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移転価格税制ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ移転価格と文書化の全体像

移転価格税制ラボ【基礎編】

無料の学習ツール「移転価格税制ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
事例A 日本の親会社P社(単位:百万円・連結総収入は億円)
親会社P社(日本・3月決算)。2027年3月期
連結総収入(直前の最終親会計年度)800億円
タイの製造子会社 T社との取引6,650(66.5億円)
ドイツの販売子会社 G社との取引3,200(32億円)
無形資産取引なし
T社の売上高営業利益率1.2%(売上高 30,000)
比較対象の四分位レンジ2.1%〜5.0%(中央値3.4%・平均値3.6%)
はじめに

今日の題材 ── 事例AのP社

📍 ラボの場所:基礎タブ全体(数字は設例・基礎の事例A)
ハルカ
先生、上司から「タイの子会社との取引、移転価格は大丈夫?」と聞かれました。正直、何を確かめればいいのか分かりません。
先生
確かめることは大きく2つなんだ。1つは値段そのものが世間並みか、もう1つはそれを説明する書類(文書化)があるかだよ。今日は事例AのP社を使って、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
ハルカ
タイの子会社の利益率が1.2%で、レンジが2.1%〜5.0%…。もう外れていますね。
先生
いいところに気づいたね。外れたら何が起きるのか、そしてどの書類を、いつまでに用意するのか。それが今日の中心なんだよ。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 ① ラボの図
① 売値で利益が動く② 他人同士の価格に戻す親→子の売値 75日本 15海外 17親→子の売値 92日本 32海外 0原価60・子会社の売上100・販管費8。売値を上げると日本に、下げると海外に利益が寄る(合計32は同じ)似た事業をする独立企業の営業利益率四分位レンジ 2.1%〜5.0%価格を1つに決めるのは難しいので、「子会社の利益率がこの範囲に入るか」で検証する= 独立企業間価格(他人同士なら成立した価格)
基礎 ①

移転価格税制とは ── 売値ひとつで利益が国境を越える

📍 ラボの場所:基礎タブ ①
ハルカ
そもそも「移転価格」って、どういう意味なんですか。
先生
グループの会社どうしの取引価格のことだよ。図のとおり、日本の親会社がタイの子会社に売る値段を上げれば日本に、下げればタイに利益が寄るよね。だから税務では「他人同士なら成立したはずの価格(独立企業間価格)」で取引したものとみなして、課税し直すんだ。
迷いポイント 対象は製品の売買だけ?
ハルカ
うちは製品を売っているだけなので、製品の値段だけ気にすればいいですよね。
先生
それが、そうではないのだよ。役務提供、ロイヤルティ(使用許諾)、グループ内貸付の金利、債務保証料も国外関連取引なんだ。値段が付くものは全部対象と考えておくといいよ。
ハルカ
値段ひとつで、利益が勝手に海外旅行に出かけてしまうんですね。
先生
行き先を決めているのは売値なんだ。だから、その売値の説明書きが要るんだよ。
💡 そうだったのか!
グループ内の取引価格を「他人同士なら成立したはずの価格」に置き直して課税し直す制度。製品だけでなく役務・使用料・金利も対象です。
📗 基礎 ② ラボの図
日本親会社の利益29海外子会社の利益3子会社の営業利益率レンジ 2.1%〜5.0%3%
レンジ内 ── 独立企業間価格として説明できる

子会社の営業利益率 3% は 2.1%〜5.0% の範囲内。 売値を数円動かすだけで判定が反転する狭さに注意。

基礎 ②

動かして理解する ── 売値を動かすと、利益と判定はどう変わるか

📍 ラボの場所:基礎タブ ②(売値のつまみ)
ハルカ
売値を動かすと、本当に利益が動くんですか。
先生
図の例で見てみよう。親会社の原価は60、子会社は第三者に100で売って販管費が8。親会社が子会社に売る値段(売値)が89なら、日本の利益は29、子会社は3で、子会社の営業利益率は3.0%。レンジ2.1%〜5.0%の中なんだ。
迷いポイント 子会社への売値を変えると、グループ全体の利益も変わる?
ハルカ
親会社が子会社への売値を上げれば、グループ全体ももうかりますよね。
先生
売値を上げると、日本の利益が増えた分だけ子会社の利益が減るから、合計は32のまま変わらないんだ。変わるのは、どちらの国に利益が落ちるかだけだよ。だから各国の税務当局が、自分の国の取り分を気にするんだね。
💡 そうだったのか!
子会社への売値を動かしても合計の利益(32)は同じ。変わるのは利益が落ちる国で、子会社の利益率がレンジから外れると更正リスクが出ます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎タブ②の売値のつまみを開く(売値89・利益率3.0%)
  2. つまみを 91 に動かす

👀 子会社の利益は 1、利益率 1.0% でレンジの下限を下回り、「相手国で更正リスク」に変わります。売値を2動かすだけで判定が反転します。

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📗 基礎 ③ ラボの図
事例A:タイ子会社の利益率と比較対象のレンジ(売上高営業利益率)四分位レンジ(真ん中50%)Q1 2.1%中央値 3.4%Q3 5%平均 3.6%実績 1.2%
レンジのどちら側に外れるかで、更正する国が変わる(検証対象=海外子会社の場合)下限を下回る子会社の利益が低すぎるレンジ内説明できる(要件を前提)上限を上回る子会社の利益が高すぎる相手国(子会社の国)が増額更正日本では更正されない日本が増額更正所得が国外へ移転と見られるどちらの場合も二重課税。対応的調整は相互協議の合意が前提で、自動ではない。検証対象が日本の法人なら左右が逆になる
📄 事例Aの利益率レンジ試算

※ Q1〜Q3に入っているだけで自動的に適正になるわけではありません。事務運営指針4-5・4-6の要件(比較対象取引が4以上、必要な差異調整、比較対象取引の選定の妥当性、定量的に把握することが困難な差異が残っていてもその影響が軽微であること等)を満たすことが前提です。レンジから外れた場合の算定は事務運営指針4-8(原則として平均値。分布状況等に応じ中央値その他の合理的な値)によります。

レンジ判定(Q1〜Q3の中か)レンジ下限を下回る検証対象:海外子会社(国外関連者)/売上高営業利益率
更正される国(レンジ外のとき)相手国側(国外関連者の所在地国が増額更正)検証対象の利益が低すぎる
調整点との差(平均値 3.6%)+2.4pt売上高 30,000 百万円に掛ける
利益率レンジ試算(参考) 単位:%・百万円
項目値メモ
第1四分位(Q1)2.1%
中央値3.4%
平均値3.6%調整点の原則(事務運営指針4-8)
第3四分位(Q3)5%
検証対象の実績1.2%レンジ下限を下回る
参考:所得差額(調整点まで直した場合)720 百万円|3.6% − 1.2%| × 30,000
参考:税額の目安144 百万円所得差額 × 税率 20%(加算税・延滞税は別)

相手国側で更正リスク:海外子会社の利益が低すぎるため、日本ではなく相手国で増額更正され、二重課税に。対応的調整は相互協議の合意が前提で、自動ではありません。 調整点は比較対象の分布等に応じ、平均値(原則)・中央値その他の合理的な値が用いられ、自動的に中央値になるわけではありません(事務運営指針4-8)。 利益水準指標(PLI)を切り替えると、同じ子会社でもレンジ内外が反転することがあります(総費用営業利益率・ベリー比は費用構造に依存)。 比較対象の選定・差異調整・独立企業間価格そのものは、このラボの射程外です。

基礎 ③

利益率レンジで検証する ── 四分位・調整点・更正される国

📍 ラボの場所:基礎タブ ③
ハルカ
実際には、どうやって「世間並み」を確かめるんですか。
先生
実務の主流は取引単位営業利益法(TNMM)なんだ。データベースで似た独立企業を選んで利益率を並べ、下から25%〜75%の幅(四分位レンジ)と比べるよ。事例AのT社は1.2%で、下限2.1%を下回っているね。
迷いポイント レンジに入っていれば、それだけで安心?
ハルカ
じゃあ、レンジに入るように値段を調整すれば、それで安心ですね。
先生
Q1〜Q3に入っているだけで自動的に適正になるわけではないんだ。比較対象が4以上あること、必要な差異調整をしたこと、選び方が妥当なこと(事務運営指針4-5・4-6)が前提で、その説明こそがローカルファイルの役目なんだよ。
ハルカ
外れたときは、どこまで直されるんですか。中央値の3.4%ですか。
先生
原則は平均値なんだ(事務運営指針4-8)。分布によって中央値など合理的な値を使うこともあるけれど、自動的に中央値になるわけではないよ。平均値3.6%なら差は2.4pt、売上高300億円に掛けて所得差額は7.2億円だね。ただしこれは利益配分の向きから見た単純な試算で、タイが実際にどう更正するかは、タイの法令と取引の事実しだいなんだ。
ハルカ
あ、二重課税なら、前にやった外国税額控除で引けますか?
先生
いい連想だね。ただ、外国税額控除は同じ会社が外国で納めた税を引く仕組みなんだ。今回はタイでT社の所得が増額され、日本のP社の所得はそのままという、別の会社の二重課税だよ。解消は相互協議と対応的調整が前提で、自動では戻らないんだ。
ハルカ
タイで多く払って、日本では戻らないかもしれない…。それは悲しすぎます。
先生
だから、外れないように期中から見ておくのが大事なんだよ。
💡 そうだったのか!
検証はレンジとの比較。外れたら原則平均値(4-8)まで直され、子会社の利益が低すぎれば相手国で更正のリスクが高まります(実際の扱いは相手国の法令と事実しだい)。レンジ内でも4-5・4-6の要件が前提です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 右の「利益率レンジ」で、レンジ外のときの調整点を「平均値」→ 中央値 に変える

👀 調整点との差は 2.4pt → 2.2pt、所得差額は 720 → 660 百万円、税額の目安(タイの税率20%)は 144 → 132 百万円になります。

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📗 基礎 ④⑥ ラボの図
なぜ文書化か ── 3つの目的(OECD第5章 5.5)と、それに応える3層の文書① 納税者自身が確かめる申告前に価格設定を点検する② 当局がリスクを見立てるどこを調べるべきかを選ぶ③ 調査で使う検証に必要な情報を揃えるローカルファイル取引の詳細(①③)国別報告事項(CbCR)国ごとの数字(②)事業概況報告事項(MF)グループの全体像(②)BEPS行動13(2015年)→ 平成28年度改正で日本の措置法に。最終親会社等届出事項は「誰が親か」を知らせる入口の届出
4つの提出物 ── 上ほど「広く浅く」、下ほど「狭く深く」最終親会社等届出事項親・代理親会社等の名称・所在地・法人番号・代表者期限:終了の日まで国別報告事項(CbCR)国ごとの収入・税引前利益・税額・資本・従業員・有形資産(英語)期限:翌日から1年以内事業概況報告事項(MF)組織・事業・無形資産・金融・連結FS・事前確認の13項目期限:翌日から1年以内ローカルファイル取引ごとの内容(1号イ〜リ)+算定書類(2号イ〜ト)の16項目期限:確定申告書の提出期限まで(作成・取得・保存)1,000億円以上のグループだけすべての国外関連取引(相手ごと)
基礎 ④⑥

なぜ文書化があるのか ── BEPSの3層と日本の4つの提出物

📍 ラボの場所:基礎タブ ④・⑥
ハルカ
文書化って、そもそも何のためにあるんですか。
先生
上の図のとおり、目的は3つなんだ。①会社が自分で価格を確かめる、②当局がリスクを見立てる、③調査で使う。BEPS行動13(2015年)を受けて、平成28年度改正で整ったんだよ。
迷いポイント 「3層構造」は届出事項・CbCR・マスターファイルの3つ?
ハルカ
3層っていうのは、届出事項・CbCR・マスターファイルの3つのことですよね。
先生
BEPSでいう3層はマスターファイル・ローカルファイル・国別報告事項(CbCR)なんだ。日本ではこれに最終親会社等届出事項が加わって、下の図の4つになるよ。このうち1,000億円以上のグループが提供する3つを、ラボでは「3つの報告・届出事項」と呼んでいるんだ。
ハルカ
CbCRって、前にグローバル・ミニマム課税のセーフ・ハーバーで使った国別報告事項ですか?
先生
そう、ちゃんと覚えていたね。あのときは「CbCRの数字を使って計算を省く」側だったけれど、今日はそのCbCRを作って提供する側の話なんだ。国ごとの収入・税引前利益・税額・従業員数などを英語で出すよ。
💡 そうだったのか!
BEPSの3層はマスターファイル・ローカルファイル・CbCR。日本ではこれに最終親会社等届出事項が加わり、提出物は4つになります。
📗 基礎 ⑤ ラボの図
① 企業グループ?連結FSを作る集団② 多国籍?居住地国が二以上③ 特定?総収入1,000億円以上④ 自社の立場親・子・PE・外国親下⑤ ローカルファイル相手ごとに50億/3億①〜④は「グループの文書」(届出・CbCR・MF)の話。⑤は連結総収入と無関係に、取引の相手ごとに見る③で外れても⑤は残る。⑤で免除でも「相当する書類」は求められ得る
この会社の文書化の地図 ── 連結総収入 800億円・日本の最終親会社等【グループの文書】1,000億円以上の特定多国籍企業グループ → 非該当(提供義務なし)最終親会社等届出事項- 対象外-国別報告事項(CbCR)- 対象外-事業概況報告事項(MF)- 対象外-【取引の文書】ローカルファイル:国外関連者ごとに 50億円/無形資産3億円(連結総収入とは無関係)タイ製造子会社 T社取引 66.5億円/無形 0億円同時文書化 義務あり期限 2027年5月31日・調査45日ドイツ販売子会社 G社取引 32億円/無形 0億円免除(相当書類は求められ得る)調査で求められたら60日→ 3つの報告・届出事項はなし + ローカルファイル 義務あり 1社・免除 1社 → 作成期限 2027年5月31日・保存7年
📄 事例Aの判定の順番
判定の順番
ステップ見るもの結果
① 企業グループか連結財務諸表を作る企業集団に属するか当たる
② 多国籍企業グループか構成会社等の居住地国が二以上か当たる(国外関連者がある前提)
③ 特定多国籍企業グループか直前の最終親会計年度の連結総収入 800 億円 ≧ 1,000億円当たらない → 3つの報告・届出事項は提供義務なし
④ 自社の立場日本の最終親会社等-
⑤ ローカルファイル国外関連者ごとに 合計50億円/無形資産3億円(前事業年度)義務あり 1 社・免除 1 社
基礎 ⑤

判定の5ステップ ── グループの文書と取引の文書は別の物差し

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑤
ハルカ
4つもあると、うちの会社がどれを出すのか分からなくなります。
先生
順番に見れば迷わないよ。図の①企業グループか → ②多国籍か → ③連結総収入1,000億円以上か → ④自社の立場 → ⑤国外関連者ごとの50億円/3億円。①〜④が「3つの報告・届出事項」、⑤がローカルファイルなんだ。
ハルカ
1,000億円って、グローバル・ミニマム課税の7.5億ユーロと同じように、4年のうち2年で見るんですか?
先生
よく比べたね。こちらは直前の最終親会計年度の1年分だけで判定するんだ。4年中2年はグローバル・ミニマム課税の物差しだから、混ぜないように気をつけようね。
迷いポイント 1,000億円未満なら、文書化は何も要らない?
ハルカ
P社は800億円なので、文書化とは無縁ですね。
先生
3つの報告・届出事項は要らないけれど、⑤は連結総収入と関係ないんだ。T社との66.5億円は50億円以上だから、ローカルファイルの同時文書化義務があるよ。
💡 そうだったのか!
グループの物差し(1,000億円)と取引の物差し(50億円/3億円)は別。1,000億円未満でもローカルファイルの義務はあり得ます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 「連結総収入」を 800 → 1,000 億円に変える

👀 提供する文書が 0件 → 3件(届出事項 2027年3月31日、CbCR・マスターファイル 2028年3月31日)になります。ローカルファイルの判定は変わりません。

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📗 基礎 ⑦ ラボの図
自社の立場 × 3つの報告・届出事項(1,000億円以上のグループ) ○=提供 ×=不要 代表=特例で1社が提供可① 日本の最終親会社等② 日本の構成会社等③ 外国親の下の日本子会社④ 外国親の下のPE最終親会社等届出事項○(代表可)○(代表可)○(代表可)○(代表可)国別報告事項○(条約方式で各国へ)×(親が提供)×/○×/○事業概況報告事項○(代表可)○(代表可)○(代表可)○(代表可)いまの入力:日本の最終親会社等 → 1,000億円未満のため3つの報告・届出事項なし(表は1,000億円以上の場合)
📄 事例D・Eの3つの報告・届出事項
3つの報告・届出事項(特定多国籍企業グループ) 自社の立場:外国親会社の下の日本の構成会社等
文書要否理由期限・方法
最終親会社等届出事項
措法66条の4の4第5項
○ 提供する特定多国籍企業グループの構成会社等(全ての立場で○)2027年3月31日
最終親会計年度の終了の日まで
国別報告事項(CbCR)
措法66条の4の4第1項・第2項
× 不要条約方式:外国の最終親会社等が自国の当局に提出し、情報交換で日本に届く → 自社は不要終了の日の翌日から1年以内・英語
事業概況報告事項(マスターファイル)
措法66条の4の5第1項
○ 提供する特定多国籍企業グループの構成会社等(全ての立場で○)2028年3月31日
終了の日の翌日から1年以内・日本語または英語

罰則:正当な理由なく国別報告事項・事業概況報告事項を期限内に提供しないと30万円以下の罰金(措法66条の4の4第7項・66条の4の5第3項)。最終親会計年度は自社の事業年度と同じと仮定しています。

3つの報告・届出事項(特定多国籍企業グループ) 自社の立場:外国親会社の下の日本の構成会社等
文書要否理由期限・方法
最終親会社等届出事項
措法66条の4の4第5項
○ 提供する特定多国籍企業グループの構成会社等(全ての立場で○)2027年3月31日
最終親会計年度の終了の日まで
国別報告事項(CbCR)
措法66条の4の4第1項・第2項
○ 提供する子会社方式:親会社の国から情報交換で届かない(措置なし/適格当局間合意なし/体系的不履行の指定)→ 日本の構成会社等・PEが提供2028年3月31日
終了の日の翌日から1年以内・英語
事業概況報告事項(マスターファイル)
措法66条の4の5第1項
○ 提供する特定多国籍企業グループの構成会社等(全ての立場で○)2028年3月31日
終了の日の翌日から1年以内・日本語または英語

罰則:正当な理由なく国別報告事項・事業概況報告事項を期限内に提供しないと30万円以下の罰金(措法66条の4の4第7項・66条の4の5第3項)。最終親会計年度は自社の事業年度と同じと仮定しています。

基礎 ⑦

自社の立場①〜④ ── 誰が何を出すか

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑦(数字は事例D・E)
ハルカ
うちが外国の親会社の子会社だったら、何を出すんですか。
先生
図の表で見てみよう。届出事項とマスターファイルは、どの立場でも日本の構成会社等が提供するんだ。CbCRは、最終親会社の国が出して租税条約の情報交換で各国に届く条約方式が原則なんだ。
迷いポイント 外国親の下の日本子会社は、CbCRを出さなくてよい?
ハルカ
じゃあ外国の親会社がいれば、日本の子会社はCbCRのことを忘れていいですね。
先生
原則はそう。でも例外があるんだ。親会社の国と情報交換ができないなど3つの場合は、日本の子会社が自分で出す子会社方式になるよ。事例Eは、条約はあるけれどCbCRを交換する合意(適格当局間合意)がない国の親会社だから、日本でCbCRを提供するんだ。逆に、租税条約等がそもそもない国の親なら子会社方式の対象外で、FAQ問47のとおり提供は要らないよ。
ハルカ
「代理親会社等」という言葉も出てきました。代理なのに、親なんですか。
先生
名前は不思議だけれど、最終親会社の代わりにCbCRを提供する会社として指定された会社のことだよ。条約方式の中で扱うんだ。
💡 そうだったのか!
CbCRは原則、最終親会社の国から情報交換で届く(条約方式)。届かない3つの場合だけ日本の子会社が提供します(子会社方式)。
📗 基礎 ⑧ ラボの図
国外関連者ごとの判定 ── 上段:合計50億円以上? 下段:無形資産取引3億円以上?タイ製造子会社 T社合計 66.5億円無形 0億円義務あり合計でドイツ販売子会社 G社合計 32億円無形 3.5億円義務あり無形で50億円(上段)3億円(下段)
📄 事例A・Bの国外関連者ごとの判定
ローカルファイル:国外関連者ごとの同時文書化義務(前事業年度の金額・百万円)
国外関連者国外関連取引の合計(相殺前の総額)うち無形資産取引の対価判定調査で求められたら
タイ製造子会社 T社6,650
66.5億円
0
0億円
同時文書化 義務あり
国外関連取引の合計 66.5億円 ≧ 50億円
ローカルファイル:45日以内の指定日
重要な書類:60日
ドイツ販売子会社 G社3,200
32億円
0
0億円
免除
合計 32億円 < 50億円 かつ 無形資産取引 0億円 < 3億円 → 同時文書化は免除
相当する書類:60日以内の指定日

合計は受取・支払を相殺せず総額で(FAQ問70)。無形資産取引は科目名にかかわらず譲渡・貸付け・権利設定・使用許諾等を含む(問71)。事前確認を受けた取引の金額も含めて判定(問72)。

ローカルファイル:国外関連者ごとの同時文書化義務(前事業年度の金額・百万円)
国外関連者国外関連取引の合計(相殺前の総額)うち無形資産取引の対価判定調査で求められたら
タイ製造子会社 T社6,650
66.5億円
0
0億円
同時文書化 義務あり
国外関連取引の合計 66.5億円 ≧ 50億円
ローカルファイル:45日以内の指定日
重要な書類:60日
ドイツ販売子会社 G社3,200
32億円
350
3.5億円
同時文書化 義務あり
無形資産取引 3.5億円 ≧ 3億円
ローカルファイル:45日以内の指定日
重要な書類:60日

合計は受取・支払を相殺せず総額で(FAQ問70)。無形資産取引は科目名にかかわらず譲渡・貸付け・権利設定・使用許諾等を含む(問71)。事前確認を受けた取引の金額も含めて判定(問72)。

基礎 ⑧

ローカルファイルの閾値 ── 50億円または3億円、相手ごと・前事業年度・総額

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑧(数字は事例A・B)
ハルカ
ローカルファイルの50億円は、会社全体の海外取引の合計ですか。
先生
国外関連者ごとなんだ。図のとおり、T社66.5億円は義務あり、G社32億円は免除と、同じ会社の中で結果が並ぶよ。前事業年度の金額で、受取と支払を相殺しない総額で数えるんだ。
迷いポイント 無形資産取引は3億円の別枠?
ハルカ
G社は32億円だから、何があっても免除ですよね。
先生
もう1つの物差しがあるんだ。無形資産取引が3億円以上なら、合計が50億円未満でも義務ありになるよ。事例BはG社との取引の中に商標の使用許諾が3.5億円あって、義務ありに変わるんだ。科目名ではなく中身で判定するよ。
💡 そうだったのか!
判定は国外関連者ごと・前事業年度・総額。合計50億円以上または無形資産取引3億円以上で同時文書化義務があります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 国外関連者の表で、G社の「うち無形資産」を 0 → 300 百万円に変える

👀 G社は「免除」→「義務あり(無形で)」に変わります。3億円ちょうどでも義務ありです。

ラボを開く ▶
📗 基礎 ⑨ ラボの図
事業年度 終了2027年3月31日確定申告期限 = LF作成期限2027年5月31日CbCR・MF の期限2028年3月31日保存期限2034年5月31日+2か月翌日から1年以内申告期限の翌日から7年届出事項はここまで(終了の日まで)ローカルファイルは「提出」ではなく「作成・取得して保存」。提出するのは調査で求められたとき(45日/60日)3つの報告・届出事項は e-Tax で「提供」。届出事項だけ期限が早い(終了の日まで)
📄 事例C・Fの期限
事業年度2026年4月1日〜2027年3月31日
ローカルファイルの作成・取得期限(=確定申告書の提出期限)2027年5月31日決算日 + 2か月
保存期間7年間(2034年5月31日まで)提出期限の翌日から
最終親会社等届出事項2027年3月31日最終親会計年度の終了の日まで
国別報告事項2028年3月31日終了の日の翌日から1年以内
事業概況報告事項2028年3月31日終了の日の翌日から1年以内
別表17(4)(国外関連者に関する明細書)確定申告書に添付(2027年5月31日)国外関連者の名称・所在地・取引の種類と金額・算定方法など。同時文書化が免除でも添付

月末決算が前提:決算月の月末日を事業年度終了の日として計算しています。月末以外の日(例:6月15日)が終了の日なら、申告期限は終了の日の翌日から2か月以内(例:8月15日)となり、表示と異なります。

期限が土日・祝日・12月29日〜1月3日なら翌日以降の最初の平日に繰り下げて表示しています(国税通則法10条2項)。「1年以内」は終了の日の翌日から起算して1年後の応当日(=翌年の同じ月末)としています。

事業年度2026年1月1日〜2026年12月31日
ローカルファイルの作成・取得期限(=確定申告書の提出期限)2027年3月1日2月28日が日曜日のため繰下げ決算日 + 2か月
保存期間10年間(2037年3月1日まで)提出期限の翌日から。欠損金額が生じた事業年度は10年
最終親会社等届出事項2027年1月4日12月31日が年末年始の休日のため繰下げ最終親会計年度の終了の日まで
国別報告事項提供不要終了の日の翌日から1年以内
事業概況報告事項2028年1月4日12月31日が年末年始の休日のため繰下げ終了の日の翌日から1年以内
別表17(4)(国外関連者に関する明細書)確定申告書に添付(2027年3月1日)国外関連者の名称・所在地・取引の種類と金額・算定方法など。同時文書化が免除でも添付

月末決算が前提:決算月の月末日を事業年度終了の日として計算しています。月末以外の日(例:6月15日)が終了の日なら、申告期限は終了の日の翌日から2か月以内(例:8月15日)となり、表示と異なります。

期限が土日・祝日・12月29日〜1月3日なら翌日以降の最初の平日に繰り下げて表示しています(国税通則法10条2項)。「1年以内」は終了の日の翌日から起算して1年後の応当日(=翌年の同じ月末)としています。

基礎 ⑨

3つの期限線 ── 終了の日まで・1年以内・確定申告期限

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑨(数字は事例C・F)
ハルカ
期限がたくさんあって覚えられません。
先生
期限線は3本だけなんだ。図のとおり、届出事項は最終親会計年度の終了の日まで、CbCRとマスターファイルは終了の日の翌日から1年以内、ローカルファイルは確定申告書の提出期限まで。3月決算の事例Cなら、2027年3月31日・2028年3月31日・2027年5月31日だよ。
迷いポイント ローカルファイルは申告期限までに税務署へ出す?
ハルカ
ローカルファイルは、申告書と一緒に提出するんですよね。
先生
申告期限までに作成・取得して保存する義務で、提出義務ではないんだ。出すのは調査で求められたときだよ。申告書に添付するのは別表17(4)のほうなんだ。
ハルカ
6月15日決算の会社でも、ラボの日付をそのまま使えますか。
先生
ラボは決算月の月末を終了の日として計算するんだ。6月15日決算なら申告期限は8月15日になるから、実際の終了の日から数え直してね。
💡 そうだったのか!
期限線は「終了の日まで」「翌日から1年以内」「申告期限まで」の3本。ローカルファイルは作って保存する義務で、提出は調査で求められたときです。
📗 基礎 ⑩ ラボの図
1号:国外関連取引の内容(9項目)2号:独立企業間価格の算定書類(7項目)イ 資産の明細・役務の内容ロ 機能・リスク(事業再編を含む)ハ 使用した無形資産ニ 契約書・契約内容ホ 対価の明細・設定方法・交渉・他国当局の確認ヘ 損益の明細と計算過程ト 市場の分析チ 事業の内容・方針・組織リ 密接に関連する他の取引イ 選定した算定方法・前提条件・選定理由ロ 比較対象取引の選定と明細(財務情報)ハ 利益分割法の計算書類ニ DCF法の計算書類ホ 予測の内容・方法ヘ 複数取引を一体とした理由ト 差異調整の理由と方法ハ・ニ・ホは、その方法を使わない取引では「該当なし」措規22条の10第6項(例示集の【必要な情報の例】【準備する書類】が各項目の手引き)
基礎 ⑩

ローカルファイルの16項目 ── 1号イ〜リと2号イ〜ト

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑩
ハルカ
ローカルファイルには、何を書くんですか。
先生
図のとおり16項目なんだ。1号の9項目が「取引の内容」(資産・役務、機能・リスク、契約、損益など)、2号の7項目が「独立企業間価格の算定書類」(選んだ方法と理由、比較対象、差異調整など)だよ。
迷いポイント 16項目は、ゼロから自由な形式で書く?
ハルカ
16項目を、白紙から全部考えて書くんですね…。
先生
国税庁の例示集が項目ごとに「必要な情報の例」と「準備する書類」を示していて、同時文書化対応ガイドには完成形のサンプルもあるんだ。このページの「ローカルファイルを作る」モードでは、その順番どおりに入力して草案を出せるよ。
💡 そうだったのか!
ローカルファイルは「取引の内容」9項目+「算定書類」7項目=16項目。例示集とサンプルを手がかりに埋めていきます。
📗 基礎 ⑪⑫ ラボの図
調査で提示・提出を求めた日2028年6月10日45日以内の指定日2028年7月25日 まで60日以内の指定日2028年8月9日 まで期限までに出せない →推定課税(同種事業の利益率等で算定)さらに →同業者への質問検査(同業者調査)期日は意見を聴いた上で調査官が指定。不正確な書類は「提出した」ことにならない(FAQ問86・87)
📄 事例Hの調査時の期限
調査で提示・提出を求められた日2028年6月10日
ローカルファイル(同時文書化対象取引)2028年7月25日 まで45日を超えない範囲内で調査官が指定する日
重要な書類・免除取引の相当書類2028年8月9日 まで60日を超えない範囲内で調査官が指定する日
調査で求められたときの期限(措法66条の4第12項・14項・17項・18項)
取引の区分求められる書類期限出せないと
同時文書化対象取引ローカルファイル(規則22条の10第6項の書類)45日以内の指定日推定課税・同業者調査の対象になり得る
同時文書化対象取引独立企業間価格を算定するために重要と認められる書類(基礎となる事項・関連する事項)60日以内の指定日同上
同時文書化免除取引ローカルファイルに相当する書類・その基礎となる事項・関連する事項を記載した書類60日以内の指定日同上(免除でも移転価格税制の対象)

期日は法人の意見を聴いた上で、準備に通常要する日数を勘案して調査官が指定します(事務運営指針3-5(2)、FAQ問86・91)。不正確な書類は「提示・提出があった」ことにならず、期限内に訂正がなければ推定課税等の対象になり得ます(問87)。

同時文書化 対象取引50億円以上 または 無形資産3億円以上同時文書化 免除取引50億円未満 かつ 無形資産3億円未満申告期限までに作成・保存義務あり
義務なし(作らなくてよい)
移転価格税制の対象対象
対象(免除=課税されない、ではない)
調査で求められる書類ローカルファイル(45日)+重要な書類(60日)
相当する書類+基礎・関連書類(60日)
出せないとき推定課税・同業者調査
推定課税・同業者調査(同じ)
違いは「申告期限までに作っておく義務」と「45日か60日か」だけ。中身の範囲は同じ(FAQ問69)
基礎 ⑪⑫

調査で求められた後と、免除≠不要 ── 45日・60日・推定課税

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑪・⑫(数字は事例H・A)
ハルカ
調査で「ローカルファイルを見せてください」と言われたら、何日で出せばいいんですか。
先生
ローカルファイルは45日、その基礎になる重要な書類は60日を超えない範囲で調査官が指定する日までなんだ。事例Hは2028年6月10日に求められて、7月25日と8月9日が最長だよ。出せないと推定課税や同業者調査の対象になり得るんだ。
ハルカ
これ、前にCFC税制でやった「資料を毎年保存しておく」話と似ていますね。
先生
そうだね。経済活動基準も、満たすことを示す資料を毎年保存しておくことが大事だった。移転価格でも「あとで作る」では間に合わないのは同じなんだよ。
迷いポイント 同時文書化が免除なら、書類は何も要らない?
ハルカ
G社は免除と聞いて、G社の資料を全部片づけるところでした。
先生
片づける前に、60日で出せる準備だよ。免除されるのは「申告期限までに作っておく義務」だけで、移転価格税制の対象であることも、調査で書類を求められることも変わらないんだ。
💡 そうだったのか!
ローカルファイルは45日、重要な書類と免除取引の書類は60日以内の指定日。免除でも移転価格税制の対象で、出せないと推定課税の対象になり得ます。
📗 基礎 ⑬ ラボの図
保存期間原則 7年欠損の年度 +3年=10年提出期限 2027年3月1日 の翌日から→ 2037年3月1日保存場所納税地または国内の事業所等(原本が国外なら写し)言語指定なし(日本語以外は翻訳文を求められ得る)情報交換LFは自動的情報交換の対象外(CbCRは交換)電磁的記録電子データでの作成・保存も可(紙に綴じる必要はない)
📄 事例Fの保存期限
事業年度2026年1月1日〜2026年12月31日
ローカルファイルの作成・取得期限(=確定申告書の提出期限)2027年3月1日2月28日が日曜日のため繰下げ決算日 + 2か月
保存期間10年間(2037年3月1日まで)提出期限の翌日から。欠損金額が生じた事業年度は10年
最終親会社等届出事項2027年1月4日12月31日が年末年始の休日のため繰下げ最終親会計年度の終了の日まで
国別報告事項提供不要終了の日の翌日から1年以内
事業概況報告事項2028年1月4日12月31日が年末年始の休日のため繰下げ終了の日の翌日から1年以内
別表17(4)(国外関連者に関する明細書)確定申告書に添付(2027年3月1日)国外関連者の名称・所在地・取引の種類と金額・算定方法など。同時文書化が免除でも添付

月末決算が前提:決算月の月末日を事業年度終了の日として計算しています。月末以外の日(例:6月15日)が終了の日なら、申告期限は終了の日の翌日から2か月以内(例:8月15日)となり、表示と異なります。

期限が土日・祝日・12月29日〜1月3日なら翌日以降の最初の平日に繰り下げて表示しています(国税通則法10条2項)。「1年以内」は終了の日の翌日から起算して1年後の応当日(=翌年の同じ月末)としています。

基礎 ⑬

保存・言語・情報交換 ── 7年(欠損年度は10年)

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑬(数字は事例F)
ハルカ
作ったローカルファイルは、いつまで取っておくんですか。
先生
確定申告書の提出期限の翌日から7年、欠損金額が生じた事業年度は10年なんだ。起算は休日で繰り下がった後の提出期限の翌日からで、図の事例Fは欠損年度だから2037年3月1日までだよ。納税地か国内の事業所で保存して、電子データでもいいんだ。
迷いポイント ローカルファイルもCbCRと同じく各国に自動で送られる?
ハルカ
CbCRと同じように、ローカルファイルも相手国に自動で届くんですよね。
先生
自動的に交換されるのはCbCRなんだ。ローカルファイルは自動的情報交換の対象ではなく、日本で保存しておいて、求められたら出す書類だよ。言語の指定はないけれど、日本語以外なら翻訳文を求められることがあるんだ。
💡 そうだったのか!
保存は申告期限の翌日から7年(欠損年度は10年)。CbCRは自動的に情報交換されますが、ローカルファイルは対象外です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて移転価格税制ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

移転価格税制ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
対象は製品の売買だけ?役務・使用料・金利・保証料も対象①
子会社への売値を変えるとグループ全体の利益も変わる?合計は同じ。変わるのは利益が落ちる国②
レンジに入っていればそれだけで安心?4-5・4-6の要件が前提。外れたら原則平均値(4-8)③
3層構造は届出事項・CbCR・マスターファイル?BEPSの3層はMF・LF・CbCR。日本は届出事項を加えて4つ④⑥
1,000億円未満なら文書化は不要?ローカルファイルは取引ごとに別判定(事例A:T社は義務あり)⑤
外国親の下ならCbCRは不要?原則は条約方式。届かない3つの場合は子会社方式⑦
無形資産取引は3億円の別枠?合計50億円以上または無形3億円以上で義務あり⑧
ローカルファイルは申告期限に提出?作成・保存の義務。提出は調査で求められたとき⑨
16項目はゼロから自由に書く?例示集とサンプルの順番で埋める⑩
免除なら書類は何も要らない?対象のまま。調査では60日以内の指定日⑪⑫
ローカルファイルも自動で各国へ?自動的情報交換はCbCRだけ⑬
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。移転価格は利益率がレンジに入っているかで見て、外れたら原則平均値まで直される。文書化は1,000億円のグループの物差しと、国外関連者ごとの50億円/3億円の物差しが別々にあるんだ。
ハルカ
前は「書類は税務署に出すもの」と思っていました。今日で、ローカルファイルは自分の値段を説明するために、先に作っておくものだと分かりました。
先生
その言い方で合っているよ。一つだけ足すと、免除の取引でも説明は求められるから、説明できる準備は全部の取引に要るんだ。
ハルカ
では上司には、「タイの子会社は、世間並みより少し控えめな性格です」と報告します。
先生
性格ではなく数字で、「1.2%でレンジの下限2.1%を下回っています」と伝えようね。次の応用編では、外国の親会社やグループの範囲、更正されたあとの相互協議を見ていこうか。

参考資料

租税特別措置法66条の4(第6項・第7項・第12項・第14項・第17項・第18項)・66条の4の4・66条の4の5/同施行規則22条の10・22条の10の4・22条の10の5/移転価格事務運営要領(事務運営指針)3-5・4-5・4-6・4-8/国税庁「移転価格税制に係る文書化制度(FAQ)」(令和6年6月)・「ローカルファイル作成に当たっての例示集」(令和2年6月)・「同時文書化対応ガイド」/OECD移転価格ガイドライン第5章。ラボと記事の数値はすべて独自の学習用で、実際の申告・文書の作成には使えません。
このシリーズの記事:📙 応用編/📘 設例・基本の3パターン編/📘 設例・外国親・期限・調査編/🧭 算定方法編/🧰 ローカルファイル作成編
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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。