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外貨建取引ラボ【設例・金銭債権債務編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎1〜5 売掛金・買掛金・外貨預金・長期借入金・前渡金

外貨建取引ラボ【設例・金銭債権債務編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎1〜5 売掛金・買掛金・外貨預金・長期借入金・前渡金

無料の学習ツール「外貨建取引ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、外貨建金銭債権債務の設例(設例・基礎1〜5)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社・為替相場・設例の数値はすべて架空の例です(原典の設例の数値は使っていません)。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例・基礎1 ラボの画面

前提条件(独自の数値・設定)

  • P社(3月決算)は3月1日に商品を 1,000ドルで輸出した。代金は5月31日に入金される。
  • 為替相場:取引発生時(3/1)120円、決算時(3/31)125円、決済時(5/31)123円。
  • 為替予約はしていない。
📎 実務で確認する資料
  • インボイス・契約書(通貨・金額・決済日)
  • 社内レート表(取引日のTTM、または前月末のTTM)
  • 決算日のTTM(主要取引銀行の公表相場)
はじめに

設例・基礎1〜5 ── 外貨建金銭債権債務を、3つの相場で追う

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎1 ステップ1
ハルカ
先生、設例編の1本目は金銭債権債務ですね。P社は3月1日に 1,000ドル で輸出して、5月31日に入金。相場は 120円 → 125円 → 123円 です。
先生
基礎編では結果だけを見たね。今日は仕訳を1本ずつ置きながら、売掛金・買掛金・外貨預金・長期借入金・前渡金の5つを追っていくんだ。
ハルカ
同じ相場の動きで、債権と債務の向きを確かめるんですね。
先生
そのとおりだよ。最後の前渡金だけは、換算替えしない仲間なんだ。まず売掛金から見ていこうか。
設例・基礎タブの基礎1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎1 ラボの画面
換算差額:為替差益 5,000決済差損益:為替差損 2,000取引発生時 120円① 取引発生時円貨 120,000決算時 125円② 決算時円貨 125,000決済時 123円③ 決済時円貨 123,000円/ドル
🧾 3月31日
決算時:決算時の相場 125 で換算替え
借方金額貸方金額
売掛金5,000為替差益5,000
🧾 5月31日
決済時:入金(決済時の相場 123)
借方金額貸方金額
現金預金123,000売掛金125,000
為替差損2,000
設例・基礎1

売掛金 ── 決算時の為替差益 5,000、決済時の為替差損 2,000

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎1 ステップ3・4
ハルカ
決算時に 125円 で換算替えして為替差益 5,000。決済時は 123円 で入金して、帳簿価額 125,000 との差が為替差損 2,000 です。
先生
決算時の換算差額は当期の為替差損益(基準 一 2(2))、決済に伴う損益も当期の為替差損益(基準 一 3)なんだ。どちらも同じ科目だよ。
迷いポイント 決済時の為替差損 2,000 は、発生時の 120円 と比べて出す?
ハルカ
120円 で記録したので、123円 との差の益 3,000 が決済時の損益になるのだと思いました。
先生
比べる相手は前期末に換算替えした後の帳簿価額 125,000 なんだ。だから当期は損 2,000。前期の益 5,000 と合わせれば益 3,000 で、発生時との差と一致するよ。
💡 そうだったのか!
決済差損益は換算替え後の帳簿価額と決済額の差。2期合計は(決済時の相場 − 発生時の相場)× 外貨額になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「金銭債権債務」で、プリセット「外貨建売掛金」を選ぶ
  2. 決済時の相場を 123 から 115 にする

👀 決済時の為替差損は 2,000 → 10,000。合計は 為替差益 3,000 から 為替差損 5,000 に変わります。

ラボを開く ▶
📘 設例・基礎2 ラボの画面
換算差額:為替差損 10,000決済差損益:為替差益 4,000取引発生時 120円① 取引発生時円貨 240,000決算時 125円② 決算時円貨 250,000決済時 123円③ 決済時円貨 246,000円/ドル
🧾 3月31日
決算時:決算時の相場 125 で換算替え
借方金額貸方金額
為替差損10,000買掛金10,000
🧾 5月31日
決済時:支払(決済時の相場 123)
借方金額貸方金額
買掛金250,000現金預金246,000
為替差益4,000
設例・基礎2

買掛金 ── 同じ相場で、向きが逆になる

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎2 ステップ3・4
ハルカ
Q社の買掛金 2,000ドル は、決算時に 10,000 の為替差損、決済時に 4,000 の為替差益です。売掛金と逆ですね。
先生
債務は円安で払う円が増えるので損、円高に戻ると益なんだ。相場の動きは設例・基礎1と同じで、債権か債務かで向きが変わるよ。
迷いポイント 輸入した原材料の取得原価も、決算時の相場で変わる?
ハルカ
買掛金が 250,000 に増えたので、仕入れた原材料も 250,000 に直すのだと思っていました。
先生
仕入 240,000 は取引発生時に確定して、以後は動かないんだ。棚卸資産ラボでやった「取得原価」は、外貨でも取引時の円貨額で決まるんだよ。換算替えの対象は買掛金だけなんだ。
ハルカ
相場に振り回されるのは買掛金だけで、倉庫の原材料は知らん顔なんですね。
先生
倉庫の原材料は円の取得原価で落ち着いているから、それでいいんだよ。
💡 そうだったのか!
債務は円安で損、円高で益。輸入した棚卸資産は取引発生時の円貨額で確定し、換算替えするのは買掛金だけです。
📝 棚卸資産ラボ【基礎編】(取得原価と期末の評価)記事を読む ▶
📘 設例・基礎3 ラボの画面
換算差額:為替差益 35,000決済差損益:為替差益 5,000取引発生時 118円① 取引発生時円貨 590,000決算時 125円② 決算時円貨 625,000決済時 126円③ 決済時円貨 630,000円/ドル
🧾 3月31日
決算時:決算時の相場 125 で換算替え
借方金額貸方金額
外貨預金35,000為替差益35,000
🧾 4月
円転時(円転時の相場 126)
借方金額貸方金額
現金預金630,000外貨預金625,000
為替差益5,000
設例・基礎3

外貨預金 ── 預入 118円、決算 125円、円転 126円

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎3 ステップ3・4
ハルカ
R社の外貨預金 5,000ドル は、決算時に 35,000 の為替差益、翌期の円転で 5,000 の為替差益です。
先生
外貨預金は銀行に対する外貨建金銭債権なんだ。手元の外国通貨も同じ扱いで、決算時の相場で換算替えして差額は為替差損益だよ(基準 一 2(1)①②)。
迷いポイント 1年超の外貨定期預金なら、預入時の相場のままでよい?
ハルカ
満期までは動かさない預金なら、決算のたびに換算替えしなくてよいのだと思いました。
先生
会計は長期でも決算時の相場なんだ。ただし税務は長期の外貨預金だと発生時換算法が法定なので、会計との差が別表四に出るよ。税務調整編で確かめようか。
💡 そうだったのか!
外貨預金・外国通貨はいつでも円に換えられる貨幣性の典型。決算のたびに決算時の相場で測り直し、差額は損益にします。
📘 設例・基礎4 ラボの画面
1年目:為替差損 50,0002年目:為替差益 70,0003年目:為替差損 40,000取引発生時 120円借入 X1/4円貨 1,200,000決算時 125円X2/3末円貨 1,250,000決算時 118円X3/3末円貨 1,180,000決済時 122円返済 X4/3円貨 1,220,000円/ドル
🧾 X2年3月31日
決算時:決算時の相場 125 で換算替え
借方金額貸方金額
為替差損50,000長期借入金50,000
🧾 X3年3月31日
決算時:決算時の相場 118 で換算替え
借方金額貸方金額
長期借入金70,000為替差益70,000
🧾 X4年3月31日
返済時(返済時の相場 122)
借方金額貸方金額
長期借入金1,180,000現金預金1,220,000
為替差損40,000
設例・基礎4

長期借入金 ── 3年間の換算替えと返済

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4 ステップ3〜5
ハルカ
S社の借入金 10,000ドル は、1年目末に為替差損 50,000、2年目末に為替差益 70,000、返済時に為替差損 40,000。3年合計は損 20,000 です。
先生
毎期、前期末の帳簿価額と比べるんだ。2年目は 125円 → 118円 の円高で益 70,000。返済時は 118円 → 122円 で損 40,000。合計は(122 − 120)× 10,000ドル の損 20,000 と一致するよ。
迷いポイント 2年目の為替差益は、借入時の 120円 と比べる?
ハルカ
借入時より円高になったので、118円 と 120円 の差で益 20,000 だと思いました。
先生
比べるのは前期末の 125円 なんだ。前期にすでに損 50,000 を計上しているので、そこからの戻りで益 70,000 になるよ。基礎編の売掛金と同じ考え方だね。
ハルカ
毎年リセットされないで、前の年の相場を引きずるんですね。借入金は意外と執念深いです。
先生
執念深いというより、前期末の金額が当期の出発点になるだけなんだよ。
💡 そうだったのか!
長期借入金も毎期、前期末の帳簿価額と比べて換算替え。3年合計は(返済時の相場 − 借入時の相場)× 外貨額です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「金銭債権債務」で、プリセット「長期借入金(税務とずれる)」を選ぶ

👀 決算時 為替差損 50,000、決済時 為替差益 30,000(この簡易版は2年目末 118円 を省き、125円 → 122円 で返済します)。合計の為替差損 20,000 は設例と同じです。

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📘 設例・基礎5 ラボの画面
前渡金 500ドル支払時 118円 → 59,000仕入 2000ドル(取引発生)取引時 120円仕入 = 前渡金分 500ドル × 118 + 残り 1500ドル × 120 = 239,000買掛金 = 残り 1500ドル × 120 = 180,000 / 為替差損益なし前渡金は「モノを受け取る権利」で金銭債権ではないので、換算替えしない(第25・26項)
🧾 3月(原則)
仕入(原則:前渡金は支払時の相場、残りは取引発生時の相場 120)
借方金額貸方金額
仕入239,000前渡金59,000
買掛金180,000
🧾 3月(容認)
仕入(容認:全額を取引発生時の相場で計上し、差額は為替差損益)
借方金額貸方金額
仕入240,000前渡金59,000
買掛金180,000
為替差益1,000
設例・基礎5

前渡金 ── 支払時の相場で固定、残りは取引時の相場

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎5 ステップ3・4
ハルカ
T社は前渡金 500ドル を 118円 で払って、2,000ドル の部品を 120円 のときに受け取りました。仕入は 59,000 + 180,000 = 239,000 です。
先生
前渡金は部品を受け取る権利で、外貨建金銭債権ではないんだ(第25項)。だから支払時の相場で固定して、仕入のうち前渡金が充当される分もその相場、残りは取引発生時の相場だよ(第26項)。
迷いポイント 容認処理なら、仕入が 240,000 になって為替差損?
ハルカ
全額を 120円 で計上すると仕入が 1,000 増えるので、その分が為替差損になるのだと思いました。
先生
向きが逆で、為替差益 1,000 なんだ。前渡金 59,000 で消す権利を 60,000 の仕入に充てたので、差の 1,000 は益になるよ。営業利益・経常利益に重要な影響がないときの簡便法だね(第26項ただし書き)。
💡 そうだったのか!
前渡金は金銭授受時の相場で固定し、換算替えしません。容認処理では仕入の全額を取引時の相場にして、差額を為替差損益にします。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて外貨建取引ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
基礎1決済時の損益は発生時の相場と比べる?前期末に換算替えした帳簿価額と比べる。2期合計は(決済時−発生時)×外貨額
基礎2輸入した原材料も決算時の相場で直す?直さない。取引発生時の円貨額で確定。換算替えは買掛金だけ
基礎3長期の外貨定期預金は預入時の相場のまま?会計は決算時の相場。税務は長期なら発生時換算法が法定
基礎42年目の換算差額は借入時の相場と比べる?前期末の帳簿価額と比べる。毎期の差額を積み上げると発生時との差になる
基礎5容認処理なら仕入が増えて為替差損?為替差益 1,000。前渡金を固定した額と取引時の相場の差(第26項ただし書き)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。外貨建金銭債権債務は毎期、前期末の帳簿価額と比べて換算替えし、差額は為替差損益。債権は円安で益、債務は円安で損。前渡金は換算替えしない、という例外も覚えておいてほしいんだ。
ハルカ
前は、為替差損益を「決算のときに出る謎の損益」と思っていました。今日は、どの相場とどの相場の差なのかを、仕訳ごとに言えるようになりました。
先生
どの相場の差かが言えれば、翌期に反対の損益が出ても慌てずに説明できるよ。
ハルカ
次の決算で為替差損が出たら、まず「どの相場との差ですか」と自分に聞いてから、上司に報告します。
先生
その一言が、説明の半分を終わらせてくれるよ。次の為替予約編では、取引の前と後で予約したときの振当処理と、直々差額・直先差額を見ていこうか。

参考資料

外貨建取引等会計処理基準 一 1〜3、注解(注1)(注2)(注4)、移管指針第2号 第25〜28項。企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」・同注解(1999年10月22日最終改訂)、企業会計基準委員会 移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(2024年7月1日最終改正・2024年11月1日修正反映)、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」・移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(2026年10月16日最終改正。2026年10月改正の適用は2030年4月1日以後開始する事業年度から)。基準確認日:2026年10月20日。ラボの設例は、原典の考え方と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです(原典の設例の数値は画面に出していません)。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・為替予約編(基礎6・7、応用1〜3)/設例・外貨建有価証券編(基礎8、応用4〜7)/設例・在外子会社編(基礎9、応用8〜13)/税務調整編

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。