【IPO資本政策研究】ペットゴー(7140)|潜在株式比率21.7%・387社最大のSO比率と小型上場

ペットゴー株式会社(証券コード7140)は、ペット用品・動物医薬品のEC等を手がける企業で、2022年4月28日に東証グロース市場へ上場しました。同社の有価証券届出書では、潜在株式比率が21.7%と収録387社の中で最も高い一方、公開価格ベースの時価総額は約10億円と収録企業の中で最も小型の部類です。

ストックオプション(SO)を多く積み上げた小型上場の実例です。

本記事はIPO準備会社のCFO・管理部門と、支援する会計税務専門家向けの実例研究です。誰がいくら得をしたかではなく、小型のIPO企業が資本政策をどう設計・開示したかを、有価証券届出書の記載に基づいて整理します。

同社の株主構成・SO明細・価格情報は、当サイトのIPO資本政策データベースの個社カルテでも確認できます。

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この記事でわかるのは、

  • 387社で最大の潜在株式比率
  • 小型上場の株主構成
  • 11回のSO設計

の3点です。

目次

IPOサマリー

項目内容
上場日/市場2022年4月28日/東証グロース
公開価格(仮条件)550円(仮条件500〜550円)
初値1,295円
公開価格ベース時価総額約10億円(=550円×上場時発行済1,746,200株。上場前1,196,200株+公募550,000株)
公募・売出し公募550,000株/売出し80,000株(既存株主・国内)/オーバーアロットメント94,500株
主幹事みずほ証券
監査法人有限責任監査法人トーマツ
株価算定方式DCF法

初値は表中の事実として記載しています(本文では論評しません)。

この会社の資本政策 3つの注目点

  1. 潜在株式比率が21.7%と387社で最大(公募前ベース・上位0.3%、中央値は7.9%)
    11回のSO発行で潜在株式を大きく積み上げています。
  2. 公開価格ベース時価総額が約10億円と小型
    収録387社の中でも最も小型の部類(中央値は約63億円)です。
  3. オーナー個人を筆頭に複数属性へ分散した株主構成
    届出書記載時点でオーナー個人が筆頭(27.1%)、VC・投資ファンドや事業法人も株主に含まれます。

1株当たり価格指標の推移──株式移動価格・SO行使価額・公開価格

時期主なイベント1株当たり価格指標(分割調整後)
2012〜2021年SO行使価額(11回号)800〜900円
2020年株式移動・第三者割当900円
2021年12月株式分割(1株→200株)
2022年4月公開価格(初値1,295円)550円

上場前のSO行使価額・株式移動・第三者割当(分割調整後)は800〜900円で、公開価格550円を上回る水準にありました。2021年12月に1株を200株とする株式分割を行い、上場に適した株式数へ調整しています。上場前の価格と公開価格の関係は個社ごとに異なり、本表は各時点の記載額を整理したものです。

※各価格は株式の種類、取引条件、評価目的、付与対象、時点等が異なるため、単純に同一条件の株価推移を示すものではありません。本表では株式分割調整後の価格指標を代表的な時期について整理しています。

ストックオプションの設計

SOは2012年から2021年まで11回発行されています(本記事の「11回」は届出書上でSOと判定した新株予約権の回号数であり、必ずしも11回の独立した付与機会を意味しません)。

潜在株式比率は21.7%と収録387社で最大です。この21.74%は、届出書記載時点の公募前発行済株式1,196,200株と潜在株式332,200株を基礎とした完全希薄化後ベース(計算式:332,200÷1,528,400)で、公募550,000株を反映した上場時ベースでは約16.0%(332,200÷2,078,400)となります。387社比較は全社について公募前の同一基準で行っています。発行済株式に対して大きな潜在株式枠を設定した構成です。

なお、SO行使価額800〜900円は公開価格550円を上回っており、公開価格ベースではアウト・オブ・ザ・マネーの水準です。

潜在株式比率21.7%は最大希薄化の可能性を示す指標であり、上場時に直ちに同率の希薄化が生じることを意味しません。行使価額と公開価格の関係や、税制適格・非適格の別は、届出書の記載だけでは判断できず、各回号の付与契約時株価との関係を含めて個別に確認する必要があります。

潜在株式比率の全体傾向は、387社のSO比率の記事を参照してください。

売出し前の株主構成(届出書記載時点)

届出書記載時点(売出し前)の筆頭株主は、役員・大株主個人A(27.1%)で、次いで役員・大株主個人B(9.2%)、SMBCベンチャーキャピタルの投資事業有限責任組合(6.5%)、以下、サーラエナジー株式会社、株式会社AMGなど事業法人が続きます。

オーナー個人を筆頭に、VC・投資ファンド事業法人など複数の属性へ保有が分散しています。個人株主は匿名化しています(法人・組合名は実名)。売出しにより、これらの株主の持分は上場時に変動します。

公募・売出しの構成

公開にあたっては、公募(募集)550,000株、引受人の買取引受による売出し80,000株、オーバーアロットメントによる売出し94,500株が実施されました。海外市場での販売の記載はなく、国内でのオファリングです(訂正届出書記載に基づく確認事実)。

公募が売出しを上回り、小型ながら新株発行による資金調達を伴う構成です。

収録387社との比較(2026年7月時点)

指標ペットゴー収録387社の中央値等位置づけ
潜在株式比率(SO等・公募前ベース)21.74%中央値7.9%387社中で最大(上位0.3%)※上場時ベースは約16.0%
公開価格ベース時価総額約10億円中央値約63億円収録387社で最小級
VC・投資ファンド比率14.78%中央値4.8%上位
SO発行回数(回号数)11回中央値4回上位

※順位・中央値は、特記のない限り収録387社全体を対象とし、属性が確認されない会社は0%として含めています。基準日2026年7月。

小型でありながら潜在株式比率が最大という組み合わせが特徴です。

各軸での位置づけはIPO資本政策データベースで確認できます。

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会計税務の視点

専門家が押さえる論点を、事実・一般論・限界の順に整理します(個別の判断は税理士・公認会計士への相談が必要です)。

まず事実として、SOを11回発行し、潜在株式比率は21.7%と高い水準です。

一般に、潜在株式比率が高い場合、既存株主の希薄化と役職員のインセンティブのバランスが論点になり、税制適格として設計する場合は各回号の付与契約時株価と行使価額の関係を確認する運用が前提になります。小型上場では、発行済株式数や時価総額が小さいため、SOの設計が資本構成に与える相対的影響が大きくなり得ます。

ただし、届出書の記載だけでは各回号の適格・非適格の別や課税関係の結論までは判断できません。

まとめ

ペットゴーの資本政策は、小型の上場でありながら、11回のSO発行によって潜在株式比率(公募前ベース)を387社で最大の21.7%まで積み上げ、オーナー個人を筆頭に複数属性へ分散した株主構成のもとで上場した、という点に特徴があります。

小型・高SO比率のIPOを検討する会社にとって、開示のされ方の参照点になる実例です。

資本政策の型を横断的に俯瞰するにはIPO資本政策の実例387社を全量分析を、SOの発行量の論点は387社のSO比率の記事を、あわせてご覧ください。

特定銘柄の投資勧誘・個別の税務助言ではありません。個別の税務・会計判断は税理士または公認会計士にご相談ください。

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