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法定調書ラボ【設例・給与・報酬・退職金編】|先生と一緒に図で学ぶ設例1〜3 中途退職者・法人への報酬と税抜判定・死亡退職金

法定調書ラボ【設例・給与・報酬・退職金編】|先生と一緒に図で学ぶ設例1〜3 中途退職者・法人への報酬と税抜判定・死亡退職金

無料の学習ツール「法定調書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、給与・報酬・退職金の設例(設例1〜3)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・給与・報酬・退職金編で追う3つの設例(独自の数値・令和8年分)
設例1A社。従業員12人。年末まで在職10人、中途退職2人(Pさん25万円・Qさん80万円)。ほかの支払なし
設例2B社。税理士法人に顧問料66万円、個人のデザイナーに5.5万円(税込・消費税等5,000円を区分)、個人の講師に8.8万円
設例3C社。一般従業員3人が退職(1人300万円前後)。従業員1人が在職中に死亡し、配偶者1人に死亡退職金500万円
共通の前提令和9年1月に提出。給与支払報告書は eLTAX で市区町村へ(みなし提出)
はじめに

今日の題材 ── 給与・報酬・退職金の3社

📍 ラボの場所:設例タブ 設例1〜3
ハルカ
先生、今日は設例ですね。3社とも支払の種類が違うので、基礎編の物差しを1社ずつ当てていく感じでしょうか。
先生
そう、設例1は給与だけの会社、設例2は報酬だけの会社、設例3は退職金のある会社なんだ。ラボの設例タブは、1ステップずつ「出す・出さない」と提出先を図で示してくれるよ。
ハルカ
設例3には「死亡退職金」があります。応用編で出てきた、相続税法の方の調書ですね。
先生
そこは設例3の山場だよ。設例タブを開いて、設例1から読んでいこうか。
ラボの設例タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例1 ラボの画面
支払った会社など給与・賞与税務署提出不要(みなし提出)源泉徴収票は作らない市区町村省略できる給与支払報告書受け取った本人給与所得の源泉徴収票(退職後1か月以内)
省略できる:給与支払報告書(市区町村へ)+給与所得の源泉徴収票(本人へ)
  • 年の中途で退職した人で、その年の給与が30万円以下なので、給与支払報告書の提出は省略できます。
  • 給与支払報告書を市区町村に出すと、税務署に源泉徴収票を出したものとみなされます(みなし提出の特例)。税務署用は作りません。
  • 本人への源泉徴収票の交付は、提出範囲にかかわらず全員に必要です。
提出期限令和9年2月1日(月)
電子で出す義務なし
合計表給与分は不要
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署へ)1 給与所得の源泉徴収票合計表(375)記載不要(みなし提出)2 退職所得の源泉徴収票合計表(316)—3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表(309)—4 不動産の使用料等の支払調書合計表(313)—5 不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表(376)—6 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表(314)—合計表は提出しない(税務署に出す調書がない)
設例1

従業員12人の会社の給与 ── 中途退職の2人と合計表

📍 ラボの場所:設例タブ 設例1 ステップ3・5
ハルカ
A社は12人。年末まで在職の10人は、金額にかかわらず給与支払報告書を出して、税務署にはみなし提出。中途退職のPさんは25万円なので「省略できる」と出ています。
先生
そう、中途退職で30万円以下だから、市区町村への給与支払報告書は省略できるんだ。Qさんは80万円で30万円を超えるから、退職時の住所地の市区町村に出すよ。
迷いポイント Pさんは給与支払報告書を省略できるので、源泉徴収票も作らなくてよい?
ハルカ
「省略できる」と出たので、Pさんの分は何も作らなくてよいと思っていました。
先生
省略できるのは市区町村への提出だけなんだ。図の本人への線が「給与所得の源泉徴収票(退職後1か月以内)」と実線のままだね。Pさんにも渡す。次の勤め先で使うからね。
ハルカ
最後のステップは合計表。A社は税務署に出す調書がないので、合計表も出さない。作るのは給与支払報告書と本人用の源泉徴収票の2種類だけですね。
先生
そのとおりだよ。給与だけの会社は、1月の税務署への提出がなくなる。市区町村への給与支払報告書と、本人への源泉徴収票を忘れなければいいんだ。
ハルカ
税務署に出す書類がゼロの1月……去年までの私なら、何か出し忘れたと思って夜中に目が覚めそうです。
先生
目が覚めたら、合計表の行が全部空欄でよい理由を思い出せばいいよ。中身が1枚もないから、表紙もないんだ。
💡 そうだったのか!
中途退職で30万円以下は市区町村への提出だけ省略でき、本人への源泉徴収票は退職後1か月以内。給与だけの会社は、税務署に出す調書も合計表もありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンク先(設例1の条件)で、金額の欄を 250000 から 800000 に変える

👀 判定が「省略できる」から「提出する」に変わります。本人への交付はどちらも「退職の日以後1か月以内」で、合計表の説明は「給与の欄は書きません」のままです。

ラボを開く ▶
設例1をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例2 ラボの画面
支払った会社など報酬・料金税務署支払調書+合計表市区町村出さない出さない受け取った本人出さない交付の義務はない
提出する:報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 同じ相手への年間の支払が 50,000円 を超えるので、提出範囲に入ります。
  • 消費税等を含めた 660,000円 で判定しています(原則)。
  • 法人への支払で源泉徴収の対象にならない報酬でも、提出範囲に入れば支払調書は出します。
提出期限令和9年2月1日(月)
電子で出す義務なし
合計表添えて出す
支払った会社など報酬・料金税務署出さないこの支払は出さない市区町村出さない出さない受け取った本人出さない交付の義務はない
提出しない(範囲外):報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 同じ相手への年間の支払が 50,000円 以下なので、提出範囲に入りません。
  • 消費税等を明確に区分しているので、税抜 50,000円 で判定しています(税込で判定してもかまいません)。
提出期限—
電子で出す義務なし
合計表この調書の分はなし
設例2

税理士法人・デザイナー・講師への報酬 ── 法人への支払と税抜判定

📍 ラボの場所:設例タブ 設例2 ステップ2・3
ハルカ
B社の報酬は3つ。税理士法人の顧問料66万円は「提出する」。基礎5でやった、源泉徴収はしないけれど支払調書は出す枠ですね。
先生
よく覚えていたね。法人への報酬は源泉徴収の対象外だけれど、年5万円を超えるから支払調書を出すんだ。判定の下の「電子で出す義務 なし」は、前々年の枚数が30枚未満という意味だよ。
迷いポイント デザイナーの5.5万円は、税抜で見ると対象外、税込で見ると対象。どちらが正しい?
ハルカ
ステップ3では税抜5万円で「提出しない」、ステップ4では税込5.5万円で「提出する」。同じ支払なのに答えが2つあって、どちらかが間違いだと思いました。
先生
どちらも正しいんだ。原則は税込で判定するけれど、請求書で消費税等が明確に区分されていれば税抜で判定してもよい。どちらで判定するかは、支払う側が選べるよ。
ハルカ
選べると言われると、かえって迷います。デザイナーさんに「出してほしいですか」と聞きに行くところでした。
先生
相手に聞くことではないよ。会社として「区分されていれば税抜で判定する」と決めておけば、毎年同じ答えになるんだ。
ハルカ
講師の8.8万円は年5万円超で提出。報酬の調書を税務署に出すので、合計表の「3 報酬」の欄を書いて添える、とあります。
先生
そう、設例1と違って、B社は税務署に出す調書があるから合計表が要るんだ。給与をみなし提出にしていれば、給与の欄は空けておくよ。
💡 そうだったのか!
法人への報酬も5万円超なら支払調書を出す。消費税等が区分された支払は税込・税抜のどちらで判定してもよく、支払者が決めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンク先(設例2のデザイナーの条件)で、消費税等の扱いを「税込で判定(原則)」に変える

👀 判定する額が 50,000円 ≦ 50,000円「提出しない」から、55,000円 > 50,000円「提出する」に変わります。

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📘 設例3 ラボの画面
支払った会社など退職金税務署退職所得の源泉徴収票市区町村省略できる特別徴収票(当面省略可)受け取った本人退職所得の源泉徴収票
提出する:退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
  • 令和8年分から、役員に限らず、居住者に支払う退職手当等はすべて税務署に提出します。
  • 市区町村への特別徴収票は、eLTAX による提出方法が整備されるまでの当面の間、提出を省略できます。
提出期限退職後1か月以内(令和8年中の退職分をまとめて令和9年2月1日(月)までに出してもよい)
電子で出す義務なし
合計表添えて出す
支払った会社など死亡退職金税務署退職手当金等受給者別支払調書(相続税法)市区町村出さない出さない受け取った本人出さない交付の義務はない
別の調書を出す:退職手当金等受給者別支払調書(相続税法)
  • 受給者1人あたりの支給額が100万円を超えるので、退職手当金等受給者別支払調書を提出します(受給者ごとに作成)。
  • 死亡退職で遺族に支払う退職手当等は、相続税法の「退職手当金等受給者別支払調書」の対象です。このラボで扱う退職所得の源泉徴収票は出しません。
提出期限支払った日の属する月の翌月15日まで
電子で出す義務なし
合計表専用の合計表
設例3

一般従業員の退職金 ── 令和8年分から全員分、死亡退職金は別の調書

📍 ラボの場所:設例タブ 設例3 ステップ2・3
ハルカ
C社は一般従業員3人が退職して、退職金は1人300万円前後。令和7年分までは役員だけでしたが、令和8年分からは3人とも税務署に出す、と「提出する」になっています。
先生
そう、退職所得の源泉徴収票は全員分を税務署へ出すんだ。市区町村への特別徴収票は当面省略できる。本人には退職後1か月以内に渡すよ。
迷いポイント 在職中に亡くなった従業員の配偶者に払った死亡退職金500万円も、同じ源泉徴収票を4人目として出す?
ハルカ
退職金なので、3人と同じ退職所得の源泉徴収票を、1枚足して4枚出すものだと思っていました。
先生
死亡退職で遺族に払う退職金は、相続税法の「退職手当金等受給者別支払調書」なんだ。図でも「別の調書を出す」と出ているね。省略できるかは受給者ごとに見る。配偶者1人に500万円は100万円を超えるから出す。期限は支払った月の翌月15日だよ。
ハルカ
合計表も「専用の合計表」と出ています。1月の合計表には書かないんですね。
先生
そう、退職手当金等受給者別支払調書には専用の合計表を付けるんだ。1月に出す「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」には、3人分の退職所得だけを書くよ。
ハルカ
同じ「退職金」の封筒に、所得税の便せんと相続税の便せんが混ざっていたんですね。
先生
便せんは分けて、出す先も期限も別にするんだ。生前の退職は退職後1か月以内、死亡退職は翌月15日。これを給与担当にも伝えておこうか。
💡 そうだったのか!
退職所得の源泉徴収票は一般従業員も含めて全員分。死亡退職金は相続税法の別の調書で、受給者ごとに100万円超なら翌月15日までに専用の合計表を付けて出します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンク先(設例3の条件)で、提出期限と合計表の欄を見る
  2. 退職の理由を「死亡退職(遺族に支払う)」に、金額を 5000000 に変える

👀 提出期限が「退職後1か月以内(…まとめて令和9年2月1日(月)までに出してもよい)」から「支払った日の属する月の翌月15日まで」に変わり、合計表の説明が「この調書専用の合計表…を付けます」になります。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて法定調書ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

法定調書ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例1給与支払報告書を省略できる中途退職者には、源泉徴収票も不要?不要ではない。省略できるのは市区町村への提出だけで、本人へは退職後1か月以内に渡す。給与だけの会社は合計表も不要
設例2税抜で対象外・税込で対象の報酬は、どちらが正しい?どちらも正しい。消費税等が明確に区分されていれば税抜で判定でき、支払者が選ぶ。法人への報酬も5万円超なら出す
設例3死亡退職金も退職所得の源泉徴収票を1枚足して出す?出さない。相続税法の「退職手当金等受給者別支払調書」を、受給者ごとに100万円超なら翌月15日までに専用の合計表を付けて出す
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。中途退職者は提出の省略と本人交付は別、報酬は法人でも5万円超なら出す、死亡退職金は相続税法の別の調書。3社とも、最後に合計表が要るかを確かめたね。
ハルカ
3社に同じ物差しを当てると、迷う場所がいつも「例外の人」でした。中途退職のPさん、税抜で判定したデザイナーさん、亡くなった従業員の方。全員分の表を作るとき、まず例外の人に印を付けようと思います。
先生
印を付ける習慣は、どの設例にも効くよ。例外の人を先に判定しておけば、残りは表のとおりに流せるんだ。
ハルカ
来年の1月は、例外の人の名前を付せんに書いて、モニターの縁に貼っておきます。……付せんが多すぎて画面が見えなくなったら、それはそれで問題ですね。
先生
付せんが多い会社ほど、この設例が役に立つよ。次の設例編では、不動産の家賃と更新料、電子で出す調書の数え方、出したあとの訂正を見ていこうか。

参考資料

国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和8年8月)とその正誤表、国税庁「源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A」(令和8年4月)、所得税法第225条・第226条・第228条の4、相続税法第59条、国税庁 質疑応答事例「死亡退職した場合の『退職手当金等受給者別支払調書』の記載方法と提出省略範囲」、国税庁 手続案内「退職手当金等受給者別支払調書(同合計表)」。確認日:2026年10月30日。ラボと記事の設例はすべて学習用の独自の数値で、令和8年分(令和9年に提出する分)として、手引が扱う6種類の調書と合計表の範囲で判定しています(非居住者・外国法人への支払、診療報酬、馬主の賞金、公共事業施行者等の買取りなどは扱いません)。公認会計士・税理士が監修しています。
動画で聞く:法定調書【基礎編】6種類の調書・みなし提出・金額基準・合計表・30枚を図で(YouTube・10分)
動画で聞く:法定調書【応用編】提出範囲の改正・退職金の全員提出・報酬と不動産の基準・給与の30枚の数え方を図で(YouTube・9分)
このシリーズの記事:法定調書ラボ【基礎編】/法定調書ラボ【応用編】/法定調書ラボ【設例・不動産・提出と訂正編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。