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グループ通算制度ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ損益通算・欠損金の通算・税率・遮断措置

グループ通算制度ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ損益通算・欠損金の通算・税率・遮断措置

無料の学習ツール「グループ通算制度ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
基本の4社(独自の設例。単位:円)
P社(通算親法人・3月決算)通算前所得 6,000万円
S1社(Pが100%保有)▲2,000万円
S2社(Pが100%保有)1,500万円
S3社(Pが100%保有)▲500万円
前提4社とも内国法人で通算承認を受けている。グループ内に資本金1億円超の法人がある(大通算法人)
はじめに

今日の題材 ── 基本の4社

📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、グループ法人税制ラボのときに「グループ通算制度とは別の制度」と何度も出てきて、ずっと気になっていました。通算制度は、何をする制度なんですか。
先生
100%グループの会社が、それぞれ自分の申告書を出しながら、その年の黒字と赤字を相殺する制度なんだ。今日の題材は、黒字2社・赤字2社の基本の4社だよ。
ハルカ
P社が6,000万円の黒字で、S1社が2,000万円の赤字。足すと、グループ全体では5,000万円の黒字ですね。
先生
その「足すと」がどういう計算で行われるかが、今日の中心なんだ。表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 1 ラボの図

同じ4社・同じ数字。グループで申告すると、何が変わる?
6,000万P社▲2,000万S1社1,500万S2社▲500万S3社黒字の会社だけに課税:法人税 1,740万円。赤字の会社の欠損は自社の将来の所得まで残る
単体の申告:各社の所得と欠損は、その会社の中だけで計算する
P・S2の所得7,500万S1・S3の欠損2,500万→ 課税される所得 7,500万円

💡 S1・S3の欠損は、S1・S3が将来黒字になるまで使えない(繰越欠損金)。

基礎 1

なぜ通算するか ── 同じ4社でも、通算すると税金がかかる所得が減る

📍 ラボの場所:基礎タブ 1
ハルカ
図は「単体で申告」の状態ですね。黒字のP社とS2社だけに課税されて、法人税は1,740万円。赤字のS1社とS3社は灰色のままです。
先生
単体の申告では、欠損はその会社の中にとどまるんだ。S1社とS3社の欠損は、将来その会社が黒字になるまで使えない繰越欠損金になる。ラボで「グループ通算制度」に切り替えると、課税される所得が5,000万円、法人税が1,160万円になるよ。
迷いポイント 通算制度は、100%子会社があれば自動的に始まる?
ハルカ
グループ法人税制ラボで、100%グループなら届出なしで当然に適用される、と習いました。通算制度も、100%子会社がいれば自動的に始まるんですよね。
先生
そこが2つの制度の違いなんだ。グループ法人税制は強制適用だけど、通算制度は国税庁長官の承認を受けた場合だけ適用される選択制なんだよ(法人税法第64条の9第1項)。そして連結納税と違って、申告と納付は各社が自分で行うんだ(第74条第1項)。
ハルカ
赤字の子会社が、急に頼もしい仲間に見えてきました。
先生
頼もしく見えるのは、税金の計算の上だけだよ。欠損が消えるわけではなく、S1社とS3社が将来使うはずだった欠損を今年使うので、税負担が580万円だけ早く軽くなるんだ。
💡 そうだったのか!
通算制度は承認を受けて選ぶ制度。同じ年の欠損をグループの所得と相殺できるので、税負担が早く軽くなります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎 1 の図の上のボタンで「グループ通算制度」を押す

👀 課税される所得が 7,500万円から 5,000万円に、法人税が 1,740万円から 1,160万円に変わり、「欠損の合計×23.2% = 580万円だけ早く軽くなる」と出ます。

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📗 基礎 2 ラボの図

5つの箱をクリック。基本の4社(P 6,000万円・S1 ▲2,000万円・S2 1,500万円・S3 ▲500万円)で、各段で何をするかを表示します
① 承認・対象誰が通算法人か② 損益通算その年の所得と欠損③ 欠損金の通算過去の欠損金④ 税率・税額各社の法人税額⑤ 申告・遮断誤りは原則その法人だけ設例では:欠損2,500万円を P 2,000万・S2 500万に配分。損益通算後 P 4,000万・S2 1,000万。
② 損益通算:欠損の合計を所得の比で配分して損金に、同じ額を欠損の比で益金に(法人税法第64条の5)

配分するのは「所得の合計」と「欠損の合計」の小さい方。

損益通算は「通算前所得金額」(繰越欠損金を引く前の所得)どうしで行う。

基礎 2

5段の流れ ── 承認 → 損益通算 → 欠損金の通算 → 税率 → 申告・遮断

📍 ラボの場所:基礎タブ 2
ハルカ
箱が5つ並んでいます。① 承認・対象、② 損益通算、③ 欠損金の通算、④ 税率・税額、⑤ 申告・遮断。
先生
毎年の計算は、この5段で見通せるんだ。ラボではすべてのタブで同じ図を使うから、迷ったらここに戻るといいよ。ラボで②の箱を押すと、基本の4社で「欠損2,500万円を P 2,000万・S2 500万に配分」と出るんだ。
迷いポイント 損益通算の前に、各社が自分の繰越欠損金を引いておく?
ハルカ
単体の申告では、所得から繰越欠損金を引いて課税所得を出します。だから各社がまず自分の欠損金を引いて、残った所得どうしを通算するのかと思っていました。
先生
順番が違うんだ。損益通算は「通算前所得金額」、つまり繰越欠損金を引く前の所得どうしで行う(法人税法第64条の5第1項)。過去の欠損金を使うのは、その後の③の段なんだよ。
ハルカ
①から⑤へ、左から右に一方通行で進むんですね。
先生
そう、②で今年の所得と欠損を配り合ってから、③で過去の欠損金、④で税率という順番なんだ。⑤の申告・遮断は、申告した後に誤りが見つかったときに効いてくるよ。
💡 そうだったのか!
毎年の計算は② 損益通算 → ③ 欠損金の通算の順。損益通算は繰越欠損金を引く前の所得どうしで行います。
📗 基礎 3 ラボの図

外国子会社の下にいる日本の会社は、通算グループに入る?
P社(親法人)内国の普通法人S1社Pが100%保有F社(外国法人)Pが100%保有S2社Pが100%保有S3社S1が100%保有S4社(内国法人)Fが100%保有P・S1・S2・S3(青)が通算法人。S3のような孫会社も、間に外国法人がいなければ対象
親法人による完全支配関係がある内国法人の全てが対象
親法人P子法人S1・S2・S3→ 4社の全てが連名で申請

💡 子会社を選んで外すことはできない(法人税法第64条の9第1項)。

基礎 3

誰が通算法人になるか ── 親法人による完全支配関係、外国法人が介在しないもの

📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
P社の下にS1社とS2社、S1社の下に孫会社のS3社。外国法人のF社の下にもS4社がいますね。青いのはP・S1・S2・S3の4社です。
先生
通算制度の対象は、親法人と、親法人による完全支配関係がある内国法人の全てなんだ。孫会社のS3社も、間に外国法人がいなければ入るよ。
迷いポイント 外国子会社の下にいる日本の会社も、100%なら通算グループに入る?
ハルカ
S4社は日本の会社で、P社から見て間接に100%です。グループ法人税制ラボで、完全支配関係は直接・間接の保有で判定すると習ったので、S4社も入ると思いました。
先生
よく覚えていたね。PとS4の間に完全支配関係はあるから、グループ法人税制はS4社にも適用されるんだ。でも通算制度の完全支配関係は、外国法人が間に入らないものに限られているんだよ(法人税法施行令第131条の11第2項)。
ハルカ
うちの会社の海外販売子会社は海外の法人なので、もし通算制度を選んでも、最初から入らないんですね。
先生
そう、外国法人そのものは通算法人になれないんだ。もう一つ大事なのは、入る側の会社を選べないことだよ。対象になる子会社は全部が承認を受けるから、「この子会社だけ外す」はできないんだ(法人税法第64条の9第1項)。
💡 そうだったのか!
対象は親法人と、外国法人が間に入らない100%子会社・孫会社の全て。子会社を選んで外すことはできません。
📗 基礎 4 ラボの図

通算制度を使いたい。いつまでに申請すればいい?
前年12/31申請期限開始の日の3月前の日3/31処分の期限開始の日の前日4/1効力発生処分がなければみなし承認翌年5/31最初の確定申告事業年度終了の日の翌日から2月以内
4月1日開始の事業年度から適用するなら、前年12月31日までに申請
申請全社の連名経由親法人の所轄税務署長宛先国税庁長官→ 期限は開始の日の3月前の日(法人税法第64条の9第2項)

💡 開始の日の前日までに承認・却下の処分がなければ、開始の日に承認があったものとみなされる(法人税法第64条の9第5項)。

期限の日が土日祝日・年末年始に当たるときは、その翌日(年末年始なら翌年の最初の平日)まで延びる(国税通則法第10条第2項)。12月31日の期限は、実際には1月4日以降の最初の平日になる。

基礎 4

承認の申請 ── 開始の日の3月前の日まで、全社の連名で

📍 ラボの場所:基礎タブ 4
ハルカ
3月決算の親法人なら、4月1日から通算制度を使うには、前年の12月31日までに申請。年末の大掃除の時期ですね。
先生
最初の事業年度開始の日の3月前の日までに、全社の連名で、親法人の所轄税務署長を経由して国税庁長官に申請するんだ(法人税法第64条の9第2項)。12月決算の親法人なら、期限は前年の9月30日になるよ。
ハルカ
大掃除と申請の締め切りが重なるのは、さすがに慌ただしいです。
先生
12月31日は年末年始に当たるから、期限の特例で翌年の最初の平日まで延びるんだ(国税通則法第10条第2項)。ただ、ぎりぎりを狙わずに準備しようか。
迷いポイント 承認の通知が届くまでは、通算制度で申告できない?
ハルカ
承認の通知が来ないと始められないので、3月31日までに何も届かなかったら、4月からも単体のままだと思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。開始の日の前日までに承認も却下もなければ、開始の日に承認があったものとみなされる(第64条の9第5項)。何も届かなければ、4月1日から全社について通算制度が始まるんだ。
ハルカ
途中で子会社を買ったら、そのたびに3か月前に申請するんですか。
先生
加入のときは申請しないんだ。完全支配関係を有することとなった日に承認があったものとみなされて、その日から効力が生じるよ(第64条の9第11項)。加入のときの細かい判定は、開始・加入・離脱編で見ようか。
💡 そうだったのか!
申請は開始の日の3月前の日まで、全社の連名で。処分がなければみなし承認で、開始の日から全社に効力が生じます。
📗 基礎 5 ラボの図

黒字の会社と赤字の会社が2社ずつ。損益通算の後、各社の所得はいくら?
通算前(灰)→ 通算後(色)6,000万4,000万P社損金算入 2,000万▲2,000万0万S1社益金算入 2,000万1,500万1,000万S2社損金算入 500万▲500万0万S3社益金算入 500万
所得の合計>欠損の合計:欠損は全部使われ、欠損法人の所得は0
所得の合計7,500万欠損の合計2,500万配分する額(小さい方)2,500万P:2,500万×6,000万÷7,500万=2,000万

💡 配分する額 T=所得の合計と欠損の合計の小さい方。所得法人は「T×自社の所得÷所得合計」を損金算入、欠損法人は「T×自社の欠損÷欠損合計」を益金算入(法人税法第64条の5第2項・第4項)。

🧾 基本の4社の損益通算(別表七の三に相当)
項目P社S1社S2社S3社合計
通算前所得金額(▲は欠損)60,000,000▲20,000,00015,000,000▲5,000,00050,000,000
通算対象欠損金額(損金算入)▲20,000,0000▲5,000,0000▲25,000,000
通算対象所得金額(益金算入)020,000,00005,000,00025,000,000
損益通算後の所得40,000,000010,000,000050,000,000

所得法人の損金算入 25,000,000=欠損法人の益金算入 25,000,000。損益通算後は P 40,000,000・S2 10,000,000。

基礎 5

損益通算 ── 欠損を所得の比で配り、同じ額を欠損の比で益金に

📍 ラボの場所:基礎タブ 5
ハルカ
灰色の棒が通算前、色の棒が通算後。P社は6,000万円から4,000万円に下がって、S1社は▲2,000万円から0になっています。
先生
損益通算は2つの動きでできているんだ。所得法人は他社の欠損を損金に算入し、欠損法人は同じ額だけ他社の所得を益金に算入する。配るのは、所得の合計7,500万円と欠損の合計2,500万円の小さい方、2,500万円だよ。
迷いポイント 欠損は、赤字の会社から黒字の会社へ、相手を決めて渡す?
ハルカ
S1社の欠損2,000万円はP社へ、S3社の500万円はS2社へ、と相手を決めて渡すのかと思っていました。
先生
相手は決めないんだ。欠損の合計2,500万円を所得の比で配って、P社は2,500万円×6,000万円÷7,500万円=2,000万円を損金に算入する。欠損法人は、同じ額を欠損の比で益金に算入するんだ(法人税法第64条の5)。
ハルカ
引っ越しの荷物を、力の強い人ほど多く持つのと同じですね。所得の大きいP社が、いちばん重い箱を持つ。
先生
持つ量の決め方は、そのとおりだよ。P社が2,000万円、S2社が500万円で、合計はちょうど2,500万円になる。損金算入の合計と益金算入の合計は、いつも同じ額なんだ。
💡 そうだったのか!
損益通算は所得の比で損金算入、欠損の比で益金算入。損金算入の合計と益金算入の合計は、いつも同じ額です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎 5 の図の上のボタンで「欠損の合計が大きい」を押す

👀 欠損の合計 5,500万円が所得の合計 4,500万円を超える例に変わり、P社とS2社の所得は0、S1社に▲545.5万円、S3社に▲454.5万円が残ります(残りは翌期以後に繰り越し)。

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📗 基礎 6 ラボの図

S1社が生んだ欠損金が、P社の所得から控除されることがあるのはなぜ?
P社所得 3,000万限度額 1,500万特定 0万非特定 1,000万S1社所得 1,000万限度額 500万特定 800万非特定 600万特定を控除 800万S2社所得 2,000万限度額 1,000万特定 0万非特定 3,400万S3社所得 0万限度額 0万特定 0万非特定 0万
ステップ1:特定欠損金額は、その法人の所得の範囲で控除(法人税法第64条の7第1項第3号イ)
特定欠損金額(S1)800万S1の所得1,000万限度額の合計3,000万→ 割合1。S1が 800万円を控除

💡 S1の限度額は500万円だが、比べるのはグループの限度額の合計。自社の限度額を超えて控除できる。

🧾 欠損金の通算(別表七(二)付表一に相当)
項目P社S1社S2社S3社合計
損益通算後の所得30,000,00010,000,00020,000,000060,000,000
損金算入限度額(50%)15,000,0005,000,00010,000,000030,000,000
特定欠損金額の控除08,000,000008,000,000
配賦後の非特定欠損金額30,000,000020,000,000050,000,000
非特定欠損金額の控除13,200,00008,800,000022,000,000
控除の合計13,200,0008,000,0008,800,000030,000,000
翌期繰越(非特定)5,600,0003,360,00019,040,000028,000,000

非特定損金算入割合=(限度額の合計 30,000,000 − 特定の控除 8,000,000)÷ 非特定の合計 50,000,000 = 0.44。

基礎 6

欠損金の通算 ── 特定欠損金額は自社から、非特定欠損金額はグループで

📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
今度は繰越欠損金ですね。S1社には特定欠損金額が800万円、非特定欠損金額が600万円あります。
先生
繰越欠損金は2種類に分かれるんだ。加入前に生じて持ち込んだものなどが特定欠損金額で、自社の所得からだけ控除する。それ以外の非特定欠損金額は、グループで配り直してから控除するんだよ。
迷いポイント 欠損金を控除できるのは、自社の限度額までだけ?
ハルカ
法人税法ラボで、大法人の欠損金の控除は所得の50%までと習いました。S1社の所得は1,000万円なので限度額は500万円。特定欠損金額800万円のうち、控除できるのは500万円だと思います。
先生
50%はちゃんと覚えていたね。ただ通算制度では、比べる相手が違うんだ。特定欠損金額は、S1社の所得1,000万円の範囲で、グループの限度額の合計3,000万円と比べる。だから800万円を全額控除できるんだよ(第64条の7第1項第3号イ)。
ハルカ
では、S1社の非特定欠損金額600万円はどうなりますか。
先生
S1社は特定欠損金額で限度額を使い切ったから、配り直すときの基準が0になる。非特定の合計5,000万円は、限度額の残りの比でP社3,000万円・S2社2,000万円に配賦されるんだ。
ハルカ
そこに割合0.44を掛けて、P社1,320万円、S2社880万円を控除するんですね。
先生
そのとおりだよ。S1社が生んだ欠損金が、P社の所得から引かれることがあるのは、この配賦のためなんだ。
ハルカ
特定欠損金額を全部先に引いてから、非特定に進むんですね。
先生
順番は年度ごとなんだ。この設例は全部同じ年度の欠損金だけど、複数年度あれば古い年度から順に、同じ年度の中で特定 → 非特定と進むよ(第64条の7第1項)。
💡 そうだったのか!
特定欠損金額は自社の所得の範囲で、非特定欠損金額はグループで配賦して控除。比べる限度額は、グループの合計です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎 6 の図の上のボタンで「2 配賦」を押す
  2. 続けて「3 非特定欠損金額の控除」を押す

👀 配賦後の非特定が P 3,000万・S1 0万・S2 2,000万になり、次に割合 0.44 で「P 1,320万・S2 880万を控除」、グループの控除額の合計 3,000万円=限度額の合計 3,000万円と出ます。

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📗 基礎 7 ラボの図

親会社は資本金5,000万円。子会社の1社だけが資本金2億円なら、親会社は軽減税率を使える?
P社(資本金5,000万円)所得 600万19%軽減対象 480万法人税 119万S1社(資本金3,000万円)所得 0万所得0(欠損法人)S2社(資本金1,000万円)所得 400万19%軽減対象 320万法人税 79.4万年800万円を、中小通算法人の所得の比で分け合う(P 480万・S2 320万)
中小通算法人:軽減対象所得金額以下の部分は19%(法人税法第66条第6項・第7項)
800万円 ×自社の所得600万÷所得の合計1,000万→ P 480万円

💡 措置法の15%の特例は、現行の条文では通算法人を除いている(措置法第42条の3の2第1項。令和7年4月1日以後に開始する事業年度から)。

🧾 中小通算法人のグループ(別表一付表に相当)
項目P社S1社S2社S3社合計
所得金額6,000,00004,000,000010,000,000
軽減対象所得金額4,800,00003,200,00008,000,000
法人税額(簡易)1,190,4000793,60001,984,000

P:4,800,000×19%+1,200,000×23.2%=1,190,400。

基礎 7

税率 ── 大通算法人は23.2%、中小通算法人は800万円を分け合う

📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
全社が資本金1億円以下のグループですね。年800万円を、P社480万円・S2社320万円に分けています。
先生
中小通算法人は、800万円を所得の比で分けた軽減対象所得金額以下が19%なんだ。P社は800万円×600万円÷1,000万円=480万円だよ(第66条第7項)。措置法の15%は、令和7年4月1日以後開始の事業年度から通算法人を除くんだ。
迷いポイント 親会社の資本金が1億円以下なら、子会社の資本金に関係なく軽減税率を使える?
ハルカ
別表十五ラボで、資本金1億円以下でも大法人の100%子会社は中小法人の扱いを受けない、と習いました。でもこの図の親会社は資本金5,000万円で、上に大法人はいません。子会社が2億円でも、親会社は使えますよね。
先生
上だけでなく、グループの中も見るのが通算制度なんだ。資本金1億円超の法人が1社でもいれば、全社が大通算法人になる(第66条第6項第1号)。ラボで「大通算法人のグループ」を押すと、P社も全額23.2%になるよ。
ハルカ
資本金5,000万円のP社まで「大通算法人」。名前だけ、急に大きくなりました。
先生
名前のとおり、判定はグループの大きさで決まるんだ。欠損金の限度額も所得の50%になるから、子会社1社の増資がグループ全体に響くんだよ。
💡 そうだったのか!
軽減税率はグループ単位で判定。1社でも資本金1億円超がいれば全社が大通算法人で、全額23.2%です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎 7 の図の上のボタンで「大通算法人のグループ」を押す

👀 S2社の資本金が2億円になり、P社の法人税が 119万円から 139.2万円に、S2社が 79.4万円から 92.8万円に変わります。

ラボを開く ▶
📗 基礎 8 ラボの図

1社の申告に誤りが見つかった。グループ全社が修正申告する?
P社当初の通算前3,000万修正後の通算前3,000万当初の所得2,142.9万固定したとき2,142.9万最終の所得2,142.9万変わらないS1社当初の通算前▲1,000万修正後の通算前▲1,000万当初の所得0万固定したとき0万最終の所得0万変わらないS2社(誤りあり)当初の通算前500万修正後の通算前800万当初の所得357.1万固定したとき657.1万最終の所得657.1万修正申告・更正の請求判定:遮断措置(他社の金額は当初申告で固定)
当初申告で所得がある法人がいる → 遮断措置(法人税法第64条の5第5項)
① 全社が0以下いいえ→ 全体再計算の要件を満たさない

💡 S2の所得が増えても、P・S1の計算に使う金額は当初申告の額のまま。S2だけが修正申告する。

基礎 8

遮断措置と全体再計算 ── 1社の誤りは、原則その1社で直す

📍 ラボの場所:基礎タブ 8
ハルカ
S2社に誤りがあって、通算前の所得が500万円から800万円に増えています。修正申告の札が付いているのは、S2社だけですね。
先生
申告後に1社の金額が変わっても、他社の計算に使う金額は当初申告の額に固定するんだ。これが遮断措置だよ(法人税法第64条の5第5項)。
迷いポイント 1社の申告に誤りが見つかったら、グループ全社が修正申告する?
ハルカ
S2社の所得が増えたら、配分の比も変わります。P社の損金算入額も変わるはずなので、P社もS1社も計算し直して、全社で修正申告だと思っていました。
先生
原則は、そうならないんだ。P社とS1社は当初申告のまま。S2社だけが、当初の損金算入額を使ったまま、所得を357.1万円から657.1万円に直すんだよ。
ハルカ
よかったです。1社の誤りで全社やり直しになったら、決算の打ち上げが来年に延期になるところでした。
先生
連結納税の時代は、1社の誤りでグループ全体を計算し直していたんだ。その手間をなくしたのが遮断措置だよ。ただし例外もあって、全社が欠損で、固定すると所得が出るような場合は全体再計算になるんだ(第64条の5第6項)。
💡 そうだったのか!
1社の誤りは原則その1社で直す(遮断措置)。全社欠損などの条件が全部そろったときだけ、全体再計算です。
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  1. 基礎 8 の図の上のボタンで「全社欠損で所得の計上漏れ」を押す

👀 判定が「全体再計算」に変わり、① 全社が0以下・② 所得の過少・③ 固定で所得(S2 150万)がすべて「はい」になります。修正申告をするのは、欠損が▲300万円から▲150万円に減るS1社です。

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📗 基礎 9 ラボの図

通算法人の申告書は、どの別表をどの順に作る?(箱をクリック)
1別表四(前半)通算前所得金額を計算2別表十八(一)各社の金額を集計3別表七の三損益通算4別表七(二)付表一欠損金の通算5別表七(一)・七(二)繰越欠損金の残高6別表四(後半)所得金額7別表一付表・別表一税率と税額
1 別表四(前半):通算前所得金額を計算

損益通算・欠損金の控除の前の所得(39+40の①)。

基礎 9

申告書のどこに書くか ── 別表四から別表一まで

📍 ラボの場所:基礎タブ 9
ハルカ
別表が7つ、番号の順ではなく並んでいますね。別表四が、最初と最後の2回出てきます。
先生
別表四の前半で通算前所得金額を出して、別表十八(一)でグループの金額を集計する。そこから別表七の三で損益通算、別表七(二)付表一で欠損金の通算をして、別表四の後半で所得金額、別表一付表・別表一で税額を出すんだ。
迷いポイント 通算法人の申告書は、親法人がまとめて1通出す?
ハルカ
グループの金額を集計するので、親法人がまとめて1通の申告書を出すのかと思っていました。
先生
申告書は、各通算法人が1通ずつ出すんだ(法人税法第74条第1項)。資本金にかかわらず全社がe-Taxで、期限は事業年度終了の日の翌日から2月以内。そのうえ、他の通算法人の法人税について連帯納付の責任も負うんだよ(第152条第1項)。
ハルカ
自分の会社の申告書なのに、グループ全社の金額を集めないと書き終わらないんですね。
先生
そこが実務の大変なところなんだ。各社の金額を集める日程をグループで決めておかないと、2か月はすぐに過ぎてしまうよ。
💡 そうだったのか!
申告は各社が個別に、全社e-Taxで。グループの金額を集計しながら、別表四 → 七の三 → 七(二)付表一 → 別表一の順に作ります。
📗 基礎 10 ラボの図

損益通算で得をした会社は、赤字の会社にお金を払う?
P社(所得法人)S1社(欠損法人)通算税効果額 511.8万円支払う側:損金不算入(法人税法第38条第3項)受け取る側:益金不算入(法人税法第26条第4項)計算の一例:損益通算の額 2,000万円 × 23.2% + その10.3%(地方法人税)
損益通算で減った税額に相当する額を、欠損を提供した法人に支払う
損益通算P 2,000万×23.2%464万+10.3%47.8万→ 511.8万円

💡 計算方法は法令で決まっていない。「合理的に計算」とされ、Q&A問58は上の方法を一例として示している。授受は義務ではない。

基礎 10

通算税効果額 ── 得をした会社が、欠損を出した会社に払う

📍 ラボの場所:基礎タブ 10
ハルカ
P社からS1社へ、511.8万円の矢印が出ています。損益通算でP社の税金が減った分を、欠損を出したS1社に払うんですね。
先生
これを通算税効果額というんだ。計算の一例は、損益通算の額2,000万円×23.2%に、その10.3%を地方法人税相当として加えて511.8万円だよ。計算方法は法令になく、Q&A問58が一例として示しているんだ。
迷いポイント 通算税効果額は、払う側の損金・受け取る側の益金になる?
ハルカ
P社にとってはお金を払う費用なので損金になって、受け取ったS1社は益金になると思いました。
先生
税務では、どちらも所得に影響させないんだ。払う側は損金不算入、受け取る側は益金不算入だよ(法人税法第38条第3項・第26条第4項)。それに授受は義務ではなく、グループの規程で決めて続けるものなんだ。
ハルカ
会計の方は、税効果会計ラボの応用編で習った実務対応報告第42号の話につながりますか。
先生
そう、よく結びつけたね。会計の処理と繰延税金資産の判断は第42号で決まっているんだ。このラボは税務の扱いまでにして、会計は別のラボ(会計・税効果編)で扱う予定だよ。
💡 そうだったのか!
通算税効果額は払っても損金にならず、受け取っても益金にならない。計算方法は法令になく、グループの規程で決めます。
📗 参考 ラボの図

何が変わったか ── 1行ずつ比べる

論点連結納税制度(令和4年3月まで)グループ通算制度
申告・納付親法人がグループ全体の所得をまとめて申告・納付○ 各通算法人が個別に申告・納付(法人税法第74条第1項)
損益の通算連結所得として一体で計算○ 損益通算(法人税法第64条の5)・欠損金の通算(法人税法第64条の7)で調整
修更正の影響1社の誤りでグループ全体を計算し直す○ 原則は遮断措置(法人税法第64条の5第5項)。全社欠損などの場合だけ全体再計算
開始・加入時の時価評価・欠損金の持込み連結納税制度の取扱い(このラボでは比較を省略)△ 組織再編税制と整合性の取れた制度に見直し(概要 1)。詳しくは開始・加入・離脱タブ
事業年度連結事業年度(親法人の事業年度)○ 通算子法人の事業年度を親法人に合わせる(法人税法第14条第3項)
税率の軽減連結所得について年800万円(連結親法人が中小法人の場合)○ 中小通算法人で800万円を所得の比で配分(法人税法第66条第7項)
地方税単体で計算○ 単体で計算(変わらない)
連帯納付連結子法人に連帯納付の責任○ 通算法人に連帯納付の責任(法人税法第152条第1項)

○=通算制度での取扱い。△=見直された点。詳しい比較は国税庁「グループ通算制度の概要」で確認してください。

参考

連結納税との違い ── 1行ずつ比べる

📍 ラボの場所:基礎タブ 最後の節「参考:連結納税制度との違い」
ハルカ
最後の節は「参考:連結納税制度との違い」ですね。表の右の列に、○が並んでいます。
先生
令和4年4月1日以後に開始する事業年度から、連結納税制度はグループ通算制度に移ったんだ。一番大きな違いは、親法人がまとめて申告していた形から、各法人が個別に申告する形になったことだよ。
迷いポイント 連結納税からの移行で、地方税もグループで通算するようになった?
ハルカ
国税が「個別申告+グループで相殺」の形になったなら、地方税も同じようにグループで相殺するようになったと思いました。
先生
地方税は、連結納税のときも今も、単体で計算するんだ。変わったのは国税の納税単位と、1社の修更正がグループに波及しない遮断措置の方だよ。地方税の扱いは、応用編でもう少し見ようか。
💡 そうだったのか!
通算制度で変わったのは納税単位(グループ → 各法人)と遮断措置。地方税を単体で計算することは変わりません。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてグループ通算制度ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
通算制度は100%子会社があれば自動的に始まる?承認を受けて選ぶ制度(第64条の9第1項)。グループ法人税制とは別基礎1
損益通算の前に各社が繰越欠損金を引く?引かない。通算前所得金額どうしで損益通算してから欠損金の通算基礎2
外国子会社の下の日本の会社も入る?入らない。外国法人が介在しない完全支配関係に限る。子会社は選んで外せない基礎3
承認の通知が届くまで始められない?開始の日の前日までに処分がなければみなし承認(第64条の9第5項)基礎4
欠損は相手を決めて渡す?欠損の合計を所得の比で損金算入、同じ額を欠損の比で益金算入基礎5
欠損金は自社の限度額までだけ?特定は自社の所得の範囲でグループの限度額の合計と比べる。非特定は配賦基礎6
親会社が1億円以下なら軽減税率を使える?1社でも1億円超なら全社が大通算法人で23.2%(第66条第6項)基礎7
1社の誤りで全社が修正申告?原則その1社だけ(遮断措置)。全社欠損などは全体再計算基礎8
申告書は親法人がまとめて1通?各社が1通ずつ、全社e-Tax。連帯納付の責任あり基礎9
通算税効果額は損金・益金になる?支払は損金不算入、受取は益金不算入。授受は義務ではない基礎10
地方税もグループで通算するようになった?地方税は単体のまま。変わったのは納税単位と遮断措置参考
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。通算制度は承認を受けて選ぶ制度で、外国法人が間に入らない100%子会社は全部入る。毎年の計算は、損益通算 → 欠損金の通算 → 税率の順で、1社の誤りは原則その1社で直すんだ。
ハルカ
グループの数字を足すだけの制度だと思っていたら、配り方の制度だったんですね。所得の比、欠損の比、限度額の残りの比。今日だけで「比」を何回聞いたか分かりません。
先生
比が分かれば、ラボの図はもう読めるよ。1つだけ付け加えると、比を計算する前に「誰がグループに入るか」と「期限内に申告したか」を確かめることが大事なんだ。
ハルカ
では、明日からの口ぐせは「まず株主名簿、それから比」にします。
先生
口ぐせとしては、なかなか実務的だね。次の開始・加入・離脱編では、子会社を買ったり売ったりするときの時価評価と欠損金を見ていこうか。

参考資料

法人税法第14条・第57条・第61条の11・第64条の5〜第64条の14・第66条・第74条・第152条、法人税法施行令第119条の3・第131条の11〜第131条の17、租税特別措置法第42条の3の2、法人税基本通達12の7-1-2(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版ほか)。国税庁「グループ通算制度の概要」(令和2年4月)、「グループ通算制度に関するQ&A」(令和4年7月改訂)、「申告書別表の記載例(グループ通算制度適用法人用)」(令和5年3月改訂)、タックスアンサーNo.5900(令和8年4月1日現在)。確認日:2026年10月21日。記載例・Q&Aの15%の税率は改正前の取扱いで、ラボと記事は現行の条文(通算法人は措置法の15%の対象外)で計算しています。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例で、税額例は法人税本税の簡易計算で、端数処理・税額控除を省き、地方法人税・防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)・地方税は省略しています。公認会計士が監修しています。
このシリーズの記事:グループ通算制度ラボ【開始・加入・離脱編】/グループ通算制度ラボ【応用編】/グループ通算制度ラボ【設例・損益通算編】/グループ通算制度ラボ【設例・欠損金と税率編】/グループ通算制度ラボ【設例・修正申告編】/グループ通算制度ラボ【設例・開始・加入・離脱編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。