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収益認識ラボ⑤【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ入会金・商品券・工事の消費税・消化仕入・申告調整

収益認識ラボ⑤【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ入会金・商品券・工事の消費税・消化仕入・申告調整

無料の学習ツール「収益認識ラボ⑤」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📋 応用タブ冒頭 処理早見表
会計と同じそのまま益金・課税標準になる 要件つきで同じ要件を満たせば会計どおり、満たさなければ加算など 別の扱い会計とは別の物差しで判定する 原則原則の扱い 選択可納税者が選べる扱い
① 単位 ── 何を1つの収益として数えるか(基準第27・32項/基通2-1-1〜2-1-1の7)
論点会計(基準第29号)法人税消費税
収益の計上単位履行義務ごと要件つきで同じ
原則は契約ごと。履行義務単位も「できる」
別の扱い
課税資産の譲渡等ごと(取引ごと)
複数の契約の結合要件を満たせば結合(第27項)要件つきで同じ
結合して初めて単一の履行義務なら結合可
別の扱い
取引ごとに判定
自社ポイント重要な権利なら別の履行義務(指針第48項)要件つきで同じ
4要件を満たせば前受け(2-1-1の7)。満たさなければ販売時の益金
別の扱い
付与時は影響なし。使用時は対価の返還等(または値引き)
製品保証品質保証型は履行義務にせず引当金。保証サービス型は別の履行義務(指針第34〜35項)会計と同じ
品質保証型は別の単位にしない(2-1-1の3)。保証サービス型は継続適用を前提に履行義務ごとの区分が可能(2-1-1(1)ロ)
別の扱い
保証サービスは役務の提供として譲渡等の時期を判定
本人・代理人(消化仕入)本人は総額、代理人は純額(指針第39〜47項)会計と同じ
所得は変わらない(対応なし)
別の扱い
消化仕入(ケース6)では、会計上代理人でも販売額が課税売上げ、仕入が課税仕入れ
② 時期 ── いつ収益にするか(基準第35〜45項/法22条の2①〜③、基通2-1-2〜2-1-40の2/消基通9章)
論点会計(基準第29号)法人税消費税
商品の販売支配の移転時(検収など)。出荷基準等も可(指針第98項)会計と同じ
引渡し等の日。近接する日(出荷日・検収日)で継続経理なら可
会計と同じ
引渡しのあった日(9-1-1)
工事・請負進捗度(一定の期間)要件つきで同じ
原則引渡し等の日(2-1-21の7)。選択可進捗度で経理していればその年度の益金(2-1-21の2)。進捗計上後に申告調整で引渡し基準へは戻せない。長期大規模工事は工事進行基準が強制(法63条)
別の扱い
原則完成して引き渡した日に全額(9-1-5)。選択可法人税で工事進行基準なら、消法17条の特例で進捗に応じて課税
商品券引換え時。非行使部分は行使割合で要件つきで同じ
原則会計と同じ。選択可発行時益金(2-1-39(3)で「発行日」を基準に定めた場合、または経過的取扱い)。10年経過日等に未引換分を一括
別の扱い
自社発行の商品券は発行時は不課税(他者が譲渡すれば非課税)。引換え時に課税
返金不要の入会金将来のサービスに対応すれば繰延べ(指針第57〜59項)要件つきで同じ
原則取引開始日の益金。対応関係があれば期間配分(2-1-40の2)
別の扱い
会員資格の付与の対価は入会時に課税(消基通5-5-5)。将来の具体的な役務提供の前受金は役務提供時(9-1-27)
使用料・ライセンスアクセス権は期間、使用権は一時点(指針第62項)会計と同じ
会計と同様(2-1-30〜)
別の扱い
支払を受けるべき日(9-1-20)
③ 金額 ── いくらを収益にするか(基準第47〜64項/法22条の2④⑤、基通2-1-1の8〜16/消費税法28条)
論点会計(基準第29号)法人税消費税
変動対価(割戻し)見積って取引価格に反映(第50〜54項)要件つきで同じ
3要件を満たせば反映(2-1-1の11)。満たさなければ請求額が益金
別の扱い
収受すべき対価の額(この設例では請求額)。割戻し時に対価の返還等
返品権付き販売返金負債・返品資産(指針第84〜89項)別の扱い
返品の可能性は反映しない(22条の2⑤)→ 返金負債を加算
別の扱い
販売額の全額が対価。返品時に対価の返還等
重要な金融要素利息相当分を分けて収益(第56〜58項)要件つきで同じ
選択可利息相当部分を含めないことが「できる」(2-1-1の8)
別の扱い
利息相当部分を含めた対価の額
顧客に支払われる対価取引価格から減額(第63・64項)会計と同じ
会計と同様。支払時の費用処理も可(2-1-1の16)
別の扱い
販売促進費か対価の返還等かを取引ごとに判定
消費税等収益に含めない(第47項:税抜方式のみ)要件つきで同じ
選択可税抜方式・税込方式のどちらも可
会計と同じ
課税標準は税抜の対価の額

色は「会計の処理がそのまま使えるか」の目安です。「原則」「選択可」は、原則の扱いと納税者が選べる扱いを示します。差が出る論点は、設例タブで数字を追えます。

はじめに

今日の地図 ── 単位・時期・金額 × 会計・法人税・消費税の早見表

📍 ラボの場所:応用タブ冒頭「処理早見表」
ハルカ
先生、基礎編で3つの物差しは分かりました。実務では、どこで手が止まるんですか。
先生
早見表の3つの表を見てほしいんだ(ラボでは②③は見出しをクリックすると開く)。①単位、②時期、③金額。どの行も、会計の処理に対して法人税と消費税が「会計と同じ」「要件つきで同じ」「別の扱い」のどれかで塗り分けてあるよ。実務で止まるのは、黄色と赤の行なんだ。
ハルカ
「原則」「選択可」のタグも付いていますね。選択できる行が意外とあります。
先生
選べる行は、選んだら継続するのが前提だよ。今日はこの中から、実務で質問の多い8つを順に見ていこうか。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A1 ラボの図
引渡し等事業年度の後に、収益の額が変わったら(法令18条の2)決算日X1年度:引渡し等見積りで収益 8,500X2年度:金額が確定(8,300)修正の経理:▲200 をX2年度の損金にX1年度の申告はやり直さない。確定した決算で収益の額を修正した事業年度(X2年度)の益金・損金にする(①)。申告調整による修正も同じ扱い(②)。返品・貸倒れの可能性で減額した額(金銭債権計上差額)は、金銭債権の帳簿価額に加える(④)。会計の返金負債は所得計算ではなかったものとして扱う。
応用 A1

修正の経理と申告調整 ── 翌期以降に金額が変わったら

📍 ラボの場所:応用タブ A1
ハルカ
引き渡した翌期に、数量の確定で値引きが決まることがあります。前期の売上を直すんですか。
先生
直さないんだ。図のように、引渡し等事業年度の後に確定した決算で収益の額を修正したら、その増減額は修正の経理をした事業年度の益金・損金になるよ(法令18条の2①)。申告調整で直した場合も、同②で修正の経理とみなすんだ。
迷いポイント 時価が後から動いたら、前期の益金を直す?
ハルカ
引渡し時の時価が後で変わったと分かったら、前期の申告をやり直すんですよね。
先生
やり直さなくてよいんだ。その後の事情で時価が変動したと認められるときは、変動により増減した額を、変動が確定した事業年度の益金・損金にするよ(同③)。返品や貸倒れの可能性で減額した分は、同④により金銭債権の帳簿価額に加算する、つまり所得計算上なかったものとするんだ。
💡 そうだったのか!
翌期以降の修正は修正の経理をした期の益金・損金。時価の変動も確定した期で調整し、前期にさかのぼりません(法令18条の2)。
📝 収益認識ラボ④【基礎編】(工事契約・契約資産・消費税等の表示)記事を読む ▶
📙 応用 A2 ラボの図
監査対象法人:収益認識基準を適用中小企業:企業会計原則等に従った処理も可法人税:会計の処理を前提に22条の2・基通2-1-1〜の要件で判定法人税:従前の取扱い(引渡基準・割戻しの通達など)によることも可30改正は、改正前の公正処理基準における取扱いを明確化したもので、新会計基準を適用しない場合の収益計上時期を変えるものではない(趣旨説明)。消費税はどちらの会社でも同じ。資産の譲渡等の時期と対価の額で判定する。
応用 A2

中小企業の選択 ── 従前の取扱いも可

📍 ラボの場所:応用タブ A2
ハルカ
中小企業は収益認識基準を適用しなくてもよいと聞きました。法人税は、それでも通達どおりに直すんですか。
先生
図の右側がその答えだよ。収益認識基準を適用しない会社は、引き続き企業会計原則等に従った処理ができて、法人税でも従前の取扱いによることができるんだ。趣旨説明によれば、平成30年改正は改正前の公正処理基準の取扱いを明確化したもので、新基準を適用しない場合の計上時期を変えるものではないんだよ。
迷いポイント 売上割戻しは、算定基準が明示されていれば販売年度で減額できる?
ハルカ
割戻しの率が契約に書いてあれば、販売した年度に減額していいんですよね。
先生
そこは分かれ目があるんだ。基通2-1-1の11の変動対価の3要件を適用するなら販売年度で減額できる。適用しない場合は、通知または支払をした日の事業年度で減額するんだよ(2-1-1の12)。「算定基準が書いてあれば販売年度」ではなく、3要件を満たすかどうかで分かれるんだ。
ハルカ
正直に言うと、「中小企業は何も変わらない」と一括りにして安心しようとしていました。
先生
変わらないのは会計の方で、通達の要件は中小企業にも同じようにかかるんだよ。
💡 そうだったのか!
中小企業は従前の処理が可能。ただし割戻しは3要件を適用するかで販売年度か通知・支払年度かが分かれます(基通2-1-1の11・12)。
📙 応用 A3 ラボの図
年度ごとの「会計の収益」「法人税の益金」「消費税:返還等控除後の税抜相当額」40,000120,000120,000X1年度40,00000X2年度40,00000X3年度会計の収益法人税の益金消費税(返還等控除後の税抜額)法人税:X1年度 +80,000、X2年度 ▲40,000、X3年度 ▲40,000消費税:X1年度 +80,000、X2年度 ▲40,000、X3年度 ▲40,000
別表四の加算・減算と、別表五(一)の留保残高の推移加算 80,000X1年度五(一)残高 80,000減算 40,000X2年度五(一)残高 40,000減算 40,000X3年度五(一)残高 0別表五(一)の残高は、加算(留保)の累計 − 減算(留保)の累計。最後の年度でゼロに戻れば、差は「時期のずれ」だけだったことになる。
年度ごとの「会計の収益」「法人税の益金」「消費税:返還等控除後の税抜相当額」40,00040,000120,000X1年度40,00040,0000X2年度40,00040,0000X3年度会計の収益法人税の益金消費税(返還等控除後の税抜額)法人税:会計と同じ消費税:X1年度 +80,000、X2年度 ▲40,000、X3年度 ▲40,000

例:入会金 120,000(返金不要)、3年間の会員サービスに対応する前提 ── 法人税は原則どおり取引開始日の益金

X1年度

会計
X1年度:入会金の受取(返金不要・将来のサービスに対応)
借方金額貸方金額
現金132,000契約負債120,000
仮受消費税等12,000
X1年度:会員サービスの提供に応じて収益
借方金額貸方金額
契約負債40,000売上高40,000
法人税
X1年度:法人税で経理したとみなす仕訳
借方金額貸方金額
現金132,000売上高120,000
仮受消費税等12,000
別表四(留保)
項目加算減算
入会金(取引開始日の益金)80,000
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)
区分課税標準税額
課税売上げの対価(返金不要の入会金・入会時)120,00012,000

法人税:返金不要の支払は原則として取引開始日の属する事業年度の益金(基通2-1-40の2)。会計の繰延べ分を加算(留保)。 消費税:会員資格の付与と引換えに受け取る返金不要の入会金(スポーツクラブ等。消基通5-5-5)は、入会時に課税売上げ。将来の具体的な役務提供の前受金なら役務提供時に課税(消基通9-1-27)。

X2年度

会計
X2年度:会員サービスの提供に応じて収益
借方金額貸方金額
契約負債40,000売上高40,000
法人税

同左(会計の仕訳のとおり益金・損金)

別表四(留保)
項目加算減算
契約負債の取崩し(X1年度に益金算入済み)40,000
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)
区分課税標準税額
(処理なし)——

X3年度

会計
X3年度:会員サービスの提供に応じて収益
借方金額貸方金額
契約負債40,000売上高40,000
法人税

同左(会計の仕訳のとおり益金・損金)

別表四(留保)
項目加算減算
契約負債の取崩し(X1年度に益金算入済み)40,000
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)
区分課税標準税額
(処理なし)——
応用 A3

返金不要の入会金 ── 原則は取引開始日の益金

📍 ラボの場所:応用タブ A3
ハルカ
これ、③編の返金不要の入会金ですよね。会計は将来のサービスに対応するので繰り延べる、と習いました。
先生
よく覚えていたね。1つ目の図がその会計で、120,000 の入会金を3年に 40,000 ずつ繰り延べている。法人税の原則は、返金不要の支払は取引開始日の事業年度の益金なんだ(基通2-1-40の2)。だから X1年度に 80,000 を加算して、X2・X3年度に 40,000 ずつ減算する。2つ目の図がその留保残高の推移だよ。
迷いポイント 会計で繰り延べた入会金は、法人税でも必ず繰り延べられる?
ハルカ
将来のサービスの対価なのは明らかなので、法人税も3年に分けてくれますよね。
先生
原則は分けないんだ。分けられるのは、契約等の特定期間の役務提供ごとに、具体的な対応関係をもって発生する対価の前受けと認められる場合だけだよ(同ただし書)。3つ目の図がその場合で、会計と法人税の収益計上時期がそろう(消費税は入会時の 120,000 のまま)。消費税は、この設例のように会員資格の付与と引換えに受け取る返金不要の入会金なら資産の譲渡等の対価で(消基通5-5-5)、入会時に 120,000 の全額が課税売上げ。ただし将来の具体的な役務提供の前受金なら、消基通9-1-27により、現実に役務を提供した時が課税時期になるんだ。
💡 そうだったのか!
返金不要の入会金は法人税では取引開始日の益金が原則。特定期間の役務提供と具体的な対応関係があれば期間配分できる。消費税は、会員資格の付与の対価なら入会時に全額課税、将来の役務の前受金なら役務提供時に課税。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「時期」のシミュレーションを開く(応用4の数字:入会金)
  2. 右の「会計上、対応するサービス期間(年)」を 3 から 5 に変える

👀 会計の収益は毎年 24,000 になり、X1年度の加算が 80,000 → 96,000、X2〜X5年度に 24,000 ずつ減算。別表五(一)の残高は 96,000 → 72,000 → 48,000 → 24,000 → 0 と4年かけて消えます。

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📝 収益認識ラボ③【基礎編】(本人と代理人・ポイント・商品券・入会金)記事を読む ▶
📙 応用 A4 ラボの図
商品引換券等:いつ益金になるか(基通2-1-39・2-1-39の2)発行(X1年度)会計:契約負債消費税:不課税引換え(X2年度〜)原則の益金(2-1-39)消費税:課税売上げ10年経過日等未引換分を一括益金(有効期限等の到来が先ならその日)非行使部分(2-1-39の2)非行使部分の対価 × 権利行使割合 − 既に益金にした額(会計の雑収入と同じ計算)発行時一括(所定の基準・経過的取扱い)発行時に全額を益金 → 契約負債を加算引換え時に取崩額を減算(継続適用が前提)10年経過日等=発行の日から10年を経過した日。ただし、発行年度ごとの区分管理をやめた日・有効期限の到来・継続して収益計上する基準に達した日が先に来れば、その日。
別表四の加算・減算と、別表五(一)の留保残高の推移加算 300,000X1年度五(一)残高 300,000減算 122,222X2年度五(一)残高 177,778別表五(一)の残高は、加算(留保)の累計 − 減算(留保)の累計。最後の年度でゼロに戻れば、差は「時期のずれ」だけだったことになる。
応用 A4

商品引換券の10年経過日等 ── 未引換分の一括益金算入

📍 ラボの場所:応用タブ A4
ハルカ
③編で、商品券の使われない部分は行使パターンに比例して収益にする、と習いました。法人税にも同じ扱いがあるんですか。
先生
あるよ。基通2-1-39の2で、非行使部分の対価に権利行使割合を乗じた額から既に益金にした額を控除する方法で益金にできる。会計の雑収入と同じ計算なんだ。図の時間軸の右端が10年経過日等で、2-1-39により、その事業年度末に未引換のものがあれば一括して益金にするよ。
迷いポイント 発行時に全額を益金にする方法は、いつでも自由に選べる?
ハルカ
前受けを気にせず発行時に全部益金にできるなら、管理が楽なのでそちらを選びたいです。
先生
自由に選び直す制度ではないんだ。発行時に益金にできる根拠は2つで、(a) 2-1-39(3)の「継続して収益計上を行う基準」として発行日を定めている場合、(b) 平成30年度改正の経過的取扱いで、改正前の発行時益金算入を続けている法人が新たな基準を定めるまでの間、だよ。どちらも継続適用が前提で、会計の契約負債を加算し、引換え時に減算するんだ。
ハルカ
10年経過日等という名前は、商品券が「もう帰ってこないので益金に入れてください」と自己申告する日みたいですね。
先生
自己申告ではなく、発行年度ごとに区分管理していれば自動的に来る日なんだよ。
💡 そうだったのか!
商品券は引換え時の益金が原則で、非行使部分は行使割合で益金にできる。10年経過日等に未引換分を一括益金。発行時一括は所定の基準か経過的取扱いによる継続適用が前提。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「時期」のシミュレーションを開く(応用3の数字:商品券・発行時一括)
  2. 右の「X2年度の行使額(税込)」を 110,000 から 270,000 に変える

👀 X1年度の加算 300,000 はそのまま、X2年度の減算が 122,222 → 300,000 になり、別表五(一)の残高は 177,778 → 0。行使見込額 270,000 がすべて行使され、非行使見込額 30,000 も全額が収益になるので、会計の契約負債がゼロになり留保も消えます。

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📝 収益認識ラボ③【設例・ポイントと商品券編】記事を読む ▶
📙 応用 B1 ラボの図
年度ごとの「会計の収益」「法人税の益金」「消費税:返還等控除後の税抜相当額」1,8001,8000X1年度4,8004,8000X2年度2,4002,4009,000X3年度会計の収益法人税の益金消費税(返還等控除後の税抜額)法人税:会計と同じ消費税:X1年度 ▲1,800、X2年度 ▲4,800、X3年度 +6,600
年度ごとの「会計の収益」「法人税の益金」「消費税:返還等控除後の税抜相当額」1,8001,8001,800X1年度4,8004,8004,800X2年度2,4002,4002,400X3年度会計の収益法人税の益金消費税(返還等控除後の税抜額)三層とも同じ金額・同じ年度(差なし)
応用 B1

工事の請負 ── 引渡しの日が原則、工事進行基準なら特例も

📍 ラボの場所:応用タブ B1
ハルカ
④編の工事契約ですね。累計の進捗度で収益を出す、と習いました。上の図では消費税だけが X3年度に 9,000 でまとまっています。
先生
ちゃんと覚えていたね。会計が進捗度で 1,800・4,800・2,400 と3年に分けても、消費税の原則は目的物を完成して引き渡した日に全額なんだ(消基通9-1-5)。法人税は、基通2-1-21の2・2-1-21の7により、進捗度で経理していればその年度の益金になるよ。
迷いポイント 会計で進捗計上した工事を、申告調整で引渡しの日の収益に変えられる?
ハルカ
法人税の原則は引渡し等の日なので、会計で進捗計上していても、申告書で引渡し年度にまとめられますよね。
先生
それはできないんだ。会計で進捗度により収益計上した工事を、申告調整で引渡しの日の収益に変えることは認められていないよ(趣旨説明)。会計と法人税はそろって進捗度で進む。下の図は、消費税法17条の特例を選んで、消費税も 1,800・4,800・2,400 とそろえた場合だよ。
💡 そうだったのか!
工事は会計・法人税とも進捗度(申告調整で引渡し基準には戻せない)。消費税は引渡しの日が原則で、工事進行基準の工事なら消法17条の特例で進捗に応じた課税を選べます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「時期」のシミュレーションを開き、プリセット「工事・消費税法17条の特例」を選ぶ
  2. 右の「X1年度の発生原価」を 1,500 から 3,000 に変える

👀 X1年度の進捗度が 20% → 33.3% になり、会計・法人税の収益も消費税の課税標準も 3,000 にそろいます。3年間の合計 9,000 は変わらず、工事原価の合計が 9,000 になるので利益はゼロです。

ラボを開く ▶
📝 収益認識ラボ④【基礎編】(工事契約・契約資産・消費税等の表示)記事を読む ▶
📙 応用 B2 設例の画面(ポイント使用・返品)
会計:契約負債 1,818 × 2,000 ÷ 2,000 = 1,818 を売上高に
消費税:課税売上げ 1,818(2,000 × 100/110)− 対価の返還等 1,818 = 0
会計
X2年度:2,000ポイント(税込 2,000 相当)の使用
借方金額貸方金額
契約負債(ポイント)1,818売上高1,818
法人税

同左(会計の仕訳のとおり益金・損金)

消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)
区分課税標準税額
課税売上げの対価(ポイントで購入した商品)1,818182
対価の返還等(ポイント使用分)▲1,818▲182

消費税:ポイントで買った商品も課税売上げだが、ポイント使用分は対価の返還等(または値引き)になり、差引の消費税額はゼロ。

会計:ポイントが使われた時に契約負債を取り崩して収益にする。

消費税:ポイントで購入した商品 1,818 は課税売上げだが、ポイント使用分は対価の返還等(または値引き)になり、納付する消費税はない。

会計:返金負債 600 と返品資産 360 を取り崩す(損益なし)
法人税:売上の減少 600・原価の減少 360 → 減算 600・加算 360
消費税:対価の返還等 600
会計
X2年度:2個の返品(見込みどおり)
借方金額貸方金額
返金負債600現金660
仮受消費税等60
X2年度:返品商品の受入れ
借方金額貸方金額
商品360返品資産360
法人税
X2年度:法人税で経理したとみなす仕訳
借方金額貸方金額
売上高(返品)600現金660
仮受消費税等60
X2年度:返品商品の受入れ(法人税)
借方金額貸方金額
商品360売上原価360
別表四(留保)
項目加算減算
返金負債の取崩し(返品の売上減)600
返品資産の取崩し(返品商品の原価)360
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)
区分課税標準税額
売上げに係る対価の返還等(返品)▲600▲60

消費税:返品は「売上げに係る対価の返還等」として、返品した期の課税売上げから控除する。返品額が税込1万円未満(660)なので返還インボイスの交付義務は免除される。

会計:見込みどおりなら損益は出ない。

法人税:返品した期に売上・原価が減るので、X1年度の加算・減算を取り崩す。別表五(一)の残高はゼロに。

消費税:返品は「売上げに係る対価の返還等」。返品した課税期間の消費税額から控除する。返還インボイスの交付が必要だが、税込1万円未満の返還等は交付義務が免除される(この設例の返品額は税込 660 なので免除)。

応用 B2

対価の返還等 ── 割戻し・返品・ポイント

📍 ラボの場所:応用タブ B2・設例・基礎1 ステップ3・基礎4 ステップ3
ハルカ
会計で返金負債や契約負債にした分も、消費税は請求した額で課税するんですよね。では、実際に割戻しや返品があったときはどうなるんですか。
先生
そこで出てくるのが対価の返還等だよ。下の返品の画面を見ると、X2年度に返品 600 が「売上げに係る対価の返還等 ▲600」として載っているね。返品・値引き・割戻しをした課税期間に、その対価に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除するんだ(消費税法38条)。返品なら返還インボイスを交付する。税込1万円未満は交付が免除されるよ。
迷いポイント ポイントで買われた商品は、消費税がかからない?
ハルカ
ポイント分はお金をもらっていないので、その分は課税売上げに入れなくていいですよね。
先生
入れるんだ。上のポイント使用の画面のとおり、ポイントで買った商品も課税売上げ 1,818 で、ポイントの使用分 1,818 を対価の返還等(または値引き)として扱う。差引の消費税はゼロになるよ。共通ポイントは、運営会社との契約により不課税の精算になることもあるんだ。
ハルカ
課税売上げに一度入れてから返還等で引くなんて、入口で切符を買って出口で払い戻してもらうようなものですね。
先生
申告書には、入口と出口の両方の金額が別の欄で載るんだよ。
💡 そうだったのか!
会計の返金負債・契約負債は課税標準に影響しない。実際の返品・割戻し・ポイント使用の時に対価の返還等として控除します(消費税法38条)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「単位」のシミュレーションを開く(基礎1の数字:ポイント)
  2. 右の「X2年度に使われたポイント」を 2,000 から 1,000 に変える

👀 X2年度の課税売上げが 1,818 → 909、対価の返還等も ▲1,818 → ▲909 になり、差引はゼロのままです。会計の収益も 909 になり、残りの契約負債 909 は翌期以降に持ち越されます。

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📝 収益認識ラボ③【応用編】(消化仕入・他社ポイント・非行使部分)記事を読む ▶
📙 応用 B3 ラボの図
年度ごとの「会計の収益」「法人税の益金」「消費税:返還等控除後の税抜相当額」3,0003,00030,000X1年度会計の収益法人税の益金消費税(返還等控除後の税抜額)法人税:会計と同じ消費税:X1年度 +27,000

例:消化仕入 ── 販売価格 30,000、卸値 27,000(代理人)

X1年度(商品1個の販売)

会計
百貨店(代理人):顧客への販売と仕入先への買掛
借方金額貸方金額
売掛金33,000手数料収入3,000
仮払消費税等2,700買掛金29,700
仮受消費税等3,000
法人税

同左(会計の仕訳のとおり益金・損金)

消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)
区分課税標準税額
課税売上げの対価(顧客への販売額)30,0003,000
課税仕入れの対価(仕入先からの仕入)▲27,000▲2,700

法人税:利益に課税するので、総額でも純額でも所得は 3,000 で変わらない(対応なし)。消費税:代理人でも、顧客への販売 30,000 が課税売上げ、仕入先からの仕入 27,000 が課税仕入れ。

応用 B3

消化仕入(ケース6)── 会計上は代理人でも消費税は総額

📍 ラボの場所:応用タブ B3
ハルカ
③編の消化仕入ですね。百貨店は代理人なので、手数料 3,000 だけを売上にする、と習いました。消費税も 3,000 で計算するんですか。
先生
よく覚えていたね。ところが消費税は違うんだ。消化仕入では百貨店が自己の名で顧客に商品を販売し、販売と同時に仕入先から仕入れる。だから販売額 30,000 の全額が課税売上げ、仕入 27,000 が課税仕入れだよ(国税庁ケース6)。納付税額は 3,000 − 2,700 = 300 で、手数料 3,000 × 10% と同じになるね。
迷いポイント 納付額が同じなら、会計の純額 3,000 で申告しても困らない?
ハルカ
納める税額が 300 で同じなら、売上を 3,000 として申告しても結果は変わりませんよね。
先生
結果が変わる場面があるんだ。課税売上高は、課税売上割合や簡易課税の判定(基準期間の課税売上高5,000万円)に影響する。会計の純額表示をそのまま使わず、契約の形態ごとに判定するんだよ。法人税は利益に課税するので、総額でも純額でも所得は 3,000 で変わらないよ。
ハルカ
会計では「私は手数料をもらっているだけです」と言える百貨店が、消費税では「30,000 で売りました」と言わなければいけないんですね。
先生
消費税は誰の名で売ったかを見るから、言い方が変わるんだよ。
💡 そうだったのか!
消化仕入は、会計が代理人の純額でも、消費税は販売額の総額が課税売上げ・仕入が課税仕入れ。納付額は同じでも、課税売上高は簡易課税の判定などに影響します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「単位」のシミュレーションを開く(基礎6の数字:消化仕入)
  2. 右の「顧客への販売価格(税抜)」を 30,000 から 50,000 に変える

👀 会計の手数料収入は 3,000 → 23,000、消費税の課税売上げは 50,000、課税仕入れは 27,000 のまま。法人税の所得も 23,000 で会計と同じです。

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📝 収益認識ラボ③【設例・本人と代理人編】記事を読む ▶
📙 応用 C1 ラボの図
会計の仕訳(決算書)差があれば別表四(所得の計算)別表五(一)加算:会計の利益に足す(返金負債など)減算:会計の利益から引く(翌期の取崩しなど)留保の増減を記録翌期以降に解消消費税申告書課税標準額=課税売上げの対価の合計(税抜)仮受消費税等と突き合わせる翌期以降に解消する留保の差は、税効果会計の一時差異になる。繰延税金資産は回収可能性を判断したうえで計上する。ポイントの契約負債、返金負債、発行時に益金にした商品券などは、翌期以降に取り崩すと減算で解消する。税抜経理で通常の仮受・仮払として処理する部分は所得に影響しない。ただし精算差額や簡易課税による差額は益金・損金になる場合がある。
応用 C1

決算で確かめること ── 会計仕訳だけで税務を処理しない

📍 ラボの場所:応用タブ C1
ハルカ
決算で、会計の仕訳から税務をどう組み立てるかを整理したいです。図では3つの流れに分かれていますね。
先生
会計の仕訳を出発点に、法人税の申告調整と消費税の課税標準を別々に組み立てるんだ。契約負債なら、ポイント・商品券・入会金のそれぞれで法人税の要件を満たすか。返金負債・返品資産なら、返品は加算・減算、割戻しは3要件の確認だよ。
迷いポイント 会計の売上高 × 10% と仮受消費税等が合わなかったら、どこを疑う?
ハルカ
売上高に 10% を掛けた額と仮受消費税等が合いません。計算ミスでしょうか。
先生
ミスとは限らないんだ。返金負債、契約負債(ポイント)、代理人の純額表示、工事の進捗度収益など、課税標準と会計の売上高が違う取引があれば合わなくて当然だよ。消費税は収受すべき対価の額から出し、仮受消費税等の残高と申告書を、課税売上げの税額と返還等の税額に分けて突き合わせるんだ。
💡 そうだったのか!
決算では、会計仕訳から申告調整と課税標準を別々に組み立てる。売上高 × 税率が仮受消費税等と合わないのは、差の出る取引がある合図です。
📝 税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異と繰延税金資産)記事を読む ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて収益認識ラボ⑤の画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
時価が後から動いたら、前期の益金を直す?直さない。変動が確定した期の益金・損金で調整(法令18条の2③)応用A1
割戻しは算定基準が明示されていれば販売年度で減額できる?3要件を適用するなら販売年度、適用しないなら通知・支払の日の年度(基通2-1-1の11・12)応用A2
会計で繰り延べた入会金は、法人税でも必ず繰り延べられる?原則は取引開始日の益金。特定期間の役務提供と具体的な対応関係があれば期間配分(基通2-1-40の2)。消費税は資格付与の対価なら入会時、前受金なら役務提供時応用A3
発行時に全額を益金にする方法は、いつでも自由に選べる?2-1-39(3)の所定の基準か経過的取扱いによる継続適用が前提。契約負債を加算し引換え時に減算応用A4
会計で進捗計上した工事を、申告調整で引渡しの日に変えられる?不可。会計・法人税とも進捗度。消費税は引渡しの日が原則で、消法17条の特例を選べる応用B1
ポイントで買われた商品は消費税がかからない?課税売上げに入れ、ポイント使用分を対価の返還等として控除。差引ゼロ(消費税法38条)応用B2
納付額が同じなら、会計の純額で申告しても困らない?困る場面がある。課税売上高は課税売上割合や簡易課税の判定に影響する(国税庁ケース6)応用B3
売上高 × 10% と仮受消費税等が合わなかったら?差の出る取引(返金負債・ポイント・純額表示・進捗度)を疑い、課税売上げの税額と返還等の税額に分けて突き合わせる応用C1
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。法人税は会計に合わせるときも要件と継続適用が条件で、入会金の対応関係、商品券の所定の基準、変動対価の3要件がその例だね。消費税は誰の名で、いつ、いくらで譲渡したかで決まり、会計の純額や進捗度とは別に動く。決算では、会計仕訳から申告調整と課税標準を別々に組み立てるんだ。
ハルカ
前は「会計で正しく処理できたら終わり」と思っていました。今日は同じ入会金でも、対応関係があるかどうかで加算が出たり消えたりするのを見て、税務は会計の後に「もう一度、条件を確かめる作業」なのだと分かりました。
先生
条件を確かめる作業は、書類を残すことまで含めてひとつなんだ。3要件の書類保存は、その象徴だよ。
ハルカ
私はこれから、仕訳の横に「要件:満たす/満たさない」という欄を勝手に増やします。会計ソフトに怒られても。
先生
ソフトの欄でなくても、決算の手順書に書いておけば十分だよ。次の設例・単位編では、ポイントと消化仕入の設例を数字で追っていこうか。

参考資料

法人税法第22条・第22条の2・第63条、法人税法施行令第18条の2、法人税基本通達2-1-1〜2-1-1の16・2-1-21の2〜2-1-21の7・2-1-39〜2-1-40の2(平成30年5月30日付課法2-8ほか「法人税基本通達等の一部改正について」とその趣旨説明を含む)、消費税法第4条・第17条・第28条・第30条・第38条、消費税法基本通達第9章、国税庁「収益認識基準による場合の取扱いの例」(平成30年5月・ケース1〜6)、タックスアンサーNo.6161・6513・6917。会計は企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」・企業会計基準適用指針第30号。基準確認日:2026年10月7日。原文は国税庁(法人税基本通達)・国税庁(消費税法基本通達)・ASBJ(第29号)で公開されています。ラボの設例は国税庁のケース1〜6と同じパターンを独自の数値(消費税率10%)で組み立てたものです。

シリーズ:基礎編/応用編 / 設例編:単位編(ポイント・消化仕入)・時期編(商品券・入会金・工事)・金額編(変動対価・返品・金融要素) / 関連:収益認識ラボ③【基礎編】(本人と代理人・ポイント・商品券・入会金)/収益認識ラボ③【応用編】(消化仕入・他社ポイント・非行使部分)/収益認識ラボ④【基礎編】(工事契約・契約資産・消費税等の表示)/税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異と繰延税金資産)/【早見表】収益認識基準・適用指針(論点を項番号で検索)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。