財産評価の基礎(入口だけ)
「財産は、いつの・いくらで数える?」から、土地・建物・上場株式・預金の評価の考え方を確かめる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 財産の合計 | 本来の相続財産+みなし相続財産−非課税財産(評価額で) |
| 各人の課税価格 | 1人ずつ:取得した財産+精算課税の贈与−債務・葬式費用+加算する暦年贈与 |
| 課税価格の合計 | 全員の課税価格を足したもの |
| 課税遺産総額 | 課税価格の合計−基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
| 相続税の総額 | 課税遺産総額を法定相続分で仮に分けて速算表を当て、足した家族全体の税額 |
| 算出税額 | 相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計 |
| 納付税額 | 算出税額に2割加算・税額控除をして、100円未満を切り捨てた各人が納める額 |
| 相続税法ラボ | 会話でハルカが「相続税法ラボで見ました」と言うのは、TaxJudgeの別の教材のことです。読んでいなくても、この講座だけで理解できます(リンク先は任意)。 |
| 所要時間 | 各回の「所要」は必修部分の目安です。「発展」と書いた部分や、体験・テストは時間に応じて取り組んでください。 |
はじめに:今日のゴール
財産は相続開始の日の時価で評価し、具体的なやり方は財産評価基本通達で財産ごとに決まっている――土地は路線価、建物は固定資産税評価額、上場株式は4つの価格のうち最も低いもの、預金は残高。この4つの物差しで、青山家の財産を自分で評価できるようになること。
※ 青山家の路線価・株価などは、学習用に設定した仮定の数値です(令和9年分の路線価はまだ公表されていません)。
図で見る:財産ごとの4つの物差し(5つのステップ)
評価の3つの問い
- いつ:相続開始の日(課税時期)。青山家は令和9年6月10日
- いくら:時価(相続税法22条)
- どうやって:財産評価基本通達が、財産の種類ごとに決めている
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 評価の原則
評価の基準日:相続開始の日(青山家 令和9年6月10日)/ 物差し:時価(相続税法22条)→ 財産評価基本通達
STEP 2 土地(路線価)
路線価 200,000円 × 奥行価格補正率 1.00 × 300㎡ = 6,000万円(青山家の自宅の土地・特例前)
STEP 3 建物
固定資産税評価額 800万円 × 1.0 = 800万円(青山家の自宅の建物)
STEP 4 上場株式
2,500円(4つのうち最も低い5月の月平均)× 12,000株 = 3,000万円
STEP 5 預金・その他
土地6,000万円+建物800万円+預金8,000万円+上場株式3,000万円= 1億7,800万円(特例前)
青山家の財産を評価する
| 財産 | 評価のしかた | 評価額 |
|---|---|---|
| 自宅の土地(300㎡) | 路線価方式:200,000円 × 奥行価格補正率1.00 × 300㎡ | 6,000万円 |
| 自宅の建物 | 固定資産税評価額800万円 × 1.0 | 800万円 |
| 預金(普通預金) | 相続開始の日の残高 | 8,000万円 |
| 上場株式(12,000株) | 4つの価格のうち最も低い2,500円(5月の月平均)× 12,000株 | 3,000万円 |
| 本来の相続財産の評価額(特例前) | 1億7,800万円 |
この先の回で:自宅の土地は小規模宅地等の特例で6,000万円 → 1,200万円(第9回)。これは評価が終わったあとに使う特例です。第4回の保険金(非課税後500万円)などと合わせて、課税価格の合計 1億4,790万円(第6・7回)につながります。
やってみよう:路線価で土地を評価する
※ 普通住宅地区で、1本の道路だけに面した宅地の目安です(奥行距離は60m未満で計算)。角地の側方路線影響加算、間口狭小・不整形地などの補正、貸宅地などの権利の差し引き、小規模宅地等の特例(第9回)は入っていません。奥行価格補正率は財産評価基本通達の付表(普通住宅地区)の値です。
よくある間違い
① 買ったとき・建てたときの値段で書く
評価の基準は相続開始の日の時価です。取得したときの価格は使いません。建物は固定資産税評価額×1.0です。② 土地はどこでも路線価
路線価があるのは主に市街地です。路線価のない地域は倍率方式(固定資産税評価額×国税局が定める倍率)で評価します。③ 上場株式は亡くなった日の終値だけ
その日の終値と、その月・前月・前々月の終値の月平均の4つのうち、最も低い価格で評価します。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 財産は相続開始の日(課税時期)の時価で評価する(相続税法22条)。
- 具体的なやり方は財産評価基本通達が、財産の種類ごとに決めている。
- 宅地は路線価方式(路線価×奥行価格補正率など×面積)か倍率方式(固定資産税評価額×倍率)。
- 家屋は固定資産税評価額×1.0。貸家は借家権割合30%×賃貸割合の分を引く。
- 上場株式は原則としてその日の終値と3か月分の月平均のうち最も低い価格(その日に取引がない場合や権利落ちなどは別に確かめる)。預金は残高(定期預金などは既経過利子の税引後の額も足す)。
参照条文・出典
参照条文・通達:相続税法22条(評価の原則)、23条〜26条(地上権・永小作権、配偶者居住権等、定期金に関する権利、立木の評価)/財産評価基本通達1(評価の原則)、7・7-2(土地の評価上の区分・評価単位)、11・13〜21-2(路線価方式・倍率方式)、89・93・94(家屋・貸家・借家権割合)、169(上場株式)、203(預貯金)
参考資料:税務大学校『相続税法(基礎編)令和8年度版』第11章 財産の評価(pp.102〜120。路線価方式の【設例1】p.112)(講本PDF)/国税庁タックスアンサー No.4604 路線価方式による宅地の評価(同Q&A)・No.4606 倍率方式による土地の評価/国税庁 財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。路線価方式の設例の数値(講本p.112)と奥行価格補正率(講本p.110)は、講本の記述をもとにTaxJudgeが編集・加工しています(公共データ利用規約(第1.0版)に基づく加工)。出典:国税庁(税務大学校)「相続税法(基礎編)令和8年度版」
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年1月1日現在の法令・通達に基づく学習用の解説・試算であり、個別の申告には税理士等にご確認ください。青山家の路線価・株価・建築時の価格等は、学習用に設定した仮定の数値です(令和9年分の路線価は未公表。実際には公表後に評価します)。