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役員給与ラボ③【設例・応用編】|先生と一緒に図で学ぶ設例 応用1〜6 没収・条件変更・PSUの損金・退任時解除・年間限度額

役員給与ラボ③【設例・応用編】|先生と一緒に図で学ぶ設例 応用1〜6 没収・条件変更・PSUの損金・退任時解除・年間限度額

無料の学習ツール「役員給与ラボ③【株式報酬・会社法・会計編】」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、予定どおりにいかないときの設例(応用1〜6)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・応用編で追う6つの設例(独自の数値)
応用1B社のRS 3,000株(@1,000)。没収を見込まずに2年を過ごし、3年目に1名の退任で600株を没収。2,400株を解除(解除日の株価1,400円)
応用2A社のSO(@300、確定840個)。2年目末に行使価額を引き下げ、条件変更日の単価は360円。4年目に800個を行使、40個が失効
応用3C社のPSU。@1,200、達成率75%で1,500株に確定。4年目に新株を交付(交付日の株価1,500円)
応用4H社のRS 2,000株。6月25日の定時総会で決議、7月20日に交付。3年在任なら全部解除、途中退任なら全部没収(勤務条件のみ)
応用5G社のRS 1,000株(@2,000)。退任日に譲渡制限を解除する設計。退任までの期間は3年と見積もる
応用6E社(非上場・設立20年以上)の税制適格SO 30,000個(行使価額500円)。同じ年に20,000個と10,000個の2回に分けて行使
はじめに

今日の題材 ── 予定どおりにいかないときの6つの設例

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用1〜6
ハルカ
先生、設例・基礎の6つの設例では、会計と法人税が最後にそろうところまで見ました。応用の設例は何が違うのですか。
先生
応用は「予定どおりにいかないとき」を集めたんだ。没収、条件変更、業績で数が変わる株、退任で解ける株、そして税制適格の枠を超える行使だよ。
ハルカ
応用編で「役員に課税されたかで損金が決まる」と習ったので、今回はその理由で説明できる気がします。
先生
その一つの理由で読める設例が多いよ。ただ、応用2と応用3には「戻らない差」が出てくるんだ。設例・応用タブを開いて、応用1から読んでいこうか。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 応用1 ラボの画面
1,000,0001年目加算 1,000,0001,000,0002年目加算 1,000,000400,0002,400,0003年目(解除)減算 2,000,000会計の費用法人税の損金
3年目末の累計 = @1,000 × 2,400株 × 3/3 = 2,400,000 当期 = 2,400,000 − 2,000,000 = 400,000
期見込数(期末)費用の累計当期の費用
1年目3,000株1,000,0001,000,000
2年目3,000株2,000,0001,000,000
3年目2,400株2,400,000400,000
🧾 3年目
3年目末の決算
借方金額貸方金額
株式報酬費用400,000資本金・資本準備金400,000

没収した600株は自己株式の無償取得。数だけが増えて帳簿価額は増えないので、金額の仕訳は出ない(実務対応報告第41号第11項、自己株式等会計適用指針第14項)。

没収が確定したら、確定した株数 2,400株で累計を出し直し、差額を3年目の費用にする(第8項)。1・2年目の費用は直さない。

1・2年目に多めに計上していた 400,000(没収600株の2年分)が、3年目の費用の減少として現れる。

損金 = 交付時の価額 @1,000 × 解除 2,400株 = 2,400,000(3年目)
期別表四金額処分
1年目加算1,000,000留保
2年目加算1,000,000留保
3年目減算2,000,000留保

解除日に役務の提供を受けたものとみなし、交付時の価額×解除数が損金(法人税法第54条第1項、法人税法施行令第111条の2第4項第1号)。

没収した600株は、役員に給与等課税額が生じないので、その分の費用・損失は損金不算入(第54条第2項)。会計では3年目の費用の減少として織り込まれているため、別表四に没収のための調整は出ない。

3年の合計:加算 2,000,000 − 減算 2,000,000 = 0。会計の費用の累計 2,400,000 と損金 2,400,000 が一致する。

💡 役員は解除日の株価で @1,400 × 2,400株 = 3,360,000 が給与所得の収入金額(所得税法施行令第84条第1項)。退任した役員には課税が生じない。

応用1

RSの没収が3年目に起きたとき ── 見込みなし → 実際の没収

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用1 ステップ②・③
ハルカ
1・2年目は没収の見込みがないので@1,000×3,000株×1/3で1,000,000ずつ。3年目に600株を没収して、累計は@1,000×2,400株で2,400,000、当期は400,000です。
先生
確定した株数で累計を出し直して、差額を3年目の費用にするんだ(実務対応報告第41号第8項)。1・2年目に多めに計上していた400,000が、3年目の費用の減少として現れるよ。
ハルカ
設例・基礎2のB社は、2年目末に600株の没収を見込んで2年目の費用を600,000にしていました。今回は見込まないまま3年目を迎えたのですね。
先生
そう、同じB社の数字で、見込む時期だけが違うんだ。3年の合計2,400,000は設例・基礎2と同じになるよ。
迷いポイント 没収が3年目に分かったら、1・2年目の費用を直して訂正する?
ハルカ
2年分で400,000も多く計上していたので、さかのぼって訂正するものだと思っていました。
先生
過去の期は直さないんだ。見積りの変更は、見直した期に累計との差額をまとめて計上するよ。没収した600株は自己株式の無償取得で、数だけ増えて帳簿価額は増えないから、金額の仕訳も出ないんだ(実務対応報告第41号第11項)。
ハルカ
法人税は、3年目に交付時の価額@1,000×解除2,400株で2,400,000が損金。会計の費用400,000との差2,000,000を減算すると、1・2年目の加算2,000,000がちょうど戻ります。
先生
没収した600株分は役員に課税されないので損金不算入だけれど(法人税法第54条第2項)、会計でも3年目の費用の減少として織り込まれているから、別表四に没収のための調整は出ないんだ。
ハルカ
役員の方は、解除日の株価@1,400×2,400株で3,360,000が給与所得の収入金額。途中退任で没収された600株については、給与所得の課税が生じないのですね。
💡 そうだったのか!
没収が分かったら、見直した期に確定数で累計を出し直し、差額をその期の費用にします。法人税は解除分だけが損金で、没収分は会計でも費用に入らないので別表四の調整は出ません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブで「② RSの会計と損金の時期」を開き、プリセット「見込まずに3年目に没収」を押す
  2. 「3年目末の解除株数」を 3,000 にする

👀 最初は3年目の費用 400,000、別表四は「3年目 減算 2,000,000」。3,000株にすると3年目の費用が 1,000,000、会計の費用の合計と法人税の損金がともに 3,000,000 になり、減算は 2,000,000 のままです。

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応用1をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 応用2 ラボの画面
付与数×単価 300,000当期 90,000累計 90,000見込数 900個1年目末当期 80,000累計 170,000見込数 850個2年目末当期 132,400累計 302,400見込数 840個3年目末(確定)
🧾 3年目末
決算(当初分+追加分)
借方金額貸方金額
株式報酬費用132,400新株予約権132,400
損金(4年目・行使時) = 交付時の価額 @300 × 行使 800個 = 240,000
期別表四金額処分
1〜3年目加算302,400留保
4年目減算240,000留保
4年目減算(戻入益の益金不算入)14,400留保

特定新株予約権の損金算入額は「交付された時の価額」が基礎(法人税法施行令第111条の3第3項)。会計の追加費用 50,400 のうち、行使された 800個分 48,000 は損金にならず、加算のまま残る。

失効した40個分の戻入益(当初分 12,000+追加分 2,400)は益金不算入(第54条の2第3項)。

⚠ 条件変更を新たな新株予約権の交付とみるかどうかで、交付時の価額の読み方が変わり得る。契約の形(変更か取消し・再付与か)と合わせて確認する。

💡 役員は行使時に(1,500−1)×800株 = 1,199,200 が給与所得の収入金額(所得税法施行令第84条第3項)。条件変更で変わるのは行使価額であり、課税の時期は変わらない。

応用2

SOの条件変更 ── 単価が上がる分だけ追加の費用、損金は交付時の価額

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用2 ステップ②・③
ハルカ
2年目末に行使価額を引き下げて、条件変更日の単価が360円。付与日の300円を60円上回る分×確定840個で50,400を、残存期間の3年目に追加して、3年目の費用は82,000+50,400=132,400です。
先生
条件変更日の単価が付与日の単価を上回る場合、その増加分を以後の残存期間に追加で費用にするんだ(SO基準第10項(1))。
迷いポイント 条件変更で単価が上がったら、付与日からの費用を全部360円で計算し直す?
ハルカ
1・2年目の90,000と80,000も、360円で計算し直すのだと思っていました。
先生
付与日の単価300円による費用計上はそのまま続けて、増加分だけを追加するんだ。逆に、条件変更日の単価が300円以下なら追加の費用はなくて、付与日の単価で計上を続けるよ(同(2))。
ハルカ
株価が下がって行使価額を下げたのに、会計の費用は増える…。値引きセールをしたら、自分の支払いが増えた気分です。
先生
増えた分は、会社が役員に渡す価値が増えたからなんだ。役員の課税の時期は変わらず、行使時だよ。
ハルカ
法人税は4年目に交付時の価額@300×行使800個で240,000。設例・基礎1では、行使分240,000と戻入益12,000を減算して加算の残高がゼロに戻りました。今回は追加の費用50,400がありますから…。
先生
そこが「戻らない差」なんだ。損金算入額は交付時の価額が基礎だから(法人税法施行令第111条の3第3項)、追加費用50,400のうち行使された800個分の48,000は損金にならず、加算のまま残るよ。
ハルカ
失効した40個分の戻入益は、どうなりますか。
先生
当初分12,000+追加分2,400の14,400で、これは益金不算入だよ(法人税法第54条の2第3項)。
💡 そうだったのか!
条件変更で単価が上がった分だけ残存期間に追加します。法人税の損金は交付時の価額が基礎なので、追加分の行使された部分は加算のまま残ります。
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📘 応用3 ラボの画面
800,0001年目加算 800,000400,0002年目加算 400,000600,0003年目加算 600,0002,250,0004年目(交付)減算 2,250,000会計の費用法人税の損金
期見込数(期末)費用の累計当期の費用
1年目2,000株800,000800,000
2年目1,500株1,200,000400,000
3年目1,500株1,800,000600,000
🧾 交付日(新株発行)
1,500株を交付
借方金額貸方金額
株式引受権1,800,000資本金・資本準備金1,800,000

会計は付与日の単価 @1,200 × 確定数 1,500株 = 1,800,000 を3年で配分し、交付日に株式引受権から資本金等へ振り替える(実務対応報告第41号第15・16項)。交付日の株価は使わない。

損金(交付時) = 交付時の市場価格 @1,500 × 1,500株 = 2,250,000
期別表四金額処分
1年目加算800,000留保
2年目加算400,000留保
3年目加算600,000留保
4年目(交付)減算2,250,000留保
会計の費用の累計
1,800,000
付与日の単価が基礎
法人税の損金
2,250,000
交付時の市場価格が基礎
差
450,000
留保の残高(△)として残る

業績連動給与として適格株式を交付する場合、引当金の取崩しで経理していても、損金算入の対象となる給与の額は交付時の市場価格を基礎に算定した額(法人税基本通達9-2-20の2)。

1〜3年目の加算 1,800,000 と4年目の減算 2,250,000 の差 450,000 は、留保の残高(△)として別表五(一)に残る。株式の発行による資本金等の額が、税務では交付時の価額(法人税法施行令第8条第1項第1号)、会計では付与日の単価で決まることの裏返しで、利益積立金額と資本金等の額の区分の問題になる。

💡 役員は交付時に @1,500 × 1,500株 = 2,250,000 が給与所得の収入金額。会社の損金と同じ基礎になる。

応用3

PSUの損金算入額 ── 会計は付与日の単価、法人税は交付時の市場価格

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用3 ステップ①・②
ハルカ
会計は付与日の単価@1,200×確定1,500株で1,800,000を3年で配分して、交付日に株式引受権から資本金等へ振り替え。設例・基礎3と同じ流れです。
先生
会計はそこまで同じなんだ。違うのは法人税の損金の額だよ。
迷いポイント PSUの損金算入額は、会計の費用の累計1,800,000と同じ?
ハルカ
RSと同じで、加算と減算が最後に一致するのだと思っていました。
先生
業績連動給与として適格株式を交付する場合、損金算入の対象になる給与の額は交付時の市場価格を基礎に算定した額なんだ(法人税基本通達9-2-20の2)。@1,500×1,500株で2,250,000だよ。
ハルカ
1〜3年目の加算1,800,000と4年目の減算2,250,000では、450,000が合いません。
先生
その差450,000が、留保の残高(△)として別表五(一)に残るんだ。
ハルカ
ゼロに戻らない残高は、どこへ行くのですか。
先生
株式の発行による資本金等の額が、税務では交付時の価額で決まり(法人税法施行令第8条第1項第1号)、会計では付与日の単価で決まることの裏返しなんだ。利益積立金額と資本金等の額の区分の問題として、別表五(一)で整理するよ。
ハルカ
役員の課税も、交付時の株価ですか。
先生
そう、交付時に@1,500×1,500株の2,250,000が給与所得の収入金額で、会社の損金と同じ基礎だよ。
💡 そうだったのか!
PSUの損金算入額は交付時の市場価格×交付数。会計の累計との差450,000は留保の残高として残り、利益積立金額と資本金等の額の区分の問題になります。
応用3をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 応用4 ラボの画面
Q1 業績で「数」が変わる?いいえQ2 株は市場価格のある株(適格株式)?はいQ3 職務開始から1か月以内に決議し、1か月以内に交付?はい結論:事前確定届出給与(届出は不要)
×
業績で「数」が変わる?没収の事由は在任(役務の提供期間)だけ。業績指標で無償取得する数は変わらない
○
確定した数の株を交付する定め?2,000株(法人税法第34条第1項第2号)
○
市場価格のある株(適格株式)?上場会社の株(同号ロ)
事前確定届出給与の対象(届出の要否を次で判定)

無償取得の事由が「所定の期間勤務を継続しないこと」のような勤務の状況だけなら、業績連動給与(第34条第5項)には当たらず、確定した数の株を交付する事前確定届出給与として判定する。

⚠ 比べてみる:無償で取得する数が業績指標に応じて変動するRS(達成率に応じて50%・100%を没収する設計や、未達なら全部を没収する設計)は、第34条第1項のどの給与にも当たらず損金にならないとされている(法人税基本通達9-2-16の2)。「全部か0か」でも、没収の数が業績で変わる以上、この通達との関係が問題になるので、業績条件を付けたいなら要件を満たす業績連動給与(PSUなど)の形で設計する。

💡 金銭の賞与などを「目標を達成したら全額支給、達しなければ支給しない」と定める形は、業績連動給与ではなく事前確定届出給与の対象になる(法人税基本通達9-2-15の5)。交付済みの株を業績で没収する設計とは区別する。

○
職務執行の開始の日から1か月以内の決議?職務執行の開始の日は定時総会の開催日6月25日(法人税基本通達9-2-16)。その日の決議
○
決議の日から1か月以内に交付?6月25日の決議 → 7月20日の交付(1か月以内)
○
将来の役務提供に係る株?3年間の在任が条件
届出は不要。解除日に「交付時の価額×解除数」を損金

3つを満たすので、届出なしで事前確定届出給与になる(法人税法施行令第69条第3項第1号)。

応用4

勤務条件だけのRSと、届出不要の2つの1か月

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用4 ステップ①・②
ハルカ
H社のRSは「3年在任なら全部解除、途中退任なら全部没収」。Q1「業績で数が変わる?」は「いいえ」で、確定した2,000株の事前確定届出給与。6月25日の総会決議、7月20日の交付で、届出は不要です。
先生
無償取得の事由が在任の状況だけなら、業績連動給与には当たらず、確定した数の株を交付する事前確定届出給与として判定するんだ。
迷いポイント 「全部か0か」の条件が付いたRSは、業績連動給与?
ハルカ
全部もらえるか、全部失うかの条件があるので、業績連動給与の仲間だと思っていました。
先生
条件の中身で分かれるんだ。在任だけなら、業績指標で没収の数は変わらないよ。
ハルカ
達成率に応じて50%・100%を没収する設計なら、どうなりますか。
先生
無償で取得する数が業績指標で変動するRSは、第34条第1項のどの給与にも当たらず、損金にならないとされているんだ(法人税基本通達9-2-16の2)。業績条件を付けたいなら、PSUのような業績連動給与の形で設計するよ。
ハルカ
応用編で習った「目標達成なら全額支給、未達なら不支給」の金銭賞与とは、どう違うのですか。
先生
それは所定の時期に給与を支給するかどうかを条件で決める形で、事前確定届出給与の対象なんだ(同9-2-15の5)。交付済みの株を業績で没収する設計とは区別するよ。
ハルカ
届出不要の方は、職務執行の開始の日が定時総会の開催日6月25日で、その日の決議。決議から1か月以内の7月20日に交付。将来の役務提供に係る株。3つとも○です。
先生
3つを満たすので、届出なしで事前確定届出給与になるんだ(法人税法施行令第69条第3項第1号)。解除日に交付時の価額×解除数が損金だよ。
💡 そうだったのか!
没収の事由が在任だけなら事前確定届出給与。業績で没収の数が変わるRSは第34条第1項のどの給与にも当たらないので、業績条件はPSUなどの形で設計します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・応用タブで「応用4」を開く
  2. ステップ「③ 変えてみる ── 交付が8月10日なら」を押す

👀 「決議の日から1か月以内に交付?」が ✖ になり、結論が「事前確定届出給与・業績連動給与に当たらない → 損金不算入」に変わります。届出をしていない株は、解除日になっても損金になりません。

ラボを開く ▶
応用4をラボで1ステップずつ見るラボで開く ▶
📘 応用5 ラボの画面
666,6671年目加算 666,667666,6662年目加算 666,666666,6672,000,0003年目(解除)減算 1,333,333会計の費用法人税の損金
期見込数(期末)費用の累計当期の費用
1年目1,000株666,667666,667
2年目1,000株1,333,333666,666
3年目1,000株2,000,000666,667
🧾 各年度末
決算(3年間)
借方金額貸方金額
株式報酬費用666,667資本金・資本準備金666,667

対象勤務期間は、退任までの期間を見積もって決める。見積りが変われば残存期間で調整する。

解除事由が「退任」でも、会計処理は通常の事前交付型と同じ(実務対応報告第41号第6〜9項)。

×
第34条第1項の「退職給与」?退任日に譲渡制限が解除されるRSは、所得税で退職手当等に該当する場合であっても、第34条第1項の「退職給与で業績連動給与に該当しないもの」には該当しない(法人税基本通達9-2-27の2)
○
事前確定届出給与(届出不要)の要件?職務開始から1か月以内の決議・決議から1か月以内の交付(法人税法施行令第69条第3項第1号)
事前確定届出給与として、解除日(退任日)に損金 2,000,000
期別表四金額処分
1年目加算666,667留保
2年目加算666,666留保
3年目(退任・解除)減算1,333,333留保

退職給与なら形の判定(第34条第1項)は要らないが、このRSは退職給与ではないので、3つの形のどれかに当てはめる。届出不要の要件を外すと損金不算入になる。

💡 所得税の側で退職所得になるかどうかは、法人税の判定とは別。②過大・退職給与編の応用(功績倍率法と株式報酬)も参照。

応用5

退任時に譲渡制限が解けるRS ── 法人税では退職給与にならない

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用5 ステップ①・②
ハルカ
G社のRSは退任日に解除する設計で、退任までの期間を3年と見積もって666,667・666,666・666,667と配分しています。
先生
対象勤務期間は退任までの期間を見積もって決めて、見積りが変われば残存期間で調整するんだ。解除事由が退任でも、会計処理は通常の事前交付型と同じだよ(実務対応報告第41号第6〜9項)。
迷いポイント 退任日に譲渡制限が解けるRSは、法人税でも退職給与?
ハルカ
退職金の代わりに渡す株なので、②で習った退職給与として、形の判定はいらないと思っていました。
先生
所得税で退職手当等に該当する場合であっても、法人税の第34条第1項の「退職給与」には当たらないんだ(法人税基本通達9-2-27の2)。だから3つの形のどれかに当てはめるよ。
ハルカ
所得税では退職金、法人税では在任中の給与…。同じ株が、出口で名札を2枚ぶら下げているんですね。
先生
名札が2枚だから、判定も2回なんだ。法人税の側は、職務開始から1か月以内の決議と決議から1か月以内の交付で届出不要の要件を満たすので、退任日に@2,000×1,000株の2,000,000が損金だよ。
ハルカ
別表四は1年目加算666,667、2年目加算666,666、3年目は損金2,000,000と会計の費用666,667の差で減算1,333,333。合計はゼロです。
先生
そのとおり。届出不要の要件を外すと損金不算入になるから、退任日に解ける設計でも、決議日と交付日は先に固めておこうか。
💡 そうだったのか!
退任日に解除されるRSは、所得税で退職所得になる場合でも法人税では退職給与ではありません。事前確定届出給与などの形で判定し、要件を満たせば退任日に損金です。
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📘 応用6 ラボの画面
その年の行使価額の合計 15,000,000 と 限度額 12,000,000限度額の枠内 20,000株10,000,000超える分 10,000株5,000,000限度額 12,000,000枠内:行使時は課税なし → 売却時に譲渡所得 30,000,000超える分:行使時に給与所得の収入金額 10,000,000、売却時に譲渡所得 5,000,000
行使行使価額の合計年間の累計判定
1回目(20,000個)10,000,00010,000,0001,200万円以下 → 非課税
2回目(10,000個)5,000,00015,000,0001,200万円を超えることとなる → 課税

1回目の行使で年間の累計は 10,000,000。限度額 12,000,000 以下なので、行使時の経済的利益に所得税はかからない(租税特別措置法第29条の2第1項本文)。

2回目の行使時の給与所得の収入金額 = (1,500 − 500)× 10,000株 = 10,000,000
非課税の対象(1回目)
20,000株
売却時の譲渡所得 30,000,000
課税の対象(2回目)
10,000株
行使時に給与所得の収入金額 10,000,000、売却時に譲渡所得 5,000,000
年間の行使価額の合計
15,000,000
限度額 12,000,000 を 3,000,000 超える

2回目の行使で累計が 15,000,000 となり、1,200万円を超える。条文は「1,200万円を超えることとなる特定新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益」を非課税の対象外としているので、超える300万円分だけでなく、2回目の行使 10,000個の全部が行使時に課税される(同項ただし書)。

⚠ 順番の設計:先に小さい行使をして枠を使い切り、後の行使が超えると、後の行使の全部が課税になる。年をまたいで行使すれば、年ごとに1,200万円の枠を使える。

💡 会社の側は、税制適格SOの費用は損金不算入(法人税法第54条の2第2項)。役員の側で一部が課税されても、会社の損金が自動的に生じるわけではないので、非上場のE社では会社の損金はない(設例・基礎5)。

応用6

税制適格SOの年間限度額 ── 超えることとなる「行使」は全部が課税

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用6 ステップ①・②
ハルカ
1回目の行使20,000個は行使価額の合計10,000,000で1,200万円以下、非課税。2回目の10,000個で累計15,000,000になって、1,200万円を超えます。
先生
設例・基礎5で見た年間の限度額を、2回に分けて行使したときの設例だよ。
迷いポイント 限度額を超えた300万円分だけが、行使時に課税される?
ハルカ
12,000,000までは非課税で、超えた3,000,000の分だけ給与所得になると思っていました。
先生
条文は「1,200万円を超えることとなる特定新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益」を非課税の対象外にしているんだ(租税特別措置法第29条の2第1項ただし書)。
ハルカ
「超えることとなる行使」…つまり、2回目の行使そのものですか。
先生
そう。超える300万円分ではなく、2回目の行使10,000個の全部が行使時に課税されるよ。(1,500−500)×10,000株で10,000,000が給与所得の収入金額だね。
ハルカ
レジで「割引券は1回1枚まで」と言われて2枚目を出したら、2枚目の買い物が全部定価になった感じですね。
先生
その感じだよ。先に小さい行使で枠を使うと、後の大きい行使が全部課税になるんだ。年をまたいで行使すれば、年ごとに1,200万円の枠を使えるよ。
ハルカ
設例・基礎5で、設立5年未満の会社なら2,400万円、設立5年以上20年未満の一定の会社なら3,600万円と習いました。E社が設立5年未満なら、どうなりますか。
先生
行使価額を2で除した額で比べるので、累計は7,500,000になって2回とも非課税なんだ。会社の側は税制適格SOの費用が損金不算入で(法人税法第54条の2第2項)、非上場のE社では会社の損金は生じないよ。
💡 そうだったのか!
年間の限度額を超えることとなる行使は、超える部分だけでなくその行使の全部が課税されます。行使の順番と年をまたぐ設計が効きます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・応用タブで「応用6」を開く
  2. ステップ「③ 変えてみる ── 設立5年未満の会社なら」を押す

👀 判定に使う額が「÷2」の列で 5,000,000・2,500,000 になり、年間の累計 7,500,000 で「2回とも非課税(実質2,400万円の枠)」と表示されます。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて役員給与ラボ③【株式報酬・会社法・会計編】の画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

役員給与ラボ③【株式報酬・会社法・会計編】を開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
応用13年目に没収が分かったら1・2年目を訂正する?直さない。見直した期に確定数で累計を出し直し、差額を当期に(第41号第8項)
応用2条件変更で単価が上がったら全部360円で計算し直す?付与日の単価で続け、増加分だけ残存期間に追加(SO基準第10項(1))。損金は交付時の価額が基礎
応用3PSUの損金は会計の累計1,800,000と同じ?交付時の市場価格@1,500×1,500株=2,250,000(基通9-2-20の2)。差450,000は留保の残高
応用4「全部か0か」のRSは業績連動給与?在任だけが条件なら事前確定届出給与。業績で没収数が変わるRSはどの給与にも当たらない(基通9-2-16の2)
応用5退任日に解けるRSは法人税でも退職給与?退職給与に当たらない(基通9-2-27の2)。事前確定届出給与などの形で判定
応用6限度額を超えた300万円分だけ課税?超えることとなる行使の全部(10,000個)が課税(措法第29条の2第1項ただし書)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。見積りの変更は見直した期に数で直し、損金は役員に課税されたかが出発点で、そのうえで第34条などの要件を確かめるんだ。条件変更の増加分とPSUの交付時の価額との差は「戻らない差」として別表五(一)に残るよ。
ハルカ
設例・基礎では「加算がゼロに戻る」ことばかり確かめていましたが、今日は戻らない差がどこへ行くかまで追えました。前は、ゼロに戻らないと計算を間違えたと思っていたはずです。
先生
戻らない差の行き先が資本金等の額の区分だと分かると、別表五(一)を見る目が変わるね。
ハルカ
パン屋のスタンプカードが9個で止まっているのですが、満タンにならなくても没収されないか、急に心配になりました。
先生
スタンプには業績条件も勤務条件もないから、3か月の期限だけ見ておけばいいんだ。次の税務調整編では、今日の加算と減算を別表四・別表五(一)の様式に書き込んでいこうか。

参考資料

会社法第202条の2・第236条・第361条、会社法施行規則第98条の2〜第98条の5、法人税法第34条・第54条・第54条の2、法人税法施行令第69条・第111条の2・第111条の3(e-Gov法令検索 令和8年10月1日施行版)、法人税基本通達9-2-15の2・9-2-16の2・9-2-18・9-2-20(国税庁)、所得税法施行令第84条、租税特別措置法第29条の2、企業会計基準第4号「役員賞与に関する会計基準」・第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」(企業会計基準委員会)。確認日:2026年10月30日。ラボと記事の数値は学習用の独自の設例です。3つの形(定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与)は役員給与ラボ①【損金算入編】、過大な役員給与と退職給与は役員給与ラボ②【過大・退職給与編】で扱っています。
動画で聞く:役員給与③【基礎編】株式報酬の4つの物差し・ストック・オプション・譲渡制限付株式・業績連動給与を図で(YouTube・13分)
動画で聞く:役員給与③【応用編】業績連動給与の細部・届出不要の2つの1か月・没収と失効・税制適格SOの要件を図で(YouTube・13分)
このシリーズの記事:役員給与ラボ③【基礎編】/役員給与ラボ③【設例・会計と法人税編】/役員給与ラボ③【設例・要件判定・所得税・会社法編】/役員給与ラボ③【応用編】/役員給与ラボ③【税務調整編】

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。