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飲食料品の消費税率引下げQ&A(国税庁・令和8年9月)を図で読む|2年間だけ「1%」になるときの17の論点

国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月、軽減税率・インボイス制度対応室)の17問を、①図解と解説 → ②先生とハルカの会話の2部構成で解説します。まず問ごとに結論と図で全体像をつかみ、根拠を文章で確かめたうえで、迷いやすい点を会話で腹落ちさせる、という順番で読めます。

⚠ このQ&Aは「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日閣議決定)の内容で、法案が国会で可決・成立した場合のものです。国税庁は今後も問の追加・改訂を予定しています。本記事の図と数値例はQ&Aの記載をもとにしています。

目次

①図解と解説で読む ── 17問を1問ずつ

17問を章ごとに上から順に並べています。各カードは 結論 → 図 → 解説 → 注意 → 根拠 の順。根拠チップは 改正案(今回のQ&A・大綱。法案成立が前提)と 現行法(すでにある条文・通達)を色で分けています。カード下の「💬 会話で読む」で、同じ論点の「②先生とハルカ」へ飛べます。

1章引下げの概要(問1-1〜1-6)

問1-1消費税率引下げと特例の全体像

結論令和9年4月1日〜令和11年3月31日の2年間、飲食料品の税率は8%から1%(国0.78%+地方0.22%)に。対象品目は今の軽減税率と同じ。
令和9年4月1日〜令和11年3月31日の2年間だけ、飲食料品の税率が 8% → 1% に〜R9.3.31 軽減税率 8%R9.4.1〜R11.3.31 税率 1%(国0.78%+地方0.22%)R11.4.1〜 8% に戻るR9.4.1R11.3.31令和9年1月1日前の契約などは「経過的な取扱い」で 8% のまま(問1-6)引下げに合わせて設けられる特例(本文の 3 章)問3-2課税事業者になる届出の特例問3-5簡易→一般課税の届出の特例問3-6簡易課税の計算方法の特例問3-8中間申告の特例問3-9総額表示義務の特例問1-6経過的な取扱い※ 対象となる「飲食料品」の範囲は、現在の軽減税率 8% の対象と同じ(問1-2)。週2回以上発行の定期購読の新聞は対象外(8%のまま)。
図:問1-1(Q&Aの記載をもとに作図)

対象は「飲食料品の譲渡」と「保税地域からの引取り」です。週2回以上発行される定期購読契約の新聞は対象外で、8%のままです。

引下げに合わせて、次の特例等が設けられます。いずれも「飲食料品の譲渡を行う事業者」が念頭に置かれています。

特例等要点問
経過的な取扱いR9.1.1前の定期供給契約・通信販売の条件提示に基づく一定の譲渡は8%のまま(1%前提の契約等を除く)問1-6
課税事業者選択届出の特例R9.4.1の属する課税期間中の届出で、その課税期間から課税事業者になれる問3-2
簡易課税選択不適用届出の特例R9.4.1の属する課税期間中の届出で、その課税期間から一般課税。2年継続要件も適用しない問3-5
簡易課税の計算方法の特例飲食料品(1%)の売上税額と同額を仕入税額とみなす(業種区分を問わない)問3-6・3-7
中間申告の特例前期の飲食料品に1%(終了時は8%)が適用されたものとした税額で仮決算による中間申告ができる問3-8
総額表示義務の特例税率変更の前後2か月ずつ、困難な事情と誤認防止措置を条件に他方の税率での総額表示を認める問3-9
注意この内容は大綱(令和8年9月15日閣議決定)に基づくもので、法案の成立が前提です。国税庁は今後も問の追加・改訂を予定しています。
改正案:Q&A 問1-1改正案:大綱 R8.9.15💬 会話で読む

問1-2税率1%の対象となる「飲食料品」の範囲

結論税率1%の対象は、令和9年3月31日以前に軽減税率8%の対象となっている飲食料品と同じ範囲。新しい線引きは不要。
税率1%の対象=今の軽減税率8%の対象と同じ範囲税率 1% の対象(飲食料品の譲渡・保税地域からの引取り)飲食料品(人の飲用又は食用に供されるもの)テイクアウト出前・宅配一体資産(一定の要件を満たすもの)有料老人ホーム等での飲食料品の提供(一定のもの)※ 個別の品目は「軽減税率制度Q&A(個別事例編)」で判定対象外(標準税率 10%)酒類外食(店内飲食)ケータリング・出張料理等医薬品・医薬部外品等据置き(8% のまま)週2回以上発行・定期購読契約の新聞
図:問1-2(Q&Aの記載をもとに作図)

酒類、外食、ケータリング、医薬品・医薬部外品等は従来どおり標準税率10%です。テイクアウト・出前、一定の一体資産、有料老人ホーム等での一定の飲食料品の提供は対象です。

参照個別品目の判定は、既存の「軽減税率制度Q&A(個別事例編)」がそのまま使えます。
改正案:Q&A 問1-2💬 会話で読む

問1-3引下げの適用時期と、深夜営業の締め時刻

結論1%は「令和9年4月1日以後に行う飲食料品の譲渡」から。継続して午前1時締めで3/31分に計上する店なら、4/1の0〜1時の譲渡はすべて8%で差し支えない。
いつから1%? ── 4月1日以後に「行う」譲渡から。日々の締め時刻が0時でない店の扱い3月31日の営業(9:00〜) 税率 8%0〜1時4月1日 9:00〜 税率 1%4/1 0:004/1 9:00 開店1:00 閉店・締め継続して「午前1時締め」で 3/31 分の売上に計上している店なら→ 0〜1時の飲食料品の譲渡は すべて 8% で差し支えない(注1) 3/31 までに結んだ契約でも、4/1 以後に行う譲渡は原則 1%(経過的な取扱いの対象を除く)(注2) 3/31 までに仕入れた飲食料品(8%)は、4/1 以後に売っても仕入側は 8% のまま
図:問1-3(Q&Aの記載をもとに作図)

営業時間が午前9時〜翌1時で、日々の売上を午前1時で締めて集計している事業者の例です。事業者が継続して適用している売上計上基準に従って3月31日分の売上として計上する場合、その時間帯の飲食料品の譲渡は3月31日時点の税率(8%)を適用して差し支えないとされています。

注意
  • 3月31日までに締結した契約に基づく譲渡・仕入れでも、4月1日以後に行われるものは、経過的な取扱い(問1-6)の対象を除き1%です。
  • 3月31日までに行った仕入れ(8%)は、その商品を4月以後に販売しても8%のままです。
改正案:Q&A 問1-3💬 会話で読む

問1-4売り手と買い手で計上基準が違うとき

結論買い手は、売り手が適用した税率(インボイスの記載)に基づいて仕入税額控除を行う。自社の計上日が4月でも、1%に引き直さない。
売り手と買い手で計上基準が違うとき ── 買い手はインボイスの税率に従う3/30 出荷R9.4.14/2 納品・検収売り手(出荷基準)3/30 に出荷 → 3月の売上として計上インボイスは 税率 8%・消費税額も 8% で記載買い手(検収基準)4/2 に検収 → 4月の仕入として計上仕入税額控除も 売り手が適用した 8% で計算請求書※ 区分記載請求書で税込価額はあるが税率(8%か1%か)が分からない → 相手方に確認して判断
図:問1-4(Q&Aの記載をもとに作図)

売り手が出荷基準(出荷3月30日・8%で請求)、買い手が検収基準(納品4月2日)の例です。インボイス制度の下では、買い手はインボイス等に記載された税率・消費税額等に基づいて仕入控除税額を計算するため、この場合は8%で控除します。

補足区分記載請求書等で税込価額はあるものの税率(8%か1%か)が明らかでないときは、取引の相手方に確認した上で判断します。
改正案:Q&A 問1-4💬 会話で読む

問1-53月に売った商品の、4月以後の返品

結論3月31日以前に売った飲食料品(8%)が4月1日以後に返品された場合、8%で「売上げに係る対価の返還等に係る消費税額」を計算する。
3月に売った商品が4月に返ってきたら? ── 売ったときの 8% で対価の返還を計算3月 販売(8%)R9.4.14月 返品・返金売上(3月)飲食料品 10,800円(8%税込・税800円)売上に係る対価の返還(4月)返還税額は 800円(8%)で計算(返金時の 1% では計算しない)※ 3月までの売掛金(8%対象)が 4月以後に貸倒れになった場合も同じ(8% で貸倒れの税額を計算)
図:問1-5(Q&Aの記載をもとに作図)

見るのは「いつ返されたか」ではなく「いつ・何%で売ったか」です。3月31日以前の販売に係る売掛金等が4月1日以後に貸倒れとなった場合も同様に8%で計算します。

改正案:Q&A 問1-5💬 会話で読む

問1-6経過的な取扱い(定期供給契約・通信販売)

結論令和9年1月1日前の契約・条件提示に基づく一定の譲渡は、4月1日以後でも8%のまま。選択適用ではなく、要件を満たせば8%になる。ただし「1%を前提とする契約等」や「契約等の変更」があれば1%。
🔀 図を切替(3場面):
⑴ 定期供給契約 ── 3つの日付がそろえば 8%(選択ではなく、必ず 8%)R9.1.1R9.4.1R11.3.31定期供給(領収済みの部分)→ 税率 8%契約(8%)対価の領収① R9.1.1 前に契約② R9.4.1 前に代金を領収③ R9.4.1 以後に供給(領収済みの部分)例:代金を先払いしておくと季節の食材が毎月届く「定期便」「不特定かつ多数の者に、週・月・年などの周期でおおむね規則的に供給する」契約が対象ただし「税率 1% を前提とする契約」は除く(→ タブ⑵)
図:問1-6(Q&Aの記載をもとに作図)
区分8%になる要件1%になる例
⑴ 定期供給契約R9.1.1前に締結した定期供給契約(不特定多数の者に週・月・年などの周期でおおむね規則的に供給)に基づき、R9.4.1前に対価を領収している、同日以後の飲食料品の譲渡(領収済み部分に限る)契約に「R9.4.1以後の販売は1%による」「R9.4から月額10,100円(1%税込)」等の定めがある/R9.1.1以後に契約金額を変更する契約を締結
⑵ 通信販売R9.1.1前に販売条件の提示(新聞・テレビ・チラシ・カタログ・ネット等の媒体。訪問面談は含まない)が行われ、R9.4.1前に申込み(ネットや口座払込みを含む。訪問面談は含まない)を受けた、同日以後の飲食料品の譲渡販売条件に「1%へ変更された場合は10,100円」等、1%前提の提示をしている
補足
  • 「販売条件の提示」には、カタログ等の印刷物の作成が完了するなど「いつでも提示できる状態」にある場合も含まれます。
  • 所得税法上の現金主義の小規模事業者(消法18①)や国・地方公共団体等(消法60②③、消令74①②)について、資産の譲渡等の時期の特例によりR9.4.1以後に行われたとされるR9.4.1前の譲渡も8%です。
改正案:Q&A 問1-6現行法:消法18①・60②③現行法:消令74①②💬 会話で読む

2章インボイスとの関係(問2-1・2-2)

問2-1税率1%の取引に係るインボイス・帳簿の記載

結論変わるのは「適用税率1%」と「1%で計算した消費税額」だけ。「軽減税率の対象品目である旨」(*印など)はそのままでよく、「1%対象である旨」を新たに書く必要はない。
インボイスの記載 ── 変わるのは「適用税率 1%」と「1%で計算した消費税額」だけ請 求 書㈱○○ 御中▲▲㈱ 登録番号 T01234…令和9年4月分 51,400円4/8魚 *5,000円4/15タオルセット2,000円合 計 50,000円消費税 1,400円1% 対象 40,000円消費税 400円10% 対象 10,000円消費税 1,000円* 軽減税率対象変わるところ④ 税率ごとの対価の額と適用税率 → 「1%」⑤ 税率ごとの消費税額 → 1% で計算した額(例:40,000円 × 1% = 400円)変わらないところ③ 「軽減税率の対象品目である旨」(*印など)→ 1% 対象品は軽減税率対象なので、「税率1%の対象である旨」を新たに書く必要はない帳簿の記載事項・簡易インボイスの扱いも変更なし
図:問2-1(Q&Aの記載をもとに作図)

税率1%の対象である飲食料品は、軽減税率の対象品目でもあります。そのため「軽減税率の対象品目である旨」を記載すれば足りるとされています。

インボイスの記載事項(消法57の4①)は、①発行事業者の氏名・名称と登録番号、②取引年月日、③取引内容(軽減税率対象である旨)、④税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率、⑤税率ごとに区分した消費税額等、⑥交付を受ける事業者の氏名・名称です。変わるのは④と⑤の中身だけです。

補足小売業・飲食店業等の簡易インボイス(消法57の4②、消令70の11)の扱い、帳簿の記載事項(売上:消法58・消令71①・消規27①一/仕入:消法30⑧一)にも変更はありません。
改正案:Q&A 問2-1現行法:消法57の4①②・58・30⑧一💬 会話で読む

問2-28%と1%が混在する請求書(15日締めなど)

結論3月分と4月分で請求書を分ける(方法A)か、1枚の中で区分して3税率で合計する(方法B)か、どちらでも作れる。
🔀 図を切替(2場面):
方法A 3月までの取引と4月以後の取引で、請求書を分けて発行する請求書 令和9年3月分(3/16〜3/31)65,200円3/17 豚肉 *3,000円3/21 しょうゆ *2,000円……合計 60,000円消費税 5,200円8% 対象 40,000円消費税 3,200円10% 対象 20,000円消費税 2,000円* 軽減税率対象請求書 令和9年4月分(4/1〜4/15)53,200円4/1 魚 *5,000円4/2 タオルセット2,000円……合計 50,000円消費税 3,200円1% 対象 20,000円消費税 200円10% 対象 30,000円消費税 3,000円* 軽減税率対象※ 15日締めなど、請求期間が R9.4.1 をまたぐ事業者の例。税率ごとに区分して合計した対価の額と消費税額が書かれていればよい
図:問2-2(Q&Aの記載をもとに作図)

毎月15日締めの卸売業者の令和9年4月分請求書(3/16〜4/15)には、3月分(8%・10%)と4月分(1%・10%)が混在します。方法Bでは、3月分小計・4月分小計を分けた上で、末尾に1%・8%・10%の3区分ごとに対価の額と消費税額を書きます。

いずれも、税率ごとに区分した対価の額・適用税率・消費税額等が読み取れることが要点です。

改正案:Q&A 問2-2💬 会話で読む

3章特例(問3-1〜3-9)

問3-1免税事業者が還付を受けるための手続

結論免税事業者は仕入税額控除も還付もできない。還付を受けるには、まず課税事業者になる(手続自体は現行制度のまま)。
免税事業者が還付を受けるには ── まず「課税事業者」になる必要がある免税事業者基準期間の課税売上高1,000万円以下納税義務なし=仕入税額控除も還付もできない(消法9①)ルートA 課税事業者選択届出書→ 問3-2 の特例で R9 年中の提出でOKルートB インボイス登録の経過措置→ 問3-4。登録希望日から課税事業者課税事業者 → 確定申告売上税額(飲食料品 1%)< 仕入税額(仕入は 10%・8% が多い)→ 差額が還付される(消法45①)注意:簡易課税を選んでいる事業者も還付は受けられない → 一般課税へ(問3-5)課税事業者を選ぶと原則2年は戻れない(調整対象固定資産を仕入れると3年)免税→課税の期首に持つ棚卸資産の税額は控除対象にできる(消法36①②。明細書の保存が必要)
図:問3-1(Q&Aの記載をもとに作図)

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者(消法9①)は、納税義務が免除される代わりに、仕入れに係る消費税額の控除も還付も受けられません。

課税事業者になる方法は2つです。①「消費税課税事業者選択届出書」の提出(原則は課税期間の初日の前日まで。今回、問3-2の特例あり)、②インボイス発行事業者の登録に係る経過措置(問3-4)。課税事業者になれば、課税期間ごとの確定申告で、売上税額よりインボイスに基づく仕入税額が多ければ差額が還付されます(消法45①)。

注意簡易課税の適用を受けている事業者も還付は受けられません。一般課税への変更(問3-5)が必要です。
改正案:Q&A 問3-1現行法:消法9①④・45①💬 会話で読む

問3-2免税→課税事業者になる届出の特例

結論原則「前の課税期間の末日まで」の届出が、令和9年4月1日の属する課税期間中でよくなる。届出書の「参考事項」欄に「飲食料品特例」と記載。
届出の特例 ── 「前年末まで」が「令和9年4月1日の属する課税期間中」に(個人・12月決算法人の例)原則令和8年(免税)令和9年 課税事業者R8.12.31 までに届出特例令和8年(免税)1〜3月 8%4月〜 1% (R9.4.1 税率引下げ)R9 年中に届出 → R9.1.1 から課税事業者届出書:「適用開始課税期間」欄に R9.4.1 の属する課税期間、「参考事項」欄に「飲食料品特例」法案成立後は R9.4.1 前でも提出できる予定やめる令和9年 課令和10年 課令和11年 免R10 年中に「選択不適用届出書」(2年経過後)※ 1〜3月の飲食料品の売上は 8% で申告することになる税率引下げの期間と申告期間を合わせたいなら 問3-4(インボイス登録)+問3-3(課税期間の短縮)
図:問3-2(Q&Aの記載をもとに作図)

原則では、課税事業者を選択しようとする課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります(消法9④)。特例では、飲食料品の譲渡を行う免税事業者がR9.4.1の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から課税事業者になれます。「適用開始課税期間」欄にはR9.4.1の属する課税期間を書きます。法案成立後はR9.4.1前でも提出できる予定です。

個人事業者・12月決算法人の場合、課税事業者になるのは令和9年1月1日からです。1〜3月の飲食料品の譲渡は8%で申告することになります(令和11年も続ける場合、4〜12月も8%)。

やめるとき

選択後は原則2年間継続が必要です。やめるには、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出します(消法9⑤⑥⑧)。例ではR10年中に提出すればR11年から免税に戻れます。課税期間の特例(問3-3)を併用し、税率引下げが終了するR11.3.31までに提出する方法も示されています。

注意
  • 課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間中に、調整対象固定資産(100万円(税抜き)以上の棚卸資産以外の固定資産)の課税仕入れ等を行い一般課税で申告すると、その課税期間の初日から原則3年間は免税に戻れません(消法9⑦)。高額特定資産(1,000万円(税抜き)以上の棚卸資産又は調整対象固定資産)も同様です(消法12の4①②)。
  • 免税→課税の切替えの期首に持つ棚卸資産のうち免税期間中の仕入れに係るものは、課税事業者となった課税期間の仕入税額控除の対象とみなされます(明細書の保存が必要、消法36①②)。逆に課税→免税のときは、直前の課税期間に仕入れた棚卸資産の税額を控除に含めません(消法36⑤)。
改正案:Q&A 問3-2現行法:消法9④〜⑧・12の4・36💬 会話で読む

問3-3課税期間を短縮して早く還付を受ける手続

結論課税期間は3か月ごと・1か月ごとに短縮できる(消法19①)。短縮に係る課税期間の初日の前日までに「消費税課税期間特例選択届出書」を提出。制度自体に変更はない。
課税期間の特例 ── 1年を3か月ごと・1か月ごとに区切ると、申告(=還付)が早まる原則1年(暦年・事業年度)=1つの課税期間 → 申告は年1回3か月1〜3月 申告4〜6月 申告7〜9月 申告10〜12月 申告1か月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月手続:短縮する課税期間の初日の前日までに「消費税課税期間特例選択届出書」(消法19①)。やめるときは不適用届出書。2年間は継続例:個人事業者が R9.3.31 に「3か月ごと」の届出書を提出 → R9 の 1〜3月が1つの課税期間とみなされ、4月以後は3か月ごと※ 課税期間を短縮している事業者は中間申告が不要(問3-8)。この制度自体に今回の変更はない
図:問3-3(Q&Aの記載をもとに作図)

個人なら1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月(または各月)、法人なら事業年度の初日から3か月(1か月)ごとの各期間が1つの課税期間になります。年や事業年度の途中から適用する場合、初日から適用開始日の前日までが1つの課税期間とみなされます(R9.3.31に届出→1〜3月が1つの課税期間)。

注意やめるには不適用届出書が必要で、事業廃止を除き2年間はやめられません(消法19③⑤)。課税期間を短縮している事業者は中間申告が不要です(問3-8)。
改正案:Q&A 問3-3現行法:消法19①③⑤💬 会話で読む

問3-4インボイス登録の経過措置で、4月1日からだけ課税事業者になる

結論R9.3.17までに登録希望日をR9.4.1とした登録申請書を出せば、4月1日から課税事業者。1〜3月の取引は申告の対象外。「課税事業者選択届出書」は不要。
4月1日からだけ課税事業者になる方法 ── インボイス登録の経過措置(登録希望日を R9.4.1 に)R91〜3月 免税事業者4/1 登録日〜 インボイス発行事業者=課税事業者(1%で申告)R9.3.17 までに登録申請書(登録希望日 4/1)1〜3月の取引は申告の対象外4月以後の取引だけ申告 → 還付「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要(28年改正法附則44④)。ただしインボイスの交付義務が生じる縛りR9(4/1〜)R10 課R11 課※R12 免※ 登録日以後2年を経過する日(R11.3.31)の属する課税期間(R11)までは免税に戻れない(附則44⑤)R12 から免税に戻るなら R11.12.17 までに登録取消届出書併用R9(4/1〜)R10 課〜3/31R11.4.1〜 免税課税期間の特例(問3-3)を選び、R11.3.17 までに登録取消届出書・R11.3.31 までに課税期間特例選択届出書→ 税率引下げの終了(R11.3.31)と同時に免税へ
図:問3-4(Q&Aの記載をもとに作図)

令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に登録を受ける場合、登録申請書に登録希望日(提出日から15日以後の日)を記載すれば、その登録希望日から課税事業者になる経過措置があります(28年改正法附則44④、30年改正令附則15②、消基通21-1-1)。

注意
  • 登録日の属する課税期間の翌課税期間から、登録日以後2年を経過する日(R11.3.31)の属する課税期間(R11)までは免税に戻れません(附則44⑤)。R12から戻るには、R11.12.17までに「登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します(15日前の日は提出期限ではないため、土日祝でも翌日に延びません)。
  • 登録を受けると、課税事業者である取引先の求めに応じてインボイスを交付する義務が生じます(消法57の4①)。
併用課税期間の特例(問3-3)を併用し、R11.3.17までに取消届出書・R11.3.31までに課税期間特例選択届出書を出せば、税率引下げの終了と同時にR11.4.1から免税に戻ることもできます。
比較(個人事業者)A 課税事業者選択届出書(問3-2)B インボイス登録の経過措置(問3-4)
課税事業者になる日R9.1.1(1〜3月は8%で申告)R9.4.1(登録希望日。1〜3月は申告対象外)
免税に戻れない期間(原則)R9.1.1〜R10.12.31R9.4.1〜R11.12.31(課税期間特例の併用でR11.3.31まで)
戻る手続R10年中に選択不適用届出書R11.12.17までに登録取消届出書
インボイスの交付義務なしあり
改正案:Q&A 問3-4現行法:28年改正法附則44④⑤現行法:消基通21-1-1💬 会話で読む

問3-5簡易課税→一般課税になる届出の特例

結論「前の課税期間末まで」の届出期限と「2年間の継続適用要件」の2つが、令和9年4月1日の属する課税期間に限って外れる。「参考事項」欄に「飲食料品特例」と記載。
簡易課税をやめて一般課税に ── 「前年末まで」と「2年継続」の2つの壁が R9 だけ外れる原則令和8年 簡易令和9年 簡易(2年継続)令和10年 一般R9.12.31 までに不適用届出書選択届出書の効力が生じた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でないと不適用届出書を出せない(消法37⑥)特例令和8年 簡易1〜3月令和9年 一般課税で申告(4/1 引下げ)R9 年中に不適用届出書 → R9 分から一般課税・飲食料品の譲渡を行う事業者に限る。R9.4.1 の属する課税期間は「2年間の継続適用要件」も適用しない・届出書の「適用開始課税期間」欄に R9.4.1 の属する課税期間、「参考事項」欄に「飲食料品特例」と記載・すでに簡易課税で仮決算の中間申告書を出していても、一般課税でやり直す必要はない
図:問3-5(Q&Aの記載をもとに作図)

原則では、簡易課税をやめる課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出し(消法37⑤⑦)、しかも選択届出書の効力が生じた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できません(消法37⑥)。

特例では、飲食料品の譲渡を行い簡易課税の適用を受けている事業者が、R9.4.1の属する課税期間中に不適用届出書を提出すれば、その課税期間から一般課税で申告できます。

補足すでに簡易課税で仮決算による中間申告書(消法43)を提出していても、一般課税でやり直す必要はありません。
改正案:Q&A 問3-5現行法:消法37⑤〜⑦💬 会話で読む

問3-6簡易課税制度の計算方法の特例

結論飲食料品(1%)の売上税額は、業種区分にかかわらず同額を仕入税額とみなす。それ以外の売上税額にみなし仕入率を乗じた額との合計を控除する。
簡易課税の計算特例 ── 飲食料品(1%)の売上税額は「同額を仕入税額」とみなす(業種区分を問わない)売上げに係る税額飲食料品の小売(第2種)2,000万円 → 税 20万円雑貨などの小売(第2種・80%)300万円 → 税 30万円イートイン・外食(第4種・60%)100万円 → 税 10万円売上税額 合計 60万円仕入れに係る税額(控除額)売上税額と同額 → 20万円(みなし仕入率を使わない)30万円 × 80% = 24万円10万円 × 60% = 6万円仕入税額 合計 50万円納付税額60万 − 50万 = 10万円※ 税額には地方消費税を含む。2割特例・3割特例を適用する場合も、飲食料品部分は同じ扱い
図:問3-6(Q&Aの記載をもとに作図)

簡易課税は、売上に係る消費税額に業種区分ごとのみなし仕入率(第1種90%〜第6種40%)を乗じた額を仕入税額とみなす制度です(消法37①、基準期間の課税売上高5,000万円以下)。2割特例・3割特例を適用する場合も同じ扱いです。

売上(税率)売上税額仕入税額(控除)
飲食料品の小売 2,000万円(1%・第2種)20万円20万円(同額)
雑貨などの小売 300万円(10%・第2種80%)30万円24万円
イートイン・外食 100万円(10%・第4種60%)10万円6万円
合計60万円50万円 → 納付税額10万円
改正案:Q&A 問3-6(税額には地方消費税を含む)現行法:消法37①現行法:28年改正法附則51の2・51の3💬 会話で読む

問3-775%ルールの判定・計算との関係

結論計算方法の特例を使う場合、75%ルールの判定も計算も、飲食料品(1%対象)を除いて行う。
75%ルールの判定 ── 飲食料品(1%)の売上を「除いて」判定・計算する課税売上(全体 3,500万円)飲食料品の小売 2,500万円(税25万円)雑貨 800万外食200判定(飲食料品を除く 1,000万円が分母)除外(1% 対象)雑貨 800万(80%)外食800 ÷ 1,000 = 80% ≧ 75%→ 雑貨(第2種)のみなし仕入率 80% を「飲食料品以外の課税売上 1,000万円(税100万円)」全体に適用できる仕入税額 = 飲食料品 25万円(同額)+ 100万円 × 80% = 80万円 → 合計 105万円※ 2種類以上なら1種で75%以上、3種類以上なら2種合計で75%以上(消法37①、消令57③)。判定からも計算からも飲食料品を外す
図:問3-7(Q&Aの記載をもとに作図)

2種類以上の事業を営み1種類の課税売上高が全体の75%以上なら、その事業のみなし仕入率を全体に適用できます。3種類以上で特定の2種類の合計が75%以上なら、高い方の率をその事業に、低い方の率をそれ以外に適用できます(消法37①、消令57③)。

例では、飲食料品の小売2,500万円を除き、雑貨800万円÷1,000万円=80%≧75%。雑貨(第2種)の80%を、飲食料品以外の課税売上1,000万円(税100万円)に乗じて仕入控除税額を計算できます。

改正案:Q&A 問3-7現行法:消法37①現行法:消令57③💬 会話で読む

問3-8中間申告制度の特例

結論前期(8%ベース)の税額で中間納付すると過大になりやすい。そこで、前期の飲食料品に1%が適用されたものとした税額で、仮決算による中間申告ができる(終了時は逆に8%)。
中間申告の特例 ── 前期の飲食料品に「1%が適用されていたら」の税額で中間申告できる直前課税期間(令和9年3月期)の実績売上高(税額)仕入高(税額)飲食料品3,000万(240万)2,000万(160万)それ以外2,000万(200万)1,400万(140万)消費税額 = (240+200) − (160+140) = 140万円原則の中間申告140万 × 1/2 = 70万円前期の 8% ベース→ 過大になりやすい特例:飲食料品を 1% で再計算飲食料品 売上税額 30万     仕入税額 20万それ以外 200万 − 140万消費税額 = 10 + 60 = 70万円中間申告 70万 × 1/2 = 35万円・R9.4.1 以後に開始する中間申告対象期間から。仮決算による中間申告書だが、付表は不要で第一表のみ(⑪・㉒・㉖欄だけ記載)・回数は前期の税額に応じた回数(年1・3・11回)のまま。税務署から届く「中間申告書兼納付書」は使わない。期限後は不可・終了時(R11.4.1 以後)は逆に、前期の飲食料品に「8%が適用されていたら」の税額で中間申告できる
図:問3-8(Q&Aの記載をもとに作図)

直前課税期間の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円超の事業者は、その額に応じて年1回(1/2)・3回(1/4)・11回(1/12)の中間申告が必要です(消法42)。課税期間の特例を適用している事業者は不要です。

⑴R9.4.1以後に開始する中間申告対象期間では、直前課税期間の飲食料品の譲渡・課税仕入れに1%が適用されたものとした消費税額に基づく中間申告税額(国・地方。税額がなければゼロ)を記載した仮決算による中間申告書を提出できます。⑵R11.4.1以後に開始する中間申告対象期間では、逆に8%が適用されたものとして計算できます。

手続通常の仮決算による中間申告(消法43④)と異なり付表は不要で、申告書第一表のみ(⑪納付税額・㉒納付譲渡割額・㉖合計税額の欄だけ記載)で差し支えありません。税務署から送付される「中間申告書兼納付書」は使いません。
注意
  • 中間申告書を期限までに提出しないと原則額で提出したものとみなされるため、仮決算による中間申告書を期限後に提出することはできません。
  • 簡易課税の事業者は、⑴では計算方法の特例(問3-6)を用い、⑵では用いません。
  • 確定申告が還付になる見込みなら、課税期間の特例(問3-3)の活用も選択肢です。
改正案:Q&A 問3-8現行法:消法42・43💬 会話で読む

問3-9飲食料品の総額表示義務の特例

結論R9.4.1〜5.31・R11.2.1〜3.31(本来1%)は8%の税込表示を、R9.2.1〜3.31・R11.4.1〜5.31(本来8%)は1%の税込表示をしてよい。条件は「困難な事情」+「誤認防止措置」。
総額表示義務の特例 ── 税率が変わる前後 2か月ずつ、「本来と違う税率の税込価格」を表示してよい適用税率 8%適用税率 1%適用税率 8%R9.4.1R11.4.1①②③④R9.2.1R9.5.31R11.2.1R11.5.31① R9.2.1〜3.31 ④ R11.4.1〜5.31(本来 8% の期間に)1% での税込表示も可例:先に 1% の値札へ貼り替えておく② R9.4.1〜5.31 ③ R11.2.1〜3.31(本来 1% の期間に)8% での税込表示も可例:夜間の貼り替えが間に合わない棚をそのまま条件:①「直ちに対応できない困難な事情」(夜間の貼替えが無理・パッケージに価格印字 等)+ ②誤認防止措置(棚やレジ付近の掲示、値札の色分け・シール等)税抜価格のみ・「+税」だけの表示は引き続き不可。随時貼り替えているのに 8% 表示を続けるのは「困難な事情」に当たらない
図:問3-9(Q&Aの記載をもとに作図)

消費者向けにあらかじめ価格を表示する事業者(免税事業者を除く)は、税込価格の表示が必要です(消法63、消基通18-1-7・18-1-8)。値札の貼り替え等の事務負担に配慮して、この特例が設けられます。

「困難な事情」とは、夜間の値札の貼り替え作業に対応できない、カタログや商品パッケージ自体に価格が印字されている、といった事情です。誤認防止措置の例として、棚の近くに「この棚の商品は税率8%に基づく税込価格で表示しています。レジでは税率1%で精算いたします」と掲示する方法や、1%表示の値札に「(1%)」と明記する・色を変える・シールを貼る等で区別した上で店内に説明を掲示する方法が示されています。

注意
  • 随時貼り替えているのに8%表示を続けるような場合は「困難な事情」に当たりません。
  • 税抜価格のみ・「+税」のみの表示は引き続き認められません。
参照イートインと持ち帰りを併用する店の価格表示は、軽減税率制度Q&A(個別事例編)問121。
改正案:Q&A 問3-9現行法:消法63現行法:消基通18-1-7・18-1-8💬 会話で読む

②先生とハルカ ── 迷いポイントを会話で

「質問 → 図の読み方 → 🤔迷いポイント → 正解と理由 → 💡そうだったのか」の順で、つまずきやすいところを会話で確かめます。各節の頭に図を再掲しているので、図を見ながら読み進めてください。

ハルカ(事業会社の経理担当。単体決算はひととおり経験、税務の改正対応は勉強中)が、ギフト用のお菓子も扱う自社の経理の立場で、国税庁Q&Aの17問を先生と一緒に読みます。各節の頭に「①図解と解説」の図を再掲しているので、図を見ながら会話を追ってください。

📓 HARUKA’S NOTEBOOKハルカの学習ノートを見るこれまでに学んだ論点の「迷いポイント」をまとめて読める▶
① 問1-1〜1-3

2年間だけ「1%」── いつから、何が、どこまで

📊 図の再掲:問1-1 概要マップ図解カードへ ▲
令和9年4月1日〜令和11年3月31日の2年間だけ、飲食料品の税率が 8% → 1% に〜R9.3.31 軽減税率 8%R9.4.1〜R11.3.31 税率 1%(国0.78%+地方0.22%)R11.4.1〜 8% に戻るR9.4.1R11.3.31令和9年1月1日前の契約などは「経過的な取扱い」で 8% のまま(問1-6)引下げに合わせて設けられる特例(本文の 3 章)問3-2課税事業者になる届出の特例問3-5簡易→一般課税の届出の特例問3-6簡易課税の計算方法の特例問3-8中間申告の特例問3-9総額表示義務の特例問1-6経過的な取扱い※ 対象となる「飲食料品」の範囲は、現在の軽減税率 8% の対象と同じ(問1-2)。週2回以上発行の定期購読の新聞は対象外(8%のまま)。
ハル
ハルカ先生、飲食料品の消費税が1%になるって本当ですか。うちの会社、ギフト用のお菓子も扱っているので、経理としては他人事ではなくて。
先生
先生本当だよ。ただし条件つきでね。上の図の黄色い帯を見てほしい。令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡の税率が8%から1%に下がるんだ。国が0.78%、地方が0.22%で合わせて1%。法案が成立したら、という前提つきの話だよ。
ハル
ハルカ対象の「飲食料品」は、また新しく線引きを覚えないといけないんでしょうか。軽減税率のときに社内マニュアルを作ったのを思い出して、少し身構えています。
先生
先生そこは安心していいよ。問1-2によると、1%の対象は今の軽減税率8%の対象とまったく同じ範囲なんだ。酒類・外食・ケータリングは10%のまま、テイクアウトや一体資産は対象のまま。飲食料品の判定部分は今のマニュアルがそのまま使える。ただし定期購読の新聞は8%のままだから、「8%」を機械的に全部1%に置き換えるのではなく、新聞だけは8%に残す必要があるんだよ。
🤔 迷いポイント:「4月1日から1%」と聞いたとき、夜中の0時をまたぐ売上はどちらの税率で処理すればいいのでしょうか?
ハル
ハルカうちの直営店は深夜1時まで営業なので、4月1日の0時から1時までの売上は……時計どおり1%にするのが正しい、と思います。
先生
先生時計どおりなら、たしかにそうなるね。でも問1-3は少し柔らかいんだ。継続して「午前1時締め」で3月31日分の売上に計上している店なら、0〜1時の飲食料品の譲渡はすべて8%で差し支えないとされているよ。日々の締めの基準を、税率のためだけに崩さなくていいということなんだ。
ハル
ハルカ2年間限定と聞いて、正直、スーパーの特売みたいに「期間中にまとめ買いしておこう」と計画を立て始めていました。
先生
先生まとめ買いより先に、期間の両端の処理を押さえておこうか。2年後には8%に戻るから、終わるときにも同じ論点がもう一度来るんだよ。
💡 そうだったのか! 1%の範囲は軽減税率8%と同じで、新しい線引きは不要。切替えの瞬間は「継続している締めの基準」が尊重され、深夜1時締めなら0〜1時は8%でよい。
🗂 実務でやること 社内の軽減税率マニュアルの税率欄に「R9.4.1〜R11.3.31は1%」を追記。深夜営業店は締め時刻の運用を文書で確認しておく。
② 問1-4〜1-6

4月1日をまたぐ取引 ── 検収・返品・定期便はどうなる

📊 図の再掲:問1-6 経過的な取扱い(定期供給契約)図解カードへ ▲(1%になるケース・通信販売のタブも)
⑴ 定期供給契約 ── 3つの日付がそろえば 8%(選択ではなく、必ず 8%)R9.1.1R9.4.1R11.3.31定期供給(領収済みの部分)→ 税率 8%契約(8%)対価の領収① R9.1.1 前に契約② R9.4.1 前に代金を領収③ R9.4.1 以後に供給(領収済みの部分)例:代金を先払いしておくと季節の食材が毎月届く「定期便」「不特定かつ多数の者に、週・月・年などの周期でおおむね規則的に供給する」契約が対象ただし「税率 1% を前提とする契約」は除く(→ タブ⑵)
ハル
ハルカうちは検収基準で仕入を計上しています。取引先が3月30日に出荷して8%で請求してきて、うちの納品が4月2日だった場合、仕入の計上は4月だから、1%に直して控除するんですよね。
先生
先生そこが問1-4の肝なんだ。買い手は売り手が適用した税率に基づいて仕入税額控除をするんだよ。インボイスに8%と書いてあれば8%で控除する。自社の計上日が4月でも、1%に引き直す必要はないんだ。
ハル
ハルカでは返品はどうでしょう。3月に売ったギフトが4月に返ってきて返金する場合、返金のときの税率1%で「対価の返還」を計算する、で合っていますか。
先生
先生それが、そうではないのだよ。問1-5では、3月に8%で売ったものの返品は8%で対価の返還等の税額を計算するとされている。売掛金の貸倒れも同じ考え方だよ。
ハル
ハルカ商品は4月に帰ってきても、税率は3月に置いてきたままなんですね。
先生
先生うまい言い方だね。税率は「いつ返したか」ではなく「いつ・何%で売ったか」についていくんだよ。
🤔 迷いポイント:うちの「毎月お菓子が届く定期便」は、4月以後の配送も8%のままにできるのでしょうか? それとも1%にしなければいけないのでしょうか?
ハル
ハルカ過去の増税のときの経過措置のイメージで、「古い契約なら旧税率を選べる」と理解していました。今回もお客様に有利な1%を選べばいいのかな、と。
先生
先生選べる、というのが最初の誤解なんだ。問1-6の経過的な取扱いは選択適用ではない。図の3つの日付──R9.1.1前に契約・R9.4.1前に代金を領収・R9.4.1以後に供給──がそろえば、領収済みの部分は8%になるんだよ。1%にしたいなら、契約に「4月1日以後は1%による」と書いてあるか、R9.1.1以後に金額を変更する契約を結ぶかで、「1%前提」が確認できる必要があるんだ。
ハル
ハルカつまり、経過的な取扱いの要件を満たす契約は、契約を変えなければ8%のまま。1%にするには契約書か販売条件の側を動かさないといけない、ということですね。カタログ通販の方も同じですか。
先生
先生同じ構造だよ。通信販売は「R9.1.1前の条件提示」と「R9.4.1前の申込み」がそろえば8%。カタログの印刷が終わっていれば「提示できる状態」として条件提示に含まれる点は、見落としやすいから注意しておこうか。
💡 そうだったのか! またぐ取引は「相手の税率に従う(仕入)」「売ったときの税率に従う(返品・貸倒れ)」「3つの日付がそろえば自動的に8%(定期供給・通販)」。経過的な取扱いは選択制ではなく、1%にしたいなら契約・販売条件で1%前提を示す必要がある。
🗂 実務でやること R9.1.1前に結んだ定期供給契約・印刷済みカタログを棚卸しし、「8%のまま」か「1%前提の文言を入れて改定するか」を営業部門と決める。返品処理のマスタに「元売上の税率で計算」のルールを残す。
③ 問2-1・2-2

インボイスはどう変わる ── 変わるのは2か所だけ

📊 図の再掲:問2-1 インボイスの記載問2-2 混在請求書の図へ ▲
インボイスの記載 ── 変わるのは「適用税率 1%」と「1%で計算した消費税額」だけ請 求 書㈱○○ 御中▲▲㈱ 登録番号 T01234…令和9年4月分 51,400円4/8魚 *5,000円4/15タオルセット2,000円合 計 50,000円消費税 1,400円1% 対象 40,000円消費税 400円10% 対象 10,000円消費税 1,000円* 軽減税率対象変わるところ④ 税率ごとの対価の額と適用税率 → 「1%」⑤ 税率ごとの消費税額 → 1% で計算した額(例:40,000円 × 1% = 400円)変わらないところ③ 「軽減税率の対象品目である旨」(*印など)→ 1% 対象品は軽減税率対象なので、「税率1%の対象である旨」を新たに書く必要はない帳簿の記載事項・簡易インボイスの扱いも変更なし
ハル
ハルカ請求書システムの改修見積りを取らないといけなくて。インボイスに「税率1%の対象である旨」の新しい表記欄を追加する想定で見積り依頼を書きかけています。
先生
先生その依頼は出す前に一度止めようか。問2-1では、変わるのは適用税率が1%になることと消費税額が1%で計算した額になることの2つで、それ以外の記載事項に変更はないとされているんだ。1%対象の飲食料品は軽減税率の対象品目でもあるから、今の「*軽減税率対象」の表記で足りるんだよ。
🤔 迷いポイント:15日締めの請求書では、3月16日〜4月15日分に8%と1%が混ざります。1枚に3つの税率を載せてよいのでしょうか?
ハル
ハルカ税率が3つも並ぶ請求書は見たことがないので、必ず3月分と4月分の2枚に分けないといけない気がします。
先生
先生分けるのも正解の一つだよ。問2-2は2枚に分ける方法と、1枚の中で3月分・4月分を区分して、末尾に1%・8%・10%の3区分で合計と消費税額を書く方法の両方を例示しているんだ。どちらでも、税率ごとの対価の額・税率・消費税額が読み取れればいいんだよ。
💡 そうだったのか! インボイスの改修は「税率欄に1%が出る」「税額が1%で計算される」の2点。「1%対象の旨」の新表記は不要で、締め日をまたぐ請求書は2枚に分けても1枚で区分してもよい。
🗂 実務でやること 請求書システムの税率マスタに1%を追加し、税率別合計が3区分まで出せるかを確認。帳簿(仕入・売上)の記載事項は変更なしなので、会計システム側は税率コードの追加が中心。
④ 問3-1〜3-4

還付を受けたい免税事業者 ── 課税事業者になる2つのルート

📊 図の再掲:問3-1 還付の手続/問3-4 インボイス登録の経過措置問3-2 届出特例の図へ ▲
免税事業者が還付を受けるには ── まず「課税事業者」になる必要がある免税事業者基準期間の課税売上高1,000万円以下納税義務なし=仕入税額控除も還付もできない(消法9①)ルートA 課税事業者選択届出書→ 問3-2 の特例で R9 年中の提出でOKルートB インボイス登録の経過措置→ 問3-4。登録希望日から課税事業者課税事業者 → 確定申告売上税額(飲食料品 1%)< 仕入税額(仕入は 10%・8% が多い)→ 差額が還付される(消法45①)注意:簡易課税を選んでいる事業者も還付は受けられない → 一般課税へ(問3-5)課税事業者を選ぶと原則2年は戻れない(調整対象固定資産を仕入れると3年)免税→課税の期首に持つ棚卸資産の税額は控除対象にできる(消法36①②。明細書の保存が必要)4月1日からだけ課税事業者になる方法 ── インボイス登録の経過措置(登録希望日を R9.4.1 に)R91〜3月 免税事業者4/1 登録日〜 インボイス発行事業者=課税事業者(1%で申告)R9.3.17 までに登録申請書(登録希望日 4/1)1〜3月の取引は申告の対象外4月以後の取引だけ申告 → 還付「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要(28年改正法附則44④)。ただしインボイスの交付義務が生じる縛りR9(4/1〜)R10 課R11 課※R12 免※ 登録日以後2年を経過する日(R11.3.31)の属する課税期間(R11)までは免税に戻れない(附則44⑤)R12 から免税に戻るなら R11.12.17 までに登録取消届出書併用R9(4/1〜)R10 課〜3/31R11.4.1〜 免税課税期間の特例(問3-3)を選び、R11.3.17 までに登録取消届出書・R11.3.31 までに課税期間特例選択届出書→ 税率引下げの終了(R11.3.31)と同時に免税へ
ハル
ハルカ取引先の小さなお菓子屋さん(免税事業者)から相談されました。「仕入は10%で払うのに売上は1%しかもらえないから、差額を還付してもらえるんでしょう?」と。
先生
先生気持ちはよく分かる相談だね。でも問3-1にあるとおり、免税事業者は納税義務がない代わりに仕入税額控除も還付もできないんだ。還付を受けるには、まず課税事業者になる必要があるんだよ。
🤔 迷いポイント:課税事業者選択届出書は「前の年の12月31日まで」が期限のはず。令和9年に入ってから気づいたら、もう間に合わないのでしょうか?
ハル
ハルカ原則どおりなら、令和9年分は諦めて令和10年から、と伝えるしかないと思っていました。
先生
先生ここに今回の特例があるんだ。問3-2によると、飲食料品の譲渡を行う免税事業者は、令和9年4月1日の属する課税期間中に届出書を出せば、その課税期間から課税事業者になれる。届出書の「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書くんだよ。個人なら令和9年1月1日から課税事業者になるから、1〜3月の売上は8%で申告することになるね。
ハル
ハルカ1〜3月も申告に入るんですね。4月からだけ課税事業者になる方法はないんでしょうか。
先生
先生それが問3-4のインボイス登録の経過措置だよ。R9.3.17までに登録希望日を4月1日と書いた登録申請書を出せば、4月1日から課税事業者になれる。1〜3月は申告の対象外になるんだ。ただしインボイスの交付義務がつくし、R11年までは免税に戻れない。課税期間の特例(問3-3)を組み合わせれば、引下げが終わるR11.3.31でぴたりと免税に戻すこともできるよ。
ハル
ハルカ届出書の提出期限だけを見て「もう間に合いません」と返事をするところでした。危なかったです。
先生
先生その「もう無理」が、いちばん高くつく返事になるところだったね。期限の話は、特例が出たら必ず読み直すことにしようか。
💡 そうだったのか! 免税事業者の還付は「課税事業者になる」が前提。ルートAの選択届出書はR9年中の提出でよくなり(1〜3月も申告)、ルートBのインボイス登録なら4月1日からだけ課税事業者になれる(交付義務あり・R11年まで戻れない)。課税期間の短縮で還付を早め、引下げ終了と期間を揃えられる。
🗂 実務でやること 免税の取引先には「A:選択届出書(1月から・交付義務なし)」「B:インボイス登録(4月から・交付義務あり)」の比較表(「①図解と解説」問3-4の表)を渡し、2年縛り・調整対象固定資産の3年縛りも一緒に説明する。
⑤ 問3-5〜3-7

簡易課税の2つの特例 ── やめる届出と、同額控除

📊 図の再掲:問3-6 計算方法の特例問3-7 75%ルールの図へ ▲
簡易課税の計算特例 ── 飲食料品(1%)の売上税額は「同額を仕入税額」とみなす(業種区分を問わない)売上げに係る税額飲食料品の小売(第2種)2,000万円 → 税 20万円雑貨などの小売(第2種・80%)300万円 → 税 30万円イートイン・外食(第4種・60%)100万円 → 税 10万円売上税額 合計 60万円仕入れに係る税額(控除額)売上税額と同額 → 20万円(みなし仕入率を使わない)30万円 × 80% = 24万円10万円 × 60% = 6万円仕入税額 合計 50万円納付税額60万 − 50万 = 10万円※ 税額には地方消費税を含む。2割特例・3割特例を適用する場合も、飲食料品部分は同じ扱い
ハル
ハルカ簡易課税の取引先からも相談が来ています。簡易課税だと還付が受けられないので一般課税に戻りたいけれど、「2年縛り」の途中だと聞いて困っているそうです。
先生
先生問3-5の特例が、まさにその人のためのものだよ。R9.4.1の属する課税期間中に不適用届出書を出せばその課税期間から一般課税になれて、しかも2年間の継続適用要件はこの課税期間には適用しないとされているんだ。「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書くのは問3-2と同じだね。
🤔 迷いポイント:簡易課税のまま続ける事業者は、飲食料品1%の売上税額にも第2種の80%を掛けて仕入税額を計算するのでしょうか?
ハル
ハルカみなし仕入率は業種で決まるので、飲食料品の小売なら第2種の80%をそのまま掛ける、と思います。20万円×80%=16万円ですね。
先生
先生計算は速いね。でも問3-6では、飲食料品(1%)の部分は業種区分にかかわらず売上税額と同額を仕入税額とみなすんだ。図の上段を見てほしい。売上税額20万円に対して仕入税額も20万円。残りの雑貨30万円×80%と外食10万円×60%だけにみなし仕入率を使って、合計50万円を控除し、納付は10万円になるんだよ。
ハル
ハルカ売上税額がそのまま仕入税額に化けて、きれいに消えていく…。手品を見ている気分です。
先生
先生種はあるんだよ。1%の売上から納税額が出ないようにする、という設計なんだ。だから75%ルール(問3-7)でも、飲食料品は判定からも計算からも外す。飲食料品2,500万円を除けば雑貨800万÷1,000万=80%で75%以上になって、雑貨の80%を飲食料品以外の全部に使えるようになるんだよ。
💡 そうだったのか! 簡易課税をやめる届出はR9年中でよく、2年縛りも外れる。続ける場合、飲食料品1%の売上税額は同額が仕入税額になり、みなし仕入率はそれ以外の売上だけに掛ける。75%ルールの判定も飲食料品を除いて行う。
🗂 実務でやること 簡易課税の取引先には「一般課税に戻るか(還付の可能性)」「簡易のままか(事務負担)」をR9年分の見込み数値で試算して示す。試算は「①図解と解説」問3-6の表の形で、売上を1%・10%に分けて並べる。
⑥ 問3-8・3-9

中間申告と値札 ── 前期ベースの罠と、2か月の猶予

📊 図の再掲:問3-8 中間申告の特例/問3-9 総額表示の特例図解カードへ ▲
中間申告の特例 ── 前期の飲食料品に「1%が適用されていたら」の税額で中間申告できる直前課税期間(令和9年3月期)の実績売上高(税額)仕入高(税額)飲食料品3,000万(240万)2,000万(160万)それ以外2,000万(200万)1,400万(140万)消費税額 = (240+200) − (160+140) = 140万円原則の中間申告140万 × 1/2 = 70万円前期の 8% ベース→ 過大になりやすい特例:飲食料品を 1% で再計算飲食料品 売上税額 30万     仕入税額 20万それ以外 200万 − 140万消費税額 = 10 + 60 = 70万円中間申告 70万 × 1/2 = 35万円・R9.4.1 以後に開始する中間申告対象期間から。仮決算による中間申告書だが、付表は不要で第一表のみ(⑪・㉒・㉖欄だけ記載)・回数は前期の税額に応じた回数(年1・3・11回)のまま。税務署から届く「中間申告書兼納付書」は使わない。期限後は不可・終了時(R11.4.1 以後)は逆に、前期の飲食料品に「8%が適用されていたら」の税額で中間申告できる総額表示義務の特例 ── 税率が変わる前後 2か月ずつ、「本来と違う税率の税込価格」を表示してよい適用税率 8%適用税率 1%適用税率 8%R9.4.1R11.4.1①②③④R9.2.1R9.5.31R11.2.1R11.5.31① R9.2.1〜3.31 ④ R11.4.1〜5.31(本来 8% の期間に)1% での税込表示も可例:先に 1% の値札へ貼り替えておく② R9.4.1〜5.31 ③ R11.2.1〜3.31(本来 1% の期間に)8% での税込表示も可例:夜間の貼り替えが間に合わない棚をそのまま条件:①「直ちに対応できない困難な事情」(夜間の貼替えが無理・パッケージに価格印字 等)+ ②誤認防止措置(棚やレジ付近の掲示、値札の色分け・シール等)税抜価格のみ・「+税」だけの表示は引き続き不可。随時貼り替えているのに 8% 表示を続けるのは「困難な事情」に当たらない
ハル
ハルカうちの会社は年1回の中間申告があります。前期の税額の半分を納めるだけなので、特例と言われても何が困るのか、まだピンと来ていません。
先生
先生困るのは、その「前期の税額」が8%ベースだということなんだ。図の左側で、前期の消費税額は140万円、原則の中間納付は70万円。でも今期の飲食料品の売上税額は1%で激減するから、中間で70万円を納めると払い過ぎになりやすい。そこで問3-8は、前期の飲食料品に1%が適用されていたらの税額(図では70万円)で仮決算による中間申告を認めているんだ。この例だと中間は35万円になるよ。
🤔 迷いポイント:仮決算による中間申告は付表まで作るので手間が大きい。特例でも同じだけ書類が要るのでしょうか?
ハル
ハルカ仮決算と名がつく以上、第一表・第二表・付表まで一式そろえるものだと思っていました。
先生
先生この特例では第一表だけで差し支えないとされているよ。記載するのも⑪納付税額・㉒納付譲渡割額・㉖合計税額の3欄だけ。ただし税務署から届く「中間申告書兼納付書」は使わないこと、期限後に出すことはできないことは覚えておこうか。引下げが終わるときは逆に「8%が適用されていたら」で計算できるんだ。
ハル
ハルカ最後に値札です。4月1日の0時に全店の値札を貼り替えるのは、物理的に不可能だと店舗から言われています。
先生
先生そのために問3-9の特例があるんだよ。本来1%のR9.4.1〜5.31は8%表示のままでもよく、本来8%のR9.2.1〜3.31には先回りして1%表示にしてもいい。条件は「直ちに対応できない困難な事情」と「誤認防止措置」の2つで、棚やレジに「この棚は8%表示、レジでは1%で精算します」と掲示する例が示されているんだ。随時貼り替えているのに8%表示を続けるのは、困難な事情には当たらないから気をつけようか。
💡 そうだったのか! 中間申告は前期8%ベースだと過大になるので、「1%だったら」の税額で第一表だけの仮決算申告ができる(期限後は不可)。値札は変更前後2か月ずつ、困難な事情+誤認防止の掲示を条件に他方の税率で表示してよい。
🗂 実務でやること R9.4.1以後に始まる中間申告対象期間の前に、前期の飲食料品を1%で引き直した試算を用意。店舗には「困難な事情」の記録(夜間作業の人員・印字済みパッケージの一覧)と掲示物の文案をセットで渡す。
まとめ

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

場面迷いやすいこと答え(問)
対象範囲新しい線引きを覚える?軽減税率8%と同じ範囲(問1-2)
深夜営業0〜1時の売上は1%?継続する締め基準で3/31分なら全部8%(問1-3)
検収が4月1%に引き直す?インボイスの税率(8%)に従う(問1-4)
4月の返品1%で返還税額?売ったときの8%で計算(問1-5)
定期便・通販8%と1%を選べる?選択制ではない。3つの日付で8%、1%前提の契約等なら1%(問1-6)
インボイス「1%対象の旨」を追加?不要。税率と税額が1%になるだけ(問2-1)
混在請求書必ず2枚に分ける?2枚でも1枚区分でもよい(問2-2)
免税事業者還付だけ受けられる?課税事業者になるのが前提(問3-1)
届出期限前年末を過ぎたら無理?R9.4.1の属する課税期間中でよい。参考事項欄に「飲食料品特例」(問3-2・3-5の届出のみ)
4月からだけ方法はない?インボイス登録の経過措置(登録希望日4/1)(問3-4)
簡易課税飲食料品にも80%?売上税額と同額を仕入税額に。75%判定からも除く(問3-6・3-7)
中間申告前期の1/2のまま?「1%だったら」の税額で第一表だけの仮決算申告可(問3-8)
値札4/1に全部貼り替え?前後2か月、困難な事情+誤認防止措置で猶予(問3-9)
おわりに

今日のふりかえり

先生
先生今日のまとめだよ。17問を通して大事なのは3つ。対象範囲は現在の軽減税率と基本的に同じで新しい線引きはないこと、税率変更をまたぐ取引では取引の時期と契約の時期を確認すること、そして届出が必要な特例(問3-2・3-5)では期限と記載方法を正確に押さえることなんだ。
ハル
ハルカ最初は「1%になる」という数字ばかり見ていました。でも読み終えてみると、数字より「どの日付を見るか」と「どの届出書をいつまでに出すか」の方が、経理の仕事としては大事なんだと分かります。取引先への説明も、税率ではなく日付と手続から話そうと思います。
先生
先生いい切り替えだね。一つだけ足すなら、2年後の「戻るとき」にも同じ論点がもう一度来る。終了時の中間申告や値札の猶予が用意されているのは、そのためなんだよ。
ハル
ハルカところで、週末のパン屋さんのクロワッサンも1%ですよね。クロワッサンかメロンパンかで毎回15分迷うのに、「1%だから両方」という選択肢が増えて、迷う時間が20分に延びそうです。
先生
先生両方買えば迷いは消えるから、むしろ時短かもしれないよ。さて、国税庁はこのQ&Aに問を追加していく予定だから、改訂が出たらこの記事も「①図解と解説」の図から更新していこうか。
参考資料
  • 国税庁 軽減税率・インボイス制度対応室「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)
  • 「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日閣議決定)
  • 消費税法9条・12条の4・18条・19条・30条・36条・37条・42条・43条・45条・57条の2・57条の4・58条・60条・63条、消費税法施行令57条・70条の11・71条・74条、平成28年改正法附則44条・51条の2・51条の3、消費税法基本通達18-1-7・18-1-8・21-1-1
  • 国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」

※ 本記事はQ&Aの公表時点(令和8年9月)の内容に基づく。法案の審議状況・Q&Aの改訂により取扱いが変わる可能性があります。

📓 先生とハルカの会話は、会計基準・税務の「〇〇ラボ」解説記事でも続いています。ハルカの学習ノートで、他の論点の「迷いポイント」もまとめて読めます。
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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。

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