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グループ法人税制ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ完全支配関係・譲渡損益の繰延べと戻入れ・別表十四(六)

グループ法人税制ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ完全支配関係・譲渡損益の繰延べと戻入れ・別表十四(六)

無料の学習ツール「グループ法人税制ラボ」の読み方ガイドです。ラボの全体像タブを中心に、条文からのタブと別表からのタブも合わせて、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例A社(3月決算。100%子会社B社に土地を譲渡。単位:円)
A社がB社の発行済株式を保有する割合100%
譲渡した資産土地(譲渡損益調整資産)
譲渡の日X1期の7月
土地の帳簿価額(譲渡原価)30,000,000
譲渡対価(時価)50,000,000
会計の固定資産売却益=譲渡利益額20,000,000
X1期の別表四減算(留保)20,000,000
A社のX1期の所得への影響0
B社がグループ外のC社へ売却X3期の8月(6,000万円)
A社のX3期の別表四加算(留保)20,000,000
はじめに

今日の題材 ── A社が子会社に土地を売ったら

📍 ラボの場所:全体像タブ・設例・試算タブ(A社)
ハルカ
先生、A社は帳簿価額3,000万円の土地を5,000万円で子会社に売っています。2,000万円の売却益が出たのに、X1期の所得への影響が0円です。計算が合いません。
先生
会計の数字は合っているよ。法人税法が、100%グループの中の譲渡については譲渡益をいったん所得から外して、あとで戻し入れる仕組みにしているんだ。それがグループ法人税制だよ。
ハルカ
表の下の方で、X3期になって2,000万円が加算されています。2年たって急に戻ってきたのは、B社が外に売ったからですか。
先生
そう。この「いつ繰り延べて、いつ戻すか」が今日の本題なんだ。A社の数字を手がかりに、ラボの全体像タブを上から順に読んでいこうか。
ラボの全体像タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
🧭 全体像 ラボの画面
入口

このラボの引き方 ── 7つの切り口

📍 ラボの場所:全体像タブ 冒頭
ハルカ
タイルが8枚あります。条文から、法人の立場から、会計との違いから、別表から…。法人税法ラボや国税通則法ラボと同じ並びで、最後に「関連記事」が増えていますね。
先生
そう。グループ法人税制はサイト内に解説記事がたくさんあるから、入口を1つ足したんだ。まずは「全体像」で、制度の形をつかんでいこうか。
迷いポイント グループ法人税制は、届出をして選ぶ制度?
ハルカ
法人税法ラボで、100%子会社があれば通算を選ばなくても特別な扱いがある、と習いました。でも、何かの届出をして使う制度なんですよね。
先生
よく覚えていたね。届出も承認もいらないんだ。完全支配関係があれば当然に適用される強制適用で、承認を受けて選ぶグループ通算制度とは別の制度なんだよ。
ハルカ
選んでいないのに、勝手に適用されているかもしれない制度なんですね。
先生
そこが怖いところだよ。100%子会社と土地や機械をやりとりした瞬間に、知らなくても適用されているんだ。だから「自分の会社に完全支配関係があるか」を最初に確かめるんだよ。
💡 そうだったのか!
グループ法人税制は、完全支配関係があれば届出なしに当然に適用される強制適用の制度です。承認を受けて選ぶグループ通算制度とは別で、まず「完全支配関係があるか」を確かめます。
📗 全体像 1 ラボの図
本流:判定 → 対象取引 → 繰延べ・不算入 → 戻入れ・修正 ── 申告は別表十四(六)ほか、相手法人へ通知① 判定完全支配関係があるか第2条・第37条第2項② 取引どの取引が対象か第61条の11・第37条③ 繰延べ取引のときの処理第61条の11第1項・第37条第2項④ 戻入れあとで取り戻す・修正する第61条の11・第2条⑤ 申告・通知別表と相手法人への通知第74条・第23条第7項この2社は「100%グループ」なの?受取配当・自己株式完全子法人株式等・みなし配当現物分配適格現物分配は簿価で移転中小特例の不適用大法人の100%子会社グループ通算制度選択制・損益通算(別の制度)枝(テーマタブ)
① 判定:完全支配関係があるか完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等(自己株式を除く)の全部を直接または間接に保有する関係(当事者間の完全支配の関係)と、一の者との間にその関係がある法人どうしの関係(兄弟会社)です(第2条第12号の7の6・施行令第4条の2第2項)。一の者は法人でも個人でもよく、個人なら親族などの特殊の関係のある個人を含めます。従業員持株会(民法上の組合)とストックオプション行使株式の合計が5%未満なら、その株式を除いて判定します。
法人税法第2条 法人税法第37条第2項 法人税法施行令第4条の2 この段の図解へ ▶
全体像 1

このラボの背骨 ── 5段の流れ

📍 ラボの場所:全体像タブ 1
ハルカ
「① 判定 → ② 取引 → ③ 繰延べ → ④ 戻入れ → ⑤ 申告・通知」。本流の下に、受取配当・現物分配・中小特例・グループ通算の枝があります。
先生
そう。本流は、完全支配関係がある内国法人の間で譲渡損益調整資産を譲渡したら譲渡損益を繰り延べ、譲受法人で譲渡や償却の事由が生じたら戻し入れる流れだよ(第61条の11第1項・第2項)。
迷いポイント 繰り延べた譲渡益は、そのまま課税されずに済む?
ハルカ
「繰延べ」というので、2,000万円の譲渡益は最後まで課税されないのだと思っていました。グループの中で売っただけなので、まけてもらえるのかと。
先生
それが、そうではないんだ。課税を消すのではなく課税の時期をずらす仕組みだよ。グループの中で動いているうちは課税せず、外へ出たり償却されたりした時に戻して課税するんだ。
ハルカ
消えたのではなく、預かってもらっているだけなんですね。
先生
そう。だから④の「戻入れ」までが1セットなんだ。繰り延べた年の処理だけ覚えて、戻す年を忘れるのが、いちばん多い間違いだよ。
💡 そうだったのか!
本流は判定 → 取引 → 繰延べ → 戻入れ → 申告・通知の5段。繰延べは課税を消すのではなく時期をずらす仕組みで、戻入れ(第61条の11第2項)までが1セットです。
📗 全体像 2 ラボの図
親会社が98%、従業員持株会が2%。この子会社は「100%グループ」に入るでしょうか?
一の者を決めるP社がX社の株主。発行済株式はX社の自己株式を除いて数える第2条第12号の7の6直接100%かP社が発行済株式の全部を直接保有 → 当事者間の完全支配の関係施行令第4条の2第2項法人による関係一の者が法人(P社)なので、寄附金・受贈益の規定も適用される第37条第2項
P社がX社株式の100%を保有一の者(P社)が発行済株式の全部を直接保有していれば、P社とX社の間に「当事者間の完全支配の関係」があります。P社は法人なので、譲渡損益の繰延べだけでなく、寄附金の損金不算入・受贈益の益金不算入も適用されます。
法人税法第2条第12号の7の6 法人税法施行令第4条の2第2項
全体像 2

① 判定 ── 完全支配関係は3ステップで決める

📍 ラボの場所:全体像タブ 2
ハルカ
「一の者を決める → 直接100%か → 法人による関係か」の3ステップですね。発行済株式は、X社の自己株式を除いて数えると書いてあります。
先生
そう。一の者が発行済株式等の全部を直接または間接に保有していれば、当事者間の完全支配の関係があるんだ(第2条第12号の7の6)。一の者は法人でも個人でもよくて、個人なら親族を含めて1人と数えるよ。
迷いポイント 従業員持株会が2%持っていたら、100%グループから外れる?
ハルカ
ラボの問いは「親会社98%・持株会2%」です。100%ではないので、完全支配関係はない、で決まりだと思います。別表二ラボで自己株式は分母から除くと習いましたが、持株会は株主ですから。
先生
自己株式の扱いを覚えていたのはいいね。ただ持株会には5%ルールがあるんだ。民法上の組合の持株会の株式と役員等のストックオプション行使株式の合計が5%未満なら、発行済株式から除いて判定するんだよ(施行令第4条の2第2項)。
ハルカ
98%で100%扱い…。パン屋のスタンプカードも、9個たまったら10個扱いにしてもらえないでしょうか。
先生
それはお店の判断だね。税法の方は、除いてよい株式の範囲が条文で決まっているんだ。信託銀行方式の持株会の株式は除けないから、持株会の形まで確かめるんだよ。
💡 そうだったのか!
完全支配関係は、一の者が自己株式を除く発行済株式の全部を直接・間接に保有する関係です。民法上の組合の持株会とストックオプションの株式の合計が5%未満なら除いて判定します(施行令第4条の2第2項)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 全体像タブの「① 判定」の図で、「5%ルール」を押す

👀 3ステップが「残りの株主を見る → 5%未満なら除く → 結論」に変わり、「残り98,000株の100%をP社が保有 → 完全支配関係あり」と表示されます。下の説明に、信託銀行方式の持株会なら除かれず完全支配関係がないこと(質疑応答事例 問3)も出ます。

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📗 全体像 3 ラボの図
ⅰ 譲渡損益の繰延べ内国法人→内国法人/制限なしⅱ 寄附金の損金不算入内国法人→内国法人/法人による関係に限るⅲ 受贈益の益金不算入内国法人←内国法人/法人による関係に限るⅳ 現物分配内国法人→内国法人/制限なしⅴ 受取配当の全額益金不算入内国法人←内国法人/制限なしⅵ 発行法人への株式の譲渡内国法人→内国法人/制限なし個人による関係でも適用法人による関係に限る国税庁 質疑応答事例 問5の比較表から
ⅰ 譲渡損益調整資産の譲渡(第61条の11)譲渡法人・譲受法人とも内国法人(普通法人または協同組合等)に限ります。完全支配関係の種類に制限はなく、個人による完全支配関係でも対象です。内国法人から個人や外国法人への譲渡は対象外です。
法人税法第61条の11第1項
全体像 3

② 取引 ── 6つの制度と「完全支配関係」の要件の違い

📍 ラボの場所:全体像タブ 3
ハルカ
タイルが6枚。譲渡損益の繰延べ、寄附金、受贈益、現物分配、受取配当、発行法人への株式の譲渡。寄附金と受贈益だけ色が違います。
先生
そこが要点だよ。同じ100%グループでも、寄附金の損金不算入と受贈益の益金不算入は法人による完全支配関係に限られるんだ(第37条第2項・第25条の2第1項)。ほかの4つは個人による関係でも適用されるよ。
迷いポイント 個人オーナーが100%持つ2社の間の寄附も、全額損金不算入?
ハルカ
オーナー個人が2社とも100%持っていれば、立派な100%グループです。寄附をすれば、全額損金不算入で受け取る側も益金不算入、と思っていました。
先生
そこは違うんだ。一の者が個人だと法人による完全支配関係ではないから、寄附金は一般の寄附金として限度額まで損金、受贈益は全額益金算入のままなんだよ。
ハルカ
「完全支配関係」と「法人による完全支配関係」。名前が3文字長くなっただけで、入口がずいぶん狭くなるんですね。
先生
その3文字を読み飛ばすと結論が変わるんだ。寄附金・受贈益の条文を見るときは、必ず「法人による」が付いているか確かめようか。
💡 そうだったのか!
6つの制度のうち、寄附金・受贈益の特例だけは法人による完全支配関係に限られます。譲渡損益の繰延べ・受取配当・現物分配・発行法人への株式の譲渡は、個人による完全支配関係でも適用されます。
📗 全体像 4 ラボの図
簿価3,000万円の土地を、100%子会社に5,000万円で売った。親会社の当期の所得はいくら増える?
該当該当しないいいえはいはいいいえ譲渡した資産は?固定資産・土地有価証券・金銭債権・繰延資産それ以外(商品など)→ 対象外売買目的有価証券?譲渡直前の帳簿価額1,000万円以上?対象外(通常どおり課税)対象外(1,000万円未満)譲渡損益調整資産→ 繰延べ
土地 帳簿価額3,000万円 → 譲渡損益調整資産土地は固定資産に当たらなくても対象です(土地の上に存する権利を含む)。帳簿価額が1,000万円以上なので譲渡損益調整資産に当たり、譲渡利益額は繰り延べます。
法人税法第61条の11第1項 法人税法施行令第122条の12第1項第3号
全体像 4

③ 繰延べ ── 譲渡損益調整資産なら譲渡益を税務上繰り延べる

📍 ラボの場所:全体像タブ 4
ハルカ
フローの入口は「譲渡した資産は?」です。固定資産・土地・有価証券・金銭債権・繰延資産なら進んで、売買目的有価証券と帳簿価額1,000万円未満は対象外ですね。
先生
そう。この5種類で、譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上のものが譲渡損益調整資産だよ(第61条の11第1項・施行令第122条の12第1項)。A社の土地は3,000万円だから対象で、譲渡利益額2,000万円を損金に算入して繰り延べるんだ。
迷いポイント 簿価3,000万円の土地を5,000万円で売ったら、親会社の所得は2,000万円増える?
ハルカ
白状します。2,000万円を所得に足して、法人税の見込み額まで計算し終えていました。繰り延べるので、X1期の所得への影響は0円なんですね。
先生
そう。会計では固定資産売却益2,000万円を計上したまま、別表四で2,000万円を減算(留保)して、別表五(一)に譲渡損益調整勘定を△で残すんだ。
ハルカ
譲受法人のB社は、どう処理するんですか。
先生
B社の土地の取得価額は時価の5,000万円で、繰延べの処理はないよ。A社が繰り延べていることはB社の帳簿には影響しないんだ。ただし、帳簿価額で売ったときは話が変わるから、応用編で見ようか。
💡 そうだったのか!
5種類の資産で譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上なら譲渡損益調整資産。譲渡法人は譲渡利益額を損金に算入して繰り延べ(別表四 減算・留保)、譲受法人の取得価額は時価です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 全体像タブの「③ 繰延べ」の図で、「機械(簿価800万円)」を押す

👀 フローが「譲渡直前の帳簿価額 1,000万円以上? → いいえ → 対象外(1,000万円未満)」に進み、下の説明に「固定資産ですが、譲渡直前の帳簿価額が1,000万円に満たないので対象外です。1,000万円の判定は、期中の償却費を控除した後の帳簿価額によります」と表示されます。

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📗 全体像 5 ラボの図
X1期 譲渡X2期X3期 B社が売却X4期繰延べ 2,000万円(減算・留保)戻入れ 2,000万円(加算・留保)戻入事由:譲受法人の譲渡
X1期に繰延べ、X3期に譲受法人がグループ外へ売却A社がB社に土地を譲渡したX1期は譲渡益2,000万円を減算して繰り延べます。B社がX3期にグループ外のC社へ売却すると、その日の属するB社の事業年度終了の日の属するA社の事業年度(X3期)で2,000万円を益金に戻し入れます。
法人税法第61条の11第1項 法人税法第61条の11第2項 法人税法施行令第122条の12第4項第1号
全体像 5

④ 戻入れ ── 譲受法人の事由か、グループ離脱で取り戻す

📍 ラボの場所:全体像タブ 5
ハルカ
X1期に減算した2,000万円が、X3期に加算で戻っています。B社がグループ外のC社へ売った年ですね。
先生
そう。譲受法人がその資産を譲渡・償却・評価換え・貸倒れ・除却したときが戻入事由で、譲渡法人のA社が益金に戻し入れるんだ(第61条の11第2項)。年度は、事由が生じた日の属するB社の事業年度終了の日の属するA社の事業年度だよ。
迷いポイント 機械のように償却する資産を売ったら、戻入れはいつ?
ハルカ
機械なら、B社が償却を終えて除却した時にまとめて戻るのだと思います。土地と同じで、動いた時に全部ですよね。
先生
機械は違うんだ。譲受法人の償却費の損金算入が戻入事由だから、償却に合わせて少しずつ戻すんだよ。償却費の割合で戻す原則法と、耐用年数で月割りする簡便法があるんだ(施行令第122条の12第4項第3号・第6項)。
ハルカ
繰り延べた譲渡益は、B社に預けた荷物みたいですね。B社が動かした分だけ、A社に戻ってくる。
先生
荷物の持ち主はA社のままだけれどね。だからB社は、動かしたらA社に知らせる義務があるんだ。それが次の⑤だよ。
💡 そうだったのか!
戻入れは譲受法人の事由(譲渡・償却・評価換え・貸倒れ・除却)か、完全支配関係がなくなった日の前日の事業年度で全額(第61条の11第3項)。減価償却資産は償却に合わせて少しずつ戻します。
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  1. 全体像タブの「④ 戻入れ」の図で、「機械(簡便法)」を押す

👀 年表が「X1期 譲渡(10月)繰延べ400万円 → 戻入 40万円(6/60)→ X2期〜X5期 80万円(12/60)→ X6期に残り40万円」に変わり、「耐用年数5年なら、5年かけて少しずつ戻す」と表示されます。「離脱(株式売却)」を押すと、株式売却日の前日の属する事業年度で全額戻入れになります。

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📗 全体像 6 ラボの図
譲渡の後遅滞なく通知譲受法人へ「譲渡損益調整資産である旨」(簡便法を使うならその旨)施行令第122条の12第17項別表十四(六)譲渡収益4・原価5・譲渡利益額8・当期損金算入額9(損失なら10・11)別表十四(六)別表四・五(一)減算(留保)、別表五(一)に譲渡損益調整勘定△第61条の11第1項戻入れの年度譲受法人からの通知で、12〜14(15〜17)に当期の益金(損金)算入額施行令第122条の12第4項
譲渡した側の申告と通知譲渡法人は、譲渡した事業年度の確定申告書に別表十四(六)を付け、以後、戻入れが終わるまで毎年その資産の行を書き続けます。簡便法を使う資産は、譲渡年度の別表十四(六)に簡便法の欄(19〜22)の記載が必要です。
法人税法施行令第122条の12第17項 法人税法施行令第122条の12第8項
全体像 6

⑤ 申告・通知 ── 別表十四(六)と相手法人への通知

📍 ラボの場所:全体像タブ 6
ハルカ
譲渡法人の4つの箱です。遅滞なく通知、別表十四(六)、別表四・五(一)、戻入れの年度。通知が、申告書と同じ重さで並んでいますね。
先生
そう。譲渡法人は譲渡の後遅滞なく、譲受法人に譲渡損益調整資産である旨を通知し、譲受法人は耐用年数や戻入事由を通知するんだ(施行令第122条の12第17項〜第19項)。この通知がないと、A社は戻す年を知ることができないんだよ。
迷いポイント 通知は、決まった様式の届出書を税務署に出す?
ハルカ
「通知」というので、税務署に出す届出書のような様式があるのだと思っていました。提出期限も決まっていますよね。
先生
相手は税務署ではなく取引相手の法人で、様式は法令で決まっていないんだ。国税庁の質疑応答事例(問13)に通知書の書式例があるから、それを使うのが実務だよ。
ハルカ
別表四では減算(留保)でした。別表四・別表五(一)ラボで、留保の調整は別表五(一)に残って後で戻る、と習いました。譲渡損益調整勘定の△も、その仲間ですか。
先生
まさにその仲間だよ。X1期に△2,000万円で別表五(一)に残り、X3期の加算(留保)で消えるんだ。別表十四(六)は、その残高を資産ごとに管理する明細書だよ。
💡 そうだったのか!
繰延べと戻入れは別表十四(六)に資産ごとに書き、別表四(留保)・別表五(一)につなぎます。通知の相手は取引相手の法人で様式は任意(質疑応答事例 問13に書式例)。通知がなければ戻す年が決まりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 別表からタブで、「別表十四(二)」を押す

👀 説明が「『完全支配関係がある法人に対する寄附金額』(6)に全額を書き、損金不算入額(25)に同額を書く。一般の寄附金の損金算入限度額の計算には入れない」に変わり、もとになる条文(第37条第2項・第1項・施行令第73条)、5段の流れ「③ 繰延べ」が表示されます。

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🗺 条文から ラボの図
17件
制度・論点法人税法施行令別表・資料
完全支配関係の定義(直接・間接・5%ルール)第2条第12号の7の6施行令第4条の2第2項出資関係図(申告書に添付)/質疑応答事例 問1〜問4
譲渡損益調整資産の譲渡(繰延べ)第61条の11第1項施行令第122条の12第1項〜第3項別表十四(六) 4〜11/税大教材 第11章
戻入れ(譲受法人の事由)第61条の11第2項施行令第122条の12第4項・第5項・第10項別表十四(六) 12〜17/質疑応答事例 問8・問13
減価償却資産・繰延資産の戻入額(原則法・簡便法)第61条の11第2項施行令第122条の12第4項第3号・第4号・第6項〜第9項別表十四(六) 19〜26/質疑応答事例 問12
完全支配関係がなくなった場合の戻入れ第61条の11第3項—別表十四(六) 13・16
通算制度の開始・加入・離脱に伴う戻入れ第61条の11第4項施行令第122条の12第11項・第12項別表十四(六) 記載の仕方 2
非適格合併による移転第61条の11第1項・第7項施行令第122条の12第14項質疑応答事例 問9
通知義務(譲渡法人・譲受法人)第61条の11第9項施行令第122条の12第17項〜第19項通知書の書式例(質疑応答事例 問13 別紙)
寄附金の損金不算入第37条第2項・第7項・第8項施行令第73条(一般寄附金の限度額)別表十四(二) 6・25/質疑応答事例 問5・問10
受贈益の益金不算入第25条の2—別表四 減算(社外流出)/質疑応答事例 問10・問11
寄附修正(子法人株式の帳簿価額)第2条第18号施行令第9条第1項第7号・施行令第119条の3第9項別表五(一)/質疑応答事例 問7、資本取引 問4
受取配当(完全子法人株式等)第23条第1項・第5項・第7項施行令第22条の2別表八(一)/質疑応答事例 問6
株式の発行法人への譲渡(自己株式)第61条の2第17項・第24条第1項第5号—別表八(一)/別表十四(六)の対象外
適格現物分配第2条第12号の15・第62条の5第3項・第4項—質疑応答事例 問14(外国法人による完全支配関係)
中小法人の特例の不適用(大法人の100%子会社)第66条第5項第2号・第3号—別表一/資本取引 問3
残余財産確定時の欠損金の引継ぎ第57条第2項—別表七(一)/資本取引 問6
グループ通算制度(損益通算)第64条の5〜第64条の14—テーマタブ「グループ通算制度との違い」
条文から

制度・条文・施行令・別表の対応早見表

📍 ラボの場所:条文からタブ
ハルカ
17件の表です。制度ごとに法人税法・施行令・別表が横に並んでいます。グループ法人税制は1つの章ではなく、第2条、第23条、第25条の2、第37条、第61条の11…と散らばっているんですね。
先生
そう。定義・益金・損金・損益の各所に置かれているから、この表が地図になるんだ。第61条の11が本流で、戻入れの細かい計算は施行令第122条の12にあるよ。
迷いポイント 古い資料の「法61の13」「法令122の14」は、どの条文のこと?
ハルカ
国税庁の質疑応答事例を読むと「法61の13」「法令122の14」と書いてあります。表にはその番号がないので、別の規定なのかと思いました。
先生
それは平成22年当時の条番号なんだ。その後の改正で条が繰り上がって、今の第61条の11と施行令第122条の12になっているんだよ。表の注意書きにも書いてあるね。
ハルカ
別表の番号も「別表十四(四)」と書いてある資料がありました。
先生
それも今は別表十四(六)だよ。古い資料は内容は正しくても番号が変わっていることがあるから、この表で現行の番号に直して読む習慣をつけようか。
💡 そうだったのか!
グループ法人税制の条文は法人税法の各所に散らばっています。本流は第61条の11と施行令第122条の12。古い資料の「法61の13」「法令122の14」「別表十四(四)」は、現行ではこの条文と別表十四(六)です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 条文からタブの「対応早見表」の検索欄に「通知」と入れる

👀 件数が「1件」になり、「通知義務(譲渡法人・譲受法人)|第61条の11第9項|施行令第122条の12第17項〜第19項|通知書の書式例(質疑応答事例 問13 別紙)」の行だけが残ります。「寄附」なら2件(寄附金の損金不算入・寄附修正)です。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてグループ法人税制ラボの画面そのものです。全体像タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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📝 グループ法人税制ラボ【応用編】(法人の立場・会計との違い・寄附修正・判定と試算)応用編を読む ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
グループ法人税制は、届出をして選ぶ制度?完全支配関係があれば届出なしに当然に適用される強制適用。承認を受けて選ぶグループ通算制度とは別全体像 冒頭
繰り延べた譲渡益は、そのまま課税されずに済む?課税を消すのではなく時期をずらす。譲受法人の事由や離脱で戻し入れる(第61条の11第2項・第3項)全体像1
従業員持株会が2%持っていたら、100%グループから外れる?民法上の組合の持株会とストックオプション行使株式の合計が5%未満なら除いて判定(施行令第4条の2第2項)全体像2
個人オーナーが100%持つ2社の間の寄附も、全額損金不算入?寄附金・受贈益の特例は法人による完全支配関係に限る。個人支配なら限度額まで損金、受贈益は益金算入全体像3
簿価3,000万円の土地を5,000万円で売ったら、所得は2,000万円増える?譲渡損益調整資産なら譲渡利益額を損金算入して繰延べ(別表四 減算・留保)。所得への影響は0全体像4
機械のように償却する資産を売ったら、戻入れはいつ?譲受法人の償却に合わせて少しずつ。原則法は償却費の割合、簡便法は耐用年数の月割り(施行令第122条の12第4項・第6項)全体像5
通知は、決まった様式の届出書を税務署に出す?相手は取引相手の法人で様式は任意。質疑応答事例 問13に書式例。別表十四(六)で残高を管理する全体像6
古い資料の「法61の13」「法令122の14」はどの条文?現行の第61条の11・施行令第122条の12。「別表十四(四)」は別表十四(六)条文から
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。グループ法人税制は、完全支配関係があれば当然に適用される制度で、譲渡損益調整資産の譲渡益は繰り延べて、譲受法人の事由や離脱で戻し入れる。寄附金・受贈益の特例だけは「法人による」完全支配関係に限られるんだ。
ハルカ
前は「グループ内の取引は税金がかからない」とだけ覚えていました。今日は、かからないのではなく「預けてある」のだと分かりました。預けた相手が動かしたら、通知で知らせてもらって戻すんですね。
先生
いい言い方だね。一つだけ足すと、預かり証に当たるのが別表十四(六)なんだ。戻し終えるまで毎年書き続けるから、預けたことを忘れない仕組みになっているよ。
ハルカ
毎年書き続ける…。X1期に処理した人が異動しても、別表十四(六)が覚えていてくれるわけですね。私も異動する前に、通知書の控えを引出しの一番上に入れておきます。
先生
それなら次の担当も迷わないね。次の応用編では、法人の立場ごとの早見表、帳簿価額で売ったときの6つの申告調整、寄附修正、判定と試算のシミュレーションを見ていこうか。

参考資料

法人税法(昭和40年法律第34号。e-Gov法令検索、令和8年10月1日施行の版)第2条・第23条・第24条・第25条の2・第37条・第57条・第61条の2・第61条の11・第62条の5・第66条・第74条ほか、法人税法施行令第4条・第4条の2・第9条・第22条の2・第73条・第119条の3・第122条の12、法人税法施行規則第35条、国税庁「平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制関係・資本取引関係)」、税務大学校講本 法人税法(令和8年度版)第11章、別表十四(六)・別表十四(二)(令和8年4月1日以後終了事業年度分)とその記載の仕方。法令の確認日:2026年10月20日。ラボと記事の設例の会社・人物・金額はすべて架空です(単位:円)。条番号・条見出しは、ラボ本体で e-Gov 法令検索の原文と照合しています。

国税庁の質疑応答事例(グループ法人税制関係):一覧/問7 寄附修正事由が生じた場合の株主の処理(PDF)/問10 譲渡損益調整資産(非減価償却資産)を簿価により譲渡した場合の課税関係(PDF)/問13 譲渡損益調整資産に係る通知義務(PDF)/資本に関係する取引等に係る税制関係(一覧)。これらの質疑応答事例は平成22年6月30日現在の法令に基づく当時の資料です。条番号・別表番号(例:法61の13、別表十四(四))は、記事とラボでは現行法令(第61条の11、別表十四(六)など)に読み替えて解説しています。

シリーズ:基礎編/応用編 / 関連:法人税法ラボ【応用編】(会計との違い・別表・手続の期限・グループと国際)/別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】(留保と社外流出・別表五(一)の残高)/別表二ラボ【応用編】(同族会社・特定同族会社)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。