源泉徴収・年末調整・確定申告 ── 1年の税金を精算するしくみ
「毎月天引きされているのに、どうして確定申告で追加の納付や還付があるの?」に、5つのステップの図で答えられるようになる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 源泉徴収 | 給与・報酬・利子・配当などを支払う人(会社など)が、支払のときに所得税を差し引いて国に納めるしくみ |
| 年末調整 | 会社が12月の最後の給与などで、その年の給与にかかる税額を計算し直し、毎月の源泉徴収との差を精算すること |
| 年調年税額 | 年末調整で計算した、その年の給与にかかる所得税と復興特別所得税の額 |
| 確定申告 | 1年分の所得と税額を自分で計算して申告し、源泉徴収された税額などとの差を精算すること |
| 還付申告 | 確定申告をする義務はないが、納めすぎた税金を返してもらうためにする申告 |
| 予定納税 | 前年の実績から計算した額が一定以上の人が、その年の税金の一部を前もって納めるしくみ |
| 年分と数字 | この講座は令和8年分の法令で計算しています。期限や基準額などの数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
源泉徴収(支払のときの天引き)→ 年末調整(会社での精算)→ 確定申告(自分での精算)の流れと、確定申告が必要な人と還付申告をしたほうが得な人の違いを、自分の言葉で説明できるようになること。
※ 健太さんの納める額は、百円未満を切り捨てています。青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値で、令和8年分の法令で計算しています。
図で見る:源泉徴収から確定申告までの5ステップ
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 源泉徴収
支払う人が天引き → 国に納める(毎月の天引きは概算)
STEP 2 年末調整
健太さんの年調年税額 82,100円(医療費控除・寄附金控除・給与以外の所得は入らない)
STEP 3 申告が必要?
健太さん:確定申告が必要
STEP 4 納付と予定納税
141,816円 − 82,100円 → 百円未満切捨て 納付 59,700円(令和9年3月15日(月)まで)
STEP 5 還付申告
彩さん:16,800円 − 0円 = 還付 16,800円(翌年1月1日から5年間)
健太さんと彩さんの1年(講座の共通事例)
会社員の健太さん(44歳)は、会社で年末調整を受けました。妻の彩さん(42歳)は、年の途中で会社を辞め、その後は働いていません。
| 人 | 中身 | 金額 |
|---|---|---|
| 健太さん | 給与の収入(年末調整を受けた) | 750万円 |
| 年末調整で計算した年税額(年調年税額) | 82,100円 | |
| 給与・退職以外の所得(ブログ+満期保険金の2分の1) | 50万円 | |
| 年末調整に入らない控除(医療費控除・寄附金控除) | あり | |
| 彩さん | 給与の収入(退職まで。年末調整はなし) | 90万円 |
| 給与から天引きされた源泉徴収税額 | 16,800円 | |
| 退職金(「退職所得の受給に関する申告書」を提出。第4回) | 300万円 |
※ 健太さんの1年の税額は第13回で計算した 141,816円 です。彩さんの源泉徴収税額は学習用に設定した仮定の数値です。
青山家の5ステップ
| ステップ | 健太さん・彩さんの場合 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 源泉徴収 | 2人とも、毎月の給与から所得税が天引きされた | 天引き |
| ② 年末調整 | 健太さん:会社で精算 → 年調年税額 彩さん:年の途中で退職したので年末調整なし | 82,100円 なし |
| ③ 申告が必要? | 健太さん:給与・退職以外の所得 50万円 > 20万円 彩さん:1年の税額が0円なので、申告の義務はない | 必要 義務なし |
| ④ 精算 | 健太さん:141,816円 − 82,100円(百円未満切捨て) | 納付 59,700円 |
| ⑤ 還付申告 | 彩さん:0円 − 16,800円 | 還付 16,800円 |
やってみよう:確定申告が必要? チェック
あてはまるものを選ぶと、所得税の確定申告が必要か、しなくてよいが還付申告をすると戻ることがあるか、不要かを表示します。
※ 入門用の簡単な判定です。年金の確定申告不要制度は、公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合に適用されます。対象外の年金がある場合は、申告の要否を個別に確認してください。同族会社の役員の特例や、源泉徴収のない給与などは扱っていません。住民税の申告は別に考えます。
令和8年分の数字(この回で使ったもの)
| 項目 | 令和8年分 | くわしくは |
|---|---|---|
| 確定申告の期間 | 令和9年2月16日(火)〜令和9年3月15日(月) | ステップ④ |
| 会社員が申告不要となる給与所得・退職所得以外の所得金額の合計 | 20万円以下 | ステップ③ |
| 年末調整を受けられない(確定申告が必要な)給与の収入 | 2,000万円超 | ステップ③ |
| 年金の人が申告不要となる公的年金等の収入(全部が源泉徴収の対象の場合) | 400万円以下 | ステップ③ |
| 予定納税が必要になる予定納税基準額 | 15万円以上(7月と11月) | ステップ④ |
| 還付申告ができる期間 | 翌年1月1日から5年間 | ステップ⑤ |
期限の日付や基準額は、年や改正で変わることがあります。この講座では年分ごとの数字を1か所で管理し、改正のときに差し替えます。「天引き → 年末調整 → 確定申告で精算」という流れは変わりません。
よくある間違い
① 年末調整を受けたら申告は不要
給与・退職以外の所得が20万円を超える、給与の収入が2,000万円を超えるなどの場合は、年末調整を受けていても確定申告が必要です。② 必要な人=得をする人
確定申告が必要な人と、しなくてもよいが還付申告をすると戻る人は別です。医療費控除や年の途中での退職などは、還付申告で納めすぎた税金が戻ることがあります。③ 還付申告も申告期限まで
還付申告は、確定申告の期間に関係なく、翌年1月1日から5年間できます。納める必要がある人は、期限までに申告と納付をします。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 源泉徴収:給与・報酬・利子・配当などを支払う人が、支払のときに所得税を天引きして国に納める。
- 年末調整:会社が12月に、その年の給与にかかる税額を計算し直して精算する。医療費控除・寄附金控除や、給与以外の所得は入らない。
- 年末調整を受けた会社員でも、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えるなどの場合は、原則として確定申告が必要。
- 確定申告は、1年の税額から源泉徴収税額などを引いて精算する。納める人は令和9年3月15日(月)までに申告・納付する。前年の実績による予定納税のしくみもある。
- 申告の義務がなくても、還付申告で納めすぎた税金が戻ることがある。還付申告は翌年1月1日から5年間できる。
参照条文・出典
参照条文:所得税法120条(確定所得申告)、121条(確定所得申告を要しない場合)、122条(還付等を受けるための申告)、104条(予定納税額の納付)、183条(給与所得に係る源泉徴収義務)、190条(年末調整)、復興財源確保法(復興特別所得税)
参考資料:税務大学校『所得税法(基礎編)令和8年度版』第7章「源泉徴収」、第8章「申告、納付及び還付」(第2節 予定納税 pp.153〜155、第3節 確定申告 pp.157〜160)(講本PDF)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。申告書の書き方・e-Taxの操作・添付書類・納付方法は扱いません(確定申告の動画で扱う予定です)。修正申告・更正の請求・延滞税などは名前だけの紹介です。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年分の法令に基づく学習用の試算であり、個別の申告には税理士等にご確認ください。青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。