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印紙税法ラボ【応用編】|図で学ぶ作成者の立場・経理処理・所属の決定・過怠税と手続

印紙税法ラボ【応用編】|図で学ぶ作成者の立場・経理処理・所属の決定・過怠税と手続

無料の学習ツール「印紙税法ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「作成者の立場から」「経理処理から」「様式から」「手続・期限から」「テーマから」「設例・試算」の各タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。全体像タブの内容は基礎編で扱っています。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例B社(建設会社。発注者と税抜3,000万円の工事請負契約、増額変更200万円、小口の修繕工事で発注者に交付した注文請書30通。単位:円)
工事請負契約書(記載金額3,000万円・第2号・軽減税率)1通10,000円×2通20,000
増額の変更契約書(増加額200万円が記載金額・軽減税率)1通200円×2通400
B社が交付した修繕工事の注文請書(記載金額50万円・第2号)1通200円×30通6,000
納める印紙税の合計26,400
(軽減税率がなければ)46,800
注文請書30通の貼り忘れが税務調査で見つかった場合の過怠税(3倍)18,000
調査前に自主的に申し出た場合の過怠税(1.1倍)6,600
はじめに

今日の題材 ── B社の工事請負契約書と注文請書30通

📍 ラボの場所:設例・試算タブ(B社)
ハルカ
先生、基礎編で印紙税の5段の流れと、記載金額・税率の決め方を習いました。今日はその先ですね。
先生
そう。今日は立場ごとの違い・印紙の経理処理・過怠税・所属の決定・電子契約と還付を、ラボの各タブから拾っていくよ。
ハルカ
表のB社は、契約書2通で2万円なのに、注文請書30通の貼り忘れが見つかると過怠税が18,000円。枚数の多い文書が怖いですね。
先生
印紙税の調査で指摘されるのは、金額の大きい契約書より枚数の多い文書の貼り忘れが多いんだ。この会社の数字を手がかりに、応用の論点を順に見ていこうか。
ラボの作成者の立場からタブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
👤 作成者の立場 ラボの画面
赤字=課税される・過怠税・損金不算入緑字=非課税・不課税・軽減・還付太字=手続・税額の名前(小さい文字)=根拠灰色のマス=その立場には関係がない
作成者の立場よく作る課税文書税額の目安非課税・不課税になるもの納付の方法間違えやすい点経理・法人税での扱い
不動産業(売買・賃貸)土地建物の売買契約書・手付金の受取書
  • 土地建物の売買契約書は第1号文書(印紙税法別表第一第1号)
  • 手付金・売買代金の受取書は第17号文書の売上代金に係る受取書
  • 土地の賃貸借契約書も第1号(権利金などの額が記載金額)
  • 売買契約書は記載金額の区分で200円〜60万円
  • 令和9年3月31日までの不動産譲渡契約書は軽減税率(措置法第91条第1項)で、1,000万円超5,000万円以下なら1万円、5,000万円超1億円以下なら3万円(500万円超1,000万円以下は5,000円)
  • 建物の賃貸借契約書は課税文書に当たらない(不動産の貸付けは第1号の「地上権・土地の賃借権」に含まれない)
  • 記載金額1万円未満の契約書は非課税
  • 受取金額5万円未満の受取書は非課税
  • 契約書の作成の時までに印紙の貼付と消印(第8条)
  • 売主・買主で2通作れば各通に貼る(連帯納税義務、第3条第2項)
  • 消費税額を区分記載しないと税込総額が記載金額になる
  • 仲介手数料の領収書も第17号文書で課税される
  • 売買契約書の変更契約書は増額分だけが記載金額(通則4ニ)
  • 印紙代は租税公課で損金になる
  • 相手方負担分を立て替えたら立替金
  • 過怠税は損金不算入(法人税法第55条第4項第1号)
建設業(工事請負)工事請負契約書・注文請書・変更契約書
  • 工事請負契約書・注文請書・変更契約書は第2号文書(請負に関する契約書)
  • 元請との基本契約書は第7号文書(継続的取引の基本となる契約書、4,000円)になることがある
  • 建設工事の請負契約書は令和9年3月31日まで軽減税率(措置法第91条第2項)
  • 記載金額1,000万円超5,000万円以下なら1万円(本則2万円)
  • 100万円以下は本則どおり200円
  • 注文書は原則として不課税(契約の申込みにすぎない)
  • ただし注文書に「請書」の性格があるとき(見積書に基づく注文書で契約が成立する旨の記載など)は課税文書になる(印紙税法基本通達第21条)
  • 電子データで送る注文請書は課税されない
  • 契約書の作成の時までに印紙の貼付と消印(第8条)
  • 小口工事の注文請書を毎月大量に作るなら書式表示の承認(第11条)で金銭納付も可能
  • 下請業者から受け取る注文請書は下請業者が納税義務者
  • 工事代金の増額変更契約書は増額分が記載金額、減額の変更契約書は、変更前の契約書が明らかで減額の金額だけを書いた場合、記載金額のない文書として200円(通則4ニ)
  • 変更後の総額だけを書くと、その総額が記載金額
  • 設計業務や保守業務の委託契約も請負なら第2号
  • 印紙代は租税公課
  • 注文請書の貼り忘れが調査で見つかると過怠税3倍で、損金不算入(法人税法第55条第4項第1号)
製造・卸(取引基本契約・注文請書)継続的な売買取引
  • 特約店契約書・取引基本契約書は第7号文書(4,000円。施行令第26条第1号)
  • 個別の注文請書は、売買なら不課税、請負(加工・製作)なら第2号文書
  • 第7号文書は一通4,000円の定額
  • 契約期間3か月以内で更新の定めがないものは除かれる
  • 売買の注文請書は課税文書に当たらない(物品の売買契約書は20号文書のどれにも当たらない)
  • 製作物供給契約は請負なので第2号
印紙の貼付と消印(第8条)
  • 「売買」か「請負」かで課否が変わる
  • カタログ品の納入は売買、仕様に合わせた製作は請負
  • 契約期間の定めがない基本契約は第7号になる
印紙代は租税公課で損金
小売・飲食・サービス(領収書)売上代金の受取書
  • 領収書・レシート・お買上票は第17号文書(売上代金に係る金銭の受取書)
  • 手書きの領収書も同じ
受取金額5万円以上100万円以下は200円、100万円超200万円以下は400円…と受取金額の区分で200円〜20万円
  • 受取金額5万円未満の受取書は非課税
  • クレジットカード決済で「カード利用」と明記した領収書は金銭の受領がないので課税文書に当たらない(国税庁質疑応答事例)
  • 電子メール・アプリで送る電子領収書は課税されない
  • 1枚ごとに印紙の貼付と消印(第8条)
  • 毎月大量に発行するなら書式表示の承認(第11条)を受けて翌月末日までに申告納付
  • 消費税額を区分記載すれば税抜額で判定(税込5万4,000円でも「うち消費税額4,000円」と書けば5万円で課税…ではなく、記載金額5万円は5万円未満ではないので課税。4万9,999円以下が非課税)
  • 営業に関しない受取書(個人の自宅売却など)は非課税
  • 印紙代は租税公課
  • 印紙の購入時は貯蔵品、使用時に租税公課へ振り替える
金融機関(銀行・信用金庫)預貯金通帳・手形・消費貸借契約書金銭消費貸借契約書は第1号文書、銀行取引約定書は第7号文書、預貯金証書は第8号、預貯金通帳は第18号(一冊200円)、手形は第3号
  • 預貯金通帳は一冊200円で、1年ごとに新たに作成したものとみなす(第4条第2項)
  • 消費貸借契約書は記載金額の区分で200円〜60万円(軽減税率の対象外)
  • 信用金庫等の預貯金通帳と非課税預貯金の通帳は非課税(別表第一第18号の非課税物件)
  • 手形金額10万円未満の手形は非課税
  • 預貯金通帳は税務署長の承認を受けて、4月1日〜翌年3月31日の課税期間ごとに口座数で一括納付(第12条)
  • 申告は課税期間の開始の日から1か月以内
  • 一括納付の対象は政令で定める通帳だけ
  • 保全担保を命じられることがある(第15条)
印紙代は租税公課
個人事業者・フリーランス業務委託・報酬の受取書
  • 成果物を納める業務委託契約書は第2号文書(請負)
  • 報酬の領収書は第17号文書(事業に関する受取書は「営業に関する受取書」)
  • 第2号文書は記載金額1万円以上100万円以下で200円
  • 領収書は5万円以上で200円
  • 委任契約(成果物でなく事務処理を委託)の契約書は不課税
  • 個人が営業に関しないで作る受取書(自宅の売却代金など)は非課税
  • 印紙の貼付と消印(第8条)
  • 電子契約・PDFの領収書なら貼付は不要
  • 「業務委託契約書」でも中身が請負なら第2号、委任なら不課税
  • 報酬の領収書は、事業所得者なら営業に関するものとして課税
  • 印紙代は必要経費(租税公課)
  • 過怠税は必要経費にならない(所得税法第45条第1項第3号)
国・地方公共団体・非課税法人国等が作成する文書国等が作成する文書は非課税(第5条第2号)—
  • 国・地方公共団体・別表第二の法人(国立大学法人・日本政策金融公庫・信用保証協会など)が作成した文書は非課税(第5条第2号)
  • 別表第三の文書も作成者が同表の者なら非課税(第5条第3号)
—
  • 民間企業と国等が共同で作る契約書は、国等が保存する分を民間企業が作成したものとみなし、民間企業が保存する分を国等が作成したものとみなす(第4条第5項)
  • つまり民間企業は「国等の手元に残る1通」に印紙を貼る
—
電子契約・電子領収書を使う会社紙を作らない取引電子データのまま交わす契約書・領収書は課税文書に当たらない—
  • 電子契約(電子署名・クラウドサイン等)やPDFの領収書は「文書の作成」に当たらないので課税されない(印紙税法第2条・第3条の「文書」は紙の文書)
  • 印刷した紙を、契約の成立を証明する文書として相手に交付すると課税文書になる(単なる写しの印刷は原則として課税されない。タックスアンサーNo.7120)
—
  • 電子契約の後で、同じ内容を紙に印刷して署名・押印し相手に渡すと、その紙が課税文書になる
  • 電子データを自社で印刷して保管するだけなら課税されない
電子取引のデータは電子帳簿保存法の保存要件(電子帳簿保存法)に従って保存する
作成者の立場

不動産業・建設業・小売・金融機関… 立場ごとの早見表

📍 ラボの場所:作成者の立場からタブ 早見表
ハルカ
不動産業・建設業・製造卸・小売飲食・金融機関・個人事業者・国等・電子契約の会社。8つの立場で、よく作る課税文書が違います。
先生
同じ印紙税法でも、効く号が立場で変わるんだ。不動産業は第1号と第17号、建設業は第2号と第7号、小売・飲食は第17号の領収書が中心だよ。
迷いポイント 注文書と注文請書、どちらにも印紙が要る?
ハルカ
B社は修繕工事を受けるとき、お客様から注文書をもらって注文請書を返します。両方とも契約の書類なので、両方に貼ると思っていました。
先生
原則は注文請書だけなんだ。注文書は契約の申込みにすぎないから課税文書に当たらず、承諾を証する注文請書が契約書になる。ただし注文書に「請書を省略し、注文書で契約が成立する」と書いてあれば注文書が課税文書になるよ(印紙税法基本通達第21条)。
ハルカ
逆に、B社が下請業者から注文請書を受け取るときは、B社が印紙を貼るんですか。
先生
そのときの作成者は下請業者だから、納税義務者も下請業者なんだ(第3条第1項)。B社が保管していても、B社の印紙税には入らないよ。
ハルカ
製造・卸の列を見ると、売買の注文請書は不課税と書いてあります。請負なら第2号なのに、売買なら不課税ですか。
先生
そう。物品の売買契約書は20号のどれにも当たらないんだ。カタログ品の納入は売買、仕様に合わせた製作は請負、という線引きが「売買か請負か」の判断だよ。
💡 そうだったのか!
立場ごとに効く号が違います。注文請書は契約書(請負なら第2号)、注文書は原則不課税。ただし注文書で契約が成立する記載があれば課税文書です(基本通達第21条)。売買の注文請書は不課税です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 作成者の立場からタブの「立場を選ぶ」で、「国等・非課税法人」を押す

👀 国・地方公共団体・別表第二の法人が作成した文書は非課税(第5条第2号)と、民間と共同で作る契約書は国等が保存する分を民間が作成したものとみなす(第4条第5項)の2つのカードが残り、ほかは灰色になります。

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🔁 経理処理 ラボの画面
加算法人税の所得が増える(別表四で足す)赤字=課税される・過怠税・損金不算入緑字=非課税・不課税・損金になる・還付社外流出=別表四の区分(小さい文字)=根拠
論点📒 経理(帳簿)🧾 印紙税法📝 法人税・消費税での扱い
収入印紙の購入と使用経理
  • 郵便局などで印紙を買ったときに租税公課で費用にしてしまうことが多い
  • 期末に未使用の印紙が残ることがある
  • 印紙税の納付は、課税文書に印紙を貼り付けて消印した時(作成の時まで)に行われる(印紙税法第8条)
  • 買っただけでは納付していない
購入時は貯蔵品、文書に貼った時に租税公課に振り替える。期末の未使用分を費用にしていれば加算留保。郵便局・コンビニなど所定の場所での印紙の購入は消費税が非課税(消費税法の非課税取引・別表第二)、金券ショップでの購入は課税仕入れ。
過怠税納付税務調査で貼り忘れを指摘され、過怠税を納めたときに租税公課や雑損失で費用にする
  • 貼り忘れは本税と2倍の合計(3倍)、調査前の自主的な申出なら本税の1.1倍、消印なしは額面相当の過怠税(印紙税法第20条第1項〜第3項)
  • 合計1,000円未満は1,000円(第20条第4項)
過怠税は損金に算入しない(法人税法第55条第4項第1号)。別表四で加算社外流出。個人事業者も必要経費にならない。
契約書・領収書の消費税額の書き方文書税込経理か税抜経理かで帳簿の金額は変わるが、契約書の書き方とは別の話
  • 第1号・第2号・第17号文書で、消費税額が区分記載されている(「うち消費税額〇円」や税抜価格と税額の併記)ときは、消費税額は記載金額に含めない(消費税の区分記載に関する国税庁の個別通達。タックスアンサーNo.7124)
  • 税込総額だけの記載や「消費税10%を含む」だけでは含めない扱いはできない
  • ただし、この取扱いは消費税の課税事業者が消費税の課税取引について作成する文書に限られ、免税事業者は区分記載していても消費税相当額を記載金額に含める(タックスアンサーNo.7124)
法人税・消費税の経理方式に関係なく、文書の記載方法で決まる。税込5万4,000円の領収書に「うち消費税額4,000円」と書けば記載金額5万円で課税(200円)、4万9,500円+消費税4,500円なら記載金額4万9,500円で非課税。
電子契約・電子領収書文書電子契約サービスやPDFの請求書・領収書で紙を作らない
  • 電子データの作成・送信は印紙税法の「文書の作成」に当たらないので課税されない(印紙税法第2条・第3条)
  • 印刷した紙を、署名・押印するなどして契約の成立を証明する文書として相手に交付すれば課税文書になる
  • 電子メールから出力した単なる写しは、契約の成立を証明する目的で作成したものでなければ課税されない(タックスアンサーNo.7120)
電子取引のデータは電子帳簿保存法の電子取引の保存要件に従って保存する。印紙代がかからない分、損金は減る。
契約書を2通作成(双方保管)文書自社保管分と相手方保管分の2通を作り、印紙代は折半するか、各自が自分の保管分に貼る
  • 一の課税文書を共同して作成した場合は連帯して納める義務がある(印紙税法第3条第2項)
  • 2通作ればそれぞれが課税文書で、各通に印紙が必要
  • コピーや写しでも契約当事者の署名・押印があれば課税文書になる(印紙税法基本通達第19条)
自社が貼った印紙代は租税公課で損金。相手方負担分を立て替えたら立替金(損金にしない)。
契約の変更契約書・覚書文書
  • 契約金額の変更を覚書で交わす
  • 減額のときに印紙を貼り忘れがち
  • 変更前の契約書があり変更金額が分かるときは、増額なら増加額だけが記載金額、減額なら記載金額のない文書として200円(別表第一 通則4ニ)
  • 契約期間の延長だけの覚書も、原契約が第1号・第2号文書なら契約書(第7号文書に当たるものを除く)
印紙代は租税公課。
注文書・注文請書・見積書文書見積書→注文書→注文請書の流れで受注する
  • 見積書・注文書は原則として契約の申込みで不課税
  • 注文請書は契約の成立を証するので契約書(別表第一 通則5)
  • 請負なら第2号文書、売買なら不課税
  • 注文書でも「請書を省略し、注文書で契約が成立する」などの記載があれば課税文書になる(印紙税法基本通達第21条)
印紙代は租税公課。
手付金・前受金・保証金の受取書文書手付金や前受金を受け取り、預り証や領収書を発行する
  • 売上代金の手付金・前受金の受取書は第17号文書の売上代金に係る受取書(別表第一第17号 定義1)
  • 敷金・保証金など返還する金銭の受取書は売上代金以外の受取書で200円(5万円未満は非課税)
前受金・預り金の受取書も印紙は必要。印紙代は租税公課。
印紙の貼りすぎ・契約が不成立納付多く貼ってしまった印紙や、署名前に破棄した契約書の印紙を雑損にする
  • 貼りすぎ・貼る必要のない文書への貼付などの過誤納は、納税地の所轄税務署長の確認を受けて還付(印紙税法第14条第1項・施行令第14条)
  • 請求できるのは5年以内(国税通則法第74条)
  • 消印した印紙を剥がして使い回すことはできない
還付を受けた額は雑収入(または租税公課の戻し)。確認を受けずに廃棄した分は損金になるが還付はない。
書式表示・納付計器による金銭納付納付大量の領収書に1枚ずつ印紙を貼る手間を省きたい
  • 承認を受けて書式表示をし、毎月分を翌月末日までに納税申告書で申告・納付(印紙税法第11条)
  • 印紙税納付計器を設置して納付印を押す方法もある(第10条)
申告納付した印紙税は、申告書を提出した日の属する事業年度の損金(租税公課)。
経理処理

論点ごとの「経理/印紙税法/法人税・消費税」

📍 ラボの場所:経理処理からタブ 冒頭の表
ハルカ
表の最初の論点は「収入印紙の購入と使用」です。法人税法ラボで、法人税等は税目ごとに見て、延滞税・加算税は加算・社外流出と習いました。印紙税は損金になりますか。
先生
よく覚えていたね。貼った印紙代は租税公課として損金になるんだ。損金にならないのは、別表五(二)ラボで見た加算税・延滞税と同じ仲間の過怠税だけだよ(法人税法第55条第4項第1号)。
迷いポイント 収入印紙を買ったときに、租税公課で費用にしてよい?
ハルカ
郵便局で買ったときに租税公課にしていました。白状すると、金券ショップで安く買った分も、同じく消費税が非課税の仕入れで処理していました。
先生
2つ直すところがあるね。まず買っただけでは納付していないから、未使用分は貯蔵品なんだ。そして金券ショップでの購入は課税仕入れだよ。安く買えた分は喜んでいいけれど、区分は直そうか。
ハルカ
郵便局やコンビニなら非課税、金券ショップなら課税仕入れ。同じ印紙なのに、買う場所で消費税の扱いが変わるんですね。
先生
消費税法が非課税にしているのは、所定の場所での印紙の譲渡だけなんだ。消費税法ラボの「取引の区分」で見た、非課税の列の話だよ。
💡 そうだったのか!
印紙代は租税公課で損金、過怠税だけが損金不算入(法人税法第55条第4項第1号)。購入時は貯蔵品、貼付時に租税公課。郵便局等での購入は消費税非課税、金券ショップは課税仕入れです。
🔁 経理処理 A1 ラボの図
調査で発覚(第20条第1項)18,000円自主的に申出(第20条第2項)6,600円貼ったが消印なし(第20条第3項)6,000円注文請書30通×200円=本来の印紙税 6,000円を貼り忘れていた場合
調査で発覚(第20条第1項):過怠税 18,000円(本税 6,000+2倍 12,000)税務調査で貼り忘れが見つかると、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額の合計額、つまり本来の3倍の過怠税が徴収されます(印紙税法第20条第1項)。過怠税は法人税の損金になりません(法人税法第55条第4項第1号)。
経理処理 A1

過怠税の3パターン ── 3倍・1.1倍・消印なし

📍 ラボの場所:経理処理からタブ A1
ハルカ
B社の注文請書30通、本来の印紙税6,000円。調査で見つかると18,000円、自主的に申し出ると6,600円、消印なしなら6,000円です。
先生
過怠税は見つかり方で3つに分かれるんだ。調査で発覚なら本税+2倍(第20条第1項)、調査前の自主申出なら本税+10%(第20条第2項)、貼ってあるのに消印がなければ額面相当(第20条第3項)だよ。
迷いポイント 貼り忘れに気づいたら、こっそり後から貼っておけばよい?
ハルカ
気づいた時点で貼ってしまえば、何事もなかったことになりますよね。3倍なんて、貼り忘れ1枚で社内の印紙が全部飛んでいきます。
先生
飛ぶ前に申し出ればいいんだ。後から貼っても「作成の時までに納付した」ことにはならないから、過怠税の対象のままだよ。印紙税不納付事実申出書を出せば1.1倍で済むんだ(施行令第19条)。
ハルカ
試験研究費ラボで、証拠は調査が来てから集めても遅いと習いました。印紙税も、調査の連絡が来てからの申出では1.1倍になりませんか。
先生
よく覚えていたね。申出が「調査による賦課決定を予知してされたもの」なら1.1倍にはならないんだ。気づいたらすぐ申し出る、が答えだよ。
💡 そうだったのか!
過怠税は3倍・1.1倍・額面相当の3パターン(第20条第1項〜第3項)。後から貼っても納付したことにはならず、調査の前に不納付事実申出書を出せば1.1倍です。過怠税は損金不算入です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 経理処理からタブのA1の図で、「自主的に申出(第20条第2項)」の棒を押す

👀 下の説明が「過怠税 6,600円(本税 6,000+10% 600)」に変わり、調査を受ける前に印紙税不納付事実申出書(施行令第19条)を提出すれば本税の1.1倍で済むこと、早く申し出るほど負担が小さいことが表示されます。

ラボを開く ▶
🔁 経理処理 A2 ラボの図
郵便局で購入貯蔵品 10,000消費税は非課税契約書に貼付・消印租税公課 10,000印紙税の納付(第8条)期末に未使用貯蔵品に残す費用にしない法人税の申告損金 10,000別表四の調整なし
印紙を買った時ではなく、文書に貼って消印した時が「納付」印紙税の納付は課税文書の作成の時までに印紙を貼ることで行われます(印紙税法第8条第1項)。経理では、購入した印紙は貯蔵品(資産)、貼付した時に租税公課(費用)にすると、納付の時期と費用の時期が一致します。貼った印紙代はそのまま法人税の損金です。
経理処理 A2

印紙の購入から損金まで

📍 ラボの場所:経理処理からタブ A2
ハルカ
郵便局で購入→貯蔵品、契約書に貼付・消印→租税公課、法人税の申告→損金。4つの箱がつながっています。
先生
納付の時期と費用の時期を合わせるのが、この並びのポイントなんだ。貼った時に租税公課にすれば、そのまま損金で、別表四の調整はいらないよ。
迷いポイント 期末に残った未使用の印紙も、買った時に費用にしたままでよい?
ハルカ
金額も小さいですし、買った期の費用にしておけば楽です。
先生
未使用の印紙はまだ納付していないから、貯蔵品として資産に残すんだ。費用にしたままだと、法人税では別表四で加算(留保)になるよ。
ハルカ
所得税法ラボで、事業主の所得税は必要経費にならないと習いました。個人事業者の印紙代は、必要経費になりますか。
先生
印紙代は必要経費になるよ。ならないのは法人と同じで過怠税だけなんだ(所得税法第45条第1項第3号)。
💡 そうだったのか!
印紙は購入時に貯蔵品、貼付時に租税公課。期末の未使用分を費用にしていれば加算(留保)です。個人事業者の印紙代も必要経費で、過怠税だけが必要経費になりません(所得税法第45条第1項第3号)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 経理処理からタブのA2で、「買ったが、期末に未使用」を押す

👀 「期末に未使用 貯蔵品に残す」の箱だけが点灯し、買っただけの印紙は費用にできないこと、購入時に全額を租税公課にしていた場合は期末に貯蔵品へ振り替えること、振り替え忘れは別表四で加算(留保)になることが表示されます。

ラボを開く ▶
🧾 様式から ラボの画面
印紙税納税申告書(書式表示用)書式表示の承認を受けた文書の毎月の申告書

書式表示の承認を受けた作成者が、毎月分(作成しなかった月を除く)を翌月末日までに、承認をした税務署長に提出する申告書です。その月に作成した課税文書の号別・種類・数量(課税標準数量)と税額を記載し、同じ期限までに納付します。

もとになる条文:印紙税法第11条第4項(記載事項・提出期限)・第5項(納付)、施行令第10条

5段の流れ:⑤ どう納める

様式

様式・手続書類から条文へ

📍 ラボの場所:様式からタブ
ハルカ
印紙税納税申告書、書式表示承認申請書、一括納付承認申請書、過誤納確認申請書、不納付事実申出書…。基礎編で「申告書がない」と習ったのに、申告書がありますね。
先生
原則は貼付で終わるけれど、特例を使うときに申告書や申請書が出てくるんだ。毎月大量に作る領収書は、承認を受けて書式表示をし、翌月末日までに申告・納付するよ(第11条)。
迷いポイント 印紙税は申告書を書かなくてよい、経理にやさしい税?
ハルカ
はい、印紙税は申告書がない分、経理にいちばんやさしい税だと思っていました。
先生
やさしいというより、文書を作るたびに貼る方式なんだ。貼り忘れが過怠税になることを思えば、申告書がない分だけ日々の管理が要るよ。書式表示の承認を受けたら、毎月の納税申告書も必要になるんだ。
ハルカ
不納付事実申出書と過誤納確認申請書は、どんな場面で使いますか。
先生
貼り忘れに気づいたときの申出書と、貼りすぎたときの還付の申請書だよ。この2つを知っていれば、足りないときも多すぎたときも対応できるんだ。
💡 そうだったのか!
申告書・申請書が出てくるのは特例(書式表示・一括納付・納付計器・税印)と、還付(過誤納確認申請書)・自主申出(不納付事実申出書)の場面です。原則は作成の時までの貼付で完了します。
⏱ 手続・期限 ラボの画面
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月翌1月翌2月翌3月1月末12月分の納税申告・納付(第11条第4項)4月末3月分の申告・納付7月末6月分の申告・納付翌1月末12月分の申告・納付
書式表示の承認を受けた会社承認を受けた文書は、毎月分を翌月末日までに申告・納付します(印紙税法第11条第4項・第5項)。作成しなかった月は不要です。
手続・期限

貼付・申告・還付の期限と、1年のカレンダー

📍 ラボの場所:手続・期限からタブ
ハルカ
カレンダーに「1月末」「4月末」「7月末」と毎月末の印があります。書式表示の承認を受けた会社の1年ですね。
先生
承認を受けた文書は、毎月分を翌月末日までに申告・納付するんだ(第11条第4項・第5項)。作成しなかった月は不要だよ。
迷いポイント 印紙税にも、3月15日のような「納期限」がある?
ハルカ
法人税は決算から2か月、所得税は3月15日。印紙税も、年に一度のまとめの期限があると思っていました。
先生
印紙を貼る一般の会社には、年に一度の期限はないんだ。期限は文書の作成の時で、文書を作るたびに来るよ。カレンダーの「一般の会社」を選ぶと、印が「随時」になるのはそのためなんだ。
ハルカ
還付の請求にも期限はありますか。
先生
過誤納の確認申請は、貼った日から5年以内だよ(国税通則法第74条)。契約が流れた契約書を捨ててしまうと、還付も受けられないから取っておこうか。
💡 そうだったのか!
一般の会社の期限は作成の時。書式表示なら翌月末日(第11条)、預貯金通帳の一括納付なら4月の課税期間開始から1か月以内(第12条)、過誤納の還付請求は5年(国税通則法第74条)です。
🧩 テーマ 1 ラボの図
取引基本契約書に「年間1,200万円」の記載→ 第2号取引基本契約書に契約金額の記載なし→ 第7号土地売買と建物の建築請負を1通に→ 第1号債務保証を主債務の契約書に併記→ 第1号売上代金150万円の受取と借入金の受取を1通に→ 第17号
取引基本契約書に「年間1,200万円」の記載 → 第2号文書第1号・第2号と第7号の両方に当たる文書は、契約金額の記載があれば第1号・第2号です(通則3イただし書の反対)。請負の基本契約なら第2号文書で記載金額1,200万円(軽減対象外なら2万円)になります。
  • ✔ 要点所属の決定1つの文書が2つ以上の号に当たるときは、通則2・3で1つの号に所属を決めます(別表第一 通則2・3)。所属が決まってから税率と非課税を判定します。
  • 第1号・第2号 対 第3号〜第17号第1号または第2号の文書に当たれば、原則として第1号・第2号の文書です(通則3イ)。
  • ⚠ 注意第7号との関係第1号・第2号と第7号(継続的取引の基本となる契約書)の両方に当たる文書で契約金額の記載がないものは第7号文書(4,000円)です(通則3イただし書)。契約金額があれば第1号・第2号です。
  • 第17号との関係第1号・第2号と第17号の両方に当たり、売上代金の受取金額(100万円超)が契約金額を超えるか契約金額の記載がなければ第17号文書です(通則3イただし書)。
  • 第1号 対 第2号両方に当たれば原則第1号。ただし金額を区分でき、第1号の金額が第2号の金額に満たなければ第2号です(通則3ロ)。
  • 第3号〜第17号どうし最も号数の少ない号の文書になります(通則3ハ)。ただし売上代金の受取金額100万円超の記載があれば第17号です。
  • 💡 実務通帳(第18号〜第20号)第18号〜第20号と第1号〜第17号の両方に当たる文書は原則として通帳側ですが、10万円超の第1号事項・100万円超の第2号・第17号事項を付け込んだときは、その号の文書を作成したものとみなします(通則3ニ・ホ、印紙税法第4条第4項)。
テーマ 1

所属の決定 ── 1つの文書が2つ以上の号に当たるとき

📍 ラボの場所:テーマからタブ 所属の決定
ハルカ
取引基本契約書に「年間1,200万円」と書いてあれば第2号、金額の記載がなければ第7号。同じ基本契約書なのに号が分かれています。
先生
1つの文書が2つ以上の号に当たるとき、どの号にするかを決めるのが所属の決定なんだ(通則2・3)。第2号と第7号の両方に当たる文書は、契約金額の記載がなければ第7号だよ(通則3イただし書)。
迷いポイント 取引基本契約書は、いつでも4,000円の第7号文書?
ハルカ
基本契約書は4,000円、と覚えてしまえば楽だと思っていました。
先生
金額の記載があると変わるんだ。請負の基本契約に年間1,200万円と書けば第2号文書で、記載金額1,200万円。軽減の対象でなければ2万円になるよ。
ハルカ
金額を書かなければ4,000円で済む、ということですか。
先生
税額だけ見ればそうなるけれど、契約書は取引のために作るものだから、税額のために内容を変えるのは本末転倒なんだ。所属の決定は「どちらに当たるか」を正しく判定するための規定だよ。
💡 そうだったのか!
2つ以上の号に当たる文書は通則2・3で所属を決めてから税率を判定します。第1号・第2号と第7号の両方に当たる文書は、契約金額の記載がなければ第7号(4,000円)、あれば第1号・第2号です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. テーマからタブの「所属の決定」の図で、2つ目の「取引基本契約書に契約金額の記載なし」を押す

👀 「→ 第7号文書」の説明に変わり、第2号と第7号の両方に当たり契約金額の記載がなければ第7号(通則3イただし書)で一通4,000円、契約期間3か月以内で更新の定めがなければ第7号から外れて第2号の記載金額のない文書(200円)になることが表示されます。

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🧩 テーマ 2 ラボの要点
  • ✔ 要点記載金額とは契約金額・券面金額・受取金額など、税率や非課税の金額の判定の基礎として文書に記載された金額です(別表第一 通則4)。記載金額がなければ原則として「記載金額のない文書」として200円などの最低税率になります。
  • 合計する同じ号に当たる金額が2つ以上あれば合計額が記載金額です(通則4イ)。土地の売買と建物の売買を1つの契約書に書けば、どちらも第1号なので合計します。
  • 区分する2つ以上の号に当たる文書で金額を号ごとに区分できるときは、所属する号の金額だけが記載金額です(通則4ロ)。
  • ⚠ 注意消費税額の区分記載第1号・第2号・第17号文書で消費税額が区分記載されていれば、その額は記載金額に含めません(国税庁の個別通達。タックスアンサーNo.7124)。税込総額だけでは含めない扱いはできません。
  • 変更契約書変更前の契約金額が分かる文書があり、変更金額が記載されていれば、増額なら増加額だけが記載金額、減額なら記載金額のない文書です(通則4ニ)。
  • 単価×数量・見積書の引用単価と数量で契約金額が計算できるときはその金額、見積書の番号などを引用して契約金額が明らかなときはその金額が記載金額です(通則4ホ)。
  • 💡 実務外国通貨記載金額が外貨なら、作成日の基準外国為替相場または裁定外国為替相場で円に換算します(通則4ヘ)。
テーマ 2

記載金額の計算 ── 合計・区分・変更契約書

📍 ラボの場所:テーマからタブ 記載金額の計算
ハルカ
要点の表に、合計する・区分する・消費税額・変更契約書・単価×数量・外国通貨と並んでいます。記載金額の計算ルールは6つもあるんですね。
先生
基礎編で見た消費税額の区分記載は、このうちの1つなんだ。実務でいちばん迷うのは変更契約書だよ(通則4ニ)。
迷いポイント 工事代金を減額する変更契約書は、減った後の金額で税額を計算する?
ハルカ
B社の工事が3,000万円から2,800万円に減額されたら、2,800万円で第2号の税額を計算すると思っていました。減額したのに印紙を貼るのは、損した上に税金まで…少し泣きたくなります。
先生
200円で済むのだから、泣くほどではないよ。変更前の契約書があり変更金額が分かるときは、増額なら増加額だけが記載金額、減額なら記載金額のない文書として200円なんだ。
ハルカ
B社の増額200万円の変更契約書が、記載金額200万円で軽減200円になっているのは、そのルールですね。
先生
そう。もし変更前の契約書がなく、変更後の総額3,200万円しか書いていなければ、3,200万円が記載金額になって1万円だよ。変更契約書には変更前の金額か差額を書くのが実務の知恵なんだ。
💡 そうだったのか!
記載金額は通則4のルールで計算します。変更契約書は、変更前の契約書が明らかなら増額は増加額だけ、減額は記載金額なし(200円)。差額が分からない書き方だと総額が記載金額になります。
🧩 テーマ 3 ラボの要点
  • ✔ 要点電子文書は課税されない印紙税は紙の「文書」を作成したときに課されます(印紙税法第2条・第3条)。電子署名による電子契約、PDFの注文請書、メールで送る領収書は文書の作成に当たらず、印紙税はかかりません(国税庁の見解。国会答弁・質疑応答事例)。
  • ⚠ 注意印刷して交付すると課税電子契約の後で同じ内容を紙に出力し、署名・押印して相手に交付すれば、その紙は課税文書です。自社の控えとして印刷して保管するだけなら課税されません。単なる写し(コピー)の交付も、契約の成立を証明する目的で作成したものでなければ課税されません(タックスアンサーNo.7120)。
  • FAX・PDFの交付契約書に押印してFAXやPDFで送り、原本は送らない場合、相手方に交付した現物がないので課税文書の作成には当たりません。ただし原本を後日交付すれば課税されます。
  • 電子帳簿保存法との関係電子取引で受け取った注文書・領収書のデータは、電子帳簿保存法の電子取引の保存要件(真実性・可視性)を満たして保存します。印紙税がかからないことと保存義務は別です。
  • 💡 実務契約書・注文請書・領収書を電子化すると印紙税の負担がなくなります。一部の取引先だけ紙に戻すときは、その紙に印紙が必要になります。
テーマ 3

電子契約・電子文書 ── 課税されない理由と、印刷したときの扱い

📍 ラボの場所:テーマからタブ 電子契約・電子文書
ハルカ
電子契約は課税されない。基礎編の判定フローの最初の問いでした。理由は「文書の作成に当たらない」でしたね。
先生
そう。印紙税法が課税するのは紙の文書の作成なんだ(第2条・第3条)。電子署名した契約データやメールで送るPDFは、文書の作成に当たらないから印紙税がかからないよ。
迷いポイント 電子契約を印刷して保管したら、その紙に印紙が要る?
ハルカ
社内の控えとして印刷したら、紙の契約書が生まれるので印紙が要ると思っていました。
先生
自社の控えとして印刷して保管するだけなら課税されないんだ。課税文書になるのは、紙に出力して署名・押印し、契約の成立を証明する文書として相手方に交付したときだよ。単なる写しを渡すだけなら、原則として課税されないんだ。
ハルカ
では、一部の取引先だけ紙に戻すと、その紙には印紙が要るんですね。
先生
そう。電子化で印紙税の負担がなくなる分、紙に戻した文書の管理が残るんだ。電子取引のデータは電子帳簿保存法の保存要件に従って保存することも忘れずにね。
💡 そうだったのか!
電子契約・PDF・電子領収書は文書の作成に当たらず不課税(第2条・第3条)。印刷して契約の成立を証明する文書として相手方に交付した紙は課税文書、自社の控えや単なる写しの印刷は原則不課税です(タックスアンサーNo.7120)。保存は電子帳簿保存法に従います。
🧮 設例・試算 ラボの画面
4 / 4
1過誤納金
過誤納に当たるか
貼りすぎた1万円と、課税文書にならなかった(作成していない)文書に貼った印紙は、いずれも過誤納金です。印紙を剥がして別の文書に使うことはできません(消印した印紙の再使用はできない)。
2確認申請
税務署長の確認
還付を受けるには、文書を添えて印紙税過誤納確認申請書を納税地の所轄税務署長に提出し、過誤納の事実の確認を受けます(印紙税法第14条第1項・施行令第14条)。確認の時に過誤納があったものとみなして、還付加算金の計算が始まります(第14条第3項・国税通則法第58条)。
35年
期限
還付金等の請求権は、請求できる日から5年間行使しないと時効で消滅します(国税通則法第74条)。印紙を貼った日から5年以内に申請します。
4雑収入
経理処理
還付を受けた印紙税は雑収入または租税公課の戻入れで処理します。確認を受けずに廃棄した文書の印紙代は、損金にはなりますが還付は受けられません。
設例・試算

貼りすぎ・使わなかった契約書 ── 過誤納の還付

📍 ラボの場所:設例・試算タブ x3
ハルカ
A社が1通に2万円の印紙を貼ってしまった契約書と、署名前に契約が流れて使わなかった契約書。どちらも印紙がもったいないです。
先生
どちらも過誤納なんだ。貼りすぎた1万円と、課税文書にならなかった文書に貼った印紙は、税務署長の確認を受けて還付を受けられるよ(第14条・施行令第14条)。
迷いポイント 貼りすぎた印紙は、剥がして別の契約書に使い回せる?
ハルカ
消印をしていなければ、剥がして次の契約書に貼れば無駄になりませんよね。
先生
剥がして使い回すことはできないんだ。印紙税過誤納確認申請書に文書を添えて提出し、確認を受けて還付を受けるのが正しい道だよ。請求できるのは貼った日から5年以内なんだ(国税通則法第74条)。
ハルカ
還付を受けた印紙代は、雑収入でよいですか。
先生
雑収入か租税公課の戻入れだよ。確認を受けずに廃棄した分は損金にはなるけれど、還付はないんだ。
💡 そうだったのか!
貼りすぎ・使わなかった文書の印紙は過誤納。剥がして使い回せず、過誤納確認申請書で税務署長の確認を受けて還付(第14条)。請求は5年以内(国税通則法第74条)です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・試算タブのプルダウンで「試算:自由入力」を選び、プリセット「貼り忘れ30通(調査で発覚)」を押す
  2. 「貼り忘れ(過怠税)」を「調査前に自主申出(1.1倍)」に変える

👀 記載金額 500,000・1通の税額 200・合計 6,000(30通)に対し、過怠税が 18,000 から 6,600 に変わります。「貼ったが消印なし(額面相当)」にすると 6,000 です。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて印紙税法ラボの画面そのものです。各タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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📝 印紙税法ラボ【基礎編】(5段の流れ・20種類の課税文書・記載金額・税率)基礎編を読む ▶
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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
注文書と注文請書、どちらにも印紙が要る?原則は注文請書だけ(請負なら第2号)。注文書で契約が成立する記載があれば注文書も課税文書(基本通達第21条)。売買の注文請書は不課税作成者の立場
収入印紙を買ったときに租税公課で費用にしてよい?未使用分は貯蔵品。貼付時に租税公課(損金)。過怠税だけ損金不算入(法人税法第55条第4項第1号)。金券ショップでの購入は課税仕入れ経理処理
貼り忘れに気づいたら、後から貼っておけばよい?後から貼っても納付したことにならない。調査前に不納付事実申出書を出せば1.1倍(第20条第2項)。調査で発覚は3倍経理処理A1
期末の未使用印紙も費用のままでよい?貯蔵品に残す。費用にしたままなら別表四で加算(留保)。個人事業者の印紙代は必要経費、過怠税は必要経費にならない(所得税法第45条第1項第3号)経理処理A2
印紙税は申告書を書かなくてよい、やさしい税?文書を作るたびに貼る方式。特例(書式表示など)では毎月の納税申告書、還付・自主申出では申請書・申出書が要る様式
印紙税にも3月15日のような納期限がある?一般の会社は作成の時。書式表示は翌月末日(第11条)、一括納付は4月の1か月以内(第12条)、還付請求は5年(国税通則法第74条)手続・期限
取引基本契約書はいつでも4,000円の第7号?契約金額の記載がなければ第7号、あれば第1号・第2号(通則3イただし書)テーマ1
減額の変更契約書は、減った後の金額で計算?変更前の契約書が明らかで、変更の金額だけを書いたときは、増額は増加額だけ、減額は記載金額なしで200円(通則4ニ)。変更後の総額だけを書くと総額が記載金額テーマ2
電子契約を印刷して保管したら印紙が要る?自社の控えや単なる写しの印刷は原則不課税。署名・押印し、契約の成立を証明する文書として相手方に交付した紙は課税文書テーマ3
貼りすぎた印紙は剥がして使い回せる?使い回せない。過誤納確認申請書で確認を受けて還付(第14条)。5年以内設例・試算
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。印紙は貼って消印した時が納付で、未使用分は貯蔵品。貼り忘れは3倍、調査前の自主申出なら1.1倍の過怠税で損金不算入。所属の決定と記載金額の計算は通則2〜4、電子契約は不課税、貼りすぎは5年以内に還付だよ。
ハルカ
基礎編では「書き方で税額が変わる」に驚きましたが、今日は「見つかり方で過怠税が変わる」に驚きました。どちらも、法律より先に社内の仕組みで決まるんですね。
先生
いい整理だね。ただ一つだけ補足すると、仕組みで決まるのは税額であって、課税文書かどうかの判定は法律が決めるんだ。判定を先に、仕組みはその後だよ。
ハルカ
分かりました。まずは注文請書を発行する前に、印紙と消印を確認する欄をチェックリストに足します。3倍の過怠税より、確認欄1行のほうがずっと安いです。
先生
そのとおりだよ。印紙税は申告書のない税だから、日々の確認がそのまま申告の代わりなんだ。基礎編から読み返すと、別表第一の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

印紙税法(昭和42年法律第23号。e-Gov法令検索、令和8年10月1日施行の版)本則と別表第一(課税物件表)・別表第二・別表第三、印紙税法施行令、租税特別措置法第91条、国税通則法、法人税法第55条、所得税法第45条、印紙税法基本通達、国税庁タックスアンサー(No.7124 消費税及び地方消費税の額が区分記載された契約書等の記載金額 ほか)・質疑応答事例。法令の確認日:2026年10月17日。ラボと記事の設例の会社・金額はすべて架空です(単位:円)。条番号・条見出しは、ラボ本体で e-Gov 法令検索の原文と照合しています(基本通達は国税庁サイトで確認)。

シリーズ:基礎編/応用編 / 関連:法人税法ラボ【応用編】(会計との違い・別表・手続の期限・グループと国際)/消費税法ラボ【応用編】(事業者の種類・取引の区分・インボイス・手続)/所得税法ラボ【応用編】(納税者の種類・帳簿との違い・損益通算・青色申告と手続)/別表五(二)ラボ【応用編】(修正申告・附帯税・源泉所得税)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。