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役員給与ラボ①【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ定期同額給与・事前確定届出給与・届出期限・別表四

役員給与ラボ①【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ定期同額給与・事前確定届出給与・届出期限・別表四

無料の学習ツール「役員給与ラボ①【損金算入編】」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
代表取締役Aの役員給与(独自の設例)
会社同族会社・3月決算(期首 2026年4月1日)
毎月の報酬月額80万円(毎月末日に支給)
賞与12月に300万円(定時総会で決議して届出)
定時株主総会2026年6月26日
会計報酬も賞与も、損益計算書では役員報酬・役員賞与(費用)
はじめに

今日の題材 ── 代表取締役Aの報酬と賞与

📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、法人税法ラボの応用編で「役員給与は3つの形だけが損金」と習いました。今日はその続きですか。
先生
そう、今日はその3つの形を1つずつ開けていくんだ。題材は、月額80万円と12月の賞与300万円をもらう代表取締役Aだよ。
ハルカ
会計では、報酬も賞与も費用ですよね。税務では、どこで差が出るんですか。
先生
「いつ・いくらと決めたか」で差が出るんだ。表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 1 ラボの図

左右のボタンで、損金の制限がない場合とある場合を比べます
決算直前に利益を見て、役員賞与の額を決めた会社(単位:万円)利益(賞与の前)2,000役員賞与(費用)賞与 600課税される所得2,000(賞与の分を加算して戻す)別表四で加算 600
法人税法第34条は「事前に決めた形」の給与だけを損金にする
利益2,000賞与(届出なし)加算 600課税される所得 2,000

事前に届け出ていない賞与は、会計では費用でも、税務では損金不算入。別表四で加算する(法人税法第34条第1項)。

基礎 1

なぜ役員給与だけ厳しいのか ── 利益を見てから決められるから

📍 ラボの場所:基礎タブ 1
ハルカ
図は、決算直前に利益2,000万円を見て、役員賞与600万円を決めた会社ですね。会計では賞与を引くと、利益は1,400万円です。
先生
ボタンで「法人税法第34条がある」に切り替えると、届出のない賞与600万円は別表四で加算されて、課税される所得は2,000万円に戻るんだ。
迷いポイント 役員も会社の人だから、給与は使用人と同じように損金になる?
ハルカ
役員も働いているので、払った給与は使用人と同じように損金になると思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。役員は自分たちで報酬を決められる立場にあるから、利益を見てから額を決めると、税金を自由に減らせてしまう。だから、事前に決めた形の給与だけを損金にしているんだ(法人税法第34条第1項)。
ハルカ
利益を見てから賞与を決めるのは、テストの答えを見てから山を張るようなものなんですね。
先生
たとえとしては分かりやすいね。使用人の給与にはこの制限はなく、役員の親族などの特殊関係使用人の過大な給与だけが別に損金不算入になるよ(第36条)。
💡 そうだったのか!
役員給与は事前に決めた形のものだけが損金。会計では費用でも、税務で損金にならない分は別表四で加算します。
📗 基礎 2 ラボの図

5つの箱をクリック。月額80万円・賞与300万円の代表取締役Aを例に、各段で何を確かめるかを表示します
① 役員か役員・兼務役員② 給与の形3つの形③ 改定・届出改定・届出期限④ 過大・仮装高額・仮装⑤ 申告・支給別表四・源泉設例では:月額80万円の定期同額給与と、12月の賞与300万円(事前確定届出給与)。
② 給与の形:定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれかに当たる給与だけが損金になる(法人税法第34条第1項)

毎月の役員報酬は定期同額給与、賞与は事前確定届出給与として届け出るのが中小企業の基本形。

業績連動給与は、同族会社では完全支配関係の親会社が非同族の場合に限られる(法人税法第34条第1項第3号)。

基礎 2

5段の流れ ── 役員か → 給与の形 → 改定・届出 → 過大・仮装 → 申告・支給

📍 ラボの場所:基礎タブ 2
ハルカ
箱が5つ並んでいます。① 役員か、② 給与の形、③ 改定・届出、④ 過大・仮装、⑤ 申告・支給。
先生
役員給与の判断は、この5段で見通せるんだ。ラボではすべてのタブで同じ図を使うから、迷ったらここに戻るといいよ。
迷いポイント 3つの形に当たれば、それで損金算入が決まる?
ハルカ
②で3つの形のどれかに当たると分かったら、もう損金で確定だと思っていました。
先生
②の後に、まだ2つの段があるんだ。③で改定や届出が要件どおりかを確かめて、④で不相当に高額な部分や隠蔽・仮装による給与がないかを見る(第34条第2項・第3項)。①の「役員か」も最初に必要だよ。
ハルカ
①から⑤まで、順番に関所を通るんですね。
先生
そう、⑤まで通って初めて、別表四と源泉徴収の手続にたどり着くんだ。④の判定の詳しいところは、②過大役員給与・役員退職給与編で扱う予定だよ。
💡 そうだったのか!
役員給与は① 役員か → ② 給与の形 → ③ 改定・届出 → ④ 過大・仮装 → ⑤ 申告・支給の5段。3つの形に当たっても、③と④を通るまで損金は決まりません。
📗 基礎 3 ラボの図

箱をクリック。登記上の役員でない人も、役員として扱われることがあります
法人税法の「役員」(法人税法第2条第15号)法律上の役員取締役・執行役・会計参与監査役・理事・監事清算人みなし役員①使用人以外の者で経営に従事している者例:相談役・顧問・会長みなし役員②同族会社の使用人で持株の3要件を満たし経営に従事している者施行令第7条第1号=みなし役員① 施行令第7条第2号=みなし役員②どの役員の給与も、法人税法第34条の3つの形に当たらなければ損金不算入
肩書が役員でなくても、実質的に経営に従事していれば役員になる

相談役・顧問などで、法人内の地位・職務からみて他の役員と同様に経営に従事している者(法人税基本通達9-2-1)。

「職制上使用人としての地位のみを有する者」は除かれる(法人税法施行令第7条第1号)。

基礎 3

税務上の役員 ── 登記上の役員+みなし役員

📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
法律上の役員、みなし役員①、みなし役員②の3つの箱があります。登記に名前がない人も、役員になるんですね。
先生
法人税法の役員は、取締役・監査役などのほか、使用人以外の者で経営に従事している人や、同族会社の使用人で持株の要件を満たし経営に従事している人まで含むんだ(法人税法第2条第15号、施行令第7条)。
迷いポイント 会長・相談役のような肩書なら、登記していないので役員ではない?
ハルカ
別表二ラボで、持株要件を満たしても経営に従事していなければみなし役員にならない、と習いました。逆に、相談役は登記していないので役員ではないですよね。
先生
よく覚えていたね。ただ、相談役・顧問などは、法人内の地位や職務から他の役員と同じように経営に従事していれば、登記がなくても役員になるんだ(法人税基本通達9-2-1)。肩書ではなく実質で判定するよ。
💡 そうだったのか!
役員は登記上の役員+みなし役員。相談役・顧問でも、実質的に経営に従事していれば役員給与のルールが効きます。
📗 基礎 4 ラボの図

3つの箱をクリック。中小企業では「毎月の報酬=定期同額給与」「賞与=事前確定届出給与」が基本です
定期同額給与法人税法第34条第1項第1号✓ 毎月など1月以下ごと✓ 各支給時期の支給額が同額✓ 改定は3つの理由だけ例:月々の役員報酬事前確定届出給与法人税法第34条第1項第2号✓ 所定の時期に確定額✓ 期限までに税務署へ届出✓ 届出どおりに支給例:役員賞与・非常勤役員の年俸業績連動給与法人税法第34条第1項第3号✓ 利益・株価・売上の指標✓ 算定方法を事前に決定・開示✓ 非同族会社(等)に限る例:上場会社の業績連動報酬3つの外:退職給与(業績連動給与でないもの)・使用人兼務役員の使用人分 → 第34条第1項の対象外不相当に高額な部分(第2項)・隠蔽仮装による給与(第3項)は、3つの形でも損金不算入
定期同額給与:毎月の役員報酬の基本形
支給時期1月以下ごと支給額改定の前後で同額→ 損金算入

源泉税・社会保険料を引いた手取り額が同額でも同額とみなす(法人税法施行令第69条第2項)。毎月おおむね一定の経済的な利益も含む(法人税法施行令第69条第1項第2号)。

基礎 4

損金になる3つの形 ── 定期同額・事前確定届出・業績連動

📍 ラボの場所:基礎タブ 4
ハルカ
定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与。法人税法ラボの応用編で見た3つの形です。
先生
そう、あのときは「届出なしの臨時賞与は損金不算入」までだったね。今日は中身に入るよ。中小企業の基本形は、毎月の報酬が定期同額給与、賞与が事前確定届出給与なんだ。
迷いポイント 業績が良い年の決算賞与は、業績連動給与として損金にできる?
ハルカ
利益に連動して払う賞与なら、名前のとおり業績連動給与になると思いました。
先生
業績連動給与には、算定方法の事前の決定・開示など要件が多いんだ。同族会社では、同族会社以外の法人による完全支配関係がある場合に限られる(第34条第1項第3号)。中小企業の決算賞与は、ほとんど3つの形に当たらないよ。
ハルカ
「業績連動」という名前だけで、すっかり仲間に入れてもらえる気でいました。
先生
名前は似ていても、入口は狭いんだ。退職給与や、使用人兼務役員の使用人分の給与は、そもそも第34条第1項の外にあることも覚えておこうか。
💡 そうだったのか!
損金になるのは定期同額・事前確定届出・業績連動の3つだけ。中小企業の決算賞与は、届け出ていなければ損金不算入です。
📗 基礎 5 ラボの図

改定の理由を切り替えると、期間の区切り方(下の括弧)と損金不算入額が変わります。3月決算・独自の数値です
月額同額 ✓同額 ✓同額 ✓704月705月706月807月808月809月11010月11011月11012月1101月1102月1103月改定1:有効(区切る)改定2:有効(区切る)定期同額給与(損金)上乗せ部分(損金不算入)数字は月額(万円)
全額が定期同額給与(損金不算入額 0円)

改定1(通常改定(3月経過日等まで)・6/26決議・70万→80万):期間を区切る。決議日 2026年6月26日 は3月経過日等(2026年6月30日)以前

改定2(臨時改定事由・9/28決議・80万→110万):期間を区切る。役員の職制上の地位の変更・職務の内容の重大な変更などによる改定

3月経過日等:2026年6月30日(会計期間開始の日から3月を経過する日。法人税法施行令第69条第1項第1号イ)

基礎 5

定期同額給与と改定 ── 改定の前後で同額なら損金

📍 ラボの場所:基礎タブ 5
ハルカ
図は「臨時改定事由で増額」の場面ですね。4月〜6月が70万円、7月〜9月が80万円、10月から110万円。全部の区間に「同額 ✓」が付いています。
先生
6月26日の通常改定と、9月28日の臨時改定事由による改定が、どちらも期間を区切るからなんだ。区切った期間ごとに同額なら、全額が定期同額給与になるよ。
迷いポイント 定期同額給与なら、期の途中で一度も額を変えてはいけない?
ハルカ
「定期」で「同額」なので、1年間ずっと同じ額でないといけないと思っていました。
先生
改定できる理由が3つ決まっているんだ。3月経過日等までの通常改定、役職の変更などの臨時改定事由、経営の状況の著しい悪化などによる減額の業績悪化改定事由だよ(施行令第69条第1項第1号イ〜ハ)。
ハルカ
3月経過日等は、4月1日から3か月を経過する日なので、6月30日ですね。
先生
そう、期首の日を含めて数えるので6月30日になるんだ。定時総会が6月下旬の会社が多いのは、この期限に間に合わせるためでもあるよ。
💡 そうだったのか!
期中の改定は3つの理由のどれかなら期間を区切れます。区切った期間ごとに同額なら、全額が定期同額給与です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎5 の図の上のボタンで「3月経過日等の後に増額」を押す

👀 7月15日の改定は区切れないので、増えた部分が上乗せになり、損金不算入額が 1,200,000円と出ます。

ラボを開く ▶
📗 基礎 6 ラボの図

期中に理由なく額を変えると、どの部分が損金不算入になるか。増額と減額で「基準になる額」が逆になります
月額同額 ✓上乗せ部分を除けば同額804月805月806月1007月1008月1009月10010月10011月10012月1201月1202月1203月改定1:有効(区切る)改定2:理由なし定期同額給与(損金)上乗せ部分(損金不算入)数字は月額(万円)
増額:改定前の額が続き、増えた分を「上乗せ」して払ったとみる
改定前の月額100万増額分20万 × 3か月損金不算入 600,000

改定前の額(100万円)は引き続き定期同額給与。上乗せの20万円×3か月だけが損金不算入(国税庁「役員給与に関するQ&A」Q3の考え方)。

基礎 6

期中改定の損金不算入額 ── 上乗せの部分だけ

📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
7月から100万円、1月から理由なく120万円に増額。赤い部分は20万円×3か月で、損金不算入は60万円ですね。
先生
国税庁のQ&Aの考え方では、改定前の100万円が引き続き定期同額給与で、増えた20万円を上乗せして払ったとみるんだ。損金不算入は上乗せの部分だけだよ。
迷いポイント 理由のない改定をしたら、その期の報酬は全額が損金不算入?
ハルカ
同額でなくなったら定期同額給与ではないので、7月から3月まで全部がだめになると思っていました。
先生
そこまで厳しくはないんだ。増額なら改定前の額、減額なら減額後の額を基準にして、超えた部分だけを損金不算入とする考え方だよ(国税庁「役員給与に関するQ&A」Q3・Q4)。減額のときは、基準になる額が逆になるのがポイントなんだ。
ハルカ
減額なのに、減額前の月が「払いすぎ」扱いになるんですね。なんだか、過去の自分に請求書が届いた気分です。
先生
気分としては近いね。減額後の額をずっと払うはずだったとみるから、減額前の月の差額が上乗せになるんだ。図のボタンで「理由のない減額」を押すと、その形が見えるよ。
💡 そうだったのか!
理由のない改定は上乗せの部分だけが損金不算入。増額は改定前の額、減額は減額後の額が基準になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「期中改定」で「理由のない増額」を読み込む
  2. 「改定2の理由」を「臨時改定事由」に変える

👀 損金不算入額が 600,000円から 0円に変わります。同じ金額の動きでも、理由で結論が変わります。

ラボを開く ▶
📗 基礎 7 ラボの図

「決議日から1月」と「期首から4月」のどちらが早いか。場面を切り替えて届出期限を確かめます(3月決算・独自の日付)
4/15/16/17/18/1期首(会計期間開始の日)4/1イ 決議日から1月6/26 → 7/26ロ 期首から4月(4月経過日等)4/1 → 7/31提出(予定)日7/20提出期限 2026年7月27日(計算上 7/26 が休日)
届出期限は 2026年7月27日(計算上の期限 2026年7月26日 が休日のため翌日) 提出 2026年7月20日 → 期限内

イ 決議日(職務の執行の開始の日より後なら開始の日)から1月を経過する日:2026年6月26日 → 2026年7月26日(施行令第69条第4項第1号)

ロ 会計期間開始の日から4月を経過する日(4月経過日等):2026年4月1日 → 2026年7月31日(施行令第69条第4項第1号)

イとロのいずれか早い日:2026年7月26日

休 計算上の期限が休日に当たる(7/26 日曜日)→ その翌日が期限:2026年7月26日 → 2026年7月27日(国税通則法第10条第2項)

基礎 7

事前確定届出給与の届出期限 ── 1月と4月の早い方

📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
6月26日の定時総会で賞与を決めたら、「決議日から1月」は7月26日、「期首から4月」は7月31日。早い方の7月26日が期限ですね。
先生
計算はそのとおりだよ。でも図の赤い線は7月27日を指しているんだ。理由が分かるかな。
迷いポイント 「決議日から1月」の期限が日曜日なら、前の金曜日までに出す?
ハルカ
国税通則法ラボで、期限が休日なら翌日になると習いました。7月26日は日曜日なので、これですか。
先生
そう、よく結びつけたね。届出の期限が日曜日・祝日・土曜日などに当たるときは、その翌日が期限とみなされる(国税通則法第10条第2項)。だから2026年は7月27日の月曜日までなんだ。
ハルカ
では「決議日から1月」も、決議日を含めて数えるんですか。
先生
「決議日から1月を経過する日」は翌日から数えるので、5月25日の決議なら6月25日になるよ。逆に「期首から4月」は期首の日を含めて数えるんだ。数え方が違うので、ラボの計算で確かめようか。
💡 そうだったのか!
届出期限は決議日から1月と期首から4月の早い方。その日が休日なら翌日が期限になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「届出期限」で「定時総会で決議(原則)」を読み込む
  2. 「提出(予定)日」を 2026年7月28日、次に 7月27日にする

👀 7月28日は「期限後」、7月27日は「休日の繰延べで期限内」と出ます。計算上の期限は7月26日のままです。

ラボを開く ▶
📗 基礎 8 ラボの図

12月と翌年6月に300万円ずつ届け出た賞与。どちらの期の支給が届出と違うかで、損金不算入の範囲が変わります
当期(2026年4月1日〜)翌期期末届出1 12/10 300万 → 実際 12/10 300万✓ 届出どおり / 損金算入届出2 6/10 300万 → 実際 6/10 150万✖ 支給額が届出と違う / 損金不算入 150万
当期は届出どおり、翌期の支給が違う → 翌期の支給だけ損金不算入
当期 損金算入300万当期 損金不算入0万翌期 損金不算入150万

届出が必要な給与(同族会社、または定期給与を支給している役員への給与など。法人税法第34条第1項第2号イ)。

定めどおりかは、定時総会から次の定時総会までの職務執行期間を1つの単位として判定する(国税庁 質疑応答事例「定めどおりに支給されたかどうかの判定」)。

基礎 8

届出どおりに支給する ── 違えば全額が損金不算入

📍 ラボの場所:基礎タブ 8
ハルカ
12月と翌年6月に300万円ずつ届け出て、翌年6月は150万円しか払えなかった場面ですね。損金不算入は翌期の150万円だけ。
先生
定めどおりかは、定時総会から次の定時総会までの職務執行期間を1つの単位として判定するんだ。当期は届出どおりで翌期だけ違うときは、翌期の支給だけを損金不算入として差し支えないよ(質疑応答事例)。
迷いポイント 届出より少なく払えば、差額だけが損金不算入になる?
ハルカ
300万円の予定で150万円なら、届出より少ない分は払っていないので、問題になるのは差額の150万円だけだと思いました。
先生
差額ではなく、届出と違う支給の全額なんだ(法人税基本通達9-2-14)。この場面は、たまたま支給額が150万円だから同じ数字に見えるだけだよ。ボタンで「当期の支給を減額」を押すと、当期200万円・翌期300万円の両方が損金不算入になるんだ。
ハルカ
多く払っても少なく払ってもだめ…。届出書は、ずいぶん融通のきかない約束なんですね。
先生
「事前に確定した額」を約束する仕組みだからね。減らすしかないときは、業績悪化改定事由による変更届出の道があるよ。応用編で見ようか。
💡 そうだったのか!
届出と違う支給は差額ではなく全額が損金不算入。判定は職務執行期間を単位にします。
📄 国税庁 質疑応答事例「定めどおりに支給されたかどうかの判定」国税庁で読む ▶
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「届出どおりか」で「届出より多く支給」を読み込む
  2. 「支給2の金額」を 2,000,000円(届出どおり)にする

👀 当期の損金不算入額が 4,500,000円から 0円に変わります。50万円多く払っただけで、7月分まで含めた全額が不算入になっていました。

ラボを開く ▶
📗 基礎 9 ラボの図

8つの札をクリック。中小企業(同族会社)では、親会社が非同族の100%子会社でない限り使えません
1 法人✓ 要件2 対象✓ 要件3 指標✓ 要件4 上限✓ 要件5 手続✓ 要件6 開示✓ 要件7 交付✓ 要件8 経理✓ 要件1つでも欠けると業績連動給与として損金にならない(全部の要件が必要)
1 法人:非同族会社。同族会社は、同族会社以外の法人による完全支配関係がある場合だけ

根拠:法人税法第34条第1項第3号。

株式・新株予約権を交付するものは適格株式・適格新株予約権に限る(法人税法第34条第1項第3号)。上場会社の実務と株式報酬は③株式報酬・会社法・会計編で扱う。

基礎 9

業績連動給与 ── 上場会社などの仕組み

📍 ラボの場所:基礎タブ 9
ハルカ
札が8枚あります。法人・対象・指標・上限・手続・開示・交付・経理。全部に「要件」と書いてあります。
先生
業績連動給与は、この8つを全部満たさないと損金にならないんだ。1枚目の「法人」の札が、中小企業にとっては一番高い壁だよ。
迷いポイント 同族会社でも、算定方法を事前に決めておけば業績連動給与にできる?
ハルカ
算定方法を総会で決めて、議事録に残しておけば、同族会社でも使えるのかと思いました。
先生
同族会社は、同族会社以外の法人との間に完全支配関係がある場合に限られるんだ(第34条第1項第3号)。上場会社の100%子会社のような場合だね。手続も、報酬委員会などを経て3月経過日等までに決めるよ(施行令第69条第13項)。
💡 そうだったのか!
業績連動給与は8つの要件を全部満たすときだけ損金。同族会社は、非同族の親会社の100%子会社でない限り使えません。
📗 基礎 10 ラボの図

会計では費用でも、税務で損金にならない役員給与は別表四で加算します
損益計算書役員報酬・役員賞与費用として計上(会計)別表四役員給与の損金不算入額加算(損金にならない額)処分社外流出(その他)別表五(一)には出ない損金不算入の役員給与は、会社の外(役員)へ出たお金なので「留保」ではなく「社外流出」
別表四で加算し、処分は社外流出
会計役員賞与 費用別表四加算処分社外流出所得が増える

翌期以後に戻る差異ではないので、別表五(一)の利益積立金額には出ない。税効果会計の一時差異でもない(永久差異)。

基礎 10

申告書のどこに書くか ── 別表四で加算・社外流出

📍 ラボの場所:基礎タブ 10
ハルカ
損益計算書では費用、別表四では「役員給与の損金不算入額」で加算、処分は社外流出(その他)。
先生
損金にならない役員給与は、会社の外の役員へ出たお金だから、留保ではなく社外流出になるんだ。翌期以後に戻る差異ではないので、税効果会計の一時差異でもないよ。
迷いポイント 損金不算入の役員給与も、別表五(一)に残して翌期に戻す?
ハルカ
別表四・別表五(一)ラボの設例で、交際費と同じく社外流出は別表四だけで終わる、と習いました。役員給与も同じですか。
先生
そう、同じなんだ。別表五(一)の利益積立金額には出ないよ。もう一つ大事なのは、損金にならなくても役員にとっては給与所得だということ。支給のときの源泉徴収は、損金かどうかに関係なく支給額に対して行うんだ(タックスアンサーNo.2523)。
ハルカ
会社は損金にできないのに、役員は所得税を払う。役員報酬は、両方から見張られているんですね。
先生
見張られているというより、会社と役員で別々に判定しているんだ。法人税と所得税は別の税だから、片方の結論がもう片方に移るわけではないよ。
💡 そうだったのか!
損金不算入の役員給与は別表四で加算・社外流出。別表五(一)には出ず、源泉徴収は支給額に対して行います。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて役員給与ラボ①【損金算入編】の画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

役員給与ラボ①【損金算入編】を開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
役員の給与も使用人と同じように損金になる?ならない。事前に決めた3つの形だけが損金(第34条第1項)基礎1
3つの形に当たれば損金で確定?③改定・届出と④過大・仮装を通るまで決まらない基礎2
会長・相談役は登記していないので役員ではない?実質的に経営に従事していれば役員(基通9-2-1)基礎3
業績が良い年の決算賞与は業績連動給与にできる?ほとんどできない。届け出ていなければ損金不算入基礎4
定期同額給与は期中に一度も変えられない?通常改定・臨時改定事由・業績悪化改定事由なら区切れる基礎5
理由のない改定をしたら全額が損金不算入?上乗せの部分だけ。増額は改定前、減額は減額後の額が基準基礎6
届出期限が日曜日なら前の金曜日まで?翌日(休日明けの日)が期限(国税通則法第10条第2項)基礎7
届出より少なく払えば差額だけが不算入?支給額の全額。判定は職務執行期間ごと(基通9-2-14)基礎8
同族会社でも業績連動給与を使える?非同族の法人による完全支配関係がある場合だけ基礎9
損金不算入の役員給与は別表五(一)に残す?残さない。別表四で加算・社外流出。源泉徴収は支給額に対して基礎10
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。役員給与は事前に決めた3つの形だけが損金で、毎月の報酬は区切った期間ごとに同額か、賞与は届出どおりかで判定する。そして損金にならない分は、別表四で加算・社外流出なんだ。
ハルカ
法人税法ラボでは「3つの形」を名前だけで覚えていました。今日は、改定の理由・届出の期限・支給の照合と、名前の中身が見えた気がします。
先生
名前の中身が見えたなら、ラボの図はもう読めるよ。一つだけ足すと、どの判定も議事録の日付と理由から始まるんだ。数字より先に、決めた日と決めた理由を確かめようか。
ハルカ
では明日から、議事録を見たら最初に日付に丸を付けます。日曜日だったら、二重丸にします。
先生
二重丸は、届出期限のときに役に立つね。次の応用編では、特別の事情・業績悪化・変更届出・使用人兼務役員を見ていこうか。

参考資料

法人税法第2条第15号・第34条・第36条、法人税法施行令第7条・第69条〜第72条の3、法人税法施行規則第22条の3(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版)、国税通則法第10条第2項・国税通則法施行令第2条第2項、法人税基本通達第9章第2節(9-2-1〜9-2-52)。国税庁「役員給与に関するQ&A」(平成20年12月、平成24年4月改訂)、質疑応答事例(報酬、給料、賞与及び退職給与等)、タックスアンサーNo.5211・No.5200・No.5202・No.2523、事前確定届出給与に関する届出書・変更届出書の記載要領。確認日:2026年10月23日。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例です。過大な役員給与・役員退職給与は②過大役員給与・役員退職給与編(準備中)、株式報酬と会計処理は③株式報酬・会社法・会計編(準備中)で扱います。公認会計士が監修しています。
このシリーズの記事:役員給与ラボ①【応用編】/役員給与ラボ①【設例・期中改定編】/役員給与ラボ①【設例・届出期限編】/役員給与ラボ①【設例・届出どおりの支給編】/役員給与ラボ①【設例・非常勤役員と使用人兼務役員編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。