収益認識ラボ⑤【設例・金額編】|先生と一緒に図で学ぶ設例 基礎2〜4・応用2・応用6 変動対価・返品・金融要素
無料の学習ツール「収益認識ラボ⑤」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、収益の「金額」の設例(基礎3・応用2・基礎4・基礎2・応用6)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📘 設例・基礎3 ラボの画面
前提条件(独自の数値・設定)
- A社はB社と商品Zの2年契約を結んだ。単価は購入数量で段階的に下がる:100個まで 500、100個超〜200個 400、200個超 300(超えた部分の単価が下がる)。
- A社は2年間の販売数量を 200個と予想。X1年度に 100個、X2年度に 100個を販売。消費税率10%。
- 法人税:変動対価の3要件(基通2-1-1の11)を満たしている。
📎 実務で確認する資料- 取引基本契約書・リベート条件(数量区分と単価の表)
- 予想販売数量の見積り根拠(過去の実績・予算)と見直しの記録
- 変動対価3要件(内容の明示・合理的な見積り方法の継続適用・書類保存)の確認表
- 請求書の金額(消費税の課税標準は請求額)
はじめに
設例・基礎3/応用2/基礎4/基礎2/応用6 ── 「いくら」が三層で違う5つの設例
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎3 ステップ1
ハルカ
先生、今日は「金額」の設例ですね。割戻し、返品、金融要素。②編で会計の計算は習いました。
先生
そうだよ。会計の取引価格は権利を得ると見込む額だったね。法人税の益金は引渡し時の価額、消費税の課税標準は収受すべき対価の額。同じ取引でも、3つの「いくら」が別々に決まるんだ。
ハルカ
前提に「3要件を満たしている」とあります。満たさない場合は応用2ですね。
先生
そのとおり。基礎3で変動対価の原則、応用2で要件を欠く場合、基礎4で返品、最後に基礎2と応用6で金融要素を見ていこうか。
設例・基礎タブの基礎3を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎3 ラボの画面
予想数量 200個の対価 = 90,000 → 1個あたり 450
売上高 = 450 × 100 = 45,000 請求 50,000 返金負債 5,000
会計
X1年度:100個の販売(請求 50,000、見込み単価 450)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金 | 55,000 | 売上高 | 45,000 |
| | 仮受消費税等 | 5,000 |
| | 返金負債 | 5,000 |
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)| 区分 | 課税標準 | 税額 |
|---|
| 課税売上げの対価(収受すべき額=この設例では請求額) | 50,000 | 5,000 |
法人税:値引き等の内容が契約で明らか・合理的な見積りを継続適用・書類保存の3要件を満たすので、会計の変動対価の処理を認める(基通2-1-1の11)。
会計:変動対価を見積り、著しい減額が生じない可能性が高い部分を取引価格に含める(基準第50〜54項)。
法人税:3要件を満たすので、会計で減額した額を引渡し時の価額に反映する(基通2-1-1の11)。
消費税:課税標準は対価として収受すべき額で、この設例では請求額 50,000。返金負債は関係ない。
設例・基礎3
X1年度 ── 会計は見込み単価 450 で 45,000、消費税は請求額 50,000
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎3 ステップ2
ハルカ
②編の数量値引きと同じ考え方ですね。2年間で 200個売ると見込むので、1個 450 の見込み単価で売上 45,000、請求 50,000 との差 5,000 が返金負債です。
先生
よく覚えていたね。法人税の列は「同左」だよ。基通2-1-1の11により、値引き等の内容が契約で明らか、合理的な見積りを継続適用、書類を保存、の3要件を満たすので、会計の変動対価の処理をそのまま認めるんだ。
迷いポイント 消費税の課税標準も、見込み単価の 45,000?
ハルカ
会計も法人税も 45,000 なら、消費税も 45,000 ですよね。
先生
消費税は 50,000 なんだ。課税標準は対価として収受すべき額で、この設例では請求額。返金負債 5,000 は関係ないよ。X2年度は減額後の単価で 40,000 を請求するので、課税標準も 40,000。対価の返還等は生じないんだ。
ハルカ
返金負債は、会計と法人税には仲間として認めてもらえたのに、消費税の部屋には入れてもらえないんですね。
先生
消費税の部屋に入れるのは、請求書に書いた金額だけなんだよ。
💡 そうだったのか!
3要件を満たせば、法人税も会計の
見込み単価 45,000 を認める。消費税は
請求額 50,000・40,000 が課税標準で、2年間の合計 90,000 は三層とも同じです。
📘 設例・応用2 ラボの画面
会計:売上高 45,000・返金負債 5,000
法人税:益金 50,000(請求額) → 返金負債 5,000 を加算(留保)
会計
X1年度:100個の販売(請求 50,000、見込み単価 450)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金 | 55,000 | 売上高 | 45,000 |
| | 仮受消費税等 | 5,000 |
| | 返金負債 | 5,000 |
法人税
X1年度:法人税で経理したとみなす仕訳| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金 | 55,000 | 売上高 | 50,000 |
| | 仮受消費税等 | 5,000 |
別表四(留保)| 項目 | 加算 | 減算 |
|---|
| 返金負債(変動対価の要件を満たさない) | 5,000 | |
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)| 区分 | 課税標準 | 税額 |
|---|
| 課税売上げの対価(収受すべき額=この設例では請求額) | 50,000 | 5,000 |
法人税:3要件を満たさないので、請求額 50,000 が益金。返金負債は加算(留保)し、割戻しを通知・支払(この設例では減額後の単価で請求)した事業年度に減額(基通2-1-1の12)。
3要件のいずれかを欠くと、変動対価の見積りは税務上認められず、引渡し時の価額は請求額になる。
消費税は基礎3と同じ。請求額が課税標準なので、もともと返金負債は関係ない。
設例・応用2
X1年度 ── 書類を保存していないと、請求額 50,000 が益金
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用2 ステップ2
ハルカ
応用2は、見積りの根拠書類を保存していない場合ですね。3要件の(3)が欠けています。
先生
そうだよ。会計の仕訳は基礎3と同じで、法人税の列だけが変わる。3要件のいずれかを欠くと、変動対価の見積りは税務上認められず、引渡し時の価額は請求額 50,000。会計の売上高 45,000 との差、つまり返金負債 5,000 を加算(留保)するんだ。
迷いポイント 加算した 5,000 は、いつ戻ってくる?
ハルカ
X2年度に請求額が 40,000 に減ったら、そのときに減算ですか。
先生
そのとおりだよ。減額後の単価で請求するX2年度が、割戻しを通知・精算した事業年度に当たるんだ(基通2-1-1の12)。X2年度は請求額 40,000 が益金で、会計の売上高 45,000 との差 5,000 を減算する。2年間の合計は三層とも 90,000 で、年度の所得が 5,000 動くだけなんだ。見積りの根拠書類の保存は、税務上の要件そのものだよ。
💡 そうだったのか!
3要件を欠くと、法人税は
請求額が益金。返金負債 5,000 を X1年度に加算し、X2年度に減算。書類の保存は税務上の要件そのものです。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「金額」のシミュレーションを開き、プリセット「応用2の数字(変動対価・要件を満たさない)」を選ぶ
- 右の「法人税:変動対価の3要件」を 「満たす」 に戻す
👀 X1年度の加算 5,000 が消え、法人税の益金が 50,000 → 45,000 に戻ります。消費税の課税標準は 50,000・40,000 のままで、2年間の合計 90,000 はどちらでも同じです。
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📘 設例・基礎4 ラボの画面
会計:売上高 = 300 × (50 − 2) = 14,400 返金負債 600 返品資産 360
法人税:売上高 15,000・売上原価 9,000 → 加算 600・減算 360
会計
X1年度:50個の販売(返品見込み 2個)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金 | 16,500 | 売上高 | 14,400 |
| | 返金負債 | 600 |
| | 仮受消費税等 | 1,500 |
X1年度:売上原価と返品資産| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売上原価 | 8,640 | 商品 | 9,000 |
| 返品資産 | 360 | | |
法人税
X1年度:法人税で経理したとみなす仕訳| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金 | 16,500 | 売上高 | 15,000 |
| | 仮受消費税等 | 1,500 |
X1年度:売上原価(法人税)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売上原価 | 9,000 | 商品 | 9,000 |
別表四(留保)| 項目 | 加算 | 減算 |
|---|
| 返金負債(返品の可能性は収益の額に反映しない:法22条の2⑤) | 600 | |
| 返品資産(返品見込み分の原価) | | 360 |
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)| 区分 | 課税標準 | 税額 |
|---|
| 課税売上げの対価(販売額の全額) | 15,000 | 1,500 |
法人税:引渡し時の価額は貸倒れや買戻し(返品)の可能性を織り込まない(法22条の2⑤)。返金負債は加算・返品資産は減算(いずれも留保)。
会計:返品が見込まれる分は収益にせず返金負債に。返品される商品の原価は返品資産(適用指針第84〜89項)。
法人税:引渡し時の価額は買戻し(返品)の可能性を織り込まない(法22条の2⑤)。返金負債 600 を加算、返品資産 360 を減算。所得は会計の利益より 240 多い。
消費税:課税標準は販売額の全額 15,000。
設例・基礎4
返品 X1年度 ── 会計 14,400、法人税 15,000、消費税 15,000
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4 ステップ2
ハルカ
返品権付き販売ですね。②編で、返品見込み分は返金負債、戻ってくる商品の原価は返品資産にすると習いました。
先生
ちゃんと覚えていたね。会計は売上高 14,400・返金負債 600・返品資産 360。法人税は、引渡し時の価額に買戻し(返品)の可能性を織り込まない(法22条の2⑤)。だから売上高 15,000・売上原価 9,000 で、返金負債 600 を加算、返品資産 360 を減算するよ。
迷いポイント 返品の見込みは、変動対価の3要件を満たせば法人税でも認められる?
ハルカ
返品率をきちんと見積って書類も保存していれば、割戻しと同じように認めてもらえますよね。
先生
返品は認められないんだ。割戻しは「引渡し時の価額をより正確に反映する調整」として要件つきで認めるけれど、返品と貸倒れの可能性は、要件にかかわらず反映しない。法22条の2⑤で決まっているんだよ。消費税の課税標準は販売額の全額 15,000 だね。
💡 そうだったのか!
返品の可能性は、3要件とは関係なく
法人税では織り込まない。返金負債 600 は加算、返品資産 360 は減算し、所得は会計の利益より 240 多くなります。
📘 設例・基礎4 ラボの画面
会計:返金負債 600 と返品資産 360 を取り崩す(損益なし)
法人税:売上の減少 600・原価の減少 360 → 減算 600・加算 360
消費税:対価の返還等 600
会計
X2年度:2個の返品(見込みどおり)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 返金負債 | 600 | 現金 | 660 |
| 仮受消費税等 | 60 | | |
X2年度:返品商品の受入れ| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 商品 | 360 | 返品資産 | 360 |
法人税
X2年度:法人税で経理したとみなす仕訳| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売上高(返品) | 600 | 現金 | 660 |
| 仮受消費税等 | 60 | | |
X2年度:返品商品の受入れ(法人税)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 商品 | 360 | 売上原価 | 360 |
別表四(留保)| 項目 | 加算 | 減算 |
|---|
| 返金負債の取崩し(返品の売上減) | | 600 |
| 返品資産の取崩し(返品商品の原価) | 360 | |
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)| 区分 | 課税標準 | 税額 |
|---|
| 売上げに係る対価の返還等(返品) | ▲600 | ▲60 |
消費税:返品は「売上げに係る対価の返還等」として、返品した期の課税売上げから控除する。返品額が税込1万円未満(660)なので返還インボイスの交付義務は免除される。
会計:見込みどおりなら損益は出ない。
法人税:返品した期に売上・原価が減るので、X1年度の加算・減算を取り崩す。別表五(一)の残高はゼロに。
消費税:返品は「売上げに係る対価の返還等」。返品した課税期間の消費税額から控除する。返還インボイスの交付が必要だが、税込1万円未満の返還等は交付義務が免除される(この設例の返品額は税込 660 なので免除)。
設例・基礎4
返品 X2年度 ── 差が解消し、消費税は対価の返還等 600
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4 ステップ3
ハルカ
X2年度に見込みどおり2個が返品されました。会計は返金負債と返品資産を取り崩すだけで、損益は出ないんですね。
先生
そう。法人税は返品した期に売上が 600、原価が 360 減るので、X1年度の加算・減算を取り崩す。減算 600・加算 360 で、別表五(一)の残高はゼロに戻るよ。消費税は、返品を売上げに係る対価の返還等として、X2年度の消費税額から 60 を控除するんだ。
迷いポイント 返品のたびに、返還インボイスを出す?
ハルカ
2個の返品でも、返還インボイスを作って渡さないといけませんか。
先生
原則は交付するんだけれど、この設例の返品額は税込 660 で、税込1万円未満の返還等は交付義務が免除されるんだ。金額を見てから判断するといいよ。
ハルカ
正直に言うと、「返品は会計で相殺して終わり」と、仕訳1本で片づけるつもりでした。
先生
会計は1本でも、法人税は加算と減算、消費税は返還等、と3か所で動くんだよ。
💡 そうだったのか!
返品した期に、法人税は
減算 600・加算 360 で差が解消。消費税は
対価の返還等 ▲600(税額 ▲60)で、税込1万円未満なら返還インボイスの交付は免除されます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「金額」のシミュレーションを開く(基礎4の数字)
- 右の「返品の見込み(個)」を 2 から 5 に変える
👀 会計の売上高は 14,400 → 13,500、返金負債 1,500・返品資産 900。法人税の益金は 15,000 のままで、加算 1,500・減算 900、別表五(一)の残高は 600。X2年度の対価の返還等は ▲1,500 になります。
ラボを開く ▶📝 ④編【設例・契約資産と債権編】(返金負債と消費税等の表示)記事を読む ▶
📘 設例・基礎2 ラボの画面
売掛金(現在価値) = 3,300 ÷ (1 + 2%)2 = 3,172
売上高 = 3,172 − 仮受消費税等 300 = 2,872
会計
X1年度:商品の引渡し(対価は 2年後に受取)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金(現在価値) | 3,172 | 売上高 | 2,872 |
| | 仮受消費税等 | 300 |
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)| 区分 | 課税標準 | 税額 |
|---|
| 課税売上げの対価(利息相当部分を含む) | 3,000 | 300 |
法人税:金銭の貸付けに準じた取引が含まれるので、利息相当部分を収益の額に含めないことができる(基通2-1-1の8)。
会計:重要な金融要素を含むので、約束した対価を現金販売価格(現在価値)に調整する(基準第56〜58項)。差額は受取利息。
法人税:金銭の貸付けに準じた取引が含まれると認められるので、利息相当部分を収益の額に含めないことができる(基通2-1-1の8)。
消費税:課税標準は対価の額 3,000。利息相当部分を含めた請求額で課税される。
設例・基礎2
金融要素 X1年度 ── 売上 2,872、消費税の課税標準は 3,000
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎2 ステップ2
ハルカ
2年後払いの重要な金融要素ですね。②編で、現金販売価格で売上を立てて差額は利息、と習いました。税込 3,300 を 2% で2年割り引くと 3,172 ですね。
先生
よく覚えていたね。売掛金 3,172 から仮受消費税等 300 を引いた 2,872 が売上高だよ。法人税は、金銭の貸付けに準じた取引が含まれるので、利息相当部分を収益に含めないことができる(基通2-1-1の8)。この設例はその扱いを選んでいるので「同左」だね。
迷いポイント 消費税の課税標準は、現在価値の 2,872?
ハルカ
売上が 2,872 なら、消費税もそれに 10% ですよね。
先生
課税標準は対価の額 3,000 なんだ。利息相当部分を含めた請求額で課税される。この利息相当額 128 は、契約上の利子ではなく会計上分離した金額だから、独立した非課税売上げにもならず、X2・X3年度の利息計上時に消費税の処理はないよ。
ハルカ
利息のようで利息ではない 128 は、消費税の世界では名前のない数字なんですね。
先生
名前はなくても、3,000 の中にちゃんと含まれているんだよ。
💡 そうだったのか!
金融要素があっても、消費税の課税標準は
対価の全額 3,000。会計上分離した利息相当額 128 は非課税売上げにはならず、利息計上時に消費税の処理はありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「金額」のシミュレーションを開く(基礎2の数字)
- 右の「支払までの年数」を 2 から 1 に変える
👀 売掛金の現在価値が 3,235、売上高は 2,872 → 2,935、受取利息は X2年度に 65 だけ。消費税の課税標準は 3,000・税額 300 で変わりません。
ラボを開く ▶
📘 設例・応用6 ラボの画面
法人税:益金 3,000 会計の売上高 2,872 → 加算 128(留保)
会計
X1年度:商品の引渡し(対価は 2年後に受取)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金(現在価値) | 3,172 | 売上高 | 2,872 |
| | 仮受消費税等 | 300 |
法人税
X1年度:法人税で経理したとみなす仕訳| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金 | 3,300 | 売上高 | 3,000 |
| | 仮受消費税等 | 300 |
別表四(留保)| 項目 | 加算 | 減算 |
|---|
| 利息相当部分の益金算入(販売時の時価 3,000 で計上) | 128 | |
消費税
消費税の計算(▲は返還等・課税仕入れ)| 区分 | 課税標準 | 税額 |
|---|
| 課税売上げの対価(利息相当部分を含む) | 3,000 | 300 |
法人税:利息相当部分を含めない扱いを選ばず、引渡し時の価額 3,000 を益金にする。差額は加算(留保)、以後の受取利息は減算。
含めない扱いは「できる」規定。選ばなければ、引渡し時の価額 3,000 が益金になる。
消費税は基礎2と同じ 3,000。
設例・応用6
含めない扱いを選ばない ── 引渡し時の価額 3,000 が益金、128 を加算
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用6 ステップ2
ハルカ
応用6は、利息相当部分を含めない扱いを選ばない場合ですね。「できる」規定だから、選ばないこともできる、と。
先生
そうだよ。選ばなければ、引渡し時の価額 3,000 が益金になる。会計の売上高 2,872 との差 128 を加算(留保)し、X2・X3年度の受取利息 63・65 は、X1年度に益金にした額の一部なので減算するんだ。合計 128 で加算と一致するよ。
迷いポイント 含めない扱いを選ぶかどうかで、消費税は変わる?
ハルカ
法人税で 3,000 を益金にするなら、消費税も何か変わりそうです。
先生
消費税は変わらないんだ。どちらの場合も課税標準は 3,000・税額 300。変わるのは法人税の年度配分だけで、含めない扱いを選べば会計と一致し、選ばなければ所得が前倒しになるんだよ。
💡 そうだったのか!
含めない扱いは「できる」規定。選ばなければ
所得が 128 前倒しになり、受取利息を減算して解消。消費税の課税標準は
どちらでも 3,000 です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「金額」のシミュレーションを開き、プリセット「応用6の数字(金融要素・含めない扱いを選ばない)」を選ぶ
- 右の「法人税:利息相当部分」を 「収益の額に含めない」 に戻す
👀 X1年度の加算 128 と X2・X3年度の減算 63・65 が消え、法人税の益金は 3,000 → 2,872。申告調整なしになり、消費税は 3,000 のままです。
ラボを開く ▶📝 ②編【設例・顧客への支払と金融要素編】(会計の割引計算)記事を読む ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて収益認識ラボ⑤の画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。
収益認識ラボ⑤を開く ▶今日のまとめ ── 設例ごとの結論
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。会計の取引価格、法人税の引渡し時の価額、消費税の収受すべき対価の額は、同じ取引でも別々に決まる。割戻しは3要件で法人税が会計に合わせ、返品は要件に関係なく織り込まない。金融要素は法人税が選択制で、消費税はどの設例でも請求額のまま。「いくら」を3回、別々に決める癖を持ち帰ってほしいんだ。
ハルカ
週末に実家に帰ったら、こむぎが私の膝の上で寝たまま動かなくて、2時間立てませんでした。その間ずっと今日の返品の設例を頭の中で回していたんですが、「会計は 14,400、法人税は 15,000、消費税も 15,000」と3回唱えると、こむぎが尻尾だけ動かすんです。
先生
猫の尻尾は別として、3回唱えるのはいい練習だよ。差の 600 がどこへ行くかまで言えれば完璧だね。
ハルカ
「返金負債は加算、返品資産は減算、消費税は請求額」まで唱えたら、こむぎは膝から降りてしまいました。長すぎたようです。
先生
猫には長くても、申告書にはちょうどいい長さだよ。設例編はこれで3本とも終わりだね。基礎編から読み返すと、3×3の表の色の意味がきっと違って見えるよ。
参考資料
法人税法第22条の2(第4項・第5項)、法人税法施行令第18条の2、法人税基本通達2-1-1の8(金銭の貸付けに準じた取引)・2-1-1の10(引渡し時の価額)・2-1-1の11(変動対価)、消費税法第28条・第38条、インボイスQ&A(返還インボイスの交付免除)、国税庁「収益認識基準による場合の取扱いの例」ケース2(金融要素)・ケース3(変動対価)・ケース4(返品)、企業会計基準第29号(第47〜58項)・適用指針第30号(第84〜89項)。ラボの設例は国税庁のケース2〜4と同じパターンを独自の数値(消費税率10%)で組み立てたものです。基準確認日:2026年10月7日。
サイト内の関連:【早見表】収益認識基準・適用指針/収益認識ラボ②【設例・変動対価と制限編】/収益認識ラボ②【設例・顧客への支払と金融要素編】
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・単位編(ポイント・消化仕入)/設例・時期編(商品券・入会金・工事)
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。