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経理財務部の物語 第12話(10月20日)|誰の帳簿を、直すのか

経理財務部の物語 第12話(10月20日)|誰の帳簿を、直すのか
経理財務部の物語第12話2026年10月20日(火)・本社 経理財務部次:第13話(近日)
この話の中心ハルカ登場ハルカ・大野部長・固定資産担当(子会社の経理担当はメール)前の話第11話(10月19日)|精算表を、開く
舞台の会社について(開く)
架空の製造小売。グロース上場・3月決算・子会社3社。店舗68・賃貸借契約80件・経理財務部8人。来期(2028年3月期)から新リース会計基準が強制適用になる。年表・会社のいま・話数一覧は 経理財務部の記録 に。会計の知識は各話の末尾「この話に出てきた知識」からラボと学習ノートへ。
PART 1物語
1

火曜の朝返事は、二つの理由だった

製造子会社からの返事① 月末に出た荷物300万円9/30出荷・10/1検収② 月をまたいだ値引き200万円9月に合意・10月に計上金額は合った。理由は、二つある「誰の帳簿が、違うのか」

2026年10月20日、火曜。
中間連結の締めの二日目。
午前9時半、製造子会社の経理担当から、返事が届いた。

✉製造子会社 経理担当
9月の親会社向け売上の差について、確認しました。
①9月30日に出荷した2便、300万円。御社の検収は10月1日です。
②9月出荷分の値引き200万円。9月の打合せで合意しましたが、当社は値引きの通知書を10月に出し、10月の売上から引いています。
ハルカ
心の声
300万円と200万円。
足して、500万円。
合った。
ハルカ
心の声
でも、合ったのは金額だけ。
理由は、二つある。
📗 製造子会社との照合(月別)ep12_renketsu_seisanhyo.xlsx
シート:照合_製造子会社
ABCD
1製造子会社の売上(親会社向け)親会社の仕入(製造子会社から)差
24月480,000480,0000
35月495,000495,0000
46月505,000505,0000
57月510,000510,0000
68月500,000500,0000
79月528,000523,0005,000
8半期計3,018,0003,013,0005,000
109月の差の内訳誰の帳簿か金額
11①9月30日出荷・10月1日検収の2便(未達)どちらの帳簿も方針どおり3,000
12②9月に合意した9月出荷分の値引き(子会社は10月に計上)子会社の帳簿が違う2,000
単位:千円。4〜8月は一致、差は9月の5,000だけ。内訳は朝の返事(第12話)。
固定資産担当
返事、来ました? 顔が明るいですね。
ハルカ
差の内訳が分かりました。
月末に出た荷物が300万円、
値引きを計上した月のずれが200万円です。
固定資産担当
なら、今日中に片づきますね。
両方とも部長の「調」の列で引いてしまえば早いですよ。
ハルカ
心の声
早い。
たしかに、早い。
ハルカ
昨日、部長に言われたんです。
個別の帳簿を直すのか、
連結の調整で対応するのかを整理してから見せて、と。
固定資産担当
ああ、そうか。
どっちで直すかで、直す人が変わりますもんね。
ハルカ
心の声
直す人が変わる。
だったら、先に決めることは一つ。
誰の帳簿が、違うのか。
ハルカ
心の声
300万円の荷物は、出荷した時に引き渡す約束なのか、
着いた時なのか。
契約書を見ないと決められない。

ハルカは、製造子会社との取引基本契約書の写しと、両社の会計方針の資料を開いた。引渡しは、親会社が倉庫で検収した時。

ただ製造子会社は、国内への出荷から検収までが通常の配送の日数で済むので、出荷した日に売上を計上する方針をとっていた。親会社は、検収した日に仕入を計上している。

ハルカ
心の声
子会社は、方針どおり出荷の日に売上。
うちは、契約どおり検収の日に仕入。
どちらの帳簿も、決まりに沿っている。
ハルカ
心の声
だったら300万円は、連結で、
届いていない側の仕入を補う。
値引きの200万円は……あとで考える。
2

前期末の行確かめてから、決める

前期末の連結仕訳3月末 未達の補足260万円仕入伝票(親会社)4月2日 検収・計上260万円9月末の「調」の行 → 取消し(確認済み)昨日の「たぶん」が、今日は「確かめた」になった。
午前11時。部長は、前期末の連結仕訳のファイルと、4月の仕入伝票の控えを机に出した。昨日「明日確かめる」と言った一行だった。
大野部長
ハルカさん、500万円の前に、
こっちを一緒に見てもらえるかな。
昨日の3月の行だ。
ハルカ
はい。
決めるのは、確かめてから、でしたね。
大野部長
うん。
前期末、
製造子会社が3月31日に出した荷物が260万円分、
うちに届いていなかった。
だから3月末の連結で、うちの仕入と買掛金を補った。
大野部長
その荷物は、4月2日にうちの倉庫で検収されている。
ほら、仕入伝票。
うちの帳簿には、4月に入った。
ハルカ
じゃあ、9月末の表に同じ260万円を補うと……。
大野部長
もう帳簿にある仕入を、もう一度足すことになる。
だから、この補足は今期は要らない。
ハルカ
荷物に入っていた子会社の利益の方は、どうなっていますか。
大野部長
いい質問だね。
それは、別の行で期首に引き継いでいた。
ハルカ
別の行、ですか。
大野部長
前期末の在庫に含まれていた利益は、期首に引き継いで、
売れた分を実現させる。
その在庫は9月までに全部グループの外へ売れていて、
消去の列で済んでいる。
大野部長
だから、この行は取り消す。
理由の列には「前期末の未達の補足/4月2日に親会社で検収・計上済み/今期は不要のため取消し」と書く。
ハルカ
心の声
昨日の「たぶん」が、今日は「確かめた」になった。

画面で思い出した六行も、一行ずつ元資料と並べた。五行は、部長の記憶どおりだった。

大野部長
……この一行は、違うね。
為替の端数だと思っていた。
前期の決算で、
海外販売子会社の科目を親会社の科目に組み替えた分だ。
ハルカ
金額は、合っていたんですか。
大野部長
金額は合っている。
理由だけが、別の形で覚えていた。
記憶は、半分は残って、半分は形を変えるんだね。
📗 「調」の列と「理由」の列(20行から抜粋)ep12_renketsu_seisanhyo.xlsx
シート:調の列
ACEJK
1No内容金額10/20の状態理由(10/20 元資料で確認後)
21物流子会社 棚卸の締め日のずれ1,200確認済み今期パッケージの締め日の数字 1,200 に置換
32海外販売子会社 為替換算の端数620未確定(換算資料と未照合)海外販売子会社との内部取引の換算差 620。原因と損益の区分は未確定。これまで部長が「為替換算の端数」として売上原価で合わせてきた。換算資料と照合し、為替差損益への振替を含めて処理を確かめる(今週末)
43前期末(3月)の未達取引の補足2,600取消し4月2日に親会社で検収・計上済み(仕入伝票)。今期は不要
98海外販売子会社 販売手数料の計上月150確認済み代理店の報告が翌月
1514海外販売子会社 前期に組み替えた科目520確認済み(理由を訂正)前期の決算で、海外販売子会社の物流費を販管費から売上原価へ組み替えた分(金額は一致)
2120(理由が出てこない行)850要確認過年度から引き継がれている未検証の調整。いまは仮に連結へ反映しているが、妥当性は確認できていない。前々期の精算表と元資料までさかのぼり、中間連結の確定前に修正・取消しの要否を判断
単位:千円。3行目(前期末の未達 2,600)は元資料で確かめて取消し。画面で思い出した6行(8〜10・14〜16行目)は確認済み、14行目は理由を訂正。20行目(850)は理由が分からないまま、いまも連結に入っている(中間の確定前に要否を判断)。
大野部長
「確認済み」は、元資料と並べた行にだけ付ける。
理由が出てこなかった一行は、前々期の表までさかのぼる。
今週中にやろう。
ハルカ
その一行は、いまも連結に入っているんですか。
大野部長
入っている。
85万円。
消すにも残すにも理由がいるから、
中間の確定までに確かめて決めるよ。
3

物流のパッケージ2,000万円は、まだ足さない

倉庫(実地棚卸)EC・物流子会社 9月末の在庫帳簿実地棚卸差 2,000万円 ── 原因が分かるまで、連結で足さない数字の前に、モノがある。2,000万円分のモノは、どこに。

正午すぎ。
EC・物流子会社から、連結パッケージが届いた。
添えられていたメールは、短くなかった。

✉EC・物流子会社 経理担当
連結パッケージを送付します。
9月末の実地棚卸の結果が、帳簿の在庫より2,000万円少なくなっています。
数え方の違い(ケースと個数)か、店から戻った返品の流れか、原因を調べています。今週中にご報告します。
固定資産担当
2,000万円……。
毎回揺れるとは聞いていましたけど、桁が違いますね。
大野部長
うん。
棚卸のあとに揺れるのはいつものことだけど、
この金額は初めてだ。
ハルカ
部長、この差は、精算表で合わせるんですか。
大野部長
合わせない。
原因が分からない数字を、
親会社の表で足したり引いたりはしないよ。
大野部長
倉庫の数え方が違うのか、帳簿の方が違うのか。
それを確かめて、子会社が自分の決算として処理する。
うちは、その結果を受け取る。
大野部長
ただ、締めまでに原因が分からなくても、
そのままにはしない。
棚卸の結果がどこまで確かかと影響の大きさを見て、
決算でどう扱うかを決めないといけない。
📗 連結精算表 ── 棚卸資産の行ep12_renketsu_seisanhyo.xlsx
シート:精算表_9月末
ABCDEFGHI
1科目親会社製造EC・物流海外販売単純合算消去・修正調連結
6棚卸資産1,350,000260,000510,000120,0002,240,000△62,9322,2092,179,277
7(参考)EC・物流の実地棚卸490,000
8(参考)帳簿との差△20,000
単位:千円。EC・物流子会社のパッケージは帳簿の在庫 510,000。実地棚卸との差 △20,000(2,000万円)は原因調査中で、連結では足さない(7・8行目は参考の行で、合計に入れていない)。
ハルカ
待つだけ、ですか。
大野部長
待つだけではないよ。
原因を一緒に追う。
返品がどの帳簿を通って、いつ棚に戻るのかを、
明日と明後日で子会社と確かめよう。

部長は、精算表の物流の行を開いた。前期の金額を仮に置いていた一行を、今期のパッケージの数字に置き換えた。

大野部長
これで、仮置きは一つ消えた。
代わりに、もっと大きな宿題が来たけどね。
ハルカ
心の声
数字の前に、モノがある。
2,000万円分のモノは、いま、どこにあるんだろう。
4

夕方誰の帳簿を、直すのか

差 500万円の整理(ハルカ)どちらの帳簿も正しい① 300万円連結で未達を補う子会社の帳簿が違う② 200万円子会社が9月分で直す分からなかったこと:未達分の利益を消すか(部長に確認済み)「値引きは、いつ決まったんだっけ」
夕方5時。ハルカは、二つの欄に書いた整理を、部長の机に置いた。
ハルカ
製造子会社との差の整理です。
300万円は、どちらの帳簿も方針どおりで、
連結で未達を補います。
200万円の値引きは、
連結の調整で9月の売上から引きます。

部長は紙を見たまま、すぐには何も言わなかった。

大野部長
一つ聞いてもいいかな。
値引きは、いつ決まったんだっけ。
ハルカ
9月の打合せです。
大野部長
そうすると、子会社の9月の帳簿は、合っているかな。
ハルカ
心の声
……合っていない。
値引きが決まったのは9月なのに、
子会社の9月の売上からは、まだ引かれていない。
ハルカ
子会社の帳簿の方が、違います。
連結で引くと、子会社の数字は違ったまま残ります。
ハルカ
連結で引けば今日終わるので、
そっちに寄せて考えていました。
すみません。
大野部長
謝らなくていいよ。
締めの時期は、早い方に寄る。
私も昔、何度もそうした。
窓の外が暮れていく。
大野部長
子会社に9月分として直してもらって、
パッケージを出し直してもらおう。
一日遅れるけど、来期は同じ差が出ない。
ハルカ
もう一つ、分からないことがあります。
未達の300万円の荷物にも、
製造子会社の利益が入っていますよね。
それも消すんですか。
大野部長
消すよ。
9月末、その荷物は連結ではうちの在庫になる。
だから、期末の在庫に含まれる利益の計算に、
未達の分も入れるんだ。
ハルカ
分かりました。
……分からないって言って、よかったです。
大野部長
分からない、と書いてある整理は、読む側も安心する。
どこまで確かめたかが分かるからね。
📗 連結精算表 ── 製造子会社との取引の行ep12_renketsu_seisanhyo.xlsx
シート:精算表_9月末
ABCDEFG
1科目親会社製造製造の修正(10/22再送予定・仮反映)単純合算*消去・修正うち未達の補足
2売上高6,800,0003,018,000△2,00012,016,000△3,016,000
3売上原価2,958,0002,654,0806,894,080△3,013,552
4売掛金410,000520,000△2,0001,178,000△518,000
5買掛金780,000300,0001,280,000△515,0003,000
6棚卸資産1,350,000260,0002,240,000△47,7603,000
単位:千円。*単純合算は4社分(EC・物流と海外販売の列は省略)。消去・修正は製造子会社との仕訳(E2〜E6)だけを表示。「製造の修正」は10月20日時点の修正予定を仮に反映した数字(再送は10/22)。値引き200万円は「製造の修正」の列(子会社の帳簿)で直し、未達300万円は「消去・修正」の列(連結)で補う。消去の仕訳は「消去修正の仕訳」シートに。

ハルカは、製造子会社にメールを書いた。9月の値引きを9月分として計上し直してほしいこと。連結パッケージを出し直してほしいこと。

大野部長
グループ内の値引きをいつ計上して、いつ連絡するか。
そのルールは、私から製造子会社の管理部長に話しておくよ。
経理同士の約束だけだと、また月をまたぐからね。
固定資産担当
パッケージの出し直しは、いつになりそうですか。
ハルカ
木曜の午前です。
締めは、もう一日遅れます。
大野部長
それでいい。
遅い方を選んだ分、来期の差が一つ減る。
結び

整理表分からない、と書いた欄

未解決の一覧(10月20日の夜)EC・物流子会社 棚卸差異 2,000万円(原因調査中)製造子会社との差 500万円値引き:子会社が修正・木曜に再送「調」:3月の行は取消し/6行 確認済み/要確認 1行連結の二人目:育成中(ハルカ)分からない、と書いた欄から、確かめる仕事が始まる。

火曜の夜。
未解決の一覧から、一行が消えた。
製造子会社との差500万円。
代わりに、整理表が一枚、部長の机に残った。

差500万円 = 期ずれ300万円(どちらの帳簿も方針どおり:連結で未達を補足して消去・未達分も期末在庫の利益の計算に含める)+値引き200万円(子会社の計上月の誤り:子会社が9月分として修正・パッケージの再送は木曜)

精算表の「理由」の列では、3月の行に「取消し」、思い出した六行に「確認済み」が付いた。
そのうち一行は、理由が書き換えられた。

物流の行の「仮置き」は消えた。
そして、2,000万円の差が「原因調査中」として、未解決の一覧の一番上に移った。

ハルカの整理表の最後には、一行、こう書いてあった。
「分からなかったこと:未達分の利益を消すか(部長に確認済み)」。

分からない、と書いた欄から、確かめる仕事が始まる。
直すのは、早く終わる方ではなく、違っている帳簿の方。

次の話へ持ち越したこと
  • 製造子会社の値引き200万円 ── 子会社が9月分として修正し、連結パッケージを10月22日(木)の午前に出し直す。グループ内の値引きの計上と連絡のルールは、部長が製造子会社の管理部長と話す
  • 期ずれ300万円 ── 連結上で未達の仕入と買掛金を補足し、内部取引と債権債務を消去。期末在庫に含まれる利益の計算に、未達分も入れる
  • EC・物流子会社の棚卸差異2,000万円 ── 実地棚卸が帳簿より少ない。原因(数え方の違い・返品の流れ)を明日から子会社と追う。原因が分かるまで連結で足さない
  • 精算表の「調」の列 ── 前期末の行は確かめて取消し。思い出した六行は確認済み(一行は理由を訂正)。理由が出てこない一行は、前々期の表までさかのぼる(今週中)
  • 中間連結の締め ── 二日目も遅れ。木曜にパッケージの再送
  • 読み取りの残り件数 ── 10月23日(金)に確認
第12話 おわり次の話:第13話(近日)
学び

この話の、二人の反省と学び

ハルカの反省と学び
1金額より先に、理由の数を数える
500万円は、300万円と200万円に分かれた。金額が合っても、理由が二つあれば、直し方も二つある
2誰の帳簿が違うのかで、直す場所を決める
両社とも契約と会計方針どおりに計上していれば、どちらの帳簿も誤りではない。その差は連結で補う。決まった月に計上していなければ、その会社の帳簿が違う。その会社で直す
3分からない、と書く
未達の荷物に入った利益を消すのか、分からなかった。書いて聞いたから、整理表を読む人にも、どこまで確かめたかが伝わった。早い方に寄った自分にも、問いを一つもらって気づけた
大野部長の反省と学び
1直さずに、聞く
整理表の誤りは、見てすぐ分かった。直せば一分で済む。でも、問いを一つ返して待った。自分で気づいた誤りは、次の締めでも覚えている
2記憶は、形を変えて残る
思い出した六行のうち一行は、金額は合っていて、理由が違った。元資料で確かめなければ、違う理由のまま引き継ぐところだった
3原因の分からない数字を、親の表で合わせない
2,000万円の差を精算表で埋めれば、締めは早く終わる。けれど、どちらが正しいかは倉庫の中にある。子会社と一緒に、流れを追う
PART 2物語に登場した社内資料(連結精算表のExcel・読み方メモ)
付録

連結精算表の読み方メモ(第1版)全文二日目の夜、ハルカが書き足した版

📗 この話の連結精算表(Excel)をダウンロード9月末の中間連結。親会社と子会社3社の数字、消去・修正の仕訳、「調」の列20行と理由の列、製造子会社との照合、未解決の一覧まで、物語で起きたことを一つのブックにしました(架空の数字・単位千円・数式入り)。
Excelをダウンロード

この物語の会社(架空)で、ハルカが部長の連結精算表を横で見ながら書いたメモの第1版です。第0版に、グループ内取引の差を「誰の帳簿が違うか」で分けた整理、前期の修正の名残の確かめ方、子会社の棚卸差異の扱いを書き足しました。実在の会社の文書ではありません。精算表の作りは会社ごとに違うので、ひな形として使うときは自社の列構成に合わせてください。数字はすべて架空です。

連結精算表の読み方メモ 第1版

作成ハルカ(第0版 10月19日、第1版 10月20日の夜。確認:経理財務部長 大野)目的部長しか読めなかった精算表を、二人目が読める形にする状態第1版・中間連結の二日目に更新(部長確認済み。部会での共有の前)。締めが終わったら第2版に取扱い部内
⚠ このメモは、精算表の「読み方」の記録であって、連結の会計処理を決める文書ではありません。消去・修正の内容は、会計基準と当社の連結方針(連結範囲、内部取引の消去、未達取引、未実現利益、税効果など)に従います。「調」の列は、相殺消去とは別に連結上必要な修正を部長が手で入れてきた列です。根拠資料と結びつけ、理由ごとに消去・修正の列へ戻していくべきもので、差額を合わせるための列にはしません。子会社の帳簿の誤りは、連結の調整で済ませず、その子会社の帳簿で直すことを原則にします。

1 精算表の列

列何が入るか誰が注意
親会社・子会社3社各社の試算表の数字(連結パッケージから転記)各社 → ハルカが転記転記後に、パッケージの合計と一致することを確認。子会社がパッケージを出し直したときは差し替えた日を記録
単純合算4社の足し算計算式手入力しない
消去・修正投資と資本の消去、グループ内取引・債権債務の消去、未達取引の補足、未実現利益(期首の引継ぎと実現を含む)、連結税効果部長仕訳ごとに行を分ける。根拠は消去仕訳帳に
調相殺消去とは別に、連結上必要な修正(期ずれ・為替の端数・科目の読み替え・前期の修正の名残)部長10月19日時点で20行。10月20日に1行を取消し
理由(10月19日新設)「調」の各行の理由・毎期発生か今期限りか・根拠資料・確認の状態部長記入(ハルカは横で確認・質問)「確認済み」は元資料と並べた行にだけ付ける(10月20日から)。書けない行は「要確認」
連結合算+消去・修正+調計算式連結財務諸表の数字

2 「調」の列の整理(20行)

区分件数例今後
期ずれ(締め日のずれ・未達)8行物流子会社の棚卸の締め日のずれ(10月20日に仮置きを今期の数字へ置換)/月末に出荷・翌月に入荷する未達取引毎期発生。締め日のずれと未達取引は分けて書く。未達は消去・修正の列の「未達取引の補足」に移す(第3四半期から)
為替換算の端数4行海外販売子会社の換算レートの丸め(2行目の620は、海外販売子会社との内部取引の換算差で、原因と損益の区分は未確定。換算資料とまだ並べていない)毎期発生。丸め方のルールを決めれば出なくなるか検討(11月)
過去の修正の名残3行(うち1行は取消し)前期末(3月)の未達取引の補足260万円が、9月末にも残っていた → 4月2日に親会社で検収・計上済みと確認し、取消し。前期末の在庫に含まれていた利益は、期首の引継ぎと実現の処理が消去・修正の列にあることを確認残り2行は、元資料で今期も必要と確認(確認済み)
科目の読み替え4行子会社の勘定科目を親会社の科目に読み替え(うち1行は、部長の記憶では「為替の端数」だったが、元資料では前期に海外販売子会社の科目を組み替えた分。理由を訂正)科目対応表を作れば不要になる
要確認1行画面を見ても理由が出てこない(85万円。いまは仮に連結へ反映)前々期の精算表と仕訳の元資料までさかのぼり、中間連結の確定前に修正・取消しの要否を判断

3 グループ内取引の差の追い方

  • ① パッケージの数字が、子会社の試算表と合っているか(転記ミス)
  • ② グループ内の売上と仕入、債権と債務を、両側で並べる。差が出たら月別の内訳で、どの月の差かを絞る
  • ③ 月末前後の出荷・入荷の伝票と、その月に関係する値引き・返品を、子会社に頼んで突き合わせる。金額が合っても、理由がいくつあるかを数える
  • ④ 出荷・入荷の計上時点が、契約条件(引渡しの時点)と各社の会計方針に照らして適切かを確認する。売手が出荷時に売上を計上している場合は、出荷から買手の検収(支配の移転)までが通常の期間かを確かめる(国内販売の代替的な取扱いを使っているかどうか)
  • ⑤ 誰の帳簿が違うかで分ける。両社とも契約と会計方針どおりに計上していれば、どちらの帳簿も誤りではない → 連結上で調整する。決まった月・金額で計上していない会社があれば、その会社の帳簿の誤り → その会社が直す(連結の調整で済ませない)
  • ⑥ 未達取引は、連結上で届いていない側の仕入・買掛金を補足してから、内部取引・債権債務を相殺消去する。未達品も期末在庫に含め、含まれる未実現利益を消去する
  • ⑦ 前期の修正が残っていないか確かめる。前期末の未達取引は、翌期に相手の帳簿に入った時点で補足は不要になる。前期末の在庫に含まれる未実現利益は、期首に引き継ぎ、販売された分を実現させる(別の処理として消去・修正の列で確認)
  • ⑧ 理由が分かるまで、差を「調」の列に入れない。未解決のまま、別に一覧にしておく。整理表には「分からなかったこと」の欄を作り、誰に確認したかを書く
  • ⑨ 翌期以降の差を減らすため、グループ内の計上・連絡のルール(引渡しの時点、値引き・返品をいつ計上し、いつ連絡するか)を確認する

4 今回の差と処理

項目金額原因対応
製造子会社→親会社 売上/仕入(半期)500万円①9月30日出荷・10月1日検収の2便 300万円(契約上の引渡しは親会社の検収時。子会社は国内出荷の売上を出荷時に計上する方針〈出荷から検収まで通常の配送期間〉、親会社は検収時に仕入。どちらの帳簿も方針どおりで誤りではない)/②9月に合意した9月出荷分の値引き 200万円(子会社が10月に計上。計上月の誤り)①連結上で未達の仕入・買掛金を補足し、内部取引と債権債務を消去。未達分も期末在庫に含め、未実現利益を消去 ②子会社が9月分として修正し、連結パッケージを10月22日(木)午前に再送。グループ内の値引きの計上と連絡のルールは、部長が製造子会社の管理部長と調整
前期末(3月)の未達取引の補足260万円前期の表をもとに中間の表を作ったとき、9月末にも同じ金額で残っていた4月2日に親会社で検収・計上済み(仕入伝票)を確認し、取消し。未実現利益は期首の引継ぎと実現の処理が別にあり、前期末の対象在庫が9月末までにすべてグループ外へ販売済みであることも確認
EC・物流子会社 棚卸2,000万円9月末の実地棚卸の結果が、帳簿の在庫より少ない。原因(数え方の違い〈ケースと個数〉・返品の流れ)は調査中原因が分かるまで、親会社の精算表で仮の数字で合わせない。子会社が原因を確かめ、子会社の決算として処理し、その結果を受け取る。10月21〜22日に返品の流れを子会社と確認。締めまでに解明できなければ、棚卸結果の信頼性と影響額を評価して、決算上の処理を判断する

5 未決事項

  • ① 要確認の1行(20行目・85万円):過年度から引き継がれている未検証の調整で、いまは仮に連結へ反映している。前々期の精算表と仕訳の元資料までさかのぼり、中間連結の確定前に修正・取消しの要否を判断する
  • ② 物流子会社の棚卸差異2,000万円:原因の確認と、子会社での処理(今週中に子会社から報告)
  • ③ グループ内の値引き・返品の計上と連絡のルール(部長が製造子会社と調整)
  • ④ 海外販売子会社との内部取引の換算差 620(「調」の列2行目):これまで「為替換算の端数」として売上原価で合わせてきたが、原因と損益の区分は未確定。換算資料と照合し、為替差損益への振替を含めて処理を確かめる(今週末)
  • ⑤ 海外販売子会社の船便の未着 860(「調」の列5行目):船積み時に支配が子会社へ移るため、本来は子会社のパッケージで未着品と買掛金を計上するもの。今回は連結側で暫定的に補正。子会社へ修正を依頼し、未着品の計上ルールを整える
  • ⑥ 科目対応表、消去仕訳帳の様式(第3四半期の締めまでに)
  • ⑦ 二人目(ハルカ)が一人で精算表を組めるかの確認は、この中間連結では行わない。第3四半期以降
変更履歴
第0版(2026年10月19日):中間連結の初日。部長が精算表を開き、「理由」の列を新設して19行に理由を記入(うち戻し忘れの疑い1行・元資料確認待ち6行)、1行を要確認。ハルカが横で見て質問した内容と、グループ内取引の差の追い方を記録
第1版(2026年10月20日):製造子会社との差500万円の原因(期ずれ300万円・値引き200万円)と処理の区分(連結上の調整/子会社の帳簿の修正)を追記。前期末の未達の補足を元資料で確かめて取消し。思い出した6行を元資料で確認(1行は理由を訂正)。物流の仮置きを今期の数字に置換し、棚卸差異2,000万円を追記。差の追い方に「理由の数を数える」「誰の帳簿が違うかで分ける」「前期の修正の確かめ方」「分からなかったことの欄」を追加。未検証の85万円(調の列20行目)を仮反映のまま中間の確定までに確認とし、棚卸差異は締めまでに原因が分からない場合の決算上の扱いを決める旨を記載。製造の修正の列は10/22再送までの仮反映
PART 3学ぶ世界へ・前後の話
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この話に出てきた知識・前後の話

この話に出てきた知識(学ぶ世界へ)
経理財務部の物語|第12話|2026年10月20日(火)
前の話:第11話(10月19日)|精算表を、開く / 次の話:第13話(近日) / 記録ページ(年表・会社のいま・話数一覧) / ハルカの学習ノート(内部取引消去ラボの章)

この物語は、上場企業の経理財務部の実務をモデルにしたフィクションです。登場する会社・人物・団体は架空のもので、特定の監査法人・企業・製品の手続や見解を描くものではありません。会計・税務の記述は公認会計士・税理士が監修しています。製品名・サービス名は本文に出てきません。数字はすべて架空です。

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。