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試験研究費ラボ【設例・繰越と特殊ケース編】|先生と一緒に図で学ぶ設例8〜11 繰越・上限・不適用措置・SaaS

試験研究費ラボ【設例・繰越と特殊ケース編】|先生と一緒に図で学ぶ設例8〜11 繰越・上限・不適用措置・SaaS

無料の学習ツール「試験研究費ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例と別表記載・応用タブから、繰越と特殊なケースの設例(設例8〜11)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の設例
設例8〜11の条件(単位:千円)
設例8 中小・前期からの繰越 1,030 を使う(E)試験研究費 32,000/前3年平均 27,000
設例9 法人税額が小さい年(H)試験研究費 100,000/法人税額 2,000
設例10 大企業の不適用措置に該当(J)設例1と同じ数字・六(七)で「否」
設例11 SaaS開発費研究 30,000/制作 60,000/保守 10,000
はじめに

今日の題材 ── 繰越・頭打ち・不適用・SaaSの4つの設例

📍 ラボの場所:設例と別表記載・応用タブ 設例8〜11
ハルカ
先生、いよいよシリーズ最後の設例ですね。
先生
今日の4つは、どれも「計算は合っているのに、控除額が思ったとおりにならない」設例なんだ。繰越が使えない年、上限で止まる年、適用できない年、そもそも試験研究費に入らない支出だよ。
ハルカ
計算が合っているのに思ったとおりにならないなんて、一番こわいパターンです。
先生
だから設例で先に経験しておくんだ。設例8から見ていこうか。
ラボの設例タブ(設例8)を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例8 ステップ6
ステップ6 繰越控除の欄(23〜28欄)を確認する
当期:限度額 > 控除上限控除しきれない額 0 が発生繰越翌期以降3年試験研究費が前3年平均を超える年に控除その年の上限の残りまで(別表六(十)23〜27欄)条件:繰越控除をする年の試験研究費の額 > 比較試験研究費の額(増加していない年は使えない)
当期の上限の残り (23) = (19)−(20) = 578 前期以前からの繰越 (24) = 1,030 → 使える額 (25) = 578 法人税額の特別控除額 (28) = (22) 4,672 + (27) 578 = 5,250 翌期に繰り越す超過額 = (15)−(20) 0 + 未使用の繰越 452 = 452

別表六(十) 中小企業者等の試験研究費の額に係る法人税額の特別控除

欄項目算式金額(千円)/割合
1試験研究費の額32,000
2同上のうち特別試験研究費以外の額32,000
4控除対象試験研究費基準額(2)+(3)32,000
5(4)のうち国外委託試験研究に係る額0
6控除対象試験研究費の額(4)−(5)+(5)×70/10032,000
7比較試験研究費の額別表六(十一)「5」27,000
8増減試験研究費の額(1)−(7)5,000
9増減試験研究費割合(8)÷(7)18.52%
10平均売上金額別表六(十一)「10」250,000
11試験研究費割合(1)÷(10)12.80%
12割増前税額控除割合12%+((9)−12%)×0.37514.44%
13(11)>10%の場合の控除割増率((11)−10%)×0.5(最大0.1)1.40%
14税額控除割合(12)+(12)×(13)、切捨て、最大17%14.6%
15中小企業者等税額控除限度額(6)×(14)4,672
16調整前法人税額別表一「2」15,000
17(9)>12%の場合0.3535.0%
18(11)>10%の場合の特例加算割合((11)−10%)×2(最大0.1)5.6%
19当期税額基準額(16)×(35.0%)5,250
20当期税額控除可能額(15)と(19)の少ない金額4,672
21調整前法人税額超過構成額別表六(六)「8の③」0
22当期税額控除額(20)−(21)4,672
23差引当期税額基準額残額(19)−(20)578
24繰越税額控除限度超過額前期以前3年の繰越(29の計)1,030
25同上のうち当期繰越税額控除可能額(23)と(24)の少ない金額((1)≦(7)又は(7)=0なら0)578
27当期繰越税額控除額(25)−(26)578
28法人税額の特別控除額(22)+(27)5,250
翌期繰越翌期繰越税額控除限度超過額(15)−(20)+使わなかった繰越額(簡便)452
設例8

中小:前期からの繰越を使う ── 23〜28欄

📍 ラボの場所:設例と別表記載・応用タブ 設例8 ステップ6
ハルカ
設例8は、設例3で繰り越した 1,030 を使う翌期ですね。全部使えますか。
先生
ステップ6のとおり、まず当期分を控除するんだ。限度額 4,672 は上限 5,250 に収まるから全額控除できて、上限の残りは 5,250 − 4,672 = 578(23欄)。繰越 1,030 のうち使えるのは 578 だけで(25欄)、法人税額の特別控除額は 4,672 + 578 = 5,250 だよ。
ハルカ
前にやった外国税額控除でも、繰越は年度ごとに期限を数えましたよね。こちらも同じですか?
先生
そう、ちゃんと覚えていたね。研究開発税制の繰越も、発生した年度ごとに3年の期限を管理するんだ。このラボは前期以前の繰越を1つの入力にまとめた簡易版だけれど、実際は別表六(十)下段に年度別に書くよ。
迷いポイント 繰越は、試験研究費が減った年でも使える?
ハルカ
残りの 452 は来年使えばいいですね。来年は研究費を少し減らす予定ですけど。
先生
繰越を使えるのは、試験研究費が比較試験研究費を超える年だけなんだ。減らす年は使えないよ。期限の3年のうちに、増やす年が来るかも考えておくといいんだ。
💡 そうだったのか!
繰越は当期分を控除した後の上限の残りまで。設例8は 578 を使い 452 が残ります。試験研究費が前3年平均を超えない年は使えません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(設例8と同じプリセットEが入っています)
  2. 「試験研究費の額(合計)」を 32,000 → 26,000 に変える(前3年平均 27,000 を下回る)

👀 当期分の控除は 3,120 に下がり、繰越 1,030 はまったく使えず、そのまま残ります。

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📕 設例9 ステップ7
ステップ7 控除できる額を決める(31〜33欄)
① 税額控除限度額(控除対象試験研究費の額 × 税額控除割合)13,600 千円② 控除上限(調整前法人税額 × 上限割合)600 千円控除できる額 = ①と②の小さい方 = 600 千円(上限が効いている)
当期税額控除可能額 (31) = (22) 13,600 と (27) 600 の少ない方 = 600 法人税額の特別控除額 (33) = (31) − (32) = 600

別表六(九) 一般試験研究費の額に係る法人税額の特別控除

欄項目算式金額(千円)/割合
1試験研究費の額100,000
2同上のうち特別試験研究費以外の額(1)−OI型に使う額100,000
3一般型の対象とする特別試験研究費の額(このラボでは0:OI型は全額六(十二)へ)0
4控除対象試験研究費基準額(2)+(3)100,000
5(4)のうち国外委託試験研究に係る額0
6控除対象試験研究費の額(4)−(5)+(5)×70/100100,000
7比較試験研究費の額別表六(十一)「5」85,000
8増減試験研究費の額(1)−(7)15,000
9増減試験研究費割合(8)÷(7)17.65%
10平均売上金額別表六(十一)「10」1,000,000
11試験研究費割合(1)÷(10)10.00%
14割増前の税額控除割合(9)>12%:11.5%+((9)−12%)×0.37513.62%
13(11)>10%の場合の控除割増率((11)−10%)×0.5(最大0.1)—
17税額控除割合割増前+割増前×(13)、小数点3位未満切捨て、最大14%13.6%
22税額控除限度額(6)×(17)13,600
23調整前法人税額別表一「2」2,000
24(11)>10%の場合の特例加算割合((11)−10%)×2(最大0.1)—
25(9)>4%の場合((9)−4%)×0.625(最大0.05)5.0%
26(9)<−4%の場合((11)>10%を除く)((9)+4%)×0.625(最小−0.05)—
27当期税額基準額(23)×(25%+5.0%=30.0%)600
31当期税額控除可能額(22)と(27)の少ない金額600
32調整前法人税額超過構成額別表六(六)「8の①」0
33法人税額の特別控除額(31)−(32)600
設例9

法人税額が小さい年 ── 上限で頭打ち

📍 ラボの場所:設例と別表記載・応用タブ 設例9 ステップ7
ハルカ
設例9は試験研究費が 100,000 もあるのに、控除額が 600 しかありません。
先生
ステップ7の2本の棒を比べてごらん。限度額は設例1と同じ 13,600 だけれど、法人税額が 2,000 しかないから、上限は 2,000 × 30% = 600 なんだ。小さい方の 600 が控除額だよ。
迷いポイント 控除しきれない 13,000 は、翌期に繰り越せる?
ハルカ
13,600 − 600 = 13,000 は、翌期に繰り越して取り返せますよね。
先生
この会社は大企業で一般型だから、繰越はないんだ。控除しきれない分は切り捨てだよ。繰越があるのは中小企業技術基盤強化税制と、令和9年度からの戦略技術領域型なんだ。
ハルカ
13,000 がそのまま消えるなんて…。お財布を落とした夢を見そうです。
先生
夢で済むように、利益の見込みと研究開発の計画を一緒に見ておくのが大事なんだ。
💡 そうだったのか!
法人税額が小さい年は上限で頭打ち。一般型は繰越がないので、設例9の 13,000 は切り捨てです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(設例9と同じプリセットHが入っています)
  2. 「調整前法人税額」を 2,000 → 50,000 に変える

👀 上限は 600 → 15,000 に広がり、控除額は限度額の 13,600 まで増えます。

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📕 設例10 ステップ7
ステップ7 控除できる額を決める(31〜33欄)
① 税額控除限度額(控除対象試験研究費の額 × 税額控除割合)13,600 千円② 控除上限(調整前法人税額 × 上限割合)9,000 千円控除できる額 = ①と②の小さい方 = 9,000 千円(上限が効いている)
当期税額控除可能額 (31) = (22) 13,600 と (27) 9,000 の少ない方 = 0 → 不適用措置に該当するため 0 法人税額の特別控除額 (33) = (31) − (32) = 0

別表六(九) 一般試験研究費の額に係る法人税額の特別控除

欄項目算式金額(千円)/割合
1試験研究費の額100,000
2同上のうち特別試験研究費以外の額(1)−OI型に使う額100,000
3一般型の対象とする特別試験研究費の額(このラボでは0:OI型は全額六(十二)へ)0
4控除対象試験研究費基準額(2)+(3)100,000
5(4)のうち国外委託試験研究に係る額0
6控除対象試験研究費の額(4)−(5)+(5)×70/100100,000
7比較試験研究費の額別表六(十一)「5」85,000
8増減試験研究費の額(1)−(7)15,000
9増減試験研究費割合(8)÷(7)17.65%
10平均売上金額別表六(十一)「10」1,000,000
11試験研究費割合(1)÷(10)10.00%
14割増前の税額控除割合(9)>12%:11.5%+((9)−12%)×0.37513.62%
13(11)>10%の場合の控除割増率((11)−10%)×0.5(最大0.1)—
17税額控除割合割増前+割増前×(13)、小数点3位未満切捨て、最大14%13.6%
22税額控除限度額(6)×(17)13,600
23調整前法人税額別表一「2」30,000
24(11)>10%の場合の特例加算割合((11)−10%)×2(最大0.1)—
25(9)>4%の場合((9)−4%)×0.625(最大0.05)5.0%
26(9)<−4%の場合((11)>10%を除く)((9)+4%)×0.625(最小−0.05)—
27当期税額基準額(23)×(25%+5.0%=30.0%)9,000
31当期税額控除可能額(22)と(27)の少ない金額 ※不適用措置に該当→00
32調整前法人税額超過構成額別表六(六)「8の①」0
33法人税額の特別控除額(31)−(32)0
設例10

大企業の不適用措置に該当 ── 計算しても0

📍 ラボの場所:設例と別表記載・応用タブ 設例10 ステップ7
ハルカ
設例10の図は「控除できる額 9,000」なのに、33欄は 0 になっていますね。
先生
図は限度額と上限の比較だけを描いているんだ。その下の式のとおり、別表六(七)で不適用措置に該当したから、31欄の当期税額控除可能額が 0 になるよ。所得が増えたのに、賃上げも設備投資も要件に届かなかった会社なんだ。
迷いポイント 不適用なら、別表六(九)は書かなくていい?
ハルカ
0 になるなら、別表六(九)は最初から書かなくていいですよね。
先生
別表六(九)の冒頭に「特定税額控除規定の適用可否」の欄があって、そこに「否」と書く流れなんだ。OI型の六(十二)も同じで、一般型・OI型とも控除できないよ。翌年に要件を満たせば、また使えるんだ。
ハルカ
別表を全部書き終えてから「否」…。マラソンを完走したのに、スタート前の受付で失格だった気分です。
先生
だから大企業は、六(七)を最初に確かめるんだ。基礎編で見た申告書の流れの順番どおりだよ。
💡 そうだったのか!
不適用措置に該当すると計算結果に関係なく控除額は0。六(九)・六(十二)の冒頭で「否」と判定します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(設例10と同じプリセットJが入っています)
  2. 「大企業の不適用措置」を該当しない(可)に変える

👀 控除額は 0 → 9,000。設例1とまったく同じ結果に戻ります。

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📕 設例11 ステップ2
ステップ2 会計:3つの支出を費用と資産に分ける
研究段階費用(研究開発費)○ 損金経理額制作段階資産(確実なら)△ 損金経理した分のみ改良・強化資産(確実なら)△ 試験研究に当たり損金経理した分著しい改良費用(研究開発費)○ 損金経理額保守・運用費用× 対象外(通達⒂⒃)自社利用・SaaS提供用ソフトウェアの段階会計税務「資産計上の開始時点」(将来の収益獲得等が確実と認められた時点)の前後で会計が変わり、税務は「試験研究か」「損金経理したか」で変わる
支出段階会計処理理由
① 30,000研究段階費用(研究開発費)将来の収益獲得等が確実と認められる前の調査・検証は研究開発費 → 発生時に費用処理(資産計上の開始時点に達していない)
② 60,000制作段階資産(無形固定資産)ソフトウェアを用いて外部へ業務処理等のサービスを提供する契約等により将来の収益獲得が確実と認められる → 適正な原価を集計して無形固定資産(ソフトウェア)に資産計上。制作途中はソフトウェア仮勘定
③ 10,000保守・運用費用保守・運用・バグ取り・サポートは機能維持 → 費用(資産計上しない)
会計の仕訳(当期):P/L費用 40,000、B/S資産 60,000
借方金額貸方金額
研究開発費30,000現金預金・未払金ほか100,000
ソフトウェア仮勘定60,000
保守費(販管費)10,000
設例11

SaaS開発費 ── 会計で費用と資産に分ける

📍 ラボの場所:設例と別表記載・応用タブ 設例11 ステップ2
ハルカ
設例11は計算の設例ではないんですね。SaaSの開発費 100,000 が3つに分かれています。
先生
ステップ2の表のとおり、会計では①研究段階 30,000 は研究開発費、②要件確定後の制作段階 60,000 はソフトウェア仮勘定に資産計上、③保守・運用 10,000 は費用なんだ。P/Lの費用は 40,000、B/Sの資産は 60,000 だよ。
迷いポイント 会計の研究開発費 30,000 は、そのまま試験研究費?
ハルカ
じゃあ、会計の研究開発費 30,000 がそのまま試験研究費ですね。今回は一致して楽です。
先生
結果は一致するけれど、理由を説明できるかが大事なんだ。税務は「試験研究に当たるか」と「研究開発費として損金経理したか」を支出ごとに確かめるよ。次のステップで見ようか。
💡 そうだったのか!
会計は資産計上の開始時点の前後で費用と資産が分かれます。設例11は費用 40,000(研究開発費 30,000)・資産 60,000 です。
📕 設例11 ステップ3・4
ステップ3 税務:試験研究費の額に入るのはどれか
支出試験研究に当たるか損金経理試験研究費の額理由
① 30,000○○30,000試験研究に当たる開発費で、研究開発費として損金経理した金額 → 試験研究費の額に含める。税務上ソフトウェアの取得価額に算入されるものも「研究開発費として損金経理した金額」なら対象(別表四で加算しても対象)
② 60,000(仕様どおりの実装)×(資産計上)0会計で資産計上した額は、その事業年度の試験研究費の額には入らない。翌期以降の減価償却費のうち試験研究に係る損金算入額だけが対象になり得る(通常はほぼ対象外)
③ 10,000×(機能維持)○0製品マスター完成後のバグ取り等の機能維持、システム運用管理、ユーザーサポート、コンテンツ制作は試験研究に含まれない
合計30,000

会計の研究開発費 30,000 と税務の試験研究費 30,000 が一致したのは、①を研究開発費として損金経理したから。もし①も資産計上していたら、税務の試験研究費は 0 になります(翌期以降の償却費は通常対象になりません)。

ステップ4 税務:②の資産計上額の扱いと別表四

②60,000 は税務上もソフトウェア(自社利用:耐用年数5年)の取得価額。会計も資産なので別表四の加減算はありません。

①30,000 は将来の収益獲得等が明らかでない段階の研究開発費として損金算入(法基通7-3-15の3)。仮に税務上取得価額に算入すべき部分があれば別表四で加算しますが、「研究開発費として損金経理した金額」なので試験研究費の額には含まれます。

別表欄金額(千円)
別表六(九)または六(十)1 試験研究費の額(このSaaS分)30,000
別表十六(一)ほかソフトウェア 取得価額(②)60,000
別表四加算・減算なし
設例11

税務:試験研究費に入るのは 30,000

📍 ラボの場所:設例と別表記載・応用タブ 設例11 ステップ3・4
ハルカ
税務では、3つのうちどれが入るんですか。
先生
ステップ3の表のとおり、①30,000 は試験研究に当たり、研究開発費として損金経理しているから入るんだ。②60,000 は仕様どおりの実装で資産計上、③10,000 は機能維持で、どちらも入らないよ。試験研究費の額は 30,000 なんだ。
迷いポイント ①も資産計上していたら、どうなる?
ハルカ
①も資産計上していたら、試験研究の中身は同じなので、やっぱり 30,000 ですよね。
先生
それが、そうではないのだよ。損金経理していないから、その年の試験研究費は 0 になるんだ。令和3年度改正で対象に加わったのは、①のように会計で研究開発費として費用処理した分で、会計でも資産にした分は、改正後も対象外なんだ。翌期以降の償却費も、通常は対象にならないよ。ステップ4のとおり、②は税務上もソフトウェアの取得価額で、別表四の加減算はないんだ。
ハルカ
正直に言うと、資産にした方が今期の利益がよく見えるので、全部ソフトウェア仮勘定に入れたくなっていました…。
先生
その気持ちが一番危ないところだよ。資産計上を始める時点を、開発計画と承認の資料で決めておくんだ。それがこのシリーズで何度も出てきた「記録」だよ。
💡 そうだったのか!
税務は試験研究か × 損金経理か。設例11の試験研究費は①の 30,000 だけで、①も資産計上していれば 0 です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 会計との違いタブを開き、C4b の判定フローを表示する(初期状態はSaaS提供用・研究段階・30,000)
  2. 「研究開発費として損金経理」をしていない(資産計上)に変える

👀 会計は資産、税務の試験研究費は 30,000 → 0 に変わります。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて試験研究費ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ表を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

設例迷いポイント答え
設例8繰越は、試験研究費が減った年でも使える?使えない。比較試験研究費を超える年に、上限の残り(578)まで
設例9控除しきれない 13,000 は、翌期に繰り越せる?一般型は繰越なし(切り捨て)
設例10不適用なら、別表六(九)は書かなくていい?冒頭の適用可否に「否」と書く。控除額は0
設例11会計の研究開発費 30,000 は、そのまま試験研究費?試験研究か×損金経理かを支出ごとに確かめる(結果は30,000)
設例11①も資産計上していたら、どうなる?損金経理していないので、その年の試験研究費は0
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。繰越は当期分の後の上限の残りまで、一般型は頭打ちの分を繰り越せない。不適用措置に当たれば計算に関係なく0で、SaaSは損金経理した研究段階だけが入るんだ。
ハルカ
シリーズを通して、最初は「研究開発費の1割が戻る」と思っていました。今は、上限・前3年平均・六(七)・損金経理の4つを確かめないと、1割どころか 0 にもなると説明できます。
先生
そこまで言えれば、研究所からの質問にも、経営会議での説明にも使えるね。
ハルカ
いつか「来年は研究開発を何%増やせば控除率がいくつになります」と、自分の言葉で提案できるようになりたいです。…まずは自分の日報から、ちゃんと付けます。
先生
いい順番だね。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

租税特別措置法42条の4・42条の4の2、同施行令27条の4、同施行規則20条、租税特別措置法関係通達(法人税編)42の4(1)-1〜(2)-3・(1)-7/国税庁 別表六(六)・六(七)・六(九)・六(十)・六(十一)・六(十二)の様式と記載の仕方(令和8年4月1日以後終了事業年度分)、適用額明細書の記載の手引(令和8年)/経済産業省「研究開発税制を強化しました」(令和8年5月)、「研究開発税制の概要」(令和4年4月版 p.32〜35:令和3年度改正の損金経理した研究開発費の取扱い)、令和3年度与党税制改正大綱/企業会計審議会「研究開発費等に係る会計基準」、移管指針第8号・第11号。ラボの数値はすべて独自の学習用です(千円単位・千円未満切捨て、12か月の事業年度、単体申告)。法令・様式の確認日:2026年10月3日。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/該当判定編/設例・一般型と中小編/設例・改正とOI型編
サイト内の関連:【2026年版】研究開発税制の計算方法|控除率・上限とシミュレーター/No.5441 研究開発税制について(概要)/法人税申告書(別表)から探す

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。