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資本連結ラボ【設例・支配獲得編】|先生と一緒に図で学ぶ事例A〜C 一括取得・段階取得・段階取得に係る損益

資本連結ラボ【設例・支配獲得編】|先生と一緒に図で学ぶ事例A〜C 一括取得・段階取得・段階取得に係る損益

無料の学習ツール「資本連結ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・基礎タブから、支配を獲得する事例(事例A〜C)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 事例A〜C ラボの画面
3つの事例の前提(S社は同じ会社)
事例A:当期末に70%を一度に取得1,380
事例B:前期以前に15%(その他有価証券・市場価格のない株式で原価法)→ 当期末に55%を追加240 → 1,265
事例C:1年前に25%(持分法)→ 当期末に45%を追加475 → 1,125
支配獲得日のS社:資本金/利益剰余金(事例A)800/400
支配獲得日のS社:資本金/利益剰余金(事例B・C)800/500
土地の簿価 → 時価(事例A/事例B・C)600 → 900/1,000
当期末(支配獲得日)
S社株式 70% を取得
1,380
合計 70% → 連結子会社

支配獲得日のS社

資本金800
利益剰余金400
土地簿価 600 → 時価 900

これから行う手続

  1. 1子会社の資産・負債を時価で評価評価差額
  2. 2投資と資本を相殺消去のれん・非支配株主持分
  3. 3連結貸借対照表を組み立てる
  4. 4翌年度の処理開始仕訳・のれん償却
はじめに

今日の題材 ── 事例A〜C

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例A〜C
ハルカ
先生、設例・基礎タブには事例が3つありますね。どれも最後は70%で子会社になっています。
先生
そう、3つとも同じS社を70%持って子会社にする事例だよ。違うのは支配を獲得する前に何を持っていたかなんだ。事例Aは何も持っていない一括取得、事例Bはその他有価証券の15%から、事例Cは持分法を適用していた25%からの段階取得だよ。
ハルカ
最後の形が同じなら、計算も同じになりそうですね。
先生
のれんの計算の形は同じだけれど、投資額をいくらで数えるかが変わるんだ。まず事例Aで基本の手順を確かめてから、事例B・Cで「前から持っていた株式」の扱いを見比べていこうか。
設例・基礎タブの事例Aを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 事例A ラボの画面

親会社の投資(時価)と、子会社の資本のうち親会社持分を相殺消去します。差額がのれん(投資が大きい場合)または負ののれん、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分が非支配株主持分です。

支配獲得日までに子会社が稼いだ利益剰余金は、ここで投資と相殺されて連結の利益剰余金には入りません。

非支配株主持分 = 子会社の資本 1,500 × 30% = 450 のれん = 投資額 1,380 - 1,500 × 70% = 330
投資と資本の相殺消去
借方金額貸方金額
資本金800S社株式1,380
利益剰余金400非支配株主持分450
評価差額300
のれん330

P社とS社(時価評価後)を合算し、連結修正を加えると連結貸借対照表になります。S社株式が消え、のれんと非支配株主持分が現れます。

単純合算と連結の違い(イメージ図)

その他の資産7,300土地900S社株式1,380負債4,200資本金(P社)2,000利益剰余金(P社)1,880資本金(S社)800利益剰余金(S社) 400評価差額 300その他の資産7,300土地900のれん +330負債4,200資本金2,000利益剰余金1,880非支配株主持分 +450① 単純合算(P社+S社)資産負債・純資産② 連結B/S資産負債・純資産合計 9,580合計 8,530単純合算より ▲1,050連結修正(相殺消去など)S社株式を消去▲1,380S社の資本を消去▲1,500(資本金 800・利益剰余金 400・評価差額 300)のれんを計上+330非支配株主持分を計上+450資産合計の増減▲1,050連結修正を加える連結で消える連結で新たに現れる高さ=金額(左右同じ縮尺)

連結精算表

「単純合算」列が上の図の①、「連結B/S」列が②に対応します。

P社(個別)S社(時価評価後)単純合算
(P社+S社)
連結修正連結B/S
S社株式1,38001,380▲1,3800
土地0900900900
その他の資産6,0001,3007,3007,300
のれん000330330
資産合計7,3802,2009,580▲1,0508,530
負債3,5007004,2004,200
資本金2,0008002,800▲8002,000
利益剰余金1,8804002,280▲4001,880
評価差額0300300▲3000
非支配株主持分000450450
負債・純資産合計7,3802,2009,580▲1,0508,530

連結B/Sの貸借が一致しています(資産合計 8,530 = 負債・純資産合計 8,530)。

事例A

支配獲得日 ── 利益剰余金400は、相殺で消える

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例A ステップ3・4
ハルカ
事例Aの相殺消去は、基礎編でやった形ですね。資本1,500の70%が1,050で、のれんは1,380-1,050=330でした。
先生
よく覚えていたね。設例では、その先の連結精算表まで出てくるんだ。P社とS社を足した単純合算に連結修正を加えて、連結B/Sができあがるよ。
迷いポイント 支配獲得日までにS社が稼いだ利益剰余金400は、連結の利益剰余金に入る?
ハルカ
S社の利益剰余金400も、グループの利益の蓄えですよね。連結の利益剰余金は、P社の1,880に400を足して2,280ですか。
先生
それが、そうではないのだよ。400は相殺消去の借方に入って消えるんだ。
ハルカ
消えるんですか。
先生
精算表の利益剰余金の行を見ると、単純合算2,280に▲400を加えて、連結B/Sは1,880。P社は、S社がそれまでに稼いだ利益も含んだ値段で株式を買っているから、グループが稼いだ利益にはならないんだよ。
ハルカ
400も貯金があったのに、連結に来たとたんに消えてしまうんですね。せっかくの貯金が、引っ越しの荷物から抜かれた気分です。
先生
抜かれたのではなく、買った値段の中に入っているんだ。S社株式1,380と一緒に消えているよ。
💡 そうだったのか!
支配獲得日までの子会社の利益剰余金は、投資と相殺されて連結の利益剰余金に入りません。連結の利益剰余金に入るのは、支配獲得日以後の利益だけです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🏁 支配を獲得するとき」で「事例A 一括取得(0%→70%)」を選ぶ
  2. 「支配獲得日のS社」の「土地の時価」を 900 → 1,000 に変える

👀 のれんが 330 → 260、非支配株主持分が 450 → 480 に変わります。評価差額が100増え、その70%の70だけのれんが小さくなり、30%の30が非支配株主持分に加わるためです。

ラボを開く ▶
📘 事例A ラボの画面

翌年度は、前期の連結修正を開始仕訳として引き継いでから、当期の処理を行います。のれんは効果が及ぶ期間(20年以内)にわたって償却し、S社の当期純利益のうち非支配株主の持分は非支配株主持分に振り替えます。

のれん償却額 = 330 ÷ 10年 = 33 非支配株主に帰属する当期純利益 = S社の当期純利益 250 × 30% = 75 期末の非支配株主持分 = 450 + 75 = 525 期末ののれん = 330 - 33 = 297 親会社株主に帰属する取得後の利益 = 250 × 70% - のれん償却 33 = 142
開始仕訳:前期の投資と資本の相殺消去の引継ぎ
借方金額貸方金額
資本金800S社株式1,380
利益剰余金(期首)400非支配株主持分450
評価差額300
のれん330
のれんの償却(10年定額)
借方金額貸方金額
のれん償却額33のれん33
子会社の当期純利益の非支配株主持分への振替
借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益75非支配株主持分75
事例A

翌年度 ── 開始仕訳から始めて、償却と振替を足す

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例A ステップ5
ハルカ
翌年度は、もう相殺消去は済んでいるので、のれん償却と非支配株主の分だけ仕訳すればいいんですよね。
先生
本文の仕訳を見て。いちばん上に、支配獲得日と同じ相殺消去がもう一度並んでいるよね。
ハルカ
毎年、同じ仕訳をもう一度入れるんですか。
先生
そう。これが開始仕訳だよ。連結財務諸表は、毎期、個別財務諸表から作り直すんだ。
迷いポイント 翌年度は、支配獲得日の相殺消去をもう入れなくてよい?
ハルカ
あ、これ、持分法の設例で見た開始仕訳と同じですか。前の年の修正は、利益剰余金の期首残高で引き継ぐ、という。
先生
そう、ちゃんと覚えていたね。連結でも、個別の帳簿には前の年の連結修正が残っていないから、期首に入れ直すんだ。相手は利益剰余金(期首)だよ。
ハルカ
連結でも同じなんですね。
先生
ただ持分法と違って、資本連結では資本金・評価差額・のれん・非支配株主持分まで、科目ごとに入れ直すことになるよ。
ハルカ
そのあとに、のれん償却33と、非支配株主に帰属する当期純利益75ですね。
先生
うん。のれんは330÷10年で33を償却し、S社の利益250のうち30%の75を非支配株主持分へ振り替えるんだ。
ハルカ
期末の残高はどうなりますか。
先生
期末の非支配株主持分は525、のれんは297。親会社株主に帰属する取得後の利益は、250×70%-33=142になるよ。
💡 そうだったのか!
翌年度は開始仕訳で支配獲得日の相殺消去を入れ直し、その上にのれん償却と非支配株主持分への振替を足します。前期の利益剰余金は「期首」の科目で引き継ぎます。
事例Aのステップ5では、開始仕訳・のれんの償却・非支配株主持分への振替が順に並んでいますラボで開く ▶
📘 事例B ラボの画面

連結財務諸表では、支配獲得前から持っていた株式も支配獲得日の時価で投資額に含めます。帳簿価額との差額は「段階取得に係る損益」として当期の損益にします。

一方、P社の個別財務諸表では、取得原価の合計(1,505)のままです。連結と個別で投資額が違うのはこのためです。

1%あたりの時価 = 追加取得額 1,265 ÷ 55% = 23 既存持分の時価 = 23 × 15% = 345(簡便法:追加取得が時価で行われた前提) 段階取得に係る差益 = 345 - 支配獲得直前の適正な帳簿価額(本設例は原価法のため取得原価)240 = 105 支配獲得日の投資額 = 345 + 1,265 = 1,610
既存持分を支配獲得日の時価で評価
借方金額貸方金額
S社株式105段階取得に係る差益105
事例B

段階取得 ── 前からの15%を、支配獲得日の時価で評価し直す

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例B ステップ1・2
ハルカ
事例Bは、前期以前に15%を240で持っていて、当期末に55%を1,265で買い足したんですね。
先生
そう。この15%は市場価格のない株式なので、その他有価証券として取得原価240のまま持っていた前提だよ。
ハルカ
上場している株式なら、時価で評価しているところですね。
先生
そのとおり、ここでは原価法の前提で読んでいこうか。55%の値段から逆算すると、1%あたりの時価は1,265÷55%=23になる。前から持っていた15%も、支配獲得日には23×15%=345の値打ちがあるわけだよ。
迷いポイント のれんは、実際に払った合計1,505(240+1,265)から計算する?
ハルカ
持分法の段階取得では、前の利益を損益にしないで、利益剰余金に直接振り替えましたよね。今回も、払った1,505をそのまま使って、損益は出さないんですか。
先生
持分法の設例をよく覚えていたね。でも、子会社になるときは扱いが違うんだ。連結では、支配を獲得した日に、前から持っていた15%を時価345でいったん売って買い直したと考えるんだ。
ハルカ
売って買い直す、ですか。
先生
そう、連結の頭の中でだけね。簿価240との差105は段階取得に係る差益として、当期の損益にするんだよ。投資額は345+1,265=1,610で、のれんはここから計算するんだ。
ハルカ
同じ15%なのに、持分法のときは損益を通らず、子会社のときは損益に出る…。頭の中で、2つの引き出しが勝手に入れ替わりそうです。
先生
ラベルを貼っておけばいいんだ。関連会社になるときは「利益剰余金」、子会社になるときは「時価で評価し直して損益」だよ。
💡 そうだったのか!
段階取得で子会社になるときは、前から持っていた株式を支配獲得日の時価で評価し直し、差額を段階取得に係る損益にします。P社の個別財務諸表では、取得原価の合計1,505のままです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🏁 支配を獲得するとき」で「事例B その他有価証券15%→70%」を選ぶ
  2. 「支配獲得前の持分」の「取得原価」を 240 → 300 に変える

👀 段階取得に係る損益が 105 → 45 に減りますが、のれんは 420 のまま変わりません。のれんは支配獲得日の時価で決まり、昔いくらで買ったかは差益の大きさにしか効かないためです。

ラボを開く ▶
📘 事例B ラボの画面

親会社の投資(時価)と、子会社の資本のうち親会社持分を相殺消去します。差額がのれん(投資が大きい場合)または負ののれん、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分が非支配株主持分です。

支配獲得日までに子会社が稼いだ利益剰余金は、ここで投資と相殺されて連結の利益剰余金には入りません。

非支配株主持分 = 子会社の資本 1,700 × 30% = 510 のれん = 投資額 1,610 - 1,700 × 70% = 420
投資と資本の相殺消去
借方金額貸方金額
資本金800S社株式1,610
利益剰余金500非支配株主持分510
評価差額400
のれん420

P社とS社(時価評価後)を合算し、連結修正を加えると連結貸借対照表になります。S社株式が消え、のれんと非支配株主持分が現れます。段階取得に係る損益は連結の利益剰余金に入ります。

単純合算と連結の違い(イメージ図)

その他の資産7,400土地1,000S社株式1,505負債4,200資本金(P社)2,000利益剰余金(P社)2,005資本金(S社)800利益剰余金(S社) 500評価差額 400その他の資産7,400土地1,000のれん +420負債4,200資本金2,000利益剰余金2,110(うち+105)非支配株主持分 +510① 単純合算(P社+S社)資産負債・純資産② 連結B/S資産負債・純資産合計 9,905合計 8,820単純合算より ▲1,085連結修正(相殺消去など)S社株式を消去▲1,505S社の資本を消去▲1,700(資本金 800・利益剰余金 500・評価差額 400)のれんを計上+420非支配株主持分を計上+510利益剰余金(段階取得・持分法)+105資産合計の増減▲1,085連結修正を加える連結で消える連結で新たに現れる高さ=金額(左右同じ縮尺)

連結精算表

「単純合算」列が上の図の①、「連結B/S」列が②に対応します。

P社(個別)S社(時価評価後)単純合算
(P社+S社)
連結修正連結B/S
S社株式1,50501,505▲1,5050
土地01,0001,0001,000
その他の資産6,0001,4007,4007,400
のれん000420420
資産合計7,5052,4009,905▲1,0858,820
負債3,5007004,2004,200
資本金2,0008002,800▲8002,000
利益剰余金2,0055002,505▲3952,110
評価差額0400400▲4000
非支配株主持分000510510
負債・純資産合計7,5052,4009,905▲1,0858,820

連結B/Sの貸借が一致しています(資産合計 8,820 = 負債・純資産合計 8,820)。

連結修正欄の利益剰余金 = S社の利益剰余金の消去 ▲500 + 段階取得に係る差益 105

事例B

相殺消去と連結B/S ── 差益105は、連結の利益剰余金に残る

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例B ステップ4・5
ハルカ
のれんは、1,610-1,700×70%=420ですね。評価差額は土地の時価1,000と簿価600の差で400。
先生
そのとおり。段階取得でも、子会社の資産・負債は支配獲得日の時価で一度に評価するんだ。
ハルカ
前期の時価は使わないんですね。
先生
そう、15%を買った前期の時価は使わないよ。非支配株主持分は1,700×30%=510だね。
迷いポイント 段階取得に係る差益105も、相殺消去の中で消えてしまう?
ハルカ
差益105は、S社株式を345に増やしたときに出たものですよね。そのS社株式は相殺で消えるので、差益も一緒に消えるんでしょうか。
先生
消えるのはS社株式の方で、差益は消えないんだ。精算表の利益剰余金の行を見てみようか。
ハルカ
差益はどこに残っているんですか。
先生
単純合算は、P社の2,005とS社の500で2,505。そこからS社の利益剰余金500を消去して、差益105を加えると2,110になるんだ。P社の個別の2,005より、差益105の分だけ大きいんだよ。
💡 そうだったのか!
段階取得に係る差益は連結の利益剰余金に残ります。個別ではS社株式は1,505のまま、連結では1,610として相殺され、その差105が連結だけの利益です。
📘 事例C ラボの画面

持分法では、取得時にS社の資産を取得した持分の分だけ時価評価します(部分時価評価法)。投資額との差額が持分法上ののれん(投資差額)になり、持分法の期間中に償却されます。

支配獲得の直前までに、のれんの償却とS社の利益の持分相当額が投資額に反映されているので、まずその帳簿価額を確かめます。

持分法ののれん = 取得原価 475 -〔(資本金 800 + 利益剰余金 400)× 25% + 評価差額 (900-600)× 25%〕 = 100 のれんの償却(10年) = 100 ÷ 10 = 10 投資利益 = S社の当期純利益 100 × 25% = 25 持分法による投資評価額 = 475 - 10 + 25 = 490
持分法:のれん(投資差額)の償却
借方金額貸方金額
持分法による投資利益10S社株式10
持分法:当期純利益の持分相当額
借方金額貸方金額
S社株式25持分法による投資利益25

連結財務諸表では、支配獲得前から持っていた株式も支配獲得日の時価で投資額に含めます。帳簿価額との差額は「段階取得に係る損益」として当期の損益にします。

一方、P社の個別財務諸表では、取得原価の合計(1,600)のままです。連結と個別で投資額が違うのはこのためです。

1%あたりの時価 = 追加取得額 1,125 ÷ 45% = 25 既存持分の時価 = 25 × 25% = 625(簡便法:追加取得が時価で行われた前提) 段階取得に係る差益 = 625 - 持分法による投資評価額 490 = 135 支配獲得日の投資額 = 625 + 1,125 = 1,750
既存持分を支配獲得日の時価で評価
借方金額貸方金額
S社株式135段階取得に係る差益135
事例C

持分法から子会社へ ── 比べる相手は、持分法による投資評価額

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例C ステップ2・3
ハルカ
事例Cは、1年前に25%を475で買って、持分法を適用していたんですね。
先生
そう。持分法の間に、持分法ののれん100を10年で償却して10、S社の利益100の25%で25を取り込んでいるから、支配獲得の直前の帳簿価額は475-10+25=490になっているんだ。
迷いポイント 段階取得に係る差益は、時価625と取得原価475の差(150)?
ハルカ
時価は1,125÷45%=25で、25%分は625。取得原価475との差で、差益は150ですね。
先生
時価625は合っているよ。ただ、比べる相手は取得原価ではなく、持分法による投資評価額490なんだ。
ハルカ
490と比べるんですか。
先生
そう、持分法の間に増えた15は、もう連結の利益剰余金に入っているからね。だから差益は625-490=135。15と135を足すと150になって、二重に数えないようになっているんだよ。
💡 そうだったのか!
持分法を適用していた株式は、支配獲得日の時価と持分法による投資評価額の差が段階取得に係る損益です。その他有価証券(事例B)なら、比べる相手は帳簿価額(原価法なら取得原価)です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🏁 支配を獲得するとき」で「事例C 持分法25%→70%」を選ぶ
  2. 「取得のパターン」で「②段階取得:その他有価証券から」を選ぶ

👀 段階取得に係る損益が 135 → 150 に変わり、のれんは 560 のままです。比べる相手が持分法の評価額490から取得原価475に変わった分だけ、差益が15増えます。

ラボを開く ▶
📘 事例C ラボの画面

親会社の投資(時価)と、子会社の資本のうち親会社持分を相殺消去します。差額がのれん(投資が大きい場合)または負ののれん、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分が非支配株主持分です。

支配獲得日までに子会社が稼いだ利益剰余金は、ここで投資と相殺されて連結の利益剰余金には入りません。

持分法の投資評価額に含まれていたのれんの未償却額(90)は区別せず、支配獲得日に新たに計算したのれんに含めます。

非支配株主持分 = 子会社の資本 1,700 × 30% = 510 のれん = 投資額 1,750 - 1,700 × 70% = 560
投資と資本の相殺消去
借方金額貸方金額
資本金800S社株式1,750
利益剰余金500非支配株主持分510
評価差額400
のれん560

翌年度は、前期の連結修正を開始仕訳として引き継いでから、当期の処理を行います。のれんは効果が及ぶ期間(20年以内)にわたって償却し、S社の当期純利益のうち非支配株主の持分は非支配株主持分に振り替えます。

のれんは、持分法の時期に償却が始まっていた部分も含めて、支配獲得日に新たに計上したものとみなし、新しい償却期間で償却します。

のれん償却額 = 560 ÷ 10年 = 56 非支配株主に帰属する当期純利益 = S社の当期純利益 300 × 30% = 90 期末の非支配株主持分 = 510 + 90 = 600 期末ののれん = 560 - 56 = 504 親会社株主に帰属する取得後の利益 = 300 × 70% - のれん償却 56 = 154
開始仕訳①:前期の連結修正(持分法・段階取得差益)の引継ぎ
借方金額貸方金額
S社株式150利益剰余金(期首)150
開始仕訳②:前期の投資と資本の相殺消去の引継ぎ
借方金額貸方金額
資本金800S社株式1,750
利益剰余金(期首)500非支配株主持分510
評価差額400
のれん560
のれんの償却(10年定額)
借方金額貸方金額
のれん償却額56のれん56
子会社の当期純利益の非支配株主持分への振替
借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益90非支配株主持分90
事例C

のれん ── 持分法ののれんは、新しいのれんにまとめる

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 事例C ステップ4〜7
ハルカ
支配獲得日の投資額は625+1,125=1,750。のれんは1,750-1,700×70%=560ですね。
先生
そう。評価差額も、支配獲得日の時価で400を計上し直す。持分法のときに25%分だけ時価評価した75は使わないんだ。
迷いポイント 持分法の投資に含まれていたのれんの未償却額90は、別に分けて償却を続ける?
ハルカ
持分法ののれんは、まだ90残っていますよね。それは今までどおり、残りの9年で償却するんですか。
先生
分けないんだ。90は区別せず、支配獲得日に計算した新しいのれん560の中に入れて、新しい償却期間で償却するんだよ。事例Cでは10年で、翌年度の償却は560÷10=56になるよ。
ハルカ
のれんが、持分法の時代の経歴をリセットして、新入社員として入り直すんですね。
先生
経歴は投資額の中に入っているけれど、償却は新しく始めるんだ。翌年度の開始仕訳では、持分法と差益の分150(15+135)も利益剰余金(期首)で引き継ぐよ。
💡 そうだったのか!
段階取得では、評価差額ものれんも支配獲得日に計算し直します。持分法ののれんの未償却額は区別せず、新しいのれんに含めて新しい償却期間で償却します。
事例Cのステップ7では、開始仕訳①(150)と②、のれん償却56が並んでいますラボで開く ▶

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今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
事例A支配獲得日までの利益剰余金400は連結に入る?入らない。相殺消去で消え、連結の利益剰余金はP社の1,880のまま
事例A翌年度は相殺消去を入れなくてよい?開始仕訳で毎期入れ直す。前期の利益剰余金は「期首」で引き継ぎ、のれん償却33・非支配75を足す
事例Bのれんは払った合計1,505から計算する?前からの15%を時価345で評価し直し、差益105。投資額1,610からのれん420
事例B段階取得に係る差益も相殺で消える?消えない。単純合算2,505-S社の500+差益105=2,110
事例C差益は時価625と取得原価475の差?持分法による投資評価額490との差で135。持分法の間の15と合わせて150
事例C持分法ののれん90は別に償却を続ける?区別せず新しいのれん560に含め、新しい期間で償却(年56)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。支配獲得日までの利益剰余金は相殺で消えるんだ。段階取得では、前からの株式を支配獲得日の時価で評価し直して、比べる相手は、その他有価証券なら帳簿価額、持分法なら投資評価額だよ。
ハルカ
持分法の段階取得を先にやっていたので、今日は「どこが違うか」を探しながら読めました。前は、数字を合わせるのに精いっぱいだったのに。
先生
違いを探す読み方ができるのは、大きな進歩だよ。関連会社になるときと子会社になるときで、前からの持分の扱いが逆になるんだ。
ハルカ
はい。ただ、引き出しのラベルを貼ったつもりが、まだ少しはがれかけています。
先生
貼り直すのは何回でもいいんだ。次の追加取得・売却編では、子会社になった後に持分が動く事例D〜Fを見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」/企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」/移管指針第4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(同・設例)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの事例の数値は、指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。設例は税効果なしで計算しています。P社・S社は架空の会社の例です。公認会計士が監修しています。
このシリーズの記事:基礎編 ── 投資と資本の相殺消去・のれん・非支配株主持分/応用編 ── 段階取得・追加取得・売却・投資の修正額/設例・追加取得・売却編(事例D〜F)/設例・時価発行増資編(事例G・H)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。