MENU

企業結合・事業分離ラボ【設例・逆取得・株式交換・株式移転編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎10・11、応用4〜6 逆取得・完全子会社化・持株会社

企業結合・事業分離ラボ【設例・逆取得・株式交換・株式移転編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎10・11、応用4〜6 逆取得・完全子会社化・持株会社

無料の学習ツール「企業結合・事業分離ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、逆取得・株式交換・株式移転の設例(設例・基礎10・11、応用4〜6)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社・株価・設例の数値はすべて架空の例です(適用指針の設例の数値は使っていません)。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📕 設例・応用4 ラボの画面
合併前:A社株主の持分A社株主 100%合併後:結合後企業(A社)の議決権A社旧株主 40%B社旧株主 60%B社旧株主が 60% を握る → 取得企業はB社(企結第20項)法律上はA社が存続するが、会計上はB社がA社を買った基礎②の判定要素の第1歩:議決権比率。他の要素も確認する

取得企業の決定は、連結会計基準の支配の考え方による(企結第18項)。株式を交付した企業の旧株主が議決権の過半数を失えば、交付した企業(A社)が被取得企業になりうる(第20項)。

企結第18〜22項適用指針第32項
はじめに

設例・基礎10・11、応用4〜6 ── 法律上の形と、会計上の取得企業

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用4 ステップ2
ハルカ
先生、この回は逆取得、株式交換、株式移転ですね。応用4は、合併後の議決権がA社旧株主 40%、B社旧株主 60% になる図から始まります。
先生
どの設例も「法律上どの会社が何をしたか」と「会計上だれが取得企業か」を分けて考える練習なんだ。それに、個別と連結のどちらでPPAをするかも形式で変わるよ。
ハルカ
合併は個別でPPA、株式交換と株式移転は連結でPPA、でしたね。
先生
そのとおりだよ。逆取得の合併は、その両方がねじれる一番の難所なんだ。そこから見ていこうか。
設例・応用タブの応用4を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例・応用4 ラボの画面
🧾 合併期日(A社の個別財務諸表)
存続会社A社の個別:取得企業B社の資産を帳簿価額で受入れ
借方金額貸方金額
諸資産(B社の帳簿価額)1,800資本剰余金(B社の株主資本)1,700
その他有価証券評価差額金(引継ぎ)100

逆取得では、存続会社の個別財務諸表はB社の資産・負債を合併直前の適正な帳簿価額で計上し、B社の株主資本の額 1,700 を払込資本とする(企結第34項、適用指針第84項(1)①ア)。

B社の評価・換算差額等(その他有価証券評価差額金 100)は引き継ぐ(第84項(1)②)。

新株のみを交付したときは、B社の資本金・資本剰余金・利益剰余金の内訳をそのまま引き継ぐこともできる(第84項(1)①イ)。

企結第34項適用指針第84項
存続会社A社の個別B社の諸資産(帳簿価額)1,800払込資本(B社の株主資本)1,700のれんなし連結財務諸表A社の諸資産(時価)1,150のれん250取得原価(みなし交付株式の時価)1,400逆取得個別は「帳簿価額の引継ぎ」、連結は「B社による取得」連結を作らない場合は、連結したときの数字を注記(企結第36項)
🧾 連結財務諸表(B社を取得企業とする)
連結:B社がA社を取得したものとしてパーチェス法
借方金額貸方金額
諸資産(A社の時価)1,150払込資本1,400
のれん250
連結:資本金を存続会社A社の額にそろえる
借方金額貸方金額
資本金340資本剰余金340
設例・応用4

逆取得の合併 ── 存続会社の個別は帳簿価額、連結はみなし交付株式 40株

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用4 ステップ3・4
ハルカ
A社の個別は、B社の諸資産を帳簿価額 1,800 のまま受け入れて、B社の株主資本 1,700 を払込資本にしています。のれんはありません。
先生
取得企業はB社だから、存続会社A社の個別は取得企業の資産を帳簿価額で受け入れるんだ(企結第34項)。連結では、B社がA社を買ったとみなしてパーチェス法をやり直すよ。
迷いポイント 連結で、B社がA社の株主に渡したとみなす株式数は、実際に交付した 120株?
ハルカ
合併で動いた株式は 120株 なので、それを使うのだと思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。B社が自社株を渡したとしたら、A社旧株主が 40% になる株数を逆算するんだ。40% ÷ 60% × 60株 = 40株、@35 で取得原価 1,400、のれん 250 だよ(適用指針第85項)。
ハルカ
実際には一度も発行されていない 40株 で、のれんを測るんですね。幻の株式です。
先生
幻だけれど、持分比率はちゃんと現実と一致しているんだよ。
💡 そうだったのか!
逆取得の合併は存続会社の個別は取得企業の帳簿価額で受け入れ、連結では持分比率が同じになる株数を逆算してパーチェス法を適用します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用4のステップ2「① 取得企業の判定」を開く
  2. ステップ4「③ 連結」に進む

👀 議決権はA社旧株主 40%・B社旧株主 60%。連結のみなし交付株式は 40株、取得原価 1,400、のれん 250 です。

ラボを開く ▶
📘 設例・基礎10 ラボの画面
取得原価(払ったもの)取得原価1,000配分(受け入れたもの)識別可能純資産(時価)660のれん340配分識別可能資産・負債の内訳諸資産簿価 700 → 時価 760(+60)土地簿価 200 → 時価 300(+100)無形資産(顧客関連)簿価 0 → 時価 0負債簿価 400 → 時価 400純額 660のれん = 1,000 − 660 = 340
🧾 連結修正仕訳(投資と資本の相殺消去)
連結(投資と資本の相殺=取得原価の配分)
借方金額貸方金額
現金120負債100
有価証券(時価)160子会社株式640
土地(時価)230
のれん230
🧾 株式交換日(A社の個別財務諸表)
完全親会社の個別
借方金額貸方金額
子会社株式640資本金200
その他資本剰余金440
設例・基礎10

株式交換(取得) ── 個別は子会社株式 640、連結でのれん 230

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎10 ステップ2・3
ハルカ
A社はB社株主に株式 40株(@16)を交付して、個別は子会社株式 640 を計上するだけです。B社の資産は個別に出てきません。
先生
株式交換では完全親会社は株式を持つだけなんだ(適用指針第110項)。連結の資本連結で、B社の資産・負債を時価 410 に直して、差額 230 がのれんになるよ(第116項)。
迷いポイント B社の土地の含み益は、A社の個別の子会社株式の評価に反映する?
ハルカ
時価で買ったのだから、子会社株式の中身として土地の含み益も個別に反映させるのだと思っていました。
先生
個別の子会社株式は取得原価 640 のままで、土地の時価 230 が出てくるのは連結だけなんだ。合併なら個別で時価にするけれど、株式交換は連結がPPAの場所だよ。
💡 そうだったのか!
株式交換の完全親会社は個別は子会社株式を取得原価で計上するだけ。時価評価とのれんは連結の資本連結手続で出ます。
📕 設例・応用5/応用6 ラボの画面
個別財務諸表今回の対価720+以前からの株式(帳簿価額)50取得原価 770 − 識別可能純資産 410 = のれん 360損益は出ない(原価の合計のまま)連結財務諸表今回の対価720+以前からの株式(企業結合日の時価)70取得原価 790 − 識別可能純資産 410 = のれん 380段階取得に係る差益 20(時価 70 − 帳簿価額 50)
🧾 連結修正仕訳(資本連結)
連結:保有株式を時価に測り直し、取得原価を配分
借方金額貸方金額
識別可能純資産(時価)410子会社株式770
のれん380段階取得に係る差益20
🧾 連結修正仕訳
連結:A社・S社の保有分を時価に測り直し、取得原価を配分
借方金額貸方金額
識別可能純資産(時価)410子会社株式740
のれん342段階取得に係る差益(A社分)12
A社株式(S社保有)18段階取得に係る差益(S社分)18
連結:S社が持つA社株式は自己株式として株主資本から控除(表示の組替え)
借方金額貸方金額
自己株式48A社株式(S社保有)48
設例・応用5・応用6

株式交換の段階取得 ── グループで持っていた株式は、まとめて時価に

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用5 ステップ3/応用6 ステップ3
ハルカ
応用5は、A社が前から 10株 持っていた形です。個別の子会社株式は 720 + 50 = 770、連結では差益 20 が出て、のれんは 380 です。
先生
合併の段階取得と同じで、株式交換でも連結だけが時価で測り直すんだ。応用6は、A社の子会社S社も 6株 持っていた形で、グループ全体の保有分を時価にするよ。
迷いポイント S社が持っていたB社株式の時価 48 も、取得原価に足す?
ハルカ
グループで持っていた株式なので、A社の分 32 とS社の分 48 を両方とも交付株式に足すのだと思っていました。
先生
S社のB社株式は、交付株式 720 のうちS社分 48 と引き換えられているんだ。足すと二重になるので、取得原価は 720 + 32 = 752、のれんは 342 だよ。S社の差益 18 は、受け取ったA社株式を時価に直す形で出るんだ。
ハルカ
同じ株式を、渡す側と受け取る側で二回数えるところでした。グループの帳簿は、親戚の集まりのお年玉くらい数え間違えやすいですね。
先生
グループの中で行き来した分を除いてから数えれば、間違えないよ。
💡 そうだったのか!
株式交換の段階取得はグループの保有分をまとめて時価に測り直します。子会社が受け取った親会社株式は、連結では自己株式として株主資本から控除します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・基礎10のステップ3「② 連結」を開く
  2. 設例を選ぶメニューで応用5に切り替え、ステップ3を開く
  3. さらに応用6に切り替える

👀 のれんは 230(保有なし)→ 380(A社が10株保有)→ 342(A社4株+S社6株)。S社分の 48 は自己株式に組み替えられます。

ラボを開く ▶
📘 設例・基礎11 ラボの画面
A社株式(取得企業) = 株式移転日前日の適正な帳簿価額による株主資本 600
B社株式(被取得企業) = 取得原価 640
増加する株主資本 = 1,240(資本金 400、その他資本剰余金 840)
🧾 株式移転日(C社の個別財務諸表)
設立完全親会社の個別
借方金額貸方金額
A社株式(取得企業:適正な帳簿価額による株主資本)600資本金400
B社株式(被取得企業:取得原価)640その他資本剰余金840

取得企業A社の株式は帳簿価額による株主資本の額、被取得企業B社の株式は第37〜50項に準じた取得原価(適用指針第121項)。

B社株式の取得原価は、B社株主がC社で持つ議決権比率と同じ比率を持つのに必要な数のA社株式をA社が交付したとみなして算定する(第121項(2))。

適用指針第121項
株式交換前A社株主  B社株主別々の会社A社(完全親会社になる)B社(完全子会社になる)株式交換後A社株主(旧B社株主を含む)B社株主にA社株式 640 を交付A社 ── 100% ── B社個別:子会社株式 640/連結:のれん 230交換個別は株式を持つだけ(時価評価しない)。連結で初めてB社の資産・負債を時価に直し、のれんが出る(適用指針第110・116項)。合併なら個別の段階でPPAをするが、株式交換では連結の資本連結手続がPPAの場所になる
🧾 連結修正仕訳
取得企業A社:帳簿価額で受け入れ(投資と資本の相殺)
借方金額貸方金額
A社の諸資産(帳簿価額)600A社株式600
連結:取得企業A社の利益剰余金を引き継ぐ
借方金額貸方金額
資本剰余金180利益剰余金180
被取得企業B社:取得原価の配分
借方金額貸方金額
現金120負債100
有価証券(時価)160B社株式640
土地(時価)230
のれん230
設例・基礎11

株式移転(取得) ── 取得企業の株式は帳簿価額 600、被取得企業は 640

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎11 ステップ2・3
ハルカ
A社とB社が持株会社C社を作りました。C社の個別は、A社株式 600、B社株式 640 です。
先生
取得企業A社の株式は、A社の株主資本の帳簿価額 600 で計上するんだ。被取得企業B社の株式だけが取得原価 640 だよ(適用指針第121項)。
迷いポイント 連結の利益剰余金は、A社とB社の両方を引き継ぐ?
ハルカ
新しく持株会社を作ったので、両社の利益剰余金を足して持株会社の連結に載せるのだと思っていました。
先生
引き継ぐのは取得企業A社の利益剰余金 180 だけなんだ。B社の利益剰余金は、取得原価と相殺されて消えるよ。連結は「A社の帳簿価額 + B社の時価 + のれん 230」という形になるんだ。
ハルカ
持株会社という新しい箱に引っ越しても、主役のA社の思い出は持っていけて、B社は一から始めるんですね。
先生
B社の過去は、取得原価の中に一度で織り込まれた、ということだよ。
💡 そうだったのか!
株式移転は取得企業の株式は帳簿価額、被取得企業の株式は取得原価。連結の利益剰余金は取得企業の分だけが引き継がれます。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて企業結合・事業分離ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

企業結合・事業分離ラボを開く ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
応用4みなし交付株式は実際に交付した株数?持分比率が同じになる株数を逆算(40株)。取得原価 1,400・のれん 250(適用指針第85項)
基礎10土地の含み益を個別の子会社株式に反映する?個別は取得原価のまま。時価評価とのれんは連結だけ(第110・116項)
応用5・6S社が持っていた株式の時価も取得原価に足す?交付株式と引き換え済みなので足さない。のれん 342、S社分は自己株式
基礎11連結の利益剰余金は両社分を引き継ぐ?取得企業の分だけ。被取得企業の分は取得原価と相殺(第121・124項)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。逆取得の合併は個別は取得企業の帳簿価額、連結はみなし交付株式で取り直し。株式交換と株式移転は、個別は株式を持つだけで、連結がPPAの場所。グループで持っていた株式は、二重に数えないように整理するんだ。
ハルカ
取得編では「何がのれんに入ったか」を追いましたが、今日は「だれが主役で、どこでPPAをするか」を先に決める練習でした。順番を間違えると、数字が全部ずれるのが分かりました。
先生
順番を決めてから計算する癖は、どの組織再編でも役に立つよ。
ハルカ
幻の 40株 は、しばらく夢に出てきそうです。
先生
夢の中でも 40% になっていれば合格だよ。次の事業分離編では、事業を手放す側の移転損益と、連結の資本剰余金・持分変動差額を見ていこうか。

参考資料

企業結合会計基準 第18〜22・34〜36項、適用指針第84〜86・110〜126項・設例10・14・15。企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(2019年1月16日最終改正・2026年1月9日までの修正反映)、企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」(2013年9月13日最終改正)、企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(2024年9月13日最終改正・2026年10月16日までの修正反映)、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」。基準確認日:2026年10月26日。ラボの設例は、適用指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです(原典の設例の数値は画面に出していません)。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・取得編(基礎1〜6、応用1〜3)/設例・事業分離編(基礎7〜9、応用7〜12)/設例・共同支配企業と合併編(基礎12、応用13〜17)/設例・会社分割・株式交換編(基礎13、応用18〜24)/設例・子会社同士の合併と株主編(基礎14、応用25〜30)/設例・税効果編(応用31〜35)/税務調整編

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。