グループ通算制度ラボ【設例・損益通算編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎1〜3・7 損益通算・期限後申告・通算税効果額
無料の学習ツール「グループ通算制度ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、損益通算と通算税効果額の設例(設例・基礎1〜3・7)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
設例・損益通算編で追う4つの設例(独自の数値)
| 設例・基礎1 | 所得の合計が大きいグループ(基本の4社) |
| 設例・基礎2 | 欠損の合計が大きいグループ |
| 設例・基礎3 | 期限後申告の法人がいるグループ |
| 設例・基礎7 | 通算税効果額の授受 |
| 共通の前提 | P社が S1・S2・S3社の株式を100%保有。3月決算・大通算法人(23.2%) |
はじめに
今日の題材 ── 損益通算の4つの設例
📍 ラボの場所:設例タブ 基礎1〜3・7
ハルカ
先生、今日から設例編ですね。基礎編と応用編で見た損益通算を、今度は1ステップずつ数字で追うんですか。
先生
そうなんだ。設例タブでは、同じ4社の数字を少しずつ変えて、損益通算がどう動くかを確かめられるよ。今日は、配り方・期限後申告・通算税効果額の4つを見ていこうか。
ハルカ
表の4つの設例、どれも同じ4社なのに結論が違うのが楽しみです。
先生
数字の違いが、そのまま論点の違いなんだ。設例タブを開いて、プルダウンで設例を切り替えながら読んでいこうか。
📘 設例・基礎1 ラボの画面
🧾 損益通算の結果(別表七の三に相当)
| 項目 | P社 | S1社 | S2社 | S3社 | 合計 |
|---|
| 通算前所得金額(▲は欠損) | 60,000,000 | ▲20,000,000 | 15,000,000 | ▲5,000,000 | 50,000,000 |
| 通算対象欠損金額(損金算入) | ▲20,000,000 | 0 | ▲5,000,000 | 0 | ▲25,000,000 |
| 通算対象所得金額(益金算入) | 0 | 20,000,000 | 0 | 5,000,000 | 25,000,000 |
| 損益通算後の所得 | 40,000,000 | 0 | 10,000,000 | 0 | 50,000,000 |
損益通算の金額は会計の帳簿には出ない。別表四の通算対象欠損金額・通算対象所得金額の欄(記載例では41欄)で減算・加算する。
設例・基礎1
損益通算:所得の合計が大きいグループ
📍 ラボの場所:設例タブ 基礎1 ステップ①〜④
ハルカ
基礎編と同じ基本の4社ですね。P社6,000万円、S1社▲2,000万円、S2社1,500万円、S3社▲500万円。
先生
ステップ①で、所得の合計7,500万円と欠損の合計2,500万円を出して、小さい方の2,500万円を配分するんだ。ステップ②で、所得法人のP社が2,000万円、S2社が500万円を損金に算入するよ。
迷いポイント 欠損法人の益金算入も、所得の比で計算する?
ハルカ
ステップ②の損金算入を所得の比で出したので、ステップ③の益金算入も、同じ所得の比で配るのかと思いました。
先生
益金算入の方は欠損の比なんだ。S1社は2,500万円×2,000万円÷2,500万円=2,000万円、S3社は500万円を益金に算入する。欠損法人の所得は0になって、欠損は全部使われるよ。
ハルカ
所得法人は下がって、欠損法人は上がる。シーソーみたいですね。
先生
シーソーのたとえは合っているよ。下がる合計2,500万円と上がる合計2,500万円が、いつも同じなんだ。ステップ④の表のとおり、損益通算後の合計5,000万円も通算前と同じだよ。
💡 そうだったのか!
損金算入は
所得の比、益金算入は
欠損の比。損益通算の前後で、グループの合計は変わりません。
📘 設例・基礎2 ラボの画面
🧾 損益通算の結果(別表七の三に相当)
| 項目 | P社 | S1社 | S2社 | S3社 | 合計 |
|---|
| 通算前所得金額(▲は欠損) | 40,000,000 | ▲30,000,000 | 5,000,000 | ▲25,000,000 | ▲10,000,000 |
| 通算対象欠損金額(損金算入) | ▲40,000,000 | 0 | ▲5,000,000 | 0 | ▲45,000,000 |
| 通算対象所得金額(益金算入) | 0 | 24,545,455 | 0 | 20,454,545 | 45,000,000 |
| 損益通算後の所得 | 0 | ▲5,454,545 | 0 | ▲4,545,455 | ▲10,000,000 |
損益通算の金額は会計の帳簿には出ない。別表四の通算対象欠損金額・通算対象所得金額の欄(記載例では41欄)で減算・加算する。
設例・基礎2
損益通算:欠損の合計が大きいグループ
📍 ラボの場所:設例タブ 基礎2 ステップ①〜④
ハルカ
基礎2は、欠損の合計5,500万円が、所得の合計4,500万円を超えるグループです。
先生
配分するのは小さい方の4,500万円だよ。ステップ②で、P社は4,000万円、S2社は500万円を損金に算入して、どちらも所得が0になるんだ。
迷いポイント 欠損の合計が大きいとき、使い切れなかった欠損はどこへ行く?
ハルカ
所得の合計4,500万円までしか配らないなら、残りの1,000万円は親法人がまとめて繰り越すのかと思いました。
先生
親法人がまとめることはないんだ。ステップ③で、S1社は24,545,455円、S3社は20,454,545円を益金に算入する。残ったS1社▲5,454,545円とS3社▲4,545,455円は、それぞれの欠損金として繰り越すよ。
ハルカ
黒字だったP社の所得が0…。せっかくの黒字が、全部ほかの会社の赤字に吸い込まれました。
先生
吸い込まれた分、グループの今年の税金が0になったということだよ。1円未満の端数は、合計が配分額と一致するよう調整しているんだ。
💡 そうだったのか!
欠損の合計が大きいときは
所得の合計まで配分。残った欠損は
各社の欠損金として繰り越します。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「欠損の合計が大きい」の事例を読み込む
👀 損益通算で相殺した額 45,000,000、所得金額(計)0、法人税額(計・簡易)0 になり、「使い切れなかった欠損 S1社 5,454,545、S3社 4,545,455 は、翌期以後に繰り越します」と出ます。
ラボを開く ▶
📘 設例・基礎3 ラボの画面
① 承認・対象② 損益通算③ 欠損金の通算④ 税率・税額⑤ 申告・遮断
P:20,000,000 × 60,000,000 ÷ 75,000,000 = 16,000,000(期限内なら 20,000,000)
S2:4,000,000(期限内なら 5,000,000)
設例・基礎3
期限後申告の法人がいる損益通算
📍 ラボの場所:設例タブ 基礎3 ステップ①〜③
ハルカ
基礎1と同じ4社で、S3社だけ確定申告書を期限後に出した場合ですね。
先生
ステップ①で、期限内申告書を出さなかった法人の通算前所得金額・通算前欠損金額を0として扱うんだ(法人税基本通達12の7-1-2)。欠損の合計は、S1社の2,000万円だけになるよ。
迷いポイント 期限後申告の法人がいても、他の法人の税金は変わらない?
ハルカ
S3社が遅れただけなので、P社とS2社の計算には関係ないと思いました。
先生
関係するんだ。ステップ②で配る欠損が減るから、P社の損金算入は2,000万円×6,000万円÷7,500万円=1,600万円。期限内なら2,000万円だったから、P社とS2社の所得が多く残るんだよ。
ハルカ
1社の遅れが、ほかの会社の税金を増やすんですね。
先生
だから通算グループでは、申告期限をグループ全体で管理するんだ。ステップ③のとおり、後で修正申告をしても、遮断措置で0のまま固定されるよ。
💡 そうだったのか!
期限後申告の法人は
0として損益通算。配る欠損が減るので、
他の法人の所得が増えます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「S3社が期限後申告」の事例を読み込む
👀 所得金額(計)55,000,000、法人税額(計・簡易)12,760,000 と出ます。基本の4社(期限内)の 11,600,000 と比べて、法人税は 1,160,000 増えます。
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📘 設例・基礎7 ラボの画面
① 承認・対象② 損益通算③ 欠損金の通算④ 税率・税額⑤ 申告・遮断
P:20,000,000 × 23.2% = 4,640,000、× 10.3% = 477,920 → 支払 5,117,920
S2:支払 1,279,480
S1:受取 5,117,920 S3:受取 1,279,480
計算方法は法令で決まっていない。Q&A問58は、この方法を合理的な一例として示している。
🧾 P社(支払う側)
通算税効果額の計上| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 5,117,920 | 未払金(通算税効果額) | 5,117,920 |
🧾 S1社(受け取る側)
通算税効果額の計上| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 未収入金(通算税効果額) | 5,117,920 | 法人税、住民税及び事業税 | 5,117,920 |
設例・基礎7
通算税効果額の授受
📍 ラボの場所:設例タブ 基礎7 ステップ①〜②
ハルカ
基礎1の4社で、グループの規程により、損益通算で減った税金に相当する額を欠損法人に払う例ですね。
先生
ステップ①で、P社は2,000万円×23.2%=464万円に、その10.3%の477,920円を加えて5,117,920円をS1社に払うんだ。S2社はS3社に1,279,480円だよ。
迷いポイント 通算税効果額は、払う側の損金・受け取る側の益金になる?
ハルカ
ステップ②の仕訳では、P社は「法人税、住民税及び事業税」を借方に計上しています。費用なので、損金になると思いました。
先生
税務では損金不算入なんだ(法人税法第38条第3項)。別表四付表で加算して、別表四の「通算法人に係る加算額」へ入れるよ。受け取ったS1社は益金不算入なんだ(第26条第4項)。
ハルカ
「通算税効果額」という名前なのに、税務上の所得には何の効果もないんですね。
先生
所得に効かないように作ってあるんだ。効くのはグループの中のお金の配り方で、計算方法もQ&A問58が一例を示しているだけだよ。
💡 そうだったのか!
通算税効果額は
支払は損金不算入、受取は益金不算入。計算方法は、グループの規程で決めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「基本の4社(大通算法人)」を読み込み、⑤ 申告・補足を見る
- 続けて「欠損の合計が大きい」を読み込む
👀 通算税効果額の一例が「P社 支払 5,117,920、S1社 受取 5,117,920…」から「P社 支払 10,235,840、S1社 受取 6,281,084…」に変わります。損益通算の額が大きいほど、授受も大きくなります。
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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべてグループ通算制度ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。
グループ通算制度ラボを開く ▶今日のまとめ ── 設例ごとの結論
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。損益通算は所得の比で損金算入、欠損の比で益金算入で、配るのは所得の合計と欠損の合計の小さい方。期限後申告の法人は0として扱い、通算税効果額は所得に影響させないんだ。
ハルカ
数字を追ってみて、損益通算は「誰がいくら得をしたか」を後で精算できるように、きちんと比で配っているんだと分かりました。通算税効果額は、その答え合わせのお金なんですね。
先生
答え合わせという見方はいいね。1点だけ言うと、授受は義務ではないから、払うかどうかと計算方法はグループの規程で決めるんだ。
ハルカ
規程を読む前に、週末のパン屋さんで割り勘の練習をしておきます。…毎回15分迷うので、計算より注文の方が長くなりそうですが。
先生
注文が決まれば、割り勘は一瞬だよ。次の設例・欠損金と税率編では、特定欠損金額の控除・非特定欠損金額の配賦と、中小通算法人の税率を数字で追っていこうか。
参考資料
法人税法第14条・第57条・第61条の11・第64条の5〜第64条の14・第66条・第74条・第152条、法人税法施行令第119条の3・第131条の11〜第131条の17、租税特別措置法第42条の3の2、法人税基本通達12の7-1-2(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版ほか)。国税庁「グループ通算制度の概要」(令和2年4月)、「グループ通算制度に関するQ&A」(令和4年7月改訂)、「申告書別表の記載例(グループ通算制度適用法人用)」(令和5年3月改訂)、タックスアンサーNo.5900(令和8年4月1日現在)。確認日:2026年10月21日。記載例・Q&Aの15%の税率は改正前の取扱いで、ラボと記事は現行の条文(通算法人は措置法の15%の対象外)で計算しています。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例で、税額例は法人税本税の簡易計算で、端数処理・税額控除を省き、地方法人税・防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)・地方税は省略しています。公認会計士が監修しています。
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この記事を書いた人
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