相続財産とみなし相続財産・非課税
「遺産分割の対象ではない死亡保険金にも、相続税はかかる?」から、相続税がかかる財産の範囲を確かめる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 財産の合計 | 本来の相続財産+みなし相続財産−非課税財産(評価額で) |
| 各人の課税価格 | 1人ずつ:取得した財産+精算課税の贈与−債務・葬式費用+加算する暦年贈与 |
| 課税価格の合計 | 全員の課税価格を足したもの |
| 課税遺産総額 | 課税価格の合計−基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
| 相続税の総額 | 課税遺産総額を法定相続分で仮に分けて速算表を当て、足した家族全体の税額 |
| 算出税額 | 相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計 |
| 納付税額 | 算出税額に2割加算・税額控除をして、100円未満を切り捨てた各人が納める額 |
| 相続税法ラボ | 会話でハルカが「相続税法ラボで見ました」と言うのは、TaxJudgeの別の教材のことです。読んでいなくても、この講座だけで理解できます(リンク先は任意)。 |
| 所要時間 | 各回の「所要」は必修部分の目安です。「発展」と書いた部分や、体験・テストは時間に応じて取り組んでください。 |
🎧 動画で聞く死亡保険金にも相続税?みなし相続財産と非課税枠500万円×人数(7分)
第4回の先生とハルカの会話と図解を、そのまま講義動画にしました。相続財産になるもの、死亡保険金などのみなし相続財産、非課税財産と非課税枠(500万円×法定相続人の数)を扱います。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く)
はじめに:今日のゴール
相続税がかかるのは本来の相続財産だけでなく、死亡保険金などのみなし相続財産も含む。一方で、墓所や保険金のうち500万円×法定相続人の数などは非課税――この3つの箱を、青山家の財産で仕分けられるようになること。
※ 保険料を負担していたのが亡くなった父の修である、という前提です(共通事例シート)。
図で見る:相続税がかかる財産の3つの箱(5つのステップ)
3つの箱
- 本来の相続財産:亡くなった人が持っていた財産(預金・土地・株式など)
- みなし相続財産:民法では相続財産ではないが、相続税では相続財産とみなすもの(死亡保険金など)
- 非課税財産:相続税の対象から外すもの(墓所・仏壇、保険金の一定額など)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 本来の相続財産
本来の相続財産:お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて / 青山家 1億7,800万円(特例前)
STEP 2 みなし相続財産
みなし相続財産:死亡保険金・死亡退職金など / 青山家 死亡保険金2,000万円(受取人 健太)
STEP 3 保険金と税金の種類
亡くなった人が保険料を払っていれば相続税、受取人なら所得税、ほかの人なら贈与税
STEP 4 非課税財産
非課税:墓所・仏壇、公益事業用財産、保険金・退職金の500万円×法定相続人の数、申告期限までの国などへの寄附 など
STEP 5 保険金の非課税
2,000万円 − 500万円×3人 = 500万円(健太の相続税の対象)
青山家の財産を3つの箱に仕分ける
| 財産 | 箱 | 金額 |
|---|---|---|
| 自宅の土地(特例前) | 本来の相続財産 | 6,000万円 |
| 自宅の建物 | 本来の相続財産 | 800万円 |
| 預金 | 本来の相続財産(うち500万円は陽向への遺贈) | 8,000万円 |
| 上場株式 | 本来の相続財産 | 3,000万円 |
| 死亡保険金(受取人:健太) | みなし相続財産 | 2,000万円 |
| うち非課税(500万円×3人) | 非課税財産 | ▲1,500万円 |
| 相続税がかかる財産(この回の到達点) | 1億8,300万円 |
この先の回で:小規模宅地等の特例で自宅の土地を▲4,800万円(第9回)、借入金・葬式費用を▲500万円(第6回)、生前贈与を+1,790万円(第10・11回)→ 課税価格の合計 1億4,790万円(第6・7回)につながります。
財産調査のひとこと:名義だけで判断しません。家族の名義の預金(いわゆる名義預金)でも、お金を出したのが亡くなった人で、実際に管理していたなら、亡くなった人の財産として相続税の対象になることがあります。「誰の名義か」ではなく「誰の財産か」を確かめます。
やってみよう:この保険金、何の税金?
※ このチェッカーは、死亡保険金を一時金で受け取る場合を前提としています。年金形式で受け取る場合は、所得税の取扱いなどが異なります。
※ 亡くなった人の死亡による保険金で、受取人が1人の場合の目安です。保険料を一部だけ負担していた場合は、負担した割合の分だけがみなし相続財産になります。相続人が何人も保険金を受け取ったときは、非課税額を受け取った額の割合で分けます。
よくある間違い
① 保険金は受取人のものだから無関係
遺産分割の対象ではなくても、亡くなった人が保険料を負担していれば、相続税ではみなし相続財産です。② 非課税は受け取った人みんなに
保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)は、相続人が受け取った分だけ。放棄した人や相続人以外(孫の受遺者など)は使えません。③ 香典も相続財産
香典は亡くなった人の財産ではないので、相続税の対象になりません。墓所・仏壇などは非課税財産です。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 本来の相続財産は、お金に見積もれる亡くなった人の財産すべて(一身専属のものを除く)。
- 死亡保険金・死亡退職金などは、民法では相続財産でなくても、相続税ではみなし相続財産。
- 保険金の税金は「誰が保険料を払ったか」で決まる:亡くなった人なら相続税、受取人なら所得税、ほかの人なら贈与税。
- 墓所・仏壇、申告期限までの国などへの寄附、保険金・退職金の500万円×法定相続人の数などは非課税。
- 保険金の非課税は相続人だけ(放棄した人・相続人以外は使えない)。人数は放棄がなかったものとして数える。
参照条文・出典
参照条文:相続税法3条1項(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合:1号 生命保険金等、2号 退職手当金等、3号 生命保険契約に関する権利 ほか)、12条(相続税の非課税財産)、15条2項(法定相続人の数)/租税特別措置法70条(国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等)
参考資料:税務大学校『相続税法(基礎編)令和8年度版』第3章第3節 相続税の課税財産(pp.15〜21)、第4節 相続税の非課税財産(pp.22〜24)(講本PDF)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。保険金の課税関係の表・非課税財産の一覧は講本 pp.18・22 の記述をもとにTaxJudgeが編集・加工しています(公共データ利用規約(第1.0版)に基づく加工)。出典:国税庁(税務大学校)「相続税法(基礎編)令和8年度版」
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年1月1日現在の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の申告には税理士等にご確認ください。