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グループ通算制度ラボ【設例・修正申告編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用2〜5 遮断措置と全体再計算

グループ通算制度ラボ【設例・修正申告編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用2〜5 遮断措置と全体再計算

無料の学習ツール「グループ通算制度ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、申告後に誤りが見つかったときの設例(設例・応用2〜5)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
判定の3つの問い(法人税法第64条の5第6項)
① 全社の当初申告の所得は0以下かはい/いいえ
② 通算前所得金額の過少・通算前欠損金額の過大があるかはい/いいえ
③ 当初の額で固定すると、所得が生じる法人があるかはい/いいえ
結論①〜③が全部「はい」なら全体再計算、それ以外は遮断措置
今日の設例設例・応用2〜5(独自の数値)
はじめに

今日の題材 ── 判定の3つの問い

📍 ラボの場所:設例タブ 応用2〜5
ハルカ
今日は、申告の後に誤りが見つかった場合の設例ですね。基礎編で、1社の誤りは原則その1社で直す、と習いました。
先生
その「原則」と「例外」を、4つの設例で見分けていくんだ。判定に使うのは、表の3つの問いだけだよ。
ハルカ
3つとも「はい」なら全体再計算。1つでも「いいえ」なら遮断措置ですね。
先生
そう、そして最後に、直すのはどの法人かを確かめる。設例タブを開いて、ステップを1つずつ読んでいこうか。
ラボの設例タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・応用2 ラボの画面
P社当初の通算前300万修正後の通算前300万当初の所得0万固定したとき0万最終の所得0万変わらないS1社当初の通算前▲1,200万修正後の通算前▲1,200万当初の所得▲300万固定したとき▲300万最終の所得▲150万修正申告・更正の請求S2社(誤りあり)当初の通算前600万修正後の通算前750万当初の所得0万固定したとき150万最終の所得0万変わらない判定:全体再計算(グループ全体で計算し直す)
🧾 判定の結果
項目P社S1社S2社
当初の通算前所得金額3,000,000▲12,000,0006,000,000
修正後の通算前所得金額3,000,000▲12,000,0007,500,000
当初の損益通算後の所得0▲3,000,0000
固定した場合(遮断措置)0▲3,000,0001,500,000
最終の所得0▲1,500,0000
修正申告・更正の請求不要修正申告不要

税額は簡易計算。所得が変わらない法人でも、税額が減れば更正の請求の対象になる。

設例・応用2

全社欠損のグループで所得の計上漏れ:全体再計算

📍 ラボの場所:設例タブ 応用2 ステップ①〜④
ハルカ
当初申告では全社が欠損のグループ。申告後に、S2社の所得の計上漏れ150万円が見つかりました。
先生
ステップ①、当初の所得はP社0、S1社▲300万円、S2社0だから「はい」。ステップ②、S2社が600万円から750万円で、過少があるから「はい」だよ。
迷いポイント 全社が欠損なら、誤りがあっても修正申告は要らない?
ハルカ
当初の所得が全社0以下なら、150万円の漏れがあってもグループ全体は欠損のままです。修正申告は要らないと思いました。
先生
ステップ③で、当初の額で固定すると、S2社に150万円の所得が出るんだ。3つとも「はい」なので、全体再計算になるよ(法人税法第64条の5第6項)。
ハルカ
計算し直すと、S1社の欠損が▲300万円から▲150万円に減って、修正申告をするのはS1社。誤りがあったのはS2社なのに、犯人と後始末をする人が違う推理小説みたいです。
先生
後始末というより、グループで計算し直した結果、所得が変わるのがS1社だけなんだ。S2社の所得は0のままだよ。
💡 そうだったのか!
全体再計算は①全社0以下・②過少/過大・③固定で所得が全部「はい」のとき。直すのは所得が変わる法人です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「修正申告の判定」で「全社欠損で所得の計上漏れ」を読み込む

👀 損益通算の判定「全体再計算」、直す法人「S1社」と出ます。判定フローの確認では、①〜③がすべて「はい」です。

ラボを開く ▶
📘 設例・応用3 ラボの画面
P社当初の通算前300万修正後の通算前300万当初の所得0万固定したとき0万最終の所得0万変わらないS1社(誤りあり)当初の通算前▲1,200万修正後の通算前▲1,100万当初の所得▲150万固定したとき▲50万最終の所得▲50万修正申告・更正の請求S2社当初の通算前750万修正後の通算前750万当初の所得0万固定したとき0万最終の所得0万変わらない判定:遮断措置(他社の金額は当初申告で固定)
🧾 判定の結果
項目P社S1社S2社
当初の通算前所得金額3,000,000▲12,000,0007,500,000
修正後の通算前所得金額3,000,000▲11,000,0007,500,000
当初の損益通算後の所得0▲1,500,0000
固定した場合(遮断措置)0▲500,0000
最終の所得0▲500,0000
修正申告・更正の請求不要修正申告不要

税額は簡易計算。所得が変わらない法人でも、税額が減れば更正の請求の対象になる。

設例・応用3

全体再計算の後に欠損の過大:遮断措置

📍 ラボの場所:設例タブ 応用3 ステップ①〜④
ハルカ
応用2の全体再計算による修正申告の後に、今度はS1社の欠損の過大100万円が見つかった例ですね。
先生
全体再計算の後は、その修正申告の金額を「当初」とみなして判定するんだ(法人税法第64条の5第7項)。S2社は750万円、S1社の損益通算後は▲150万円から始まるよ。
迷いポイント 一度全体再計算になったグループは、次の誤りもまた全体再計算?
ハルカ
前回が全体再計算だったので、今回も同じように全社で計算し直すのかと思いました。
先生
毎回、3つの問いで判定し直すんだ。①も②も「はい」。でもステップ③で固定すると、S1社は▲1,100万円+1,050万円=▲50万円で、所得は生じない。だから遮断措置になるよ。
ハルカ
今度はS1社だけが修正申告。P社とS2社には影響しないんですね。
先生
そのとおりなんだ。前回の結果を「当初」として固定するから、S1社が▲150万円を▲50万円に直すだけで終わるよ。
💡 そうだったのか!
全体再計算の後は、その金額を当初とみなす。次の誤りは、改めて3つの問いで判定します。
設例・応用3をラボで開くラボで開く ▶
📘 設例・応用4 ラボの画面
P社当初の通算前3,000万修正後の通算前3,000万当初の所得2,142.9万固定したとき2,142.9万最終の所得2,142.9万変わらないS1社当初の通算前▲1,000万修正後の通算前▲1,000万当初の所得0万固定したとき0万最終の所得0万変わらないS2社(誤りあり)当初の通算前500万修正後の通算前800万当初の所得357.1万固定したとき657.1万最終の所得657.1万修正申告・更正の請求判定:遮断措置(他社の金額は当初申告で固定)
🧾 判定の結果
項目P社S1社S2社
当初の通算前所得金額30,000,000▲10,000,0005,000,000
修正後の通算前所得金額30,000,000▲10,000,0008,000,000
当初の損益通算後の所得21,428,57103,571,429
固定した場合(遮断措置)21,428,57106,571,429
最終の所得21,428,57106,571,429
修正申告・更正の請求不要不要修正申告

税額は簡易計算。所得が変わらない法人でも、税額が減れば更正の請求の対象になる。

設例・応用4

黒字のグループで1社に誤り:遮断措置

📍 ラボの場所:設例タブ 応用4 ステップ①〜④
ハルカ
応用4は黒字のグループで、S2社の所得の計上漏れ300万円。当初の所得は、P社21,428,571円、S2社3,571,429円です。
先生
ステップ①、所得のある法人がいるから「いいえ」。この時点で、遮断措置が決まるんだ(法人税法第64条の5第5項)。
迷いポイント S2社の所得が増えたら、P社の損金算入も変わる?
ハルカ
通算前の所得の比が変わるので、P社の損金算入8,571,429円も、本来なら少し変わるはずですよね。
先生
計算し直せば変わるけれど、遮断措置ではP社の計算に使う金額を当初申告の額に固定するんだ。S2社は当初の損金算入1,428,571円をそのまま使って、6,571,429円に直すよ。
ハルカ
当初申告の数字が、石像みたいにびくともしないんですね。
先生
動かないからこそ、P社とS1社は申告をやり直さずに済むんだ。修正申告をするのは、誤りのあったS2社だけだよ。
💡 そうだったのか!
黒字のグループは①で「いいえ」なので遮断措置。誤りのあった法人だけが、当初の損金算入・益金算入を使って修正申告します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションで「黒字のグループで1社に誤り」を読み込む

👀 損益通算の判定「遮断措置」、直す法人「S2社」、最終の所得(計)28,000,000 と出ます。判定フローの確認では、①が「いいえ」です。

ラボを開く ▶
📘 設例・応用5 ラボの画面
P社当初の通算前300万修正後の通算前300万当初の所得300万固定したとき300万最終の所得300万修正申告・更正の請求S1社(誤りあり)当初の通算前600万修正後の通算前100万当初の所得600万固定したとき100万最終の所得100万修正申告・更正の請求S2社(誤りあり)当初の通算前200万修正後の通算前250万当初の所得200万固定したとき250万最終の所得250万修正申告・更正の請求判定:遮断措置(他社の金額は当初申告で固定)
🧾 判定の結果
項目P社S1社S2社
当初の通算前所得金額3,000,0006,000,0002,000,000
修正後の通算前所得金額3,000,0001,000,0002,500,000
当初の損益通算後の所得3,000,0006,000,0002,000,000
固定した場合(遮断措置)3,000,0001,000,0002,500,000
最終の所得3,000,0001,000,0002,500,000
当初の軽減対象所得金額2,181,8184,363,6361,454,546
最終の軽減対象所得金額3,692,3081,230,7693,076,923
修正申告・更正の請求更正の請求更正の請求修正申告

税額は簡易計算。所得が変わらない法人でも、税額が減れば更正の請求の対象になる。

設例・応用5

中小通算法人:所得の合計が800万円以下に

📍 ラボの場所:設例タブ 応用5 ステップ①〜④
ハルカ
応用5は全社が中小通算法人。S1社の所得の過大500万円と、S2社の所得の過少50万円が見つかりました。
先生
損益通算の方は、所得のある法人がいるから遮断措置なんだ。でもこの設例の山場は、軽減対象所得金額の方だよ。
迷いポイント 誤りのないP社は、何も手続をしなくていい?
ハルカ
P社の通算前所得金額は300万円のままです。誤りがないので、P社は何もしなくていいと思いました。
先生
修正後の所得の合計が650万円で800万円以下だから、軽減対象所得金額は全体再計算なんだ(法人税法第66条第9項)。P社は2,181,818円から3,692,308円に増えて、税額が減るんだよ。
ハルカ
何も間違えていないのに手続が増えるなんて。P社の経理の人は、くじに当たったような、外れたような気分ですね。
先生
当たりの方だよ。税額が減るから、更正の請求で取り戻せるんだ。所得が変わらない法人でも、税額が減れば更正の請求の対象になるんだよ。
💡 そうだったのか!
軽減対象所得金額は、修正後の所得の合計が800万円以下などのとき全体再計算。所得が変わらない法人も更正の請求の対象になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションで「中小:所得の合計が800万円以下に」を読み込む

👀 最終の軽減対象所得金額 P社 3,692,308・S1社 1,230,769・S2社 3,076,923 と、「更正の請求/更正の請求/修正申告」が出ます。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてグループ通算制度ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
応用2 全社欠損で計上漏れ全社欠損なら修正申告は要らない?3つの問いが全部「はい」で全体再計算。直すのは所得が変わるS1社
応用3 全体再計算の後の誤り次の誤りもまた全体再計算?修正申告の金額を当初とみなして判定し直す。③が「いいえ」で遮断措置
応用4 黒字のグループP社の損金算入も変わる?①が「いいえ」で遮断措置。P社は当初の額で固定、直すのはS2社だけ
応用5 中小で800万円以下誤りのないP社は何もしない?軽減対象所得金額が全体再計算。税額が減るP社は更正の請求
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。誤りが見つかったら、3つの問いで遮断措置か全体再計算かを決める。全体再計算の後はその金額を当初とみなし、軽減対象所得金額は800万円以下などで別に全体再計算になるんだ。
ハルカ
4つの設例で、直す法人がS1社、S1社、S2社、そして3社全部でした。誤りのあった会社と直す会社が同じとは限らない、というのが一番の発見です。
先生
その発見は、実務でとても大事だよ。誤りを見つけた会社だけで閉じずに、親法人がグループ全体の判定をする体制にしておくといいんだ。
ハルカ
判定フローを印刷して、グループ全社の経理のパソコンに貼ってもらいます。1枚ずつ、手書きのサイン入りで。
先生
サインがなくても、貼ってあれば十分だよ。次の設例・開始・加入・離脱編では、子会社を買うとき・売るときの判定を、5つの設例で追っていこうか。

参考資料

法人税法第14条・第57条・第61条の11・第64条の5〜第64条の14・第66条・第74条・第152条、法人税法施行令第119条の3・第131条の11〜第131条の17、租税特別措置法第42条の3の2、法人税基本通達12の7-1-2(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版ほか)。国税庁「グループ通算制度の概要」(令和2年4月)、「グループ通算制度に関するQ&A」(令和4年7月改訂)、「申告書別表の記載例(グループ通算制度適用法人用)」(令和5年3月改訂)、タックスアンサーNo.5900(令和8年4月1日現在)。確認日:2026年10月21日。記載例・Q&Aの15%の税率は改正前の取扱いで、ラボと記事は現行の条文(通算法人は措置法の15%の対象外)で計算しています。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例で、税額例は法人税本税の簡易計算で、端数処理・税額控除を省き、地方法人税・防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)・地方税は省略しています。公認会計士が監修しています。
このシリーズの記事:グループ通算制度ラボ【基礎編】/グループ通算制度ラボ【開始・加入・離脱編】/グループ通算制度ラボ【応用編】/グループ通算制度ラボ【設例・損益通算編】/グループ通算制度ラボ【設例・欠損金と税率編】/グループ通算制度ラボ【設例・開始・加入・離脱編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。