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 6.9%(210/3,062社・2021年版 原則4-8)
他社の記載 ↗
指名・報酬委員会(原則4-7)法定委員会あり✔ 実施指名委員会等設置会社は法定の指名・報酬委員会があるため、任意の仕組みは不要
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 24%(734/3,062社・2021年版 補充原則4-10(1))
他社の記載 ↗
議決権電子行使プラットフォーム(原則1-2)利用✔ 実施プライム市場は少なくとも機関投資家向けにプラットフォームを利用可能とすべき(原則本文)。招集通知の英訳は解釈指針(ⅲ)
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 38.2%(1,171/3,062社・2021年版 補充原則1-2(4))
他社の記載 ↗
英語での情報開示(原則3-2)十分に実施✔ 実施海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲で英語での情報の開示・提供を進める(コンプライ・オア・エクスプレインの対象。2026年版で単独の原則3-2に)
2021年版ベースの会社のエクスプレイン率 26.6%(813/3,062社・2021年版 補充原則3-1(2))
他社の記載 ↗

任意委員会の行が「法定委員会あり ✔」に変わります。独立社外の数(1/3以上)は変わらず✔。

監査委員会の構成(社外取締役が過半数)と、原則4-13(監査委員に財務・会計の知見)の整理も忘れずに。

応用6

指名委員会等設置会社への移行 ── 任意委員会の論点が消える

📍 ラボの場所:ケース・応用タブ 応用6 ステップ2・3
ハルカ
応用6はプライムで独立社外5名/11名=45.5%。任意委員会を置いていた会社が、指名委員会等設置会社に移行します。
先生
指名委員会等設置会社では、指名・報酬・監査の各委員会が会社法上の法定機関(各委員会の過半数は社外取締役)。だから原則4-7の「任意の仕組み」の論点はなくなって、判定表の行が「法定委員会あり ✔」に変わるんだ。収録企業では 100社(2.7%)、プライムに集中しているよ。
迷いポイント 法定の委員会になれば、委員会の開示も不要になる?
ハルカ
法定になったら、委員会について説明する必要もなくなりますよね。
先生
論点が変わるんだ。委員会の独立性・権限・役割の開示、執行役への権限委譲と取締役会の監督機能(原則4-1〜4-3)の説明が中心になる。原則4-13の「監査委員に財務・会計の知見」も忘れずにね。
ハルカ
任意委員会の✖を消すために機関設計を変える…。宿題を消すために転校するみたいです。
先生
転校先には転校先の宿題があるんだよ。
💡 そうだったのか!
指名委員会等設置会社は任意委員会が不要。代わりに委員会の独立性・権限と、権限委譲・監督の説明が中心になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. このケースの「このケースの条件で自社診断 ▶」を押す
  2. 「機関設計」を監査役会設置会社に、「任意の指名・報酬委員会」を未設置に変える

👀 任意委員会の行が「法定委員会あり ✔」から「未設置 ✖」に変わります(✖ 0件 → 1件)。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてCGコードラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

CGコードラボを開く ▶
続けて読む📗 基礎編 ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見るノートを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
応用1 ステップ2補充原則が廃止されたらエクスプレインは消せる?原則本文へ格上げされた項目は対象のまま。項番を読み替える
応用1 ステップ3判定が同じなら項番の置換だけ?新設・格上げ原則(4-4・4-5・4-12・4-15・3-2・1-3)の説明を見直す
応用1 ステップ5理由を書く手順はある?実施しない理由欄は項番を特定し自社の事情で書き分ける
応用3 ステップ2監査等委員会に移行すれば任意委員会は不要?比率は上がるが過半数未満なら原則4-7は残る
応用3 ステップ3定期更新までまとめて直せばいい?機関設計の変更は随時更新事由。遅滞なく
応用4 ステップ2・3理由は「規模が小さいから」でいい?規模は状況。構造的な理由と代替指標・見直し条件を書く
応用4 ステップ4開示欄に方針を書けば目標のエクスプレインは不要?欄が違う。方針は開示欄、目標はエクスプレイン欄
応用6法定委員会なら開示も不要?任意委員会の論点は消えるが、委員会の独立性・権限と権限委譲の説明が中心に
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。補充原則の廃止はエクスプレインの消滅ではない。原則本文に格上げされた項目は項番を読み替えて残し、新設・格上げ原則は説明の具体性を見直す。機関設計の変更は随時更新で、監査等委員会への移行では比率が上がっても過半数未満なら任意委員会が残る。エクスプレイン文は項番・状況・理由・代替と見直しで組み立てるんだ。
ハルカ
シリーズを通して、最初は「✔か✖か」を数えていたのに、最後は「✖をどう説明するか」と「✔でも何を書くか」を考えるようになりました。基礎編で先生が「説明の質が問われる」と言った意味が、応用4の悪い例と良い例でやっと分かりました。
先生
その順番で理解が進んだなら、このラボの読み方は正しかったよ。
ハルカ
月曜日の会議資料は、まず「今後検討してまいります」を全文検索して、3か所とも見直しの時期を書き足しました。検討を事業にしない宣言です。
先生
それがこのシリーズ一番の成果だね。ここまで読めたら、基礎編からもう一度読み返してみようか。コードの階層の図が、きっと違って見えるよ。

参考資料

東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」(2026年7月21日改訂版・解釈指針を含む/2021年6月11日改訂版)、「コーポレートガバナンス・コード 改訂前からの変更点」、「コーポレートガバナンス報告書の更新について」(2026年7月21日更新)、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領」(2026年7月版)。ラボのケースはすべて匿名化した類型例で、実施率・エクスプレイン率は CG報告書ベンチマーク(収録 3,686社・2026-10-01時点)の集計です。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/ケース・独立社外取締役と任意委員会編(ケース1・2・5・6)/ケース・市場区分と支配株主編(ケース3・4/応用2・5)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。