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役員給与ラボ②【設例・過大な役員給与編】|先生と一緒に図で学ぶ設例1〜5 実質基準・形式基準・各人別・第3号

役員給与ラボ②【設例・過大な役員給与編】|先生と一緒に図で学ぶ設例1〜5 実質基準・形式基準・各人別・第3号

無料の学習ツール「役員給与ラボ②【過大・退職給与編】」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、過大な役員給与の設例(設例1〜5)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・過大な役員給与編で追う5つの設例(独自の数値)
設例1代表取締役A。年額3,600万円。実質基準の相当額2,400万円、限度額5,000万円
設例2役員A・B・C。合計3,600万円。総会の限度額3,000万円
設例3Aと取締役営業部長B。限度額2,700万円(使用人分を含めない)。Bの使用人分600万円・相当な額540万円
設例4総枠4,000万円。役員会でAの限度額を1,800万円にしたのに、Aに2,160万円
設例5Bの使用人分の賞与100万円を、使用人と違う時期(役員と同じ翌年1月)に支給
はじめに

今日の題材 ── 5つの設例で、過大額を1ステップずつ

📍 ラボの場所:設例タブ 設例1〜5
ハルカ
先生、設例1〜5は、どれもステップが「実質基準 → 形式基準 → 多い方+第3号と別表四」の順ですね。
先生
そう、過大な役員給与は、いつも同じ順で見られるんだ。設例ごとに、どの段で金額が出るかが変わるよ。
ハルカ
同じ手順で5回。ラジオ体操みたいに、体が覚えそうです。
先生
覚えてしまえば、実務の資料でも迷わないよ。設例タブを開いて、設例1から読んでいこうか。
ラボの設例タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例1 ラボの画面
役員ごとの給与の年額(左の数字)と、実質基準で相当と認められる額役員A相当額 2,400万3,600万超える 1,200万限度額の総枠と、比べる額の合計合計限度額 5,000万3,600万実質基準(多い方)イ 1,200万/形式基準ロ 0万+第3号0万+損金不算入1,200万

紺=役員分の給与、青緑=使用人分の給与、紫=他の使用人と違う時期の使用人分賞与(第3号)、赤の点線=超える部分、緑の線=実質基準で相当と認められる額。

🧾 別表四で確認
区分項目総額①留保②社外流出③
加算役員給与の損金不算入額12,000,000012,000,000(その他)

不相当に高額な部分は社外流出。別表五(一)には出ない。

① どの給与か② 実質基準③ 形式基準④ 退職・時期⑤ 申告・受給
役員役員分使用人分給与の額相当な額超える部分
役員A36,000,000036,000,00024,000,00012,000,000
合計36,000,000036,000,00012,000,000

役員ごとに、給与の額が相当と認められる額を超える部分を出し、合計する。

実質基準の金額(イ)= 12,000,000円(法人税法施行令第70条第1号イ)。

設例1

実質基準:同業類似法人と比べて高い

📍 ラボの場所:設例タブ 設例1 ステップ①・③
ハルカ
代表取締役Aの年額3,600万円に対して、相当と認められる額は2,400万円。ステップ①で超える部分1,200万円が出て、別表四で加算・社外流出です。
先生
形式基準は、限度額5,000万円の範囲内だから0円だね。多い方は実質基準の1,200万円なんだ(施行令第70条第1号)。
迷いポイント 総会の限度額の範囲内なら、過大にならない?
ハルカ
株主が5,000万円まで認めているのだから、3,600万円なら問題ないと思っていました。
先生
限度額は形式基準の物差しで、実質基準とは別なんだ。株主が認めた範囲内でも、職務や同業類似法人と比べて高すぎる部分は過大になるよ。
ハルカ
株主のお墨付きをもらっても、税務の物差しは別なんですね。
先生
そう、二つの物差しのいずれか多い方なんだ。相当額2,400万円の根拠になる資料をそろえておくことが、実務の要になるよ。
💡 そうだったのか!
限度額の範囲内でも、実質基準で相当な額を超える部分は過大。二つの物差しのいずれか多い方をとります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「過大な役員給与」で「実質基準だけ超える」を読み込む
  2. 役員Aの「実質基準で相当と認められる額」を 36,000,000円にする

👀 損金不算入額が 12,000,000円から 0円に変わります。相当額の根拠が、そのまま結論になります。

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設例1をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例2 ラボの画面
役員ごとの給与の年額(左の数字)と、実質基準で相当と認められる額役員A相当額 2,000万1,800万役員B相当額 1,200万1,200万役員C相当額 600万600万限度額の総枠と、比べる額の合計合計限度額 3,000万3,600万実質基準イ 0万/形式基準(多い方)ロ 600万+第3号0万+損金不算入600万

紺=役員分の給与、青緑=使用人分の給与、紫=他の使用人と違う時期の使用人分賞与(第3号)、赤の点線=超える部分、緑の線=実質基準で相当と認められる額。

① どの給与か② 実質基準③ 形式基準④ 退職・時期⑤ 申告・受給
比べる額の合計 36,000,000円 - 限度額 30,000,000円 = 6,000,000円
形式基準の金額(ロ)= 6,000,000円
設例2

形式基準:総枠の限度額を超える

📍 ラボの場所:設例タブ 設例2 ステップ②
ハルカ
役員A・B・Cは、全員が相当額の範囲内です。でも合計3,600万円が、限度額3,000万円を600万円超えています。
先生
期の途中でAの報酬を上げたのに、総会の限度額を見直さなかった設例なんだ。超えた600万円が形式基準の過大額だよ(施行令第70条第1号ロ)。
迷いポイント 限度額を超えたのは期の途中からだから、超えた月の分だけが過大?
ハルカ
増額した後の月から超えたので、その月以後の分だけを数えるのだと思っていました。
先生
形式基準は、事業年度に支給した給与の額の合計と、その事業年度の限度額を比べるんだ。だから年額の合計で、超えた600万円になるよ。
ハルカ
月ごとに分けて言い訳しようとしていました。年間の合計で、ばっさりでした。
先生
ばっさりだね。増額の決議をするときは、総会の限度額の範囲内かを先に確かめようか。
💡 そうだったのか!
形式基準は事業年度の合計と限度額の比較。期中の増額で限度額を超えたら、超える部分が過大です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「過大な役員給与」で「総枠の限度額を超える(3人)」を読み込む
  2. 「株主総会で決めた限度額の総枠」を 36,000,000円にする

👀 損金不算入額が 6,000,000円から 0円に変わります。これは、増額の前に限度額を見直す決議をしていた場合の比較です。事業年度が終わった後に限度額を増やしても、過去の超過分が必ず解消するわけではありません。

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設例2をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例3 ラボの画面
役員ごとの給与の年額(左の数字)と、実質基準で相当と認められる額役員A相当額 2,000万1,800万役員B相当額 1,600万1,560万限度額の総枠と、比べる額の合計(使用人分のうち相当な額を除く)合計限度額 2,700万2,820万実質基準イ 0万/形式基準(多い方)ロ 120万+第3号0万+損金不算入120万

紺=役員分の給与、青緑=使用人分の給与、紫=他の使用人と違う時期の使用人分賞与(第3号)、赤の点線=超える部分、緑の線=実質基準で相当と認められる額。

① どの給与か② 実質基準③ 形式基準④ 退職・時期⑤ 申告・受給
役員役員分使用人分給与の額相当な額超える部分
役員A18,000,000018,000,00020,000,0000
役員B9,600,0006,000,00015,600,00016,000,0000
合計27,600,0006,000,00033,600,0000

役員ごとに、給与の額が相当と認められる額を超える部分を出し、合計する。

実質基準の金額(イ)= 0円(法人税法施行令第70条第1号イ)。

① どの給与か② 実質基準③ 形式基準④ 退職・時期⑤ 申告・受給
比べる額の合計 28,200,000円(使用人分のうち相当な額 5,400,000円を除く) - 限度額 27,000,000円 = 1,200,000円
形式基準の金額(ロ)= 1,200,000円
設例3

使用人分を含めない限度額

📍 ラボの場所:設例タブ 設例3 ステップ①・②
ハルカ
ステップ①では、AもBも相当額の範囲内で、実質基準は0円。ステップ②で、Bの使用人分のうち相当な540万円を除いて、比べる額は2,820万円です。
先生
限度額2,700万円を120万円超えるね。Bの使用人分600万円のうち、相当な額を超える60万円が比べる額に残っているからなんだ(法人税基本通達9-2-23)。
迷いポイント 実質基準で使用人分を含めたなら、形式基準でも同じ額で比べる?
ハルカ
ステップ①で給与の額を1,560万円としたので、ステップ②も同じ1,560万円で比べるのだと思いました。
先生
実質基準は使用人分を含めて判定するけれど(法人税基本通達9-2-21)、形式基準は限度額の決め方に合わせるんだ。限度額に使用人分を含めないなら、相当な使用人分を除いて比べるよ。
ハルカ
同じBさんの給与でも、物差しによって入れる中身が変わるんですね。
先生
そう、物差しが何を測るために作られたかで決まるんだ。限度額の決議に「使用人分を含めない」と書いてあるかを、議事録で確かめようか。
💡 そうだったのか!
実質基準は使用人分を含めて、形式基準は限度額の決め方に合わせて相当な使用人分を除いて比べます。
設例3をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例4 ラボの画面
役員ごとの給与の年額(左の数字)と、実質基準で相当と認められる額・各人別の限度額役員A相当額 2,400万限度額を超える 360万限度額 1,800万2,160万役員B相当額 360万限度額 360万360万役員C相当額 360万限度額 360万360万実質基準イ 0万/形式基準(多い方)ロ 360万+第3号0万+損金不算入360万

紺=役員分の給与、青緑=使用人分の給与、紫=他の使用人と違う時期の使用人分賞与(第3号)、赤の点線=超える部分、緑の線=実質基準で相当と認められる額。紫の点線=各人別の限度額。

① どの給与か② 実質基準③ 形式基準④ 退職・時期⑤ 申告・受給
役員比べる額各人別の限度額超える部分
役員A21,600,00018,000,0003,600,000
役員B3,600,0003,600,0000
役員C3,600,0003,600,0000

総枠 40,000,000円と比べると合計 28,800,000円は範囲内。しかし各人別の限度額で個別に判定する(質疑応答事例「過大役員給与の判定基準」)。

形式基準の金額(ロ)= 3,600,000円。

設例4

総枠の範囲内でも各人別の限度額を超える

📍 ラボの場所:設例タブ 設例4 ステップ②
ハルカ
総枠4,000万円に対して3人の合計は2,880万円。それなのに、役員Aが各人別の限度額1,800万円を360万円超えています。
先生
総会で総枠を決めて、配分を役員会に一任したときは、各人別の限度額で個別に判定するんだ(質疑応答事例「過大役員給与の判定基準」)。
迷いポイント 3人の合計が総枠の範囲内なら、だれの額が増えても問題ない?
ハルカ
BさんとCさんの分が余っているので、Aさんが多めにもらっても全体では足りていると思いました。
先生
役員会で各人の限度額を決めた以上、それが総会の決めた限度額として扱われるんだ。余った枠を他の人に回すには、役員会で配分を決め直す必要があるよ。
ハルカ
みんなで分けたケーキの残りを、黙って一人で食べてはいけないんですね。
先生
そう、取り分を決め直す会議が要るんだ。配分の決議の日付も、議事録で残しておこうか。
💡 そうだったのか!
配分を役員会に一任したら各人別の限度額で判定。余った枠を回すには、配分を決め直す必要があります。
📄 国税庁 質疑応答事例「過大役員給与の判定基準」国税庁で読む ▶
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション「過大な役員給与」で「各人別の限度額を超える」を読み込む
  2. 役員Aの「各人別の限度額」を 21,600,000円にする

👀 損金不算入額が 3,600,000円から 0円に変わります。これは、支給の前に配分を決め直していた場合の比較です。後から配分を変えても、過去の超過分が必ず解消するわけではありません。

ラボを開く ▶
設例4をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例5 ラボの画面
役員ごとの給与の年額(左の数字)と、実質基準で相当と認められる額役員A相当額 2,000万1,800万役員B相当額 1,600万1,560万限度額の総枠と、比べる額の合計(使用人分のうち相当な額を除く)合計限度額 3,000万2,860万実質基準イ 0万/形式基準ロ 0万+第3号100万+損金不算入100万

紺=役員分の給与、青緑=使用人分の給与、紫=他の使用人と違う時期の使用人分賞与(第3号)、赤の点線=超える部分、緑の線=実質基準で相当と認められる額。

🧾 別表四で確認
区分項目総額①留保②社外流出③
加算役員給与の損金不算入額1,000,00001,000,000(その他)

不相当に高額な部分は社外流出。別表五(一)には出ない。

① どの給与か② 実質基準③ 形式基準④ 退職・時期⑤ 申告・受給
比べる額の合計 28,600,000円(使用人分のうち相当な額 5,000,000円を除く) - 限度額 30,000,000円 = 0円 → 第3号の 1,000,000円を控除
形式基準の金額(ロ)= 0円
設例5

使用人分の賞与を役員と同じ時期に

📍 ラボの場所:設例タブ 設例5 ステップ②・③
ハルカ
使用人の冬の賞与は12月10日なのに、Bの使用人分100万円は、役員賞与と同じ翌年1月に払いました。実質基準も形式基準も0円で、第3号の100万円が加算です。
先生
使用人分の賞与を他の使用人と違う時期に払うと、その額が過大な役員給与になるんだ(施行令第70条第3号)。額が相当かどうかは問わないよ。
迷いポイント 使用人分の賞与の額が相当なら、支給時期がずれても過大にはならない?
ハルカ
金額は使用人と同じ基準で計算しているので、払う日が少しずれるくらいは問題ないと思っていました。
先生
第3号は支給時期だけで決まるんだ。12月に未払計上しておいて、役員の支給時期に払うのも同じ扱いだよ(法人税基本通達9-2-26)。ステップ②の形式基準では、二重に数えないよう第3号の100万円を控除しているね。
💡 そうだったのか!
使用人分の賞与は他の使用人と同じ時期に払わないと、全額が第3号の過大額。額の相当性とは別の判定です。
設例5をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて役員給与ラボ②【過大・退職給与編】の画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

役員給与ラボ②【過大・退職給与編】を開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例1総会の限度額の範囲内なら過大にならない?実質基準で相当な額を超える部分は過大
設例2超えた月の分だけが過大?事業年度の合計と限度額を比べる
設例3形式基準も実質基準と同じ額で比べる?限度額に使用人分を含めないなら、相当な使用人分を除く
設例4総枠の範囲内ならだれの額が増えてもよい?配分を一任したら各人別の限度額で判定
設例5額が相当なら支給時期がずれてもよい?他の使用人と違う時期なら全額が第3号の過大額
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。過大な役員給与は、実質基準と形式基準のいずれか多い方に第3号を足す。形式基準は、限度額の決め方に合わせて比べる額を作るんだ。
ハルカ
5回同じ手順で見たら、設例ごとに「どの段で金額が出たか」で見分けられるようになりました。前は金額の大きさばかり気にしていましたが、今は決議の書き方を先に見ます。
先生
決議の書き方を先に見るのは、まさに実務の順番だよ。限度額の決議と配分の決議、この2つがそろえば形式基準は読めるんだ。
ハルカ
ラジオ体操と言いましたが、第3号だけは、体操の途中で急に笛が鳴る感じでした。
先生
笛の合図は支給時期だね。次の設例・退職給与と損金算入時期編では、功績倍率法と、損金になる事業年度を設例6〜9で見ていこうか。

参考資料

法人税法第34条・第36条、法人税法施行令第70条〜第72条の3(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版)、法人税基本通達第9章第2節第6款〜第8款(9-2-21〜9-2-40)、所得税法第30条(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版)。国税庁 質疑応答事例「過大役員給与の判定基準」「解散後引き続き役員として清算事務に従事する者に支給する退職給与」「勤続年数の打切りに伴う退職給与の一部打切支給」(令和7年8月1日現在)、タックスアンサーNo.5208・No.5203・No.1420(令和8年4月1日現在)。確認日:2026年10月24日。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例で、功績倍率などは「何倍までなら安全」という目安ではありません。3つの形(定期同額給与・事前確定届出給与)は役員給与ラボ①【損金算入編】、株式報酬と会計処理は③株式報酬・会社法・会計編(準備中)で扱います。
このシリーズの記事:役員給与ラボ②【基礎編】/役員給与ラボ②【応用編】/役員給与ラボ②【設例・退職給与と損金算入時期編】/役員給与ラボ②【設例・分掌変更と退職所得編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。