MENU

電子帳簿保存法ラボ【応用編】|図で学ぶ事業者の立場・書類ごとの保存・検索要件・優良な電子帳簿

電子帳簿保存法ラボ【応用編】|図で学ぶ事業者の立場・書類ごとの保存・検索要件・優良な電子帳簿

無料の学習ツール「電子帳簿保存法ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「事業者の立場から」「経理業務から」「様式・規程から」「手続・期限から」「テーマから」「設例・試算」の各タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。全体像タブの内容は基礎編で扱っています。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
50,00050,000A社増えた税額 50万円100,000450,000B社増えた税額 100万円200,000100,000C社増えた税額 200万円橙=通常の過少申告加算税/右=この設例の加算税(緑=軽減、赤=重加算)(円)
はじめに

今日の題材 ── 3社の修正申告の加算税

📍 ラボの場所:設例・試算タブ「3社を並べる」
ハルカ
基礎編ではA社だけでした。図には、スキャナ保存のデータを改ざんしたB社と、優良な電子帳簿のC社も並んでいますね。
先生
そう。A社は通常どおり5万円、B社は重加算税35%に10%が加わって45万円、C社は優良な電子帳簿の届出があって20万円が10万円になっているんだ。
ハルカ
同じ修正申告でも、保存の仕方で加算税が軽くも重くもなるんですね。
先生
そう。今日はラボの「事業者の立場から」「経理業務から」「手続・期限から」「テーマから」などのタブを使って、立場ごとの違い、書類ごとの保存、加算税と優良な電子帳簿、検索要件の判定とスキャナ保存の流れを見ていこうか。
ラボの設例・試算タブで、3社を並べて見られますラボで開く ▶
👤 事業者の立場 ラボの画面
赤字=義務・不利になる結論緑字=不要・免除・軽減太字=保存の区分・要件の名前(小さい文字)=根拠灰色のマス=その立場には関係がない
事業者の立場電子取引データ紙の書類帳簿間違えやすい点加算税・青色申告
小規模事業者基準期間の売上高5,000万円以下の法人・個人事業者
  • 保存は義務(法第7条)
  • ダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、検索要件はすべて不要(規則第4条第1項)
  • 紙のままでよい
  • スキャナ保存は任意
会計ソフトで作れば電子のまま保存できる(法第4条第1項)真実性の措置(事務処理規程など)は免除されない電子取引データの保存がないと、青色申告の取消しの判断に影響しうる(法第8条第3項)
中小法人(売上高5,000万円超)基準期間の売上高が5,000万円を超える法人
  • 保存は義務
  • 検索要件が必要だが、出力書面を日付・取引先ごとに整理して提示でき、ダウンロードの求めにも応じられるなら検索要件は不要(規則第4条第1項)
スキャナ保存を導入すれば紙を廃棄できる電子帳簿等保存・優良な電子帳簿を選べる「紙に印刷して保存」だけでは要件を満たさない優良な電子帳簿なら過少申告加算税5%軽減(法第8条第4項)
大法人取引量が多く、ERPやEDIを使う法人
  • EDI・電子インボイスなど取引データ全体が対象
  • システムでの保存と検索が基本
  • スキャナ保存で経費精算をペーパーレス化
  • 入力期限の運用がかぎ
ERPの帳簿で優良な電子帳簿の要件を満たせるか確認事務処理規程を作るだけでなく、規程どおりに運用する電子データの改ざんは重加算税10%加重(法第8条第5項)
個人事業者所得税の青色申告・白色申告の個人所得税の保存義務者なので電子取引データの保存は義務(法第7条)紙のまま保存でよい青色申告の帳簿を会計ソフトで作れば電子保存できる判定期間・基準期間は暦年(規則第4条第2項)青色申告特別控除の上乗せ(e-Tax・優良な電子帳簿)は所得税・租税特別措置法の制度
経費精算の多い会社従業員の立替払いの領収書が多い会社ECサイト・タクシーアプリの電子領収書は電子取引データスマホで撮影した領収書もスキャナ保存の要件を満たせば紙を廃棄できる—入力期限(受領後速やか、または業務サイクルの後速やか)を過ぎると要件を満たさない(規則第2条第6項第1号)—
税務調査を受ける会社電子保存している会社の調査データの提示・提出(ダウンロード)の求めに応じる(規則第4条第1項)スキャナデータを速やかに出力できるようにしておく電子帳簿のデータをダウンロードで提出できるようにしておく(規則第2条第2項第3号)要件を満たしていない電子データも、保存しておくことが必要(法第4条第3項後段・規則第2条第12項)電子取引データに関する隠蔽・仮装は重加算税10%加重
事業者の立場

事業者の立場 × 効く規定の早見表

📍 ラボの場所:事業者の立場からタブ
ハルカ
小規模事業者・中小法人・大法人・個人事業者・経費精算の多い会社・税務調査を受ける会社の6つの行です。
先生
同じ法律でも、立場で効く要件が違うんだ。たとえば小規模事業者(基準期間の売上高5,000万円以下)は、ダウンロードの求めに応じられれば検索要件がすべて不要になるよ(規則第4条第1項)。
迷いポイント 小規模事業者なら、電子取引の要件は何もない?
ハルカ
小規模なら全部免除だと思って、心の中で小さくガッツポーズをしていました。
先生
ガッツポーズは半分にしておこうか。免除されるのは検索要件だけで、真実性の措置(事務処理規程など)は小規模でも必要なんだ。表の「間違えやすい点」の列にも書いてあるよ。
ハルカ
右端の列に「青色申告の取消しの判断に影響しうる」とあります。所得税法ラボで、青色申告は帳簿の備付け・保存が条件で、帳簿の不備は承認の取消しにつながると習いました。
先生
よく覚えていたね。電子帳簿保存法は、電子取引データを要件どおりに保存していないことも、青色申告の取消しの判断で帳簿書類の保存と同じように扱うと定めているんだ(第8条第3項)。
💡 そうだったのか!
小規模事業者は検索要件が不要になりますが、真実性の措置は免除されません。電子取引データの保存が欠けると、青色申告の取消しの判断にも関係します(第8条第3項)。
👤 事業者の立場 1 ラボの図
電子紙そのまま電子化はいその書類・データは何で受け取った(作った)?電子で授受した(電子取引)紙で受け取った・作ったデータのまま保存(義務)規則第4条の要件紙のまま保存スキャナ保存(任意)規則第2条第6項の要件基準期間の売上高5,000万円以下?検索要件は不要(ダウンロード対応が条件)
メールでPDFの請求書を受け取った電子取引なのでデータで保存します(法第7条)。真実性の措置(タイムスタンプ・システム・事務処理規程のいずれか)と検索機能が必要です。基準期間の売上高5,000万円以下ならダウンロードの求めに応じることで検索要件は不要です(規則第4条第1項)。
電子帳簿保存法第7条 規則第4条第1項
事業者の立場 1

その書類はどう保存する? ── 判定フロー

📍 ラボの場所:事業者の立場からタブ 1
ハルカ
フローの最初は「その書類・データは何で受け取った(作った)?」です。電子なら左、紙なら右。
先生
そう。電子で授受したらデータのまま保存(義務)、紙なら紙のままかスキャナ保存(任意)だよ。電子取引の側は、売上高5,000万円以下なら検索要件が不要になるんだ。
迷いポイント 紙の領収書をスキャンしたら、すぐに紙を捨ててよい?
ハルカ
スマホで撮って経費精算システムに上げたら、その場で原本をシュレッダーにかけていました。すっきりして気持ちいいんです。
先生
気持ちは分かるけれど、スキャナ保存の要件を満たして入力・保存した後でなければ、紙の代わりにならないんだ(第4条第3項)。要件を満たさないデータは紙の代わりにならず、紙がないならそのデータも保存しておく必要があるよ(第4条第3項後段)。
ハルカ
シュレッダーの前に、要件の確認ですね。
先生
そう。入力期限・解像度・タイムスタンプなどの要件は、設例・試算タブの「スキャナ保存」の流れで確かめられるよ。
💡 そうだったのか!
紙は紙のままかスキャナ保存。紙を捨てられるのはスキャナ保存の要件を満たして入力・保存した後で(第4条第3項)、要件を満たさないデータは紙の代わりになりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 事業者の立場からタブの判定フローで、「紙をスキャン」を押す

👀 フローの「紙で受け取った・作った → スキャナ保存(任意)規則第2条第6項の要件」が点灯し、下の説明に「スキャナ保存の要件を満たして入力・保存すれば、紙を廃棄できます(法第4条第3項)。要件を満たさない電子データは紙の代わりにならず、データも保存しておく必要があります(法第4条第3項後段)」と表示されます。

ラボを開く ▶
🔁 経理業務から ラボの画面
赤字=義務・加重緑字=不要・軽減(小さい文字)=根拠
論点📒 経理業務・書類🧾 電子帳簿保存法📝 法人税・消費税での扱い
メールで受け取ったPDFの請求書電子取引
  • 買掛金・仕入の計上の根拠
  • PDFを請求書フォルダに保存
  • 電子取引の取引情報なので、データの保存が義務(第7条)
  • 真実性の措置と検索要件(規則第4条第1項)
法人税の帳簿書類の保存(取引に関する書類)にあたる。データの保存が欠けると青色申告の取消しの判断に影響しうる(第8条第3項)。
クラウドの請求書受領サービス電子取引サービス上で受領・承認・保存
  • 訂正削除の履歴が残るシステムなら真実性の要件を満たす(規則第4条第1項第3号)
  • 検索機能もサービスで確保
—(保存方法の問題で、損金の計算は変わらない)
ECサイト・カード明細電子取引
  • 経費の計上の根拠
  • サイトから領収書をダウンロード
  • ウェブ上の授受も電子取引(第2条第5号)
  • データで保存(第7条)
経費の証拠書類。データがなければ損金性の立証が難しくなる。
紙で受け取った領収書紙の書類原本を保存、またはスキャンして保存
  • 紙のままか、スキャナ保存(第4条第3項)
  • スキャナ保存は入力期限・解像度・タイムスタンプなど(規則第2条第6項)
紙で保存しても電子化しても、証拠書類としての扱いは同じ。
自社で発行した請求書の控え紙の書類会計システムから請求書を発行し、控えを保存
  • 自社で電子作成した書類は電子のまま保存できる(第4条第2項)
  • メール送付なら電子取引としても保存(第7条)
—
会計ソフトの仕訳帳・総勘定元帳帳簿会計ソフトで記帳
  • 最初から電子で作成した帳簿は電子のまま保存できる(第4条第1項・規則第2条第2項)
  • 優良な電子帳簿なら届出で加算税軽減(第8条第4項)
青色申告の帳簿としてみなされる(第8条第1項)。
貸借対照表・損益計算書帳簿決算で作成
  • スキャナ保存は不可(規則第2条第4項)
  • 電子で作成したものは電子のまま保存できる(第4条第2項)
—
インボイス(適格請求書)を電子で受領電子取引仕入税額控除の根拠電子取引として電子帳簿保存法の要件で保存(第7条)
消費税の仕入税額控除の保存要件も満たす必要がある(消費税法の規定。このラボでは原文未取得)。
経理業務から

書類ごとの「経理業務/電子帳簿保存法/法人税・消費税」

📍 ラボの場所:経理業務からタブ
ハルカ
メールのPDFの請求書、クラウドの請求書受領サービス、ECサイト、紙の領収書、自社発行の請求書の控え、仕訳帳、決算書、インボイス。経理で毎日触る書類ばかりです。
先生
そう。同じ「請求書」でも、受け取り方で保存の区分が変わるんだ。そして右端の列のとおり、電子帳簿保存法はどう保存するかの法律で、損金になるかどうかは法人税法で決まるよ。
迷いポイント 保存の要件を満たしていない請求書の経費は、損金にならない?
ハルカ
電子帳簿保存法の要件を満たしていないと、その経費は認めてもらえないと思っていました。
先生
損金かどうかは法人税法の問題だから、要件を満たさないことだけで直ちに損金不算入になるわけではないんだ。ただ証拠として弱くなって損金性の立証が難しくなるし、青色申告の取消しの判断にも関係するよ(第8条第3項)。
ハルカ
同じ請求書が、紙で来たかメールで来たかで住む場所を変えるなんて、書類にも引っ越しがあるんですね。
先生
住所を決めるのは書類ではなく、受け取り方だよ。インボイスを電子で受け取ったら、電子取引の要件に加えて、消費税の仕入税額控除の保存要件も満たす必要があるんだ。
💡 そうだったのか!
電子帳簿保存法は保存の方法の法律で、損金かどうかは法人税法で決まります。ただ要件を欠くと証拠として弱くなり、青色申告の取消しの判断にも関係します(第8条第3項)。
🔁 経理業務 A1 ラボの図
増差 30万円・通常30,000円増差 30万円・優良15,000円増差 100万円・通常100,000円増差 100万円・優良50,000円増差 300万円・通常300,000円増差 300万円・優良150,000円修正申告で増えた税額ごとの過少申告加算税(期限内申告税額1,000万円と仮定)
増えた税額 30万円・通常の帳簿:30,000円増えた税額の10%です(国税通則法第65条第1項)。期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は、さらに5%が加わります(国税通則法第65条第2項)。
国税通則法第65条第1項 国税通則法第65条第2項
経理業務 A1

修正申告の加算税 ── 通常の帳簿と優良な電子帳簿

📍 ラボの場所:経理業務からタブ A1
ハルカ
増えた税額30万円・100万円・300万円ごとに、通常の帳簿と優良な電子帳簿の加算税が並んでいます。どの組も、優良な方が半分です。
先生
そう。期限内申告税額を1,000万円と仮定した図だよ。通常は増えた税額の10%、優良な電子帳簿で届出をしていれば、そこから増えた税額の5%を差し引くんだ(第8条第4項)。
迷いポイント 優良な電子帳簿なら、どんな修正申告でも加算税が5%軽減される?
ハルカ
届出書1枚で、増えた税額100万円なら5万円も軽くなる…。届出書を額に入れて、経理部の壁に飾りたいくらいです。
先生
飾るより、要件を保ち続けることが大事だよ。軽減されるのは、優良な電子帳簿に記録された事項に関する修正申告・更正だけで、隠蔽・仮装があれば軽減されないんだ(第8条第4項ただし書)。
ハルカ
届出は、いつまでに出せばいいんですか。
先生
あらかじめ、所轄税務署長に出すんだ(規則第5条第1項)。修正申告をする段になってから出しても間に合わないよ。
💡 そうだったのか!
優良な電子帳簿は、その帳簿に記録された事項の修正申告・更正について、過少申告加算税から増えた税額の5%を控除します(第8条第4項)。あらかじめの届出が必要で、隠蔽・仮装があれば軽減されません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 経理業務からタブの「修正申告の加算税」の図で、4本目の「増差 100万円・優良」の棒を押す
  2. 設例・試算タブの試算で「C社」を選び、「優良な電子帳簿の届出書を出している」のチェックを外す

👀 1つ目は「増えた税額 100万円・優良な電子帳簿(届出あり):50,000円」と表示されます。2つ目は、C社の加算税が「過少申告加算税(10%−5%)100,000」から「過少申告加算税(10%)200,000」に変わり、注意の欄に「あらかじめ届出書を出していなければ加算税は軽減されません(規則第5条第1項)」と出ます。

ラボを開く ▶
⏱ 手続・期限 1 ラボの図
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月翌1月翌2月翌3月4月1日:判定期間(当期)の開始・基準期間は前々事業年度随時:電子取引データ・スキャナの保存翌3月31日:判定期間の終了
3月決算の法人:判定期間と基準期間法人の検索要件の免除は、電子取引を行った日の属する事業年度(判定期間)の前々事業年度(基準期間)の売上高が5,000万円以下かで判定します(規則第4条第2項)。
手続・期限 1

検索要件の判定 ── 判定期間と基準期間

📍 ラボの場所:手続・期限からタブ 1
ハルカ
3月決算の法人のカレンダーです。4月1日に判定期間(当期)が始まって、基準期間は前々事業年度。
先生
そう。検索要件が不要になる「売上高5,000万円以下」は、電子取引を行った日の属する事業年度(判定期間)の前々事業年度(基準期間)の売上高で判定するんだ(規則第4条第2項)。
迷いポイント 売上高5,000万円以下かどうかは、当期の売上高で判定する?
ハルカ
当期の売上高が5,000万円を超えそうなら、今期から検索要件が必要だと思っていました。
先生
当期ではなく前々期なんだ。だから今期の売上が伸びても、前々期が5,000万円以下なら、今期の検索要件は不要のままだよ。逆に、前々期が5,000万円を超えていれば、今期の売上が少なくても必要なんだ。
ハルカ
個人事業者のボタンもあります。
先生
個人事業者は暦年で、電子取引を行った年の前々年の売上高で判定するよ。消費税の基準期間と同じ考え方だね。
💡 そうだったのか!
検索要件の免除の判定は前々事業年度(個人は前々年)の売上高で行います(規則第4条第2項)。当期の売上ではありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・試算タブの試算で「A社(小規模)」を選び、基準期間の売上高を60000000に変える

👀 「検索要件」が「不要」から「記録項目のみ」に、「電子取引:主な要件の簡易チェック」が「満たす」から「不足」に変わります。A社は日付・金額・取引先で検索できる仕組みを用意していないためで、売上高が5,000万円を超えると、ダウンロード対応だけでは検索要件を免れないことが分かります。

ラボを開く ▶
🧩 テーマ 1 ラボの図
メールのPDF請求書を印刷して保存▼要件を満たさない紙の領収書を2か月後にスキャン▼業務サイクルなら可売上高3,000万円の会社のPDF▼検索要件は不要会計ソフトの帳簿で修正申告▼優良なら5%軽減電子取引データを改ざんして申告▼重加算税45%貸借対照表をスキャン▼スキャナ保存は不可
メールのPDF請求書を印刷して保存 → 要件を満たさない電子取引のデータは電子で保存する義務があります(第7条)。印刷した紙だけでは足りません(猶予措置を除く)。
電子帳簿保存法第7条
テーマ 1

要件を満たす? ── 例で見る6つの場面

📍 ラボの場所:テーマからタブ 1
ハルカ
6枚のカードです。PDFを印刷して保存は要件を満たさない、紙の領収書を2か月後にスキャンは業務サイクルなら可、売上高3,000万円の会社のPDFは検索要件不要…。
先生
そう。よくある場面の結論を並べたんだ。2枚目の入力期限は、スキャナ保存で実務上いちばん迷うところだよ。
迷いポイント 紙の領収書は、受け取ったその日にスキャンしないと要件を満たさない?
ハルカ
「速やかに」と書いてあるので、受け取った日のうちに入力しないといけないと思っていました。出張から帰ったら、夜中でもスキャンです。
先生
夜中まで頑張らなくて大丈夫だよ。国税庁の取扱いでは「速やか」はおおむね7営業日以内なんだ。さらに事務処理規程を定めれば、業務サイクル(最長2か月とおおむね7営業日)の後速やかに入力すればよいよ(規則第2条第6項第1号ロ)。
ハルカ
月末締めの経費精算なら、規程を作れば翌月の精算のときにまとめて入力できるんですね。
先生
そう。だから経費精算の多い会社ほど、事務処理規程を先に整えるのが近道なんだ。
💡 そうだったのか!
スキャナ保存の入力期限は受領後速やか(国税庁の取扱いでおおむね7営業日以内)か、事務処理規程を定めて業務サイクルの後速やか(規則第2条第6項第1号)。日数の目安は条文ではなく取扱いです。
🧮 設例・試算 ラボの画面
5 / 5
1入力期限
入力期限
受け取った後速やか(おおむね7営業日以内)に入力するか、事務処理規程を定めて業務サイクル(最長2か月とおおむね7営業日)の後速やかに入力します(規則第2条第6項第1号)。期間の目安は国税庁の取扱いです。見積書・注文書など国税庁長官が定める一般書類は、事務の手続を明らかにした書類を備え付ければ、この入力期限の要件によらずに保存できます(規則第2条第7項)。
2200dpi
読み取りの品質
解像度200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上で読み取ります(規則第2条第6項第2号イ)。スマホのカメラでも、この条件を満たせば使えます。一般書類はグレースケール(白から黒の256階調以上)でもかまいません(規則第2条第7項)。
3タイムスタンプ
タイムスタンプ等
受け取った後速やかにタイムスタンプを付します。入力した時をシステムで確認できるなら不要です(規則第2条第6項第2号ロ)。
4履歴
訂正削除の履歴と相互関連性
訂正削除の履歴が残る(または訂正削除できない)システムを使い(規則第2条第6項第2号ハ)、帳簿の記録と結び付けます(同項第3号)。
5廃棄
見読と検索
35cm以上のカラーディスプレイ・カラープリンタで出力でき(規則第2条第6項第4号)、日付・金額・取引先で検索できること(同項第5号)。この流れの要件を含め、規則第2条第6項(一般書類は第7項)の要件をすべて満たして保存した後なら、紙は廃棄できます(第4条第3項)。
設例・試算

スキャナ保存 ── 受け取った紙を電子化して捨てるまで

📍 ラボの場所:設例・試算タブ「スキャナ保存」
ハルカ
B社の営業担当者が、出張先の紙の領収書をスマホで撮影して申請し、原本を廃棄したい、という流れです。入力期限、200dpi、タイムスタンプ、履歴、見読と検索の5つ。
先生
そう。読み取りは解像度200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上(規則第2条第6項第2号イ)。スマホのカメラでも、この条件を満たせば使えるんだ。
迷いポイント タイムスタンプは、スキャナ保存ではどんな場合も必要?
ハルカ
タイムスタンプのサービスを契約しないと、スキャナ保存は始められないと思っていました。それに200dpi以上・256階調以上なんて、私の自撮りよりずっと厳しい審査です。
先生
自撮りに審査はないけれど、領収書にはあるんだ。タイムスタンプは、入力した時をシステムで確認できるなら不要だよ(規則第2条第6項第2号ロ)。入力の時刻と訂正削除の履歴が残るシステムなら、タイムスタンプなしで要件を満たせるんだ。
ハルカ
最後のステップに「要件をすべて満たして保存した後なら、紙は廃棄できます」とあります。この5つをそろえれば完成ですか。
先生
5つのステップは要件をまとめたものなんだ。規則第2条第6項の要件をすべて満たして保存した後なら、紙を捨てられるよ(第4条第3項)。どれかが欠けたら、紙も残しておこうか。
ハルカ
見積書のような書類でも、領収書と同じようにカラーで、期限内に入力しないといけないんですか。
先生
ここまでは領収書などの重要書類を中心にした説明だよ。見積書・注文書など国税庁長官が定める一般書類は、入力期限や相互関連性の要件によらず、グレースケールでも保存できるんだ(規則第2条第7項)。
💡 そうだったのか!
スキャナ保存は入力期限・200dpi/256階調・タイムスタンプ等・訂正削除の履歴と相互関連性・見読と検索(規則第2条第6項)。入力時刻を確認できるシステムならタイムスタンプは不要。見積書などの一般書類は入力期限・カラーの要件が緩和されます(規則第2条第7項)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・試算タブのプルダウンで「スキャナ保存:受け取った紙を電子化して捨てるまで」を選び、「全部表示」を押す

👀 5つのステップがすべて開き、1番目に「受け取った後速やか(おおむね7営業日以内)…業務サイクル(最長2か月とおおむね7営業日)」、2番目に「スマホのカメラでも、この条件を満たせば使えます」と表示されます。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて電子帳簿保存法ラボの画面そのものです。各タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

電子帳簿保存法ラボを開く ▶
📝 電子帳簿保存法ラボ【基礎編】(3つの保存区分・電子取引・スキャナ保存・加算税)基礎編を読む ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
小規模事業者なら、電子取引の要件は何もない?免除されるのは検索要件だけ。真実性の措置は必要。保存が欠けると青色申告の取消しにも関係(第8条第3項)事業者の立場
紙の領収書をスキャンしたら、すぐ捨ててよい?スキャナ保存の要件を満たして入力・保存した後(第4条第3項)。要件を満たさないデータは紙の代わりにならない事業者の立場1
保存の要件を満たさない請求書の経費は損金にならない?損金かどうかは法人税法の問題。ただ証拠として弱くなり、青色申告の取消しの判断にも関係経理業務から
優良な電子帳簿なら、どんな修正申告でも5%軽減?その帳簿に記録された事項だけ。あらかじめの届出が必要で、隠蔽・仮装なら軽減なし(第8条第4項)経理業務A1
売上高5,000万円以下かは、当期の売上で判定?前々事業年度(個人は前々年)の売上高で判定(規則第4条第2項)手続・期限1
紙の領収書は、受け取った日にスキャンしないとだめ?受領後速やか(おおむね7営業日以内)か、規程を定めて業務サイクルの後速やか(規則第2条第6項第1号)テーマ1
スキャナ保存では、タイムスタンプが必ず要る?入力した時をシステムで確認できるなら不要(規則第2条第6項第2号ロ)設例・試算
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。小規模でも真実性の措置は必要、紙を捨てるのは要件を満たして保存した後。優良な電子帳簿の軽減はあらかじめの届出が条件で、検索要件の判定は前々期の売上高。スキャナ保存の入力期限は規程で業務サイクルに合わせられるんだ。
ハルカ
基礎編では「受け取り方で区分が決まる」ことを習いましたが、今日は「社内の決まりで要件を満たせる」ことが多いと分かりました。事務処理規程が、何度も出てきました。
先生
いい整理だね。ただ、規程は作るだけでは足りなくて、規程どおりに運用していることが条件なんだ。作った後の点検までが一続きだよ。
ハルカ
はい。シュレッダーの横に「要件の確認は済みましたか」と貼り紙をします。私自身への貼り紙です。
先生
自分への貼り紙は効きそうだね。基礎編から読み返すと、5段の流れの見え方がきっと変わるよ。

参考資料

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)と同法施行規則(平成10年大蔵省令第43号)の全条(e-Gov法令検索)、令和9年1月1日施行の改正後の法第8条第5項・施行規則第5条(e-Gov の未施行の版)、国税通則法・法人税法・所得税法(使う条)。「おおむね7営業日」などの期間の目安は国税庁の取扱いです。法令の確認日:2026年10月18日。ラボと記事の設例の会社・金額はすべて架空です(単位:円)。条番号・条見出しは、ラボ本体で e-Gov 法令検索の原文と照合しています。

シリーズ:基礎編/応用編 / 関連:国税通則法ラボ【基礎編】(確定・申告・納付・附帯税・救済)/所得税法ラボ【基礎編】(5段の流れ・10種類の所得・課税所得・源泉徴収)/消費税法ラボ【応用編】(事業者の種類・取引の区分・インボイス・手続)

関連ツール:電子帳簿保存法 一問一答(電子取引)/同(スキャナ保存)/同(電子帳簿)/インボイス制度(早見表)/帳簿書類等の保存期間/電子帳簿保存法のAI対応はどこまで?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。