MENU

経理財務部の物語 第14話(10月22日)|同じ列に、違う理由

経理財務部の物語 第14話(10月22日)|同じ列に、違う理由
経理財務部の物語第14話2026年10月22日(木)・本社 経理財務部次:第15話(近日)
この話の中心ハルカ登場ハルカ・大野部長・固定資産担当(製造子会社・海外販売子会社の経理担当はメールと地の文)前の話第13話(10月21日)|数えなかった棚
舞台の会社について(開く)
架空の製造小売。グロース上場・3月決算・子会社3社。店舗68・賃貸借契約80件・経理財務部8人。来期(2028年3月期)から新リース会計基準が強制適用になる。年表・会社のいま・話数一覧は 経理財務部の記録 に。会計の知識は各話の末尾「この話に出てきた知識」からラボと学習ノートへ。
PART 1物語
1

木曜の朝出し直しのパッケージ

精算表製造の修正の列10/20 仮反映△2,000子会社の帳簿は未修正10/22 再送と照合△2,000差額・確認済み同じ金額。違うのは、子会社の帳簿が直っているかどうか受け取った数字は打ち替えず、再送との差額を修正の列に残す。

2026年10月22日、木曜。
中間連結の締めの四日目。
午前9時、製造子会社から連結パッケージが届いた。
火曜に頼んだ、出し直しだった。

✉製造子会社 経理担当
連結パッケージを出し直します。9月に合意した値引き200万円を、9月分の売上から引きました。売掛金も同じ金額を減らしています。
値引きの連絡のルールについては、管理部長から来週、御社の大野部長へご連絡します。
ハルカ
心の声
出し直しのパッケージ。
火曜に「遅い方」を選んだ分が、今日届いた。
ハルカ
製造子会社のパッケージ、届きました。
値引きの200万円が、9月分で引かれています。
大野部長
ありがとう。
じゃあ、火曜に仮で入れた「製造の修正」の列と、
再送の数字を突き合わせてくれるかな。
ハルカ
はい。
先に、再送のパッケージの合計が、
向こうの試算表と合っているかを確かめます。
大野部長
そうだね。
受け取った日も、整理表に書いておこう。

ハルカは、再送のパッケージと、火曜に転記した製造子会社の列を、科目ごとに並べた。違うのは売上高と売掛金の二つ。どちらも200万円少ない。火曜に仮で入れた修正と、同じ金額だった。

ハルカ
心の声
合った。
火曜の仮の数字と、今日の本当の数字。
同じ金額でも、今日の方は子会社の帳簿が直っている。
ハルカ
部長、製造子会社の列は、再送の数字に打ち替えますか。
それとも、受け取ったときの数字のまま残しますか。
大野部長
受け取ったときの数字は残して、
再送との差額を「製造の修正」の列に置こう。
打ち替えると、後で見た人に、
なぜ一日遅れたのかが分からなくなる。
大野部長
列の見出しは、
「仮反映」から「再送との差額・確認済み」に変えておいてくれるかな。
📗 製造の修正の列 ── 受け取った数字は残し、再送との差額を置くep14_seisanhyo_futatsu_no_katachi.xlsx
シート:形A_部長の形
ADGH
3科目製造子会社(10/20受領)製造の修正(10/22 再送との差額・確認済み)単純合算
4売上高3,018,000△2,00012,016,000
7売掛金520,000△2,0001,178,000
8棚卸資産260,0002,240,000
単位:千円。受け取ったときの数字(D列)は打ち替えず、再送との差額を修正の列(G列)に置く。火曜に仮で入れた修正と、木曜に確認した差額は同じ金額(売上高・売掛金とも △2,000)で、D+G が再送のパッケージの数字と一致する。違うのは、子会社の帳簿が直っているかどうか。
ハルカ
心の声
打ち替えずに、差額を残す。
この人は、跡を残す人だ。

突き合わせが終わったのは、10時半だった。物流子会社からの、返品置き場の450万円と残りの300万円の報告は、まだ届いていない。金曜の約束だった。

ハルカは、火曜から気になっていた行に、目を戻した。

2

午前同じ列に見える、二つの数字

精算表 棚卸資産の行(部長の形)単純合算2,240,000消去・修正△62,932調+2,209連結2,179,277その中に 未達の補足 +3,000製造子会社 → 親会社の2便どちらの帳簿も決まりどおり→ 連結でしか埋められない差その中に 船便の未着 +860親会社 → 海外販売子会社の船便子会社の帳簿が足りない→ 本当は子会社が直す(仮の補正)どちらも「届いていない荷物」。でも、理由も直す人も違う。違いは表の上にはない単位:千円(架空)。消去・修正と調の中身は、部長の頭の中にだけ分かれている「同じに見えるね。でも、違うんだ」
精算表の、棚卸資産の行。消去・修正の列に、未達の補足の3,000。その右の「調」の列に、海外販売子会社の船便の860。どちらも、9月末に道の上や海の上にあった荷物だった。
ハルカ
部長、一つ聞いてもいいですか。
棚卸資産の行の3,000と860、
どちらも「届いていない荷物」ですよね。
大野部長
うん。
3,000は製造子会社からうちへの2便。
860は、うちから海外販売子会社への船便だね。
ハルカ
それなら、どちらも同じ「未達」として、
同じ列に置かなくていいんでしょうか。
片方は消去・修正、片方は調の列にあります。

部長は、画面の二つの数字を見比べた。しばらく、何も言わなかった。

大野部長
……同じに見えるね。
でも、違うんだ。
大野部長
3,000の方は、製造子会社は出荷で売上、
うちは検収で仕入。
どちらの帳簿も決まりどおりで、
連結でしか埋められない差だ。
大野部長
860の方は、
船積みの時点で荷物の支配は海外販売子会社に移っている。
本当は、
子会社の帳簿に未着品と買掛金が載っていないといけない。
ハルカ
つまり860は、子会社の帳簿が足りていなくて、
本当は子会社が直すものを、部長がここで仮に足している。
大野部長
そのとおり。
火曜にハルカさんが整理した「誰の帳簿が違うか」で言えば、
3,000はどちらも違っていない。
860は子会社の帳簿が違う。
ハルカ
心の声
性質が違う二つの数字。
でもこの表では、
どちらも「連結で足した数字」にしか見えない。
ハルカ
部長の頭の中では、分かれているんですよね。
大野部長
分かれているよ。
……分かれているのは、私の頭の中だけだけどね。
大野部長
この表は、私が一人で回すための形だったんだ。
読むのが私だけなら、理由は私の中にあればよかった。
ハルカ
心の声
一人で回すための形。
十三行で止まった手帳と、同じことだ。
大野部長
860は、今日のうちに海外販売子会社へ修正を頼むよ。
向こうの9月の帳簿で、未着品を計上してもらう。
ハルカ
返事は、今週中に来ますか。
大野部長
時差があるし、向こうは月次の締めが終わっている。
来週になるだろうね。
それまでは、仮の補正のままだ。
3

昼紙に描いた、新しい列

精算表の形(案)── ハルカのメモ親製造EC海外① その会社の修正製造・EC・海外・親合算② 連結の仕訳種類別に6列値引き200万円・船便860はここ未達の補足3,000はここ② の列:投資と資本/取引の消去/債権債務/未実現利益/未達の補足/為替換算③「調」の列はなくす。19行を①か②へ。置き場のない行は「未分類」に残す同じ数字で、写しを作って確かめる(今夜)「いい案だと思うよ。ただ、今はやらない」

正午すぎ。
ハルカは、弁当を食べながら、A4の紙に線を引いていた。
左に親会社と子会社3社の列。
その右に、まだ名前のない列が二つ。

ハルカ
心の声
誰の帳簿が違うかで、直す人が変わる。
だったら、直した場所も、表の上で分かれていていいはずだ。

午後1時、ハルカは紙を持って部長の机へ行った。

ハルカ
部長、精算表の形のことで、思いついたことがあります。
素人の案ですけど。
大野部長
聞かせて。
ハルカ
一つ目です。
各社の列の右に、「その会社の修正」の列を置きます。
製造の修正の列を、全部の会社に作る形です。
ハルカ
値引きの200万円も、船便の860も、ここに入ります。
修正したあとの各社の数字が、合算の前に見えます。
大野部長
なるほど。
子会社の帳簿の誤りは、子会社の列の隣で直す、
ということだね。
ハルカ
二つ目です。
消去・修正の列を、仕訳の種類で分けます。
投資と資本、取引の消去、債権債務、未実現利益、
未達の補足。
ハルカ
そうすると、3,000は「未達の補足」の列、
860は「海外の修正」の列に入って、
同じには見えなくなります。
精算表の形(案)── ハルカのメモ10月22日・昼休みにA4一枚
会社の修正連結の仕訳未分類
①各社の列の右に「その会社の修正」の列会社の修正製造の修正・EC・物流の修正・海外販売の修正・親会社の修正子会社の帳簿の誤りを、合算の前に直す(暫定の補正も含む)。修正したあとの各社の数字が見える
②消去・修正の列を、仕訳の種類で分ける連結の仕訳投資と資本/取引の消去/債権債務/未実現利益/未達の補足/為替換算どちらの帳簿も正しいのに、連結でだけ必要な仕訳。種類ごとに合計が見える
③「調」の列はなくす未分類19行を①か②へ振り分ける。置き場のない行は「未分類」に残す理由のある行には行き先がある。行き先がない行=理由が分からない行
同じ数字で写しを作って、確かめる(今夜)
架空の会社の社内文書(抜粋)
大野部長
……いい案だと思うよ。

部長は紙を手に取り、しかし、すぐには返さなかった。

大野部長
ただ、今はやらない。
中間の途中で器を変えると、
数字がどこで狂ったかが分からなくなる。
大野部長
動いている数字を、動いている最中に別の器へ移すのは、
一番危ないんだ。
中間は、この形で終える。
ハルカ
……分かりました。
ハルカ
心の声
通らなかった、わけじゃない。
今じゃない、と言われた。
大野部長
それと、列が増えると横に長くなる。
私が一人で回していたときは、
横に長い表は目が追えなかった。
ハルカ
一人で読むには長くて、二人で読むには、今の形が短すぎる。
大野部長
うん。
そういうことだね。

固定資産担当が、横から紙をのぞいた。

固定資産担当
列が倍になりますね。
印刷したら、A3でも入らないんじゃないですか。
ハルカ
印刷しないで、画面で読む前提です。
……たぶん。
大野部長
第3四半期の締めで、試してみよう。
それまでに形を決めておきたい。
ハルカ
それなら、同じ数字で写しを作ってもいいですか。
今夜、この形に並べ替えてみます。
大野部長
いいよ。
ただ、正の表は私のまま。
写しは、写しだと分かる名前にしておいてくれるかな。
大野部長
並べ替えて、連結の列の数字が一円も動かないこと。
それが写しの条件だ。

午後3時、部長は海外販売子会社の経理担当にメールを書いた。船便の未着品を9月の帳簿に計上してほしいこと。計上のルールを、次の締めまでに決めたいこと。

4

夜写しの表と、置き場のない数字

写し 第0版 棚卸資産・買掛金の行(ハルカの形)海外販売の修正+860 ほか+860 ほか未達の補足+3,000+3,000債権債務△563,260未分類850連結2,179,277722,461棚卸資産買掛金会社の修正(仮)連結の仕訳理由がない3,000 と 860 は別の列に。850 だけが、一人で「未分類」に残った連結の列は掲載9科目で正の表と一致/620は為替換算の列に暫定(未照合)単位:千円(架空)。海外販売の修正の列には 860 のほかに表示の組替なども入る隠れる場所がない。
午後7時。部長が帰ったあと、ハルカは精算表の写しを別の名前で保存し、列を作り直し始めた。会社ごとの修正の列が四つ。仕訳の種類の列が六つ。
ハルカ
心の声
「調」の19行を、一行ずつ運ぶ。
理由の列があるから、行き先が分かる。

物流の締め日のずれは、EC・物流の修正へ。船便の860は、海外の修正へ。製造の運賃と加工賃は、製造の修正へ。換算の端数は、為替換算の列へ。

ハルカ
心の声
620も、為替換算の列。
でも、列が決まっただけで、正しいとはまだ言えない。
土曜に換算資料と並べるまで、
「暫定・未照合」と書いておこう。
ハルカ
心の声
分類できたと、確かめられたは、別のことだ。

19行のうち18行を運んだとき、ハルカの手が止まった。

ハルカ
心の声
20行目の850。
理由が出てこない行。
……どの列にも、置けない。
ハルカ
心の声
会社の修正でもない。
連結の仕訳の種類にも当てはまらない。
理由がないから、行き先がない。

ハルカは、一番右に「未分類」という列を作り、850をそこへ置いた。列に入ったのは、その一つだけだった。

📗 ハルカの写し ── 3,000 と 860 と 850 の座る列ep14_seisanhyo_futatsu_no_katachi.xlsx
シート:形B_ハルカの写し
AFHJPRS
3科目製造の修正EC・物流の修正海外販売の修正未達の補足未分類連結
6販売費及び一般管理費△410830△5108504,651,560
8棚卸資産1,2001,0003,0002,179,277
10買掛金3306001,0103,000850722,461
単位:千円。各社の列(C・E・G・I)のすぐ右が、その会社の修正(D・F・H・J)。ここでは製造・EC・物流・海外販売の修正と、連結の仕訳のうち未達の補足(P)、未分類(R)、連結(S)だけを抜粋(親会社の修正・修正後合算・投資と資本・取引の消去・債権債務・未実現利益・為替換算の列は省略)。海外販売の修正の 1,000 は船便の未着 860+輸入諸掛の表示の組替 140、1,010 は 860+販売手数料の未払 150(明細は「調の行き先」シート)。未達の補足 3,000 は連結の仕訳の列、船便の 860 は海外販売の修正の列に分かれ、理由の分からない 850 だけが「未分類」に残る。為替換算の列(Q・省略)の 620 は、列は決まっても「暫定・未照合」。連結の列は、掲載した9科目で部長の形と一致。
ハルカ
心の声
部長の形では、850は「調」の20行の一つだった。
この形では、一人だけ列に残っている。
隠れる場所がない。

連結の列を、正の表と並べた。売上高から利益剰余金まで、九つの科目の数字が、全部同じだった。

ハルカ
心の声
一円も動いていない。
並べ替えただけで、同じ数字が、違うことを言い始めた。

午後9時。帰り支度をしていると、部長から短いメールが来た。「海外販売子会社に修正を頼んだ。返事は来週。写しは、明日見せて」。それだけだった。

ハルカ
心の声
明日見せる。
整えないで、見せる。
ハルカ
心の声
850の置き場がないことも、そのまま見せよう。
置き場がないことが、この形の答えだから。
結び

整理表同じ数字の写し、第0版

ハルカの整理表(10月22日の夜)精算表の形(案)── 同じ数字の写し 第0版正の表:部長の形のまま中間を終える/写し:第3四半期で試す3,000 → 未達の補足 / 860 → 海外販売の修正(仮・返事は来週)850 → 未分類(理由不明・中間の確定前に判断)明日:写しを部長に見せる/物流の300万円/読み取りの残り件数同じ列に並べれば、違う理由は見えなくなる。

木曜の夜。
ハルカの整理表に、新しい一枚が増えた。
「精算表の形(案)── 同じ数字の写し、第0版」。

正の表は部長の形のまま、中間を終える。
写しの形は、第3四半期の締めで試す。
3,000と860は、写しの上では別の列に座っている。
850は、一人だけ「未分類」の列に残った。

写し 第0版:連結の列は正の表と9科目すべて一致。未分類 1行(850・理由不明)/為替換算 620 は暫定・未照合

同じ列に並べれば、違う理由は見えなくなる。

次の話へ持ち越したこと
  • 製造子会社の再送パッケージ ── 値引き200万円を9月分として修正済み。受け取ったときの数字は残し、再送との差額を「製造の修正」の列に置く(見出しは「再送との差額・確認済み」)。値引きの連絡のルールは、製造子会社の管理部長から来週、部長へ連絡
  • 海外販売子会社の船便の未着860千円 ── 本来は子会社の帳簿で未着品と買掛金を計上するもの。部長が10月22日に子会社へ修正を依頼。返事は来週。それまで連結側の仮の補正のまま
  • 精算表の形 ── ハルカの案(会社ごとの修正列・仕訳の種類別の列)は中間では採らず、第3四半期の締めで試す。同じ数字の写し(第0版)を、部長が10月23日(金)に見る
  • 「調」の20行目 850 ── 写しではどの列にも置けず「未分類」に残った。前々期の表までさかのぼり、中間の確定前に要否を判断(部長)
  • 「調」の2行目 620(海外販売子会社との内部取引の換算差)── 写しでは「為替換算」の列に暫定で置いた(未照合)。10月24日(土・休日出勤)に換算資料と並べ、原因と損益の区分を確かめる
  • EC・物流子会社の棚卸差異 ── 返品置き場の450万円の確認結果(受払の記録で9月末の数に戻す計算)と、暫定の残り300万円の原因調査の結果を、子会社が10月23日(金)に報告。パッケージの出し直しは10月26日(月)
  • 読み取りの残り件数 ── 10月23日(金)に確認
第14話 おわり次の話:第15話(近日)
学び

この話の、二人の反省と学び

ハルカの反省と学び
1同じに見える数字の、理由を分ける
3,000と860は、どちらも届いていない荷物の数字だった。片方はどちらの帳簿も正しい差、片方は子会社の帳簿の不足。表の上で同じに見えても、直す人が違う。
2形を変えずに、写しで確かめる
中間の途中で、正の表の形は変えない。同じ数字の写しを作り、連結の列が一円も動かないことを条件に、新しい形を試した。
3行き先のない数字が、残る
理由ごとに列を分けると、理由の分からない850だけが「未分類」に残った。620は列が決まっても「暫定・未照合」のまま。分類できたと確かめられたは別で、形は分からないものを隠さない形にする。
大野部長の反省と学び
1一人で回すための形だったと、認める
理由は自分の頭の中で分かれていた。表の上では分かれていなかった。二人で読む表は、二人目が理由をたどれる形でなければならない。
2今はやらない、を理由付きで言う
案が良くても、動いている数字の器を途中で変えない。断るのではなく、第3四半期で試すと時期を決め、写しを作ることは認めた。
3仮の補正は、頼むところまで
船便の860は子会社の帳簿で直すもの。連結側で仮に足して済ませず、その日のうちに子会社へ修正を頼み、返事が来るまで「仮」と書き続ける。
PART 2物語に登場した社内資料(精算表の二つの形のExcel・比較メモ)
付録

精算表の形(案)── 同じ数字の写し 第0版 比較メモ 全文四日目の夜、ハルカが写しと一緒に書いたメモ

📗 この話の「精算表の二つの形」(Excel)をダウンロード同じ9月末の数字を、部長の形(各社→製造の修正→合算→消去・修正→調→連結)と、ハルカの写し(各社→その会社の修正→合算→仕訳の種類別→未分類→連結)の二つの並べ方で作りました。掲載した9科目の連結金額は、二つの形で一致します。「調」の19行の行き先、理由の分からない850が未分類に残る様子も入っています(架空の数字・単位千円・数式入り)。
Excelをダウンロード

この物語の会社(架空)で、ハルカが中間連結の四日目の夜に作った、連結精算表の「写し」の比較メモです。正の表の数字をそのまま使い、調整額の配置を組み替え(各社の修正と連結の仕訳の種類へ再分類し)、掲載した9科目の連結金額が一致することを確かめたうえで、二つの形で何が見えて何が見えないかを書きました。実在の会社の文書ではありません。精算表の形は会社ごとに違い、ここにある二つの形のどちらかが正解というものでもありません。ひな形として使うときは、誰が読むか(一人か、二人以上か)と、自社の連結の規模に合わせてください。数字はすべて架空です。

精算表の形(案)── 同じ数字の写し 第0版 比較メモ

作成ハルカ(2026年10月22日の夜。部長の確認:10月23日の予定)目的部長の精算表(正の表)と同じ数字で、会社ごとの修正列・仕訳の種類別の列の形を作り、何が見えるようになるかを確かめる状態第0版・写し(部長の確認前)。正の表は部長の形のまま中間連結を終える。写しの形は第3四半期の締めで試すことだけ決まっている(部会での共有の前)取扱い部内
⚠ このメモは、精算表の「形」の比較であって、連結の会計処理を決める文書ではありません。消去・修正の内容は、会計基準と当社の連結方針(連結範囲、内部取引の消去、未達取引、未実現利益、在外子会社の換算、税効果など)に従います。「その会社の修正」の列に置いたものは、本来はその会社の帳簿で計上・修正されるべきもの(期ずれの未払計上、未着品、表示の組替など)を、連結の作業側で暫定的に補正しているものです。列を分けることは、子会社の帳簿の誤りを連結の調整で済ませてよいという意味ではなく、どの会社に修正を頼むべきかを見えるようにするためのものです。

1 二つの形の列

列形A 部長の形(正の表)形B ハルカの写し(案)何が変わるか
各社の数字親会社・製造・EC・物流・海外販売の4列(パッケージから転記)同じ4列変わらない。転記後にパッケージの合計と一致を確認するのも同じ
会社ごとの修正「製造の修正」の1列だけ(10月20日に仮で作り、22日に再送との差額として確認。受け取った数字の列は打ち替えず、見出しを変えて残す)各社の列のすぐ右に、その会社の修正の列を置く(親会社・親会社の修正・製造・製造の修正…と交互に8列)子会社の帳簿の誤り・不足の暫定補正と、表示の組替が、合算の前に会社ごとに見える。どの会社に修正を頼むべきかが列で分かる
合算単純合算(4社+製造の修正)修正後合算(4社+4つの修正列)形Bの合算は「各社の帳簿を直したあと」の数字になる
連結の仕訳「消去・修正」の1列(E1〜E10の仕訳を科目ごとに合計)投資と資本/取引の消去/債権債務/未実現利益/未達の補足/為替換算の6列どちらの帳簿も正しいのに連結でだけ必要な仕訳が、種類ごとに合計で見える。未達の補足3,000が「会社の修正」ではなく「連結の仕訳」だと列で分かる
調20行(10月19日に理由の列を新設。20日に1行取消し)なし。19行を会社ごとの修正か連結の仕訳の種類に振り分ける理由のある行には行き先がある。行き先のない行は「未分類」に残る
未分類なし(「調」の中に混ざる)1列。今回は20行目の850だけが残った理由の分からない数字が、他の行と同じ列に隠れない
連結合算+消去・修正+調修正後合算+6つの種類の列+未分類掲載した9科目で両方の形が一致(写しの条件)
列の数(主な列)11列19列横に長くなる。一人で目で追うには長い。画面で読む前提

2 「調」の19行の行き先

行き先件数中身意味・残っていること
製造の修正3行外注先の締め日(加工賃)・運送会社の締め日(運賃)・外注加工費→売上原価の組替製造子会社の帳簿で本来計上・表示されるべきもの。再送の値引き2,000もこの列(受け取った数字との差額・確認済み)
EC・物流の修正5行棚卸の締め日のずれ・翌月到着の請求書(運賃・倉庫料)・店舗返品の計上月・支払手数料→販管費の組替EC・物流子会社の帳簿の期ずれと表示の組替。締め日のずれは親の決算日に合わせる補正
海外販売の修正4行船便の未着860(修正を依頼中)・代理店の報告が翌月(販売手数料)・前期に組み替えた科目(物流費)・輸入諸掛→棚卸資産の組替860は本来子会社の帳簿で未着品と買掛金を計上するもの。返事が来るまで「仮」
親会社の修正2行前期の賞与の科目修正・前期の立替金の相手科目親会社側の表示の組替。元資料で今期も必要と確認済み(第12話)
為替換算(連結の仕訳の種類)4行内部取引の換算差620(暫定・未照合)・換算の端数3行620は列が決まっただけで、処理が確かめられたわけではない。10月24日(土・休日出勤)に換算資料と並べ、発生原因と損益の区分を確かめてから、為替差損益への振替を含めて処理を決める。850(理由が分からない)とは状態が違う
未分類1行20行目の850(理由が出てこない行)どの会社の修正でも、どの種類の連結の仕訳でもない。前々期の表までさかのぼり、中間の確定前に要否を判断(部長)
取消し(運ばない)1行前期末の未達の補足2,600(10月20日に取消し)写しには載せない。取消しの記録は正の表の理由の列に残る

3 今日の二つの数字 ── 3,000 と 860

未達の補足 3,000船便の未着 860
どこからどこへ製造子会社 → 親会社(国内・2便)親会社 → 海外販売子会社(ドル建ての輸出・船便)
9月末の状態9月30日に出荷、10月1日に親会社が検収9月中に船積み、9月末時点で海の上
両社の帳簿製造子会社は方針どおり出荷時に売上。親会社は契約どおり検収時に仕入。どちらも決まりどおり親会社は船積み時に売上。海外販売子会社は、支配が移った船積み時点で未着品と買掛金を計上すべきところ、未計上
誰の帳簿が違うかどちらも違っていない(第12話の整理)海外販売子会社の帳簿が足りていない
直す場所連結でしか埋められない差。連結上で親会社の仕入・買掛金を補足し、期末在庫に含めて未実現利益も計算する本来は子会社の帳簿。中間では連結の作業側で暫定補正し、10月22日に子会社へ修正を依頼(返事は来週)
形Aでの見え方消去・修正の列の中(棚卸資産+3,000)調の列の中(棚卸資産+860)。「連結で足した数字」としか読めない
形Bでの見え方「未達の補足」の列(連結の仕訳)「海外販売の修正」の列(会社の修正・仮)。同じには見えない

4 写しの条件と確認結果

  • ① 正の表のファイルは触らない。別の名前(「写し_第0版」)で保存してから列を作り直す
  • ② 数字は一つも打ち直さない。各社の数字・製造の修正・消去・修正の仕訳・「調」の19行を、そのまま別の列へ運ぶだけにする
  • ③ 連結の列が、正の表と掲載した9科目すべてで一致すること。売上高・売上原価・販売費及び一般管理費・売掛金・棚卸資産・関係会社株式・買掛金・資本金・利益剰余金(期首の修正)の9科目で一致を確認(差は0)
  • ④ 「調」の各行は、理由の列(10月19日新設・20日に元資料で確認)を見て行き先を決める。理由から行き先が決められない行は、無理に置かず「未分類」に残す(今回は850の1行)
  • ⑤ 写しの中で「仮」のものには、そう書く(海外販売の修正の860=修正依頼中、為替換算の620=暫定・未照合)。分類できたことと、正しいと確かめられたことは別

5 まだ決めていないこと

  • ① 形Bを正の表にするかどうか。部長の判断は「中間はこの形で終え、第3四半期の締めで試す」まで。写しは10月23日に部長が見る
  • ② 「その会社の修正」の列に置いた期ずれ(翌月到着の請求書など)を、来期以降は各社の帳簿で月次のうちに計上してもらうか(子会社との締めのルール。第12話の値引きのルールと一緒に)
  • ③ 為替換算の列の620。内部取引の換算差を売上原価で合わせてきたが、原因と損益の区分は未確定。列は「為替換算(暫定・未照合)」。10月24日(土・休日出勤)に換算資料と照合してから処理を確かめる
  • ④ 未分類の850。前々期の精算表と元資料までさかのぼり、中間の確定前に修正・取消しの要否を判断(部長)
  • ⑤ 科目対応表と消去仕訳帳の様式(第3四半期の締めまで)。科目の読み替え6行は、対応表ができれば会社の修正の列からも消える
  • ⑥ 列が19に増えた表を、二人で読むときの画面の見方(固定する列・折りたたむ列)。印刷は前提にしない
変更履歴
第0版(2026年10月22日):中間連結の四日目の夜。製造子会社の再送(値引き2,000を9月分へ。受け取った数字との差額として確認)を反映した正の表と同じ数字で、会社ごとの修正列(4列)と仕訳の種類別の列(6列)の写しを作成。「調」の19行を振り分け、20行目の850だけが未分類に残る。連結の列は掲載9科目で正の表と一致。部長の確認前(10月23日に見せる)
PART 3学ぶ世界へ・前後の話
→

この話に出てきた知識・前後の話

この話に出てきた知識(学ぶ世界へ)
経理財務部の物語|第14話|2026年10月22日(木)
前の話:第13話(10月21日)|数えなかった棚 / 次の話:第15話(近日) / 記録ページ(年表・会社のいま・話数一覧) / ハルカの学習ノート

この物語は、上場企業の経理財務部の実務をモデルにしたフィクションです。登場する会社・人物・団体は架空のもので、特定の監査法人・企業・製品の手続や見解を描くものではありません。会計・税務の記述は公認会計士・税理士が監修しています。製品名・サービス名は本文に出てきません。数字はすべて架空です。

このテーマで、まだ知りたいことはありませんか?
他社事例、自社の場合の迷い、追加で見たいデータなどを教えてください。多くの実務家に共通する課題は、データ・記事・ツールの形で調査し公開します。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。