別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ留保と社外流出・税金の行・検算式
無料の学習ツール「別表四・別表五(一)ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です(単位:千円、税額は入力値)。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
🎧 動画で聞く別表四と別表五(一)の連動ロジック(20分)
この記事の先生とハルカの会話と、ラボの図で解説する音声動画です。フローとストック、留保と社外流出、事業税だけが残る税金の行、検算式までを扱います。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く)
今日の事例
この記事で使う数字(設例1・4・5、単位:千円)
| 賞与引当金(設例1) | X1期末 1,200 → X2期末 1,350 |
| 未払法人税等(設例4) | 1,950(法人税等 1,300・住民税 260・事業税 390) |
| 当期純利益(設例5) | 7,260(税引前 12,000 - 法人税等 4,740) |
| 所得金額(設例5) | 11,725 = 留保② 11,140 + 社外流出③ 585 |
| 別表五(一)の合計(設例5) | 期首 21,890 → 期末 29,190 |
| 中間・確定の法人税等・住民税(設例5) | 1,800 + 2,040 = 3,840 |
はじめに
今日の題材 ── 1年間の「動き」と、積み上がった「残高」
📍 ラボの場所:基礎タブ全体・設例1・4・5
ハルカ
先生、法人税法ラボで「税率を掛けるのは所得で、所得は別表四で出す」と習いました。でも別表五(一)は、毎年なんとなく前期の表を写しているだけです。
先生
今日は、その別表四と別表五(一)を並べて読んでいこうか。別表四は1年間の動き、別表五(一)は積み上がった残高を書く表なんだ。
ハルカ
2つの表が、同じずれを別の角度から書いているということですか。
先生
そのとおりだよ。数字は設例1・4・5のもので、最後に検算式で、2つの表がつながっていることを確かめるんだ。
📗 基礎 1 ラボの図(X2期)
別表四=動き加算 +1,350減算 -1,200
別表五(一)=残高前期末 1,200 - 1,200 + 1,350 = 1,350
💡 その年の「動き」を前期末の「残高」に足すと、今期末の「残高」になる
基礎 1
なぜ表が2つあるのか ── 1年間の「動き」と、積み上がった「残高」
📍 ラボの場所:基礎タブ 1
ハルカ
X2期は、別表四の加算が+1,350、減算が-1,200。別表五(一)の残高は 1,350 です。
先生
別表四はその年の「動き」、別表五(一)は期末の「残高」なんだ。前期末の残高 1,200 に、その年の動きを足し引きすると、今期末の 1,350 になるよ。
迷いポイント 別表四の加算・減算だけ見れば、まだ損金になっていない費用の残りもわかる?
ハルカ
X2期の別表四は差し引き+150 なので、残っているのは 150 だと思いました。
先生
150 は1年分の増え方なんだ。残高は、前期から引き継いだ 1,200 と合わせて 1,350 になる。前期までの分は、当期の別表四には書かれていないんだよ。
ハルカ
これ、資産除去債務ラボの税務調整編で「別表四は1年分、別表五(一)は残高」とやりましたよね。
先生
よく覚えていたね。どのラボの差異も、最後はこの2つの表に集まるんだ。今日はその集まる先を、表の側から見ていくよ。
💡 そうだったのか!
別表四は
その年の動き、別表五(一)は
積み上がった残高。前期末の残高に当期の動きを足し引きすると、当期末の残高になります。
📗 基礎 2 ラボの図(設例5の数字)
基礎 2
全体の流れ ── 当期利益から所得へ、留保から別表五(一)へ
📍 ラボの場所:基礎タブ 2
ハルカ
当期利益から別表四を通って所得へ。所得は留保と社外流出に分かれて、留保だけが別表五(一)へ流れています。
先生
このラボで何度も出てくる流れの図だよ。別表四の列は 総額①=留保②+社外流出③。留保②の調整だけが、同じ額で別表五(一)に入るんだ。
迷いポイント 別表四の出発点は、税金を引く前の利益?
ハルカ
所得を出すのだから、税引前当期純利益から始めると思っていました。
先生
出発点は税金を費用にした後の当期純利益なんだ。設例5なら税引前の 12,000 ではなく、7,260 を1欄に書くよ。損金にならない法人税等は、そのあと2〜4欄で足し戻すんだ。
ハルカ
一度引いた税金を、別表四でまた足すんですね。税金が出たり入ったりして、回転ドアみたいです。
先生
回転ドアでも、通る欄は決まっているよ。中間納付の分は2・3欄、期末の未払分は4欄なんだ。
💡 そうだったのか!
別表四は
税引後の当期純利益から始め、損金にならない税金は2〜4欄で加算します。別表五(一)へ流れるのは留保②だけです。
📗 基礎 3 ラボの図(すべて仕分けた状態)
すべて仕分けました。
② 留保 利益積立金に反映する → 別表五(一)にも書く
③ 社外流出 利益積立金に反映しない → 別表四だけ
基礎 3
留保か社外流出か ── 決め手は「利益積立金に反映するか」
📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
11項目を仕分けると、留保が5つ、社外流出が6つです。
先生
決め手は、その調整額を税務上の利益積立金額の増減計算に反映させるかなんだ。反映させるなら留保で、別表五(一)にも書く。反映させないなら社外流出で、別表四だけで終わるよ。
ハルカ
法人税法ラボでは「翌期以降に戻るのが留保、戻らないのが社外流出」と習いました。それで全部分けられますか。
先生
よく覚えていたね。ほとんどはそれで分けられる。ただ、法人税等・住民税の加算は、留保なのに翌期の減算がないんだ。
迷いポイント 留保の調整は、必ず翌期以降に反対の調整で戻る?
ハルカ
中間納付の法人税等も留保なら、いつか減算で戻ってくると思いました。
先生
法人税等・住民税の分は、別表五(一)の未納法人税等の行(△)と打ち消し合って消えるんだ。だから決め手は「戻るか」ではなく「利益積立金額に反映させるか」なんだよ。
ハルカ
「社外流出」と聞くと、お金が会社の外へ流れ出ていく絵しか浮かびません。受取配当金なんて、入ってきているのに。
先生
名前に引っ張られやすいところだよ。お金の出入りではなく、別表五(一)に差額が残らない、という区分なんだ。
💡 そうだったのか!
留保か社外流出かの決め手は、
税務上の利益積立金額の増減計算に反映させるか。多くの留保は翌期以降に戻りますが、法人税等・住民税は未納の行と打ち消し合って消えます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 基礎3の「まとめて仕分ける」を押す
- 項目を1つクリックして、下に出る理由を読む
👀 留保は5項目、社外流出は6項目。受取配当等の益金不算入額だけが「減算・社外流出」です。
ラボを開く ▶📝 法人税法ラボ【基礎編】(別段の定め・留保と社外流出)記事を読む ▶
📗 基礎 4 ラボの図(減価償却超過額の行)
減価償却超過額:当期は償却不足 200 が出たので、残高 300 のうち 200 だけ減②(別表四で減算・留保)。残りの 100 は次に償却不足が出る年まで残ります。(設例5の数字)
基礎 4
別表五(一)の4列 ── 期首① - 減② + 増③ = 期末④
📍 ラボの場所:基礎タブ 4
ハルカ
減価償却超過額の行は、期首 300、減 200、増 0、期末 100。横に足し引きしているだけなんですね。
先生
どの行も 期首①-減②+増③=期末④ なんだ。減②と増③には、別表四の減算・留保と加算・留保が同じ額で入るよ。
ハルカ
繰越損益金の行は、期首の額を減②に、期末の額を増③に書くんですね。
先生
そうすると、増③-減②がちょうど当期利益になるんだ。設例5なら 27,260-20,000=7,260 だよ。
迷いポイント 償却不足が 500 出たら、残高 300 を超えて 500 減算できる?
ハルカ
償却不足の分だけ減算できるなら、500 全部を減算していいと思いました。
先生
減算できるのは超過額の残高までなんだ。残高が 300 なら 300 までで、残りの不足 200 は取り戻せないよ。残高を超えて減算すると、期末がマイナスになってしまうんだ。
💡 そうだったのか!
別表五(一)のどの行も
期首①-減②+増③=期末④。償却超過額の認容は、償却不足額と超過額の残高の小さい方までです。
📗 基礎 5 ラボの図(2期を通して)
留保の調整は、必ず別表四の留保②と別表五(一)の増減に同じ額で現れます。加算・留保は増③へ、減算・留保は減②へ。そして期末④が翌期の期首①に引き継がれます(緑の破線:X1期末④ 1,200 → X2期首① 1,200)。
基礎 5
1つの差異が両方の表を通る ── 賞与引当金の2期
📍 ラボの場所:基礎タブ 5・設例1
ハルカ
X1期に加算した 1,200 が、X2期に減算 1,200 で戻って、新しく 1,350 を加算しています。緑の破線は、1,200 が翌期の期首に移るところですね。
先生
留保の調整は、別表四の留保②と別表五(一)の増減に必ず同じ額で出るんだ。加算・留保は増③、減算・留保は減②。期末④は翌期の期首①になるよ。
迷いポイント 翌期の減算を忘れても、別表五(一)の残高が少し多くなるだけ?
ハルカ
減算を忘れても、表の数字が少しずれるだけで、大きな影響はないと思っていました。
先生
減算を忘れると、その分だけ所得を多く計算して、税金を払いすぎるんだ。残高も実態より積み上がる。だから期首①に残高がある行から、当期に戻すものを確かめるんだよ。
💡 そうだったのか!
留保の調整は
別表四の留保②と別表五(一)の増減に同じ額で出ます。期末④は翌期の期首①になり、そこから当期に戻す調整を探します。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「設例1 賞与引当金」を選ぶ
- 「期末の賞与引当金」を 1,200 から 1,500 にする
👀 所得金額は 9,200 → 9,500、別表五(一)の期末合計は 14,200 → 14,500。どちらも同じ 300 だけ増えます。
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📗 基礎 6 ラボの図(設例4 X1期)
納税充当金(26欄):会計の未払法人税等 1,950 を全額+で書きます。別表四4欄で加算した額と同じです(損金にならない引当てを足し戻した分が、税務上の利益積立金として残る)。
基礎 6
税金の行 ── 納税充当金(+)と未納法人税等(△)
📍 ラボの場所:基礎タブ 6・設例4
ハルカ
会計の未払法人税等 1,950 が、別表五(一)では納税充当金+1,950、未納法人税等△1,300、未納住民税△260 に分かれています。
先生
納税充当金には未払法人税等を全額+で書いて、法人税等と住民税の分だけ△を立てるんだ。差し引くと、残るのは事業税の 390 だけだよ。
迷いポイント 未払の事業税も「未納事業税」の行に△で書く?
ハルカ
法人税等と住民税に未納の行があるなら、事業税にもあるはずだと思って探していました。
先生
未納事業税の行はないんだ。事業税は申告した翌期に損金になる税金だから、+390 は「まだ損金になっていない費用」として残り、翌期に13欄で減算されて消えるよ。
ハルカ
別表五(二)ラボで、一時差異になるのは未払事業税だけと習いました。ここに残る 390 が、その未払事業税なんですね。
先生
そのとおりだよ。法人税等・住民税は+と△で消えて、事業税だけが残る。税効果の話とも、ちゃんとつながっているんだ。
ハルカ
事業税だけ、みんなと一緒に帰らないで、翌期まで残業していくんですね。
先生
残業はするけれど、翌期の13欄でちゃんと帰っていくよ。
💡 そうだったのか!
未払法人税等は
納税充当金に全額+、法人税等・住民税は
未納の行に△。打ち消し合って、事業税の分だけが翌期まで残ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「設例4 税金の行」を選ぶ
- 「確定分 法人税等」を 1,300 から 1,500 にする
👀 当期純利益は 5,500 → 5,300 に減りますが、4欄の加算も同じだけ増えるので、所得金額は 8,330 のまま。別表五(一)の期末合計は 15,890 → 15,690 です。
ラボを開く ▶📝 別表五(二)ラボ【応用編】(納税充当金・未払事業税・源泉所得税)記事を読む ▶
📗 基礎 7 ラボの図(正しい式)
正しい式:期首合計 21,890 + 留保所得 11,140 - 法人税等・住民税(中間 1,800 + 確定 2,040)= 29,190。法人税等・住民税を引くのは、別表四で加算した後、別表五(一)の未納法人税等の行で△として差し引かれているからです(別表四では「加算した税金」が留保所得に入ったまま)。
基礎 7
検算式 ── 2つの表がつながっているかを確かめる
📍 ラボの場所:基礎タブ 7・設例5
ハルカ
期首合計 21,890 に留保所得 11,140 を足して、法人税等・住民税の中間 1,800 と確定 2,040 を引くと 29,190。別表五(一)の期末合計と一致しました。
先生
これが様式に示されている検算式なんだ。別表四で加算した法人税等・住民税は留保所得に入ったままだけど、別表五(一)では未納の△で引かれている。だから式でも引くんだよ。
迷いポイント 検算式では、事業税も引く?
ハルカ
税金はまとめて引くものだと思って、事業税の 900 も引いていました。
先生
事業税は引かないんだ。損金になる税金で、別表四の中で処理が終わっているからね。引くと 28,290 になって、ちょうど 900 ずれるよ。
ハルカ
検算式が一致した瞬間、申告書を額に入れて飾りたくなりました。
先生
飾る前に、加算・減算の判断そのものも確かめようか。式が合っても、元の別表の計算が正しいとは限らないからね。
💡 そうだったのか!
検算式は
期首合計+留保所得-中間・確定の法人税等・住民税=期末合計。事業税は引きません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「設例5 総合」を選ぶ
- 「交際費等の損金不算入額」を 640 から 1,640 にする
👀 所得金額は 11,725 → 12,725 に増えますが、留保②は 11,140、期末合計は 29,190 のまま。社外流出は検算式に入らないので、式は一致したままです。
ラボを開く ▶
📗 基礎 8 ラボの図(充当金と未納を相殺)
納税充当金(+2,520)と未納法人税等・住民税(△2,040)を相殺すると、残るのは未払事業税分 480だけ。「会計では費用にしたが、税務ではまだ損金になっていない事業税」が、利益積立金に上乗せされている、という意味になります。
基礎 8
税務上の利益積立金と会計の純資産 ── 別表五(一)の期末は何を表すか
📍 ラボの場所:基礎タブ 8・設例5
ハルカ
会計の繰越利益剰余金 27,260 に、賞与引当金・償却超過額の 1,450 と、未払事業税分の 480 を足すと 29,190。税務上の利益積立金額になりました。
先生
この設例の前提では、別表五(一)の期末合計は、会計の剰余金に税務とのずれの残高を足したものなんだ。会計と税務の差を、行ごとに並べた表だと言えるよ。
迷いポイント 別表五(一)の期末合計は、いつでも会計の剰余金+ずれの残高になる?
ハルカ
この足し算さえ覚えれば、どの会社の別表五(一)の合計も説明できそうです。
先生
それは前提つきなんだ。利益準備金や任意積立金があればその行も加わるし、自己株式の取得や組織再編などの資本取引があると、この単純な関係は成り立たないよ。
ハルカ
別表五(一)の残高は、税効果の一時差異の候補にもなるんですよね。リース会計ラボの税務調整編でやりました。
先生
よく覚えていたね。ただ、繰延税金資産を計上するかは、回収可能性を別に判断するんだ。残高はその出発点だよ。
💡 そうだったのか!
この設例の前提では、別表五(一)の期末合計=
会計の繰越利益剰余金+税務とのずれの残高。資本取引などがあると、この関係は単純には成り立ちません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「設例4 税金の行」を選ぶ
- 「確定分 事業税」を 390 から 600 にする
👀 当期純利益は 5,500 → 5,290 に減りますが、納税充当金も 210 増えるので、別表五(一)の期末合計は 15,890 のまま。未払の事業税は、まだ利益積立金額に残っています。
ラボを開く ▶📝 リース会計ラボ【税務調整編】(別表五(一)の両建て)記事を読む ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて別表四・別表五(一)ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
別表四・別表五(一)ラボを開く ▶
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。