試験研究費ラボ【該当判定編】|先生と一緒に図で学ぶ試験研究費に当たるか ── 3つの関門と97のケース
無料の学習ツール「試験研究費ラボ」の読み方ガイドです。ラボの該当判定タブから、判定ウィザードとケース集を使って、迷いやすい支出を先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
🔎 ケース集の分布
はじめに
今日の題材 ── 97の場面を ○/△/× で
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2
ハルカ
先生、実務で一番もめるのは計算より「これは試験研究費に入るのか」なんです。研究所から毎週のように質問が来ます。
先生
だからラボに「該当判定」タブを作ったんだ。図は、ケース集の97の場面を8つの分類に分けて、○(入る)・△(条件付き)・×(入らない)を数えたものだよ。○が41、△が18、×が38なんだ。
ハルカ
×が4割もあるんですね。研究所の人が聞いたら、がっかりしそうです。
先生
×の多くは「別の時期なら入る」「別の形なら入る」ものなんだ。今日は3つの関門で考える型を覚えて、分類ごとに迷いやすい場面を見ていこうか。
🔎 該当判定 J1 ラボの図
判定ウィザードの初期状態(研究専属者の人件費)
判定結果
- 理由 試験研究を専属業務とする者・プロジェクト全期間従事する者
措通42の4(1)-1措通42の4(2)-3
該当判定 J1
J1 判定の3つの関門 ── 活動・費目・条件
📍 ラボの場所:該当判定タブ J1
先生
図の3つの関門を順に通すんだ。①その活動が試験研究に当たるか、②5つの費目のどれか、③費目ごとの条件を満たすか。人件費なら「専門的知識をもって専ら従事」、経費なら「試験研究に直接要した」、資産なら「償却費だけ」という条件だよ。
迷いポイント 会計で研究開発費にしていれば、関門は通過済み?
ハルカ
経理で研究開発費の科目に入っていれば、少なくとも関門①は通っていますよね。
先生
会計で研究開発費に計上したかどうかは、判定の材料にならないんだ。会計の研究開発は人文・社会科学も含むし、税務は自然科学に限るからね。ウィザードは、会計の科目を聞かずに3つの関門だけで判定するよ。
ハルカ
正直に言うと、今まで「研究開発費の科目に入っているから大丈夫です」と、顔パスで通してきました…。
先生
今日からは、関門で中身を見せる番だね。初期状態の研究専属者の人件費なら、3つとも通って○になるよ。
💡 そうだったのか!
判定は
①活動 → ②費目 → ③条件の3つの関門。会計の勘定科目は判定材料ではありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから該当判定タブを開く(判定ウィザードが一番上にあります)
- 関門③の「従事のしかた」を他業務と兼務で従事状況を区分できないに変える
👀 判定が ○ → ×「人件費は対象外(従事状況を区分できない)」に変わり、理由に「区分できなければ全額対象外」と出ます。
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🔎 活動の性質 ケース集から
| 判定 | 場面・支出 | 理由 | 根拠 |
|---|
| ○ | 現に生産中の製品の製造方法を改良する研究(明確なプロジェクト) | 新製品に限らず、既存製品・既存技術の改良・考案・発明も含まれる | 措通42の4(1)-1 |
| ○ | 試作品は完成したが、量産化に向けて技術的な課題を解決する開発研究 | 「量産方法が技術的に確立している製品」の量産試作でなければ対象。更なる研究開発が不可欠な段階は含まれる | 経産省 よくある質問 Q4、令3.6.25趣旨説明 |
| × | 量産方法が技術的に確立した製品を量産化するための試作 | 通達の除外例⑿ | 措通42の4(1)-2⑿ |
| ○ | 研究が失敗に終わり、製品化できなかったプロジェクトの費用 | 成功・失敗は要件ではない。結果に不確実性があることが試験研究の性質 | 措通42の4(1)-1、サービス開発Q&A 問13 |
| × | 性能向上を目的としないデザインの考案と、それに基づく設計・試作 | 令和5年度改正で設計・試作も除外。性能向上目的かはプロジェクト単位で判断 | 措通42の4(1)-2⑸⑹ |
| ○ | 軽量化・耐久性向上を目的とした形状(デザイン)の設計・試作 | 性能向上を目的とする開発業務の一部であれば除外例に当たらない | 措通42の4(1)-2⑸の反対解釈、経産省R5改正資料 |
ケース集「活動の性質」24件から6件を抜粋
関門①
活動の性質 ── 改良・失敗・量産・デザイン
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2「活動の性質」
先生
表の2行目と3行目を比べてごらん。試作品はできたけれど、量産化に向けて技術的な課題を解く開発は○なんだ。一方、量産方法が技術的に確立した製品の量産試作は、通達の除外例で×だよ。
迷いポイント 失敗に終わった研究の費用は、対象外?
ハルカ
製品にならなかったプロジェクトは、成果がないので外すんですよね。
先生
成功は要件ではないんだ。結果が分からないから試験研究なのであって、失敗したプロジェクトや期中に中止したプロジェクトの費用も、損金になっていれば対象だよ。
ハルカ
デザインも、見た目なら×、軽量化のための形状なら○…。同じ設計図なのに、目的で答えが変わるんですね。
先生
そうなんだ。性能向上を目的とするかどうかを、プロジェクト単位で説明できるようにしておくといいよ。
💡 そうだったのか!
分かれ目は
技術的な不確実性があるか。失敗した研究も○、確立した量産の試作や見た目だけのデザインは×です。
🔎 人件費 ケース集から
| 判定 | 場面・支出 | 理由 | 根拠 |
|---|
| ○ | 研究所に所属し研究に専従する研究員の給与・賞与・法定福利費 | 専門的知識をもって専ら従事する者の人件費 | 措令27の4、措通42の4(2)-3 |
| ○ | 生産部の技術者が、設計フェーズ1か月間だけプロジェクトに専属で従事 | 担当フェーズに専属的に従事・おおむね1か月以上・従事状況を区分・人件費を適正計算の4要件を満たせば担当期間分が対象 | 措通42の4(2)-3、経産省概要 p.28 |
| × | 研究と営業を日々兼務し、工数記録がない社員 | 従事状況を明確に区分できない兼務者は対象外 | 措通42の4(2)-3 |
| △ | 兼務者だが、工数管理システムと日報で研究への従事時間を記録している | 担当業務への専属性・相当期間・区分・適正計算を満たす部分は対象になり得る(コスト計算ソフトで集計する事例あり) | 経産省概要 p.30 |
| × | 研究部門の事務職員・秘書・庶務担当の給与 | 専門的知識をもって試験研究の業務に従事していない | 措令27の4 |
| × | 研究員の賞与引当金繰入額 | 引当金繰入は損金不算入。支給した事業年度の試験研究費 | 措法42の4⑲一 |
ケース集「人件費」14件から6件を抜粋
判定ウィザード:兼務で区分できない場合
判定結果
- 理由 兼務者は、担当フェーズへの専属的な従事、従事期間(おおむね1か月以上)、従事状況の明確な区分と人件費の適正な計算が必要。区分できなければ全額対象外
措通42の4(1)-1措通42の4(2)-3、経産省概要 p.28〜30
関門③
人件費 ── 専ら従事・記録・引当金
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2「人件費」
ハルカ
研究部門の事務の方の給与は、研究部門の人件費なので入りますよね。
先生
表の5行目のとおり×なんだ。人件費は「専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者」に限られるよ。会計では研究開発費に配賦することがあるけれど、税務では入らないんだ。
迷いポイント 研究員の賞与引当金も、研究員の人件費だから入る?
ハルカ
賞与引当金の繰入額も、研究員の分なら当期の人件費として入れていいですよね。
先生
引当金の繰入額は損金に算入されないから、当期の試験研究費にはならないんだ。実際に支給して損金になった事業年度の試験研究費になるよ。損金算入のタイミングに合わせる、と覚えておくといいね。
ハルカ
引当金は「まだ払っていないお金」だから、試験研究費の仲間に入れてもらえないんですね。ちょっと切ないです。
先生
支給した年には、ちゃんと仲間に入るよ。入る年がずれるだけなんだ。
💡 そうだったのか!
人件費は
専ら従事+損金算入の2つ。事務職員は×、兼務者は記録しだいで△、引当金繰入は支給した年に回ります。
🔎 原材料費・経費・設備 ケース集から
| 判定 | 場面・支出 | 理由 | 根拠 |
|---|
| × | 研究用に購入したが期末に未使用の材料(棚卸資産) | 費消していないので当期の試験研究費ではない。使用した事業年度に対象 | 措法42の4⑲一 |
| ○ | 研究所の電気・ガス・水道代 | 試験研究に直接要する経費。共用部分は合理的基準で配賦 | 措令27の4、措通42の4(2)-2 |
| × | 本社の総務・経理部門の費用を研究所に配賦した額 | 試験研究に直接要した経費ではない | 措令27の4 |
| △ | 研究所内で複数のプロジェクトに共通する経費(配賦基準を毎期変える) | 合理的な基準で配賦し、継続して同一の方法によること。基準を恣意的に変えると否認リスク | 措通42の4(2)-2(共通費の配賦) |
| △ | 研究専用の実験装置を購入した(他の用途には使えない) | 会計は取得時に全額研究開発費(注解1)でも、税務は資産計上し各年の減価償却費が試験研究費 | 研究開発費会計基準 注解1、措令27の4 |
| ○ | 研究専用装置の当期の減価償却費(損金算入分) | 試験研究の用に供する減価償却資産の償却費 | 措令27の4 |
ケース集「原材料費・経費」「設備・資産」から6件を抜粋
関門③
原材料費・経費・設備 ── 費消・直接・償却
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2「原材料費・経費」「設備・資産」
ハルカ
研究用に買った材料は、買った年の試験研究費ですよね。
先生
表の1行目のとおり、期末に使わずに残っている材料は×なんだ。原材料費は費消した年の試験研究費だよ。経費は「試験研究に直接要した」ものに限られるから、本社の総務・経理の費用を研究所に配賦した額も×になるんだ。
迷いポイント 研究専用の装置は、会計で全額費用なら税務も全額?
ハルカ
他に使えない研究専用の装置は、会計で取得時に全額費用にしています。税務もその金額でいいですよね。
先生
税務では資産に計上して、各年の減価償却費のうち損金になる額だけが試験研究費なんだ。会計と税務で、入る年も金額もずれるよ。
ハルカ
会計では1年で主役なのに、税務では何年もかけて少しずつ出てくるんですね。装置さん、出番の配分がまるで違います。
先生
別表四で加算して、償却に合わせて減算していく流れになるんだ。共通の経費は、合理的な基準で配賦して毎期同じ方法を続けることも大事だよ。
💡 そうだったのか!
原材料は
費消した年、経費は
直接要したもの、専用装置は
減価償却費だけが試験研究費です。
🔎 委託・共同研究 ケース集から
| 判定 | 場面・支出 | 理由 | 根拠 |
|---|
| ○ | 国内大学との共同研究契約に基づく共同研究費 | 委託・共同試験研究費。契約書の記載要件と相手方の認定があればOI型30% | 措法42の4の2、ガイドライン |
| × | 大学への奨学寄附金(使途を研究に限定) | 成果の帰属・費用分担を定めた契約がない寄附は委託費ではなく寄附金 | 法法37、ガイドライン |
| △ | 海外子会社など、国外で実施される研究の委託 | 国外委託試験研究費。令和8年度70%・令和9年度60%・令和10年度以降50%だけ控除対象に算入。委託先の所在地ではなく実施場所で判定し、国内企業への委託でも国外実施分は縮小、国内外で実施する場合は合理的に区分 | 別表六(九)5・6欄、措通42の4(1)-7、経産省R8資料 |
| ○ | 海外のCROへの臨床試験の委託(医薬品の有効性・安全性確認) | 国外で実施する委託でも、医薬品等の臨床試験の委託は縮小の対象外(全額) | 経産省R8資料 |
| × | 他社から委託を受けて行う受託研究の自社コスト | 委託者側の試験研究費。受託側は除外 | 措令27の4 |
| × | 共同研究で相手方から受け取った分担金 | 試験研究費に充てるため他の者から支払を受ける金額として、自社の試験研究費から控除 | 措法42の4⑲一 |
ケース集「委託・共同研究」11件から6件を抜粋
判定ウィザード:大学への委託で国外実施の場合
判定結果
- 理由 契約に基づき他の者に委託した試験研究の費用(原材料費・人件費・経費に相当する部分)
- 注意 大学・特別研究機関との共同・委託研究:契約書の記載要件と相手方の認定があればOI型30%。令和8年度改正で第三者監査が廃止されたのは、管理体制等の要件を満たし経済産業大臣の指定を受けた大学等との共同・委託研究に限る
- 注意 国外で実施される試験研究の委託(国外委託試験研究費)は、控除対象に算入できる割合が令和8年度70%・令和9年度60%・令和10年度以降50%(別表六(九)5・6欄、六(十二)15・16欄で縮小)。判定は委託先の国籍・所在地ではなく試験研究を実施する場所で行い、国内外で実施する場合は合理的に区分する
措通42の4(1)-1措法42の4の2、ガイドライン別表六(九)5・6欄措通42の4(1)-7
関門②
委託・共同研究 ── 契約・実施場所・受取分担金
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2「委託・共同研究」
ハルカ
大学に研究費を出しています。奨学寄附金という形なんですが、委託研究費になりますか。
先生
表の2行目のとおり×なんだ。研究成果の帰属や費用分担を定めた契約がない支出は、委託費ではなく寄附金になる。契約に基づく共同研究費なら○で、要件を満たせばOI型の30%も選べるよ。
迷いポイント 共同研究の相手から受け取った分担金は、関係ない?
ハルカ
共同研究で相手から分担金を受け取っても、うちが払った費用は全額うちの試験研究費ですよね。
先生
受け取った分担金は、試験研究費に充てるために他の者から支払を受けた金額として、自社の試験研究費から差し引くんだ。他社から受託した研究のコストも、受託側の試験研究費にはならないよ。
💡 そうだったのか!
委託は
契約があるか、国外分は
実施場所で判定。受け取った分担金は差し引き、受託研究は委託者側の試験研究費です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 該当判定タブのウィザードで、関門②の費目を委託費・共同研究費にする
- 「相手先・形態」を大学、「試験研究の実施場所」を国外で実施にする
👀 判定は △ になり、注意に「令和8年度70%・令和9年度60%・令和10年度以降50%」と実施場所で判定することが出ます。実施場所を「国外で実施・医薬品等の臨床試験の委託」に変えると、縮小の対象外と表示されます。
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🔎 ソフトウェア・サービス開発 ケース集から
| 判定 | 場面・支出 | 理由 | 根拠 |
|---|
| ○ | クラウド(SaaS)で提供するソフトウェアの研究開発 | 令和3年度改正で対象に追加(研究開発費として損金経理した金額は、税務上ソフトウェアの取得価額に算入されても対象。会計で資産計上した額は対象外) | 経産省R3改正資料 |
| × | 製品マスター完成後のバグ取り・機能維持 | 除外例⒂ | 措通42の4(1)-2⒂ |
| ○ | 自社利用ソフト開発費を研究開発費として損金経理した(税務上は取得価額) | 研究開発費として損金経理した金額で取得価額に算入されるものは対象(別表四で加算しても) | 措令27の4 |
| × | 自社利用ソフト開発費を会計上もソフトウェア仮勘定に資産計上した | 損金経理していないので当期の試験研究費に入らない | 措法42の4⑲一 |
| ○ | 利用者からは無料で、広告収入で収益化するアプリのサービス開発 | 何らかの収入が収益として認識されれば「対価を得て提供する」に当たる | サービス開発Q&A 問2 |
| △ | 自社の業務効率化だけを目的としたデータ分析サービスの開発 | サービス開発(対価目的)には当たらないが、人の作業を代替する技術開発として「技術の改良」の試験研究になり得る | サービス開発Q&A 問1、令3.6.25趣旨説明 |
ケース集「ソフトウェア・サービス開発」16件から6件を抜粋
判定ウィザード:ソフトウェア開発費を資産計上した場合
判定結果
- 理由 会計で資産計上(ソフトウェア仮勘定等)した額は損金経理していないので、その年の試験研究費には入らない。償却費を通じても通常は対象にならない
措通42の4(1)-1措法42の4⑲一
関門①③
ソフトウェア・サービス開発 ── 損金経理・無料アプリ・業務効率化
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2「ソフトウェア・サービス開発」
ハルカ
無料のアプリを開発しています。お客様からお金をもらっていないので、サービス開発には当たらないですよね。
先生
表の5行目のとおり○なんだ。利用者からは無料でも、広告収入のように何らかの収入が収益として認識されれば「対価を得て提供する」に当たるよ。逆に、自社の業務効率化だけが目的なら、サービス開発には当たらないんだ。
迷いポイント 業務効率化のシステム開発は、試験研究にならない?
ハルカ
じゃあ、社内の業務効率化のための開発は、全部×ですね。
先生
サービス開発には当たらなくても、人の作業を代替する技術の開発そのものは「技術の改良」の試験研究になり得るんだ。だから表では△だよ。別の類型で判定し直すのがコツなんだ。
ハルカ
サービス開発の扉が閉まっても、技術の改良の扉が開いている…。税法にも裏口があるんですね。
先生
裏口ではなく、もともと2つある正面玄関だよ。最後は、損金経理したか資産計上したかで、その年に入るかどうかが決まるんだ。令和3年度改正で、損金経理した分は税務上の資産になっても入るようになったけれど、会計で資産計上した分は今も入らないよ。
💡 そうだったのか!
サービス開発は
対価目的+4工程。業務効率化の開発は「技術の改良」で判定し直し、資産計上した開発費はその年は入りません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 該当判定タブのウィザードで、関門②の費目を固定資産・ソフトウェアの取得、資産の種類をソフトウェアにする
- 「会計処理」を研究開発費として損金経理と資産計上で切り替える
👀 損金経理なら ○「ソフトウェア開発費は対象」、資産計上なら ×「資産計上した年は対象外」。活動が同じでも、経理の仕方で判定が変わります。
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🔎 補助金・会計処理との関係 ケース集から
| 判定 | 場面・支出 | 理由 | 根拠 |
|---|
| × | 国の補助金で賄った研究費 | 試験研究費に充てるため他の者から支払を受ける金額は控除。自己負担分だけが対象 | 措法42の4⑲一 |
| ○ | 中小企業者で、試験研究費が前3年平均より減った年の試験研究費 | 試験研究費の額に該当するかの判定と、控除率がいくらかは別問題。中小は下限12%で控除できる | 別表六(十) |
| ○ | 赤字で法人税額がゼロの年の試験研究費 | 試験研究費には該当するが控除上限が0なので控除額は0。一般型は繰越なし、中小は令和8年度改正で3年繰越(上限超過額) | 別表六(十)23〜28欄 |
| × | 会計で「研究開発費」勘定に計上した額をそのまま別表六(九)1欄に書く | 会計の研究開発費と税務の試験研究費は範囲が違う。費目ごとに税法の要件で再集計する | このラボ 会計との違いタブ |
| × | 研究開発費を当期製造費用に計上し、期末仕掛品に含まれている部分 | 損金算入されていない(棚卸資産)部分は対象外。売上原価になった年に対象 | 措法42の4⑲一、移管指針8号4項 |
ケース集「補助金・その他」「会計処理との関係」から5件を抜粋
判定ウィザード:補助金で賄った部分
判定結果
- 理由 試験研究費に充てるため他の者から支払を受けた補助金・助成金等の額は、試験研究費の額から差し引く(控除後の額が1欄)
措通42の4(1)-1措法42の4⑲一、措通42の4(2)-1
関門②
補助金・会計処理 ── 控除・赤字の年・仕掛品
📍 ラボの場所:該当判定タブ J2「補助金・その他」「会計処理との関係」
ハルカ
国の補助金をもらって研究しています。研究費は全部うちが払っているので、全額入りますよね。
先生
補助金で賄った部分は、試験研究費の額から差し引くんだ。自己負担の分だけが対象だよ。表の4行目のように、会計の研究開発費をそのまま1欄に書くのも×なんだ。
迷いポイント 赤字の年の試験研究費は、試験研究費に当たらない?
ハルカ
赤字で法人税がゼロの年は、そもそも試験研究費に当たらないんですよね。
先生
当たるかどうかと、控除できるかどうかは別の話なんだ。赤字の年も試験研究費には該当するけれど、法人税額がゼロだから上限もゼロで、控除額は0になる。中小企業者等なら、令和8年度改正の3年繰越が使えるよ。
💡 そうだったのか!
補助金分は
差し引く。「当たるか」と「いくら控除できるか」は別問題で、赤字の年も試験研究費には当たります。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 該当判定タブのケース集の検索欄に補助金と入れる
- 続けて損金経理、国外と入れ替えてみる
👀 「補助金」は 2件(×と△)、「損金経理」は 3件(○・×・△)、「国外」は 4件。同じ言葉でも、条件によって判定が分かれることが一覧で分かります。
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🔎 該当判定 J3 ラボの図
該当判定 J3
J3 グレーゾーンの考え方と残すべき証拠
📍 ラボの場所:該当判定タブ J3
ハルカ
△の場面は、結局どう判断すればいいんですか。
先生
△は「説明できれば○」という意味なんだ。図の4段のとおり、研究テーマごとの計画書と承認記録、工数記録や日報、契約書や証明書、費目別の集計表と配賦基準の文書をそろえるよ。活動の新規性と費用の区分を、文書で説明できるかが勝負なんだ。
ハルカ
これ、前にやったCFC税制の経済活動基準と同じですね。満たすことを示す資料を毎年保存しておく、という。
先生
そう、よく覚えていたね。制度は違っても、要件を満たすことを会社が文書で示す点は同じなんだ。研究開発税制では、毎年の申告ごとに説明できる状態にしておくよ。
迷いポイント 証拠は、税務調査が来てから集めればいい?
ハルカ
調査の連絡が来てから、日報を探せば間に合いますよね。
先生
工数記録や承認記録は、後から作ると信頼されにくいんだ。プロジェクトを始めるときに記録の取り方を決めて、毎期同じやり方で残しておくのが一番強いよ。
💡 そうだったのか!
△を○にするのは
文書。計画書・工数記録・契約書・配賦基準を、プロジェクトの最初から残します。
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて試験研究費ラボの画面そのものです。該当判定タブを開けば、同じウィザードとケース集で、自社の支出を判定できます。
試験研究費ラボを開く ▶今日のまとめ ── 迷いポイント早見表
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。判定は活動・費目・条件の3つの関門で、会計の科目は見ない。損金になる年に合わせて入る年が決まり、△は文書で説明できれば○になるんだ。
ハルカ
前は「入る・入らない」を一つずつ暗記しようとしていました。今は、3つの関門のどこで止まったかを言えば、研究所の人にも理由まで説明できそうです。
先生
理由まで言えれば、次に似た質問が来ても自分で判定できるね。
ハルカ
はい。研究所の人に「経理の人なのに、試験研究に詳しいですね」と言われるのが、ひそかな目標です。
先生
その日は近いと思うよ。次の設例・一般型と中小編では、事例を別表六(九)と六(十)の欄に1つずつ書き込んでいこうか。
参考資料
租税特別措置法42条の4・42条の4の2、同施行令27条の4、同施行規則20条、租税特別措置法関係通達(法人税編)42の4(1)-1〜(2)-3・(1)-7/国税庁 別表六(六)・六(七)・六(九)・六(十)・六(十一)・六(十二)の様式と記載の仕方(令和8年4月1日以後終了事業年度分)、適用額明細書の記載の手引(令和8年)/経済産業省「研究開発税制を強化しました」(令和8年5月)、「研究開発税制の概要」(令和4年4月版 p.32〜35:令和3年度改正の損金経理した研究開発費の取扱い)、令和3年度与党税制改正大綱/企業会計審議会「研究開発費等に係る会計基準」、移管指針第8号・第11号。ラボの数値はすべて独自の学習用です(千円単位・千円未満切捨て、12か月の事業年度、単体申告)。法令・様式の確認日:2026年10月3日。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・一般型と中小編/設例・改正とOI型編/設例・繰越と特殊ケース編
サイト内の関連:【2026年版】研究開発税制の計算方法|控除率・上限とシミュレーター/No.5441 研究開発税制について(概要)/法人税申告書(別表)から探す
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。