リース会計ラボ【設例・契約変更・見直し編】|先生と一緒に図で学ぶ設例15〜17 縮小・延長・見直し・重要性
無料の学習ツール「リース会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、契約条件の変更と見直しの設例(設例15-1〜15-5・16・17)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📕 設例15-1 ラボの図
○
原資産の追加により、使用する権利が追加され、範囲が拡大するか3,000㎡の追加 → 拡大
○
増額が、拡大部分の独立価格に適切な調整を加えた額か市場賃料+契約状況の調整 → 独立価格相当
独立したリースとして処理(適用指針第44項)元の2,000㎡のリースの会計処理は修正しない。
はじめに
設例15-1 独立したリース ── 元のリースは触らない
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例15-1
ハルカ
2,000㎡の事務所を借りていて、途中で同じ建物の3,000㎡を追加しました。元の契約ごと測り直すんですか。
先生
左の判定を見て。①原資産の追加で使う権利が増え、範囲が拡大している、②増額が追加部分の独立価格(市場賃料に契約の状況を反映した調整を加えた額)に見合っている。この2つを満たすので、追加分は独立したリースとして処理するんだ。
先生
元のリースは、割引率も償却も変えないよ。追加の3,000㎡を、使えるようになった日にその時点の追加借入利子率で新しく計上するだけなんだ。今日は設例15の5つの型を見て、そのあと契約変更のない見直しの設例16、重要性が変わる設例17へ進もうか。
設例・応用タブの設例15-1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例15-2 ラボの図
負債の減少 = 138,604 × 40% = 55,442
資産の減少 = 124,196 × 40% = 49,678
差額 = 5,764 → 利益
🧾 X5年4月1日:範囲の縮小(適用指針第45項(2)①)
面積比で負債と資産を減額| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| リース負債 | 55,442 | 使用権資産 | 49,678 |
| | リース解約益 | 5,764 |
設例15-2
面積の縮小 ── 比例して減らし、差額は利益
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例15-2
ハルカ
5,000㎡の事務所を3,000㎡に減らしました。40%減です。
先生
範囲の縮小なので、負債も資産も40%減らすんだ。この設例では、縮小には変更前の割引率を使っているよ。変更前のリース負債 138,604 の40%で 55,442、使用権資産 124,196 の40%で 49,678 を減らす。左の仕訳のとおり、差額の 5,764 はリース解約益になるんだ。
迷いポイント 面積を減らしたのに、どうして利益が出る?
ハルカ
借りる面積が減っただけなのに、利益というのは不思議です。
先生
償却は定額で進むのに、負債の返済は後ろ寄りだから、途中の時点では負債の方が資産より大きいんだ。同じ40%を減らすと、負債の減少の方が大きくなって、その差が利益になるよ。そのあとの単価の改定(年額 27,000)は、負債の修正額 12,579 を使用権資産に加えるだけで、損益は出ないんだ。
💡 そうだったのか!
範囲の縮小は、
負債と資産を同じ割合で減らし、差額を損益にします。途中の時点では通常、負債の方が大きいので利益が出ます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「🔧 条件変更・見直し」→ プリセット「設例15-2型:面積縮小+単価改定」
- 「縮小の割合(%・面積減のとき)」を 40 → 50 に変える
👀 損益に計上する額が 5,764 → 7,204、変更後の使用権資産が 87,097 → 88,537 に変わります。変更後のリース負債 95,741 は、変更後の年額で決まるので変わりません。
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📕 設例15-3 ラボの図
🧾 X6年4月1日:拡大
独立したリースにはならず、既存リースの再測定として処理(第44・45項)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 使用権資産 | 104,973 | リース負債 | 104,973 |
設例15-3
拡大と縮小が同時に ── 要素ごとに順に処理
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例15-3
ハルカ
1,000㎡を追加して、同時に契約期間を10年から8年に短くしました。追加の増額は独立価格相当ではありません。
先生
要素ごとに分けて処理するんだ。まず、期間の短縮は範囲の縮小なので、変更前の割引率6%で負債を 123,148、資産を期間比で 117,761 減らして、差額 5,387 は利益になる。次に割引率を7%に更新して、負債と資産を 3,896 ずつ減らす。最後に、追加の1,000㎡を7%で測った 104,973 を負債と資産に加えるよ。
ハルカ
縮小、割引率の更新、拡大…。1回の合意で3回も仕訳を切るなんて、三段跳びみたいです。
先生
跳ぶ順番は、この設例では縮小、割引率、拡大の順なんだ。
迷いポイント 範囲の拡大があれば、独立したリースになる?
ハルカ
面積を追加したので、設例15-1のように独立したリースにはならないんですか。
先生
独立したリースになるのは、増額が独立価格相当のときだけなんだ。この設例では相当でないので、既存のリースの再測定として処理するよ。左の図のとおり、変更後の負債は 314,918、使用権資産は 277,718 で、差額として利益 5,387 が出ているんだ。
💡 そうだったのか!
複合的な変更は、
縮小・割引率の更新・拡大を順に処理します。損益が出るのは縮小の部分だけです。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「🔧 条件変更・見直し」→ プリセット「設例15-3型:期間短縮(+拡大は賃料変更で)」
- 「変更時点の割引率(年%)」を 7 → 6 に変える
👀 変更後のリース負債が 314,918 → 320,761 に変わりますが、損益に計上する額は 5,387 のままです。縮小の部分は変更前の割引率で処理しているためです。
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📕 設例15-4 ラボの図
×
原資産の追加による範囲の拡大か期間の延長であり原資産の追加ではない → 独立したリースではない
○
その他の変更(期間・リース料)→ 再測定して使用権資産に加減(第45項(2)②)
修正後の負債 = Σ 90,000 ÷ 1.07^k(k=1〜7年) = 485,036
増加額 = 485,036 - 311,860 = 173,176
🧾 X7年4月1日
損益なし。以後は7%の利息法、資産は残り7年で償却| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 使用権資産 | 173,176 | リース負債 | 173,176 |
設例15-4
期間の延長 ── 修正額を使用権資産に加えるだけ
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例15-4
ハルカ
10年契約を3年延長しました。年額は変わりません。
先生
左の判定のとおり、原資産の追加ではないので独立したリースではなく、縮小でもない。その他の変更なので、変更後の割引率7%で残り7年分を測り直すんだ。負債は 311,860 から 485,036 になり、増えた 173,176 を使用権資産に加えるよ。
迷いポイント 延長は新しい契約なので、別のリースとして計上する?
ハルカ
延長した3年分だけ、新しいリースにした方が分かりやすい気がします。
先生
延長は原資産の追加ではないので、既存のリースを測り直すんだ。損益は出ず、以後は7%の利息法で、使用権資産 438,138 を残り7年で償却していくよ。
ハルカ
3年も延長したのに、利益も損失も出ない…。延長戦なのに、スコアボードが動かないんですね。
先生
動くのはB/Sの方だよ。負債と使用権資産が 173,176 ずつ増えるんだ。
💡 そうだったのか!
期間の延長は
再測定して使用権資産に加減するだけで、損益は出ません。割引率は、この設例では変更時点のものを使っています(日本基準は、再測定の割引率を状況別に一律には定めていません)。
📕 設例15-5 ラボの図
修正後の負債 = Σ 84,000 ÷ 1.07^k(k=1〜5) = 344,417
減少額 = 379,113 - 344,417 = 34,696
🧾 X6年4月1日
損益なし(第45項(2)②)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| リース負債 | 34,696 | 使用権資産 | 34,696 |
賃料の減額だけでなく、割引率が6%→7%に上がったことも負債を減らしています。使用権資産がゼロになるほど減るときは、残額を損益にします。
設例15-5
リース料の減額 ── 減った分は利益ではなく資産の減額
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例15-5
ハルカ
賃料交渉がうまくいって、年額が 90,000 から 84,000 に下がりました。浮いた分は利益ですよね。
先生
うれしい交渉だけれど、利益にはならないんだ。変更後の割引率7%で残り5年分を測り直すと、負債は 379,113 から 344,417 に減る。減った 34,696 は、使用権資産から同じ額を減らすよ。
迷いポイント 賃料が下がったら、その分を利益にできる?
先生
範囲は縮小していないので、損益ではなく資産で調整するんだ。以後の償却費と利息が小さくなることで、P/Lに少しずつ効いていくよ。この設例では、賃料の減額だけでなく割引率が6%から7%に上がったことも、負債を減らしているんだ。
💡 そうだったのか!
リース料の減額は
使用権資産の減額で処理し、損益は出ません。例外は、使用権資産がゼロになるほど減るときの残額だけです。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「🔧 条件変更・見直し」→ プリセット「設例15-5型:賃料の減額」
- 「変更後の年額(縮小・延長・賃料変更のとき)」を 84000 → 80000 に変える
👀 変更後のリース負債が 344,417 → 328,016、使用権資産が 296,507 → 280,106 に減り、損益に計上する額は 0 のままです。
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📕 設例16 ラボの図
🧾 X4年3月31日(変更が生じた日)
損益なし。以後は使用権資産 157,669 を残り6年で償却| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 使用権資産 | 77,726 | リース負債 | 77,726 |
設例16
延長オプションの見直し ── 契約は変わらなくても負債が変わる
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例16
ハルカ
6年と見ていた契約で、会社が新規事業のスタッフ採用と、同じ建物の別フロアの契約を決めました。契約書は何も変わっていません。
先生
スタッフを同じ建物に集約するので、延長する経済的インセンティブが生まれたんだ。これは借手の統制下にあって、オプションの判断に影響する重要な事象なので、延長が合理的に確実になったと判断して、リース期間を6年から9年に見直すよ。
ハルカ
スタッフが増えただけで、負債が 77,726 も増えるなんて…。採用面接に経理も呼んでほしいです。
先生
面接には呼ばれなくても、決定の議事録だけは受け取っておこうか。
迷いポイント 見直しの割引率は、開始日の5%のまま?
ハルカ
契約は変わっていないので、割引率も開始日のままですよね。
先生
この設例では、見直した日の割引率を使っているんだ。日本基準は再測定の割引率を状況別に一律には定めていないので、実務では方針として決めておく。6%で、残り3年と延長3年を割り引き直すと負債は 163,508。増えた 77,726 は使用権資産に加えて、損益は出ないよ。ちなみに、開始日から9年と見ていたら、開始日の負債は 159,884 ではなく 230,298 で、70,414 も違ったんだ。
💡 そうだったのか!
契約変更がなくても、
借手の統制下にある重要な事象でリース期間を見直します。この設例では割引率をその日のものに更新し、修正額は使用権資産に加えます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「🔧 条件変更・見直し」→ プリセット「設例16型:延長オプションの見直し」
- 「変更時点の割引率(年%)」を 6 → 5 に変える
👀 変更後のリース負債が 163,508 → 167,294、使用権資産が 157,669 → 161,455 に増えます。
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📕 設例17 ラボの図
過年度を利息法で計算した利息 4,887 - 定額法で計上済みの利息 2,849 = 2,038
(利息法の方が初期の利息が多いので、負債を 2,038 増やして追いつく)
🧾 X2年4月1日
新リースの計上| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 使用権資産 | 75,753 | リース負債 | 75,753 |
従来のリース:過年度の利息差額を計上(設例17の1)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 支払利息 | 2,038 | リース負債 | 2,038 |
X2年6月30日:従来分 第15回 352 + 新規分 第3回 430 の利息(どちらも利息法)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| リース負債 | 2,218 | 現金預金 | 3,000 |
| 支払利息 | 782 | | |
設例17
重要性が乏しいとは認められなくなった ── 定額配分から利息法へ
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例17
ハルカ
重要性が乏しいとして、利息を定額で配分してきました。新しいリースが増えて10%以上になったので、利息法に切り替えます。
先生
方法は2つあるんだ。方法1は、すべてのリースを利息法にして、過年度を利息法で計算した利息 4,887 と定額で計上済みの 2,849 との差 2,038 を、切替時に支払利息とリース負債で一括計上する。左の仕訳がそれだよ。
迷いポイント 切り替えたら、過去の決算までさかのぼって直す?
先生
過去の決算は直さないんだ。方法1でも差額は切替時にまとめて計上するだけで、方法2なら従来のリースは定額のまま、新しいリースだけ利息法にする。どちらでも5年間の利息の総額は 28,494 で同じで、期間の配分だけが違うよ。
💡 そうだったのか!
10%以上になったら利息法へ。
全部切り替えて差額を一括計上するか、
新しいリースだけ利息法にするかを会計方針として選びます。
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべてリース会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。
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この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。