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所得税法ラボ【応用編】|図で学ぶ納税者の種類・帳簿との違い・損益通算・青色申告と手続

所得税法ラボ【応用編】|図で学ぶ納税者の種類・帳簿との違い・損益通算・青色申告と手続

無料の学習ツール「所得税法ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「納税者の種類から」「会計との違いから」「テーマから」「手続・期限から」「設例・試算」の各タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。全体像タブの内容は基礎編で扱っています。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

🧮 設例・試算 ラボの図
476万75,043Aさん還付 12,757円635万441,582Bさん納付 91,500円440万96,076Cさん還付 121,824円灰=総所得金額/紺=所得税+復興特別所得税(円)
はじめに

今日の題材 ── 3人を並べると見えること

📍 ラボの場所:設例・試算タブ F
ハルカ
先生、基礎編では会社員のAさんを追いました。応用編では誰を見るんですか。
先生
今日は、個人事業者のBさんと、給与と不動産のCさんが加わるよ。3人の総所得金額と税額、確定申告で納める額・戻る額を並べた図から始めようか。
ハルカ
Aさんは還付 12,757円、Bさんは納付 91,500円、Cさんは還付 121,824円です。Cさんの還付がいちばん大きいですね。
先生
Cさんは不動産の赤字を給与所得と通算したからなんだ。今日は納税者の種類、帳簿との違い、損益通算と純損失、源泉徴収と青色申告、手続の期限の順に見ていくよ。
ラボの「納税者の種類から」タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
👤 納税者の種類から ラボの表
赤字=申告不要・対象外・できない緑字=控除・特典・還付太字=手続の名前(小さい文字)=根拠灰色のマス=その納税者には関係がない
納税者の種類課税される所得の範囲所得の計算の中心所得控除・税額控除源泉徴収・年末調整申告・納付届出・特典
会社員(給与所得者)居住者・給与だけすべての所得(所得税法第7条第1項第1号)
  • 給与所得=収入−給与所得控除(第28条)
  • 特定支出控除の特例あり(第57条の2)
社会保険料・生命保険料・配偶者・扶養・基礎などは年末調整で、医療費・寄附金・雑損・住宅ローン控除1年目は確定申告で
  • 毎月源泉徴収(第183条)、年末調整(第190条)
  • 扶養控除等申告書を提出(第194条)
  • 給与2,000万円以下で他の所得20万円以下なら申告不要(第121条第1項)
  • 還付申告は可(第122条)
開業届・青色申告は対象外(給与所得は青色申告の対象でない)
個人事業者(青色申告)事業所得・承認ありすべての所得
  • 事業所得=総収入−必要経費(第27条・第37条)
  • 青色申告特別控除10・55・65万円、令和9年分以後は10・65・75万円(措置法第25条の2)
  • 社会保険料(国保・国民年金)・小規模企業共済等掛金控除(第75条)など
  • 配偶者が専従者なら配偶者控除は不可(第2条第1項第33号)
  • 報酬を受ける業種は10.21%の源泉徴収(第204条・第205条、復興財源確保法第28条)
  • 給与を払えば自分が源泉徴収義務者(第183条)
  • 確定申告(2月16日〜3月15日、第120条)
  • 予定納税(第104条)
  • 純損失の繰越3年(第70条)・繰戻し還付(第140条)
開業届(第229条)、青色申告承認申請(第144条:3月15日まで・開業から2か月以内)、青色事業専従者給与の届出(第57条第2項)
個人事業者(白色申告)事業所得・承認なしすべての所得
  • 事業所得=総収入−必要経費(第37条)
  • 特別控除なし
  • 同上
  • 事業専従者控除は配偶者86万円・その他50万円が上限(第57条第3項)
同上
  • 確定申告
  • 純損失の繰越は変動所得・被災事業用資産の損失だけ(第70条第2項)
  • 開業届(第229条)
  • 帳簿の備付け・保存義務あり(第232条)
不動産オーナー家賃収入がある人すべての所得
  • 不動産所得=総収入−必要経費(第26条)
  • 減価償却費(第49条)・借入利子・固定資産税が主な経費
  • 給与と合わせて所得控除
  • 事業的規模(5棟10室が目安)なら青色申告特別控除65万円(令和9年分以後は75万円も)・専従者給与が使える
  • 事業的規模でなければ10万円が上限
  • 給与があれば給与分は年末調整
  • 不動産所得は申告で精算
  • 確定申告(第120条)
  • 赤字は給与所得などと損益通算(第69条)
  • ただし土地等の取得に係る借入利子分は通算できない(措置法第41条の4)
開業届(第229条)、青色申告承認申請(第144条)
年金受給者公的年金等が中心すべての所得雑所得=公的年金等の収入−公的年金等控除(第35条第2項第1号・第4項)
  • 社会保険料(介護保険料など)・配偶者・基礎控除など
  • 扶養親族等申告書を年金の支払者に提出(第203条の6)
  • 年金の支払時に源泉徴収(第203条の2)
  • 年末調整はない
  • 年金400万円以下(全部が源泉徴収の対象)で他の所得20万円以下なら申告不要(第121条第3項)
  • 医療費控除などは還付申告
—
退職する人退職金を受ける年
  • すべての所得
  • 退職所得は分離して計算
  • 退職所得=(収入−退職所得控除)×1/2(第30条)
  • 勤続5年以下の短期退職手当等は300万円超の部分は1/2なし
退職所得からも所得控除を引ける(所得控除の順序、第87条)退職所得の受給に関する申告書を出せば分離課税で源泉徴収が完結(第199条・第201条・第203条)申告書を出して源泉徴収されていれば確定申告不要(第121条第2項)—
非居住者国内に住所も1年以上の居所もない国内源泉所得だけ(第7条第1項第3号・第161条)
  • 恒久的施設(PE)の有無で総合課税の範囲が変わる(第164条)
  • PEがなければ源泉分離が中心
所得控除は雑損・寄附金・基礎控除だけ(第165条)国内源泉所得の支払時に20.42%などで源泉徴収(第212条・第213条)
  • 総合課税の所得があれば確定申告(第166条で居住者の規定を準用)
  • 納税管理人の届出(国税通則法第117条)
開業届は国内で事業を始めたときに必要(第229条)
非永住者日本国籍なし・過去10年のうち国内5年以下国外源泉所得以外の所得+国外源泉所得のうち国内で支払われ又は送金されたもの(第7条第1項第2号)居住者と同じ計算居住者と同じ居住者と同じ居住者と同じ(確定申告書に非永住者の明細を添付)—
源泉徴収義務者(給与を払う側)会社・個人事業者自分の所得税ではなく、支払先の所得税を預かって納める(第6条)——
  • 給与・退職金・報酬・年金・利子配当などを支払うとき徴収(第181条〜第215条)
  • 翌月10日までに納付(第183条第1項)
  • 常時10人未満なら納期の特例(7月10日・1月20日、第216条)
  • 納付しないと税務署長が徴収(第221条)
  • 源泉徴収票(第226条)・支払調書(第225条)を翌年1月31日までに提出
  • 給与支払事務所等の開設届出(第230条)
納税者の種類

会社員・個人事業者・不動産オーナー・年金受給者 ── 6列の違い

📍 ラボの場所:納税者の種類からタブ 早見表
ハルカ
9種類の納税者に、課税される所得の範囲・所得の計算・控除・源泉徴収と年末調整・申告と納付・届出と特典の6列があります。
先生
同じ所得税法でも、立場で効く規定がまるで違うんだ。会社員は源泉徴収と年末調整、個人事業者は確定申告・予定納税・青色申告が中心になるよ。
迷いポイント 会社員の副業、売上が20万円を超えたら確定申告?
ハルカ
年末調整ラボで、判定は売上ではなく所得だと習いました。売上30万円でも、経費を引いた所得が20万円以下なら申告不要ですね。
先生
よく覚えていたね。給与2,000万円以下で、給与・退職以外の所得が20万円以下なら申告不要(第121条第1項)。ただ住民税の申告は、別に必要になることがあるよ。
ハルカ
年金受給者の行には、年末調整はないと書いてあります。
先生
年金は支払のときに源泉徴収される(第203条の2)けれど、年末調整はないんだ。年金400万円以下で全部が源泉徴収の対象、他の所得20万円以下なら申告不要(第121条第3項)だよ。
💡 そうだったのか!
納税者の種類で6つの答えが変わります。申告不要の判定は売上ではなく所得で行います(第121条第1項・第3項)。申告不要の人も、還付を受けたいときは申告できます。
🔁 会計との違いから ラボの表
加算所得が増える(帳簿の利益に足す)減算所得が減る(帳簿の利益から引く)赤字=必要経費にならない・課税される緑字=必要経費になる・非課税・控除できる事業主貸事業主借=帳簿で所得の外に出す科目(小さい文字)=根拠
論点📒 会計(帳簿)🧾 所得税法📝 決算書・申告書での書き方
売上の計上時期収入
  • 発生主義で、商品を引き渡した日・役務を提供した日に売上を計上する
  • 入金日ではない
  • その年において収入すべき金額を総収入金額に算入する(権利確定主義。所得税法第36条第1項)
  • 小規模事業者で届出をした青色申告者は現金主義を選べる(所得税法第67条)
青色申告決算書の「売上(収入)金額」。期末の売掛金は貸借対照表に残す。入金ベースで集計していた場合は未入金分を加算。
自家消費・贈与収入商品を自分で使った・人にあげた分は、帳簿では売上に出ないことが多い
  • 棚卸資産を家事のために消費した場合や贈与した場合は、その時の価額(通常の販売価額)を総収入金額に算入する(所得税法第39条・第40条)
  • 通達で販売価額の70%相当以上なら認められる取扱い(所得税基本通達39-2)
青色申告決算書の「家事消費等」欄に記載して加算。相手科目は事業主貸。
家事関連費経費自宅兼事務所の家賃・光熱費・車の費用は、帳簿では全額を経費にしがち
  • 家事上の経費とこれに関連する経費は必要経費に算入しない
  • 業務に必要な部分を明らかに区分できる場合のみ、その部分が必要経費になる(所得税法第45条第1項第1号・施行令第96条)
家事分を按分して必要経費から除き、事業主貸で処理する(帳簿の利益から所得を出すときは加算)。青色申告決算書では経費の各科目から家事分を除いた金額を書く。
所得税・住民税・延滞税経費事業主の所得税や住民税を「租税公課」で払うと費用になる
  • 所得税・住民税は必要経費に算入しない(所得税法第45条第1項第2号・第4号)
  • 延滞税・加算税・罰金も必要経費にならない(同項第3号・第7号)
  • 事業税・固定資産税(事業用)・消費税(税込経理)は必要経費になる
租税公課から除き、事業主貸で処理する(帳簿の利益から所得を出すときは加算)。事業税は必要経費として残す。
減価償却費経費
  • 企業会計では、選んだ償却方法に従って計画的・規則的に償却する
  • 法人税法は損金経理した額を限度に損金算入するので、税務上は任意償却になる
  • 所得税では償却費は政令の方法で計算した金額を必ず必要経費に算入する(強制償却。所得税法第49条第1項)
  • 届出がなければ定額法(施行令第125条)
  • 10万円未満は全額必要経費
  • 青色申告の中小事業者は40万円未満(令和8年4月1日以後の取得。それまでは30万円未満)の少額減価償却資産を年300万円まで全額必要経費にできる(措置法第28条の2)
青色申告決算書の「減価償却費の計算」に資産ごとに記載。帳簿の償却額と法定の償却額が違えば差額を加算または減算。
青色事業専従者給与経費配偶者や子に払う給与は、帳簿では給料として費用になる
  • 生計を一にする親族への対価は原則として必要経費に算入しない(所得税法第56条)
  • 青色申告者が届出の範囲内で支払う青色事業専従者給与は、労務の対価として相当な金額まで必要経費になる(所得税法第57条第1項・第2項)
  • 白色は配偶者86万円・その他50万円の事業専従者控除(第57条第3項)
青色申告決算書の「専従者給与」欄。届出額を超える部分は加算事業主貸。専従者は配偶者控除・扶養控除の対象にならない(所得税法第2条第1項第33号・第34号)。
貸倒引当金経費回収できなさそうな売掛金に見積りで引当金を計上する
  • 青色申告者が事業の売掛金・貸付金について繰り入れた貸倒引当金は、繰入限度額まで必要経費に算入する(所得税法第52条第1項・第2項)
  • 白色申告者は個別評価分のみ
  • 翌年に必ず総収入金額に戻し入れる(同条第3項)
青色申告決算書の「貸倒引当金繰入額の計算」。限度額を超える繰入れは加算。
棚卸資産の評価経費期末在庫を実地棚卸で数え、原価で評価する
  • 期末棚卸資産の評価方法は届出により選定し、届出がなければ最終仕入原価法(所得税法第47条・施行令第99条・第102条)
  • 評価損は原則認められない
青色申告決算書の「期末商品(製品)棚卸高」。売上原価=期首+仕入−期末。
固定資産の売却損益収入事業用の車や機械を売った損益は、帳簿では固定資産売却損益(事業の損益)になる
  • 事業用の固定資産の譲渡は事業所得ではなく譲渡所得になる(所得税法第33条第1項・第27条第1項かっこ書)
  • 売却損は総合課税の譲渡所得で損益通算の対象(所得税法第69条第1項)
青色申告決算書から除いて減算事業主借または加算事業主貸し、確定申告書第二表・第三表(分離課税の場合)で譲渡所得として計算。
受取利息・配当収入事業用口座の預金利息は、帳簿では営業外収益になる
  • 預貯金の利子は利子所得(所得税法第23条)で、源泉分離課税で完結する(措置法第3条)
  • 事業所得に含めない
  • 配当は配当所得(所得税法第24条)
青色申告決算書から除いて減算事業主借。源泉徴収された利子は申告不要。
生命保険料・国民年金・国保経費事業主自身の保険料や年金を帳簿で経費にしてしまうことがある
  • 事業主本人の社会保険料・生命保険料は必要経費にならない
  • 所得控除(社会保険料控除・生命保険料控除)で引く(所得税法第74条・第76条)
  • 従業員分の社会保険料(事業主負担)は必要経費になる
経費から除き、事業主貸で処理する(帳簿の利益から所得を出すときは加算)。確定申告書第一表・第二表の所得控除欄に記載。
資産の損失・貸倒れ経費取引先の倒産で売掛金が回収できなくなった分を貸倒損失にする
  • 事業の遂行上生じた売掛金等の貸倒れによる損失は必要経費に算入する(所得税法第51条第2項)
  • 事業用固定資産の取壊し・災害による損失も必要経費(同条第1項)
青色申告決算書の経費欄(貸倒金)。回収不能が確定した年の必要経費。
青色申告特別控除経費帳簿には出てこない(実際の支出がない控除)
  • 令和8年分までは、複式簿記で記帳し貸借対照表を添付すれば55万円、さらにe-Tax または優良な電子帳簿なら65万円、それ以外は10万円を、不動産所得→事業所得の順に控除する(措置法第25条の2)
  • 所得が控除額に満たなければその所得の金額が限度
  • 令和9年分以後は、e-Taxで提出すれば65万円、さらに帳簿の電子保存などの要件を満たせば75万円(55万円控除はなくなる)
  • 10万円控除も、前々年の事業所得または事業的規模の不動産所得の収入金額(それぞれで判定)が1,000万円超なら受けられない
  • 事業的規模でない不動産貸付けは、改正前と同様に最大10万円
青色申告決算書の末尾「青色申告特別控除額」で減算し、「所得金額」を出す。確定申告書第一表の所得金額は控除後の金額。
会計との違い

帳簿/所得税法/決算書・申告書

📍 ラボの場所:会計との違いからタブ 冒頭の表
ハルカ
売上の計上時期、自家消費、家事関連費、所得税・住民税、減価償却費、専従者給与…。法人税法ラボの「会計との違い」と似た表ですね。
先生
似ているけれど、個人には別表四がないんだ。青色申告決算書そのものが所得計算の様式で、帳簿の段階で「事業主貸・事業主借」を使って所得税法に合わせるよ。
迷いポイント 事業主が払った自分の所得税は、租税公課で必要経費になる?
ハルカ
自分の所得税を経費にすれば所得が減って、税金が減って、その税金をまた経費にして…。永久機関ができそうです。
先生
残念ながら、その機械は動かないね。所得税・住民税は必要経費にならないんだ(第45条第1項第2号・第4号)。事業税や事業用の固定資産税は必要経費になるよ。
ハルカ
減価償却費は、利益が少ない年は計上しないで調整してもいいですか。
先生
所得税では強制償却なんだ。法人税は損金経理した額を限度とする任意償却だけれど、個人は政令の方法で計算した償却費が必ず必要経費に入るよ(第49条第1項)。
💡 そうだったのか!
個人は別表四の代わりに、青色申告決算書と事業主貸・事業主借で調整します。所得税・住民税は必要経費にならず(第45条第1項)、減価償却は、企業会計の計画的・規則的な償却とも、法人税の任意償却とも違う強制償却です(第49条第1項)。
🔁 会計との違い A1 ラボの図
帳簿の利益(売上−経費)700万円+家事関連費(第45条)Bさんは帳簿で既に除いているので 0(除いていない人はここで加算)+事業主の国保・年金(第74条)Bさんは帳簿で既に除いているので 0(除いていない人はここで加算)−青色申告特別控除(措置法第25条の2)▲65万円=事業所得の金額635万円
帳簿の利益 700万円 → 事業所得 635万円個人の帳簿には「事業主貸・事業主借」という科目があり、家事分や事業主自身の税金・保険料をここで所得の外に出します。法人と違って別表四のような調整表はなく、青色申告決算書(損益計算書)そのものが所得計算の様式です。
会計との違い A1

帳簿の利益700万円が事業所得635万円になるまで

📍 ラボの場所:会計との違いからタブ A1
ハルカ
Bさんの帳簿の利益は700万円で、事業所得は635万円です。差の65万円が青色申告特別控除ですね。
先生
そう。家事関連費や事業主の国保・年金は、Bさんは帳簿で既に除いているから0なんだ。残る差が、決算書の末尾で引く青色申告特別控除だよ(措置法第25条の2)。
迷いポイント 家事に関係する支出も、事業に役立つと言えば必要経費になる?
ハルカ
私が将来パン屋を開いたら、休日のパン屋巡りも研究費として、全部経費にできますね。
先生
研究熱心なのはいいね。ただ家事関連費は原則として必要経費にならず、業務に必要な部分を明らかに区分できる場合だけ、その部分が経費になるんだ(第45条第1項第1号)。
ハルカ
青色申告特別控除は、65万円のままずっと変わらないんですか。
先生
令和9年分以後は、e-Taxで出せば65万円、さらに帳簿の電子保存などの要件を満たせば75万円になるんだ。逆に10万円の控除だと、Bさんの税金はぐっと増えるよ。
💡 そうだったのか!
事業所得は帳簿の利益 − 青色申告特別控除。家事分や事業主自身の税金・保険料は、帳簿の段階で事業主貸に出します。家事関連費は明らかに区分できる業務の部分だけが必要経費です(第45条第1項第1号)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・試算タブで「設例:Bさん(個人事業者・青色申告)」を選ぶ
  2. 「青色申告特別控除」を「10万円(簡易簿記など)」に切り替える

👀 課税総所得金額が 4,300,000円から 4,900,000円に増え、確定申告で納める税金が 91,500円から 214,100円に変わります。

ラボを開く ▶
🔁 会計との違い A2 ラボの図
520万円給与所得+▲80万円不動産所得=440万円総所得金額損益通算(所得税法第69条第1項)
赤字 ▲80万円を給与所得から引くと、総所得金額は 440万円。税額は 212,061円 → 96,076円に下がる不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の赤字は、他の所得から差し引けます(所得税法第69条第1項)。ただし不動産所得の赤字のうち、土地を買うための借入利子に相当する部分は通算できません(措置法第41条の4)。
会計との違い A2

損益通算 ── 不動産の赤字を給与所得から引く

📍 ラボの場所:会計との違いからタブ A2
ハルカ
Cさんは給与所得520万円で、不動産所得が80万円の赤字です。通算すると、総所得金額は440万円になるんですね。
先生
会計では事業ごとに損益を見るけれど、所得税は人単位で10種類の所得を合算するんだ。不動産の赤字を給与所得から引けるのが損益通算だよ(第69条第1項)。
迷いポイント どの所得の赤字でも、給与所得と通算できる?
ハルカ
副業のネット販売が赤字なら、それも給与から引けると思っていました。
先生
通算できるのは不動産・事業・山林・譲渡の4つの所得の損失だけで、副業の雑所得の赤字は通算できないんだ。不動産の赤字でも、土地を買う借入利子の分は通算できないよ(措置法第41条の4)。
ハルカ
Cさんの税額は、212,061円から96,076円に下がっています。
先生
年末調整で納めた217,900円との差で、121,824円が還付されるんだ。この還付を受けるために、Cさんは確定申告をするよ。
💡 そうだったのか!
損益通算できるのは不動産・事業・山林・譲渡所得の損失だけです(第69条第1項)。雑所得の赤字や、土地取得の借入利子に相当する不動産の赤字は通算できません。Cさんは総所得金額が520万円→440万円になり、121,824円の還付を受けます。
🧩 テーマから ラボの図
1年目事業所得 ▲300万純損失 300万を第四表で申告繰越残 300万2年目所得 100万繰越控除 100万 → 課税所得 0繰越残 200万3年目所得 150万繰越控除 150万 → 課税所得 0繰越残 50万4年目所得 200万残り 50万を控除 → 課税所得 150万繰越残 0万5年目所得 200万繰越はもう使えない(3年で期限切れ)繰越残 0万
1年目:純損失 300万を第四表で申告1年目に青色申告書で確定損失申告(第四表)をすると、純損失300万円を翌年以後3年間繰り越せます(所得税法第70条第1項・第123条)。
  • 損益通算の対象不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つの損失だけが、他の所得と通算できます(所得税法第69条第1項)。給与・配当・一時・雑所得の赤字は通算できません。
  • ⚠ 注意通算できない損失不動産所得の赤字のうち土地等を取得するための借入利子に相当する部分(措置法第41条の4)、生活に通常必要でない資産(別荘・ゴルフ会員権など)の損失(所得税法第69条第2項)、株式等の譲渡損(措置法第37条の10・第37条の11で分離)は通算できません。
  • 順序まず経常所得(利子・配当・不動産・事業・給与・雑)の中で通算し、次に譲渡・一時所得と通算し、最後に山林・退職所得と通算します(施行令第198条)。
  • 純損失の繰越控除通算してもなお残る純損失は、青色申告者なら翌年以後3年間繰り越して控除できます(所得税法第70条第1項)。白色申告者は変動所得の損失と被災事業用資産の損失だけ(同条第2項)。
  • 純損失の繰戻し還付青色申告者は、純損失を前年に繰り戻して前年の所得税の還付を請求できます(所得税法第140条)。
  • 💡 実務雑損失の繰越災害・盗難による雑損控除で引ききれない雑損失は、白色でも3年間繰り越せます(所得税法第71条)。
テーマ 1

純損失の繰越控除 ── 3年間の年表

📍 ラボの場所:テーマからタブ
ハルカ
開業1年目の赤字300万円を、2年目に100万円、3年目に150万円、4年目に50万円と使って、5年目にはもう残っていないんですね。
先生
損益通算しても残る純損失は、青色申告なら翌年以後3年間繰り越せるんだ(第70条第1項)。1年目に第四表で確定損失申告をしておくのが前提だよ。
迷いポイント 個人の純損失も、法人の欠損金と同じように10年繰り越せる?
ハルカ
法人税法ラボで、欠損金は10年繰り越せて、大法人は所得の50%までと習いました。個人も同じだと思っていました。
先生
よく覚えていたね。個人の純損失は3年で、白色申告なら変動所得と被災事業用資産の損失だけなんだ。その代わり、法人のような50%の制限はないよ。
ハルカ
3年を過ぎた純損失は、賞味期限切れの食材みたいに捨てるしかないんですね。
先生
だから期限の前に使う順番を考えるんだ。青色申告なら、前年に繰り戻して前年の所得税の還付を請求する道もあるよ(第140条)。
💡 そうだったのか!
純損失は青色申告なら3年間繰り越せます(第70条第1項)。法人の欠損金(10年)より短い一方、50%のような控除の制限はありません。前年への繰戻し還付(第140条)もあります。
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  1. 設例・試算タブで「純損失を3年間で使う(青色)」を選び、「次へ」を押していく

👀 1年目の純損失 300万円が、繰越残 200万円、50万円、0(使い切り)と減っていき、最後に繰戻し還付(第140条・第142条)の説明が出ます。

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🧩 テーマから ラボの図
  • ✔ 要点総合課税と分離課税所得税法の本則は10種類の所得を合計して超過累進税率を掛ける総合課税です。ただし退職所得・山林所得は本則でも別枠で計算し、土地・建物・株式などは措置法で分離課税になります。
  • 退職所得(収入−退職所得控除)×1/2 に、他の所得と分けて税率を適用します(所得税法第30条・第89条)。勤続20年までは年40万円、20年超は年70万円の控除です。
  • 土地・建物の譲渡所有期間5年超の長期譲渡所得は15%、5年以下の短期は30%(いずれも所得税。住民税は別)で分離課税です(措置法第31条・第32条)。居住用財産の3,000万円控除などの特例があります。
  • 株式等の譲渡・配当上場株式等・一般株式等の譲渡所得等は15%の分離課税(措置法第37条の10・第37条の11)。上場株式等の譲渡損は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当等と損益通算し、3年間繰り越せます(措置法第37条の12の2)。上場株式等の配当は総合課税か申告分離課税(15%)か申告不要を選べます(措置法第8条の4・第8条の5)。
  • ⚠ 注意分離課税の所得は損益通算の相手にならない分離課税の赤字は原則として総合課税の黒字と通算できません。給与と株式の損は別世界です(措置法第37条の10第1項)。
  • 💡 実務復興特別所得税分離課税の15%にも復興特別所得税2.1%(令和9年分以後は復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1%。合計は同じ)が上乗せされ、15.315%になります(復興財源確保法第13条)。住民税5%と合わせて20.315%です。
テーマ 2

総合課税と分離課税 ── 株の損は給与と通算できない

📍 ラボの場所:テーマからタブ
ハルカ
退職所得と山林所得は本則でも別枠、土地・建物・株式は措置法で分離課税なんですね。
先生
総合課税は10種類を合計して累進税率を掛けるけれど、分離課税は別の財布で計算するんだ。上場株式等の譲渡は15%に2.1%を上乗せして15.315%で、令和9年分以後の上乗せは復興1.1%と防衛1%だよ。
迷いポイント 株で出た損は、給与所得と相殺できる?
ハルカ
株の損も赤字なので、給与から引けば税金が戻ると思っていました。
先生
分離課税の赤字は、原則として総合課税の黒字と通算できないんだ(措置法第37条の10第1項)。上場株式等の譲渡損は、申告分離課税を選んだ上場株式等の配当等と通算し、3年間繰り越せるよ(措置法第37条の12の2)。
💡 そうだったのか!
土地・建物・株式は措置法の分離課税で、給与と株の損は通算できません。上場株式等の譲渡損は、申告分離課税を選んだ上場株式等の配当等との通算・3年の繰越ができます。
🧩 テーマから ラボの図
  • 源泉徴収の対象利子・配当(所得税法第181条)、給与第183条、退職手当第199条、公的年金第203条の2、報酬・料金第204条、非居住者等への支払第212条など、支払の種類ごとに定めがあります。
  • 税率の例利子15%・配当20%第182条、報酬・料金10%(100万円超の部分は20%。第205条)、非居住者20%第213条。これに復興特別所得税2.1%(令和9年分以後は復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1%。合計は同じ)が上乗せされます(復興財源確保法第28条)。報酬の10.21%・20.42%は代表例で、司法書士や外交員の報酬などは一定額を差し引いてから計算するなど、計算方法が異なるものがあります。給与は税額表(別表第二〜第四)によります第185条・第186条。
  • 納付期限徴収した月の翌月10日までに納付します(所得税法第183条第1項・第220条)。常時10人未満の給与支払者は、納期の特例で年2回にできます第216条。対象は給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬から徴収した分に限られます。
  • 年末調整給与の支払者が、その年最後の給与でその年の所得税を計算し直し、源泉徴収した合計額との差額を精算します(所得税法第190条)。給与2,000万円超の人や扶養控除等申告書を出していない人は対象外です。
  • ⚠ 注意源泉徴収しなかったら税務署長は支払者から徴収します(所得税法第221条)。不納付加算税(国税通則法第67条)と延滞税第60条がかかります。
  • 💡 実務年末調整でできない控除医療費控除・雑損控除・寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)・住宅ローン控除の1年目は確定申告が必要です。
テーマ 3

源泉徴収と年末調整 ── 支払う側の義務

📍 ラボの場所:テーマからタブ
ハルカ
利子・配当・給与・退職手当・年金・報酬…。支払の種類ごとに、源泉徴収の条文があるんですね。
先生
所得税の多くは、本人ではなく支払う側が徴収して納めるんだ。徴収した月の翌月10日までに納付するよ(第183条第1項・第220条)。
迷いポイント 外注先への報酬で源泉徴収を忘れたら、困るのは外注先?
ハルカ
外注先の税金なので、外注先が自分で申告すれば済むと思っていました。うちの会社は、ほっと一息ですね。
先生
一息つくのはまだ早いよ。源泉徴収しなかった税額は、税務署長が支払者から徴収するんだ(第221条)。不納付加算税や延滞税も、支払者にかかるよ。
ハルカ
払い忘れた分を外注先から返してもらうのは、気まずそうです。
先生
だから支払の前に、源泉徴収の対象かを確かめる仕組みが大事なんだ。原稿料やデザイン料なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%だよ。
ハルカ
どの報酬も、その税率で計算すればいいんですね。
先生
それは代表例なんだ。司法書士や外交員の報酬のように、一定額を差し引いてから計算するものもあるから、支払の種類ごとに確かめようか。
💡 そうだったのか!
源泉徴収は支払者の義務です。徴収しなかった税額は支払者から徴収され(第221条)、不納付加算税(国税通則法第67条)と延滞税がかかります。
🧩 テーマから ラボの図
  • ✔ 要点青色申告の特典青色申告特別控除(措置法第25条の2)、青色事業専従者給与(所得税法第57条第1項)、純損失の3年繰越第70条第1項と繰戻し還付第140条、貸倒引当金第52条、40万円未満(令和8年4月1日以後の取得)の少額減価償却資産(措置法第28条の2)など。
  • 要件不動産・事業・山林所得を生ずべき業務を行う人が、税務署長の承認を受け(所得税法第143条・第144条)、帳簿書類を備え付けて記録・保存します第148条。
  • 承認のタイミングその年の3月15日まで、1月16日以後の開業なら開業から2か月以内に申請します第144条。年末までに却下の通知がなければ承認されたものとみなされます第147条。
  • ⚠ 注意承認の取消し帳簿の備付け・記録・保存が省令どおりでない、税務署長の指示に従わない、隠蔽・仮装があると、その年までさかのぼって取り消されます(所得税法第150条)。
  • 更正の制限青色申告者の所得の更正は、帳簿書類を調査して誤りがあると認められる場合に限られ、理由を付記した通知が必要です(所得税法第155条)。
  • 💡 実務白色申告でも帳簿は必要不動産・事業・山林所得がある人は、白色でも帳簿を備え付けて記録・保存する義務があります(所得税法第232条)。
テーマ 4

青色申告の特典と要件

📍 ラボの場所:テーマからタブ
ハルカ
特別控除、専従者給与、純損失の3年繰越、繰戻し還付、貸倒引当金、少額減価償却資産…。特典がたくさんありますね。
先生
その代わり、帳簿を備え付けて記録・保存し、税務署長の承認を受けるのが条件なんだ(第143条・第144条・第148条)。
迷いポイント 青色申告の承認申請は、確定申告のときに一緒に出せばよい?
ハルカ
法人税法ラボで、法人の承認申請は事業年度開始の日の前日までと習いました。個人は暦年だから、前年の12月31日までですか。
先生
惜しいね。個人はその年の3月15日まで、1月16日以後に開業したなら開業から2か月以内なんだ(第144条)。年末までに却下の通知がなければ、承認されたものとみなされるよ(第147条)。
ハルカ
一度承認されたら、ずっと青色のままでいられますか。
先生
帳簿が省令どおりでなかったり、隠蔽・仮装があったりすると、その年までさかのぼって取り消されるんだ(第150条)。特典は帳簿とセットだよ。
💡 そうだったのか!
青色申告は承認申請(その年の3月15日まで。1月16日以後の開業は2か月以内)と帳簿の備付け・保存が条件です(第144条・第148条)。帳簿の不備は承認の取消し(第150条)につながります。
⏱ 手続・期限から 1 ラボの図
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月翌1月翌2月翌3月3月15日前年分の確定申告・納付(第120条・第128条)7月31日予定納税 第1期(第104条)11月30日予定納税 第2期(第104条)翌3月15日確定申告で精算(第120条)
個人事業者(予定納税あり)前年の税額(予定納税基準額)が15万円以上なら、7月と11月に3分の1ずつ前払いし、翌年3月の確定申告で精算します。
手続・期限 1

⑤ どう納める ── 1年のカレンダー

📍 ラボの場所:手続・期限からタブ 1
ハルカ
個人事業者は3月15日の確定申告、7月31日と11月30日の予定納税。1年に山が3つありますね。
先生
前年の税額(予定納税基準額)が15万円以上なら、7月と11月に3分の1ずつ前払いするんだ(第104条第1項)。業績が落ちたら減額申請もできるよ(第111条)。
迷いポイント 予定納税は、確定申告とは別の税金?
ハルカ
7月と11月に払う税金は、3月に払う税金とは別物だと思っていました。
先生
同じ年分の所得税の前払いなんだ。Bさんは源泉徴収15万円と予定納税20万円を先に納めているから、3月15日に納めるのは 91,500円で済むよ。
ハルカ
会社の経理が源泉所得税を納めるのは、毎月10日ですよね。
先生
原則は徴収した月の翌月10日だよ。給与を受ける人が常時10人未満なら、納期の特例で1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日の年2回にできるんだ(第216条)。
ハルカ
外注先のデザイン料の分も、まとめて年2回でいいですか。
先生
納期の特例の対象は、給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬の分だけなんだ。デザイン料の分は翌月10日のままだよ。
💡 そうだったのか!
個人事業者の山は3月・7月・11月。予定納税は前年の税額15万円以上で7月と11月に3分の1ずつ(第104条)。源泉所得税は翌月10日、納期の特例なら7月10日・翌年1月20日です(第216条。対象は給与・退職手当と税理士等の一定の報酬の分)。
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  1. 手続・期限からタブの「1年のカレンダー」で、「源泉徴収義務者(納期の特例)」を押す

👀 7月10日に「1〜6月分の源泉所得税を納付(第216条)」、翌1月20日に「7〜12月分を納付」、翌1月31日に「源泉徴収票・支払調書を提出(第226条・第225条)」が並びます。

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⏱ 手続・期限から 2 ラボの表
時期手続期限だれが条文
開業時開業等の届出開業した年分の確定申告期限まで(令和8年1月1日以後の開業から。それまでは1か月以内)新たに事業を始めた人所得税法第229条
開業時青色申告承認申請適用を受ける年の3月15日まで。1月16日以後の開業は開業から2か月以内不動産・事業・山林所得がある人所得税法第144条
開業時青色事業専従者給与に関する届出3月15日まで。1月16日以後の開業・新たな専従者は2か月以内家族に給与を払う青色申告者所得税法第57条第2項
開業時給与支払事務所等の開設届出開設から1か月以内給与を払い始めた人所得税法第230条
開業時源泉所得税の納期の特例の承認申請随時(提出した月の翌月から適用)給与の支払を受ける人が常時10人未満の支払者所得税法第216条・第217条
毎月源泉所得税の納付徴収した月の翌月10日まで給与・報酬などを支払う源泉徴収義務者所得税法第183条第1項・第204条第1項・第220条
毎月納期の特例による納付1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日納期の特例の承認を受けた支払者(対象は給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬の源泉所得税に限る)所得税法第216条
7月予定納税 第1期7月1日〜7月31日(予定納税基準額の3分の1)予定納税基準額が15万円以上の人所得税法第104条第1項
7月予定納税額の減額申請(第1期・第2期分)7月1日〜7月15日6月30日の現況で税額が減ると見込まれる人所得税法第111条第1項・第112条
11月予定納税 第2期11月1日〜11月30日(予定納税基準額の3分の1)同上所得税法第104条第1項
11月予定納税額の減額申請(第2期分)11月1日〜11月15日10月31日の現況で税額が減ると見込まれる人所得税法第111条第2項
12月年末調整その年最後の給与の支払時扶養控除等申告書を提出した給与2,000万円以下の人の給与支払者所得税法第190条
翌1月源泉徴収票・支払調書・法定調書合計表の提出翌年1月31日まで給与・報酬などの支払者所得税法第226条・第225条
翌1月還付申告翌年1月1日から5年間源泉徴収税額が多すぎた人(医療費控除など)所得税法第122条・国税通則法第74条
翌2〜3月確定申告翌年2月16日〜3月15日所得税額が配当控除等を超える人など所得税法第120条第1項
翌2〜3月確定申告による納付3月15日まで(振替納税は4月中旬の振替日)申告納税額がある人所得税法第128条
翌2〜3月延納の届出3月15日までに2分の1以上を納付し、残りは5月31日まで(利子税あり)一度に納付できない人所得税法第131条
翌2〜3月純損失の繰戻し還付請求確定申告書の提出と同時純損失が生じた青色申告者所得税法第140条・第142条
申告後修正申告税額が少なすぎたとき、更正があるまでいつでも納税者国税通則法第19条
申告後更正の請求法定申告期限から5年以内税額が多すぎた納税者国税通則法第23条・所得税法第152条・第153条
申告後更正・決定税務署長が行う(原則5年)税務署長国税通則法第24条・第25条・所得税法第154条・第155条
随時死亡した場合の確定申告(準確定申告)相続の開始を知った日の翌日から4か月以内相続人所得税法第124条・第125条
随時出国する場合の確定申告出国の時まで(納税管理人を届け出た場合は通常の期限)年の中途で出国する居住者所得税法第127条・国税通則法第117条
手続・期限 2

届出・申告・納付の一覧(時期順)

📍 ラボの場所:手続・期限からタブ 一覧
ハルカ
時期のボタンが10個あって、開業時だけで5つの手続が並んでいます。
先生
開業届、青色申告承認申請、青色事業専従者給与の届出、給与支払事務所等の開設届出、源泉所得税の納期の特例の承認申請だね。家族や人を雇うかどうかで、出す書類が増えるんだ。
迷いポイント 開業届は、開業から1か月以内に出さないといけない?
ハルカ
開業したら1か月以内、と覚えていました。
先生
令和8年1月1日以後の開業からは、その年分の確定申告期限までに変わったんだ(第229条)。ただ給与支払事務所等の開設届出は1か月以内のまま、青色申告の承認申請は2か月以内だよ。
ハルカ
開業届に余裕ができても、青色の申請を忘れたら意味がないですね。
先生
そう。出し忘れるとその年は白色申告で、特別控除も純損失の繰越も使えないんだ。期限の短いものから出すのが安全だよ。
💡 そうだったのか!
開業届は確定申告期限まで(令和8年1月1日以後の開業。第229条)。一方、青色申告承認申請は開業から2か月以内(第144条)、給与支払事務所等の開設届出は1か月以内(第230条)。期限の短い手続から出します。
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  1. 手続・期限からタブの時期ボタンで、「開業時」を押す

👀 開業等の届出・青色申告承認申請・青色事業専従者給与に関する届出・給与支払事務所等の開設届出・源泉所得税の納期の特例の承認申請の5行に絞られ、それぞれの期限と条文が表示されます。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて所得税法ラボの画面そのものです。各タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
副業の売上が20万円を超えたら確定申告?判定は売上ではなく所得(第121条第1項)。住民税の申告は別に必要なことがある納税者の種類
自分の所得税は租税公課で必要経費になる?所得税・住民税は必要経費にならない(第45条第1項)。事業税・事業用の固定資産税はなる。減価償却は強制償却(法人税は任意償却)会計との違い
家事に関係する支出も必要経費になる?業務に必要な部分を明らかに区分できる場合だけ(第45条第1項第1号)。青色申告特別控除で帳簿の利益700万円→事業所得635万円会計との違い A1
どの所得の赤字でも給与と通算できる?不動産・事業・山林・譲渡の4つだけ(第69条第1項)。雑所得の赤字、土地取得の借入利子分は不可会計との違い A2
個人の純損失も10年繰り越せる?青色申告なら3年(第70条第1項)。50%の制限はない。前年への繰戻し還付もある(第140条)テーマ1
株の損は給与と相殺できる?分離課税の赤字は総合課税と通算できない(措置法第37条の10第1項)。上場株式等は申告分離課税の配当等と通算・3年繰越テーマ2
源泉徴収を忘れたら困るのは外注先?支払者から徴収される(第221条)。不納付加算税・延滞税も支払者に。報酬の10.21%・20.42%は代表例で、計算方法が違う報酬もあるテーマ3
青色申告の承認申請は確定申告と一緒でよい?その年の3月15日まで。1月16日以後の開業は2か月以内(第144条)テーマ4
予定納税は確定申告と別の税金?同じ年分の前払い(第104条)。源泉所得税は翌月10日、納期の特例なら7月10日・翌年1月20日(第216条。給与・退職手当と税理士等の報酬の分だけ)手続・期限1
開業届は1か月以内?令和8年1月1日以後の開業は確定申告期限まで(第229条)。給与支払事務所等の開設届出は1か月以内(第230条)手続・期限2
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。所得税は納税者の種類で効く規定が変わる。個人は帳簿の利益を所得に直し、赤字は4つの所得だけ通算して、青色なら3年繰り越す。手続は期限の短いものからなんだ。
ハルカ
前は、確定申告は3月にまとめて片づけるもの、と思っていました。今日は、開業から2か月、7月と11月の予定納税、毎月10日の源泉所得税と、1年中に期限があると分かりました。
先生
それが分かると、3月に慌てるのではなく、1年の予定表で所得税を考えるようになるね。
ハルカ
では、外注先への支払の一覧に「源泉徴収の対象か」の列を足して、来月から毎月確かめます。支払う側の義務は、会社の仕事ですから。
先生
いい仕組みだね。基礎編から読み返すと、5段の⑤と第四編の源泉徴収がつながって見えるはずだよ。

参考資料

所得税法(昭和40年法律第33号。e-Gov法令検索、令和8年10月1日施行の版)、租税特別措置法、所得税法施行令、国税通則法、復興財源確保法、令和8年度税制改正(令和8年12月1日施行・令和8年分以後に適用:基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額、扶養親族等の所得要件、令和9年分以後の防衛特別所得税・青色申告特別控除の見直し)、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」「令和8年度税制改正(個人所得課税)」「防衛特別所得税及び復興特別所得税に関するQ&A」。法令の確認日:2026年10月14日(改正後の金額は2026年10月15日に国税庁資料で確認)。ラボと記事の設例の人物・金額はすべて架空です(単位:円、令和8年分)。条番号・条見出しは、ラボ本体で e-Gov 法令検索の原文と照合しています(通達を除く)。

シリーズ:基礎編/応用編 / 関連:法人税法ラボ【応用編】(会計との違い・別表・手続の期限・グループと国際)/年末調整ラボ【応用編】(対象者・確定申告・実務スケジュール)/別表五(二)ラボ【応用編】(修正申告・附帯税・源泉所得税)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。