収益認識ラボ④【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ工事契約・工事損失引当金・契約資産・注記
無料の学習ツール「収益認識ラボ④」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
設例・基礎1の数字(倉庫の建設・3年)
| 工事収益総額 | 8,000 |
| 工事原価総額の見積額(X1年度末) | 7,700 |
| 同(X2年度末) | 8,400 |
| 発生原価(X1/X2/X3) | 1,925/4,123/2,352 |
| 年度別の損益(X1/X2/X3) | 75/▲475/0 |
| 工事損失引当金(X2年度末) | 112 |
はじめに
今日の題材 ── 赤字の工事は、いつ赤字になるのか
📍 ラボの場所:基礎タブ全体・設例・基礎1
ハルカ
先生、収益認識ラボもいよいよ最終編ですね。①編で5つのステップ、②編で取引価格、③編で特定の取引を習いました。④編は何をするんですか。
先生
2つあるんだ。1つは工事契約。一定の期間にわたって収益にする代表選手で、赤字が見込まれたときの扱いが特別なんだよ。もう1つは表示と注記。①〜③編で計算した結果を、財務諸表にどう載せて、何を説明するかだよ。
ハルカ
表の工事は、8,000 で請けて最後は 8,400 かかるので、全体で 400 の赤字ですね。3年で割って、毎年 133 ずつ赤字ですか。
先生
年度別の損益は 75、▲475、0 なんだ。初めの年は黒字で、赤字が分かった年に 475 の損失を出し、最後の年はゼロになる。どうしてこうなるのかを、今日は上から順に見ていこうか。
📗 基礎 0 ラボの図
基礎 0
このラボの位置づけ ── 工事契約と、表示・注記
📍 ラボの場所:基礎タブ 0
ハルカ
図の5つのステップのうち、⑤だけが黄色です。その先に「表示・注記」の箱が付いていますね。
先生
そう、④編の範囲を表しているんだ。工事契約は⑤の「充足に応じて収益を認識する」の応用で、表示と注記は5つのステップの出口にあたる部分だよ。その下の帯の「代替的な取扱い」は、①〜⑤の各ステップに置かれた日本独自の簡便な扱いなんだ。
迷いポイント 表示と注記は、計算が終わった後のおまけ?
ハルカ
計算さえ合っていれば、表示と注記は決算書の体裁の話だと思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。同じ金額でも「契約資産」か「売掛金」かで、回収の確かさの読み方が変わる。注記の残存履行義務は、来期以降の売上の見通しそのものなんだ。読む人にとっては、計算と同じくらい中身のある情報だよ。
💡 そうだったのか!
④編は
工事契約と、5ステップの出口の
表示・注記。表示と注記は、計算の結果を読む人に正しく伝えるための本体の一部です。
📝 収益認識ラボ③【基礎編】(買戻契約・請求済未出荷・検収)記事を読む ▶
📗 基礎 1 ラボの図
🧾 仕訳で確認(基礎1の数字:X1年度)
X1年度:工事収益の計上(進捗度 25%)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 契約資産 | 2,000 | 売上高(工事収益) | 2,000 |
X1年度:発生した工事原価(未成工事支出金等からの振替をまとめた簡略表示)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売上原価(工事原価) | 1,925 | 未成工事支出金等 | 1,925 |
X1年度:請求(顧客との契約から生じた債権へ)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金(完成工事未収入金) | 2,400 | 契約資産 | 2,000 |
| | 契約負債 | 400 |
請求 2,400 が収益 2,000 より先なので、差額 400 は契約負債。
基礎 1
工事契約 ── 一定の期間にわたり、進捗度で収益
📍 ラボの場所:基礎タブ 1・設例・基礎1 ステップ2
ハルカ
これ、①編でやった「一定の期間か一時点か」ですよね。工事は一定の期間で、進捗度は原価で測るって。
先生
よく覚えていたね。ただ、工事契約ならいつも自動的にそうなるわけではないんだ。この事例は、一定の期間にわたり収益を認識する要件を満たし、進捗度を原価比例法で測る前提だよ。図の3本の棒が進捗度だね。X1年度は発生原価 1,925 ÷ 見積額 7,700 で 25%、だから収益は 8,000 × 25% = 2,000。X2年度は累計 6,048 ÷ 8,400 で 72%、累計の収益 5,760 から前期の 2,000 を引いて、当期は 3,760 なんだ。
迷いポイント 工事原価総額の見積りが増えたら、過去の年度の収益を修正する?
ハルカ
X2年度に見積りが 7,700 から 8,400 に増えたら、X1年度の進捗度も本当は 25% より低かったことになりますよね。X1年度の売上を直すんですか。
先生
直さないんだ。見積額の変更は会計上の見積りの変更で、さかのぼらず、変更した期の収益で調整するよ(基準第43項)。だから「累計の収益 − 前期までの収益」で当期を出すんだ。仕訳を見ると、X1年度は請求 2,400 が収益 2,000 より先なので、差額 400 が契約負債になっているよ。
💡 そうだったのか!
当期の収益 = 工事収益総額 ×
累計の進捗度 − 前期までの収益。見積りが変わっても、過去の年度は直しません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「工事契約」のシミュレーションを開く(基礎1の数字)
- 右のプリセットで 「利益が出る工事(見積りが変わらない)」 を選ぶ
👀 見積額が 7,000 のまま変わらない工事では、損益が X1 250/X2 470/X3 280(合計 1,000)。進捗度は同じ 25%・72% なので、収益は 2,000・3,760・2,240 のままです。
ラボを開く ▶📝 収益認識ラボ①【基礎編】(5ステップ・一定の期間か一時点か・進捗度)記事を読む ▶
📗 基礎 2 ラボの図
基礎 2
進捗度を見積れないとき ── 原価回収基準と初期段階
📍 ラボの場所:基礎タブ 2・設例・応用5
ハルカ
工事の最初は設計ばかりで、全体でいくらかかるか分からないこともありますよね。そのときは進捗度が出せません。
先生
図の3段がその場合の扱いだよ。進捗度を合理的に見積れる場合にだけ、進捗度で収益にする(基準第44項)。見積れないけれど、かかった費用は回収できると見込めるなら、原価回収基準で、発生した費用と同じ額を収益にするんだ(第45項)。
ハルカ
①編の応用編で出てきた原価回収基準ですね。あのときは「利益ゼロ」とだけ覚えていました。
先生
その覚え方で合っているよ。④編では、日本独自の代替的な取扱いがもう1つ加わるんだ。詳細な予算が編成される前など、発生した費用に重要性が乏しい契約の初期段階に見積れないなら、その段階は収益を認識せず、見積れるようになった時から収益にできるんだ(適用指針第99・172項)。いつまでも収益ゼロでよい、という意味ではないよ。
迷いポイント 原価回収基準は、利益が出ない分だけ不利な方法?
ハルカ
利益ゼロの年があるなら、原価回収基準を使うと損ですね。
先生
3年間の合計の損益は変わらないんだ。利益を計上する時期が、進捗度を見積れる期以降に移るだけだよ。
ハルカ
利益に「見積りが立つまで、お店の奥で待っていてください」と言っているみたいですね。
先生
待たせても、利益は消えずに後の年度に出てくるよ。
💡 そうだったのか!
進捗度を見積れないが、
発生費用の回収を見込める場合は原価回収基準(回収が見込まれる費用の額で収益。全額の回収を見込めば、この段階の利益はゼロ)。詳細な予算の編成前などの初期段階なら、収益を認識しない扱いも選べ、合計の損益は変わりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「工事契約」のシミュレーションを開く(基礎1の数字)
- 右の「X1年度に進捗度を合理的に見積れるか」を 「見積れない(原価回収基準)」 に変える
👀 X1年度の収益は 2,000 → 1,925(発生原価と同額)、損益は 75 → 0。X2年度の損益は ▲475 → ▲400 になり、3年間の合計 ▲400 は変わりません。
ラボを開く ▶📝 収益認識ラボ①【応用編】(進捗度の見直しと原価回収基準・代替的な取扱い)記事を読む ▶
📗 基礎 3 ラボの図
🧾 仕訳で確認(基礎1の数字:X2年度の繰入とX3年度の取崩し)
X2年度:工事損失引当金の繰入(適用指針第90項)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売上原価 | 112 | 工事損失引当金 | 112 |
X3年度:工事損失引当金の取崩し| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 工事損失引当金 | 112 | 売上原価 | 112 |
繰入額は売上原価に含める(適用指針第106項)。
基礎 3
工事損失引当金 ── 損失は見込まれた期に一度に
📍 ラボの場所:基礎タブ 3・設例・基礎1 ステップ4・5
ハルカ
X2年度末に見積りが 8,400 になって、工事全体で 400 の赤字と分かりました。ここで何をするんですか。
先生
工事損失のうち、まだ計上していない分を、損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上するんだ(適用指針第90項)。図の真ん中の X2年度を見てほしい。見込まれる工事損失 400 から、計上済みの累計損失 288 を引いた 112 を引当金にするよ。損失の判定では、販売直接経費があればその見積額も工事原価総額に含めるけれど、この事例にはないんだ。
先生
X1年度の利益 75 と X2年度の損失 363 の差し引きだよ。進捗度で計上した分だけでは、損失がまだ 112 足りないんだ。繰入額は売上原価に含め、引当金は流動負債に表示するよ(第106項)。
迷いポイント 工事損失は、残りの年数で均等に計上する?
ハルカ
残りの損失 112 は、X3年度に工事が進んでから計上すれば自然な気がします。
先生
損失が見込まれた期に一度に計上するのが、このルールの狙いなんだ。X3年度は工事で 112 の損失が出るけれど、引当金を取り崩して売上原価から引くので、損益はゼロになるよ。
ハルカ
X2年度に 475 も赤字を出すなんて…。見たくない数字を、まとめて先に見せられる気分です。
先生
その「先に見せる」が引当金の役目だよ。読む人は、損失が分かった年に知りたいんだ。
💡 そうだったのか!
工事損失引当金 =
見込まれる工事損失 − 計上済みの累計損失。見込まれた期に一度に計上し、3年間の合計の損益(▲400)は変わりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「工事契約」のシミュレーションを開く(基礎1の数字)
- 右のプリセットで 「引当金を計上しない場合(比較用)」 を選ぶ
👀 損益が X2 ▲475 → ▲363、X3 0 → ▲112 に変わり、損失が後の年度に回ります。合計 ▲400 は同じです。
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📗 基礎 4 ラボの図
🧾 仕訳で確認(基礎2の数字:2つの製品・後で請求)
製品Xの移転時(対価はまだ請求できない:条件付きの権利)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 契約資産 | 300 | 売上高 | 300 |
製品Yの移転時(両方を移転して無条件の権利に)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金 | 800 | 契約資産 | 300 |
| | 売上高 | 500 |
製品Yを移転するまで請求できないので、製品Xの収益は契約資産。
基礎 4
契約資産・債権・契約負債 ── 権利は無条件か
📍 ラボの場所:基礎タブ 4・設例・基礎2
ハルカ
①編で、入金が先なら契約負債、履行が先なら契約資産か債権、と習いました。契約資産と売掛金の違いが、まだあいまいです。
先生
ちゃんと覚えていたね。分かれ目は、対価に対する権利が無条件かどうかなんだ(基準第79項)。図の下の例では、製品Xを渡しても、製品Yを渡すまで請求できない。時の経過以外の条件が残っているから、製品Xの 300 は契約資産。製品Yを渡して 800 全額を請求できるようになったら、売掛金に振り替えるよ。
迷いポイント 請求書を出す前の売上は、全部「契約資産」?
ハルカ
うちの会社は月末締めで翌月に請求書を出すので、請求前の売上は全部契約資産ですか。
先生
請求書を出したかどうかでは決まらないんだ。請求書の発行前でも、権利が無条件で、時の経過だけで支払期限が来るなら債権だよ。条件が残っている間だけが契約資産なんだ。
ハルカ
では工事の図の「収益の累計」と「請求の累計」の差は?
先生
このラボでは、請求した時点で権利が無条件になり、支払期限も来ると仮定しているよ。契約負債は、対価を受け取った時と支払期限が来た時の早い方で認識するので、請求書を出しただけで生じるわけではないんだ。このモデルでは X2年度末は、収益 5,760 が請求 4,800 を上回る 960 が契約資産。X1年度末は請求が先で、400 が契約負債なんだ。
💡 そうだったのか!
契約資産と債権の違いは
権利が無条件か。請求書の有無ではなく、時の経過以外の条件が残っているかで判断します。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「契約資産・債権・消費税」のシミュレーションを開く(基礎2の数字)
- 右の「製品Xの独立販売価格」を 300 から 400 に変える
👀 製品Xの収益(契約資産)が 300 → 356、製品Yの収益が 500 → 444 に変わります。製品Yを移転した時の売掛金は 800 のままです。
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📗 基礎 5 ラボの図
🧾 仕訳で確認(基礎4の数字:消費税等)
商品の販売時(税込で現金を受け取る)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金預金 | 275 | 売上高 | 250 |
| | 仮受消費税等 | 25 |
基礎 5
消費税等と返金負債 ── 収益にならない受取額
📍 ラボの場所:基礎タブ 5・設例・基礎3・4
ハルカ
現金を 275 受け取ったら、売上は 275 ですよね。
先生
売上は 250 なんだ。25 は国に納める消費税等で、第三者のために回収する額だから、取引価格に含めないよ(基準第47項)。仕訳では仮受消費税等という負債にしているね。
ハルカ
③編の他社ポイントで出てきた「第三者のために回収する額」と同じですね。
先生
そう、同じ考え方だよ。もう1つ、数量で単価が遡って下がる契約では、請求した 1,600 のうち、返すと見込む 240 を返金負債にするんだ(第53項)。②編の返品権付き販売で出てきた返金負債と同じ科目だよ。
迷いポイント 消費税等を売上高に含めて、納付額を租税公課にしてもよい?
ハルカ
昔は税込で売上を立てて、納めた分を租税公課にしている会社もあったと聞きました。
先生
収益認識基準では、消費税等は取引価格に含めないんだ。いわゆる税込方式は使えないよ。
ハルカ
「仮受」というのは、仮に受け取ったけれど本当は自分のものではない、という意味だったんですね。名前が全部白状していました。
💡 そうだったのか!
受け取る額でも、消費税等(第三者のため)と
返金すると見込む額は収益になりません。仮受消費税等・返金負債として負債にします。
📝 収益認識ラボ②【基礎編】(取引価格・変動対価・返品権付き販売)記事を読む ▶
📗 基礎 6 ラボの図
基礎 6
表示の科目 ── 損益計算書と貸借対照表
📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
「契約資産」という科目名は、決算書であまり見かけない気がします。
先生
図の右の貸借対照表を見てほしいんだ。契約資産は「工事未収入金」など、契約負債は「前受金」などでもいいよ(適用指針第104-3項)。大事なのは、内容を示す適切な科目で表示することなんだ。区分して表示しないときは、それぞれの残高を注記するよ(基準第79項)。
迷いポイント 返品資産と返金負債は、相殺して純額で出していい?
ハルカ
返品資産と返金負債は、同じ返品の話なので相殺すればすっきりしますね。
先生
返品資産と返金負債は相殺しないんだ(第105項)。一方で、同じ工事の棚卸資産と工事損失引当金は、相殺して表示することができるよ(第106項)。図の左下の黄色い箱に、この2つのルールを並べてあるね。
💡 そうだったのか!
科目名は内容を示すものなら自由度があります。
返品資産と返金負債は相殺しない、同じ工事の棚卸資産と工事損失引当金は相殺できます。
📗 基礎 7 ラボの図
基礎 7
注記の全体像 ── 3つのまとまり
📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
収益認識の注記は、項目がたくさんあって何から読めばいいか分かりません。
先生
図の3つの箱に分けると読みやすいよ。左が収益の分解、真ん中が収益を理解するための基礎となる情報(いつ充足するか・どう測るか)、右が当期と翌期以降の収益の金額を理解するための情報(契約残高と残存履行義務)なんだ。
迷いポイント 注記はすべての項目を同じ詳しさで書く?
ハルカ
全部の項目を、同じ分量で埋めないといけませんか。
先生
重要性に応じて決めればいいんだ。収益をどこまで分解するかも、単一の区分で足りる企業もあるよ(適用指針第106-3項)。工事損失があるときは、繰入額と棚卸資産との相殺の状況を注記するんだ(第106-9項)。
💡 そうだったのか!
注記は
分解・基礎となる情報・将来の金額の3つのまとまり。詳しさは重要性に応じて決めます。
📗 基礎 8 ラボの図
基礎 8
収益の分解情報 ── どの切り口で分けるか
📍 ラボの場所:基礎タブ 8・設例・基礎5
ハルカ
図の3本の棒はセグメントですね。環境エネルギーだけ緑の部分があります。
先生
緑は、一定の期間にわたって移転するサービスの収益 4,300 だよ。発電設備の工事だね。残りの 900 と、家庭用品・産業機械はすべて一時点の収益なんだ。合計 9,560 を、認識の時期で分けて見せているよ。
迷いポイント セグメント情報があれば、収益の分解は不要?
ハルカ
セグメントごとの売上はもう開示しているので、それで足りますよね。
先生
セグメントの売上高だけで足りるとは限らないんだ。性質・時期・不確実性に影響する要因で分けて(基準第80-10項)、分解した収益とセグメントの関係が分かるようにするよ(第80-11項)。区分は、投資家向け資料や経営者が業績評価に使う情報を参考に選ぶんだ(適用指針第106-4項)。逆に、セグメントの売上高の情報が収益の分解として十分なら、追加の分解情報は要らないとされているよ(第191項)。
💡 そうだったのか!
収益の分解は
企業の実態に応じた切り口で行います。セグメント情報が分解情報として十分なら、追加の分解は不要です(適用指針第191項)。
📗 基礎 9 ラボの図
基礎 9
残存履行義務 ── 将来の収益の見通し
📍 ラボの場所:基礎タブ 9・設例・応用1
ハルカ
図の棒は、2年契約の清掃サービスですね。認識済みが 180 で、残りが 360 と 180 に分かれています。
先生
そう。月 30 の24か月で取引価格は 720、期末までの6か月で 180 を収益にしたから、残りの 540 が残存履行義務だよ。そのうち 360 が1年以内、180 がその後に収益になると見込む。これを注記するんだ(基準第80-21項)。
迷いポイント 受注残高と残存履行義務は同じ?
ハルカ
営業部が管理している受注残高を、そのまま注記すればいいんですね。
先生
近いけれど同じではないんだ。残存履行義務は、契約として識別された部分に配分した取引価格で、変動対価は見積りの制限の後の額だよ。契約になっていない受注見込みは含まないんだ。
ハルカ
注記を読めば、来年の売上が予言できるんですね。占い師になった気分です。
先生
占いではなく、契約に裏づけられた見込みだよ。だから根拠が大事なんだ。
💡 そうだったのか!
残存履行義務は
契約に基づく将来の収益。受注残高とは範囲が違い、
当初に予想される契約期間が1年以内の契約などは注記に含めないこともできます(残りの期間が1年以内になっただけでは該当しません)。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「残存履行義務の注記」のシミュレーションを開く(応用1の数字)
- 右の「期末までの経過月数」を 6 から 18 に変える
👀 期末までの認識が 180 → 540、残存履行義務が 540 → 180(1年以内 180)になります。期間の区分は1つだけになります。
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📗 基礎 10 ラボの図
基礎 10
代替的な取扱い ── 日本独自の簡便な扱い
📍 ラボの場所:基礎タブ 10
ハルカ
①編の応用編で、出荷基準は代替的な取扱いとして残っていると習いました。それがこの表に並んでいるんですね。
先生
そうだよ。図の表は、代替的な取扱いを5つのステップのどこに関わるかで並べたものなんだ。出荷基準等(第98項)、期間がごく短い工事(第95項)、初期段階の取扱い(第99項)、工事契約の結合(第102項)などがあるよ。
迷いポイント 代替的な取扱いは、どれも自由に選べる?
ハルカ
日本独自の簡便な扱いなら、全部「使っても使わなくてもいい」ものですよね。
先生
多くは「できる」規定で、重要性が乏しいことなどが条件なんだ。ただし有償支給取引で支給品の譲渡に係る収益を認識しない扱いは必須で、選べるのは個別財務諸表での支給品の消滅の認識だけだよ(第104項)。IFRSにはない扱いなので、IFRSで連結する会社は個別と連結で処理が変わることがあるね。
💡 そうだったのか!
代替的な取扱いの
多くは選択規定。条件を確かめて使い、有償支給の「収益を認識しない」は必須です。
📝 売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】記事を読む ▶
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この記事の図は、すべて収益認識ラボ④の画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
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この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。