地方税法ラボ【基礎編】|図で学ぶ法人の住民税・事業税・5段の流れ・標準税率・分割基準
2026
10/19
無料の学習ツール「地方税法ラボ(法人の申告) 」の読み方ガイドです。ラボの全体像タブを中心に、条文からのタブも合わせて、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例 です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのもの です(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
設例A社(3月決算・資本金1,000万円。A県A市に本店1か所、従業者8人。所得600万円・法人税額90万円。標準税率。単位:円)
道府県民税(法人税割 9,000+均等割 20,000) 29,000 市町村民税(法人税割 54,000+均等割 50,000) 104,000 事業税(所得割:400万円×3.5%+200万円×5.3%) 246,000 特別法人事業税(所得割額×37%。国税) 91,000 地方法人税(法人税額×10.3%。国税) 92,700 合計 562,700
はじめに
今日の題材 ── A社の住民税・事業税から地方税法を引く 📍 ラボの場所:全体像タブ・設例・試算タブ(A社)
ハルカ
先生、地方税法はとても長い法律だと聞きました。経理で関係するのは、どこなんですか。
先生
本則だけで1,300条を超えるんだ。だからこのラボは、法人が申告する住民税・事業税と、償却資産の固定資産税 に絞っているよ。個人の住民税や不動産取得税は扱わないんだ。
ハルカ
表のA社は、県に2万9千円、市に10万4千円、事業税が24万6千円…。法人税の申告書の数字が、いろいろな税の材料になっていますね。
先生
そう。法人税額が住民税の、所得が事業税の材料になるんだ。税率はすべて標準税率 で計算しているよ。A社の数字を手がかりに、ラボの全体像タブを順に読んでいこうか。
🧭 全体像 ラボの画面
🗺 条文から 法人の住民税・事業税・償却資産の条文ツリーと、税率の早見表 👤 法人の立場から 中小法人・複数県の法人・外形標準課税の法人・赤字法人などで効く規定 🔁 経理処理から 住民税・事業税・特別法人事業税・外形標準課税・償却資産税の経理と別表四 🧾 様式から 第六号様式・第二十号様式・分割明細書・償却資産申告書から条文へ ⏱ 手続・期限から 確定申告・中間申告・延長・償却資産の申告・設立届を期限の順に 🧩 テーマから 外形標準課税・分割基準・均等割・超過課税・特別法人事業税・償却資産 🧮 設例・試算 3社の設例と、住民税・事業税・特別法人事業税の自由入力の試算
入口
このラボの引き方 ── 7つの切り口 📍 ラボの場所:全体像タブ 冒頭
ハルカ
タイルの並びは、法人税法ラボと同じです。ただ「法人の立場から」になっていますね。
先生
そう。地方税は、事業所がいくつの県にあるか、資本金が1億円を超えるか、赤字かで、効く規定がずいぶん変わるんだ。だから立場の切り口を厚くしているよ。
迷いポイント 地方税法の税率は、全国どこでも同じ?
ハルカ
法律で決まっているなら、東京都でも大阪府でも同じ税率ですよね。
先生
そこが国税と違うところなんだ。地方税法が決めるのは標準税率 と、多くの税目では上限(制限税率) で、実際の税率は各自治体の条例 で決まるよ。東京都をはじめ、標準より高い超過課税をしている自治体が多いんだ。
ハルカ
じゃあ、このラボの計算は、そのまま申告には使えないんですか。
先生
仕組みと標準の水準をつかむための計算だよ。申告では、事業所のある自治体の税率表を使って計算するんだ。
💡 そうだったのか!
地方税法が定めるのは
標準税率 と上限(制限税率)で、実際の税率は
自治体の条例 で決まります。このラボの計算は標準税率で、申告では各自治体の税率表を使います。
📗 全体像 1 ラボの図
本流:事務所・事業所のある法人が、法人税の申告と同じ時期に、住民税と事業税を自治体ごとに申告納付する ① 誰が 事務所・事業所のある法 人 第24条・第294条 ② 何に 法人税額・所得・ 付加価値・資本 第23条・第72条の12 ③ いくら 標準税率と超過課税 第51条・第314条の4 ④ どこに 分割基準で自治体に分け る 第57条・第72条の48 ⑤ どう納める 申告納付・中間申告・ 普通徴収 第53条・第72条の25 どの自治体に、どの法人が納めるの? 外形標準課税 資本金1億円超など 特別法人事業税 事業税と一緒に納める国の税 償却資産の固定資産税 1月31日に申告 地方法人税 国に納める住民税相当 枝(テーマタブ) ① 誰が:事務所・事業所のある法人 道府県・市町村の中に事務所または事業所がある法人は、その道府県民税・市町村民税(均等割と法人税割)を納めます(第24条第1項第3号 ・第294条第1項第3号 )。法人の事業税は、事業を行う法人に、事務所・事業所のある道府県が課します(第72条の2第1項 )。償却資産の固定資産税は、1月1日に償却資産を持っている人に、その所在の市町村が課します(第343条 ・第359条 )。 地方税法第24条 地方税法第294条 地方税法第72条の2 地方税法第343条 この段の図解へ ▶
全体像 1
このラボの背骨 ── 5段の流れ 📍 ラボの場所:全体像タブ 1
ハルカ
「① 誰が → ② 何に → ③ いくら → ④ どこに → ⑤ どう納める」。法人税法ラボの5段と似ていますが、④が「どこに」になっています。
先生
そこが地方税の特徴なんだ。国税は税務署に1回申告すれば終わるけれど、地方税は事業所のある自治体ごと に申告するよ。2つ以上の自治体に事業所があれば、課税標準を分割基準 で分けるんだ(第57条・第72条の48)。
迷いポイント 法人の地方税は、本店のある県と市にだけ納めればよい?
ハルカ
うちの会社は東京23区に本店があって、大阪市に支店があります。東京の分だけ申告すればいいと思っていました。
先生
それが、そうではないんだ。支店のある大阪府と大阪市にも、住民税と事業税を申告するよ。課税標準を分けて、それぞれの自治体に申告するのが基本なんだ。
ハルカ
東京のほうは、東京都と区の2か所に住民税を申告するんですね。
先生
23区は例外なんだ。23区内では、市町村民税にあたる分も都民税 として東京都が課すから、法人住民税は東京都にまとめて申告するよ(第734条第2項)。
ハルカ
事業所が複数の自治体にあると、申告先も増えるんですね。
先生
そう。電子申告のeLTAXを使えば、複数の自治体へまとめて出せるよ。考え方はこの5段で整理できるんだ。
💡 そうだったのか!
法人の地方税は
誰が→何に→いくら→どこに→どう納める の5段。国税と違い、事業所のある
自治体ごと に申告し、2つ以上なら
分割基準 で課税標準を分けます(第57条・第72条の48)。
📗 全体像 2 ラボの図
赤字の会社でも、毎年必ず納める地方税があります。どの税でしょう?
道府県民税(法人) 均等割+法人税割(1.0%) 事業税(法人) 所得割(3.5%〜7.0%)など 特別法人事業税 事業税の所得割額 × 37%など 市町村民税(法人) 均等割+法人税割(6.0%) 固定資産税(償却資産) 価格 × 1.4%(免税点150万円) 地方法人税 法人税額 × 10.3% 道府県に納める 市町村に納める 国に納める(地方税と一緒) 法人に関係する主な地方税(標準税率) 法人の道府県民税 道府県内に事務所・事業所がある法人に、均等割(資本金等の額で年2万円〜80万円)と法人税割(法人税額の1.0%)を課します(第24条 ・第51条 ・第52条 )。寮などだけがある法人は均等割だけです。 地方税法第24条 地方税法第51条 地方税法第52条
全体像 2
① 誰が ── 法人に関係する6つの税 📍 ラボの場所:全体像タブ 2
ハルカ
タイルが6枚です。道府県民税、事業税、特別法人事業税、市町村民税、償却資産の固定資産税、地方法人税。下の2枚は国に納める税なんですね。
先生
そう。特別法人事業税 は事業税と一緒に都道府県へ、地方法人税 は法人税と一緒に税務署へ申告するんだ。どちらも国税だけれど、地方税と一体で考えるよ。
迷いポイント 赤字の会社なら、地方税は1円もかからない?
ハルカ
赤字なら法人税がゼロなので、法人税額を使う住民税もゼロ。地方税はお休みだと思っていました。
先生
法人税割はゼロになるけれど、均等割 はかかるんだ。均等割は所得に関係なく、資本金等の額(市町村は従業者数も)で決まる定額 だよ(第52条・第312条)。A社なら県2万円と市5万円だね。
ハルカ
使っても使わなくても毎月引き落とされる、私のジムの会費みたいです。行かなかった月も払っていました。
先生
ジムは解約できるけれど、均等割は事務所がある限り続くんだ。事務所を持っていた月数で月割するよ(第52条第3項)。
💡 そうだったのか!
法人に関係するのは
道府県民税・市町村民税・事業税・償却資産の固定資産税 と、国税の
特別法人事業税・地方法人税 。住民税の
均等割は赤字でもかかる定額 です(第52条・第312条)。
⏱ 30秒だけラボで試す
全体像タブの「6つの税」の図で、「市町村民税(法人)」のタイルを押す 👀 下の説明が「法人の市町村民税」に変わり、「均等割(資本金等の額と従業者数で年5万円〜300万円)と法人税割(法人税額の6.0%)を課します(第294条・第312条・第314条の4)」と表示されます。
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📗 全体像 3 ラボの図
法人住民税 事業税(所得割) 外形標準課税 償却資産
法人税額 法人税の申告書の税額 第23条第1項第3号 法人税割 法人税額 × 税率 第51条・第314条の4 資本金等の額 均等割の区分 第52条・第312条 合計 均等割+法人税割 第24条 法人住民税:法人税額と、資本金等の額・従業者数 法人税割の課税標準は、法人税の申告で計算した法人税額です(第23条第1項第3号 )。均等割は所得や赤字に関係なく、資本金等の額(市町村は従業者数も)で決まる定額で、事務所を持っていた月数で月割します(第52条第3項 )。
全体像 3
② 何に ── 課税標準は税目ごとに違う 📍 ラボの場所:全体像タブ 3
ハルカ
法人住民税の流れが表示されています。法人税額 → 法人税割、資本金等の額 → 均等割。事業税のボタンもありますね。
先生
法人住民税の法人税割は法人税額 が課税標準(第23条第1項第3号)、事業税の所得割は所得 が課税標準で、法人税の所得の計算の例によるんだ(第72条の23)。
迷いポイント 事業税の所得は、損益計算書の利益をそのまま使う?
ハルカ
法人税法ラボで、税率を掛けるのは利益ではなく所得で、別表四で加算・減算して求めると習いました。事業税も同じですか。
先生
よく覚えていたね。基本は同じで、法人税の別表四で計算した所得が出発点なんだ。ただ、事業税だけの調整もあるから、事業税の申告書で所得を計算し直すよ。
ハルカ
資本金1億円を超える会社は、外形標準課税で付加価値額と資本金等の額も課税標準になるんですよね。
先生
そう。付加価値額は報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料・単年度損益の合計だよ(第72条の14)。だから赤字でも 付加価値割と資本割はかかるんだ。
💡 そうだったのか!
課税標準は税目ごと。
法人税割=法人税額 (第23条第1項第3号)、
所得割=所得 (法人税の所得の計算の例による。第72条の23)、外形標準課税なら
付加価値額・資本金等の額 も加わります(第72条の14)。
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全体像タブの「何に」の図で、「外形標準課税」を押す 👀 流れが「付加価値額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料+単年度損益)→ 資本金等の額 → 所得 → 合計」に変わり、下の説明に「赤字でも付加価値割・資本割はかかります」と表示されます。
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📗 全体像 4 ラボの図
法人税割(道府県) 1.0%(制限2.0%) 法人税割(市町村) 6.0%(制限8.4%) 所得割(400万円以下) 3.5% 所得割(400万円超800万円以下) 5.3% 所得割(800万円超) 7.0% 所得割(外形標準課税の法人) 1.0% 付加価値割(外形) 1.2% 資本割(外形) 0.5% 標準税率(第51条・第314条の4・第72条の24の7)。実際の税率は自治体の条例で確かめる 道府県民税の法人税割 1.0% 標準税率は100分の1、超過課税でも100分の2が上限です(第51条第1項 )。 地方税法第51条第1項
全体像 4
③ いくら ── 標準税率を並べる 📍 ラボの場所:全体像タブ 4
ハルカ
棒が8本です。法人税割は道府県1.0%・市町村6.0%、所得割は3.5%・5.3%・7.0%の3段、外形の法人は所得割1.0%・付加価値割1.2%・資本割0.5%。
先生
そう。所得割は、所得のうち年400万円以下の部分 に3.5%、400万円超800万円以下の部分 に5.3%、800万円超の部分 に7.0%を掛けるんだ(第72条の24の7第1項第3号)。
迷いポイント 所得が800万円を超えたら、所得全体に7.0%がかかる?
ハルカ
法人税法ラボで、中小法人の軽減税率は年800万円以下の部分だけ、と習いました。事業税の段階も、超えた部分だけ高くなるんですか。
先生
そう、同じ考え方だよ。A社は所得600万円だから、400万円に3.5%で14万円、残り200万円に5.3%で10万6千円、合わせて24万6千円なんだ。
ハルカ
それなら安心です。800万円を1円でも超えたら全部7.0%だと思って、決算前に所得を800万円ぴったりに合わせる計画を立てるところでした。
先生
その計画は要らないよ。超えた1円にだけ7.0%なんだ。それと、3つ以上の都道府県 に事業所があり資本金1,000万円以上なら、段階はなくて7.0%一律 になるよ(第72条の24の7第5項)。
💡 そうだったのか!
所得割は
超えた部分だけ 高い税率の段階税率(3.5%・5.3%・7.0%。第72条の24の7第1項第3号)。
3つ以上の都道府県 に事業所があり資本金1,000万円以上なら
7.0%一律 です(同条第5項)。
📗 全体像 5 ラボの図
事業税(非製造業) 事業税(製造業) 法人住民税
課税標準の総額 所得の総額 第72条の48第1項 半分は事業所数 各月末の事業所数の合計 第72条の48第4項第2号 半分は従業者数 事業年度末の人数 第72条の48第4項第1号 県ごとの課税標準 県ごとに税率を掛ける 第72条の48第1項 事業税の分割基準:事業所数と従業者数で半分ずつ 製造業・電気供給業などを除く事業では、課税標準の総額の2分の1を事業所等の数に、2分の1を従業者の数に按分します(第72条の48第3項第5号 )。事業所等の数は事業年度の各月末の数の合計、従業者の数は事業年度終了の日の数です(同条第4項)。
全体像 5
④ どこに ── 分割基準で自治体に分ける 📍 ラボの場所:全体像タブ 5
ハルカ
事業税(非製造業)の流れです。所得の総額を、半分は事業所数、半分は従業者数で分ける。
先生
そう。非製造業の事業税は、課税標準の2分の1を事業所等の数 (事業年度の各月末の数の合計)、2分の1を従業者の数 で按分するんだ(第72条の48第3項第5号・第4項)。
迷いポイント 住民税も事業税も、同じ分割基準で分ける?
ハルカ
同じ会社の同じ事業所なんですから、住民税も事業税も同じ割合で分ければいいですよね。
先生
それが、そうではないんだ。住民税の法人税割は従業者数だけ で按分するよ(第57条第2項)。だから設例のB社は、事業税がA県55%・B県45%、住民税は60%・40%と、割合が違うんだ。
ハルカ
一つの所得を県どうしで、ピザのように切り分けるんですね。
先生
しかも、税目ごとに切り方が違うピザだね。製造業の事業税は従業者数だけで分けるし、均等割は分割せず事業所のある自治体ごとにかかるよ。
💡 そうだったのか!
事業税(非製造業)は
事業所数と従業者数で半分ずつ (第72条の48)、製造業は従業者数、住民税の法人税割は
従業者数 (第57条第2項)。同じ会社でも
税目ごとに分割の割合が違います 。
⏱ 30秒だけラボで試す
全体像タブの「どこに」の図で、「法人住民税」を押す 👀 流れが「法人税額 → 従業者数で按分 → 県・市ごとの法人税割 → 均等割は事業所のある各自治体で」に変わり、下の説明に「法人税額を従業者の数に按分して…(第57条第1項・第2項)」「均等割は分割せず、事務所のある自治体ごとにかかります」と表示されます。
ラボを開く ▶
📗 全体像 6 ラボの図
3月決算の法人 償却資産
3月31日 事業年 度終了 5月31日 申告・ 納付期限 延長の特例なら6月 30日 11月30日 中間 申告 2か月以内に申告納付 延長(承認があれば) 住民税・事業税・ 特別法人事業税 中間申告(要件に当た る法人) 確定申告:事業年度終了の日から2か月以内 法人の道府県民税・市町村民税は法人税の申告期限までに(第53条第1項 ・第321条の8第1項 )、事業税は事業年度終了の日から2か月以内に(第72条の25第1項 )、それぞれの自治体へ申告して納めます。定款で総会が2か月以内に開かれない場合などは、承認を受けて申告期限を延長できます(第72条の25第3項 )。
全体像 6
⑤ どう納める ── 申告納付と償却資産の申告 📍 ラボの場所:全体像タブ 6
ハルカ
3月決算の法人は、5月31日に住民税・事業税・特別法人事業税を申告して納める。11月30日に中間申告。
先生
そう。事業税は事業年度終了の日から2か月以内 (第72条の25第1項)、住民税は法人税の申告期限まで だよ(第53条第1項・第321条の8第1項)。
迷いポイント 事業年度が6か月を超える法人は、全部中間申告をする?
ハルカ
消費税法ラボで、中間申告は前期の税額で回数が変わると習いました。地方税の中間申告にも、条件があるんですか。
先生
よく覚えていたね。事業税は、所得割だけの法人で法人税の中間申告が要らない法人 (前期実績による予定額が10万円以下など)なら、中間申告も要らないんだ(第72条の26第8項)。外形標準課税の法人は必要だよ。
ハルカ
ボタンにある「償却資産」は、償却資産税という別の税金ですか。ずっとそう思っていました。
先生
名前で迷うよね。固定資産税 の一部なんだ。土地・家屋以外の事業用の資産を1月1日 に持っていれば、1月31日まで に市町村へ申告して、市町村が税額を決めて通知するよ(第383条・第364条)。
💡 そうだったのか!
住民税・事業税は
事業年度終了の日から2か月以内 に申告納付(第53条・第72条の25)。中間申告は所得割だけで法人税の中間申告が不要なら
不要 (第72条の26第8項)。償却資産は
1月31日 までに申告(第383条)。
⏱ 30秒だけラボで試す
全体像タブの「どう納める」の図で、「償却資産」を押す 👀 時間の帯が「1月1日 賦課期日 → 1月31日 申告期限 → 4月・7月・12月・2月の納期」に変わり、下の説明に「税額は市町村が決めて納税通知書で知らせ(普通徴収、第364条第1項)」と表示されます。
ラボを開く ▶
条文から
税率の早見表(標準税率) 📍 ラボの場所:条文からタブ
ハルカ
表に29件の税率が並んでいます。均等割だけで15行ありますね。
先生
均等割は、資本金等の額と、市町村は従業者数で区分が分かれるからね。道府県は年2万円から80万円、市町村は年5万円から300万円だよ(第52条・第312条)。
迷いポイント 均等割の区分は、登記された資本金の額で決める?
ハルカ
資本金1,000万円の会社なら、登記簿の資本金を見て「1,000万円以下」の行を使えばいいですよね。
先生
区分に使うのは資本金等の額 なんだ。法人税法の資本金等の額を使うけれど、無償減資などで資本金と資本準備金の合計より小さくなっているときは、その合計額 で区分するよ(第52条第4項)。
ハルカ
登記簿の資本金だけを見ると、区分を間違えることがあるんですね。
先生
そう。市町村は従業者が50人を超えるか でも変わるから、申告書の別表で資本金等の額と従業者数を確かめてから表を引こうか。
💡 そうだったのか!
均等割の区分は
資本金等の額 (資本金+資本準備金の合計より小さければその合計額。第52条第4項)と、市町村は
従業者数50人超か で決まります。税率は早見表の言葉の検索で引けます。
⏱ 30秒だけラボで試す
条文からタブの「税率の早見表」の検索欄に「均等割」と入れる 👀 件数が「15件」になり、道府県民税の均等割5行(年2万円〜80万円)と、市町村民税の均等割9行(年5万円〜300万円)、超過課税の上限(標準税率の1.2倍)が残ります。
ラボを開く ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて地方税法ラボ(法人の申告)の画面そのものです。全体像タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
地方税法ラボ(法人の申告)を開く ▶ 📝 地方税法ラボ【応用編】(外形標準課税の判定・事業税の経理・所得割の税率・申告の期限) 応用編を読む ▶ 今日のまとめ ── 迷いポイント早見表 おわりに
今日のふりかえり 先生
今日のまとめだよ。法人の地方税は、事業所のある自治体ごと に申告し、2つ以上なら分割基準で分ける。税率は標準税率 が基準で、実際は条例。均等割は赤字でもかかり、事業税は超えた部分だけ高い段階税率なんだ。
ハルカ
前は、地方税は法人税の「おまけ」だと思っていました。今日は、同じ法人税の申告書の数字から、県と市と国に、違う物差しで分けて納めていることが分かりました。
先生
「違う物差し」はいい言い方だね。課税標準も、分割の割合も、税目ごとに違うんだ。そこを押さえれば、申告書の数が多くても迷わないよ。
ハルカ
はい。それでも申告書の数が多いので、自治体ごとの税率表を一覧にした「お品書き」を作ります。
先生
実務でも役に立つ一覧になるね。次の応用編では、外形標準課税の判定と減資、事業税・住民税の経理と別表四、所得割の税率の場面、申告の期限を見ていこうか。
参考資料 地方税法(昭和25年法律第226号。e-Gov法令検索、令和8年10月16日施行の版)本則のうち法人の住民税・事業税・償却資産の固定資産税に関する部分と附則第8条の3の3、地方税法施行令・施行規則(使う条)、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律、地方法人税法・法人税法(使う条)。法令の確認日:2026年10月18日。税率は地方税法の標準税率です(実際の税率は各自治体の条例によります)。ラボと記事の設例の会社・金額はすべて架空です(単位:円)。条番号・条見出しは、ラボ本体で e-Gov 法令検索の原文と照合しています。
シリーズ:基礎編 /応用編 / 関連:法人税法ラボ【基礎編】(5段の流れ・第22条・別段の定め・税率) /法人税法ラボ【応用編】(会計との違い・別表・手続の期限・グループと国際) /消費税法ラボ【基礎編】(5段の流れ・納税義務・4区分・仕入税額控除)
関連ツール:分割基準ナビβ /均等割・法人税割・事業税の従業者数はなぜ違う? /外形標準課税に関するQ&A(早見表) /別表五(二)ラボ /税効果会計ラボ
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。