誰が相続人? 法定相続分
「家族の誰が、どれだけ相続する?」を、動く家系図で確かめる回です。最後に、相続税の「法定相続人の数」との違いも見ます。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 財産の合計 | 本来の相続財産+みなし相続財産−非課税財産(評価額で) |
| 各人の課税価格 | 1人ずつ:取得した財産+精算課税の贈与−債務・葬式費用+加算する暦年贈与 |
| 課税価格の合計 | 全員の課税価格を足したもの |
| 課税遺産総額 | 課税価格の合計−基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
| 相続税の総額 | 課税遺産総額を法定相続分で仮に分けて速算表を当て、足した家族全体の税額 |
| 算出税額 | 相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計 |
| 納付税額 | 算出税額に2割加算・税額控除をして、100円未満を切り捨てた各人が納める額 |
| 相続税法ラボ | 会話でハルカが「相続税法ラボで見ました」と言うのは、TaxJudgeの別の教材のことです。読んでいなくても、この講座だけで理解できます(リンク先は任意)。 |
| 所要時間 | 各回の「所要」は必修部分の目安です。「発展」と書いた部分や、体験・テストは時間に応じて取り組んでください。 |
🎧 動画で聞く誰が相続人?法定相続分・代襲相続・相続放棄を家系図で(8分)
第2回の先生とハルカの会話と図解を、そのまま講義動画にしました。相続人になる人と順位、法定相続分、代襲相続と相続放棄を家系図で扱います。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く)
はじめに:今日のゴール
配偶者は常に相続人、ほかの家族は子 → 父母 → 兄弟姉妹の順位で決まり、配偶者の取り分は1/2・2/3・3/4と変わる――この仕組みを、家系図を指でたどりながら説明できるようになること。
※ 法定相続分は、遺言で相続分の指定がないときの「分け方の目安」です。実際の分け方は遺言や遺産分割協議で決まります(第3回)。
図で見る:家族の形を変えると、相続人が変わる(5つのステップ)
家系図の見方
- 紺の枠:相続人(黄色の丸の数字が法定相続分)
- 灰色:家族だが、相続人ではない人
- 点線と ✝:先に亡くなっている人
- 赤:相続を放棄した人
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 配偶者と子
法定相続分:妻 1/2 子A 1/4 子B 1/4
STEP 2 第1順位なし→父母
法定相続分:妻 2/3 父 1/6 母 1/6
STEP 3 兄弟姉妹
法定相続分:妻 3/4 兄 1/8 妹 1/8 ※ 子・孫なども、父母・祖父母などもいない前提
STEP 4 代襲相続
法定相続分:妻 1/2 孫A1 1/8 孫A2 1/8 子B 1/4 相続税の「法定相続人の数」:4人(代襲相続人の孫は1人ずつ数える)→ 基礎控除 5,400万円
STEP 5 相続放棄
法定相続分:妻 1/2 子B 1/2 相続税の「法定相続人の数」:3人(放棄がなかったものとして数える)→ 基礎控除 4,800万円
順位と法定相続分のまとめ
| 順位 | 配偶者と一緒に相続する人 | 配偶者 | その人たち(全体) |
|---|---|---|---|
| 第1順位 | 子(先に死亡していれば孫などが代襲) | 1/2 | 1/2 を人数で均等に |
| 第2順位 | 直系尊属(父母。いなければ祖父母) | 2/3 | 1/3 を人数で均等に |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(先に死亡していればおい・めいが代襲) | 3/4 | 1/4 を人数で均等に(※) |
| ― | 上の順位の人が誰もいない | 全部 | ― |
※ 父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血)の2分の1です。先の順位の人が1人でもいれば、後の順位の人は相続人になりません。配偶者がいないときは、その順位の人たちで全部を分けます。
青山家で確かめる(講座の共通事例)
| 家族 | 相続人? | 法定相続分 |
|---|---|---|
| 母 美和 | 配偶者(常に相続人) | 1/2 |
| 長男 健太 | 子(第1順位) | 1/4 |
| 長女 由紀 | 子(第1順位) | 1/4 |
| 孫 陽向 | 相続人ではない(父の健太が健在なので代襲しない)。遺言で預金をもらう「受遺者」 | ― |
相続税の法定相続人の数:3人 → 基礎控除 3,000万円+600万円×3人=4,800万円(第7回で使う数字)
やってみよう:動く家系図
※ 学習用の目安です。父母がいないときは祖父母もいない前提です。養子・半血の兄弟姉妹・兄弟姉妹の代襲・相続欠格や廃除などは扱っていません。相続税の「法定相続人の数」には、養子の数の上限(実子がいれば1人、いなければ2人)もあります。これは普通養子などの一般則で、特別養子や配偶者の連れ子を養子にした場合などは実子とみなす例外があります。
よくある間違い
① 子は1人ずつ1/2
1/2は子全体の取り分です。子が2人なら1/4ずつ、3人なら1/6ずつに均等に分けます。② 放棄した子の子が代わりに相続
代襲相続の原因は先に死亡・相続欠格・廃除だけ。相続放棄では代襲は起きません。③ 放棄すると基礎控除の人数が減る
相続税の「法定相続人の数」は、放棄がなかったものとして数えます(相続税法15条2項)。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 配偶者は常に相続人。ほかは子(孫など)→ 直系尊属(父母、いなければ祖父母)→ 兄弟姉妹の順で、先の順位がいれば後の順位は相続人にならない。
- 配偶者の法定相続分は、相手が子なら1/2、父母なら2/3、兄弟姉妹なら3/4。残りを人数で均等に分ける。
- 子が先に亡くなっていれば、その子(孫)が代襲相続する。
- 相続放棄した人は初めから相続人でなかったことになり、代襲も起きない。
- ただし相続税の「法定相続人の数」は、放棄がなかったものとして数える。
参照条文・出典
参照条文:民法887条(子及びその代襲者等の相続権)、889条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)、890条(配偶者の相続権)、900条(法定相続分)、901条(代襲相続人の相続分)、939条(相続の放棄の効力)/相続税法15条2項(法定相続人の数)
参考資料:税務大学校『相続税法(基礎編)令和8年度版』(参考)民法の相続制度の概要 第2章(pp.123〜128)・第3章(pp.129〜130)、第3章第6節(p.35)(講本PDF)/国税庁タックスアンサー No.4152 相続税の計算
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。順位と法定相続分の表は講本 p.124・p.130 の表をもとにTaxJudgeが編集・加工しています(公共データ利用規約(第1.0版)に基づく加工)。出典:国税庁(税務大学校)「相続税法(基礎編)令和8年度版」
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年1月1日現在の法令に基づく学習用の解説であり、個別の相続については専門家にご確認ください。