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外貨建取引ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ決算時の平均相場・償却原価法・振当処理の対象・在外子会社の資本連結・税務との関係

外貨建取引ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ決算時の平均相場・償却原価法・振当処理の対象・在外子会社の資本連結・税務との関係

無料の学習ツール「外貨建取引ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。登場する会社・為替相場・設例の数値はすべて架空の例です(原典の設例の数値は使っていません)。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📙 応用 処理早見表
必ずそうなる選択の余地がない処理 「できる」扱い要件を満たせば選べる処理(継続適用) 認められない基準・指針で否定されている処理
① 取引発生時(基準 一 1、注解(注1)〜(注3)、第2・25〜27項)
論点原則の処理認められる扱い・例外根拠
換算の相場取引発生時の直物為替相場「できる」扱い
合理的な平均相場や、直近の一定日(前月末など)の相場も可
注解(注2)
外国通貨による記録円に換算して記録「できる」扱い
外貨の保有・決済の状況から合理的なら、外国通貨のまま記録し月末等の相場で換算
注解(注3)、第2項
前渡金・前受金金銭授受時の相場で固定。充当される取引高もその相場「できる」扱い
営業利益・経常利益に重要な影響がなければ、全額を取引時の相場にして差額を為替差損益
第25・26項
未収収益・未払費用外貨建金銭債権債務に準じて換算必ずそうなる
(準ずる扱いに選択はない)
第27項
取引前に締結した為替予約振当処理では、取引と債権債務に予約相場の円換算額を付す「できる」扱い
(原則の期間配分でなく例外処理ができる)
第8項、設例1・2
② 決算時の換算と差額(基準 一 2、注解(注8)〜(注10)、第11〜19項)
論点原則の処理認められる扱い・例外根拠
外国通貨・外貨建金銭債権債務決算時の為替相場。差額は当期の為替差損益必ずそうなる
長期でも同じ(1999年改訂)。転換請求期間満了前で転換請求の可能性がある自社発行転換社債は発行時の相場(可能性がなければ決算時)
基準 一 2(1)①②・(2)
決算時の相場決算日の直物為替相場「できる」扱い
決算日の相場が異常と認められる場合に限り、前後一定期間の平均相場(注記が必要)
注解(注8)、第11項
売買目的有価証券外貨の時価×決算時の相場。差額は全部損益必ずそうなる
(選択なし)
第12項
満期保有目的債券外貨の償却原価×決算時の相場。償却額は期中平均相場で利息、残りが為替差損益「できる」扱い
為替予約を振り当てたら額面×予約相場で換算
第13・14項、注解(注9)
その他有価証券外貨の時価×決算時の相場。差額は評価差額(純資産)「できる」扱い
債券は、外貨の時価変動分を評価差額、残りを為替差損益にできる
第15・16項、注解(注10)
子会社株式・関連会社株式取得時の相場のまま必ずそうなる
(換算替えしない)
第17項
時価・実質価額の著しい下落外貨ベースで判定し、外貨の時価等×決算時の相場。差額は評価損認められない
円換算額の下落率で判定することは
基準 一 2(1)③ニ、第18・19項
為替差損益の表示差益と差損を相殺した純額で営業外損益「できる」扱い
経常取引以外で重要、または異常かつ多額なら特別損益
第28項
③ 為替予約等・在外支店・在外子会社(注解(注6)(注7)(注13)、基準 二・三、第3〜10・30〜46項)
論点原則の処理認められる扱い・例外根拠
為替予約等の処理デリバティブとして時価評価(独立処理)「できる」扱い
ヘッジ会計の要件を満たせば、当分の間、振当処理を選べる(会計方針・継続適用)
注解(注6)、第3・4項
原則的処理 → 振当処理への変更認められない
原則から特例への変更は
第3項
振当処理の対象外貨建金銭債権債務・外貨建満期保有目的債券認められない
満期保有目的以外の外貨建有価証券、将来の外貨建貸付け等の予定取引は
第5項
為替予約差額直々差額は予約日の期の損益、直先差額は期間配分「できる」扱い
直先差額に重要性が乏しければ予約した期の損益。利息法・定額法で利息の調整項目にもできる
注解(注7)、第8・9項
通貨スワップ・オプション時価評価「できる」扱い
直先フラット型・為替予約型のスワップ、権利行使が確実な買建オプションは振当処理可
第6項
在外支店本店と同じ方法。収益費用は期中平均も可「できる」扱い
非貨幣性項目に重要性がなければ、B/S項目をすべて決算時の相場にできる
基準 二、第30項
在外子会社等資産負債は決算時、資本は取得時、収益費用は期中平均。差額は為替換算調整勘定「できる」扱い
収益費用を決算時の相場にすることも可。親会社との取引は親会社の相場
基準 三
子会社持分のヘッジヘッジ手段の為替換算差額を為替換算調整勘定に含める必ずそうなる
ヘッジ対象を上回る分は当期の損益
注解(注13)、第35項

「できる」扱いは、採用したら継続適用が前提です。

はじめに

今日の題材 ── 原則と「できる」扱いを分けて読む

📍 ラボの場所:応用タブ 処理早見表
ハルカ
先生、基礎編で3つの相場と為替換算調整勘定までは分かりました。応用編は早見表から始まるんですね。「必ずそうなる」「できる」「認められない」の札が付いています。
先生
外貨建取引は、原則の処理と、要件を満たせば選べる処理が入り混じっているんだ。平均相場、振当処理、注10の債券の扱いは「できる」で、原則的処理から振当処理への変更は「認められない」だよ。
ハルカ
選べる処理は、どれを選んだかを決めて続ける必要がありますね。
先生
そのとおりだよ。今日は応用タブから、前渡金、決算時の平均相場、償却原価法、振当処理の対象、予定取引、のれんの換算、持分変動、税務との関係の8つを見ていこうか。
応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A2 ラボの図

前渡金を払った後に仕入。仕入はどの相場で計上する?
前渡金 500ドル支払時 118円 → 59,000仕入 2000ドル(取引発生)取引時 120円仕入 = 前渡金分 500ドル × 118 + 残り 1500ドル × 120 = 239,000買掛金 = 残り 1500ドル × 120 = 180,000 / 為替差損益なし前渡金は「モノを受け取る権利」で金銭債権ではないので、換算替えしない(第25・26項)
前渡金分59,000残り180,000= 仕入 239,000

💡 前渡金・前受金は金銭授受時の相場で固定(第25項)。取引高のうち前渡金が充当される部分はその相場、残りは取引発生時の相場(第26項)。

🧾 導入設例:前渡金500ドル(118円)の後に2,000ドルを仕入(120円)
前渡金の支払(支払時の相場 118)
借方金額貸方金額
前渡金59,000現金預金59,000
仕入(原則:前渡金は支払時の相場、残りは取引発生時の相場 120)
借方金額貸方金額
仕入239,000前渡金59,000
買掛金180,000

仕入 239,000=前渡金分 59,000+残り 180,000。為替差損益は出ない。

応用 A2

前渡金・前受金 ── 金銭授受時の相場で固定する

📍 ラボの場所:応用タブ A2
ハルカ
前渡金 500ドル は支払時の 118円 で 59,000、残りの 1,500ドル は取引時の 120円 で 180,000。仕入は合わせて 239,000 です。
先生
前渡金は「部品を受け取る権利」で、外貨建金銭債権ではないんだ(第25項)。だから金銭授受時の相場で固定して、仕入のうち前渡金が充当される部分もその相場で計上するよ(第26項)。
迷いポイント 前渡金も、決算日には決算時の相場で換算替えする?
ハルカ
ドルで払った前渡金なので、売掛金と同じように決算のたびに換算替えするものだと思っていました。
先生
換算替えしないんだ。決算をまたいでも 59,000 のままだよ。営業利益・経常利益に重要な影響がなければ、仕入の全額を取引時の相場にして、差額の 1,000 を為替差損益にする容認処理もあるんだ(第26項ただし書き)。
ハルカ
前渡金は、決算日に換算替えの列に並ばなくてよいんですね。先に払ってしまった分だけ、相場の変動から卒業しているみたいです。
先生
払った時点で円の金額が確定したから、相場の心配がなくなったんだよ。
💡 そうだったのか!
前渡金・前受金は金銭授受時の相場で固定し、換算替えしません。充当される取引高もその相場、残りは取引発生時の相場で計上します。
📙 応用 B1 ラボの図

決算日に相場が急に飛んだ。平均相場を使ってよい?
3/243/263/283/314/24/44/7決算日 131円前後一定期間の平均 125.6円 を使える
決算日の直物相場が異常と認められる場合に限り、決算日前後一定期間(おおむね1か月以内)の平均相場を使える(注解(注8)、第11項)

無条件に選べる方法ではない。適用したら、決算日の直物相場と適用した平均相場を注記する。

在外支店の換算に使う決算時の相場は、原則として本店と同じにする(第11項)。

応用 B1

決算時の相場としての平均相場 ── 決算日の相場が異常なときだけ

📍 ラボの場所:応用タブ B1
ハルカ
決算日の相場が 131円 に飛んでいて、前後の平均 125.6円 を使える、という図です。
先生
注解(注8)に「決算日前後一定期間の平均相場を用いることができる」とあるんだ。ただし無条件ではないよ。決算日の直物相場が異常と認められる場合に限られるんだ(第11項)。
迷いポイント 平均相場の方が安定するなら、毎期使ってよい?
ハルカ
相場の変動で損益がぶれないように、毎期平均相場を使う方が合理的だと思いました。
先生
毎期は使えないんだ。「異常でない」ボタンを押すと分かるけれど、通常の変動なら決算日の直物相場だよ。使ったときは、決算日の相場と平均相場を注記するんだ。税務は決算日のTTMが原則で、1か月以内の平均も使えるから、会計の条件とは違うよ。
💡 そうだったのか!
決算時の平均相場は決算日の相場が異常なときだけの例外。適用したら、決算日の直物相場と平均相場を注記します。
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  1. 応用B1の図で「異常でない」を押す

👀 決算日の相場が 125.2円 に変わり、「平均相場は使えない(決算日の直物相場による)」と表示されます。

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📙 応用 B2 ラボの図

額面1,000ドルの債券を940ドルで取得。利息の調整と為替の影響をどう分ける?(年度ボタンで切替)
外貨の償却原価(定額法:毎年 20ドル)940ドル取得960ドル1年目末980ドル2年目末1,000ドル3年目末1年目:償却額 20ドル × 期中平均 122円 = 2,440(有価証券利息)期末の円貨 = 償却原価 960ドル × 決算時 125円 = 120,000 前期末 112,800為替差損益 = 120,000 − 112,800 − 2,440 = 益 4,760
期末 償却原価×CR120,000前期末の円貨−112,800償却額×AR−2,440= 為替差損益 益 4,760

💡 償却額は「利息」なので期中平均相場(注解(注9)・第13項①)。残りが為替差損益(第13項②)。3年合計:利息 7,280、為替差損益 益 920、満期の円貨 121,000。

応用 B2

満期保有目的債券の償却原価法 ── 償却額は期中平均、残りが為替差損益

📍 ラボの場所:応用タブ B2
ハルカ
額面 1,000ドル の債券を 940ドル で取得して、毎年 20ドル ずつ償却。1年目は償却額 2,440 と為替差益 4,760 に分かれています。
先生
満期保有目的債券は、額面との差(金利調整差額)を利息として償却するんだ。償却額は利息だから期中平均相場の 122円 で換算して 2,440 だよ。
ハルカ
為替差益 4,760 は、どう出すのですか。
先生
期末の円貨 120,000 から、前期末の 112,800 と償却額 2,440 を引いた残りなんだ(第13項)。
迷いポイント 償却額も、決算時の相場で換算する?
ハルカ
期末に計上する仕訳なので、決算時の 125円 を掛けるのだと思っていました。
先生
償却額は期間を通じて発生する利息なので、期中平均相場なんだ(注解(注9))。決算時の相場を掛けるのは、償却後の外貨の帳簿価額の方だよ。2年目は円高で為替差損 6,820、3年目は為替差益 2,980 になるんだ。
ハルカ
利息の部分は平均相場、残りは決算時。1つの債券に2種類の相場が付いているなんて、二重国籍みたいですね。
先生
利息は期間の分、残高は期末の分。見ている時点が違うだけなんだよ。
💡 そうだったのか!
償却原価法の償却額は期中平均相場で利息、償却後の帳簿価額を決算時の相場で換算した残りが為替差損益。3年合計は利息 7,280、為替差益 920 です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用B2の図で「2年目」「3年目」を順に押す

👀 2年目は為替差損 6,820、3年目は為替差益 2,980。償却額は 2,460・2,380 と、各年の期中平均相場で変わります。

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📙 応用 C1 ラボの図
✔ 振当処理できる(第5項)✘ 振当処理できない(第5項)外貨建売掛金・買掛金円の入出金額が確定外貨建借入金・貸付金円の返済額が確定外貨建満期保有目的債券額面×予約相場で確定売買目的・その他有価証券売却時期が未確定・時価で外貨額が変動子会社・関連会社株式売却予定なし将来の外貨建貸付け・借入れの予定取引取得後も為替差損益になる外貨建有価証券(その他・子会社株式以外)の取…同上(第169項)
振当処理の対象は「円のキャッシュ・フローが固定される」ものだけ

為替予約等を付すことで将来の円貨額が確定するものに限る(第5項)。満期保有目的以外の有価証券は、ヘッジ会計の要件を満たしても振当処理できない。

応用 C1

振当処理の対象 ── 円のキャッシュ・フローが固定されるものだけ

📍 ラボの場所:応用タブ C1
ハルカ
振当処理ができるのは、売掛金・買掛金、借入金・貸付金、満期保有目的債券。その他有価証券や子会社・関連会社株式はできない、とあります。
先生
振当処理は「円のキャッシュ・フローが固定される」ことが前提なんだ(第5項)。満期に外貨の額面が戻る債券なら予約相場で円の入金額が確定するけれど、売却時期も時価も動く株式では固定できないよ。
迷いポイント ヘッジ会計の要件を満たせば、その他有価証券にも振当処理できる?
ハルカ
リスク管理方針に沿った予約なら、どの資産でも振当処理できると思っていました。
先生
要件を満たしていても、満期保有目的以外の外貨建有価証券は振当処理の対象外なんだ。
ハルカ
図の右側の「ヘッジ会計の対象外」は、それとは別の話ですか。
先生
別の話だよ。将来の外貨建貸付け・借入れや、その他有価証券および子会社・関連会社株式を除く外貨建有価証券の取得のための予定取引は、ヘッジ会計そのものを適用できないんだ(金融商品実務指針第169項)。
ハルカ
正直に言うと、「予約さえあれば全部振当処理」と1つの箱に入れて片づけるつもりでした。
先生
その箱は、円の入金額が確定するものだけ入れてほしいんだ。
💡 そうだったのか!
振当処理の対象は外貨建金銭債権債務と満期保有目的債券だけ。「振当処理の対象外」と「ヘッジ会計の対象外」は別の話として区別します。
📙 応用 C4 ラボの図

まだ取引していない輸入に為替予約。決算をまたいだら?
予約日決算日翌期首取引実行日決済日決算日:予約を時価評価 → 繰延ヘッジ損益(純資産)
決算日

予約を時価評価(決算日の先物相場 125円 と予約相場 122円 の差 × 10,000ドル = 30,000)。損益にせず、繰延ヘッジ損益として純資産に(第4項、金融商品実務指針第169項)。税効果は省略。

応用 C4

予定取引のヘッジ ── 決算日の予約を繰延ヘッジ損益に

📍 ラボの場所:応用タブ C4
ハルカ
取引より前に予約して決算をまたぐと、決算日に予約を時価評価して 30,000 を繰延ヘッジ損益に、翌期首に振り戻して、取引日に予約相場 122円 で仕入を計上する流れですね。
先生
まだ買掛金がないので、予約だけが先にあるんだ。予定取引のヘッジとして、決算日の評価差額を損益にせず純資産に繰り延べるよ(第4項、金融商品実務指針第169項)。
迷いポイント 決算日の予約の評価益 30,000 は、当期の利益?
ハルカ
デリバティブは時価評価して損益にするのが原則なので、30,000 は当期の為替差益だと思いました。
先生
ヘッジ対象の仕入がまだ認識されていないので、損益にせず繰延ヘッジ損益として純資産に置くんだ。取引実行日に仕入を予約相場で計上すれば、直物 126円 との差 40,000 は仕入の原価に織り込まれるよ。
💡 そうだったのか!
予定取引のヘッジは、決算日の予約の評価差額を繰延ヘッジ損益(純資産)に繰り延べ、取引実行時に仕入を予約相場で計上します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用C4の図で「取引実行日」を押す

👀 仕入 1,220,000(予約相場 122円)。直物 126円 なら 1,260,000 なので、差 40,000 が仕入に織り込まれると表示されます。

ラボを開く ▶
📙 応用 D2 ラボの図

在外子会社ののれんは、円で固定? 外貨で持つ?
投資 428ドル(60%)×取得時 110円 = 47,080資本 630ドル × 60% = 378ドル(資本金+利益剰余金+評価差額)のれん(外貨で把握)= 428 − 378 = 50ドル → 支配獲得日は ×110円 = 5,500
のれんは支配獲得時に外国通貨で把握する(第40項)

期末残高は決算時の相場、当期償却額は期中平均相場で換算する。だから、のれんの換算からも為替換算調整勘定が出る。

負ののれんは外貨で把握するが、発生時の相場で換算して発生年度の利益にするので為替換算調整勘定は出ない(第40項)。

応用 D2

のれんの換算 ── 外貨で把握し、期末は決算時・償却は期中平均

📍 ラボの場所:応用タブ D2
ハルカ
投資 428ドル から資本 630ドル × 60% を引いて、のれんは 50ドル。これ、資本連結ラボでやった「のれんは消去差額」の計算と同じですね。
先生
ちゃんと覚えていたね。在外子会社では、そののれんを円ではなく外貨で把握するのが違いなんだ(第40項)。期末残高は決算時の相場、償却額は期中平均相場で換算するよ。
迷いポイント のれんは支配獲得日の 5,500 で固定?
ハルカ
国内の子会社と同じで、のれんは取得時の金額を10年で均等に減らしていくだけだと思っていました。
先生
外貨で持っているので、毎期換算し直すんだ。1年目末は 45ドル × 125円 = 5,625 で、償却後の 4,910 との差 715 が為替換算調整勘定になるよ。
ハルカ
その 715 は、在外子会社換算ラボで見たとおり、非支配株主には分けないのですよね。
先生
そう、のれんの分は全額が親会社持分なんだ(第39項)。
💡 そうだったのか!
在外子会社ののれんは外貨で把握し、期末は決算時・償却は期中平均で換算。のれんからも為替換算調整勘定が出て、全額が親会社持分です。
📝 資本連結ラボ【基礎編】(投資と資本の相殺消去・のれん・非支配株主持分)記事を読む ▶
📝 在外子会社換算ラボ【基礎編】(円換算と為替換算調整勘定)記事を読む ▶
📙 応用 D4 ラボの図

持分比率が変わったら、ためておいた為替換算調整勘定はどこへ?
為替換算調整勘定(減少する持分の分)行き先親会社の為替換算調整勘定(連結B/Sに出ない)
親会社の為替換算調整勘定

追加取得分の為替換算調整勘定は、非支配株主持分に含まれていた分が投資(追加取得時の相場)と相殺され、親会社の為替換算調整勘定には出ない(第41項(1))。追加投資と減少する非支配株主持分の差額は資本剰余金。

応用 D4

持分変動と為替換算調整勘定 ── 追加取得・一部売却・支配喪失

📍 ラボの場所:応用タブ D4
ハルカ
ためておいた為替換算調整勘定の行き先が、追加取得・一部売却・支配喪失で3通りに分かれています。
先生
持分比率が下がると、下がった割合の分だけ取り崩すんだ(第42項)。支配を失う売却なら株式売却損益に含める。支配が続く一部売却なら資本剰余金だよ(第42-2・42-3項)。
迷いポイント 追加取得すれば、非支配株主の分の為替換算調整勘定が親会社に移ってくる?
ハルカ
60%から80%に増えたら、非支配株主持分に入っていた為替換算調整勘定の20%分が、親会社の純資産に加わるのだと思いました。
先生
加わらないんだ。追加投資は追加取得時の相場で換算されるので、非支配株主持分に含まれていた為替換算調整勘定相当額は投資と相殺されて、連結B/Sの為替換算調整勘定には出てこないよ(第41項(1))。
ハルカ
長く待合室にいた為替換算調整勘定が、支配を失うときにようやく損益に出られるのに、一部売却だと資本剰余金止まり。少し気の毒です。
先生
支配が続く間は資本取引だから、損益の出口は開かないんだよ。
💡 そうだったのか!
為替換算調整勘定は、支配喪失なら売却損益、支配継続の一部売却なら資本剰余金。追加取得では投資と相殺され、親会社の為替換算調整勘定には出ません。
📝 在外子会社換算ラボ【応用編】(評価差額・持分の変動・売却・税効果)記事を読む ▶
📙 応用 E2 ラボの図
項目会計税務(法人税)短期の外貨建売掛金・買掛金決算時の相場(差額は損益)期末時換算法が法定 → 一致長期の外貨建借入金・貸付金決算時の相場(差額は損益)発生時換算法が法定 → ずれる外貨預金(長期)決算時の相場(差額は損益)発生時換算法が法定 → ずれる為替予約の振当(直先差額)期間配分(短期は一括も可)期間配分(短期は一括も可)→ ほぼ一致その他有価証券(外貨)時価×決算時、差額は純資産発生時換算法として扱う → 一致赤=会計と税務がずれる論点(別表四・五(一)) 緑=原則として一致 ※短期・長期は各期末から決済日までの期間で判定

応用 E2

税務との関係 ── 短期は一致、長期は発生時換算法が法定

📍 ラボの場所:応用タブ E2
ハルカ
短期の売掛金・買掛金は会計と税務が一致。長期の借入金や外貨預金は「発生時換算法が法定 → ずれる」と赤くなっています。
先生
法人税は資産負債の区分ごとに、発生時換算法か期末時換算法を選んで届け出るんだ。届け出なければ法定換算方法で、短期は期末時換算法、長期は発生時換算法だよ(法人税法第61条の9、施行令第122条の7)。
迷いポイント 会計で決算時の相場に換算したなら、税務でも当然に損金・益金?
ハルカ
別表四・別表五(一)ラボで、留保の調整はいずれ戻ると習いました。長期の借入金の為替差損も、申告書では戻る前提で加算するということですか。
先生
そのとおりだよ。届出がなければ、長期の外貨建借入金の為替差損は加算・留保、為替差益は減算・留保。決済まで1年以内になった期末や返済の年に戻るんだ。詳しくは税務調整編で別表を書いてみようか。
💡 そうだったのか!
税務は短期は期末時換算法、長期は発生時換算法が法定。長期の外貨建債権債務・外貨預金は、届出がなければ会計の為替差損益を別表四で加算・減算します。
📝 別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】(留保と社外流出・検算式)記事を読む ▶
📝 外貨建取引ラボ【税務調整編】(発生時換算法と期末時換算法・別表四と別表五(一))記事を読む ▶

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この記事の図は、すべて外貨建取引ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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📝 続けて読む:📘 設例・金銭債権債務編(基礎1〜5)記事を読む ▶
📝 外貨建取引ラボ【基礎編】(為替差損益・為替予約・在外子会社の換算)記事を読む ▶
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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
前渡金も決算日に換算替えする?しない。金銭授受時の相場で固定(第25・26項)応用A2
決算時の平均相場は毎期使ってよい?決算日の相場が異常なときだけ。使ったら注記(注8・第11項)応用B1
償却額も決算時の相場で換算する?償却額は期中平均相場(利息)。残りが為替差損益(第13項・注9)応用B2
要件を満たせばその他有価証券にも振当処理できる?対象は金銭債権債務と満期保有目的債券だけ(第5項)。ヘッジ会計の対象外とは別の話応用C1
決算日の予約の評価益は当期の利益?予定取引のヘッジなら繰延ヘッジ損益(純資産)(第4項)応用C4
在外子会社ののれんは支配獲得日の円貨で固定?外貨で把握し、期末は決算時・償却は期中平均で換算(第40項)応用D2
追加取得で非支配株主分の為替換算調整勘定が親会社に移る?移らない。投資と相殺されて連結B/Sに出ない(第41項(1))応用D4
会計で換算替えすれば税務でも損金・益金?長期は発生時換算法が法定。届出がなければ別表四で加算・減算(法人税法第61条の9)応用E2
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。応用の論点は、どれも基礎の3つの相場のどれを当てるかの話なんだ。前渡金は授受時、償却額は期中平均、のれんの期末は決算時。そして為替換算調整勘定の行き先は、支配が続くかどうかで決まるんだ。
ハルカ
基礎編のときは「どの相場を掛けるか」を丸暗記していました。今日は「その項目はいつの時点のものか」で考えると、相場が自然に決まることが分かりました。
先生
時点で考えられるようになれば、初めて見る項目でも相場を間違えにくくなるよ。
ハルカ
では次に新しい外貨の項目が出てきたら、まず「あなたはいつの時点の人ですか」と聞くことにします。
先生
項目は答えてくれないから、契約書と基準を見て決めてほしいね。次の設例・金銭債権債務編では、売掛金・買掛金・外貨預金・長期借入金・前渡金の設例を、仕訳つきで追っていこうか。

参考資料

企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」・同注解(1999年10月22日最終改訂)、企業会計基準委員会 移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(2024年7月1日最終改正・2024年11月1日修正反映)、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」・移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(2026年10月16日最終改正。2026年10月改正の適用は2030年4月1日以後開始する事業年度から)。基準確認日:2026年10月20日。ラボの設例は、原典の考え方と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです(原典の設例の数値は画面に出していません)。 税務:法人税法第61条の8〜61条の10、法人税法施行令第122条の3〜122条の10、法人税基本通達第13章の2。

シリーズ:基礎編/応用編 / 設例編:金銭債権債務編(基礎1〜5)・為替予約編(基礎6・7、応用1〜3)・外貨建有価証券編(基礎8、応用4〜7)・在外子会社編(基礎9、応用8〜13) / 税務調整編 / 関連:在外子会社換算ラボ【応用編】(評価差額・持分の変動・売却・税効果)/資本連結ラボ【応用編】(段階取得・追加取得・一部売却)/別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】(留保と社外流出・検算式)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。