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第4回 相続財産とみなし相続財産・非課税|相続税入門講座

相続税 入門講座|第4回(v10)

相続財産とみなし相続財産・非課税

「遺産分割の対象ではない死亡保険金にも、相続税はかかる?」から、相続税がかかる財産の範囲を確かめる回です。

所要 15分前提:第3回(遺産分割)条文:相続税法3条・12条・15条2項
第1章 導入と民法123
第2章 財産から税額まで45678
第3章 特例と贈与91011
第4章 手続と総合演習1213
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
財産の合計本来の相続財産+みなし相続財産−非課税財産(評価額で)
各人の課税価格1人ずつ:取得した財産+精算課税の贈与−債務・葬式費用+加算する暦年贈与
課税価格の合計全員の課税価格を足したもの
課税遺産総額課税価格の合計−基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
相続税の総額課税遺産総額を法定相続分で仮に分けて速算表を当て、足した家族全体の税額
算出税額相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計
納付税額算出税額に2割加算・税額控除をして、100円未満を切り捨てた各人が納める額
相続税法ラボ会話でハルカが「相続税法ラボで見ました」と言うのは、TaxJudgeの別の教材のことです。読んでいなくても、この講座だけで理解できます(リンク先は任意)。
所要時間各回の「所要」は必修部分の目安です。「発展」と書いた部分や、体験・テストは時間に応じて取り組んでください。

🎧 動画で聞く死亡保険金にも相続税?みなし相続財産と非課税枠500万円×人数(7分)

第4回の先生とハルカの会話と図解を、そのまま講義動画にしました。相続財産になるもの、死亡保険金などのみなし相続財産、非課税財産と非課税枠(500万円×法定相続人の数)を扱います。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く)

はじめに:今日のゴール

🎯
今日のゴール
相続税がかかるのは本来の相続財産だけでなく、死亡保険金などのみなし相続財産も含む。一方で、墓所や保険金のうち500万円×法定相続人の数などは非課税――この3つの箱を、青山家の財産で仕分けられるようになること。
民法保険金は遺産分割の対象外
→
相続税みなし相続財産
青山家:健太が受け取った保険金2,000万円
→
非課税 500万円×3人▲1,500万円
→
相続税の対象500万円

※ 保険料を負担していたのが亡くなった父の修である、という前提です(共通事例シート)。

ハルカ先生、死亡保険金は、原則として受取人自身の財産で、遺産分割の対象ではないと聞きました。相続税も関係ないんですか?
先生そこが今日の出発点なんだ。民法と相続税では、相続財産の範囲が少し違うんだよ。
ハルカ左の例だと、健太さんの保険金2,000万円のうち500万円に、相続税がかかるんですね。
先生そうなんだ。今日は、相続税がかかる財産を「本来の相続財産」「みなし相続財産」「非課税財産」の3つの箱で整理していこうか。

図で見る:相続税がかかる財産の3つの箱(5つのステップ)

3つの箱

  • 本来の相続財産:亡くなった人が持っていた財産(預金・土地・株式など)
  • みなし相続財産:民法では相続財産ではないが、相続税では相続財産とみなすもの(死亡保険金など)
  • 非課税財産:相続税の対象から外すもの(墓所・仏壇、保険金の一定額など)
先生3つの箱を先に押さえておこうか。本来の相続財産、みなし相続財産、非課税財産だよ。
ハルカ本来とみなしの違いは、民法で相続財産かどうか、ということですか?
先生そのとおりなんだ。ステップ1から順に、青山家の財産をそれぞれの箱に入れていこうか。
👆下のステップをクリックタップすると、図と会話が切り替わります← →キーでも移動できます
← 図は横にスクロールできます →
本来の相続財産みなし相続財産非課税財産お金に見積もれる、亡くなった人の財産すべて(一身専属のものを除く)現金・預金青山家 8,000万円土地青山家 6,000万円建物青山家 800万円上場株式青山家 3,000万円貸付金・未収金(例)著作権・特許権(例)営業権など(例)家財・自動車(例)含まれないもの:亡くなった人だけに結びついた一身専属の権利(例:扶養を受ける権利、生活保護を受ける権利など)※ 青山家の金額は相続税評価額。自宅の土地は小規模宅地等の特例を使う前(第9回)青山家の本来の相続財産:土地6,000+建物800+預金8,000+株式3,000=1億7,800万円(預金のうち500万円は、遺言で孫の陽向が遺贈により取得)
本来の相続財産:お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて / 青山家 1億7,800万円(特例前)
ハルカ相続税がかかるのは、亡くなった人のどんな財産なんですか?
先生お金に見積もれるものなら、ほとんど全部なんだ。預金や土地、株式のほか、貸したお金や著作権のような目に見えない権利も入るよ。
🤔 迷いポイント相続財産になるのは、預金や不動産のような「形のあるもの」だけ?
ハルカ通帳や登記簿に載っているものだけを数えればいいと思っていました。
先生それが、そうではないのだよ。目に見えない権利も入るんだ。ただ、扶養を受ける権利のような、亡くなった人だけに結びついた権利(一身専属)は外れるよ。
ハルカお金に見積もれるものなら全部……。私の部屋のモンステラも、いつか財産目録に載るんですね。
先生お金に見積もれるものではあるね。ただ、相続財産になるのは、亡くなった人の財産だけなんだよ。
💡 そうだったのか!本来の相続財産は、お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて。目に見えない権利も入り、一身専属の権利は外れる。
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)

STEP 1 本来の相続財産

ハルカ相続税がかかるのは、亡くなった人のどんな財産なんですか?
先生お金に見積もれるものなら、ほとんど全部なんだ。預金や土地、株式のほか、貸したお金や著作権のような目に見えない権利も入るよ。
🤔 迷いポイント相続財産になるのは、預金や不動産のような「形のあるもの」だけ?
ハルカ通帳や登記簿に載っているものだけを数えればいいと思っていました。
先生それが、そうではないのだよ。目に見えない権利も入るんだ。ただ、扶養を受ける権利のような、亡くなった人だけに結びついた権利(一身専属)は外れるよ。
ハルカお金に見積もれるものなら全部……。私の部屋のモンステラも、いつか財産目録に載るんですね。
先生お金に見積もれるものではあるね。ただ、相続財産になるのは、亡くなった人の財産だけなんだよ。
💡 そうだったのか!本来の相続財産は、お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて。目に見えない権利も入り、一身専属の権利は外れる。

本来の相続財産:お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて / 青山家 1億7,800万円(特例前)

STEP 2 みなし相続財産

ハルカ死亡保険金は、原則として受取人自身の財産で、遺産分割の対象ではないと聞きました。じゃあ、相続税もかからないんですか?
先生民法では受取人の固有の財産だけど、相続税では相続財産と「みなす」んだ。亡くなった人が保険料を払っていたなら、経済的には遺産と同じだからだよ。
🤔 迷いポイント死亡保険金は受取人のものだから、相続税とは関係ない?
ハルカあ、これは相続税法ラボの基礎編 ↗で見ました。遺産分割に出てこなくても、相続税ではみなし相続財産になるんでしたよね。
先生よく覚えていたね。死亡退職金も同じだよ。それから、まだ保険事故が起きていない生命保険契約で、亡くなった人が保険料を払い、契約者は別の人になっているものも「生命保険契約に関する権利」としてみなし相続財産になるんだ。亡くなった人自身が契約者なら、その権利は本来の相続財産になるのだよ。
ハルカ「みなし」って、なんだか財産のふりをしている財産みたいですね。
先生名前のとおりなんだ。民法では相続財産ではないけれど、相続税では相続財産とみなして課税するんだよ。
💡 そうだったのか!死亡保険金・死亡退職金などは、民法では相続財産でなくても、相続税では「みなし相続財産」として課税される。

みなし相続財産:死亡保険金・死亡退職金など / 青山家 死亡保険金2,000万円(受取人 健太)

STEP 3 保険金と税金の種類

ハルカ保険金なら、いつでも相続税になるんですか?
先生左の表のとおり、誰が保険料を払っていたかで変わるんだ。亡くなった人が払っていれば相続税、ほかの人が払っていれば贈与税、受取人本人が払っていれば所得税だよ。
🤔 迷いポイント死亡保険金は、どんな契約でも相続税の対象?
ハルカ人が亡くなって受け取るお金だから、全部相続税だと思っていました。
先生見るのは「保険料を払った人」なんだ。受取人が自分で払っていたなら、自分の保険が満期になったのと同じで、所得税(一時所得)になるよ。年金形式で受け取るなら、原則として雑所得だよ。
ハルカ同じ保険金なのに、払った人しだいで税金の種類が3つも変わるなんて……。頭がくらくらします。
先生見るのは「誰が保険料を払ったか」の1点だけなんだ。そこから表をたどれば迷わないよ。
💡 そうだったのか!保険金の税金は、保険料を払った人で決まる。亡くなった人=相続税、ほかの人=贈与税、受取人本人=所得税。

亡くなった人が保険料を払っていれば相続税、受取人なら所得税、ほかの人なら贈与税

STEP 4 非課税財産

ハルカ相続税がかからない財産もあるんですか?
先生あるんだ。お墓や仏壇、一定の公益事業用の財産、申告期限までに国などへ寄附した財産、それに保険金と退職金の一定額だよ。
🤔 迷いポイント香典も、もらった額だけ相続財産に入る?
ハルカお葬式で受け取った香典も、相続財産に足すのかと思っていました。
先生香典は亡くなった人の財産ではないから、もともと相続税の対象ではないんだ。非課税財産の一覧に入れる必要もないよ。
💡 そうだったのか!墓所・仏壇、公益事業用財産、国などへの寄附、保険金・退職金の一定額などは非課税。香典はもともと相続税の対象外。

非課税:墓所・仏壇、公益事業用財産、保険金・退職金の500万円×法定相続人の数、申告期限までの国などへの寄附 など

STEP 5 保険金の非課税

ハルカ保険金の非課税は、いくらまでなんですか?
先生500万円×法定相続人の数なんだ。青山家は3人だから1,500万円。健太さんの2,000万円のうち、1,500万円が非課税で、相続税の対象は500万円になるよ。
🤔 迷いポイント保険金を受け取った人なら、誰でも非課税が使える?
ハルカ受け取った人みんなが、500万円ずつ使えると思っていました。
先生使えるのは相続人が受け取った分だけなんだ。相続を放棄した人や、孫の陽向くんのような相続人以外が受け取った保険金には使えないよ。
ハルカ500万円×人数の非課税枠は、家族みんなに配られる「お守り」みたいですね。
先生お守りを使えるのは相続人だけ、というところが大事なんだ。ただ、枠の大きさを決める人数は、放棄がなかったものとして数えるよ。
💡 そうだったのか!保険金の非課税は500万円×法定相続人の数。使えるのは相続人が受け取った分だけ(放棄した人・相続人以外は不可)。

2,000万円 − 500万円×3人 = 500万円(健太の相続税の対象)

青山家の財産を3つの箱に仕分ける

財産箱金額
自宅の土地(特例前)本来の相続財産6,000万円
自宅の建物本来の相続財産800万円
預金本来の相続財産(うち500万円は陽向への遺贈)8,000万円
上場株式本来の相続財産3,000万円
死亡保険金(受取人:健太)みなし相続財産2,000万円
うち非課税(500万円×3人)非課税財産▲1,500万円
相続税がかかる財産(この回の到達点)1億8,300万円

この先の回で:小規模宅地等の特例で自宅の土地を▲4,800万円(第9回)、借入金・葬式費用を▲500万円(第6回)、生前贈与を+1,790万円(第10・11回)→ 課税価格の合計 1億4,790万円(第6・7回)につながります。

財産調査のひとこと:名義だけで判断しません。家族の名義の預金(いわゆる名義預金)でも、お金を出したのが亡くなった人で、実際に管理していたなら、亡くなった人の財産として相続税の対象になることがあります。「誰の名義か」ではなく「誰の財産か」を確かめます。

ハルカ青山家の財産を、3つの箱に仕分けてみたいです。
先生左の表のとおりだよ。土地・建物・預金・株式が本来の相続財産で1億7,800万円、保険金2,000万円がみなし相続財産で、そのうち1,500万円が非課税なんだ。
ハルカ合わせて1億8,300万円ですね。でも、第7回の課税価格の合計は1億4,790万円でした。
先生よく気づいたね。この先の回で、自宅の土地の特例、借入金と葬式費用、生前贈与を足し引きすると、1億4,790万円になるんだ。表の下にその道筋を書いておいたよ。

やってみよう:この保険金、何の税金?

※ このチェッカーは、死亡保険金を一時金で受け取る場合を前提としています。年金形式で受け取る場合は、所得税の取扱いなどが異なります。
※ 亡くなった人の死亡による保険金で、受取人が1人の場合の目安です。保険料を一部だけ負担していた場合は、負担した割合の分だけがみなし相続財産になります。相続人が何人も保険金を受け取ったときは、非課税額を受け取った額の割合で分けます。

ハルカ保険金の税金の種類を、自分で確かめてみたいです。
先生左で、保険料を払った人と受取人、金額、法定相続人の数を選んでみてね。何の税金になるか、非課税がいくらかが出るよ。
ハルカ受取人を「相続を放棄した人」にすると、非課税が使えなくなりました!
先生保険金の非課税は、相続人だけのものだからなんだ。孫の陽向くんのような相続人以外も同じで、さらに2割加算の対象になるよ。それは第8回で見ていこうか。

よくある間違い

① 保険金は受取人のものだから無関係

遺産分割の対象ではなくても、亡くなった人が保険料を負担していれば、相続税ではみなし相続財産です。

② 非課税は受け取った人みんなに

保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)は、相続人が受け取った分だけ。放棄した人や相続人以外(孫の受遺者など)は使えません。

③ 香典も相続財産

香典は亡くなった人の財産ではないので、相続税の対象になりません。墓所・仏壇などは非課税財産です。
ハルカ①は、まさに私が思い込みそうだったところです。
先生民法と相続税で、財産の範囲が違うところなんだよ。遺産分割の対象かどうかと、相続税がかかるかどうかは、別に考えるんだ。
ハルカ②の非課税も、受け取った人みんなが使えると思っていました。
先生使えるのは相続人だけ。でも枠の大きさを決める人数には、放棄した人も数える。この組み合わせは、第2回の人数の数え方とつながっているんだよ。

ミニテスト(3問)

Q1. 父が保険料を払っていた生命保険。父が亡くなり、長男が死亡保険金を受け取った。かかる税金は?
Q2. 法定相続人が配偶者と子3人。相続人が受け取った死亡保険金の非課税限度額は?
Q3. 相続を放棄した子が、死亡保険金を受け取った(保険料は亡くなった父が負担)。正しいのは?

おわりに ── 今日のふりかえり

1分まとめ
  1. 本来の相続財産は、お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて(一身専属のものを除く)。
  2. 死亡保険金・死亡退職金などは、民法では相続財産でなくても、相続税ではみなし相続財産。
  3. 保険金の税金は「誰が保険料を払ったか」で決まる:亡くなった人なら相続税、受取人なら所得税、ほかの人なら贈与税。
  4. 墓所・仏壇、申告期限までの国などへの寄附、保険金・退職金の500万円×法定相続人の数などは非課税。
  5. 保険金の非課税は相続人だけ(放棄した人・相続人以外は使えない)。人数は放棄がなかったものとして数える。
先生今日のまとめだよ。相続税がかかるのは本来の相続財産とみなし相続財産で、そこから非課税財産を外すんだ。保険金の税金は、誰が保険料を払ったかで決まるよ。
ハルカ民法の遺産と、相続税の財産は、同じ形の別の箱なんですね。
先生いい言い方だね。ただ、箱の中身が同じでも、金額はまだ「評価」していないことを覚えておいてね。
ハルカ保険の書類を見たら、まず「保険料を払った人」の欄に丸を付けることにします。
先生それが一番の近道だよ。次の第5回では、財産をいくらと評価するのか、その入口を見ていこうか。

参照条文・出典

参照条文:相続税法3条1項(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合:1号 生命保険金等、2号 退職手当金等、3号 生命保険契約に関する権利 ほか)、12条(相続税の非課税財産)、15条2項(法定相続人の数)/租税特別措置法70条(国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等)

参考資料:税務大学校『相続税法(基礎編)令和8年度版』第3章第3節 相続税の課税財産(pp.15〜21)、第4節 相続税の非課税財産(pp.22〜24)(講本PDF)

本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。保険金の課税関係の表・非課税財産の一覧は講本 pp.18・22 の記述をもとにTaxJudgeが編集・加工しています(公共データ利用規約(第1.0版)に基づく加工)。出典:国税庁(税務大学校)「相続税法(基礎編)令和8年度版」

本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年1月1日現在の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の申告には税理士等にご確認ください。

ハルカ今日の内容は、条文ではどこで確かめられますか?
先生みなし相続財産は相続税法3条、非課税財産は12条、法定相続人の数は15条2項だよ。相続税法ラボ ↗の「条文から」タブで引けるんだ。
ハルカこの講座のもとになった資料も知りたいです。
先生税務大学校の講本『相続税法(基礎編)令和8年度版』の第3章第3節と第4節を参考に、TaxJudgeが独自に組み立てているよ。出典は左にまとめてあるんだ。
相続税 入門講座 第4回|taxjudge.com
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