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CGコードラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ支配株主・機関設計・エクスプレインの書き方・2026年版の新論点

CGコードラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ支配株主・機関設計・エクスプレインの書き方・2026年版の新論点

無料の学習ツール「CGコードラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📋 応用 処理早見表
項目プライムスタンダードグロース2026年版2021年版開示欄エクスプレイン率
独立社外取締役の数1/3以上2名以上対象外原則4-10原則4-8-6.9%
支配株主を有する場合の独立社外過半数(代替:特別委員会)1/3以上(代替:特別委員会)対象外原則4-10 第2段・解釈指針補充原則4-8③-2.6%
任意の指名・報酬委員会過半数未満なら設置。委員の過半数を独立社外に・構成の考え方を開示過半数未満なら設置対象外原則4-7補充原則4-10①○(プライム)24%
議決権電子行使プラットフォーム少なくとも機関投資家向けに利用可能に(本文)解釈指針(対象外)対象外原則1-2補充原則1-2④-38.2%
招集通知の英訳解釈指針(対象外。PF利用は本文)解釈指針(対象外)対象外原則1-2 解釈指針(ⅲ)補充原則1-2④-38.2%
英語での情報開示(招集通知英訳とは別)合理的な範囲で進める(C/E対象)合理的な範囲で進める(C/E対象)対象外原則3-2補充原則3-1②-26.6%
多様性の測定可能な目標決定・開示決定・開示対象外原則2-2補充原則2-4①○31.2%
スキル・マトリックス(備えるべきスキル)開示開示対象外原則4-13補充原則4-11①○11.7%
取締役会の実効性評価毎年実施・結果概要を開示同左対象外原則4-13補充原則4-11③○15.9%
CEO後継者計画への関与主体的に関与同左対象外原則4-3補充原則4-1③-25.4%
内部統制・全社的リスク管理体制整備(グループ・内部監査・サイバー等は解釈指針)同左対象外原則4-4補充原則4-3④-0.1%
サステナビリティの基本方針策定・取組み同左対象外原則4-5原則2-3・補充原則4-2②-8.6%
政策保有株式縮減方針・検証結果・議決権行使基準を開示同左対象外原則1-4原則1-4○5.1%
研鑽(トレーニング)の方針開示開示対象外原則4-15補充原則4-14②○3.3%
基本原則(4個/旧5個)必要必要必要基本原則1〜4基本原則1〜5--

※「対象外」はコンプライ・オア・エクスプレインの対象外という意味で、取り組まなくてよいという意味ではありません。グロース市場は基本原則の取組みとして説明する会社があります。

はじめに

今日の題材 ── 応用タブの処理早見表

📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭
ハルカ
基礎編で「実施か説明か」の考え方は分かりました。応用では何を見るんですか。
先生
応用タブの最初にある早見表を見て。項目ごとに、プライム・スタンダード・グロースで何が求められるか、2026年版と2021年版の項番、開示欄の要否、右端にエクスプレイン率を並べてあるんだ。率の分母は、2021年版に基づく報告書を出しているプライム+スタンダードの会社 3,062社。項番が2021年版のものだから、2026年版に移った32社は分母から外してあるんだよ。今日はこの表を入口に、A 適用判定、B 書き方、C 2026年版の新しい論点、D データの4つを順に見ていこうか。
ハルカ
右端の率を見ると、電子行使プラットフォームの 38.2% が一番高いですね。
先生
それがスタンダード市場の悩みどころで、しかも2026年版で扱いが変わる項目なんだ。順に読んでいこうか。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A1 ラボの図
グロース市場:基本原則のみ市場区分の変更スタンダード/プライム:基本原則+原則変更後は原則(2026年版 26個)がコンプライ・オア・エクスプレインの対象に加わる独立社外2名以上(プライムは1/3以上)、任意委員会、PF・英訳、開示事項の棚卸しを事前にグロース企業の任意委員会設置率 42.4% / スタンダード 53.2%
応用 A1

市場区分と適用のタイミング ── 上場・区分変更・準拠版

📍 ラボの場所:応用タブ A1
ハルカ
グロースからスタンダードに区分が変わると、何が変わるんですか。
先生
図の右の箱を見て。変更後は原則(2026年版で26個)がコンプライ・オア・エクスプレインの対象に加わるんだ。独立社外2名以上、過半数未満なら任意委員会、英文開示、開示事項の棚卸し。これを変更前に整えておくんだよ。
迷いポイント 区分変更の後で、順番に対応していけばいい?
ハルカ
変更が決まってから、最初の定期更新までに直せばいいですよね。
先生
変更後最初のCG報告書から原則が適用されるから、申請前にドラフトを作っておくのが安全なんだ。グロース企業の任意委員会の設置率は 42.4%、スタンダードは 53.2%。区分変更で論点が一気に増える会社は多いよ。
ハルカ
プライムに上がるときは、さらに上乗せがあるんですよね。
先生
1/3以上の独立社外、電子行使プラットフォーム、任意委員会の委員の過半数独立と構成の考え方の開示。スタンダードからの移行で一番差が出る部分だよ。
💡 そうだったのか!
区分変更後は原則26個が対象に加わる。変更前に最初のCG報告書のドラフトを作り、エクスプレインの件数と内容を把握しておきます。
📙 応用 A2 ラボの図
支配株主(親会社等)上場会社の取締役会少数株主支配利益相反のおそれ支配株主から独立した独立社外取締役をプライム:過半数 / その他市場:1/3以上(原則4-10 第2段)代替独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成する特別委員会が支配株主との重要な取引・行為を審議(解釈指針)
応用 A2

支配株主・親会社を有する会社 ── 一段上の独立性

📍 ラボの場所:応用タブ A2
ハルカ
親会社がいる上場子会社は、独立社外取締役の要件がきびしいと聞きました。
先生
図の真ん中の箱を見て。支配株主を有する会社は、支配株主から独立した独立社外取締役を、プライムは過半数、その他市場は1/3以上選任する。原則4-10の第2段で、2021年版では補充原則4-8③だった定めが本文に格上げされたんだ。
迷いポイント 過半数に届かなければ、独立社外取締役を増やすしかない?
ハルカ
取締役会の人数を変えるのは大変です。増員する以外に道はないんでしょうか。
先生
図の下の紫の箱が代替案だよ。独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成する特別委員会を設置して、支配株主と少数株主の利益が相反する重要な取引・行為を審議する。解釈指針が示す代替措置で、ラボの判定も「所定数の独立社外 または 特別委員会」のどちらかで✔になるんだ。多くの上場子会社がこの形をとっているよ。
ハルカ
親会社と子会社の間に、利益相反の見張り番を置くんですね。収録企業で支配株主がいる会社はどのくらいですか。
先生
全体で 14.0%、グロースは 29.7% と多いよ。グロースでは原則が対象外だけれど、少数株主保護は基本原則の核心だから、自主的に特別委員会を置く会社もあるんだ。
💡 そうだったのか!
支配株主があればプライム過半数・その他1/3以上。届かなければ増員か、特別委員会で代替します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「自社診断」タブでプリセット「プライム・独立4/9・支配株主あり」を選ぶ(「支配株主を有する場合」が✖)
  2. 「支配株主との利益相反取引を審議する特別委員会」をありに変える

👀 人数は4名(44.4%)のままでも、特別委員会で代替して✔に変わります(✖ 1件 → 0件)。委員会を「なし」に戻して独立社外を 5名 にしても、同じく✔です。

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📙 応用 A3 ラボの図
監査役会設置会社監査役会(半数以上社外・常勤1名以上)が監査独立社外取締役が過半数未満なら任意の指名・報酬委員会(原則4-7)監査役に財務・会計の知見(原則4-13)監査等委員会設置会社監査等委員(取締役3名以上・過半数社外)が監査監査等委員である社外取締役も独立社外取締役の人数に含めて数える過半数未満なら任意委員会(原則4-7)指名委員会等設置会社法定の指名・報酬・監査委員会(各過半数社外)任意の仕組みは不要。委員会の独立性・権限を開示執行役への大幅な権限委譲が可能収録企業:監査役会 49.6%/監査等委員会 47.7%/指名委員会等 2.7%
応用 A3

機関設計別の論点 ── 監査役会・監査等委員会・指名委員会等

📍 ラボの場所:応用タブ A3
ハルカ
監査等委員会設置会社に移行すると、独立社外取締役が増えると聞きました。どうしてですか。
先生
図の真ん中の箱を見て。監査等委員である社外取締役は取締役だから、独立性を満たせば独立社外取締役の人数に入るんだ。監査役会設置会社の社外監査役は取締役ではないので入らない。この違いで比率が上がるんだよ。
迷いポイント 指名委員会等設置会社にも、任意の指名・報酬委員会が要る?
ハルカ
原則4-7は全部の会社に任意委員会を求めているんですよね。
先生
指名委員会等設置会社は法定の指名・報酬・監査委員会を持っているから、任意の仕組みは不要なんだ。原則4-7が名指ししているのは「監査役会設置会社又は監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が過半数に達していない場合」だよ。収録企業で指名委員会等設置会社は 100社(2.7%)と少ないけれどね。
ハルカ
監査等委員会にも「監査」という字が入っているので、監査委員会と同じ扱いだと思っていました。名前がややこしいです。
先生
その名前に迷う実務家は多いよ。法定の委員会が3つそろうのは指名委員会等設置会社だけなんだ。
💡 そうだったのか!
監査等委員である社外取締役は独立社外取締役の人数に数える。任意委員会が不要なのは法定委員会を持つ指名委員会等設置会社だけです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「自社診断」タブでプリセット「スタンダード・独立3/7(監査等委員会)」を選ぶ(任意委員会が✖)
  2. 「機関設計」を指名委員会等設置会社に変える

👀 任意委員会の行が「法定委員会あり ✔」に変わり、✖は 1件 → 0件になります。

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📙 応用 B1 ラボの図
① 項番を特定「補充原則4-10①」ではなく新版なら「原則4-7」。どの原則かを明示② 自社の状況株主構成・規模・機関設計・事業特性など、判断の前提となる事実③ 実施しない理由上記の状況に照らした合理的な理由(費用対効果だけで終わらせない)④ 代替手段と今後同じ目的をどう達成しているか、見直しの時期・条件投資家は「なぜ自社には合わないのか」「代わりに何をしているか」を読む。ダッシュボードの本文検索で同業の説明ぶりを比較できる
応用 B1

エクスプレインの書き方 ── 4要素で組み立てる

📍 ラボの場所:応用タブ B1
ハルカ
エクスプレインは、結局なんと書けばいいんでしょう。
先生
図の4つの箱の順に組み立てるんだ。①項番を特定、②自社の状況、③実施しない理由、④代替手段と今後。東証は「どの原則に関する説明であるかを項番等により具体的に特定したうえで記載」を求めているから、①は必須だよ。
迷いポイント 「費用対効果を踏まえ、今後検討する」と書いておけばいい?
ハルカ
「当社の規模に照らして費用対効果を踏まえ、今後検討してまいります」が定番だと思っていました。
先生
それだと②③④が全部抜けているんだ。株主構成(機関投資家比率)、事業特性、いまの体制、同じ目的をどう達成しているか、いつ見直すか。「今後検討」が何年も続くと、説明の質そのものが疑われるよ。
ハルカ
「今後検討します」を5年続けると、検討そのものが事業になりそうですね。
先生
検討は事業にはならないから、見直しの時期を書くんだよ。
💡 そうだったのか!
エクスプレインは項番・状況・理由・代替手段と今後の4要素。「費用対効果」だけで終わらせず、見直しの時期まで書きます。
📙 応用 B2 ラボの図
2026年版で「開示すべき」とされる主な事項(CG報告書「各原則に基づく開示」欄)原則1-4政策保有株式の方針・検証結果・議決権行使基準原則3-1経営理念・戦略、CG基本方針、報酬・選解任の方針と手続、個々の説明原則4-7任意委員会の独立性の考え方・権限・役割(プライム)原則2-2多様性の考え方と測定可能な目標、人材育成・環境整備方針原則4-13備えるべきスキルと組み合わせ、実効性評価の結果概要原則4-15研鑽の機会の提供の方針原則1-1対話促進の方針(取締役会で検討・承認)原則2-4企業年金の人事・運営面の取組み2021年版では補充原則2-4①・4-10①・4-11①・4-14②などが該当。項番の読み替えが必要
応用 B2

開示欄の書き方 ── 「開示すべき」原則の一覧

📍 ラボの場所:応用タブ B2
ハルカ
開示欄に書く項目は、どこで一覧になっていますか。
先生
図のマップだよ。原則1-4 政策保有、3-1 開示5事項、4-7 任意委員会の構成(プライム)、2-2 多様性、4-13 スキルと実効性評価、4-15 研鑽方針、1-1 対話方針、2-4 企業年金。2026年版で項番が動いたものが多いのが注意点なんだ。
迷いポイント 有報や統合報告書に書いてあれば、CG報告書には書かなくていい?
ハルカ
スキル・マトリックスは統合報告書に載せているので、CG報告書では省略できますよね。
先生
省略ではなく参照先を明記する方法が記載要領で認められているんだ。「有価証券報告書の〇〇をご参照ください」のように、どこに書いてあるかを示す。収録企業の開示欄に多いのは原則1-4(93.5%)、3-1(93.5%)などで、ほぼ全社が何かしら書いているよ。
ハルカ
書き忘れは怖いですね。項番の読み替えも全部…。
先生
2021年版の補充原則2-4①・4-10①・4-11①・4-11③・4-14②が、2-2・4-7・4-13・4-15に変わる。対応表タブで確かめながら進めるといいよ。
💡 そうだったのか!
開示欄は「開示すべき」原則の一覧表で確認。他の書類にあるときは参照先を明記し、2026年版の項番に読み替えます。
📙 応用 B3 ラボの図
2026年7月21日改訂コード公表(2026年7月版)定期更新総会後の更新は2021年版のままでも可(文言を記載)2027年7月31日2026年版に基づく更新の提出期限【コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)に基づき記載しています。】収録企業のうち2026年版ベースはまだ 39社。今後1年で入れ替わる
応用 B3

更新スケジュール ── 2026年版への切替え時期を決める

📍 ラボの場所:応用タブ B3
ハルカ
2026年版への切替えは、早いほうがいいんでしょうか。
先生
図のタイムラインを見て。2026年7月21日に改訂コードが公表され、提出期限は2027年7月31日。それまでの定期更新は2021年版のままでもよく、その場合は所定の文言を記載するんだ。選択肢は、早期に切り替えるか、2027年の定期更新で切り替えるかの2つだよ。
迷いポイント 2027年の定期更新で切り替えれば、余裕がある?
ハルカ
3月決算なら2027年6月の総会後に更新すれば間に合いますね。
先生
6月総会の会社は、2027年の定期更新がほぼ最後のタイミングになるんだ。遅れると期限を過ぎてしまうから、余裕があるというより一発勝負に近いよ。早期に切り替えた会社は、収録企業でまだ 39社なんだ。
ハルカ
一度2026年版で更新したら、また2021年版に戻せますか。
先生
戻さないよ。切り替えた後は2026年版で記載を続けるんだ。
💡 そうだったのか!
期限は2027年7月31日。2027年の定期更新で切り替えるなら実質一度きりなので、新原則の棚卸しは早めに始めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「自社診断」タブで上のモードを「🔁 版比較」にし、プリセット「プライム・独立4/10(2021→2026)」を選ぶ
  2. 表の「変わる点」列を読む

👀 判定はすべて✔のまま変わらず、項番だけが原則4-8→4-10、補充原則4-10(1)→原則4-7 のように変わります。下の対応表に、各項番の扱い(格上げ・解釈指針へ)が出ます。

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📙 応用 C1 ラボの図
原則4-4 実効的な監督②内部統制・全社的リスク管理体制の整備グループ全体子会社を含む体制内部監査部門取締役会・監査役会への直接報告サイバーセキュリティ情報流出リスク経済安全保障サプライチェーン・輸出管理解釈指針の例示。旧補充原則4-3④からの格上げで、J-SOX(内部統制報告制度)との接点が明確に
応用 C1

原則4-4 内部統制・リスク管理 ── J-SOXとの接点

📍 ラボの場所:応用タブ C1
ハルカ
原則4-4の内部統制は、J-SOXラボでやった内部統制と同じものですか。関係者の役割のところで、取締役会と監査役が出てきましたよね。
先生
ちゃんと覚えていたね。考え方は同じで、J-SOXが財務報告の信頼性を直接の対象にするのに対して、原則4-4は取締役会が内部統制や全社的リスク管理体制を整備し監督することを求める。図の4つの箱、グループ全体・内部監査部門・サイバー・経済安全保障が解釈指針の例示だよ。
迷いポイント 内部統制報告書を出していれば、原則4-4は実施している?
ハルカ
J-SOXの報告書で「有効」と書いていれば、4-4もコンプライで済みますよね。
先生
別の制度だから、別に説明するんだ。J-SOXは財務報告に限った評価、原則4-4は全社的リスク管理まで含む監督の話。旧補充原則4-3④のエクスプレイン率は 0.1% とほぼ全社が実施しているから、問われるのは取組みの説明の具体性なんだよ。
ハルカ
サイバーセキュリティや経済安全保障まで取締役会の話になるんですね。範囲が広いです。
先生
解釈指針の例示だから、自社に関係する項目を取組み欄で書けばいいんだ。不備の実例はJ-SOX不備ナビで見られるよ。
💡 そうだったのか!
原則4-4はJ-SOXと別の制度。ほぼ全社が実施しているので、グループ・内部監査・サイバー等の取組みをどこまで具体的に書けるかで差がつきます。
📙 応用 C2 ラボの図
資本コスト経営戦略・計画の策定・公表に当たり資本コストを把握収益計画・資本政策基本的な方針を示す目標の提示収益力・資本効率等の目標経営資源配分成長投資・事業ポートフォリオ見直しを具体的に説明原則4-1(旧原則5-2・補充原則5-2①を統合)。基本原則1の対話とセットで投資家が最も注目する領域
応用 C2

原則4-1 資本コストと事業ポートフォリオ ── 旧5-2の統合

📍 ラボの場所:応用タブ C2
ハルカ
原則4-1に資本コストが入ったのは基礎編で聞きました。実務では何を書くんですか。
先生
図の4つの箱の順だよ。資本コストの把握→収益計画・資本政策の基本方針→収益力・資本効率等の目標→経営資源配分で何を実行するか。東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請と重なる領域なんだ。
迷いポイント 「ROE 8%を目指す」と書いてあれば十分?
ハルカ
目標値さえ書けば、原則4-1はコンプライですよね。
先生
目標の提示は要素の1つで、原則本文は「経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては」と前置きしたうえで、成長投資や事業ポートフォリオの見直し等について具体的に何を実行するかまで求めているんだ。無条件に全社へ収益計画の公表を求める原則ではなく、策定・公表の場面での要求だよ。旧原則5-2のエクスプレイン率は 13.8%。実施している会社が大半で、差がつくのは目標値・期限・KPIの具体性だよ。
ハルカ
目標値を書いたら、達成した気になりそうです。目標を立てた瞬間が一番やる気のある私と同じで。
先生
その先の資源配分まで書かせるから、コードの方は長続きするんだよ。ROICやWACCの開示状況は有報ベースのツールで比べられるんだ。
💡 そうだったのか!
原則4-1は資本コスト→方針→目標→資源配分の一続き。目標値だけでなく「具体的に何を実行するか」まで書きます。
📙 応用 C4 ラボの図
旧 補充原則3-1② 英語での開示格上げ新 原則3-2 英文開示(単独の原則)「海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において」英語での情報の開示・提供を進めるスタンダード市場の旧3-1②エクスプレイン率 51.5%、招集通知英訳率 29.5%(プライム 94.7%)
応用 C4

原則3-2 英文開示 ── 補充原則から単独の原則へ

📍 ラボの場所:応用タブ C4
ハルカ
英文開示が原則に格上げされると、スタンダードの会社は大変ですよね。
先生
図の下の箱を見て。原則3-2は「海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において」英語での情報の開示・提供を進める、という原則だよ。旧補充原則3-1②のエクスプレイン率はプライム 1.6%、スタンダード 51.5%。招集通知の英訳率もプライム 94.7%、スタンダード 29.5% と差が大きいんだ。
迷いポイント 海外投資家がほとんどいない会社は、英文開示をしなくていい?
ハルカ
うちは海外投資家比率が低いので、英文開示はしなくていいですよね。
先生
「合理的な範囲」が判断の軸だから、ゼロでよいという意味ではないんだ。決算短信や招集通知の要約英訳など段階的な対応と、その理由を書く形が考えられるよ。何も進めていなければエクスプレインになる。だからラボの自社診断では、英語での情報開示を「十分に実施/一部実施(合理的な範囲で進めている)/未実施」の3段階で自己申告してもらい、未実施だけを✖にしているんだ。
ハルカ
英訳と英文開示が別の原則だと基礎編で習ったので、今回は迷いませんでした。
先生
ちゃんと覚えていたね。非プライムの招集通知英訳は原則1-2の解釈指針で対象外、英文開示は原則3-2の本文。別々に判定するんだよ。
💡 そうだったのか!
英文開示は「合理的な範囲で進める」原則。海外投資家比率が低くても、段階的な対応と理由を書きます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「自社診断」タブでプリセット「スタンダード・独立2/8(監査役会)」を選ぶ(英語での情報開示は「一部実施」で✔)
  2. 「英語での情報開示(原則3-2)」を未実施に変える

👀 原則3-2の行が✖に変わり、✖は 1件 → 2件になります。招集通知の英訳(原則1-2 解釈指針)の行は「△ 参照」のまま動きません。別の原則だからです。

ラボを開く ▶
📙 応用 C5 ラボの図
独立社外取締役の間で情報交換・認識共有(原則本文)解釈指針の例示:独立社外者のみの会合(旧補充原則4-8①)経営陣・監査役との間で連絡・調整、連携の体制整備(原則本文)解釈指針の例示:筆頭独立社外取締役(旧補充原則4-8②)原則4-12 独立社外取締役の機能発揮(2026年版で原則に格上げ)
応用 C5

原則4-12 独立社外取締役の機能発揮 ── 会合と筆頭

📍 ラボの場所:応用タブ C5
ハルカ
独立社外取締役の人数をそろえたら、あとは何が問われるんですか。
先生
図の2つの箱だよ。原則本文が求めるのは、独立社外取締役どうしの情報交換・認識共有と、経営陣・監査役との連携の体制整備の2つ。独立社外者のみの会合や筆頭独立社外取締役は、解釈指針の例示なんだ。旧補充原則4-8①②が2026年版で原則4-12に格上げされたんだよ。
迷いポイント 会合を年1回開いていれば、原則4-12は実施している?
ハルカ
年に1回、独立社外取締役だけで食事会をしています。これで実施ですよね。
先生
形だけの会合では説明に困るんだ。旧4-8①②のエクスプレイン率は 7.0%・9.3% と低いけれど、原則本文になったことで「会合で何を議論し、取締役会にどう反映したか」を書く会社が増えているよ。原則4-13の実効性評価と組み合わせて説明するといいんだ。
ハルカ
筆頭独立社外取締役は、独立社外取締役の学級委員みたいなものですね。
先生
経営陣との窓口になる役だから、学級委員よりは責任が重いよ。
💡 そうだったのか!
原則4-12は会合と連携体制。数をそろえた後の運用を、実効性評価と結びつけて説明します。
📙 応用 D1 ラボの図
スタンダード市場:エクスプレイン率の高い原則(分母=2021年版ベースの適用対象企業)補充原則1-2(4)71.6%(1,096/1,531)補充原則3-1(2)51.5%(789/1,531)補充原則2-4(1)47.3%(725/1,531)補充原則4-10(1)41.1%(629/1,531)補充原則4-1(3)40.3%(617/1,531)2021年版の項番・分母は2021年版ベースの報告書を提出している会社。グロースは基本原則のみが対象のためエクスプレインはほぼゼロ
プライム市場:エクスプレイン率の高い原則(分母=2021年版ベースの適用対象企業)補充原則2-4(1)15.1%(231/1,531)補充原則4-1(3)10.5%(160/1,531)補充原則3-1(3)9%(137/1,531)補充原則4-10(1)6.9%(105/1,531)補充原則4-2(1)5.3%(81/1,531)2021年版の項番・分母は2021年版ベースの報告書を提出している会社。グロースは基本原則のみが対象のためエクスプレインはほぼゼロ
応用 D1

エクスプレインが集中する原則 ── 市場別トップ5

📍 ラボの場所:応用タブ D1
ハルカ
どの原則でつまずく会社が多いんですか。
先生
上の棒グラフがスタンダード、下がプライムだよ。スタンダードの最多は補充原則1-2④(電子行使PF・英訳)71.6%、次いで3-1②(英語開示)51.5%、2-4①(多様性)47.4%、4-10①(任意委員会)41.1%。プライムの最多は2-4①(多様性)15.1%なんだ。分母はどれも2021年版ベースの報告書を出している会社だよ。
迷いポイント エクスプレイン率が高い原則は、できていない会社が多い「悪い原則」?
ハルカ
70%もの会社がエクスプレインしているなら、その原則自体に無理があるんじゃないでしょうか。
先生
会社の規模や株主構成で合理性が変わる原則ほど、エクスプレインが増えるんだ。機関投資家比率が低い会社が電子行使プラットフォームを使わない説明は、合理的でありうる。悪い原則ではなく、説明が必要になる会社が多い原則なんだよ。
ハルカ
2026年版では、これらはどうなるんですか。
先生
非プライムのPF・英訳は解釈指針へ、英文開示は原則3-2、任意委員会は4-7、多様性は2-2に格上げ。対象から外れるものと、むしろ原則本文になるものが混ざっているから、1つずつ対応表で確かめるんだ。
ハルカ
うちの取締役会は8名で独立社外2名…。基礎編の事例Aそのものでした。自分の会社をベンチマークに入れて見ていたんですね。
先生
それが一番の勉強法だよ。業種で絞るときは、母数が10社未満のセルは市場全体と二重に見るんだ。
💡 そうだったのか!
スタンダードのエクスプレインはPF・英訳、英語開示、多様性、任意委員会に集中。率の高さは原則の良し悪しではなく、説明が要る会社の多さです。
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👀 母数 163社、任意委員会の設置率 46.6%、電子行使プラットフォーム 29.5%、適用対象原則をすべて実施 8% が、スタンダード市場全体・収録企業全体の数値と3列で並びます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
区分変更の後で順番に対応すればいい?変更後最初の報告書から原則が適用。申請前にドラフトを作る応用A1
支配株主がいて過半数に届かなければ増員しかない?特別委員会で代替できる(解釈指針)。ラボの判定も「所定数 または 特別委員会」応用A2
指名委員会等設置会社にも任意委員会が要る?不要。法定の3委員会がある応用A3
「費用対効果を踏まえ今後検討」でいい?項番・状況・理由・代替手段と今後の4要素で書く応用B1
有報に書いてあればCG報告書は省略できる?参照先を明記する。項番は2026年版に読み替え応用B2
2027年の定期更新で切り替えれば余裕?6月総会ならほぼ最後の機会。期限は2027年7月31日応用B3
内部統制報告書を出していれば原則4-4は実施?別の制度。全社的リスク管理まで含めて取組みを説明応用C1
目標値を書けば原則4-1はコンプライ?資源配分で何を実行するかまで具体的に応用C2
海外投資家が少なければ英文開示はしなくていい?「合理的な範囲で進める」原則でC/E対象。未実施ならエクスプレイン、段階的対応なら理由を書く応用C4
会合を年1回開けば原則4-12は実施?本文は情報交換・連携体制。会合・筆頭は解釈指針の例示。何を議論しどう反映したかを説明応用C5
エクスプレイン率が高い原則は悪い原則?説明が要る会社が多い原則。合理性は会社ごとに違う応用D1
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。支配株主があれば独立社外の要件は一段上がり、特別委員会で代替できる。任意委員会が不要なのは法定委員会を持つ指名委員会等設置会社だけ。エクスプレインは項番・状況・理由・代替手段と今後の4要素で書き、2026年版の新しい原則(4-4・4-1・4-5・3-2・4-12)は実施していても説明の具体性が問われるんだ。
ハルカ
基礎編では「数の要件を満たしているか」ばかり見ていました。今日は、満たした後に何をどう書くかの方がずっと難しいと分かりました。J-SOXラボのときも、評価範囲を決めた後の「決定した事由」を書くところで同じことを思った気がします。
先生
いい結びつけ方だね。どちらも、判断そのものより、判断の根拠を読み手に伝える文章が本番なんだ。
ハルカ
私のCG報告書の原稿は、まだ「今後検討してまいります」が3か所残っています。見直しの時期を書き足して、検討を事業にしないようにします。
先生
その3か所が直せたら、もう実務家の入口だよ。次のケース編では、スタンダード・プライムの典型的な取締役会の構成で、数と任意委員会の判定を1ステップずつ追っていこうか。

参考資料

東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」(2026年7月21日改訂版・解釈指針を含む/2021年6月11日改訂版)、「コーポレートガバナンス・コード 改訂前からの変更点」「改訂の趣旨」、「コーポレートガバナンス報告書の更新について」(2026年7月21日更新)、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領」(2026年7月版)。ラボの実施率・エクスプレイン率は CG報告書ベンチマーク(収録 3,686社・2026-10-01時点)の集計で、ケースは匿名化した類型例です。
サイト内の関連:CG報告書ベンチマーク/内部統制報告書|開示すべき重要な不備/J-SOXラボ/ROICに関する開示状況/サステナ開示 文例ナビ/人的資本開示ベンチマーク
このシリーズ:基礎編/ケース・独立社外取締役と任意委員会編(ケース1・2・5・6)/ケース・市場区分と支配株主編(ケース3・4/応用2・5)/ケース・更新と機関設計の変更編(応用1・3・4・6)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。