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収益認識ラボ③【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ保証・本人と代理人・ポイント・ライセンス・買戻し

収益認識ラボ③【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ保証・本人と代理人・ポイント・ライセンス・買戻し

無料の学習ツール「収益認識ラボ③」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・基礎3の数字(オフィス・メンテナンス)
顧客B社との合意価格200,000
外部業者C社への支払160,000
本人なら売上高200,000
代理人なら売上高40,000
利益(どちらでも)40,000
はじめに

今日の題材 ── 同じ取引でも、売上高が5分の1になる

📍 ラボの場所:基礎タブ全体・設例・基礎3
ハルカ
先生、①編で5つのステップの型、②編で取引価格と配分を習いました。③編は「特定の取引」と書いてありますが、新しいルールが増えるんですか。
先生
増えないんだ。保証、本人と代理人、ポイント、ライセンス、買戻し。どれも、5つのステップの判断を取引の実態に合わせて具体化した取扱いなんだよ。今日の題材は、オフィスの清掃などを外部業者に任せるメンテナンス契約だよ。
ハルカ
お客さんから 200,000 もらって、業者に 160,000 払う。売上は 200,000 ですよね。
先生
本人なら 200,000、代理人なら 40,000 なんだ。利益はどちらも 40,000 で変わらないのに、売上高は5分の1になる。この違いがどこから来るのかを、今日は上から順に見ていこうか。
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📗 基礎 0 ラボの図
① 契約の識別①編② 履行義務の識別保証・オプションライセンス③ 取引価格の算定本人と代理人他社ポイント④ 取引価格の配分ポイント更新オプション⑤ 充足時に収益認識ライセンス・買戻し委託・請求済未出荷このラボ③の範囲:特定の取引で、どのステップの判断が変わるか5ステップの原則はそのまま。保証・本人と代理人・ポイント・ライセンス・買戻しなどは、ステップ②〜⑤の判断に「特定の取扱い」を加えるもの
基礎 0

このラボの位置づけ ── 特定の取引における取扱い

📍 ラボの場所:基礎タブ 0
ハルカ
図の5つのステップは①編と同じですね。右側に「保証・オプション」「本人と代理人」などの札が付いています。
先生
そう、札の位置を見てほしいんだ。保証とオプションはステップ②の履行義務の数、本人と代理人と他社ポイントはステップ③の取引価格の範囲、ポイントと更新オプションはステップ④の配分、ライセンスと買戻しはステップ⑤の支配の移転に関わるよ。どの判断が変わるかが、取引ごとに違うんだ。
迷いポイント 特定の取引は、5ステップとは別の計算?
ハルカ
特定の取引用に、5ステップとは別の計算式があるのかと思っていました。
先生
別の式はないんだ。適用指針の第34〜83項は、「履行義務はいくつか」「取引価格はいくらか」「いつ支配が移転するか」の判断に、取引の実態に合わせた手がかりを足したものなんだよ。だから①編の型をそのまま使うんだ。
💡 そうだったのか!
特定の取引は別のルールではなく、5ステップの判断の具体化。取引ごとに、②〜⑤のどの判断が変わるかを押さえます。
📝 収益認識ラボ①【基礎編】(5ステップ・履行義務・一定の期間か一時点か)記事を読む ▶
📗 基礎 1 ラボの図
顧客は保証を単独で購入できる?(個別に価格設定・交渉)はい別個のサービス → 履行義務(第38項)いいえ合意された仕様に従っているという保証「のみ」?はい引当金(企業会計原則注解(注18))第34項いいえ(保証サービスを含む)保証サービス部分は履行義務 → 取引価格を配分(第35項)区分して合理的に処理できないときは両方を一括して単一の履行義務に(第36項)保証サービスを含むかの判断要因(第37項):(1)法律で要求されているか (2)保証期間の長さ (3)約束している作業の内容法律で要求される保証は通常「履行義務でない」。期間が長いほど保証サービスを含むことが多い。返品の配送などの作業は通常、履行義務を生じさせない
製品の引渡時(訓練サービスは未提供)
借方金額貸方金額
売掛金130,000売上高(製品)117,000
契約負債(訓練サービス)13,000
合意された仕様に従っているという保証:引当金(企業会計原則注解(注18))
借方金額貸方金額
製品保証引当金繰入2,000製品保証引当金2,000
基礎 1

保証 ── 「仕様の保証」か「保証サービス」か

📍 ラボの場所:基礎タブ 1・設例・基礎1 ステップ4
ハルカ
製品に1年保証を付けて売りました。保証も顧客への約束なので、履行義務ですよね。
先生
図の2つ目の分かれ道を見てほしいんだ。合意された仕様に従っているという保証だけなら、履行義務ではなく引当金で処理するよ(第34項)。それに加えて、操作の訓練や点検のような保証サービスを含むなら、その部分が履行義務になるんだ(第35項)。
迷いポイント 「3年保証」は長いから、全部を履行義務にして売上を繰り延べる?
ハルカ
3年保証なら期間が長いので、保証の全部を履行義務にして、売上を3年に分けるんですよね。
先生
期間の長さは、第37項の判断要因の1つなんだ。長いほど保証サービスを含むことが多いけれど、仕様の保証のみなら、3年でも引当金だよ。保証サービスを含んでいて区分できないときに初めて、両方を一括して1つの履行義務にするんだ(第36項)。ラボの設例・基礎1では、製品 117,000 と訓練 13,000 に配分し、仕様の保証の見積り 2,000 は製品保証引当金にしているよ。
ハルカ
製品を売ったのに、保証のせいで売上を1年間ずっと小出しにするのかと思っていました。
先生
後に回るのは、提供するまで契約負債にしておく訓練サービスの 13,000 だけだよ。それも保証期間で割るのではなく、訓練を提供するのに応じて収益にするんだ。仕様の保証は費用と負債を立てるだけで、売上は減らさないよ。
💡 そうだったのか!
仕様の保証のみなら引当金、保証サービスを含むならその部分が履行義務。期間の長さは判断要因の1つで、決め手ではありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「保証の配分」のシミュレーションを開く(基礎1の数字)
  2. 右の「延長保証(保証サービス)を含むか」を 「含む」 に、「契約の取引価格」を 130,000 から 150,000 に変える

👀 履行義務が3つになり、製品 117,000・訓練サービス 13,000・延長保証 20,000 に配分されます。延長保証は保証サービスなので契約負債(合計 33,000)になり、仕様の保証の引当金 2,000 は変わりません。

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📗 基礎 2 ラボの図
顧客企業(A社)他の当事者(B社)財・サービス財・サービス本人(第39項)顧客に提供される前に、企業が財・サービスを支配している→ 権利を得ると見込む対価の【総額】を収益に 売上高 = 顧客への販売価格 他の当事者への支払は費用(売上原価等)代理人(第40項)他の当事者が提供するように「手配」するだけで、支配していない→ 報酬・手数料等の【純額】を収益に 売上高 = 受取額 − 他の当事者に支払う額 (または約束した手数料の額)判定の手順(第42項):(1) 顧客に提供する「特定の財・サービス」を識別する → (2) 顧客に提供される前に企業がそれを支配しているか(第37項の支配)を判断する利益の額は同じでも、売上高の大きさが変わる。判定は特定の財・サービスごとに行う(第41項:同一契約で本人と代理人の両方になり得る)
収益の計上(本人:対価の総額)
借方金額貸方金額
売掛金200,000売上高200,000
費用の計上(仕入と原価振替をまとめた簡略表示)
借方金額貸方金額
売上原価(営業費用)160,000買掛金160,000
基礎 2

本人と代理人 ── 総額か、純額か

📍 ラボの場所:基礎タブ 2・設例・基礎3 ステップ4
ハルカ
メンテナンスの対価 200,000 を受け取って、業者に 160,000 払います。売上 200,000、費用 160,000 でいいですよね。
先生
図の左側、本人ならそのとおりだよ(第39項)。顧客に提供される前に、企業がそのサービスを支配しているかが分かれ目なんだ。手配するだけの代理人なら、右側のとおり手数料や差額の 40,000 だけが収益になるよ(第40項)。
ハルカ
②編で、消費税のように「第三者のために回収する額」は取引価格に入れないと習いました。代理人の 160,000 も、業者のために回収しているだけ、という見方ですか。
先生
そう、ちゃんと覚えていたね。代理人は他の当事者が提供するように手配する約束だから、顧客から受け取っても、自分の収益は手配の対価の部分だけなんだ。
迷いポイント 代金を顧客から全額受け取るなら、総額で売上にしていい?
ハルカ
お金は全部うちの口座に入るので、全額を売上にしていいですよね。
先生
お金の流れでは決まらないんだ。判定は2段階で、まず顧客に提供する特定の財・サービスを識別し、次にそれを提供前に支配しているかを見るよ(第42項)。設例・基礎3では、業者に提供先を指図できるので本人、売上高は総額 200,000 なんだ。代理人と判定しても利益は 40,000 で同じだけれど、売上高が 200,000 と 40,000 で大きく違うよ。
💡 そうだったのか!
本人なら総額、代理人なら純額。決めるのはお金の流れではなく、提供前に支配しているかです。利益は同じでも売上高が変わります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「本人と代理人」のシミュレーションを開く(基礎3の数字)
  2. 右の「顧客に提供される前に、企業がその財・サービスを支配しているか」を 「支配していない → 代理人」 に変える

👀 判定が本人 → 代理人(純額) になり、売上高が 200,000 → 40,000 に。利益は 40,000 のまま変わらず、売上高利益率が 20% → 100% に跳ね上がります。

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📗 基礎 3 ラボの図
(1) 主たる責任約束の履行に対して主たる責任を有する(受入可能性の責任を含む)(2) 在庫リスク提供前または移転後(返品権など)に在庫リスクを負う(3) 価格の裁量権顧客が支払う価格を企業が設定している(代理人にも裁量はあり得る)指標は「支配しているか」の判断を助けるもの。指標の数で機械的に決めるのではなく、特定の財・サービスごとに総合的に判断する(第47項)企業が支配していれば本人になるもの(第44項)① 他の当事者から受領し 顧客に移転する財・資産 (例:仕入れた航空券)② 他の当事者が履行する サービスに対する権利 (指図する能力を持つ)③ 他の当事者から受領し、 他の財・サービスと統合 するもの(重要な統合サービス)法的所有権を瞬時に顧客へ移転するだけなら、必ずしも支配しているとはいえない(第45項)。外注先に履行させても本人になり得る(第46項)
基礎 3

支配の指標 ── 主たる責任・在庫リスク・価格の裁量

📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
「支配しているか」と言われても、サービスは目に見えません。どうやって判断するんですか。
先生
図の上の段に3つの指標があるよ(第47項)。約束の履行に主たる責任があるか、在庫リスクを負うか、価格の設定に裁量があるか。下の段は、支配の対象になる3つのもので、仕入れた航空券のような財、他の当事者が履行するサービスに対する権利、統合するものだよ(第44項)。
迷いポイント 指標が3つのうち2つ当てはまれば本人?
ハルカ
3つのうち2つ当てはまれば本人、1つなら代理人、で判定表を作ろうと思います。
先生
指標の数で機械的に決めてはいけないんだ。指標は、支配しているかの判断を助けるものなんだよ。設例・基礎4の航空券では、主たる責任は航空会社にあって×だけれど、座席の権利を先に買い取って支配しているから本人なんだ。法的所有権が顧客への移転前に瞬時に通るだけなら、支配しているとはいえないよ(第45項)。
ハルカ
3つのうち2つで多数決、と決めて帰るつもりでした。
先生
指標は投票しないよ。支配しているかを判断するための手がかりなんだ。
💡 そうだったのか!
3つの指標は数で決めるものではなく、支配の判断を助ける手がかり。特定の財・サービスごとに総合的に判断します。
📗 基礎 4 ラボの図
独立販売価格:商品 100 ポイント(使用見込みを反映)9商品 1009取引価格 100 を独立販売価格の比率で配分売上高(商品)928↑ 契約負債(ポイント)重要な権利(第48項):その契約を結ばなければ受けられない値引き(通常の値引きの範囲を超える)を与えるなら、オプション自体が履行義務独立販売価格を直接観察できないときは「行使時に得られる値引き」×「行使される可能性」で見積る(第50項)。通常受けられる値引き分は差し引く独立販売価格を反映した価格で買えるだけのオプションは重要な権利でない → 配分せず、行使時に収益(第49項)
商品の販売時
借方金額貸方金額
現金預金200,000売上高183,486
契約負債16,514
基礎 4

追加の財・サービスを取得するオプション ── 重要な権利

📍 ラボの場所:基礎タブ 4・設例・基礎6 ステップ3
ハルカ
商品を買うとポイントが付くお店は多いです。ポイントは、会計ではどう扱うんですか。
先生
図のとおり、その契約を結ばなければ受けられない重要な権利を顧客に与えるなら、ポイントそのものが履行義務になるんだ(第48項)。取引価格を商品とポイントに独立販売価格の比率で配分して、ポイント分は使われるまで契約負債だよ。
ハルカ
①編で、入金が先で財・サービスがまだなら契約負債、と習いました。ポイントも、代金はもらったけれど値引きはまだ渡していない、という意味で契約負債なんですね。
先生
そのとおりだよ。将来の値引きという約束が、まだ果たされていない状態なんだ。
迷いポイント ポイントは費用(販促費)で引き当てればよい?
ハルカ
販売促進費として、将来使われる分を引当金にしておけば十分だと思っていました。
先生
収益認識基準では、ポイントは費用ではなく売上の一部の繰延べなんだ。設例・基礎6なら、200,000 の販売で 20,000 ポイントを付け、90% が使われる見込みなら独立販売価格は 18,000。商品に 183,486、ポイントに 16,514 を配分して、16,514 が契約負債になるよ。独立販売価格を反映した価格で追加購入できるだけのオプションなら、重要な権利ではないから配分しないんだ(第49項)。
💡 そうだったのか!
重要な権利を与えるポイントは履行義務。取引価格を配分し、ポイント分は契約負債にして使用時に収益にします。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「ポイント・非行使部分」のシミュレーションを開く(基礎6の数字)
  2. 右の「X2年度末の見込み割合(%)」を 95 から 90 に変える(見積りを変えない)

👀 X2年度のポイント分の収益が 6,519 → 7,340 に増え、X2年度末の契約負債が 1,738 → 917 に減ります。使われる見込みを減らすと、同じ使用数が見込み総数に占める割合が高くなるので、当期の収益が大きく、契約負債が小さくなります。

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📗 基礎 5 ラボの図
返金不要の前払 100 → 契約負債(第52・53項)行使されると見込む部分 9010顧客が 72 を行使収益 72契約負債のまま8↑ 非行使部分 10 は、行使のパターンに比例して収益 8(第54項前段)非行使部分の権利を「得ると見込む」かは、変動対価の制限(第54・55項)の考え方で判断する(適用指針第55項)見込めないなら、顧客が残りの権利を行使する可能性が極めて低くなった時に収益を認識する
使用時(財・サービスの移転 72,000)+非行使部分を使用パターンに比例して認識
借方金額貸方金額
契約負債80,000売上高80,000
基礎 5

非行使部分 ── 使われない権利はいつ収益になるか

📍 ラボの場所:基礎タブ 5・設例・応用8 ステップ3
ハルカ
商品券を 100 発行して、10 は使われないと見込んでいます。使われない 10 は、いつ売上になるんですか。
先生
図の流れを見てほしいんだ。発行時は 100 全部が契約負債だよ(第52項)。顧客が 72 を使ったら、その 72 と一緒に、非行使部分 10 のうち行使のパターンに比例した 8 を収益にするんだ(第54項)。
迷いポイント 使われないと見込む分は、発行時にすぐ売上にしてよい?
ハルカ
使われないと分かっている 10 は、発行した日に売上にしてしまってもいいですよね。
先生
それが、そうではないのだよ。非行使部分は、顧客が権利を行使するパターンに比例して認識するんだ。まだ1枚も使われていない日には、収益はゼロなんだよ。そもそも「権利を得ると見込む」といえるかは、変動対価の制限の考え方で判断するんだ(第55項)。
ハルカ
変動対価の制限は②編でやりました。著しい減額が起きない可能性が高い部分だけ、という考え方ですね。
先生
そう、つながっているね。実績が十分でなければ見込まない。見込まないなら、顧客が残りを行使する可能性が極めて低くなった時に収益だよ。法律で他の当事者に支払う義務があれば、収益ではなく負債なんだ(第56項)。
💡 そうだったのか!
非行使部分は、顧客の行使パターンに比例して収益に。見込めるかは変動対価の制限の考え方で判断します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「ポイント・非行使部分」のシミュレーションを開く(応用8の数字)
  2. 右の「非行使部分の権利を得ると見込むか(第54項)」を 「見込まない」 に変える

👀 当期の収益が 80,000 → 72,000 に、期末の契約負債が 20,000 → 28,000 に。見込まない場合、非行使部分の 10,000 は、顧客が権利を行使する可能性が極めて低くなった時まで契約負債のまま残ります。

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📗 基礎 6 ラボの図
取引開始日(前後)に返金不要の支払を受けたその支払は、約束した財・サービスの移転を生じさせる?はいその移転を独立した履行義務として処理するかを判断(第59項)いいえ将来の財・サービスの移転に対する前払→ 将来の財・サービスを提供する時に収益(第58項)更新オプションが重要な権利なら、契約更新される期間を考慮して収益(第58項ただし書き)例:スポーツクラブの入会金。入会手続(セットアップ活動)は財・サービスの移転ではない(第4項)契約締結・契約管理活動のコストを賄う前払は、インプット法の進捗度の計算から除く(第60項)
基礎 6

返金不要の前払 ── 入会金・セットアップ費用

📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
スポーツクラブの入会金のように、最初に受け取って返さないお金は、受け取った時に売上でいいですか。
先生
図の最初の問いなんだ。その支払が、約束した財・サービスの移転を生じさせるかを見るよ(第57項)。入会手続はセットアップの活動で、顧客に何かを移転するわけではないから、将来のサービスを提供する時に収益にするんだ(第58項)。
迷いポイント 入会金は受け取った期の売上?
ハルカ
返金しないお金なら、受け取った期の売上で確定ですよね。
先生
返金の有無では決まらないんだ。移転を生じさせないなら将来のサービスの前払として、提供する期間にわたって収益にするよ。更新オプションが重要な権利なら、更新されると見込む期間まで考えて認識するんだ(第58項ただし書き)。
ハルカ
ジムの入会金も、ジムの側では私が通う期間にわたって売上になるんですね。私が3か月で行かなくなっても。
先生
会員資格が続いて、ジムが使えるサービスを提供し続けている間は、実際に来なくても、ジム側は原則として認識を続けるよ。退会や更新の見込みが変われば、ジムの側で見直すんだ。
💡 そうだったのか!
返金不要の前払は、財・サービスの移転を生じさせるかで判断。入会金のように移転を生じさせないなら、将来のサービスの提供時に収益です。
📗 基礎 7 ラボの図
ライセンスは他の財・サービスと別個か?(第61項)いいえ一括して単一の履行義務 → 第35〜40項で一定期間か一時点かを判定(設例24-1)はい約束の性質の判定(第63項:3要件すべて)(1) 知的財産に著しく影響する活動を企業が行うことが契約に定められ、または顧客に合理的に期待される(2) その活動により顧客が直接影響を受ける(3) その活動の結果、財・サービスが顧客に移転しないすべて該当1つでも非該当アクセスする権利(第62項(1))ライセンス期間にわたり存在する知的財産 → 一定の期間(設例25)使用する権利(第62項(2))一時点(設例23・24-2)「著しく影響する」活動(第65項):形態・機能性を著しく変える、または顧客の便益が企業の活動に依存する(ブランドなど)考慮しない要因(第66項):時期・地域・用途の制限、特許の保証
基礎 7

ライセンス ── アクセスする権利か、使用する権利か

📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
ソフトウェアのライセンスを3年間供与しました。収益はいつ認識するんですか。
先生
図の分かれ道を上から下へ読むんだ。まずライセンスが他の財・サービスと別個か(第61項)。別個なら、約束の性質を第63項の3要件で判定するよ。企業が知的財産に著しく影響する活動を続け、顧客がその影響を直接受け、その活動で財・サービスが移転しない。3つ全部そろえばアクセスする権利で一定の期間、1つでも欠ければ使用する権利で一時点なんだ。
ハルカ
一定の期間か一時点かは、①編のステップ⑤でやりましたね。ライセンスでは、その判定をこの3要件に置き換えるんですか。
先生
そう、ライセンス向けに具体化した判定なんだ。企業が知的財産に手を加え続けるかどうかが、約束の性質を決めるよ。
迷いポイント 3年間のライセンスなら、3年にわたって売上?
ハルカ
3年間使える権利なら、売上も3年に分けるのが自然ですよね。
先生
期間の長さは、判定に影響しないんだ(第66項)。時期・地域・用途の制限も同じだよ。単独で機能するソフトなら、企業が機能を変え続ける活動がない限り使用する権利で、顧客が使えるようになった時点で一時点の収益になるんだ。
💡 そうだったのか!
ライセンスは期間の長さではなく、企業が知的財産に影響し続けるかで判定。3要件すべてでアクセスする権利(一定の期間)、欠ければ使用する権利(一時点)です。
📗 基礎 8 ラボの図
ライセンスを供与顧客が売上を計上/使用ロイヤルティを収益にライセンスのみに関連する(またはライセンスが支配的な項目の)売上高・使用量ベースのロイヤルティは、変動対価の見積り・制限(第50〜55項)を適用せず、(1) 顧客の売上計上時・使用時 (2) 配分先の履行義務の充足時 の【いずれか遅い方】で認識(第67項)該当しないロイヤルティ(ライセンスが支配的でない契約など)は、原則どおり変動対価として見積って制限を判断(第68項・②編)
基礎 8

売上高・使用量に基づくロイヤルティ

📍 ラボの場所:基礎タブ 8
ハルカ
ライセンスの対価が「顧客の売上高の 5%」のように決まる契約があります。これは変動対価ですよね。②編の方法で見積るんですか。
先生
変動対価なのはそのとおりだけれど、ここは例外なんだ。図のとおり、売上高・使用量に基づくロイヤルティがライセンスのみに関連するか、そのロイヤルティにおいてライセンスが支配的な項目なら、見積りも制限もせず、顧客の売上や使用が生じた時に収益にするよ(第67項)。認識時期は、顧客の売上計上時と、履行義務の充足時のいずれか遅い方なんだ。
迷いポイント ロイヤルティも期待値で見積って期首に売上にできる?
ハルカ
8年契約なら、8年分のロイヤルティを期待値で見積って、最初に売上にできませんか。
先生
できないんだ。将来の顧客の売上に左右される対価を見積って先に計上すると、あとで大きく動いてしまうからね。だから第67項は、見積りをやめて売上が生じた時に認識するんだよ。ライセンス以外が中心の契約なら、原則どおり②編の変動対価として見積るんだ(第68項)。
ハルカ
8年分の売上を初日に計上できたら、気持ちいいと思ったんですが。
先生
気持ちいいのは初日だけで、残りの8年は苦しくなるよ。顧客の売上が立つたびに、少しずつ受け取っていくんだ。
💡 そうだったのか!
売上高・使用量に基づくロイヤルティは見積らない。顧客の売上・使用時と履行義務の充足時の遅い方で認識します。
📗 基礎 9 ラボの図
先渡取引・コールでは顧客は支配を獲得しない(第69項)。プットは価格関係とインセンティブで判断(第72・73項)先渡取引・コール・オプション(第69〜71項)企業が買い戻す義務/権利を持つ買戻価格 ≧ 販売価格 → 金融取引買戻価格 < 販売価格 → リース(リースバックを含むなら金融取引)プット・オプション(第72〜74項)顧客の要求で企業が買い戻す義務行使する重要な経済的インセンティブあり: 買戻価格 < 販売価格 → リース(リースバックは金融取引) 買戻価格 ≧ 販売価格 かつ > 時価 → 金融取引(価格条件で決まる)インセンティブなし: 買戻価格 < 販売価格 → 返品権付きの販売(②編) 買戻価格 ≧ 販売価格 かつ ≦ 時価 → 返品権付きの販売(価格の比較では金利相当分を考慮。時価との関係はインセンティブの判断材料)金融取引の処理(第70項):商品・製品を認識し続け、受取額を金融負債(借入金)に。買戻価格との差額は金利(加工・保管コスト等)オプションが未行使のまま消滅 → 負債の消滅を認識し、収益を認識(第71・74項)。買戻価格と販売価格の比較では金利相当分を考慮する
販売日(支配は移転しない:製品を認識し続け、受取額を金融負債に)
借方金額貸方金額
現金預金500,000借入金500,000
買戻日まで:買戻価格との差額を金利(又は加工・保管コスト等)として認識
借方金額貸方金額
支払利息40,000借入金40,000
基礎 9

買戻契約 ── 先渡取引・コール・オプション・プット・オプション

📍 ラボの場所:基礎タブ 9・設例・基礎7 ステップ3
ハルカ
製品を 500,000 で売って、1年以内に 540,000 で買い戻せる権利を持っています。売った時に売上でいいですか。
先生
図の左側だよ。企業が買い戻す義務(先渡取引)や権利(コール・オプション)を持つなら、顧客は支配を獲得していないんだ(第69項)。買戻価格が販売価格以上なら金融取引で、受け取った 500,000 は借入金、差額の 40,000 は金利だよ(第70項)。買戻価格が販売価格より低ければリースなんだ。
ハルカ
リースと返品権付きの販売が出てきました。リース会計ラボで「リースに該当するか」の判定を、②編で返品権付き販売の返金負債と返品資産をやりましたね。
先生
そう、両方ともここでつながるんだ。買戻契約は、結果として金融取引・リース・返品権付きの販売のどれかになるよ。図の右側のプット・オプションは、顧客の要求で買い戻す義務だから、顧客に行使する重要な経済的インセンティブがあるかを見るんだ(第72項)。
迷いポイント 買い戻す「権利」があるだけで、実際に買い戻さなければ売上にしてよい?
ハルカ
コールは権利であって義務ではないので、使わなければ普通の販売ですよね。
先生
権利があるだけで、顧客は製品の使用を指図する能力が制限されるんだ。だから販売日には売上にせず、オプションが未行使のまま消滅した時に、負債の消滅と収益を認識するよ(第71項)。設例・基礎7では、消滅時に借入金 540,000 を売上高にするんだ。買戻価格と販売価格を比べるときは、金利相当分も考慮するよ。
💡 そうだったのか!
先渡取引・コールでは顧客は支配を獲得していない。買戻価格 ≧ 販売価格なら金融取引、< ならリース。コールが未行使で消滅した時に収益です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「買戻契約」のシミュレーションを開く(基礎7の数字)
  2. 右の「買戻価格」を 540,000 から 470,000 に変える

👀 判定が金融取引 → リースとして処理 に変わり、差額が ▲30,000 と表示されます。販売価格より安く買い戻すなら、顧客はその期間だけ製品を使う権利を買ったことになるからです。リースの仕訳はリース会計ラボで扱います。

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📗 基礎 10 ラボの図
委託販売契約(第75・76項)販売業者に引き渡しても、業者が支配を獲得していなければ引渡時に収益を認識しない指標:企業が支配を保持/返還や第三者への販売を要求できる/業者に無条件の支払義務がない請求済未出荷契約(第77〜79項)請求したが物理的占有を企業が保持。第39・40項を適用したうえで、4要件すべてで顧客が支配を獲得:(1)合理的な理由 (2)顧客のものとして区分識別 (3)移転の準備が整う (4)企業が使用・転用できない顧客による検収(第80〜83項)合意された仕様に従うと客観的に判断できる → 検収は形式的(支配の時点に影響しない)客観的に判断できない → 検収まで支配は移転しない試用目的の引渡し → 検収か試用期間終了までいずれも「顧客がいつ支配を獲得したか」(第39・40項、①編)を具体化した取扱い。出荷・引渡し・請求の時点と一致するとは限らない
基礎 10

委託販売・請求済未出荷・検収 ── 引渡し≠収益

📍 ラボの場所:基礎タブ 10
ハルカ
①編の応用で、所有権と占有のずれのところに委託販売と請求済未出荷が出てきましたよね。あれの続きですか。
先生
よく覚えていたね。その続きなんだ。図の3つはどれも、顧客がいつ支配を獲得したかを具体化した取扱いだよ。委託販売なら、販売業者が支配を獲得していなければ引渡時に収益にしない(第75・76項)。検収なら、合意された仕様に従っていると客観的に判断できれば検収は形式的で、できなければ検収まで支配は移転しないんだ(第80〜83項)。
迷いポイント 請求書を出して代金ももらったなら、倉庫に置いたままでも売上?
ハルカ
請求書も出して、お金ももらったなら、うちの倉庫に置いたままでも売上でいいですよね。
先生
請求済未出荷契約は、4つの要件をすべて満たすときだけ、出荷前に顧客が支配を獲得したといえるんだ(第79項)。契約を結んだ合理的な理由があるか、顧客のものとして区分して識別されているか、移転の準備が整っているか、企業が使ったり他に振り向けたりできないか。どれか1つでも欠けたら、支配が移転するまで収益は認識できないよ。先に受け取った代金は契約負債なんだ。
💡 そうだったのか!
出荷・引渡し・請求の時点と収益の時点は一致するとは限らない。請求済未出荷は4要件すべてを満たすときだけ、出荷前に収益です。
📝 売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】記事を読む ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて収益認識ラボ③の画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
特定の取引は、5ステップとは別の計算?別のルールではない。5ステップの②〜⑤の判断を取引の実態に合わせて具体化したもの(適用指針第34〜83項)基礎0
「3年保証」は長いから全部を履行義務にする?仕様の保証のみなら引当金。保証サービスを含む部分だけ履行義務。期間は判断要因の1つ(第34〜37項)基礎1
代金を全額受け取るなら総額で売上にしていい?お金の流れでは決まらない。提供前に支配していれば本人(総額)、手配だけなら代理人(純額)(第39〜42項)基礎2
指標が3つのうち2つ当てはまれば本人?数では決めない。指標は支配の判断を助けるもの(第47項)基礎3
ポイントは費用(販促費)で引き当てればよい?重要な権利なら履行義務。取引価格を配分し、ポイント分は契約負債(第48・50項)基礎4
使われないと見込む分は発行時にすぐ売上?行使パターンに比例して認識。見込めるかは変動対価の制限の考え方で判断(第54・55項)基礎5
入会金は受け取った期の売上?移転を生じさせないなら将来のサービス提供時に収益。更新オプションが重要な権利なら更新期間も考慮(第57・58項)基礎6
3年間のライセンスなら3年にわたって売上?期間は影響しない。3要件すべてでアクセスする権利(一定の期間)、欠ければ使用する権利(一時点)(第62〜66項)基礎7
ロイヤルティも期待値で見積って期首に売上?第67項の対象となるロイヤルティは見積らない。顧客の売上・使用時と充足時の遅い方(第67項)基礎8
買い戻す権利があるだけなら、普通の販売?顧客は支配を獲得していない。買戻価格 ≧ 販売価格なら金融取引、< ならリース。コールが未行使で消滅した時に収益(第69〜71項)基礎9
請求して代金ももらったなら、倉庫に置いたままでも売上?4要件をすべて満たすときだけ。欠ければ支配の移転まで認識しない(第79項)基礎10
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。特定の取引は、5ステップの判断を具体化したもので、別のルールではない。本人と代理人は提供前に支配しているかで決まり、利益は同じでも売上高が変わる。ポイントや保証サービスは履行義務になり、買戻しや請求済未出荷では支配の移転の時点を見る。この3つを持ち帰ってほしいんだ。
ハルカ
①編で「何を・いつ」、②編で「いくら」を習って、今日は同じ型を取引ごとに当てはめただけでした。新しい基準が増えたわけではないと分かって、少し気が楽になりました。前は論点の名前を覚えようとしていましたが、今回は「どのステップの判断が変わるか」を見るようになった気がします。
先生
それが①編から順に読んできた力だよ。論点の名前より、どの判断が動くかを見る方が、初めての取引にも応用できるんだ。
ハルカ
今日いちばん驚いたのは、指標が投票しないことです。多数決の判定表を作らなくてよくなって、少し寂しいです。
先生
寂しがらなくていいよ。その代わりに、②編で言っていた「判断の理由を書く欄」を、今日も広く取っておこうか。次の応用編では、消化仕入や他社ポイント、更新オプションの簡便法、金利相当分の考慮など、実務で迷う論点を見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(2024年9月13日最終改正)、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(2025年10月16日までの修正を反映)と設例。基準確認日:2026年10月1日。原文はASBJ(第29号)・ASBJ(適用指針第30号)で公開されています。

シリーズ:基礎編/応用編 / 設例編:保証と本人・代理人編(設例16〜20・30)・ポイントとオプション編(設例21・22・31・非行使部分)・ライセンスと買戻し編(設例23〜26・請求済未出荷) / 関連:収益認識ラボ①【基礎編】(5ステップ・履行義務・一定の期間か一時点か)/収益認識ラボ②【基礎編】(取引価格・変動対価・金融要素・配分)/【早見表】収益認識基準・適用指針(論点を項番号で検索)/リース会計ラボ(買戻契約をリースとして処理する場合の計算)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。