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外貨建取引ラボ【税務調整編】|先生と一緒に図で学ぶ発生時換算法と期末時換算法・短期と長期・別表四と別表五(一)

外貨建取引ラボ【税務調整編】|先生と一緒に図で学ぶ発生時換算法と期末時換算法・短期と長期・別表四と別表五(一)

無料の学習ツール「外貨建取引ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「🧾 税務調整」タブを上から順に、会計と法人税の違いと、別表四・別表五(一)の書き方を先生と生徒の会話形式で見ていきます。会計処理そのものは基礎編「応用編」「設例編」で扱っています。設例の会社と数値はすべて架空の例です。別表はラボと同じ簡略版で、解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の設例
設例の条件(税務調整タブの初期値)
種類長期外貨建借入金 10,000ドル
発生時の相場120円
1年目末の相場125円(決済まで2年:長期)
2年目末の相場118円(決済まで1年:短期)
3年目末(返済)の相場122円
税務の換算方法届出なし(法定:長期は発生時・短期は期末時)
はじめに

今日の題材 ── 円安 → 円高 → 返済を、法人税の目で見る

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④「設例の条件」
ハルカ
先生、外貨建取引の会計は設例編まで読みました。会計では毎期、決算時の相場で換算替えして為替差損益にしましたが、申告書でもそのままでよいのですか。
先生
短期の債権債務ならおおむねそのままなんだ。ずれるのは長期の借入金や貸付金、外貨預金だよ。今日は設例・基礎4と同じ長期借入金 10,000ドル を、別表四と別表五(一)で追っていこうか。
ハルカ
120円 で借りて、125円、118円 と動いて、122円 で返す設例ですね。
先生
そう。会計は3年とも決算時の相場だけれど、税務は「届出の有無」と「短期か長期か」で換算方法が変わるんだ。税務調整タブの6つの節を、上から順に読んでいこうか。
税務調整タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
🧾 税務 1 ラボの図
📒 会計外貨基準・移管指針第2号
差
🧾 税務(法人税)法人税法第61条の8〜61条の10
取引時:取引発生時の直物相場。平均相場・前月末等も可(注解(注2))
≒
取引日のTTM(仲値)が原則。継続適用で収益資産はTTB・費用負債はTTS、前月末等の相場も可(法人税基本通達13の2-1-2)
短期の外貨建金銭債権債務・外貨預金・外国通貨:決算時の相場で換算替え(基準 一 2)
=
短期外貨建債権債務・短期外貨預金・外国通貨は期末時換算法が法定。会計と原則一致(法人税法第61条の9、法人税法施行令第122条の7)
長期の外貨建金銭債権債務・外貨預金:決算時の相場で換算替え(1999年改訂で一本化)
≠
長期外貨建債権債務・長期外貨預金は発生時換算法が法定。届出で期末時換算法を選べる(法人税法施行令第122条の4〜122条の7)
為替予約の振当:直々差額は予約した期、直先差額は期間配分(注解(注7))
≒
先物外国為替契約等で円換算額を確定させた外貨建資産等は、為替予約差額を期間配分。短期は一括計上を選べる(法人税法第61条の10)
その他有価証券(外貨):時価×決算時の相場、差額は純資産(第16項)
=
売買目的外有価証券は発生時換算法が法定。純資産に直接計上する期末時換算は発生時換算法として扱う(法人税基本通達13の2-2-4)
3年間の為替差損益の合計
=
益金・損金の合計は会計と同じ(年度の配分だけがずれる)
税務 1

会計と税務の違い ── 会計の外貨建金銭債権債務は原則として決算時換算、税務は区分と選定した方法で変わる

📍 ラボの場所:税務調整タブ 1
ハルカ
会計と税務の列を比べると、取引時の相場は「≒」、短期の債権債務は「=」、長期の債権債務だけ「≠」ですね。
先生
法人税は外貨建資産等の区分ごとに発生時換算法か期末時換算法を選定して届け出るんだ(法人税法第61条の9、施行令第122条の4〜6)。届出がなければ法定換算方法で、短期は期末時換算法、長期は発生時換算法だよ。
迷いポイント 会計が決算時の相場に換算替えしたなら、税務でもそのまま損金?
ハルカ
会計基準で決められている換算替えなので、為替差損は当然に損金だと思っていました。
先生
長期の外貨建借入金で届出がなければ、税務は発生時換算法で帳簿価額が動かないんだ。会計の為替差損は加算(留保)、為替差益は減算(留保)で、短期に区分が変わって期末時換算法になった年か、返済した年に戻るよ。3年間の合計は会計と同じなんだ。
ハルカ
為替差損が「損金になるのは返済のとき」と言われて、3年待たされるんですね。借入金より私の方が先に音を上げそうです。
先生
待つのは3年でも、別表五(一)に残高を書いておけば、忘れずに戻せるよ。
💡 そうだったのか!
税務は区分ごとに届け出た換算方法で換算します。届出がなければ短期は期末時換算法、長期は発生時換算法で、長期の為替差損益だけが会計とずれます。
🧾 税務 2 ラボの図
加算所得が増える減算所得が減る赤字=税務では損金にならない・計上しない緑字=税務の損金(小さい文字)=根拠
論点📒 会計🧾 税務(法人税)📝 調整と別表
取引時の相場
  • 取引発生時の直物相場
  • 平均相場・直近の一定日も可(注解(注2))
  • 取引日のTTM
  • 継続適用でTTB(収益資産)・TTS(費用負債)、前月末・前週末等の相場、1か月以内の平均も可(法人税基本通達13の2-1-2)
原則として調整なし(会計と同じ相場を使えば一致)
多通貨会計外貨で記録し月末等の相場で換算(注解(注3)、第2項)
  • 月末等の時点を取引発生時とみなす
  • 期間の平均相場も可(法人税基本通達13の2-1-3)
調整なし
前渡金・前受金
  • 金銭授受時の相場で固定
  • 充当分の取引高もその相場(第25・26項)
  • 前渡金・前受金は外貨建債権債務に含めない
  • 相当部分は帳簿価額をそのまま費用・収益にできる(法人税基本通達13の2-1-5・13の2-2-1)
調整なし
短期の売掛金・買掛金・外貨預金・外国通貨
  • 決算時の相場
  • 差額は為替差損益(基準 一 2)
  • 期末時換算法が法定
  • 期末のTTM(TTB・TTSも可)で換算し差額は益金・損金
  • 翌期に戻入れ(法人税法第61条の9、法人税法施行令第122条の7・122条の8)
調整なし(会計と税務で相場の種類が違えば差額を加算・減算)
長期の借入金・貸付金・外貨預金(届出なし)
  • 決算時の相場
  • 差額は為替差損益
  • 発生時換算法が法定
  • 長期に区分され発生時換算法を適用している間は、期末の換算差額を認識しない(法人税法施行令第122条の4・122条の7)
別表四為替差損は加算・留保、為替差益は減算・留保
短期(決済まで1年以内)になった年か、返済・回収の年に認容(減算)または加算
長期の借入金・貸付金・外貨預金(期末時換算法の届出)同上
  • 期末時換算法
  • 会計と同じ年度に益金・損金(法人税法施行令第122条の4〜122条の6)
調整なし
未収収益・未払費用金銭債権債務に準じて決算時の相場(第27項)外貨建債権債務として扱う(法人税基本通達13の2-2-1)
短期なら調整なし
為替予約の振当(直先差額)
  • 期間配分
  • 重要性が乏しければ予約した期(第8項)
  • 為替予約差額は期間配分
  • 短期外貨建資産等は一括計上を選べる(法人税法第61条の10)
  • 帳簿への記載が条件(法人税基本通達13の2-1-4)
  • 原則として調整なし
  • 配分方法が違えば差額を加算・減算
為替予約の独立処理(時価評価)予約を時価評価し損益(金融商品基準)デリバティブ取引の未決済分は期末に決済したものとみなして損益(法人税法第61条の5)
原則として調整なし
予定取引のヘッジ(繰延ヘッジ損益)純資産に繰り延べ(第4項)繰延ヘッジ処理の要件(帳簿記載・有効性)を満たせば繰り延べ(法人税法第61条の6)
要件を満たさなければ、予約の評価損益を加算・減算
通貨スワップ直先フラット型・為替予約型は振当処理可(第6項)
  • 元本の円換算額は契約上授受する円の額
  • 利子は利息法・定額法で配分(法人税基本通達13の2-2-7)
原則として調整なし
売買目的有価証券(外貨)
  • 外貨の時価×決算時の相場
  • 差額は損益(第12項)
  • 期末時換算法のみ
  • 時価評価と合わせて益金・損金(法人税法第61条の3・61条の9)
原則として調整なし
満期保有目的債券(外貨)
  • 償却原価×決算時の相場
  • 償却額は期中平均(第13項)
  • 売買目的外有価証券は発生時換算法が法定(届出で期末時換算法)
  • 償却原価法は税務でも適用
発生時換算法なら、会計の為替差損益を加算・減算(売却・償還の年に戻る)
その他有価証券(外貨株式)
  • 時価×決算時の相場
  • 差額は純資産(第16項)
  • 発生時換算法が法定
  • 純資産直入の期末時換算は発生時換算法として扱う(法人税基本通達13の2-2-4)
  • 別表四なし(損益を通さない)
  • 評価差額金は別表五(一)の該当行で管理
その他有価証券(外貨債券・注10)為替部分を為替差損益にできる(注解(注10))発生時換算法が法定なら為替部分は益金・損金にならない
為替差損益を加算・減算
子会社株式(外貨)取得時の相場のまま(第17項)発生時換算法
調整なし
評価額の引下げ(外貨建有価証券)外貨ベースで著しい下落を判定し評価損(第18・19項)
  • 評価損の損金算入は法人税法第33条第2項の要件(価額の著しい低下等)
  • 判定の考え方は別途
要件を満たさなければ評価損否認(加算・留保)
為替差損益の表示営業外損益に純額(第28項)
  • 表示区分は所得計算に影響しない
  • 期末時換算法の差額は項目ごとに一括表示も可(法人税基本通達13の2-2-9)
調整なし
為替相場の著しい変動(おおむね15%以上)(会計は常に決算時の相場)
  • 発生時換算法の資産等でも、期末の相場で換算できる特例
  • 判定は原則として(期末換算額−換算前の帳簿価額)÷期末換算額の絶対値がおおむね15%以上か(同一通貨の外貨建資産等の範囲に注意)
  • 翌期の戻入れなし(法人税法施行令第122条の3、法人税基本通達13の2-2-10)
特例を使えば加算・減算の一部が消える
在外支店
  • 本店と同じ方法
  • 特例あり(基準 二)
  • 国外支店等の財務諸表は全項目を期末の相場で換算できる
  • 損益は平均も可(法人税基本通達13の2-1-8)
差額があれば加算・減算
在外子会社・為替換算調整勘定連結上の純資産(基準 三)
  • 連結財務諸表は課税所得の計算に無関係
  • 親会社の個別では子会社株式は発生時換算法
調整なし(個別の論点ではない)
消費税(会計処理とは別)
  • 外貨建取引の課税標準は、法人税の円換算額による(消費税法基本通達10-1-7)
  • 為替差損益は課税対象外
申告調整なし

条文番号は確認日時点のものです。通達は国税庁の法人税基本通達第13章の2(第1節・第2節)のページで確認しています。

税務 2

差異の一覧表 ── どの処理が、どの別表に出るか

📍 ラボの場所:税務調整タブ 2
ハルカ
取引時の相場、前渡金、短期と長期、為替予約、有価証券、在外子会社まで、論点ごとに会計・税務・別表の順に並んでいます。
先生
右端の「調整と別表」を見れば、ほとんどが「調整なし」で、別表に出るのは長期の債権債務・外貨預金(届出なし)と、発生時換算法の有価証券の為替部分くらいだと分かるよ。
ハルカ
表の下の方に「為替相場の著しい変動(おおむね15%以上)」とあります。相場が15%動いたら自動で期末の相場にできるのですか。
先生
判定は相場の動きそのものではなく、(期末換算額 − 換算前の帳簿価額)÷ 期末換算額の絶対値がおおむね15%以上かで見るんだ(法人税基本通達13の2-2-10)。同じ通貨で該当する資産等が複数あれば、一部だけに適用はできないよ。
迷いポイント その他有価証券の為替部分を純資産に入れたら、別表四で加算する?
ハルカ
税務は発生時換算法なので、純資産に入れた評価差額金のうち為替の分は、加算が要るのだと思いました。
先生
純資産に直接計上する期末時換算は、発生時換算法として扱うんだ(法人税基本通達13の2-2-4)。損益を通していないので別表四の調整はなく、評価差額金は別表五(一)の該当行で管理するよ。
💡 そうだったのか!
その他有価証券の純資産直入は発生時換算法として扱われ、別表四の調整はありません。別表に出るのは、損益を通した為替差損益のうち税務が認めない分だけです。
🧾 税務 3 ラボの図
P/L 当期純利益会計の数字から出発別表四(1年分の調整)+ 加算:会計の費用が多すぎる− 減算:税務の損金が多い所得金額 → 法人税「留保」の分だけ別表五(一)(調整の残高を繰り越す)期首 − 減 + 増 = 期末(税務と会計の帳簿の差)一時差異→ 税効果会計
税務 3

別表の書き方 ── 別表四で1年分を調整し、別表五(一)で残高を繰り越す

📍 ラボの場所:税務調整タブ 3
ハルカ
当期純利益から別表四、別表四の「留保」から別表五(一)、その残高から税効果へ。矢印が一本の道になっています。
先生
別表四は1年分の調整、別表五(一)は残高を繰り越す表なんだ。換算差額の否認は、短期に区分が変わった年か返済・回収の年に必ず戻るので、処分はすべて留保だよ。
ハルカ
別表四・別表五(一)ラボで「留保か社外流出かは、利益積立金に反映するかで決まる」と習いました。為替差損の否認は翌期以降に戻るので、留保ですね。
先生
よく覚えていたね。外貨建取引では、別表五(一)の残高が「会計の帳簿価額 − 税務の帳簿価額」になるんだ。借入金なら会計の方が大きいときプラスだよ。
迷いポイント 別表五(一)の残高は、プラスだけ?
ハルカ
為替差損を否認して加算するので、残高はいつもプラスだと思っていました。
先生
円高で為替差益が出れば減算で、残高はマイナスになるんだ。長期の外貨預金や貸付金なら向きも逆になるよ。④で数字を確かめようか。
💡 そうだったのか!
別表四は1年分、別表五(一)は残高。外貨建取引の残高は会計と税務の帳簿価額の差で、相場の向きと債権か債務かで符号が変わります。
📝 別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】(留保と社外流出・検算式)記事を読む ▶
🧾 税務 4 ラボの図(1年目)
会計の期末負債額税務の期末負債額1,250,0001,200,0001年目加算 50,0001,180,0001,180,0002年目差なし003年目差なし

各年度末の長期外貨建借入金の円貨額(会計と税務)を比べています。2本の差が別表五(一)の残高(負債なら会計の方が大きいときプラス)。3年目は返済したのでどちらもゼロ。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。

1年目:会計は決算時 125円 で換算替えし 為替差損 50,000。税務は発生時換算法(決済日まで1年超なので長期。届出がなければ発生時換算法が法定)なので帳簿価額 1,200,000 のまま、損益なし。 会計の損の方が 50,000 大きいので加算(留保)。 期末の別表五(一)の残高 50,000。
📒 会計の費用(1年目)
  • 為替差損(決算時の換算替え)50,000
計 50,000
🧾 税務の損金(1年目)
  • 換算差額なし(発生時換算法:長期の法定換算方法)0
計 0
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 1年目簡略版
区分項目総額①留保②社外流出③
加算為替差損否認(長期外貨建借入金)50,00050,000
減算なし
所得への影響(加算 − 減算)+50,000
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 1年目簡略版
区分(項目)期首現在①当期の減②当期の増③差引翌期首現在④①−②+③
長期外貨建借入金(換算差額)0050,00050,000
合計(この論点の分)0050,00050,000
税務 4(1年目)

設例で書いてみる ── 円安 → 円高 → 返済を、年度ごとに別表へ

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「1年目」
ハルカ
1年目末は 125円 で、会計の借入金は 1,250,000、税務は 1,200,000 のまま。別表四で「為替差損否認 50,000」を加算・留保しています。
先生
決済まで2年あるので長期。届出がないので発生時換算法で、税務の帳簿価額は動かないんだ。会計の為替差損 50,000 がそのまま加算で、別表五(一)の残高も 50,000 だよ。
迷いポイント 期末時換算法を届け出ていれば、この 50,000 は加算しなくてよい?
ハルカ
届出で期末時換算法を選べるなら、会計とそろって調整なしになりますよね。
先生
そのとおりだよ。長期の借入金・貸付金・外貨預金について期末時換算法を届け出て、会計とそろえている会社も多いんだ。ただし採用後3年は原則として変更できないよ(施行令第122条の6)。
ハルカ
届出書1枚で3年分の別表の行が消えるなら、私も申告書の控えを引き出しの一番手前に移します。
先生
一番手前に置く前に、まず今の届出の有無を控えで確かめておこうか。
💡 そうだったのか!
届出なしの長期借入金は、会計の為替差損 50,000 を加算・留保。期末時換算法を届け出ていれば、会計と同じ年度に損金になり調整はありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、税務の換算方法を「期末時換算法を届出(長期も期末時)」にする

👀 1年目の別表四は +50,000 から 0 に変わり、3年間とも調整がなくなります。別表五(一)の残高も 0 のままです。

ラボを開く ▶
🧾 税務 4 ラボの図(2年目)
会計の期末負債額税務の期末負債額1,250,0001,200,0001年目加算 50,0001,180,0001,180,0002年目差なし003年目差なし

各年度末の長期外貨建借入金の円貨額(会計と税務)を比べています。2本の差が別表五(一)の残高(負債なら会計の方が大きいときプラス)。3年目は返済したのでどちらもゼロ。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。

2年目:会計は決算時 118円 で換算替えし 為替差益 70,000。税務は期末時換算法(決済日まで1年以内なので短期外貨建債務に該当し、届出がなくても期末時換算法が法定)で 為替差益 20,000。 会計の益の方が 50,000 大きいので減算(留保)。 期末の別表五(一)の残高 0。
📒 会計の費用(2年目)
  • 為替差益(決算時の換算替え)70,000
計 ▲70,000
🧾 税務の損金(2年目)
  • 為替差益(期末時換算法:残り1年で短期に該当)20,000
計 ▲20,000
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 2年目簡略版
区分項目総額①留保②社外流出③
加算なし
減算為替差損否認の認容(期末時換算・相場の戻り)50,00050,000
所得への影響(加算 − 減算)▲50,000
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 2年目簡略版
区分(項目)期首現在①当期の減②当期の増③差引翌期首現在④①−②+③
長期外貨建借入金(換算差額)50,00050,00000
合計(この論点の分)50,00050,00000
税務 4(2年目)

2年目 ── 残り1年で「短期」になり、税務も期末時換算法に

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「2年目」
ハルカ
2年目末は 118円。会計は為替差益 70,000 ですが、税務も期末時換算法で為替差益 20,000 が出ています。差の 50,000 を減算しています。
先生
短期か長期かは、期末の翌日から1年以内に決済日が来るかで判定するんだ。2年目末は返済まで1年なので短期外貨建債務に該当して、届出がなくても期末時換算法が法定になるよ。
迷いポイント 短期か長期かは、契約したときの期間で決まる?
ハルカ
3年の借入金なので、返済まで長期借入金のまま発生時換算法だと思っていました。
先生
判定は毎期末にやり直すんだ。税務の帳簿価額は 1,200,000 から 118円 の 1,180,000 になって為替差益 20,000。会計の 70,000 との差 50,000 を減算すると、別表五(一)の残高は 0 に戻るよ。
ハルカ
売掛金の支払期限が過ぎて延滞している場合も、1年以内なら短期ですか。
先生
支払期限を過ぎて延滞している外貨建債権は、短期外貨建債権に該当しないものとして扱うんだ(法人税基本通達13の2-2-12)。実務家でも見落としやすいところだよ。
💡 そうだったのか!
短期・長期は期末ごとに決済日までの期間で判定。最終年度の前の期末には短期になり、期末時換算法が法定になります。残高 50,000 はここで 0 に戻ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、税務の換算方法を「発生時換算法を届出(短期も発生時)」にする
  2. 年度ボタンで 2年目・3年目 を順に選ぶ

👀 2年目は 70,000 を減算して別表五(一)の残高が ▲20,000 になり、3年目の返済で 20,000 を加算して解消します。3年間の損金の合計 20,000 は会計と同じです。

ラボを開く ▶
🧾 税務 4 ラボの図(3年目)
会計の期末負債額税務の期末負債額1,250,0001,200,0001年目加算 50,0001,180,0001,180,0002年目差なし003年目差なし

各年度末の長期外貨建借入金の円貨額(会計と税務)を比べています。2本の差が別表五(一)の残高(負債なら会計の方が大きいときプラス)。3年目は返済したのでどちらもゼロ。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。

3年目(返済):会計は前期末 1,180,000 と返済額 1,220,000 の差 為替差損 40,000。税務は前期末の税務簿価 1,180,000 と返済額の差 為替差損 40,000(期末時換算法の戻入れは年度の純額に影響しない)。差はない。
📒 会計の費用(3年目)
  • 為替差損(返済時)40,000
計 40,000
🧾 税務の損金(3年目)
  • 為替差損(返済時。前期末の税務簿価 1,180,000 との差)40,000
計 40,000
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 3年目簡略版
区分項目総額①留保②社外流出③
加算なし
減算なし
所得への影響(加算 − 減算)+0
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 3年目簡略版
区分(項目)期首現在①当期の減②当期の増③差引翌期首現在④①−②+③
長期外貨建借入金(換算差額)0000
合計(この論点の分)0000

✔ 3年間の会計の為替差損益の合計と税務の合計はどちらも 為替差損 20,000。違うのは年度の配分だけ。

税務 4(3年目)

3年目 ── 122円 で返済、会計も税務も為替差損 40,000

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「3年目」
ハルカ
3年目は 122円 で返済。会計は前期末 1,180,000 との差で為替差損 40,000、税務も同じ 40,000 で、調整はありません。
先生
2年目末に税務の帳簿価額も 1,180,000 になっていたからね。期末時換算法の換算差額は翌期に戻し入れるけれど、返済した年の損金の純額は同じ 40,000 になるんだ(施行令第122条の8)。
迷いポイント 3年間の損金の合計は、会計と違う?
ハルカ
1年目に 50,000 を否認されたので、税務の損金は会計より少ないままだと思いました。
先生
会計は損 50,000、益 70,000、損 40,000 で合計 損 20,000。税務は 0、益 20,000、損 40,000 で合計 損 20,000 なんだ。年度の配分がずれるだけで、合計は一致するよ。
ハルカ
3年かけて、会計と税務が同じ 20,000 の損で待ち合わせるんですね。途中の道が違うだけで、ゴールは同じ駅でした。
先生
ゴールが同じだと分かっていれば、途中の別表の行も怖くないよ。
💡 そうだったのか!
3年間の損金の合計は会計と同じ為替差損 20,000。税務調整は年度の配分を直すだけで、別表五(一)の残高は返済までに必ず 0 に戻ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、種類を「長期の外貨預金」にする
  2. 年度ボタンで 1年目・2年目 を順に選ぶ

👀 向きが逆になり、1年目は為替差益 50,000 を減算して別表五(一)は ▲50,000、2年目に 50,000 を加算して 0 に戻ります。

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🧾 税務 5 ラボの図(1年目末)

1年目末の別表五(一)の残高から

別表五(一)の項目期末残高一時差異の種類繰延税金の参考額×30%・回収可能性判定前
長期外貨建借入金(換算差額)50,000将来減算一時差異繰延税金資産(参考) 15,000
繰延税金資産は、回収可能性(将来の課税所得・スケジューリング)を判断してから計上します。上の金額は判定前の参考額です。

実効税率 30% は説明用の仮定です。表の金額は回収可能性判定前の参考額で、計上額そのものではありません。表示は同一納税主体で相殺します(税効果会計ラボ)。

税務 5

税効果へのつながり ── 換算差額の否認は一時差異

📍 ラボの場所:税務調整タブ ⑤(1年目末)
ハルカ
1年目末の別表五(一)の残高 50,000 から、繰延税金資産(参考)15,000 が出ています。
先生
為替差損否認の残高は将来減算一時差異なんだ。2年目に短期になって減算されるので、解消の時期は見通しやすいよ。実効税率 30% は説明用の仮定なんだ。
ハルカ
税効果会計ラボで「負債は会計>税務なら将来減算一時差異」と習いました。借入金 1,250,000 と 1,200,000 なので、まさにその形ですね。
先生
ちゃんと覚えていたね。長期の外貨預金や貸付金なら資産で会計>税務になるので、向きが逆の将来加算一時差異になるよ。
迷いポイント 為替差損否認の繰延税金資産は、回収可能性を考えなくてよい?
ハルカ
翌期に必ず解消するので、全額を繰延税金資産にしてよいと思いました。
先生
解消の時期が見えていても、その期の課税所得で吸収できるかは別に判断するんだ。スケジューリングはしやすいけれど、回収可能性の判断を省くことはできないよ。
💡 そうだったのか!
換算差額の否認は将来減算一時差異(債務の場合)。解消時期は見通しやすい一方、回収可能性の判断は省けません。
📝 税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異・繰延税金資産・回収可能性)記事を読む ▶
🧾 税務 6 ラボの図
  • ✖ 会計で決算時の相場に換算したので、税務でも当然に損金・益金になる✔ 長期の外貨建債権債務・外貨預金は、届出がなければ発生時換算法。会計の為替差損益は加算・減算
  • ✖ 短期か長期かは契約時の期間で判定する✔ 期末の翌日から1年以内に決済日が来るかで判定。長期借入金でも最終年度は「短期」になり期末時換算法が法定
  • ✖ 為替差損の加算を、返済した年にそのままにする✔ 短期に変わった年(期末時換算法)か返済・回収の年に減算(認容)しないと、損金になる機会がなくなる
  • ✖ 期末時換算法の届出をしていないのに、過去の申告で期末換算していた✔ 届出の有無を確認する。採用後3年は原則として変更できない(法人税法施行令第122条の6)
  • ✖ TTMとTTBを年度ごとに使い分ける✔ 相場の種類は継続適用。通貨ごとに資産はTTB・負債はTTSとする方法も継続が条件(法人税基本通達13の2-2-5)
  • ✖ その他有価証券の為替部分を純資産に入れたので、別表四で加算する✔ 純資産直入は発生時換算法として扱う(法人税基本通達13の2-2-4)。損益を通していないので別表四の調整はない
税務 6

よくある誤り ── 申告書を作る前のチェック

📍 ラボの場所:税務調整タブ 6
ハルカ
誤りと正しい扱いが6組並んでいます。今日の話がほとんど入っていますね。
先生
申告書を作る前のチェックリストとして使えるよ。特に届出の有無と短期・長期の判定、短期に変わった年・返済した年の減算は、実務家でも間違いやすいところなんだ。
迷いポイント TTMとTTBは、年度ごとに有利な方を使ってよい?
ハルカ
円安の年はTTB、円高の年はTTMのように、年度ごとに選べるのだと思いました。
先生
相場の種類は継続適用なんだ。通貨ごとに資産はTTB・負債はTTSとする方法も、継続が条件だよ(法人税基本通達13の2-2-5)。
ハルカ
相場を毎年選び直すのは、パン屋で毎回15分迷う私でも許されないんですね。
先生
パン屋は迷っていいけれど、相場の種類は一度決めたら続けるんだよ。
💡 そうだったのか!
チェックの要は、届出の有無、期末ごとの短期・長期の判定、短期に変わった年・返済・回収の年の減算、相場の種類の継続適用です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて外貨建取引ラボの画面そのものです。税務調整タブを開けば、同じ図を見ながら、数字を変えて別表の動きを確かめられます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
会計が決算時の相場に換算替えしたなら税務でもそのまま損金?長期は届出がなければ発生時換算法。為替差損は加算・留保、短期になった年か返済の年に戻る(法61の9、令122の4・122の7)税務1
相場が15%動いたら自動で期末の相場にできる?(期末換算額−帳簿価額)÷期末換算額の絶対値がおおむね15%以上かで判定。同一通貨の一部だけには適用不可(基通13の2-2-10)税務2
その他有価証券の為替部分を純資産に入れたら別表四で加算?純資産直入は発生時換算法として扱う。損益を通さないので別表四の調整なし(基通13の2-2-4)税務2
別表五(一)の残高はプラスだけ?円高の為替差益は減算で残高はマイナス。債権・外貨預金なら向きも逆税務3
期末時換算法を届け出ていれば 50,000 は加算しなくてよい?届出があれば会計と同じ年度に損金で調整なし。採用後3年は原則変更不可(令122の6)税務4
短期か長期かは契約したときの期間で決まる?期末ごとに決済日までの期間で判定。残り1年になれば短期で期末時換算法が法定税務4
3年間の損金の合計は会計と違う?同じ 為替差損 20,000。年度の配分がずれるだけ税務4
為替差損否認の繰延税金資産は回収可能性を考えなくてよい?解消時期は見通しやすいが、課税所得で吸収できるかの判断は省けない税務5
TTMとTTBは年度ごとに有利な方を使ってよい?相場の種類は継続適用(基通13の2-2-5)税務6
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。税務は区分ごとに届け出た換算方法で換算する。届出がなければ短期は期末時、長期は発生時。長期の為替差損は加算・留保して、短期になった年か返済の年に戻す。3年間の合計は会計と同じなんだ。
ハルカ
前は、為替差損益は会計で計算したら終わりだと思っていました。今日は、別表五(一)の残高が「会計と税務の帳簿価額の差」だと分かって、棚卸資産の評価損のときと同じ道だと気づきました。
先生
同じ道だと気づけたのは大きいよ。会計を理解していることが、そのまま別表の力になるんだ。
ハルカ
では来年の申告前に、まず届出書の控えを探して、次に借入金の返済日までの残りの年数を数えます。カレンダーを1年ずつめくる係は、私が引き受けます。
先生
めくる前に、期末の翌日から数えることだけ忘れないようにね。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

法人税法第61条の8(外貨建取引の換算)・第61条の9(外貨建資産等の期末換算差益又は期末換算差損の益金又は損金算入等)・第61条の10(為替予約差額の配分)・第61条の5(デリバティブ取引)・第61条の6(繰延ヘッジ処理)、法人税法施行令第122条の3〜第122条の8、法人税基本通達第13章の2(13の2-1-2・13の2-1-4・13の2-2-1・13の2-2-4・13の2-2-5・13の2-2-10 ほか)、法人税申告書 別表四・別表五(一)の記載要領(国税庁)。基準確認日:2026年10月20日。別表の表示はラボと同じ「簡略版」で、項目名や行のまとめ方は会社ごとに異なります。実際の申告は、最新の法令・通達と顧問税理士の確認のうえで行ってください。 会計:企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」・同注解、移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」。

シリーズ:基礎編/応用編/設例・金銭債権債務編(基礎1〜5)/設例・為替予約編(基礎6・7、応用1〜3)/設例・外貨建有価証券編(基礎8、応用4〜7)/設例・在外子会社編(基礎9、応用8〜13)/税務調整編(この記事) / ほかのラボの税務調整編:リース会計ラボ【税務調整編】/資産除去債務ラボ【税務調整編】/減損会計ラボ【税務調整編】/棚卸資産ラボ【税務調整編】 / 関連:税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異・繰延税金資産・回収可能性)/別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】(留保と社外流出・検算式)/棚卸資産ラボ【税務調整編】(評価損の加算と販売した年の認容)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。