要点:源泉所得税とは
- 源泉徴収とは、給与や報酬などを支払う側が、支払のときに所得税(と復興特別所得税)を差し引いて国に納める仕組みです。納税者本人ではなく「支払者」に義務があります。
- 対象になる支払は、給与・賞与・退職金のほか、原稿料や税理士報酬などの報酬・料金、非居住者や外国法人への一定の支払(国内源泉所得)です。社宅・食事・貸付金の利息のような経済的利益も給与として扱われます。
- 納付期限は、原則として支払った月の翌月10日です(非居住者等への国内源泉所得を国外で支払い、国内払いとみなされる場合は翌月末日)。給与の支給人員が常時10人未満の会社は、申請により年2回(7月10日・1月20日)にまとめる「納期の特例」を使えます。
- 非居住者等への支払は、国内源泉所得に当たるかを確かめたうえで、所得の種類に応じた税率(20.42%・15.315%・10.21%など)で源泉徴収します。租税条約で軽減・免除を受けるには、支払前の届出書の提出が必要です。
このガイドでできること
- 「誰に・何を・いつ支払うか」で読む記事を決める … 源泉所得税の論点を3つの問いに整理し、判断フローの図から該当するテーマ(A〜F)の記事にたどり着けます。
- 45本の解説記事を「読む順」で読む … 国税庁タックスアンサーの番号順ではなく、理解しやすい順番に並べ替え、各記事に「この記事で判断できること」と「前後に読む記事」を添えています。
- 誤解しやすい7つのポイントを先に知る … 社宅の役員・従業員の違い、2種類の還付、海外勤務者の役員給与など、記事をまたいで迷いやすい点を「よくある誤解」と「正しい見方」で対比しています。
- 実務のツールにつなぐ … 源泉徴収の要否判定、非居住者への源泉徴収判定、租税条約の限度税率シミュレーター、年末調整ラボへ、各テーマから直接移動できます。
- 全体像の中で未収録の論点を知る … 年末調整・退職金・報酬料金の3テーマは準備中として国税庁のページへ案内し、記事が増えても同じ地図の上で読めるようにしています。
使い方(3ステップ)
- 全体像タブで「3つの問い」と判断フローを見る … 迷っている支払が、居住者への給与なのか、経済的利益なのか、非居住者への支払なのかを確かめます。
- テーマ別タブで該当テーマの記事を読む順に読む … 1本目から順に読むと、そのテーマの考え方が一通りつながります。急ぐときは「この記事で判断できること」を見て必要な記事だけ開いてください。
- つまずきポイントで確認し、ツールで試す … 読んだ内容を「よくある誤解」で点検し、判定ツールやシミュレーターで自社の支払に当てはめます。
よくあるつまずき
- 現物や経済的利益は給与ではないと考える … 社宅・食事・無利息の貸付け・記念品なども、基準を超える部分は給与として源泉徴収の対象です。
- 非居住者なら一律に源泉徴収が要る(または要らない)と考える … 国内源泉所得に当たる支払だけが対象で、そのうえで租税条約による軽減・免除があるかを確認します。
- 還付の手続を取り違える … 計算誤りなどの納め過ぎと、租税条約の届出遅れによる還付請求は、別の手続・別の様式です。
- 納期の特例をすべての支払に使えると考える … 特例の対象は給与・退職金と一部の報酬だけで、非居住者への支払や原稿料などは毎月納付です。
学習用のガイドです。国税庁タックスアンサーの内容を、理解のために整理・図解したものです。テーマの分け方(A〜F)と読む順は taxjudge の整理で、国税庁の分類とは異なります。金額基準は確認日時点のもので、個別の判断は国税庁のページと最新の法令で確認してください。
もとにした資料
- 国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)」源泉所得税 No.2502〜2891、所得税 No.1920〜1936
- 所得税法第183条(源泉徴収義務)、第212条(非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収義務)、第216条(納期の特例)、所得税基本通達36-21〜36-50(経済的利益)
確認日は2026年10月16日です。
収録記事一覧(テーマ別・読む順)
A 制度の全体像と事務(8本)
- No.2502 源泉徴収義務者とは … 自社が源泉徴収義務者に当たるか、どの支払に義務が生じるか
- No.2508 給与所得となるもの … 手当・現物・経済的利益のうち何が「給与」として源泉徴収の対象になるか
- No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期 … 給与をいつの時点の収入として扱うか(支給日・未払・遡及改定)
- No.2511 税額表の種類と使い方 … 月額表・日額表・賞与表のどれを使うか、甲欄・乙欄の使い分け
- No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 … 納付期限(翌月10日)と納期の特例(年2回納付)の要件
- No.2532 給与等に係る源泉所得税及び復興特別所得税の納税地 … どの税務署に納付するか(本店・支店・給与支払事務所の移転)
- No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間 … 扶養控除等申告書などを何年保存するか(7年)
- No.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき … 納め過ぎた源泉所得税をどう取り戻すか(充当・還付)
B 給与の形態別の取扱い(6本)
- No.2514 パートやアルバイトの源泉徴収 … パート・アルバイトへの源泉徴収(甲欄・乙欄・丙欄の使い分け)
- No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収 … 2か所から給与をもらう人の源泉徴収(乙欄適用と確定申告の案内)
- No.2523 賞与に対する源泉徴収 … 賞与の源泉徴収(前月給与がある場合・ない場合の計算)
- No.2526 給与が一部未払の場合の源泉徴収 … 給与の一部が未払のときの源泉徴収の時期と金額
- No.2529 給与の改訂差額に対する税額の計算 … 遡って給与を改定したときの差額分の税額計算(合算か賞与扱いか)
- No.2739 退職後に支給される給与等の源泉徴収 … 退職後に支給する給与・賞与の源泉徴収(原則乙欄、例外的に甲欄)
C 経済的利益・現物給与(11本)
- No.2606 金銭を貸し付けたとき … 役員・従業員への貸付金で利息を取らない/低利の場合の経済的利益
- No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき … 従業員社宅の賃貸料相当額の計算と非課税の条件
- No.2600 役員に社宅などを貸したとき … 役員社宅の賃貸料相当額(小規模・それ以外・豪華社宅)
- No.2594 食事を支給したとき(令和8年4月1日時点) … 食事の支給(半額負担・会社負担月7,500円基準)の課税判定
- No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき … 創業記念品・永年勤続表彰の非課税となる条件
- No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行 … レクリエーション旅行・研修旅行の非課税判定(4泊5日・50%参加)
- No.2588 学資に充てるための費用を支出したとき … 学資金・奨学金を会社が出したときの課税判定
- No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき … 資格取得・研修費用を会社が負担したときの課税判定
- No.2592 使用人等の発明に対して報償金などを支給したとき … 職務発明の報償金が給与か雑所得・譲渡所得か
- No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当 … 電車・バス通勤の通勤手当の非課税限度額(月15万円)
- No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(令和8年4月1日時点) … マイカー・自転車通勤の通勤手当の非課税限度額(距離別+駐車場・有料道路の加算)
D 海外勤務者(出国・帰国)(8本)
- No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収 … 海外転勤する人の出国時年末調整と、転勤後の国内払い給与の扱い
- No.2518 海外出向者が帰国したときの年末調整 … 海外出向者が帰国したときの年末調整の対象期間
- No.1920 海外勤務と所得税額の精算 … 海外勤務で非居住者になる人の所得税の精算方法
- No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任 … 納税管理人の選任・解任が必要になる場面と手続
- No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合 … 海外勤務中に国内の不動産所得がある場合の申告
- No.1929 海外で勤務する法人の役員などに対する給与の支払と税務 … 海外勤務する役員への給与は国内源泉所得として源泉徴収が必要
- No.1932 海外勤務中に不動産を売却した場合 … 海外勤務中に国内不動産を売却した場合の課税
- No.1936 海外勤務中に株式を譲渡した場合 … 海外勤務中に株式を譲渡した場合の課税
E 非居住者・外国法人への支払(8本)
- No.2875 居住者と非居住者の区分 … 居住者・非居住者の区分(住所・1年以上の居所)
- No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ … 非居住者等への課税の全体像(PEの有無で変わる)
- No.2878 国内源泉所得の範囲 … 国内源泉所得の範囲(何が課税対象になるか)
- No.2883 恒久的施設(PE) … 恒久的施設(PE)の判定
- No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ … 非居住者等への源泉徴収のしくみ(誰が・いつ・何%)
- No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率 … 非居住者等への源泉徴収の税率一覧
- No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき … 非居住者等に不動産の賃借料を払ったときの源泉徴収
- No.2879 非居住者等から土地等を購入したとき … 非居住者等から土地等を買ったときの源泉徴収(買主の義務)
F 租税条約の適用(4本)
- No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係) … 租税条約の届出書の提出(軽減・免除を受けるための手続)
- No.2889 租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求 … 届出が間に合わず多く徴収した税額の還付請求
- No.2890 外国居住者等所得相互免除法による課税の特例の概要(台湾関係) … 台湾関係(相互免除法)の特例の概要
- No.2891 BEPS防止措置実施条約の概要 … BEPS防止措置実施条約(MLI)の概要
準備中のテーマ(国税庁タックスアンサー)
- G 年末調整:No.2662、No.2665、No.2668、No.2671、No.2672、No.2674、No.2675、No.2676
- H 退職金と源泉徴収:No.2725、No.2728、No.2732、No.2735、No.2736、No.2737、No.2740、No.2741
- I 報酬・料金の源泉徴収:No.2792、No.2793、No.2795、No.2798、No.2801、No.2804、No.2807、No.2810、No.2813
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