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リース会計ラボ【設例・基本の計算編】|先生と一緒に図で学ぶ設例9・10 現在価値・利息法・貸手の分類

無料の学習ツール「リース会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、基本の計算の設例(設例9-1〜9-3・設例10)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例9-1 ラボの図
借手のリース料の総額 90,000リース負債(現在価値) 75,753利息 14,247割引率 年7%(月ごとに 0.583%)で割り引く割引率は ①貸手の計算利子率を知り得ればそれ、②知り得なければ借手の追加借入利子率
はじめに

設例9-1 機械装置 ── 月額1,500×60回を現在価値にする

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例9-1
ハルカ
機械装置を5年間、月額1,500で借ります。支払は毎月末で、合計90,000です。負債はいくらになるんですか。
先生
借手は貸手の計算利子率を知らないので、追加借入利子率 年7%を月割りにした 0.583% で、60回分を割り引くんだ。左の図のとおり、リース負債は 75,753、差額の 14,247 が利息相当額になる。前払や付随費用がないので、使用権資産も 75,753 だよ。
ハルカ
今日はこの設例を、借手・簡便法・貸手の順に見ていくんですね。
先生
そうだよ。そのあと、前払いの設例9-2、貸手に残存価額がある設例9-3、割安購入選択権の設例10へ進もうか。
設例・基礎タブの設例9-1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例9-1 ラボの図
20,038X119,090X218,074X316,984X415,814X5支払利息(利息法:逓減)減価償却費(定額)旧基準でOLだった場合の定額の賃借料 18,000
四半期の減価償却費 = 75,753 ÷ 5年 × 3/12 = 3,788(年間 15,151)
🧾 期中決算日(第3回支払日)
X1年6月30日:第3回支払
借方金額貸方金額
リース負債1,070現金預金1,500
支払利息430
X1年6月30日:3か月分の償却(リース期間5年・残存ゼロ)
借方金額貸方金額
減価償却費3,788減価償却累計額3,788
年度期首負債支払額利息期末負債うち流動使用権資産 期首減価償却期末費用合計
X175,75318,0004,88762,64014,06075,75315,15160,60220,038
X262,64018,0003,93948,58015,07760,60215,15145,45119,090
X348,58018,0002,92333,50316,16745,45115,15130,30018,074
X433,50318,0001,83317,33617,33630,30015,15115,14916,984
X517,33618,0006650015,14915,149015,814
設例9-1 ①

借手の決算 ── 償却は定額、利息は初めほど多い

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例9-1 ステップ4
ハルカ
四半期ごとに償却するそうですね。金額はどう出すんですか。
先生
使用権資産 75,753 をリース期間5年で割って、3か月分で 3,788 だよ(年間 15,151)。左の仕訳のとおり、第3回の支払 1,500 は、リース負債の返済 1,070 と支払利息 430 に分かれるんだ。
迷いポイント 費用(利息+償却)は、毎年同じ額になる?
ハルカ
毎月同じ1,500を払うので、費用も毎年同じですよね。
先生
左の年次表を見て。償却は毎年 15,151 で同じだけれど、利息は残高が大きい初めの年ほど多い。費用合計は X1年度の 20,038 から、X5年度の 15,814 まで減っていくんだ。B/Sでは、X1年度末の負債 62,640 のうち 14,060 を流動負債に表示するよ。
💡 そうだったのか!
費用は初めの年ほど大きくなります。定額の賃借料だった旧オペレーティング・リースとの大きな違いです。
📘 設例9-1 ラボの図
X1X2X3X4X5① 利息法② 利息控除なし③ 定額配分

使用権資産総額に重要性が乏しい場合(10%未満)に選べる方法です(適用指針第40項)。

① 利息法(原則)② 利息を控除しない③ 利息を定額配分
開始日の負債・資産75,75390,00075,753
毎月の支払利息(第1回)4420237
毎月の元本返済(第1回)1,0581,5001,263
年間の減価償却費15,15118,00015,151
1年目の費用合計20,03818,00018,000
🧾 ②③の第1回支払
② 利息を控除しない方法:負債はリース料総額、支払は全額元本
借方金額貸方金額
リース負債1,500現金預金1,500
③ 定額配分:利息総額 14,247 ÷ 60回 = 237/月
借方金額貸方金額
リース負債1,263現金預金1,500
支払利息237
設例9-1 ②

簡便法 ── 利息を控除しない/定額で配分する

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例9-1 ステップ5
ハルカ
使用権資産の総額に重要性がない会社は、もっと楽な方法を選べるんですよね。
先生
未経過リース料の割合が10%未満なら、2つの方法から選べるよ。左の表の②利息を控除しない方法では、負債はリース料の総額 90,000 で、支払は全額が元本の返済になる。③定額配分では、負債は 75,753 のまま、利息総額 14,247 を60回で割った 237 を毎月の利息にするんだ。
迷いポイント 簡便法を選ぶと、費用の総額が変わる?
ハルカ
②は利息がゼロなので、得をするんですよね。
先生
総額は変わらないんだ。②は利息がない代わりに、償却費が年 18,000 に増える。1年目の費用は、①利息法の 20,038 に対して、②③はどちらも 18,000 だよ。違うのは各年への配分なんだ。
💡 そうだったのか!
簡便法は費用の総額を変えず、各年への配分を平らにする方法です。②を選ぶと、B/Sの負債と使用権資産は総額 90,000 になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「⚖️ 簡便法の比較」→ プリセット「設例9-1型:機械装置」
  2. 「割引率(年%)」を 7 → 5 に変える

👀 ①利息法と③定額配分の開始日の負債は 75,753 → 79,486 に増えますが、②利息控除なしは 90,000 のままです。

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📘 設例9-1 ラボの図
現在価値基準:貸手のリース料の現在価値 ÷ 現金購入価額(計算利子率 7.987%)基準 90%100% ○経済的耐用年数基準:貸手のリース期間 ÷ 経済的耐用年数基準 75%62.5% ×判定:所有権移転外ファイナンス・リース(リース投資資産)
🧾 貸手(リース会社型)
X1年4月1日:現金購入価額でリース投資資産を計上(適用指針第71項(2)①)
借方金額貸方金額
リース投資資産74,000買掛金74,000
X1年4月30日:第1回回収。利息 = 74,000 × 0.666% = 493
借方金額貸方金額
現金預金1,500リース投資資産1,007
受取利息493
X2年3月31日:第12回回収(決算日)
借方金額貸方金額
現金預金1,500リース投資資産1,084
受取利息416
設例9-1 ③

貸手 ── 計算利子率7.987%で割り引くと100%

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例9-1 ステップ6〜7
ハルカ
同じ契約を貸手から見ると、どうなるんですか。
先生
貸手は現金購入価額 74,000 を知っているので、リース料の現在価値が 74,000 と等しくなる計算利子率 7.987% を解くんだ。見積残存価額がゼロなので、現在価値は 74,000 と一致して 100%、90%以上なのでファイナンス・リースになるよ。
迷いポイント 経済的耐用年数基準(5年÷8年=62.5%)を満たさないなら、オペレーティング・リース?
ハルカ
耐用年数の基準は満たしていないので、少し不安です。
先生
どちらか一方を満たせばいいんだ。所有権移転条項などもないので、所有権移転外ファイナンス・リースで、リース投資資産 74,000 を計上する。左下の仕訳のとおり、第1回の回収 1,500 は、投資資産の回収 1,007 と受取利息 493 に分かれるよ。
ハルカ
借手は 75,753、貸手は 74,000…。同じ機械なのに、帳簿に載る額が違うんですね。
先生
使う利率が違うからなんだ。借手は自分の追加借入利子率 7%、貸手は計算利子率 7.987% で割り引いているよ。
💡 そうだったのか!
貸手は計算利子率で分類し、リース投資資産を現金購入価額で計上します。借手と貸手で計上額が違うのは、使う割引率が違うためです。
📘 設例9-2 ラボの図
借手のリース料の総額 90,000リース負債(前払い) 76,195利息 13,805割引率 年7%(月ごとに 0.583%)で割り引く割引率は ①貸手の計算利子率を知り得ればそれ、②知り得なければ借手の追加借入利子率
🧾 前払い
リース開始日:使用権資産とリース負債の計上
借方金額貸方金額
使用権資産76,195リース負債76,195
リース開始日(第1回支払・期首払い):利息はまだ発生していないので全額が元本の返済
借方金額貸方金額
リース負債1,500現金預金1,500
第2回支払日:利息法で利息と元本に分ける(利息=前回支払後の元本×0.583%)
借方金額貸方金額
リース負債1,064現金預金1,500
支払利息436
設例9-2

前払いと後払い ── 第1回を割り引くかどうか

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例9-2
ハルカ
同じ契約で、支払を当月分の前払いにするとどうなりますか。
先生
前払いでは、第1回を開始日に払うので割り引かないんだ。左の図のとおり、リース負債は 1,500+59回分の現在価値で 76,195。月末払いの 75,753 より 442 大きくなるよ。開始日の第1回の支払は、利息がまだ発生していないので全額が元本の返済なんだ。
迷いポイント 前払いの方が早く払うので、負債は小さくなる?
ハルカ
早く払う方が、残る負債は小さくなりそうですけど…。
先生
計上するときの負債は、割り引かない第1回の分だけ大きくなるんだ。逆に後払い(翌月初払い)では、決算日に1か月分の経過利息を未払利息として計上し、翌期首に洗い替えるよ。
ハルカ
早く払ったのに、負債は大きい…。早起きしたのに遅刻した気分です。
先生
第1回を割り引かない分だけ、スタートが早いということなんだよ。
💡 そうだったのか!
前払いは第1回を割り引かないので、開始日の負債・使用権資産が大きくなります。後払いでは決算日に未払利息を計上します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🏁 開始日の計上」→ プリセット「設例9-2型:前払い」
  2. 「割引率(年%・追加借入利子率など)」を 7 → 5 に変える

👀 リース負債(開始日)が 76,195 → 79,817 に、利息相当額の総額が 13,805 → 10,183 に変わります。

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📘 設例9-3 ラボの図
現在価値基準:貸手のリース料の現在価値 ÷ 現金購入価額(計算利子率 8.706%)基準 90%95.7% ○経済的耐用年数基準:貸手のリース期間 ÷ 経済的耐用年数基準 75%62.5% ×判定:所有権移転外ファイナンス・リース(リース投資資産)
設例9-3

貸手に見積残存価額がある ── 計算利子率には含め、リース料には含めない

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例9-3
ハルカ
今度は、貸手が5年後の機械を 5,000 で見積もっている例ですね。借手の処理は変わりますか。
先生
借手は残価を保証していないので、借手の処理は設例9-1と同じで、負債は 75,753 だよ。変わるのは貸手なんだ。リース料の現在価値と見積残存価額 5,000 の現在価値の合計が現金購入価額 76,000 と等しくなるように解くと、計算利子率は 8.706% になるよ。
迷いポイント 保証されていない見積残存価額は、貸手のリース料に入れる?
ハルカ
5年後に 5,000 で戻ってくるなら、それもリース料に入れるんですよね。
先生
保証されていない残存価額は、貸手のリース料には含めないんだ。計算利子率を求めるときだけ現在価値の合計に入れる。だから現在価値基準は、リース料だけの現在価値 72,760 ÷ 76,000 = 95.7% で、90%以上なのでファイナンス・リースになるよ。
ハルカ
貸手は、5年後の機械の「残り福」まで数えているんですね。
先生
福かどうかは、5年後の相場しだいだけれどね。
💡 そうだったのか!
保証されていない見積残存価額は、計算利子率には含め、貸手のリース料(現在価値基準)には含めません。終了時は見積残存価額で貯蔵品などに振り替えます。
📘 設例10 ラボの図
13,605X112,662X211,652X310,568X49,407X5支払利息(利息法:逓減)減価償却費(定額)旧基準でOLだった場合の定額の賃借料 18,000
所有権が移転すると認められるリース → 耐用年数 8年(経済的使用可能予測期間)、残存価額 7,681(10%)、自己所有と同じ定額法 年間償却費 = (76,811 - 7,681) ÷ 8年 = 8,641
🧾 1年目の決算
1年目の決算:使用権資産の減価償却(経済的耐用年数 8年・定額法・残存価額7,681)
借方金額貸方金額
減価償却費8,641減価償却累計額(使用権資産)8,641
年度期首負債支払額利息期末負債うち流動使用権資産 期首減価償却期末費用合計
X176,81118,0004,96463,77513,97976,8118,64168,17013,605
X263,77518,0004,02149,79614,98968,1708,64159,52912,662
X349,79618,0003,01134,80716,07259,5298,64150,88811,652
X434,80718,0001,92718,73518,73550,8888,64142,24710,568
X518,73519,5007660042,2478,64133,6069,407

リース期間5年より長い8年で償却するため、リース期間終了時にも使用権資産が残り、購入後は自己所有の固定資産として償却を続けます(第37項、適用指針第43項(2))。

設例10

割安購入選択権 ── 償却は「自分の物」と同じ

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例10
ハルカ
5年後に 1,500 で買い取れる権利がついていて、買い取るのは合理的に確実です。負債はどうなりますか。
先生
行使価額 1,500 の現在価値を負債に加えるんだ。リース負債は 76,811 で、設例9-1より 1,058 大きいよ。
迷いポイント 償却期間は、リース期間の5年でいい?
ハルカ
5年で返す約束なので、償却も5年ですよね。
先生
所有権が移転すると認められるので、償却は自己所有と同じにするんだ。左の仕訳と年次表のとおり、経済的耐用年数8年・残存価額 7,681(10%)の定額法で、年間の償却費は 8,641 になる。リース期間が終わっても使用権資産が残り、買い取ったあとは自社の固定資産として償却を続けるんだよ。
ハルカ
借りたつもりが、いつの間にか自分の物になっていました。
先生
買うことが最初から確実なら、最初から自分の物として扱う、という考え方なんだ。貸手の側も、所有権移転ファイナンス・リースとしてリース債権を計上するよ。
💡 そうだったのか!
購入オプションの行使が合理的に確実なら、行使価額を負債に含め、償却は経済的耐用年数で自己所有と同じ方法にします。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🏁 開始日の計上」→ プリセット「設例10型:割安購入選択権」
  2. 「購入オプションの行使価額」を 1500 → 3000 に変える

👀 リース負債(開始日)が 76,811 → 77,869 に増えます。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてリース会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

リース会計ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例9-1負債はリース料の総額(90,000)?追加借入利子率7%で割り引いた 75,753
設例9-1費用は毎年同じ?初めの年ほど大きい(20,038 → 15,814)
設例9-1簡便法で費用の総額が減る?総額は同じ。各年への配分が平らになる
設例9-1耐用年数基準(62.5%)を満たさないならOL?現在価値基準100%を満たすのでファイナンス・リース
設例9-2前払いは負債が小さい?第1回を割り引かないので大きい(76,195)
設例9-3見積残存価額は貸手のリース料に入れる?入れない。計算利子率を求めるときだけ含める
設例10償却はリース期間の5年?経済的耐用年数8年・自己所有と同じ方法
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。負債はリース料を追加借入利子率で割り引いた現在価値で、費用は初めの年ほど大きい。前払いは第1回を割り引かないので負債が大きく、貸手は計算利子率で分類する。購入が確実なら、償却は自分の物と同じなんだ。
ハルカ
利息は初めが多くて、だんだん減っていく…。私の週末のパン代と同じです。給料日のあとが一番多くて、月末にはパンの耳だけになります。
先生
利息法とちがって、パン代は毎月リセットされるところが救いだね。
ハルカ
はい。来月こそは、定額配分を目指します。
先生
それは簡便法ではなく、立派な家計管理だよ。次の特殊なリース料編では、残価保証や変動リース料を見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」/企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(同・設例)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、適用指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・識別編(設例1〜7)/設例・リース期間編(設例8)/設例・特殊なリース料編(設例11〜14)/設例・契約変更・見直し編(設例15〜17)/設例・サブリース・経過措置編(設例18〜20)
サイト内の関連:新リース基準(第34号)まとめ/リース管理台帳・仕訳ジェネレーターβ

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。