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役員給与ラボ③【設例・会計と法人税編】|先生と一緒に図で学ぶ設例 基礎1〜3 ストック・オプション・譲渡制限付株式・PSUの仕訳と損金

役員給与ラボ③【設例・会計と法人税編】|先生と一緒に図で学ぶ設例 基礎1〜3 ストック・オプション・譲渡制限付株式・PSUの仕訳と損金

無料の学習ツール「役員給与ラボ③【株式報酬・会社法・会計編】」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、株式報酬の会計と法人税の設例(設例・基礎1〜3)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・会計と法人税編で追う3つの設例(独自の数値)
設例・基礎1A社のSO。取締役10名に1,000個、行使価額1円、評価単価@300。3年在任で840個が確定、4年目に800個を行使・40個が失効
設例・基礎2B社のRS。取締役6名に3,000株を無償交付、@1,000。1名の退任で600株を没収し、3年目末に2,400株の制限を解除
設例・基礎3C社のPSU(事後交付型)。最大2,000株、@1,200。達成率75%で確定し、1,500株を新株で交付
はじめに

今日の題材 ── 3つの株式報酬を、仕訳と別表四で追う

📍 ラボの場所:設例タブ 設例・基礎1〜3
ハルカ
先生、基礎編では4つの物差しを見ました。設例編は何から始めますか。
先生
会計の仕訳と、法人税の損金の時期を、年ごとに追うんだ。SO・RS・PSUの3つを並べると、相手勘定と損金の日の違いがはっきりするよ。
ハルカ
3つとも「3年で費用にする」のは同じでしたよね。
先生
そう、そこは同じなんだ。違うのは、純資産のどこに積むかと、法人税で損金になる日だよ。設例タブを開いて、設例・基礎1から読んでいこうか。
ラボの設例タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎1 ラボの画面
付与数×単価 300,000円当期 90,000累計 90,000見込数 900個1年目末当期 80,000累計 170,000見込数 850個2年目末当期 82,000累計 252,000見込数 840個3年目末(確定)
累計 = @300 × 850個 × 2/3 = 170,000 当期 = 170,000 − 90,000 = 80,000
🧾 2年目末
決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用80,000新株予約権80,000

失効の見込みが 100個から 150個に増えたので、見直し後の数で累計を出し直し、差額を当期の費用にする(第7項(2))。

累計 = @300 × 840個 × 3/3 = 252,000 当期 = 82,000
🧾 3年目末(権利確定日)
決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用82,000新株予約権82,000

権利確定日には、数を権利確定数に一致させる(第7項(3))。新株予約権の残高は 252,000。

設例・基礎1

SO:見込数を見直しながら3年で配分

📍 ラボの場所:設例タブ 設例・基礎1 ステップ①〜③
ハルカ
1年目末は@300×900個×1/3で90,000。2年目末は失効の見込みが150個に増えて、@300×850個×2/3の累計170,000から90,000を引いた80,000です。
先生
見込みが変わった期に、累計を出し直して差額を当期にするんだ(SO基準第7項(2))。3年目末は確定数840個に合わせて、累計252,000、当期82,000だよ。
迷いポイント 見込みが変わったら、1年目の費用までさかのぼって直す?
ハルカ
1年目の90,000は900個で計算したので、850個で計算し直して訂正するのだと思っていました。
先生
過去の期は直さないんだ。見直した期に、累計との差額をまとめて計上するよ。だから2年目の80,000には、1年目の分の修正も入っているんだ。
💡 そうだったのか!
見込数を見直したら、見直した期に累計との差額をまとめて計上します。過去の期の費用は直しません。
設例・基礎1をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例・基礎1 ラボの画面
90,0001年目加算 90,00080,0002年目加算 80,00082,0003年目(確定)加算 82,000利益 12,000240,0004年目(行使)減算 252,000会計の費用法人税の損金
🧾 4年目
800個を行使(新株発行)
借方金額貸方金額
新株予約権240,000資本金・資本準備金240,800
現金預金800
行使期間の満了:40個が失効
借方金額貸方金額
新株予約権12,000新株予約権戻入益12,000

行使分は新株予約権を払込資本に振り替える(第8項)。権利不行使で失効した分は、失効が確定した期の利益にする(第9項)。

損金 = 交付された時の価額 @300 × 行使 800個 = 240,000(4年目)
期別表四金額処分
1〜3年目加算252,000留保
4年目減算240,000留保
4年目減算(戻入益の益金不算入)12,000留保

A社は上場会社で、行使で市場価格のある株式が交付される(適格新株予約権)。前提のとおり第34条第1項の形の要件を満たすので、損金になる。時期は、非適格SOなら役員の行使の日に役務の提供を受けたものとみなす(法人税法第54条の2第1項)。額は交付された時の価額(法人税法施行令第111条の3第3項)。

失効した分の戻入益は益金不算入(第54条の2第3項)。3つを合わせると、加算の残高はゼロに戻る。

💡 役員は行使時に(1,500−1)×800株 = 1,199,200 が給与所得の収入金額(所得税法施行令第84条第3項)。

設例・基礎1

SO:行使と失効、法人税は行使の年

📍 ラボの場所:設例タブ 設例・基礎1 ステップ④・⑤
ハルカ
4年目に800個が行使されて、新株予約権240,000と払込み800で資本金等240,800。残りの40個は失効して、新株予約権戻入益12,000です。
先生
行使分は払込資本へ振り替え、失効分は利益にするんだ(SO基準第8項・第9項)。法人税は、行使日に損金240,000だよ(法人税法第54条の2第1項)。
ハルカ
非適格SOなら、どの会社でも行使日に損金になるんですね。
先生
そこは気をつけようか。第54条の2が決めるのは時期で、損金になるかは第34条で判定するんだ。A社は上場で、その要件を満たす前提だよ。非上場会社が市場価格のない自社株を交付するSOは、非適格でも原則として損金にならないんだ。
迷いポイント 失効した分の戻入益12,000も、法人税の益金になる?
ハルカ
会計で利益になったのだから、法人税でも益金だと思っていました。
先生
その戻入益は益金不算入なんだ(第54条の2第3項)。1〜3年目の加算252,000から、行使分240,000と戻入益12,000を減算すると、残高はゼロに戻るよ。
ハルカ
40個も行使されずに失効するなんて、プレゼントの箱を開けずに捨てられた気分です。
先生
会社の側では利益が出るけれど、法人税では益金にしないんだ。役員は行使した800株分、(1,500−1)×800で、1,199,200が給与所得の収入金額だよ。
💡 そうだったのか!
第34条の形に当たる非適格SOは行使日に損金。失効分の戻入益は益金不算入で、加算の残高はゼロに戻ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例タブで「設例・基礎1」を開く
  2. ステップ「⑤ 法人税 ── 行使の年にまとめて損金」を押す

👀 別表四の表に「1〜3年目 加算 252,000」「4年目 減算 240,000」「戻入益の益金不算入 12,000」が並び、3つを合わせて残高がゼロになります。

ラボを開く ▶
📘 設例・基礎2 ラボの画面
資本金等1,000,0001年目末資本金等1,600,0002年目末資本金等2,400,0003年目末
費用 = @1,000 × 3,000株 × 1/3 = 1,000,000
🧾 1年目末
決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用1,000,000資本金・資本準備金1,000,000
累計 = @1,000 × 2,400株 × 2/3 = 1,600,000 当期 = 600,000
🧾 2年目末
決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用600,000資本金・資本準備金600,000

没収の見込みが生じたので株数を見直し、累計との差額を当期に計上(第8項(2))。没収で株を無償取得したときは自己株式の無償取得として処理(第11項)。

設例・基礎2

RS:割当日は仕訳なし、没収の見込みは株数で

📍 ラボの場所:設例タブ 設例・基礎2 ステップ①〜③
ハルカ
B社は3,000株を新株で交付しましたが、割当日は仕訳なし。1年目末に@1,000×3,000株×1/3で、費用と資本金等が1,000,000です。
先生
事前交付型は、サービスを受けた分だけ資本金・資本準備金に計上するんだ(実務対応報告第41号第9項)。2年目は1名の退任見込みで、株数を2,400株に見直すよ。
迷いポイント 没収を見込んだら、その株をすぐ自己株式にする?
ハルカ
600株は会社に戻ってくるのだから、2年目に自己株式の仕訳を切るのだと思っていました。
先生
見込みの段階では、費用の計算の株数を減らすだけなんだ(第8項(2))。実際に没収して株を無償で取得したときに、自己株式の無償取得として処理するよ(第11項)。
ハルカ
株主名簿には載ったのに、帳簿の上では割当日に何も起きない。株主なのに透明人間みたいです。
先生
帳簿に出てくるのは、サービスを受けた分だけなんだ。だから1年目末に、1,000,000が初めて出てくるよ。
💡 そうだったのか!
没収の見込みは費用を計算する株数で反映。実際に没収したときに、自己株式の無償取得として処理します。
設例・基礎2をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例・基礎2 ラボの画面
1,000,0001年目加算 1,000,000600,0002年目加算 600,000800,0002,400,0003年目(解除)減算 1,600,000—会計の費用法人税の損金
🧾 3年目末
決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用800,000資本金・資本準備金800,000
法人税の損金 = 交付時の価額 @1,000 × 解除 2,400株 = 2,400,000(3年目にまとめて)
期別表四金額処分
1年目加算1,000,000留保
2年目加算600,000留保
3年目減算1,600,000留保

役員に給与等課税額が生ずることが確定した日(解除日)に役務の提供を受けたものとみなす(法人税法第54条第1項)。没収した 600株分は損金不算入(第54条第2項)。

💡 役員は解除日の株価で @1,400 × 2,400株 = 3,360,000 が給与所得の収入金額(所得税法施行令第84条第1項)。会社の損金(交付時の価額)とは一致しない。

設例・基礎2

RS:解除の年にまとめて損金

📍 ラボの場所:設例タブ 設例・基礎2 ステップ④
ハルカ
3年目末の費用は800,000。法人税の損金は、交付時の価額@1,000×解除2,400株で2,400,000を、3年目にまとめて計上します。
先生
解除日に役務の提供を受けたものとみなすんだ(法人税法第54条第1項)。1・2年目の加算1,000,000と600,000を、3年目に1,600,000の減算で戻すよ。
ハルカ
別表四・五(一)ラボで、賞与引当金を加算して翌期に減算したのと同じ形ですね。
先生
よく思い出したね。どちらも時期のずれだから、加算・留保で別表五(一)に残して、損金になる年に減算するんだ。
迷いポイント 役員の給与所得も、会社の損金と同じ2,400,000?
ハルカ
同じ株なので、役員の給与所得も2,400,000だと思っていました。
先生
役員は解除日の株価で課税されるから、給与所得の収入金額は@1,400×2,400株で3,360,000なんだ(所得税法施行令第84条第1項)。会社の損金は交付時の価額だから、一致しないよ。
💡 そうだったのか!
RSの損金は交付時の価額×解除数で解除の年に計上。役員の給与所得の収入金額は解除日の株価で計算するので、金額は一致しません。
設例・基礎2をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 設例・基礎3 ラボの画面
株式引受権800,0001年目末株式引受権1,200,0002年目末株式引受権1,800,0003年目末資本金等1,800,000交付日振替
期見込数(期末)費用の累計当期の費用
1年目2,000株800,000800,000
2年目1,500株1,200,000400,000
3年目1,500株1,800,000600,000
🧾 1年目末
決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用800,000株式引受権800,000

株を交付するまでは、純資産の株主資本以外の項目「株式引受権」に積み上げる(実務対応報告第41号第15項)。見込みの交付数が変われば数を見直す(第8項の準用)。

🧾 交付日(新株発行)
1,500株を交付
借方金額貸方金額
株式引受権1,800,000資本金・資本準備金1,800,000

割当日に新株を発行したら、株式引受権の額を資本金・資本準備金に振り替える(第16項)。自己株式を処分するときは処分差額の処理になる(第18項)。

法人税は、業績で交付数が決まる業績連動給与の形。要件をすべて満たせば交付時に損金(法人税法第34条第1項第3号)。損金の額は交付時の市場価格が基礎(法人税基本通達9-2-20の2)。設例・応用3で計算する。

設例・基礎3

PSU:株式引受権に積み、交付日に振り替える

📍 ラボの場所:設例タブ 設例・基礎3 ステップ①・②
ハルカ
1年目末は達成率100%で2,000株、@1,200×2,000株×1/3で800,000。2年目末に75%の1,500株へ下方修正して、当期は400,000です。
先生
後で株を渡す事後交付型は、交付までの相手勘定が株式引受権なんだ(実務対応報告第41号第15項)。3年目末の累計は1,800,000だよ。
迷いポイント 事後交付型も、毎年の費用の相手は資本金?
ハルカ
設例・基礎2のRSと同じく、資本金・資本準備金に積むのだと思っていました。
先生
まだ株を発行していないから、株主資本以外の株式引受権に積むんだ。交付日に1,500株を新株で発行して、1,800,000を資本金・資本準備金へ振り替えるよ(第16項)。
ハルカ
株式引受権は、3年間ずっと交付日を待っていたんですね。待ち合わせ場所で3年…。
先生
待ち時間は長いけれど、行き先は資本金等で決まっているんだ。法人税では、業績で数が決まるので業績連動給与の要件を満たすかを確かめようか。
💡 そうだったのか!
事後交付型は交付まで株式引受権に積み、交付日に資本金等へ振り替えます。法人税では業績連動給与の要件を確かめます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 基礎タブの基礎6の図の上のボタンで「事後交付型(RSU・PSU)」を押す

👀 株式引受権が 800,000 → 1,200,000 → 1,800,000 と積み上がり、交付日に資本金等 1,800,000 へ振り替わる流れが出ます。

ラボを開く ▶
設例・基礎3をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて役員給与ラボ③【株式報酬・会社法・会計編】の画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

役員給与ラボ③【株式報酬・会社法・会計編】を開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例・基礎1見込みが変わったら過去の費用を直す?直さない。見直した期に累計との差額を計上
設例・基礎1失効分の戻入益も益金?益金不算入(法人税法第54条の2第3項)。加算の残高はゼロに戻る
設例・基礎2没収を見込んだらすぐ自己株式にする?見込みは株数で反映。実際の没収時に自己株式の無償取得
設例・基礎2役員の給与所得も会社の損金と同じ額?損金は交付時の価額、給与所得の収入金額は解除日の株価。一致しない
設例・基礎3事後交付型も費用の相手は資本金?交付まで株式引受権。交付日に資本金等へ振り替え
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。3つとも費用は3年で配分するけれど、積む場所は新株予約権・資本金等・株式引受権に分かれるんだ。法人税は、第34条の形の要件を満たせば、行使日・解除日・交付日を基本に損金にするよ。
ハルカ
基礎編では「いつ」がずれると聞いただけでしたが、今日は加算と減算の金額で、ずれが最後にゼロに戻るところまで確かめられました。
先生
金額でゼロに戻ることを確かめたなら、別表五(一)の残高も自信を持って説明できるね。
ハルカ
ゼロに戻ると分かった瞬間、家計簿の残高が1円まで合ったときと同じ顔になっていたと思います。
先生
その顔は大事にしようか。次の設例・要件判定・所得税・会社法編では、業績連動給与の要件、税制適格SO、総会議案を見ていこうか。

参考資料

会社法第202条の2・第236条・第361条、会社法施行規則第98条の2〜第98条の5、法人税法第34条・第54条・第54条の2、法人税法施行令第69条・第111条の2・第111条の3(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版)、法人税基本通達9-2-15の2・9-2-16の2・9-2-18・9-2-20(国税庁)、所得税法施行令第84条、租税特別措置法第29条の2、企業会計基準第4号「役員賞与に関する会計基準」・第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」(企業会計基準委員会)。確認日:2026年10月30日。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例です。3つの形(定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与)は役員給与ラボ①【損金算入編】、過大な役員給与と退職給与は役員給与ラボ②【過大・退職給与編】で扱っています。
動画で聞く:役員給与③【基礎編】株式報酬の4つの物差し・ストック・オプション・譲渡制限付株式・業績連動給与を図で(YouTube・13分)
動画で聞く:役員給与③【応用編】業績連動給与の細部・届出不要の2つの1か月・没収と失効・税制適格SOの要件を図で(YouTube・13分)
このシリーズの記事:役員給与ラボ③【基礎編】/役員給与ラボ③【設例・要件判定・所得税・会社法編】/役員給与ラボ③【応用編】/役員給与ラボ③【設例・応用編】/役員給与ラボ③【税務調整編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。