このラボには、先生と生徒の会話形式の解説記事がありますラボの図とツールの画面をそのまま使って、迷いやすい点を会話で読み解きます。30秒でできるラボ実習つき(全6本)。
このページでできること
移転価格の情報は、このページにまとめています。上の3つのボタンで 📗 しくみと文書化を学ぶ/🧭 算定方法を選ぶ(国税庁「参考事例集」31事例・裁決・判決・有報の実例)/🧰 ローカルファイルを作る(16項目を入力して草案をWord形式で出力)を切り替えます。
移転価格でまず決まるのは「価格が妥当かどうか」ではなく、同時文書化の義務があるかどうかです。判定は国外関連者ごとに前事業年度の取引額で行い、50億円以上、または無形資産取引が3億円以上なら、確定申告期限までにローカルファイルを用意しておく必要があります。このラボは、移転価格税制のしくみ(売値で利益が動く・利益率レンジで検証する)と、文書化の入口判定、自社の利益率が比較対象のレンジのどこにあるかの試算をまとめています。
- 移転価格税制のしくみ…売値を動かすと日本と海外の利益がどう入れ替わり、子会社の利益率がレンジの内か外かがどう変わるかを、つまみを動かして確かめられます。「なぜ価格ではなく利益率で見るのか」を図解で押さえます(措法66条の4第1項・第2項)。
- 利益率レンジ試算…比較対象企業の利益率(Q1・中央値・平均値・Q3)と検証対象の実績から、レンジ内か外か、調整点(平均値〈原則〉・中央値・レンジの端)との差、所得差額と税額の目安、日本と相手国のどちらに更正リスクが向くか(利益配分から見たリスクの方向)を表示します。所得差額・税額は相手国の取扱いを反映しない単純試算で、実際にどの国が更正するかは相手国の法令と取引の事実によります。検証対象(海外子会社/日本の法人)と利益水準指標(売上高営業利益率・総費用営業利益率・ベリー比)を切り替えられます。
- ローカルファイルの同時文書化義務…国外関連者ごとの取引額・無形資産取引額から同時文書化義務の有無を判定し、確定申告書の提出期限(延長・休日繰下げを反映)と保存期間(7年、欠損年度10年)、別表17(4)の添付を表示します。
- 3つの報告・届出事項…連結総収入1,000億円以上の最終親会社等届出事項(終了の日まで)・国別報告事項(CbCR)・事業概況報告事項(マスターファイル)(翌日から1年以内)の要否を、自社の立場(日本の親/日本の子/外国親の下の日本子会社・PE)、条約方式/子会社方式、代表提供の特例で切り替えて確かめられます。
- 算定方法を選ぶ…事実関係のスイッチ(取引の姿・手に入る情報)を動かすと、参考事例集に照らして最も近い算定方法と、外れた方法の理由が出ます。31事例(38件)の要約と数値、裁決・判決・有報等の実例35件も引けます。
- ローカルファイルを作る…国外関連取引を棚卸しして同時文書化義務を判定し、算定方法を設計し、規則22条の10第6項の16項目を記入して草案をWord形式で出力します。各項目に国税庁サンプルの見本文と例示集の「必要な情報の例」付き。入力はブラウザ内だけに保存されます。
- 調査で求められたとき・次にやること…提示・提出を求められた日からの45日(ローカルファイル)・60日(重要な書類・免除取引の相当する書類)の期限と推定課税、「次にやることカード」(集めるもの・期限・専門家に確認すること)を表示します。
使い方(「学ぶ」の3ステップ)
- 「基礎」タブで考え方をつかむ
移転価格税制とは(2コマ)、売値のつまみ、利益率レンジと更正される国、文書化の3つの目的、判定の5ステップ、4つの提出物の構造(BEPSの3層+届出事項)、立場、50億円/3億円、期限、16項目、調査後の45日・60日、免除≠不要、保存を図で確認します。 - 「設例」タブで1ステップずつ追う
連結総収入800億円の日本親会社(タイ子は義務・ドイツ子は免除、タイ子の利益率はレンジ外)、無形資産3.5億円で義務に、1,200億円で3つの報告・届出事項すべて(設例・基礎)。米国親の条約方式、子会社方式、12月決算の休日繰下げ、代表提供とちょうど50億円、調査で求められた後(設例・応用)を順に進めます。 - 「シミュレーション」タブで数字を変える
取引額と利益率を入れてください。文書化の判定は国外関連者ごとに行うため、相手先ごとに入力します(3社まで)。ベンチマーク結果(四分位)は読者が入力し、ツールはデータを提供しません。
よくあるつまずき
- 文書化の判定は会社単位ではなく国外関連者ごと。合計では50億円を超えていても、相手先ごとに見れば免除の範囲に収まることがあり、その逆もあります。
- 免除されるのは「同時文書化」であって、独立企業間価格で取引する義務そのものは残ります。文書化が不要でも、税務調査で価格の説明(相当する書類・60日)を求められる点は変わりません。
- 相殺後の純額で50億円を判定する(相殺前の総額)。経営管理料だから無形資産取引ではないと考える(使用許諾等に当たる部分は含む)。
- 子会社の利益が多いのは良いことと考える(日本側で更正)。相手国で減額されるから中立と考える(対応的調整は相互協議の合意が前提)。レンジに入っていれば毎年安全と考える(翌年外れることがある)。
- 外国親会社のグループだから3つとも不要と考える(条約方式で不要なのはCbCRだけ)。
レンジ試算は参考値です。比較対象企業の選定、差異調整、算定方法の選択といった移転価格の中核部分は専門的な検討が必要で、このラボでは扱っていません。独立企業間価格そのものを算定するツールではありません。このラボは学習と論点発見のための一次判定ツールです。表示される金額は簡略計算による参考概算で、申告用の税額・適用額を確定するものではありません。実際の適用判定には法令・通達の確認と、税理士等の専門家への相談が必要です。
根拠にした基準
- 租税特別措置法66条の4(第1項・第2項・第6項・第7項・第12項・第14項・第17項・第18項)、66条の4の2、66条の4の4、66条の4の5、同施行令39条の12・39条の12の4、同施行規則22条の10・22条の10の4・22条の10の5、国税通則法10条2項
- 移転価格事務運営要領(事務運営指針)4-5・4-6・4-8、国税庁「移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし」(平成28年6月)、「移転価格税制に係る文書化制度(FAQ)」(令和6年6月)、「ローカルファイル作成に当たっての例示集」(令和2年6月)、「移転価格ガイドブック」(平成29年6月)
- OECD「移転価格ガイドライン2022」第5章 Documentation(Annex I〜III)
法令等の確認日:2026年10月4日。事例の数値はすべて独自の学習用です。
あわせて読む・調べる
このテーマで、まだ知りたいことはありませんか?
他社事例、自社の場合の迷い、追加で見たいデータなどを教えてください。多くの実務家に共通する課題は、データ・記事・ツールの形で調査し公開します。