無料の学習ツール「企業結合・事業分離ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「🧾 税務調整」タブを上から順に、会計と法人税の違いと、別表四・別表五(一)の書き方を先生と生徒の会話形式で見ていきます。会計処理そのものは基礎編「応用編」「設例編」で扱っています。設例の会社と数値はすべて架空の例です。別表はラボと同じ簡略版で、解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
| 企業結合 | 取得とされた吸収合併 |
| 取得原価(対価の時価) | 1,000 |
| 識別可能純資産の時価 | 800 |
| 税務上の区分 | 非適格合併(資産調整勘定 200) |
| 実効税率 | 30%(繰延税金資産は全額回収可能と仮定) |
| 償却 | 会計のれん 10年/資産調整勘定 60か月 |
今日の題材 ── 同じ合併を、法人税の目で見る
会計と税務の違い ── 会計は「取得か否か」、税務は「適格か否か」で分かれる
差異の一覧表 ── どの処理が、どの別表に出るか
別表の書き方 ── 別表四で1年分を調整し、別表五(一)で残高を繰り越す
設例で書いてみる ── 資産調整勘定の税効果と、会計のれん10年償却 × 税務60か月を別表へ
- 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、会計のれんの償却年数を 10 から 5 にする
👀 会計はのれん償却 28 + 法人税等調整額 12 = 40 で、税務の損金 40 と同じになり、別表四の調整は毎年 0 になります。
ラボを開く ▶6年目 ── 資産調整勘定は損金算入済み、会計の償却 14 だけが加算
- 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、税務上の区分を「適格合併(帳簿価額引継ぎ)」にする
- 年度ボタンで 1年目・10年目 を順に選ぶ
👀 資産調整勘定も繰延税金資産も出ず、会計のれん 200 の償却 20 が毎年加算に。別表五(一)ののれんの行は ▲200 から始まり、1年目末 ▲180、10年目末に 0 になります。ただし企業結合日に資本金等の額の側で調整した差は残ります。この動きは、時価と税務簿価に差がないなどの前提を置いた簡略版の設例です。
ラボを開く ▶税効果へのつながり ── 会計のれん自体は認識しない、税務上ののれんは認識する
よくある誤り ── 申告書を作る前のチェック
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて企業結合・事業分離ラボの画面そのものです。税務調整タブを開けば、同じ図を見ながら、数字を変えて別表の動きを確かめられます。
企業結合・事業分離ラボを開く ▶今日のまとめ ── 迷いポイント早見表
| 迷いポイント | 答え | ラボ |
|---|---|---|
| 会計で「取得」なら税務も非適格? | 別の判定。取得×適格なら会計にのれん、税務に資産調整勘定なしで、のれん償却は毎年加算(法62の2) | 税務1 |
| 適格合併の抱合せ株式消滅差益は益金? | 譲渡損益もみなし配当も生じない。別表四で減算(差損は加算)(法61の2③) | 税務2 |
| のれん償却の加算は社外流出? | 留保。資産調整勘定の減算も留保。留保は別表五(一)に残高を残す意味で、必ず戻るとは限らない | 税務3 |
| 資産調整勘定は会計のれんの年数で償却? | 必ず60か月均等(法62の8④)。差は別表四で調整 | 税務4 |
| 5年目末の残高 ▲70 に繰延税金を計上? | 会計上ののれん自体の差異なので認識しない(適用指針第72項) | 税務4 |
| 別表五(一)の各行に税率を掛ければ繰延税金資産? | 資産調整勘定分だけ。会計のれん自体の差異には認識しない(第378-3項) | 税務5 |
| 株式と現金を受け取った株主は譲渡損益だけ? | 原則として非適格(例外あり)。みなし配当の有無・金額と株式譲渡損益をそれぞれ計算(法24) | 税務6 |
今日のふりかえり
参考資料
法人税法第2条第12号の8(適格合併)・第24条第1項第1号(みなし配当)・第57条第2項〜第4項(欠損金の引継ぎと制限)・第61条の2(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)・第62条(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)・第62条の2(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)・第62条の8(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)、法人税法施行令第119条・第123条の10、法人税申告書 別表四・別表五(一)の記載要領(国税庁)。基準確認日:2026年10月27日。別表の表示はラボと同じ「簡略版」で、項目名や行のまとめ方は会社ごとに異なります。実際の申告は、最新の法令・通達と顧問税理士の確認のうえで行ってください。 会計:企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」、企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」。
シリーズ:基礎編/応用編/設例・取得編/設例・逆取得・株式交換・株式移転編/設例・事業分離編/設例・共同支配企業と合併編/設例・会社分割・株式交換編(共通支配下)/設例・子会社同士の合併と株主編/設例・税効果編/税務調整編(この記事) / ほかのラボの税務調整編:リース会計ラボ【税務調整編】/資産除去債務ラボ【税務調整編】/減損会計ラボ【税務調整編】/棚卸資産ラボ【税務調整編】/外貨建取引ラボ【税務調整編】 / 関連:税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異・繰延税金資産・回収可能性)/別表四・別表五(一)ラボ【基礎編】(留保と社外流出・検算式)
